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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1256705
審判番号 不服2011-13420  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-23 
確定日 2012-05-10 
事件の表示 特願2007-168634「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年1月15日出願公開,特開2009-5805〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成19年6月27日に特許出願されたものであって,平成23年3月22日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月23日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同時に提出された手続補正書により特許請求の範囲の補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。
その後,平成23年10月12日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年12月14日に回答書が提出されたものである。

第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである。

「発射手段からの遊技球が遊技盤のガイドレールへと入る始端側を支点として前記遊技盤を前枠の遊技盤装着枠に着脱自在に装着し,前記遊技盤側と前記前枠側とをコネクタを介して電気的に接続するようにした弾球遊技機において,枠側コネクタを有する枠側ジョイント部を前記前枠の前記支点と反対側に着脱自在に設け,前記遊技盤を前記遊技盤装着枠に着脱するときに,前記枠側コネクタに前後方向に着脱する盤側コネクタを有する盤側ジョイント部を前記遊技盤に設け,前記枠側コネクタ及び前記盤側コネクタはその長手方向に多数の接続部を有し且つ該長手方向を左右方向に向けて配置したことを特徴とする弾球遊技機。」

本件補正は,補正前の請求項1に発明を特定するために必要な事項(以下,「発明特定事項」という。)として記載された
(i)「前枠」に設ける「枠側ジョイント部」について,「前枠の支点とは反対側」に設けるものであること,
(ii)「枠側コネクタ及び前記盤側コネクタ」について,「長手方向に多数の接続部を有」するものであること
を,それぞれ限定するものであるから,特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.補正の適否の判断
本件補正は,上記のとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願日前に頒布された刊行物である
特開2004-167225号公報(以下,「引用例」という。)
には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付与)。

(a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤と,前記遊技盤が取付けられる遊技機本体部の取付枠とを有し,前記遊技盤を前記遊技機本体部の前方から前記取付枠に取付ける遊技機であって,
前記遊技盤に電気接点が設けられており,当該電気接点は,前記遊技盤が前記取付枠に取付けられる際に,当該取付動作に基づいて前記取付枠側に設けた電気接点に接続される構成としたことを特徴とする遊技機。」

(b)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,パチンコ,アレンジボール等の遊技機における遊技盤の合理的な取付け技術に関する。」

(c)「【0037】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を図12および図13に基づいて説明する。図12は遊技機本体部103の取付枠111を前方から見た正面図であり,遊技盤131が止着されていない状態が示されている。図13は遊技盤131の裏面側を示す背面図である。<以下略>」

(d)「【0038】
第2の実施形態においては,かかる電気ノイズの影響を可及的に回避するべく構成したものである。すなわち,第2の実施形態は,コネクタ191a,191bおよびそれに連なる電気配線(図示省略)が,球タンク193,タンクレール195,および払い出し装置197を通過する球に帯電した静電気の影響を受けないようにするために,当該コネクタ191a,191bの接続部位を,球タンク193,タンクレール195,および払い出し装置197から可及的に離間した位置に設定する構成としたものである。より具体的には,コネクタ191a,191bおよびそれに連なる電気配線(図示省略)が,帯電した球の静電気の影響を避けることが可能な位置,すなわち遊技機の前方から見て,右側縁部下方領域に配置された構成としている。上記の帯電した球の静電気の影響を避けることが可能な位置,すなわち,右側縁部下方領域が,本発明における「電気ノイズ干渉回避位置」に対応する。また上記の球タンク193,タンクレール195,および払い出し装置197が,本発明における「球流下経路」に対応する。なお図13に示すように,遊技盤131の背面側下部領域には,電気機器が配置される構成とされ,当該電気機器の一例として,メイン制御基板181,サブ制御基板183が簡略に図示されている。また遊技盤131の概ね中央部には,表示装置取付部135が形成されている。」

(e)「【0040】
図13に示すように,遊技盤131の背面視における左側縁部下方領域には,遊技盤側コネクタ191aが配置され,図12に示すように,取付枠111の遊技盤装着凹部111aの右側縁部下方領域には,取付枠側コネクタ191bが配置されている。遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bとは,相互に対向するように位置決めされており,遊技盤131が遊技盤支持部材151を介して遊技盤着脱位置Aから遊技盤止着位置Bへと回動される際,当該回動動作により係合され,それに伴いコネクタ191a,191bに備えられた電気接点が相互に接続される構成とされる。」

(f)「【0041】
上記のように,第2の実施形態によれば,コネクタ191a,191bの接続部位を,帯電した球が貯留され通過する,球タンク193,タンクレール195,払い出し装置197等から離間した右側縁部下方領域に設定する構成としたことにより,コネクタ191a,191bおよびそれに連なる電気配線に及ぼす静電気による電気ノイズの影響を合理的に回避あるいは低減することが可能となった。またコネクタ191a,191bは,遊技盤131を取付枠111に取付ける際,回動支点側とは反対側の開閉幅の大きい右側縁側に設けてあるため,コネクタ191a,191b同士の係合,離脱を確実にかつ円滑に行う上で有効となる。」

(g)「【0042】
ところで,遊技盤131および取付枠111における寸法公差ないし組み付け誤差等の影響により,遊技盤131が遊技盤止着位置Bへと回動する際,遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bが相対的に位置ずれを起こし,うまく係合できない場合が生じ得る。このような場合に対処するべく,遊技盤側コネクタ191aの遊技盤131への取付部,あるいは取付枠側コネクタ191bの取付枠111への取付部に関しては,それらのいずれか一方または双方につき,取付部に対する上下方向,左右方向あるいは前後方向の位置関係が適宜シフトする構成とし,係合に際しコネクタの位置を適宜変化させ,コネクタ同士の位置関係の微調整を可能とする構成としている。このようなコネクタの取付部に対する微調整を可能とする構成,すなわち位置ずれ調整構造が,第2の実施形態では,遊技盤側コネクタ191aについて実現されている。」

(h)「【0043】
遊技盤側コネクタ191aの遊技盤131に対する取付構造を図14?図16に基づいて説明する。なお,本実施の形態では,2個の遊技盤側コネクタ191aが左右に横並びに配置された場合が示されている。遊技盤131の背面側に合成樹脂製のコネクタホルダ201が固着されている。コネクタホルダ201は,保持すべきコネクタ191aのコネクタ本体部191a2の外周形状よりも大きい内周形状を有する前後方向に貫通された筒状のコネクタ保持枠部201aを一体に備えており,当該コネクタ保持枠部201aに対してコネクタ191aのコネクタ本体部191a2が前方から差し込まれる。
【0044】
<中略>すなわち,コネクタ191aはコネクタホルダ201に対して係脱方向(前後方向)への移動を規制された状態で,係脱方向と交差する面方向としての左右および上下方向には,コネクタ保持枠部201aの内周面とコネクタ本体部191a2の外周面との間の隙間Cの範囲内で移動自在とされている。これにより,遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bとの係合時において,両コネクタ191a,191bの相対的な位置ずれが調整される構成となっている。なおコネクタホルダ201は,上下のフランジ部201bがビス203によって遊技盤131の背面に固着されている。」

(i)「【0049】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態を図17?図20に基づいて説明する。図17は遊技機本体部103の取付枠111を前方から見た正面図であり,図18は同じく取付枠111を前方から見た斜視図であり,それぞれ遊技盤131が止着されていない状態が示されている。図19は遊技盤131の裏面側を示す背面図である。図20の(A),(B)は取付枠111に対する遊技盤131の取付態様およびコネクタの係合態様を示す断面図である。この第3の実施形態においては,上述した第2の実施形態と同様に,遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bとの接続部位を,遊技機本体部103の背面側に配置される球タンク193,タンクレール195,および払い出し装置197から可及的に離間した位置に設定することにより,両コネクタ191a,191bおよびそれに連なる電気配線に電気ノイズの影響が及ぶことを可及的に回避する構成としている。上記の球タンク193,タンクレール195,および払い出し装置197が,本発明における「球流下経路」に対応する。また当該遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bを用いて,遊技盤131側の電気機器と遊技機本体部103側の電気機器との接続を一箇所で行う構成としている。」

(j)「【0050】
さらに第3の実施形態では,取付枠111に対する遊技盤131の取付構造につき,前述した第1および第2の実施形態において説明した回動式の遊技盤支持部材151を廃止し,遊取付枠111に設けた係合部材211を介して遊技盤131を前方から嵌め込んで取付ける構成としている。以下,遊技盤131の取付構造につき,図面を参照して詳細に説明する。
図17および図18に示すように,取付枠111の一側縁部としての左側縁部には,遊技盤131を当該取付枠111に取付けるに際し,当該遊技盤131の側縁部が係合可能な上下2個の係合部材211が一体に設けられている。係合部材211は取付枠111に形成される遊技盤装着凹部111aよりも前側に配置されており,図20の(A)に示すように,その後面が遊技盤装着凹部111aの凹部前面(凹部底面)111dと平行な平面状に形成されるとともに,係合部材211の後面と遊技盤装着凹部111aの凹部前面111dとの間隔Lが遊技盤131の板厚Tに対し等しく設定されている。
【0051】
また図20に示すように,取付枠111の内周部に形成される遊技盤装着凹部111aのうち,係合部材211が設定される側の左側縁部には,干渉回避用の切欠部111eが形成されている。このような切欠部111eを設定することにより,図20の(A)に二点鎖線で示すように,遊技盤131を取付枠111に対し左側縁部が奥側,右側が手前側となるようにやや傾斜した状態で遊技盤131の左側縁部を係合部材211と遊技盤装着凹部111aの凹部前面111dとの間に干渉を回避しつつ挿入することが可能とされる。この場合,遊技盤131の挿入動作を容易にするべく,取付枠111の遊技盤装着凹部111aの下縁部における左隅部には,遊技盤131を載せることができる重量支持部213が設定されている(図20および図18参照)。すなわち,重量支持部213によって遊技盤131の重量を支持した状態で,上記の挿入動作を行い得る構成とされている。このように遊技盤131を傾斜状態で挿入する位置が,遊技盤着脱位置Aである。そして遊技盤131を差し込んだ後,係合部材211側(左側縁部)を支点にして遊技盤止着位置B側へ概ね水平状に回動(旋回)することにより,取付枠111の遊技盤装着凹部111aに嵌め込むことができる(図20の(B)参照)。
【0052】
遊技盤装着凹部111aに嵌め込まれた状態の遊技盤131は,図20の(B)に示すように,左側縁部後面が遊技盤装着凹部111aの凹部前面111dに当接した状態で当該左側縁部前面が係合部材211の後面に係合する。これにより遊技盤131の左側縁部は,前後方向への直線状の動きが規制される。遊技盤装着凹部111aに嵌め込んだ遊技盤131は,その後,当該遊技盤131の,例えば右側縁部の上下2箇所に設けたロック手段(図示省略)を介して取付枠111に止着される。かくして,遊技盤131は取付枠111に対しがたつきのない状態で確実に固定することができる。
上記のようにして,遊技盤131を取付枠111に取付ける動作,すなわち遊技盤着脱位置Aから遊技盤止着位置Bへの回動動作により,遊技盤側コネクタ191aが取付枠側コネクタ191bに係合され,それに伴いコネクタ191a,191bに備えられた電気接点が相互に接続される構成とされる。」

(k)「【0053】
遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bは,図17および図18に示す球タンク193,タンクレール195,および払い出し装置197から可及的に離間した位置,すなわち遊技機の前方から見て,取付枠111および遊技盤131の右側縁部下方領域に配置されている(図17および図19参照)。なお図19に示すように,遊技盤131の背面側下部領域には,電気機器が配置される構成とされ,当該電気機器の一例として,メイン制御基板181,サブ制御基板183が図示されている。また遊技盤131の概ね中央部には,表示装置取付部135が形成されている。
また特に図示はしないが,遊技盤側コネクタ191aにつき,第2の実施形態で説明した位置ずれ調整構造(図14?図16参照)が採用されている。従って,遊技盤側コネクタ191aと取付枠側コネクタ191bとの係合時において,両コネクタ191a,191bの相対的な位置ずれが調整され,両コネクタ191a,191bは,円滑にしてかつ確実に係合あるいは離脱されることとなる。」

(l)「【0055】
<中略>また遊技盤131の取付けおよび取り外しは,取付枠111に設けた重量支持部213によって遊技盤131の重量を支持した状態で行うことができる構成である。このため,取付枠111に対する遊技盤131の取付け作業を簡便に行うことができる。」

(m)「【0057】
なお上述した実施形態では,遊技盤131の電気的接続に際し,電気接点を内部に収容するコネクタ同士の係合を介して行ったが,これをプラグ端子等の他の形態のものに適宜代替することが可能である。また第2の実施形態および第3の実施形態では,遊技盤側コネクタ191aにつき,コネクタ相互の位置ずれを吸収することが可能な位置調整構造を有するとして説明したが,遊技盤側コネクタ191aに変えて取付枠側コネクタ191bに位置ずれ調整構造を採用してもよい。」

(n)「【0060】
さらに,本発明の趣旨により,下記に述べる各種の態様を構成することが可能である。
(態様1)
「請求項1に記載の遊技機であって,
前記遊技盤側の電気接点は,前記遊技盤の前記取付枠への取付動作により,当該取付枠側の電気接点とワンタッチ状に係合するべく互いに雌雄形状とされた一対のコネクタとして構成されることを特徴とする遊技機。」
【0061】
態様1に記載の発明によれば,請求項1に記載の遊技機における遊技盤側の電気接点は,遊技盤の遊技盤支持部材への取付動作により,遊技盤支持部材側の電気接点とワンタッチ状に係合するべく,互いに雌雄形状とされた一対のコネクタとして構成されている。本発明における「ワンタッチ状に係合」の意義としては,雄雌形状のいずれかに形成された遊技盤のコネクタが,雄雌形状の他方に形成された相手方のコネクタに係合することで,コネクタに配設された電気接点が一度に接合される態様を広く含むものとする。かかる構成により,遊技盤支持部材に対する遊技盤取付作業において,作業者は電気配線の接続作業を特に意識することなく,単に遊技盤の取付動作を行うだけで,当該遊技盤に関する電気配線の接続を遂行することができ,遊技盤の取付に関する合理性を一層向上することができる。」

(o)【図12】及び【図17】には,これらの図において符号「191b」で示される「取付枠側コネクタ」を,【図13】には,当該図において符号「191a」で示される「遊技盤側コネクタ」を,各々その長手方向を上下方向に向けて配置したものが記載されている。また,コネクタが,その長手方向に多数の電気接点を有することは自明である。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例には,第3の実施形態として,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「取付枠111の内周部に形成される遊技盤装着凹部111aの係合部材211が設定される左側縁部を支点にして遊技盤131を前記取付枠111の前記遊技盤装着凹部111aに前方から取り外し可能に嵌め込み,前記遊技盤側と前記取付枠側とをコネクタ191a,191bに備えられた電気接点により相互に接続するパチンコ,アレンジボール等の遊技機において,
取付枠側コネクタ191bを前記取付枠111の右側縁部下方領域に配置し,
前記遊技盤131を前記遊技盤装着凹部111aに対して取付けおよび取り外すときに,前記取付枠側コネクタ191bに係合する遊技盤側コネクタ191aを有するコネクタホルダ201を前記遊技盤131に固着し,
前記取付枠側コネクタ191b及び前記遊技盤側コネクタ191aは,その長手方向に多数の電気接点を有し且つ該長手方向を上下方向に向けて配置した遊技機。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると,
(α)引用発明の「取付枠111」は,本願補正発明の「前枠」に相当し,以下同様に,
(β)「遊技盤装着凹部111a」は,「遊技盤装着枠」に,
(γ)「遊技盤131」は,「遊技盤」に,
(δ)「パチンコ,アレンジボール等の遊技機」は,「弾球遊技機」に,
(ε)「取付枠111の内周部に形成される遊技盤装着凹部111aの係合部材211が設定される左側縁部を支点」とすることは,「発射手段からの遊技球が遊技盤のガイドレールへと入る始端側を支点」とすることに,
(ζ)「遊技盤131を取付枠111の遊技盤装着凹部111aに…取り外し可能に嵌め込」むことは,「遊技盤を前枠の遊技盤装着枠に着脱自在に装着」することに,
(η)「コネクタ191a,191bに備えられた電気接点により相互に接続する」ことは,「コネクタを介して電気的に接続する」ことに,
(θ)「取付枠側コネクタ191b」は,「枠側コネクタ」に,
(ι)「取付枠111の右側縁部下方領域」は,「前枠の支点と反対側」に,
(κ)「取付けおよび取り外す」ことは,「着脱する」ことに,
それぞれ相当する。
また,引用発明は「遊技盤131を取付枠111の…前方から取り外し可能に嵌め込」むものであるから,
(λ)引用発明の「取付枠側コネクタ191bに係合する」ことは,本願補正発明の「枠側コネクタに前後方向に着脱する」ことに相当し,以下同様に,
(μ)「遊技盤側コネクタ191a」は,「盤側コネクタ」に,
(ν)「コネクタホルダ201」は,「盤側ジョイント部」に,
(ξ)「コネクタホルダ201を遊技盤131に固着」することは,「盤側ジョイント部を遊技盤に設け」ることに,
(ο)「電気接点」は,「接続部」に
それぞれ相当する。

してみると,両発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「発射手段からの遊技球が遊技盤のガイドレールへと入る始端側を支点として前記遊技盤を前枠の遊技盤装着枠に着脱自在に装着し,前記遊技盤側と前記前枠側とをコネクタを介して電気的に接続するようにした弾球遊技機において,
枠側コネクタを前記前枠の前記支点と反対側に設け,
前記遊技盤を前記遊技盤装着枠に着脱するときに,前記枠側コネクタに前後方向に着脱する盤側コネクタを有する盤側ジョイント部を前記遊技盤に設け,
前記枠側コネクタ及び前記盤側コネクタはその長手方向に多数の接続部を有する弾球遊技機。」

[相違点1]
「枠側コネクタ」を「前枠の支点と反対側」に設ける態様について,本願補正発明では,「枠側コネクタを有する枠側ジョイント部を…着脱自在に設け」るのに対して,引用発明では,「取付枠側コネクタ191b」を有する「枠側ジョイント部」に相当する構成を有するか不明であり,また,これを前枠に「着脱自在」とする構成を有するか不明である点。

[相違点2]
「枠側コネクタ及び盤側コネクタ」の「長手方向」の配置について,本願補正発明では,「左右方向」であるのに対して,引用発明では,「上下方向」である点。

(3)判断
上記各相違点について以下に検討する。

(イ)相違点1について
引用例に記載された第3の実施態様は,上記(1)欄に摘記した摘記事項(k)に記載されるように,「遊技盤側コネクタ191a」について,第2の実施形態の位置ずれ調整構造(図14?図16参照)が採用されたものであり,第2の実施形態における「遊技盤側コネクタ191a」は,摘記事項(h)に記載されるように,「コネクタホルダ201」により保持されているものであって,当該「コネクタホルダ201」は「ビス203によって遊技盤131の背面に固着されている」ものである。
一方,引用例の摘記事項(m)には,「遊技盤側コネクタ191aにつき,コネクタ相互の位置ずれを吸収することが可能な位置調整構造を有するとして説明したが,遊技盤側コネクタ191aに変えて取付枠側コネクタ191bに位置ずれ調整構造を採用してもよい。」と記載され,摘記事項(g)には,「遊技盤側コネクタ191aの遊技盤131への取付部,あるいは取付枠側コネクタ191bの取付枠111への取付部に関しては,それらのいずれか一方または双方につき,取付部に対する上下方向,左右方向あるいは前後方向の位置関係が適宜シフトする構成とし,係合に際しコネクタの位置を適宜変化させ,コネクタ同士の位置関係の微調整を可能とする構成としている。」と記載されていることから,引用発明の「取付枠側コネクタ191b」についても,「遊技盤側コネクタ191a」と同様,ビスによって固着されるコネクタホルダ(本願補正発明の「枠側ジョイント部」に相当。)により保持するようにすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。
また,コネクタホルダはビスにより固着されるものであるから,これが「着脱自在」であることは自明である。
よって,引用発明の「取付枠側コネクタ191b」に対し,「遊技盤側コネクタ191a」を「コネクタホルダ201」で保持する態様を適用して,「取付枠側コネクタ191b」をコネクタホルダで保持し,当該コネクタホルダをビスによって「取付枠111」に固着することによって,上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。

(ロ)相違点2について
引用例には,引用発明において枠側コネクタ及び盤側コネクタの長手方向を「上下方向」に配置したことの技術的意義について特に説明されておらず,また,配置が「上下方向」に限定されることを示唆する記載もない。
そして,電気機器に設けられるコネクタの長手方向をどの向きに配置するかは,
・当該機器における空き空間の位置
・他の構成要素との物理的又は電磁気的干渉の回避
・コネクタどうしの結合の容易性
等を考慮して当業者が適宜選択し得た事項であって,原査定審査官が述べるように,設計的事項である。
また,相互に嵌合可能なコネクタが固定された部材どうしを,支点廻りに回動させて接触させることによって前記コネクタどうしを嵌合させるようなコネクタ接続構造において,コネクタの長手方向を,支点軸とは平行ではなく,これと直交する回転半径方向に向けて配置する構成は,例えば,
A.特開平9-320687号公報
(特に,【図1】及び【図2】の記載を参照)
B.特開2005-209532号公報
(特に,【図1】及び【図2】の記載を参照)
C.特開平10-236241号公報
(特に,【図1】?【図3】の記載を参照)
に開示されるように周知な構成であり,さらに,遊技機の技術分野において,コネクタの長手方向を左右方向とすることも,例えば,
D.特開平9-99137号公報
(特に,【図3】の記載を参照)
E.特開平11-47392号公報
(特に,【図1】の記載を参照)
に開示されるように周知であって,引用発明において,枠側コネクタ及び盤側コネクタの長手方向を「左右方向」とすることを阻害する要因も見当たらない。
してみると,引用発明の枠側コネクタ及び盤側コネクタの長手方向の配置を,「上下方向」から「左右方向」へと設計変更することによって,上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。

(ハ)効果の予測性について
審判請求人は,審判請求書及び回答書において,本願補正発明が,コネクタの着脱抵抗が軽減できる作用効果を奏する点において,原査定の理由に引用された各引用例に記載された発明と相違する旨を主張する。
しかしながら,上記のようなコネクタ接続構造において,コネクタの長手方向を,支点軸と直交する回転半径方向に向けて配置することにより,コネクタの接点どうしが,支点軸と平行に配置した場合と比べて,徐々に接合していくようになることは自明であり,上記請求人主張の作用効果は,当業者が予測し得た範囲内のものと言わざるをえない。
また,本願明細書の段落【0008】に記載された本願補正発明効果のうち,「電気系統を一括して容易且つ確実に着脱でき」るという効果は,引用例の上記(1)欄に摘記した摘記事項(f)及び(n)の記載から当業者が予測し得た事項であり,また,損傷した「部分を容易に交換できる利点」については,上記(イ)欄で検討したコネクタホルダをビスによって「取付枠111」に固着することによる自明な効果である。
よって,本願補正発明の全体構成により奏される作用・効果は,引用発明から当業者が予測できた範囲内のものである。

(ニ)まとめ
よって,本願補正発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)独立特許要件についての判断
以上のとおり,本願補正発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3.むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明の認定
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成22年8月3日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「発射手段からの遊技球が遊技盤のガイドレールへと入る始端側を支点として前記遊技盤を前枠の遊技盤装着枠に着脱自在に装着し,前記遊技盤側と前記前枠側とをコネクタを介して電気的に接続するようにした弾球遊技機において,枠側コネクタを有する枠側ジョイント部を前記前枠に着脱自在に設け,前記遊技盤を前記遊技盤装着枠に着脱するときに,前記枠側コネクタに前後方向に着脱する盤側コネクタを有する盤側ジョイント部を前記遊技盤に設け,前記枠側コネクタ及び前記盤側コネクタは,その長手方向を左右方向に向けて配置したことを特徴とする弾球遊技機。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は,上記第2.[理由]2.(1)欄に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は,上記第2.欄で検討した本願補正発明から,上記第2.[理由]1.欄に記載した(i)及び(ii)の限定を削除したものに相当する。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が,上記第2.[理由]2.(3)欄に記載したとおり,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様な理由により,これらに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-09 
結審通知日 2012-03-13 
審決日 2012-03-26 
出願番号 特願2007-168634(P2007-168634)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗中槙 利明  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 仁科 雅弘
吉村 尚
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 谷藤 孝司  
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