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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
管理番号 1256674
審判番号 不服2010-22636  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-07 
確定日 2012-05-10 
事件の表示 特願2005-379059「液晶表示装置のスペーサ形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 7日出願公開、特開2006-235596〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成17年12月28日(パリ条約による優先権主張 2005年2月23日、韓国)に特許出願したものであって、平成21年11月4日及び平成22年4月14日に手続補正がなされたが、同年6月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これと同時に手続補正がなされた後、当審において、平成23年7月29日付けで拒絶理由が通知され、同年11月1日に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成23年11月1日になされた手続補正後の明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「単位画素がマトリックス状に配列された基板上にインクジェット噴射ノズルを整列する段階と、
前記基板上に配列されたサブ画素に少なくとも2つのサブ画素間隔を置いて、前記インクジェット噴射ノズルから揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第1スペーサを滴下する第1スペーサ滴下段階と、
前記第1スペーサ滴下段階の後に前記第1スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなる第1スペーサを形成する段階と、
前記インクジェット噴射ノズルを再整列して、前記ボールスペーサからなる第1スペーサが形成されたサブ画素の間に位置するサブ画素に揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第2スペーサを滴下する第2スペーサ滴下段階と、
前記第2スペーサ滴下段階の後に前記第2スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなる第2スペーサを形成する段階と、
を含み、
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサが、球状のボールスペーサであり、
前記インクジェット噴射ノズルは、少なくとも2つのサブ画素毎に1つの噴射口が配列されるように、バー状に配列された複数の噴射口を備えることを特徴とする液晶表示装置のスペーサ形成方法。」

3 刊行物の記載
当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願優先日の前に頒布された刊行物である特開2005-4094号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の記載がある。

(1)「【請求項1】
一定のパターンに従って配列された画素領域と画素領域を画する遮光領域とからなる液晶表示装置において、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出し、上記遮光領域に相当する領域にスペーサ粒子を配置した基板とスペーサ粒子を配置していない基板とを、上記遮光領域に相当する領域に配置されたスペーサ粒子と液晶とを介して対向させた液晶表示装置の製造方法であって、少なくとも一方の基板の遮光領域に相当する領域中に形成された段差部分を含むようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させ、乾燥させて、スペーサ粒子を上記遮光領域に相当する領域中に留めることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。」

(2)「【0051】
[スペーサ粒子分散液]
本発明の製造方法で用いられるスペーサ粒子分散液は、上述したスペーサ粒子が分散媒体中に分散されてなる。
・・・
【0056】
本発明における分散媒体には、沸点が100℃未満の親水性有機溶媒が含有されていることが好ましく、より好ましくは沸点が70℃以上100℃未満の親水性有機溶媒が含有されていることである。なお、本発明で言う沸点とは、1気圧の条件下での沸点を意味する。
・・・
【0058】
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶媒は、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出して乾燥させる際に、比較的低い温度で揮発する。・・・」

(3)「【0088】
インクジェット装置におけるヘッドには、上述したようなノズルが、複数個かつ一定の配置方式(ヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で例えば64個や128個などの複数個)で設けられている。・・・」

(4)「【0095】
スペーサ粒子分散液の液滴を上記段差部分を含むように着弾させる方法は、特に限定されるものではなく、・・・遮光領域に相当する領域中に形成された段差部分を狙ってスペーサ粒子分散液を吐出し、着弾後のスペーサ粒子分散液の液滴に段差部分を含ませる方法を採っても良い。
【0096】
ここで言う遮光領域に相当する領域とは、例えば、基板がカラーフィルタ基板であればブラックマトリックスのことを意味し、また、2枚1組の基板の内の他方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)を上記遮光領域を有する基板と重ね合わせた際に、その遮光領域に相当する上記他方の基板上の領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のことも意味する。
【0097】
上記遮光領域に相当する領域に形成された段差部分は、特に限定されるものではなく、例えば、基板上に設けられた配線等によって生じた非意図的な凹凸部であっても良いし、また、基板上に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴に効率的に段差部分を含ませ、スペーサ粒子を効率的に遮光領域に相当する領域中に集めるために意図的に設けられた凹凸部であっても良い。すなわち、本発明で言う段差部分とは、表面凹凸形状における凹部または凸部と平坦部(基準面)との段差部分を意味する。上記段差部分(凹凸部)の構造や形状は如何なる構造や形状であっても良く、特に限定されるものではない。また、表面下の構造も特に限定されるものではない。
【0098】
図3は段差部分の例を示す断面図である。上記段差部分の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、TFT液晶パネルでのTFTアレイ基板におけるゲート電極やソース電極による段差部分{図3の(a)?(c)、段差部分の高低差B:0.2μm程度}、同じくTFTアレイ基板におけるアレイによる段差部分{図3の(d)、段差部分の高低差B:1.0μm程度}、カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックス上での画色カラーフィルター間の凹部段差{図3の(e)?(h)、段差部分の高低差B:1.0μm程度}等が挙げられる。」

(5)「【0106】
本発明の製造方法においては、下記式(1)以上の間隔をもって、スペーサ粒子分散液を基板に対して吐出することが好ましい。なお、上記間隔は、着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しない間に次の液滴が吐出される場合のそれら液滴間の最低間隔である。
【数1】

ここで、Dはスペーサ粒子の粒子径(μm)であり、θはスペーサ粒子分散液と基板面との接触角である。
・・・
【0108】
式(1)以上の間隔で吐出された結果として、スペーサ粒子の配置個数(スペーサ粒子密度)は通常50?350個/mm^(2) であることが好ましい。このスペーサ粒子密度を満たす範囲であれば、ブラックマットリックスや配線等による遮光領域のどのような部分にどのようなパターンで配置しても良いが、画素領域(表示部分)へのはみ出しをより効果的に防止するためには、格子状の遮光領域からなるカラーフィルタに対しては、一方の基板上の格子状の遮光領域の格子点を狙って配置することが好ましい。
【0109】
また、このように、スペーサ粒子分散液を吐出して液滴を基板上の狙いの位置に着弾させるためには、インクジェット装置のヘッドのスキャン(移動)を1回で行っても良いし、複数回に分けて行っても良い。特に、スペーサ粒子を配置しようとする間隔が式(1)未満の間隔である場合には、その間隔の整数倍の間隔で吐出し、いったん乾燥させた後、その間隔分だけ位置をずらして再度吐出する等の方法を採っても良い。また、インクジェット装置のヘッドのスキャン方向についても、1回毎に交互に変えて吐出(往復吐出)しても良いし、片方向への移動時のみに吐出(単方向吐出)しても良い。」

4 引用発明
(1)上記3(1)によれば、引用刊行物には、次の発明が記載されているものと認められる。
「一定のパターンに従って配列された画素領域と画素領域を画する遮光領域とからなる液晶表示装置において、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出し、上記遮光領域に相当する領域にスペーサ粒子を配置した基板とスペーサ粒子を配置していない基板とを、上記遮光領域に相当する領域に配置されたスペーサ粒子と液晶とを介して対向させた液晶表示装置の製造方法であって、少なくとも一方の基板の遮光領域に相当する領域中に形成された段差部分を含むようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させ、乾燥させて、スペーサ粒子を上記遮光領域に相当する領域中に留める液晶表示装置の製造方法。」

(2)上記3(2)によれば、上記(1)の発明の「スペーサ粒子分散液」は、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出して乾燥させる際に比較的低い温度で揮発する親水性有機溶媒が含有されてよいものと認められる。

(3)上記3(3)によれば、上記(1)の発明の「インクジェット装置」におけるヘッドには、ノズルがヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で複数個設けられているものと認められる。

(4)上記3(4)によれば、上記(1)の発明の「遮光領域に相当する領域」は、カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックスであってよいものと認められる。

(5)上記3(5)によれば、上記(1)の発明において、「少なくとも一方の基板の遮光領域に相当する領域中に形成された段差部分を含むようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させ、乾燥させて、スペーサ粒子を上記遮光領域に相当する領域中に留める」際には、スペーサ粒子を配置しようとする間隔の整数倍の間隔で吐出し、いったん乾燥させた後、その間隔分だけ位置をずらして再度吐出する方法をとってよいものと認められる。

(6)以上によれば、引用刊行物には、次の発明が記載されているものと認められる。
「一定のパターンに従って配列された画素領域と画素領域を画する遮光領域とからなる液晶表示装置において、ノズルがヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で複数個設けられているインクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出して乾燥させる際に比較的低い温度で揮発する親水性有機溶媒が含有され、スペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出し、上記遮光領域に相当する領域にスペーサ粒子を配置した基板とスペーサ粒子を配置していない基板とを、上記遮光領域に相当する領域に配置されたスペーサ粒子と液晶とを介して対向させた液晶表示装置の製造方法であって、上記遮光領域に相当する領域は、カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックスであり、スペーサ粒子を配置しようとする間隔の整数倍の間隔でスペーサ粒子分散液を吐出し、いったん乾燥させた後、その間隔分だけ位置をずらして再度吐出して、少なくとも一方の基板の遮光領域に相当する領域中に形成された段差部分を含むようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させ、乾燥させて、スペーサ粒子を上記遮光領域に相当する領域中に留める液晶表示装置の製造方法。」(以下「引用発明」という。)

5 対比
(1)引用発明の「スペーサ粒子」及び「スペーサ粒子分散液を基板上に吐出して乾燥させる際に比較的低い温度で揮発する親水性有機溶媒」は、それぞれ、本願発明の「球状のボールスペーサ」及び「揮発性溶媒」に相当する。

(2)引用発明は、「一定のパターンに従って配列された画素領域と画素領域を画する遮光領域とからなる液晶表示装置の製造方法」であるところ、液晶表示装置の画素領域が「基板上に単位画素がマトリックス状に配列された」ものであることは、技術常識である(ちなみに、引用発明における「遮光領域に相当する領域」は、「カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックス」であり、引用刊行物においても、「格子状の遮光領域」について言及されるところである。前記3(5)【0108】を参照。)。
そして、引用発明は、「ノズルがヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で複数個設けられているインクジェット装置」を用いて「少なくとも一方の基板の遮光領域に相当する領域中に形成された段差部分を含むようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させ、乾燥させて、スペーサ粒子を上記遮光領域に相当する領域中に留める」ものであるから、本願発明の「単位画素がマトリックス状に配列された基板上にインクジェット噴射ノズルを整列する段階」を備えるといえる。
加えて、本願明細書の「スペーサ420は、単位画素の開口率を減少させないように、単位画素領域を避けてブラックマトリックスが形成された領域に滴下される。」(【0047】)との記載に照らせば、本願発明の「前記基板上に配列されたサブ画素に・・・、前記インクジェット噴射ノズルから揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第1スペーサを滴下する」との構成は、「ブラックマトリックスが形成された領域に滴下」するものであってよいものと認められるところ、引用発明においてスペーサ粒子を配置する「上記遮光領域に相当する領域」は、「カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックスであ」るから、引用発明は、「前記基板上に配列されたサブ画素」に「前記インクジェット噴射ノズルから揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態のスペーサを滴下」し、「前記スペーサ滴下段階の後に前記スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなるスペーサを形成する」ものといえる。
そして、引用発明は、「スペーサ粒子を配置しようとする間隔の整数倍の間隔でスペーサ粒子分散液を吐出し、いったん乾燥させた後、その間隔分だけ位置をずらして再度吐出」するものであるから、「前記基板上に配列されたサブ画素に、前記インクジェット噴射ノズルから揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第1スペーサを滴下する第1スペーサ滴下段階と、前記第1スペーサ滴下段階の後に前記第1スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなる第1スペーサを形成する段階と、前記インクジェット噴射ノズルを再整列して、前記ボールスペーサからなる第1スペーサが形成されたサブ画素の間に位置するサブ画素に揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第2スペーサを滴下する第2スペーサ滴下段階と、前記第2スペーサ滴下段階の後に前記第2スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなる第2スペーサを形成する段階と」を含むものといえ、この点において、本願発明と一致する。

(3)引用発明の「インクジェット装置」は、「ノズルがヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で複数個設けられている」ものであるから、該ノズルは、「バー状に配列された複数の噴射口を備える」ものといえ、この点において、本願発明の「インクジェット噴射ノズル」と一致する。

(4)引用発明は「スペーサ粒子分散液の液滴を着弾させ、乾燥させて、スペーサ粒子を上記遮光領域に相当する領域中に留める液晶表示装置の製造方法」であるから、「液晶表示装置のスペーサ形成方法」と表現することができ、この点において、本願発明と一致する。

(5)以上によれば、本願発明と引用発明とは、
「単位画素がマトリックス状に配列された基板上にインクジェット噴射ノズルを整列する段階と、
前記基板上に配列されたサブ画素に前記インクジェット噴射ノズルから揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第1スペーサを滴下する第1スペーサ滴下段階と、
前記第1スペーサ滴下段階の後に前記第1スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなる第1スペーサを形成する段階と、
前記インクジェット噴射ノズルを再整列して、前記ボールスペーサからなる第1スペーサが形成されたサブ画素の間に位置するサブ画素に揮発性溶媒にボールスペーサが混在された状態の第2スペーサを滴下する第2スペーサ滴下段階と、
前記第2スペーサ滴下段階の後に前記第2スペーサを硬化処理して前記揮発性溶媒を揮発させることにより、ボールスペーサからなる第2スペーサを形成する段階と、
を含み、
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサが、球状のボールスペーサであり、
前記インクジェット噴射ノズルは、バー状に配列された複数の噴射口を備えることを特徴とする液晶表示装置のスペーサ形成方法。」
である点で一致し、
「本願発明では、インクジェット噴射ノズルが、少なくとも2つのサブ画素毎に1つの噴射口が配列されるようにしたものであり、第1スペーサ滴下段階において、少なくとも2つのサブ画素間隔を置いて、第1スペーサを滴下するのに対して、引用発明では、スペーサ粒子を配置しようとする間隔の整数倍の間隔でスペーサ粒子分散液を吐出する点。」(以下「相違点」という。)
で相違するものと認められる。

6 判断
(1)引用発明は、「ノズルがヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で複数個設けられて」おり、「スペーサ粒子を配置しようとする間隔の整数倍の間隔でスペーサ粒子分散液を吐出し、いったん乾燥させた後、その間隔分だけ位置をずらして再度吐出」するものであるところ、引用発明が、カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックス中にスペーサ粒子を留めるものであることに照らせば、引用発明におけるノズルの配置間隔を適宜の数のサブ画素間隔とすることは、当業者が設計上適宜なし得ることというべきであり、「インクジェット噴射ノズルが、少なくとも2つのサブ画素毎に1つの噴射口が配列されるようにしたものであり、第1スペーサ滴下段階において、少なくとも2つのサブ画素間隔を置いて、第1スペーサを滴下する」とする、相違点に係る本願発明の構成とすることに格別の困難はない。

(2)請求人は、平成23年11月1日提出の意見書において、
ア 引用刊行物に係る発明は、スペーサの凝集や、スペーサの凝集を所定の位置で行うための段差を形成するため製造コストが増加する、
イ 引用刊行物には、本願発明の「前記インクジェット噴射ノズルは、少なくとも2つのサブ画素毎に1つの噴射口が配列されるように、バー状に配列された複数の噴射口を備える」という特徴が教示されない
旨主張する。
しかし、本願発明は、スペーサの凝集や、段差形成の有無を特定するものではないから、上記アの主張は、本願発明と引用発明との対比、判断を左右するものではない。なお、引用刊行物の「基板上に設けられた配線等によって生じた非意図的な凹凸部であっても良い・・・上記段差部分の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、TFT液晶パネルでのTFTアレイ基板におけるゲート電極やソース電極による段差部分{図3の(a)?(c)、段差部分の高低差B:0.2μm程度}、同じくTFTアレイ基板におけるアレイによる段差部分{図3の(d)、段差部分の高低差B:1.0μm程度}、カラーフィルタ基板におけるブラックマトリックス上での画色カラーフィルター間の凹部段差{図3の(e)?(h)、段差部分の高低差B:1.0μm程度}等が挙げられる。」(前記3(4)【0097】【0098】を参照。)との記載に見られるとおり、引用発明は、基板に存在する段差を利用してもよいものと認められるから、段差形成によるコスト増加をいう主張自体失当である。
また、上記イの主張も、前記5(3)、前記(1)の判断を左右するものではない。

(3)以上の検討によれば、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。

7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-08 
結審通知日 2011-12-12 
審決日 2011-12-26 
出願番号 特願2005-379059(P2005-379059)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 北川 創
稲積 義登
発明の名称 液晶表示装置のスペーサ形成方法  
代理人 朝日 伸光  
代理人 岡部 讓  
代理人 加藤 伸晃  
代理人 岡部 正夫  

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