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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1256697 |
審判番号 | 不服2011-8476 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-04-21 |
確定日 | 2012-05-10 |
事件の表示 | 特願2009-223818「マルチメディア装置、画面表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月 2日出願公開、特開2011-107736〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年9月29日の出願であって、平成22年1月28日付けで手続補正がなされ、同年6月14日付け拒絶理由通知に対して、同年8月11日付けで手続補正がなされたが、平成23年1月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月21日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。 第2 補正の却下の決定 [結論] 平成23年4月21日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (a)補正の内容 本件補正によると、その特許請求の範囲の請求項4は、 「左側に表示される、音声系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む音声系メニュー、又は右側に表示される、映像系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む映像系メニュー、に含まれる複数の項目のうち前記機能の主な操作内容を示す第1の項目が選択された場合に、当該第1の項目のより詳細な操作内容を示す第2の項目を当該第1の項目と併せて表示させ、 当該第1の項目が選択されている状態において、操作部による他のメニューへの移動操作を受け付けた場合に、当該他のメニューに含まれる複数の第1の項目のうち前記選択された第1の項目に対応する第1の項目を選択した状態で表示させ、 前記第1の項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されているメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示を、前記第1の項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されていないメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させることを特徴とする画面表示方法。」 と補正されている。 上記補正は、本件補正前の請求項6に記載した発明を特定するために必要な事項である「装置が備える機能の操作内容を示す複数の項目を含む複数のメニューのうち一のメニューに含まれる複数の項目」を、「左側に表示される、音声系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む音声系メニュー、又は右側に表示される、映像系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む映像系メニュー、に含まれる複数の項目」と限定し、さらに、「画面表示方法」を、「前記第1の項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されているメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示を、前記第1の項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されていないメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させる」と限定するものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 そこで、本件補正後の前記請求項4に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下検討する。 (b)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-31560号公報(平成18年2月2日公開。以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (イ)「【0012】 情報処理装置1のパワーボタン操作に伴う電源投入に伴い、表示装置106には、後述するランチャープログラムの制御の下に、機能を割り付けたアイコンをカテゴリ別に配列したランチャー機能の操作画面22が表示される。このランチャー機能の操作画面を以下ランチャー画面と称す。 【0013】 このランチャー画面22には、現在起動可能な機能(現在、既にインストールされていて起動可能なアプリケーション)を割り付けたアイコンがカテゴリ別に配列される。ここではカテゴリ分け(グループ分け)の例として、A/V機能を対象に「テレビ」「ビデオ」「音楽」「写真」「デモ」のカテゴリに分け、その各カテゴリ毎に機能選択のためのアイコンIs が配置されている。このアイコンIs は、例えばキーボードユニット112に設けられた上下左右の方向を指示する矢印キーKa,Kb,Kc,Kd、若しくはポインティングデバイス14の操作に伴うマウスカーソル、若しくは後述するリモートコントローラに設けられた上下左右の方向を指示するボタン(図3の符号221?224参照)等により操作(指示)されると、その操作された(操作位置上にある)アイコンが属するカテゴリのすべてのアイコンがアクティブ対象アイコンとなり、当該アイコンの大きさが基本サイズ(第1サイズ)より一回り大きいサイズ(第2サイズ)に変更される。さらに上記操作位置にあるアイコンがアクティブアイコンとなり、第2サイズよりさらに一回り大きいサイズ(第3サイズ)に変更される。このようにランチャー画面22上のアイコンは操作手段の操作に応じて、基本サイズ(第1サイズ)のアイコンIs から、それより一回り大きい第2サイズのアイコンIm 、さらに第2サイズのアイコンIm より一回り大きい第3サイズのアイコンIL へと変化する。これらサイズの異なる各アイコンIs ,Im ,IL はそれぞれ輝度差をもって表示される。ここでは基本サイズ(第1サイズ)のアイコンIs が最も暗く、第3サイズのアイコンIL が最も明るい輝度で表示される。第2サイズのアイコンIm は基本サイズ(第1サイズ)のアイコンIs と第3サイズのアイコンIL の中間の輝度で表示される。上記第3サイズのアイコンIL は当該アイコンがアクティブなアイコンであることを示し、当該アイコンが例えばキーボードユニット112上の「Enter」キー等により選択操作されると、当該アイコンに割り付けられた機能が実行開始される。また第2サイズのアイコンIm は当該アイコンがアクティブ対象アイコンであることを示し、例えばキーボードユニット112上の上下の方向を指示する矢印キーKa,Kbの操作でアクティブアイコン(第3サイズのアイコンIL )に変化する。また、キーボードユニット112上の左右の方向を指示する矢印キーKc,Kdの操作で操作対象となるカテゴリを切り替えることができ、操作対象となったカテゴリの各アイコンがアクティブアイコン(第3サイズのアイコンIL )若しくはアクティブ対象アイコン(第2サイズのアイコンIm )となる。さらにこの実施形態では操作対象となったカテゴリのアイコン配列領域が、上から光が射し込むようにスポット照明され、非アクティブ状態にあるカテゴリ領域が暗くなるように輝度差をもって表示される。」(段落【0012】-【0013】) (ロ)「【0036】 例えば図7に示すランチャー画面22では、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」アイコンが第3サイズのアクティブアイコンであり、「音楽」カテゴリの「音楽を聴く(a)」アイコン、「音楽を聴く(b)」アイコン、「ミュージックフォルダを開く」アイコンがそれぞれ第2サイズのアクティブ対象アイコンである。この図7に示すランチャー画面22の表示状態下に於いて、例えばキーボードユニット112に設けられた「↑」キーKaが操作されるとアクティブアイコンは移動しないが、「↓」キーKbが操作されると第3サイズのアクティブアイコンが「音楽CDを聴く」アイコンから順に下方向に配列されたアイコンに移動し、例えば図8に示すように第3サイズのアクティブアイコンを「ミュージックフォルダを開く」アイコンへ移動させることができる。尚、図7に示すランチャー画面22の表示状態下に於いて、「↑」キーKaが操作されたとき、アクティブアイコンが「音楽CDを聴く」アイコンのままでなく、図8に示すように同じカテゴリの一番下の「ミュージックフォルダを開く」アイコンに移動(スクロール)するようにしてもよい。 【0037】 また、例えば図7に示すランチャー画面22の表示状態下に於いて、例えばキーボードユニット112に設けられた「→」キーKdが操作されると(図5ステップS28)、アクティブなカテゴリが、図9に示すように、画面の右方向に位置する「写真」カテゴリに移行する(図5ステップS29)。この際はフォーカスの対象も「音楽」カテゴリから「写真」カテゴリに切り替わり、アクティブな「写真」カテゴリに対して、当該カテゴリに属するすべてのアイコンが基本サイズより一回り大きい第2サイズに変更され(図5ステップS21)、予め定められたデフォルトアイコンが第2サイズよりさらに一回り大きい第3サイズに変更されて(図5ステップS22)、上記したデフォルト画面のときと同様に各アイコンに対し、サイズに応じて輝度差がつけられる。 【0038】 また図7に示すランチャー画面22の表示状態下に於いて、例えばキーボードユニット112に設けられた「←」キーKcが操作されると(図5ステップS28)、アクティブなカテゴリが、図10に示すように、画面の左方向に位置する「ビデオ」カテゴリに移行する(図5ステップS29)。この際もフォーカスの対象が「音楽」カテゴリから「写真」カテゴリに切り替わり、そのアクティブカテゴリの移行に伴うアクティブアイコン並びにアクティブ対象アイコンの変更処理(図5ステップS21,S22)が実行される。この「ビデオ」カテゴリがアクティブになった図10に示すランチャー画面22の状態で、例えばキーボードユニット112上の「Enter」キーが操作されると(図5ステップS24)、「DVDを観る」アイコンに割り付けられたDVD再生機能が即実行される(図5ステップS25)。また図10に示すランチャー画面22の表示状態下に於いて、例えばキーボードユニット112に設けられた「↓」キーKaが操作されると(図5ステップS26)、図11に示すように、第3サイズのアクティブアイコンが「DVDを観る」アイコンから「ビデオを観る」アイコンに移動する(図5ステップS27)。また図10に示すランチャー画面22の表示状態下に於いて、例えばキーボードユニット112に設けられた「←」キーKcが操作されると(図5ステップS28)、アクティブなカテゴリが、図12に示すように、画面の左方向に位置する「テレビ」カテゴリに移行する(図5ステップS29)。尚、ランチャー画面22が表示されている状態で、ランチャー機能の処理に関係しないキー入力操作があった場合(図5ステップS30)は、そのキー入力コマンドに従う処理に移行する。」(段落【0036】-【0038】) (ハ)【図1】及び【図7】乃至【図12】には、A/V機能のカテゴリ分けとして、左側から順に「テレビ」、「ビデオ」、「音楽」、「写真」及び「デモ」の文字が並んでおり、カテゴリを示すそれぞれの文字の下に、当該カテゴリを判別させるための表示があり、さらにその下にカテゴリ毎に機能選択のための複数のアイコンが配置されることが開示されている。また、カテゴリを判別するための表示は、当該カテゴリがアクティブになったときに、アクティブとなっていない他のカテゴリを判別するための表示よりも大きく表示されることも開示されている。 (ニ)【図7】には、「音楽」カテゴリがアクティブで、機能選択のための複数のアイコンのうち「音楽CDを聴く」アイコンがアクティブアイコンとなった状態が示されている。 (ホ)【図9】には、アクティブなカテゴリが、画面の右方向に位置する「写真」カテゴリに移行したときに、機能選択のための複数のアイコンのうち、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」に対応する位置の「写真を観る」アイコンがアクティブアイコンとなることが開示されている。 (ヘ)【図10】には、アクティブなカテゴリが、画面の左方向に位置する「ビデオ」カテゴリに移行したときに、機能選択のための複数のアイコンのうち、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」に対応する位置の「DVDを観る」アイコンがアクティブアイコンとなることが開示されている。 したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「A/V機能のカテゴリ分けとして、左側から順に「テレビ」、「ビデオ」、「音楽」、「写真」及び「デモ」の文字が並んでおり、カテゴリを示すそれぞれの文字の下に、当該カテゴリを判別させるための表示があり、さらにその下にカテゴリ毎に機能選択のための複数のアイコンが配置されており、カテゴリを判別させるため表示は、当該カテゴリがアクティブになったときに、アクティブとなっていない他のカテゴリを判別させる表示よりも大きく表示され、 機能選択のための複数のアイコンは、アクティブカテゴリ以外のカテゴリにあるものは、第1サイズで表示され、アクティブカテゴリのアクティブアイコン以外のアイコン(アクティブ対象アイコン)は、第1サイズより一回り大きい第2サイズで表示され、アクティブアイコンは第2サイズよりも一回り大きい第3サイズで表示され、 「音楽」カテゴリがアクティブで、かつ機能選択のための複数のアイコンのうち「音楽CDを聴く」アイコンがアクティブアイコンとなった状態で、「→」キーが操作されると、アクティブなカテゴリが、画面の右方向に位置する「写真」カテゴリに移行し、機能選択のための複数のアイコンのうち、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」に対応する位置の「写真を観る」アイコンがアクティブアイコンとなり、 「音楽」カテゴリがアクティブで、かつ機能選択のための複数のアイコンのうち「音楽CDを聴く」アイコンがアクティブアイコンとなった状態で、「←」キーが操作されると、アクティブなカテゴリが、画面の左方向に位置する「ビデオ」カテゴリに移行し、機能選択のための複数のアイコンのうち、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」に対応する位置の「DVDを観る」アイコンがアクティブアイコンとなる ランチャー画面の表示方法。」 (c)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「ランチャー画面の表示方法」は、本願補正発明の「画面表示方法」に相当する。 (2)引用発明の「A/V機能のカテゴリ」は、本願補正発明の「音声系メニュー」及び「映像系メニュー」と「A/V系メニュー」である点で共通しているといえる。また、引用発明の「機能選択のための複数のアイコン」は、「CDを聴く」や「DVDを観る」など機能の操作内容を示すものである。よって、引用発明の「機能選択のための複数のアイコン」は、本願補正発明の「機能の操作内容を示す複数の項目」に相当する。 よって、引用発明は、本願補正発明の「左側に表示される、音声系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む音声系メニュー、又は右側に表示される、映像系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む映像系メニュー、に含まれる複数の項目のうち前記機能の主な操作内容を示す第1の項目が選択された場合に、当該第1の項目のより詳細な操作内容を示す第2の項目を当該第1の項目と併せて表示させ」と、機能の操作内容を示す複数の項目を含む複数のA/V系メニューに含まれる複数の項目のうち、いずれかの項目を選択することができる点で共通しているといえる。 (3)引用発明では、「音楽」カテゴリがアクティブで、かつ機能選択のための複数のアイコンのうち「音楽CDを聴く」アイコンがアクティブアイコンとなった状態で、「→」キーが操作されると、アクティブなカテゴリが、画面の右方向に位置する「写真」カテゴリに移行し、機能選択のための複数のアイコンのうち、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」に対応する位置の「写真を観る」アイコンがアクティブアイコンとなり、また、同じ状態で、「←」キーが操作されると、アクティブなカテゴリが、画面の左方向に位置する「ビデオ」カテゴリに移行し、機能選択のための複数のアイコンのうち、「音楽」カテゴリの「音楽CDを聴く」に対応する位置の「DVDを観る」アイコンがアクティブアイコンとなる。 よって、引用発明は、本願補正発明の「当該第1の項目が選択されている状態において、操作部による他のメニューへの移動操作を受け付けた場合に、当該他のメニューに含まれる複数の第1の項目のうち前記選択された第1の項目に対応する第1の項目を選択した状態で表示させ」と、当該項目が選択されている状態において、操作部による他のメニューへの移動操作を受け付けた場合に、当該他のメニューに含まれる複数の項目のうち前記選択された項目に対応する項目を選択した状態で表示させている点で共通しているといえる。 (4)引用発明では、機能選択のための複数のアイコンは、アクティブカテゴリ以外のものは、第1サイズで表示され、アクティブカテゴリのアクティブアイコン以外のアイコン(アクティブ対象アイコン)は、第1サイズより一回り大きい第2サイズで表示され、アクティブアイコンは第2サイズよりも一回り大きい第3サイズで表示されている。また、カテゴリを判別させるための表示は、当該カテゴリがアクティブになったときに、アクティブとなっていない他のカテゴリを判別させるための表示よりも大きく表示されている。 よって、引用発明は、本願補正発明の「前記第1の項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されているメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示を、前記第1の項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されていないメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させる」と、機能の操作内容を示す項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記項目、及び当該選択されているメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示を、前記項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記項目、及び当該選択されていないメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させる点で共通しているといえる。 したがって、本願補正発明と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「機能の操作内容を示す複数の項目を含む複数のA/V系メニューに含まれる複数の項目のうち、いずれかの項目を選択することができ、 当該項目が選択されている状態において、操作部による他のメニューへの移動操作を受け付けた場合に、当該他のメニューに含まれる複数の項目のうち前記選択された項目に対応する項目を選択した状態で表示させ、 前記項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記項目、及び当該選択されているメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示を、前記項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記項目、及び当該選択されていないメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させることを特徴とする画面表示方法。」 <相違点1> 本願補正発明は、複数のA/V系メニューが、左側に表示される音声系メニューと右側に表示される映像系メニューであり、また、選択されているメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示が、音声系メニューであるか映像系メニューであるかを判別させる表示であるのに対して、引用発明では、複数のA/V系メニューが、左側から順に「テレビ」、「ビデオ」、「音楽」、「写真」及び「デモ」であり、選択されているメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示が、「テレビ」、「ビデオ」、「音楽」、「写真」及び「デモ」のカテゴリを判別させるための表示である点。 <相違点2> 本願補正発明は、機能の操作内容を示す複数の項目が、機能の主な操作内容を示す第1の項目と、当該第1の項目のより詳細な操作内容を示す第2の項目とからなり、第1の項目が選択された場合に、第2の項目を当該第1の項目と併せて表示させているのに対して、引用発明は、そのように表示させていない点。 <相違点3> 一致点における「当該項目が選択されている状態において、操作部による他のメニューへの移動操作を受け付けた場合に、当該他のメニューに含まれる複数の項目のうち前記選択された項目に対応する項目を選択した状態で表示させ」、「前記項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記項目、及び当該選択されているメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示を、前記項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記項目、及び当該選択されていないメニューがいずれのメニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させる」の「項目」が、本願補正発明では、機能の主な操作内容を示す「第1の項目」であるのに対して、引用発明では、「第1の項目」ではない点。 (d)判断 以下、相違点について検討する。 ・<相違点1>について メニューをどのようにカテゴリー分けし、どのように配置するかは、必要に応じて当業者が適宜設計し得る設計的事項に過ぎず、引用発明において、A/V系メニューを、音声系メニューと映像系メニューにカテゴリ分けし、それぞれを左側と右側に配置することで、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 ・<相違点2>及び<相違点3>について メニュー画面の表示方法において、機能の操作内容を示す複数の項目を、機能の主な操作内容を示す第1の項目と、当該第1の項目のより詳細な操作内容を示す第2の項目とに分け、第1の項目が選択された場合に、第2の項目を当該第1の項目と併せて表示させることは、たとえば、特開2006-33776号公報(段落【0102】-【0104】,【図4】参照)、特開2002-149144号公報(段落【0038】,【図11】参照)、特開平9-16428号公報(段落【0055】,【図6】参照)にみられるように周知な技術である。 したがって、引用発明において、機能の操作内容を示す複数の項目に、前述の周知技術を適用し、相違点2及び相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 また、本願補正発明の効果も、引用発明及び周知技術から、当業者が予測可能な範囲内のものである。 (e)まとめ そうすると、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年8月11日付け手続補正における特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「装置が備える機能の操作内容を示す複数の項目を含む複数のメニューのうち一のメニューに含まれる複数の項目のうち前記機能の主な操作内容を示す第1の項目が選択された場合に、当該第1の項目のより詳細な操作内容を示す第2の項目を当該第1の項目と併せて表示させ、 当該第1の項目が選択されている状態において、操作部による他のメニューへの移動操作を受け付けた場合に、当該他のメニューに含まれる複数の第1の項目のうち前記選択された第1の項目に対応する第1の項目を選択した状態で表示させることを特徴とする画面表示方法。」 第4 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第2[理由](b)」に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、本願補正発明の「左側に表示される、音声系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む音声系メニュー、又は右側に表示される、映像系の機能の操作内容を示す複数の項目を含む映像系メニュー、に含まれる複数の項目」とした限定を、元の「装置が備える機能の操作内容を示す複数の項目を含む複数のメニューのうち一のメニューに含まれる複数の項目」に戻し、さらに、「前記第1の項目が選択されているメニュー、当該選択されているメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されているメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示を、前記第1の項目が選択されていないメニュー、当該選択されていないメニューに含まれる前記第1の項目、及び当該選択されていないメニューが前記音声系メニューであるか前記映像系メニューであるかを判別させる表示よりも大きく表示させる」という限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の[理由]に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-12 |
結審通知日 | 2012-03-13 |
審決日 | 2012-03-26 |
出願番号 | 特願2009-223818(P2009-223818) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 慎一 |
特許庁審判長 |
大野 克人 |
特許庁審判官 |
安島 智也 近藤 聡 |
発明の名称 | マルチメディア装置、画面表示方法 |
代理人 | 荒船 良男 |
代理人 | 荒船 博司 |