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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
管理番号 1256717
審判番号 不服2007-27223  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-10-04 
確定日 2011-10-12 
事件の表示 特願2003-7272「長寿命で熱安定性に優れたギア油組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成16年8月5日出願公開、特開2004-217797〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成15年1月15日の特許出願であって、平成18年12月7日付けで拒絶理由が通知され、平成19年2月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月27日付けで拒絶査定がされ、同年10月4日に拒絶査定を不服とする審判請求がされるとともに、同年11月5日に手続補正書が提出され、平成20年3月6日に手続補正書(方式)が提出され、平成22年5月28日付けで審尋がされたところ、同年7月5日に回答書が提出され、その後、平成19年11月5日付けの手続補正(平成20年3月6日付けで手続補正(方式)されたもの)が、平成22年9月9日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、同日付けで拒絶理由が通知され、同年11月15日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、平成23年3月29日付けで拒絶理由(最後)が通知され、これに対し、同年5月30日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成23年5月30日付けの手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成23年5月30日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正
平成23年5月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項1である
「成分Aとしての100℃における動粘度が約4?32cStの基油、
成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が約125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物、
成分Cとしてのジヒドロカルビルジチオリン酸エステルまたは塩、および
成分Dとしてのジヒドロカルビル(モノ)チオフォスフェートアミン塩
を含有するギア油組成物。」を、
「成分Aとしての100℃における動粘度が4?32cStの基油、
成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物、
成分Cとしてのジヒドロカルビルジチオリン酸エステルまたは塩、および
成分Dとしてのジヒドロカルビルモノチオフォスフェートアミン塩
を含有するギア油組成物。」とする補正を含むものである(下線は当審による。以下同じ)。

2 補正の適否
(1)新規事項の追加の有無について
本件補正により、請求項1において成分Bを「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」とする補正が、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであるか検討する。

ア 当初明細書の記載
当初明細書には、成分Bについて、以下の事項が記載されている。
a「成分B
本発明の組成物は、硫黄活性が銅腐食減量試験(CCT減量試験)において約125mgよりも大きいヒドロカルビルポリスルフィドを含む組成物Bを含有している。CCT減量試験(後述)で測定された硫黄活性により銅腐食性に基づいた極圧添加剤が同定される。これは、極圧ショック試験を合格するのに必要な効果的な保護皮膜が形成出来る極圧添加剤中の硫黄活性レベルの目安である。
この保護皮膜はGL-5のギアショック試験性能に必要である。一方EP添加剤の化学構造はIndiana Stirring and Oxidation Test(”ISOT”)のベンチ試験(これはまた日本JIS規格K-2514「潤滑油-酸化安定度試験法」としても知られている)における銅触媒の腐食による重量減に大きなな影響を与える。ISOTにおいて銅触媒の重量減が少ないことは、銅を保護することが必要な変速機の用途において寿命を延命させ得ると言い換えることができる。極圧添加剤からの高いCCT減量値と、少ないISOTでの銅の重量減の組み合わせが、極圧性能と銅腐食防止性能の望ましいバランスを持ったEP添加剤を規定する上で助けになる。ISOTのベンチ試験において銅を著しく減量させる極圧添加剤は,手動変速機の銅の構成成分を腐食摩耗させ得る。この様な強い極圧添加剤は清浄剤を加えて手動変速機での性能を改善する必要がある。」(段落【0023】)
b「好適な態様においては、ヒドロカルビルポリスルフィドはアルキルポリスルフィドである。さらに他の好適な態様においては、アルキルポリスルフィドは、硫黄活性がCCT減量試験で125mgよりも大きいようなテトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物である。これによって、添加量を非常に高くするか或いは他の極圧添加剤を添加するようなことをせずに、十分な極圧性能を得ることができる。成分Bのヒドロカルビル部分は、炭素数約2?15の直鎖または分岐した炭素鎖を有する脂肪族ヒドロカルビル基、飽和または不飽和のアルキル基、アルケニル基および芳香族炭化水素基から成る群から選ぶことができる。具体的には該ヒドロカルビル部分は、限定されるものではないが、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ノニル、プロペニル、ブテニル、ベンジル、フェニル等を含んでいることができる。」(段落【0024】)
c「ヒドロカルビルポリスルフィドは、限定されるものではないが、ジシクロヘキシルポリスルフィド、ジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジノニルポリスルフィドおよびジ-t-ブチルポリスルフィドの混合物、例えばジ-t-ブチルトリスルフィド、ジ-t-ブチルテトラスルフィドおよびジ-t-ブチルペンタスルフィドの混合物を含んでいることができる。
最も好適な成分Bはジ-t-ブチルポリスルフィドである。」(段落【0025】?【0026】)
d「成分Bの重量%はギア油組成物の全重量に関して好ましくは3.5%より、最も好ましくは2.5%よりも少ない。成分Bの好適な濃度は、ギア油組成物に対し硫黄分の寄与が1.3%より少ないような濃度でなければならない。これによって極圧性能と銅の腐食防止性能との間にバランスを取ることができる。好適な活性硫黄種の最低硫黄活性レベルはCCT減量試験における硫黄活性が約125mgである。」(段落【0027】)
e「実施例
本発明のギア油組成物の成分を表1に示す。
【表1】

」(段落【0064】?【0065】)
f「ギア油組成物の性能の総括を表2に示す。
【表2】

」(段落【0066】?【0067】)
g「HT -> 高温 注:(High Temperatureの省略形です)
Axle -> ギアアクスル
EOT Wear -> 試験後摩耗量 (Fe ppm) 注:(End of Testの略)
L-42 Axle shock test -> L-42ギアアクスルショック試験

種々のEP添加剤の腐食による銅の重量減を表3に掲げる。
表3
EP CCT
SIB 55
ジ-t-ブチルポリスルフィド 126
ジ-t-ブチルジスルフィド 2
ジ-t-ブチルトリスルフィド 4
ジ-t-ブチルペンタスルフィド 466
ジ-t-ノニルポリスルフィド 731

銅腐食減量試験(CCT減量試験)法を下記に説明する。
目的
この方法は銅に対する腐食性を測定することにより、EP添加剤中の有効硫黄の活性度を決定するために使用される。
試験法の要約
秤量した銅片をEP添加剤の中に浸漬し、3時間121.1℃(250°F)に加熱する。10%のシアン化カリウム溶液を用いて腐食されたスケール(被膜)を取り除き、重量減(mg単位)を決定する。」(段落【0068】?【0071】)

イ 検討
(ア)まず、上記アで摘示した箇所を含め、当初明細書には「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」(以下、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」という。)との明示の記載はない。
実施例以外の当初明細書における成分Bに関する各摘示a?dを詳細にみていくと、摘示aには、「硫黄活性が銅腐食減量試験(CCT減量試験)において約125mgよりも大きいヒドロカルビルポリスルフィドを含む組成物B」との記載があるものの、「ヒドロカルビル」及び「ポリスルフィド」についての具体的な記載はない。
摘示bには、「好適な態様においては、ヒドロカルビルポリスルフィドはアルキルポリスルフィド」であり、「さらに他の好適な態様においては、アルキルポリスルフィドは、硫黄活性がCCT減量試験で125mgよりも大きいようなテトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物である。・・・具体的には該ヒドロカルビル部分は、限定されるものではないが、・・・t-ブチル・・・等を含んでいることができる。」と記載されており、「ポリスルフィド」として、「テトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物」が好適な態様であり、「ヒドロカルビル部分」ないし「アルキル」としては、「t-ブチル」が含まれることが記載されている。しかし、「テトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物」との記載からでは、「ジ-t-ブチルペンタスルフィド」を含んだ「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」が記載ないし示唆されるとはいえない。
摘示cには、「ジ-t-ブチルポリスルフィドの混合物、例えばジ-t-ブチルトリスルフィド、ジ-t-ブチルテトラスルフィドおよびジ-t-ブチルペンタスルフィドの混合物を含んでいることができる」(以下、この例示された3成分の混合物を、「t-ブチルのトリ・テトラ・ペンタの混合物」という。)と記載されているものの、さらに「t-ブチルジスルフィド」を含んだ「ジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」が記載されているとはいえない。
摘示dも、成分Bの配合量について言及するものであり、成分Bの組成に関する記載はない。
そして、摘示a?dを含む実施例以外の当初明細書の記載全体をみても、特定の4成分の混合物である「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」について記載ないし示唆されているとはいえず、また、どのような成分をどのような配合割合で組み合わせれば、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとなるかについても何ら教示するものではないから、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」が記載ないし示唆されているとすることはできない。
次に、当初明細書の実施例の記載についてみると、摘示e?gに、「ジ-t-ブチルポリスルフィド」(試料C及びE)を用いたギア油組成物とその性能が示されているものの、該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「ジ-t-ブチルポリスルフィドの混合物」を意味するのか否か、もし、混合物を意味するのであれば、どのような組成(成分及び配合割合)を有するものであるのかについては何ら記載されておらず、摘示gの「表3」における、「ジ-t-ブチルポリスルフィド」の銅腐食減量試験(CCT試験)の値「126」mgからだけでは、該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、どのような組成であるのか一義的に特定できるとはいえないから、実施例に記載の該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」であると認めることはできない。ここで、実施例の「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が「混合物」であるとすれば、当初明細書の記載からみて、摘示cの「t-ブチルのトリ・テトラ・ペンタの混合物」である蓋然性は高いものの、4種の混合物である「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」であると認めることはできない。
してみると、摘示a?gをはじめ、当初明細書のすべての記載を総合しても、特定の4種の混合物である「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」については記載ないし示唆されているとはいえず、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタ」の4成分を混合することで、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとなることについても、何ら教示するところはないから、請求項1において成分Bを「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」とする補正は、当初明細書の範囲内にない新たな技術的事項を導入するものである。

(イ)請求人は、平成23年5月30日付けの意見書において、補正の根拠として、「明細書0024段落」及び「同0025段落」の記載に基づく、と主張するが、同段落の記載(摘示b及びc)からでは、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」が記載ないし示唆されているとはいえないことは、上記(ア)で述べたとおりである。

(ウ)以上のとおり、請求項1において成分Bを「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」とする補正は、当業者によって、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるということはできないから、上記補正を含む本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてするものということはできない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)補正の目的の適否について
本件補正は、上記(1)の理由により、却下すべきものであるが、念のため、補正の目的の適否についても検討する。
上記補正は、本件補正前の請求項1において、成分Bが「銅腐食減量試験において硫黄活性が約125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物」という3成分の混合物(「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」)であったのを、「ジ-t-ブチルペンタスルフィド」を加えて、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」という4成分の混合物(t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」)とする補正であり、混合物の構成成分が1成分増加しているから、特許請求の範囲を減縮するものとはいえない。
してみると、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
さらに、上記補正が請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものといえないことは、明らかである。
したがって、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に掲げる事項のいずれを目的とするものともいうことはできない。

(3)独立特許要件について
ところで、仮に本件補正前の請求項1における「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が約125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物」(「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」)が、3成分を含む混合物(他の成分を含み得るもの)であったとした場合、さらに「ジ-t-ブチルペンタスルフィド」を加えて、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」(t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」)という4成分の混合物とする補正は、上記3成分を含む混合物を限定するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものということができる。
そこで、さらに念のため、本件補正後の上記請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(本件補正が、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)についても、以下に検討する。
なお、以下、平成19年2月19日付け、平成22年11月15日付け及び平成23年5月30日付けの手続補正により補正された明細書を「本願補正明細書」という。

ア はじめに
特許法第36条第6項は、「第三項第四号の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。同号に規定する要件(いわゆる、「明細書のサポート要件」)に適合するか否かは、「特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきもの」(知財高裁特別部平成17年(行ケ)第10042号判決)である。
以下、この観点に立って、検討する。

イ 本願補正発明の課題
本願補正明細書の「本発明によれば公知技術に比べ下記の利点が得られる。
(1)最終減速機ギア性能およびシンクロ特性をバランスさせるために金属清浄剤を必要としない。
(2)良好な熱安定性(ISOT)およびクリーンギアの性能(L-60-1)が得られる。
(3)臭気の少ない組成物が得られる。
(4)高温におけるギアアクスルおよび軸受け(bearing)試験における摩耗が少ない。
(5)GL-5の性能を犠牲にすることなくEP添加剤(アルキルポリスルフィド)の濃度を最低限度に抑制できる。」(段落【0007】?【0012】)との記載からみて、本願補正発明の課題は、「上記(1)?(5)の性能を満足するギア油組成物を提供すること」であると認められる。

ウ 発明の詳細な説明の記載
(ア)本願補正発明は、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」(「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」)を含有することを特徴の一つとするものである。
そして、本願補正明細書の発明の詳細な説明については、出願当初明細書の記載内容と同じであるところ、成分Bについての記載は、上記(1)アに摘示a?gとして示したとおりである。

エ 本願補正発明と発明の詳細な説明との対比及び出願時の技術常識について
(ア)上記(1)イで検討したとおり、摘示a?gを含め、本願補正明細書には、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」の明示の記載はない。
そして、摘示a?d等の、実施例以外の本願補正明細書の発明の詳細な説明の記載全体をみても、特定の4成分の混合物である「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」について記載ないし示唆されているとはいえず、また、どのような成分をどのような配合割合で組み合わせれば、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとなるかについても何ら教示するものではないから、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドとジ-t-ブチルペンタスルフィドとの混合物」が記載ないし示唆されているとすることはできない。
また、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」を含有するギア油組成物が、上記イで示した所望の(1)?(5)の性能を有するといえる程度に記載ないし示唆されているとすることもできないから、発明の詳細な説明の記載は、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」を含有する本願補正発明が、上記イの課題を解決できると認識できるものであるとはいえない。
次に、上記(1)イで検討したとおり、本願補正明細書の実施例における「ジ-t-ブチルポリスルフィド」(摘示e?gの試料C及びE)が、どのような組成であるのか不明であるので、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」であると認めることはできず、本願補正発明を裏付けるものであると認めることができないから、本願補正明細書の実施例の記載から、本願補正発明が、上記イの課題を解決できるとは認識できない。
さらに、当業者の出願時の技術常識からみて、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」を含有する本願補正発明が、発明の詳細な説明にその記載や示唆がなくとも、上記イの課題を解決できると認識できるものであるともいえない。

(イ)請求人は、平成23年5月30日付けの意見書において、
「表1及び2には、含まれるジ-t-ブチルポリスルフィドがCCT減量試験において約125mgより大きい硫黄活性を有する組成物が本願発明の課題を達成できることが示されている。また、表3によれば、ジ-t-ペンタスルフィドは『ジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物』のCCT減量試験における硫黄活性を容易に125mgより大きくするのに十分高いCCT値を有することも示されている。」と主張する。
しかしながら、表1及び2の「ジ-t-ブチルポリスルフィド」は、上記のとおり、組成が不明なものであり、また、表3に「ジ-t-ブチルペンタスルフィド」の「CCT」が「466」であるとの記載のみから、該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「ジ-t-ブチルペンタスルフィド」をも含むものであると認めることはできないから、表1?3の記載から、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」が実質的に記載されているということはできず、上記イの課題を解決できると認識できるということもできない。
そして、発明の詳細な説明には、どのような成分をどのような配合割合で組み合わせれば、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとなるかについて何ら教示する記載はないが、たとえ、硫黄活性の大きい成分を配合することにより、成分Bの硫黄活性を125mgより大きくできること、つまり、表3の記載から、「ジ-t-ペンタスルフィドは・・・CCT減量試験における硫黄活性を容易に125mgより大きくするのに十分高いCCT値を有する」ことが当業者に理解できたとしても、本願補正明細書に、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」が、実質的に記載されていることにはならず、まして、該混合物が、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとして記載されていることにもならない。そして、発明の詳細な説明の記載から、「t-ブチルのジ・トリ・テトラ・ペンタの混合物」を含有する本願補正発明が、上記イの課題を解決できると認識できるものであるとはいえないことは、上記(ア)で述べたとおりである。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。

オ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、本願補正明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえず、該発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえず、また、その記載や示唆がなくとも当業者の出願時の技術常識に照らして、本願補正発明が、当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。
してみると、本願補正発明は、本願補正明細書の発明の詳細な説明に記載したものであるということができないから、この出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。
したがって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものである。

3 補正の却下の決定のむすび
上記2(1)で述べたとおり、上記補正を含む本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてするものということはできないから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
そして、仮に、上記補正の目的の適否及び独立特許要件について検討しても、上記2(2)で述べたとおり、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に掲げる事項のいずれを目的とするものともいうことはできないか、又は、上記2(3)で述べたとおり、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものである。
よって、その余の点について検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 特許請求の範囲の記載
平成23年5月30日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、この出願の特許請求の範囲の記載は、平成22年11月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載されたとおりであり、請求項1の記載は以下のとおりである(以下、請求項1の特許を受けようとする発明を「本願発明1」という。)。

「成分Aとしての100℃における動粘度が約4?32cStの基油、
成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が約125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物、
成分Cとしてのジヒドロカルビルジチオリン酸エステルまたは塩、および
成分Dとしてのジヒドロカルビル(モノ)チオフォスフェートアミン塩
を含有するギア油組成物。」

第4 当審から通知した拒絶の理由
当審から通知した拒絶の理由は、「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備であり、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。
1 特許法第36条第6項第1号について
・・・
(5)まとめ
したがって、・・・請求項1?13の特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、この出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。」という理由を含むものである。

第5 当審の判断
1 はじめに
特許法第36条第6項第1号に適合するか否かの判断にあたっては、上記第2の2(3)アで示した観点に立って、検討する。

2 本願発明1の課題
平成19年2月19日及び平成22年11月15日付けの手続補正により補正された明細書(以下、「本願明細書」という。)の「本発明によれば公知技術に比べ下記の利点が得られる。
(1)最終減速機ギア性能およびシンクロ特性をバランスさせるために金属清浄剤を必要としない。
(2)良好な熱安定性(ISOT)およびクリーンギアの性能(L-60-1)が得られる。
(3)臭気の少ない組成物が得られる。
(4)高温におけるギアアクスルおよび軸受け(bearing)試験における摩耗が少ない。
(5)GL-5の性能を犠牲にすることなくEP添加剤(アルキルポリスルフィド)の濃度を最低限度に抑制できる。」(段落【0007】?【0012】)との記載からみて、本願発明1の課題は、「上記(1)?(5)の性能を満足するギア油組成物を提供すること」であると認められる。

3 発明の詳細な説明の記載
本願発明1は、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が約125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物」(「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」)を含有することを特徴の一つとするものである。
そして、本願明細書の発明の詳細な説明については、当初明細書の記載内容と同じであるところ、成分Bについての記載は、上記第2の2(1)アに摘示a?gとして示したとおりである。

4 本願発明1と発明の詳細な説明との対比及び出願時の技術常識について
(ア)まず、摘示a?gを含め、本願明細書には、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」の明示の記載はない。
すなわち、摘示bには、「好適な態様においては、ヒドロカルビルポリスルフィドはアルキルポリスルフィド」であり、「さらに他の好適な態様においては、アルキルポリスルフィドは、硫黄活性がCCT減量試験で125mgよりも大きいようなテトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物である。・・・具体的には該ヒドロカルビル部分は、限定されるものではないが、・・・t-ブチル・・・等を含んでいることができる。」と記載されており、「ポリスルフィド」として、「テトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物」が好適な態様であり、「ヒドロカルビル部分」ないし「アルキル」としては、「t-ブチル」が含まれることが記載されているといえる。しかし、「テトラ-、トリ-および/またはジ-スルフィドの混合物」という記載は、「および/または」となっていることからみて、3成分の混合物のみについて言及したものではなく、「t-ブチル」のみについて言及したものでもないから、摘示bの記載から、直ちに、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」という特定の3成分の混合物が記載されているといえるものではない。
それどころか、摘示cには、「ジ-t-ブチルポリスルフィドの混合物、例えばジ-t-ブチルトリスルフィド、ジ-t-ブチルテトラスルフィドおよびジ-t-ブチルペンタスルフィドの混合物を含んでいることができる」(以下、該混合物を「t-ブチルのトリ・テトラ・ペンタの混合物」という。)と記載されているから、本願明細書において、「ジ-t-ブチルポリスルフィドの混合物」といえば、具体的には、「t-ブチルのトリ・テトラ・ペンタの混合物」が記載されているとみるのが自然である。
そして、実施例以外の摘示a?d等の本願明細書の発明の詳細な説明の記載全体をみても、特定の3成分の混合物である「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」について記載ないし示唆されているとはいえず、また、どのような成分をどのような配合割合で組み合わせれば、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとなるかについても何ら教示するものではないから、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物」が記載ないし示唆されているとすることはできない。
また、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」を含有するギア油組成物が、上記2で示した所望の(1)?(5)の性能を有するといえる程度に記載ないし示唆されているとすることもできないから、発明の詳細な説明の記載は、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」を含有する本願発明1が、上記2の課題を解決できると認識できるものであるとはいえない。
次に、本願明細書の実施例の記載についてみると、摘示e?gに、「ジ-t-ブチルポリスルフィド」(試料C及びE)を用いたギア油組成物とその性能が示されているものの、該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「ジ-t-ブチルポリスルフィドの混合物」を意味するのか否か、もし、混合物を意味するのであれば、どのような組成(成分及び配合割合)を有するものであるのかについては何ら記載されておらず、摘示gの「表3」における、「ジ-t-ブチルポリスルフィド」の銅腐食減量試験(CCT試験)の値「126」mgからだけでは、該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、どのような組成であるのか一義的に特定できるとはいえないから、実施例に記載の該「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」であると認めることはできない。
そうすると、本願明細書の実施例における「ジ-t-ブチルポリスルフィド」(試料C及びE)が、本願発明1を裏付けるものであると認めることができないから、本願明細書の実施例の記載から、本願発明1が、上記2の課題を解決できるとは認識できない。
さらに、当業者の出願時の技術常識からみて、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」を含有する本願発明1が、発明の詳細な説明にその記載や示唆がなくとも、上記2の課題を解決できると認識できるものであるともいえない。

(イ)平成22年11月15日付けの意見書において、「CCT試験において125mgより大きい硫黄活性を有するポリスルフィドの混合物が本願発明の必須の構成であり、本願発明に関するデータに示されている(明細書0065?0067段落の表1及び2参照)。本願の実験データは、本願発明が、HT車軸疲労試験、HT軸受け試験及びL-42車軸衝撃試験のすべてに合格するギア油を提供するとの課題を解決できることを裏付けている。上記表1及び2における、試料C及びEは、それぞれ、本願発明の組成物に該当し、これらの組成物が上記3つの試験のすべてに合格したことを示している。」と記載されているように、請求人は、本願明細書の実施例に記載された「ジ-t-ブチルポリスルフィド」(試料C及びE)が、成分Bの混合物を含有する本願発明1を裏付けるものであると主張する。
しかしながら、上記(ア)のとおり、実施例の「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」であると認めることはできない。また、発明の詳細な説明は、どのような成分をどのような配合割合で組み合わせれば、「銅腐食減量試験において硫黄活性が125mgよりも大きい」ものとなるかについて何ら教示するものではないが、たとえ、個々のポリスルフィド成分の硫黄活性が、混合物(成分B)全体の硫黄活性と相関関係にあるとしても、表3(摘示g)の記載からは、「ジ-t-ブチルジスルフィド」のCCTが「2」、「ジ-t-ブチルトリスルフィド」のCCTが「4」であり、「ジ-t-ブチルテトラスルフィド」のCCTが明らかにされていない中で、実施例の「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、CCT試験において125mgより大きい硫黄活性を有する「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」である蓋然性は低いものといわざるを得ない。
なお、当審は、平成23年3月29日付けの拒絶理由通知書において、実施例の「ジ-t-ブチルポリスルフィド」が、「t-ブチルのジ・トリ・テトラの混合物」であるのであれば、その具体的な根拠と、「ジ・トリ・テトラ」の各配合割合について明らかにされたい、との審尋を併せて通知したが、請求人は、これに対し何ら回答することなく、むしろ、先に補正の却下の決定がされた平成23年5月30日付けの手続補正において、成分Bに「ジ-t-ブチルペンタスルフィド」を追加する補正をすることで応答したのである。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。

5 まとめ
以上のとおり、「成分Bとしての銅腐食減量試験において硫黄活性が約125mgよりも大きいジ-t-ブチルジスルフィドとジ-t-ブチルトリスルフィドとジ-t-ブチルテトラスルフィドの混合物」を含有することを特徴の一つとする本願発明1が、発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえず、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。
してみると、請求項1の特許を受けようとする発明(本願発明1)が、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいうことができないから、この出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。

第6 むすび
したがって、この出願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、この出願は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしておらず、その余の点を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-03 
結審通知日 2011-08-09 
審決日 2011-08-22 
出願番号 特願2003-7272(P2003-7272)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (C10M)
P 1 8・ 537- WZ (C10M)
P 1 8・ 572- WZ (C10M)
P 1 8・ 561- WZ (C10M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 昌広木村 敏康  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 松本 直子
橋本 栄和
発明の名称 長寿命で熱安定性に優れたギア油組成物  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  

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