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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1257003
審判番号 不服2011-6487  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-25 
確定日 2012-05-09 
事件の表示 特願2008-117911「複数のゲームアクティビティーを有するゲーム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月14日出願公開、特開2008-183444〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、
1999年8月10日(優先権主張 1998年8月17日、米国)を国際出願日とする特願2000-564725号の一部を、平成20年4月28日に特許出願したものであって、
平成22年5月12日付けで拒絶理由が通知され、これに応答して同年11月15日付けで手続補正書が提出されたが、
同年12月1日付けで拒絶査定がされたため、これを不服として平成23年3月25日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。
また、当審において、平成23年6月3日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行った。(この審尋に対して請求人は応答しなかった。)


2.平成23年3月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年3月25日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1) 本願補正発明
平成23年3月25日付け手続補正により、特許請求の範囲は、
「 【請求項1】
ゲームキットであって、
該ゲームキットは、
a)複数の印でマークされたゲームプレイ面であって、該複数の印のうちのいくつかは、複数の色のうちの1つに関連付けられ、該複数の印のうちのいくつかは、該複数の色の全てに関連付けられる、ゲームプレイ面と、
b)該ゲームプレイ面の該複数の印上に位置する複数のマーカーと、
c)複数のカードのデッキであって、該複数のカードのデッキの各々は、複数のカードを含み、該複数のカードの各々は、プレイヤーにアクティビティーを実行させるための指示をする印を有し、該アクティビティーのパフォーマンスにより該ゲームプレイ面での該複数のマーカーのうちの1つのマーカーの進行が決定される、複数のカードのデッキと
を備え、
i)該複数のカードのデッキの各々は、1つ以上の関連するヒトの能力に関連付けられたアクティビティーに関するカードを含み、該複数のカードのデッキの各々は、実際の知識能力、聴覚/視覚パフォーマンス能力、2次元および/または3次元の描写能力、ならびに綴り/語彙/言語能力からなる群のうちの1つによってカテゴライズされ、該1つ以上の関連するヒトの能力は、該複数のカードのデッキのうちの他のデッキに含まれるカードのアクティビティーに関連付けられたヒトの能力とは少なくとも部分的に異なり、
ii)該複数のカードのデッキの各々は、少なくとも、第1アクテティビティータイプに関するカードの第1サブセットと、該第1アクティビティータイプとは異なる第2アクティビティータイプに関するカードの第2サブセットとを含み、
iii)該複数のカードのデッキの各々は、該複数の色のうちの1つの色と、対応する複数の印とに関連付けられ、
iv)該複数のカードのデッキの全ては、該複数の色の全てに関連付けられた該複数の印に対応する、ゲームキット。
【請求項2】
請求項1の記載にゲームキットであって、前記実際の知識能力に関する前記複数のカードのデッキのうちの1つに含まれる前記アクティビティーが、真実の/偽りの問題および回答アクティビィー、複数選択問題および回答アクティビティー、ならびに事実ベースの問題からなる群から選択される、ゲームキット。
【請求項3】
請求項1の記載にゲームキットであって、前記聴覚/視覚パフォーマンス能力に関する前記複数のカードのデッキのうちの1つに含まれる前記アクティビティーが、曲をハミングする工程または曲の口笛を吹く工程、キャラクターの物まねをする工程、および演技をする工程からなる群から選択される、ゲームキット。
【請求項4】
請求項1の記載にゲームキットであって、前記2次元および/または3次元の描写能力に関する前記複数のカードのデッキのうちの1つに含まれる前記アクティビティーが、前記プレイヤーの目を閉じた状態で描画する工程、彫刻する工程、および描画する工程からなる群から選択される、ゲームキット。
【請求項5】
請求項1の記載にゲームキットであって、前記綴り/語彙/言語能力に関する前記複数のカードのデッキのうちの1つに含まれる前記カードのアクティビティーが、言葉を正しく綴るために文字を再配列する工程、言葉を逆方向に綴る工程、言葉の正しい定義を与える工程、言葉を綴る工程、および言葉を正しく綴るために空白を埋める工程からなる群から選択される、ゲームキット。
【請求項6】
請求項1の記載にゲームキットであって、少なくとも、前記第1および第2アクティビティータイプとは異なる第3アクティビティータイプに関するカードの第3サブセットをさらに含む、ゲームキット。
【請求項7】
請求項1の記載にゲームキットであって、前記ゲームプレイ面上の前記複数の印は、ゲームを通じてプレイヤーの進行をたどるために該プレイ面の周りに第1および第2経路を示し、該第1経路は、該ゲームプレイ面を通じてより早い進行を規定し、該第2経路は、該ゲームプレイ面を通じてより遅い進行を規定し、該第1経路と該第2経路とは、前記複数の色の全てに関連付けられた該複数の印において交差する、ゲームキット。
【請求項8】
彫刻するパテのタブをさらに備える、請求項7に記載のゲームキット。
【請求項9】
前記ゲームプレイ面が、堅いボードを備える、請求項8に記載のゲームキット。
【請求項10】
前記ゲームプレイ面およびマーカーが、マルチ媒体手段で表される、請求項1に記載のゲームキット。
【請求項11】
前記マルチ媒体手段が、コンピュータベースのプレイ環境またはコンピュータまたはテレビを含む、請求項10に記載のゲームキット。
【請求項12】
ゲームであって、
該ゲームは、
a)複数のアクティビティー指示のコレクションであって、各コレクションは、複数のアクティビティー指示を含み、各アクティビティー指示は、プレイヤーにアクティビティーを実行させるための指示を有し、該アクティビティーのパフォーマンスにより該ゲームでの該プレイヤーの成功が決定され、
i)該複数のアクティビティー指示のコレクションの各々は、1つ以上の関連するヒトの能力に関連付けられたアクティビティーに関するアクティビティー指示を含み、該1つ以上の関連するヒトの能力は、他のコレクションに含まれるアクティビティー指示に関連付けられた能力とは少なくとも部分的に異なり、
ii)該複数のアクティビティーのコレクションの各々は、少なくとも、第1アクテティビティータイプに関するアクティビティー指示の第1サブセットと、該第1アクティビティータイプとは異なる第2アクティビティータイプに関するアクティビティー指示の第2サブセットとを含む、複数のアクティビティー指示のコレクションと、
b)複数の印でマークされたゲームプレイ面であって、該複数の印のうちのいくつかは、複数の色のうちの1つに関連付けられ、該複数の印のうちのいくつかは、該複数の色の全てに関連付けられる、ゲームプレイ面と、
c)複数のカードのデッキであって、該複数のカードのデッキの各々は、少なくとも、該第1アクティビティータイプに関するカードの第1サブセットと、該第2アクティビティータイプに関するカードの第2サブセットとを含み、該複数のカードのデッキの各々は、実際の知識能力、聴覚/視覚パフォーマンス能力、2次元および/または3次元の描写能力、ならびに綴り/語彙/言語能力からなる群のうちの1つによってカテゴライズされ、該複数のカードのデッキの各々は、該複数の色のうちの1つの色と、対応する複数の印とに関連付けられ、該複数のカードのデッキの全ては、該複数の色の全てに関連付けられた該複数の印に対応する、複数のカードのデッキと
を備える、ゲーム。
【請求項13】
請求項12に記載のゲームであって、前記実際の知識能力に関する前記カードのデッキに含まれる前記アクティビティーが、真実の/偽りの問題および回答アクティビィー、複数選択問題および回答アクティビティー、ならびに事実ベースの問題からなる群から選択される、ゲーム。
【請求項14】
請求項12に記載のゲームであって、前記聴覚/視覚パフォーマンス能力に関する前記カードのデッキに含まれる前記アクティビティーが、曲をハミングする工程または曲の口笛を吹く工程、キャラクターの物まねをする工程、および演技をする工程からなる群から選択される、ゲーム。
【請求項15】
請求項12に記載のゲームであって、前記2次元および/または3次元の描写能力に関する前記カードのデッキに含まれる前記アクティビティーが、前記プレイヤーの目を閉じた状態で描画する工程、彫刻する工程、および描画する工程からなる群から選択される、ゲーム。
【請求項16】
請求項12に記載のゲームであって、前記綴り/語彙/言語能力に関する前記カードのデッキに含まれる前記アクティビティーが、言葉を正しく綴るために文字を再配列する工程、言葉を逆方向に綴る工程、言葉の正しい定義を与える工程、言葉を綴る工程、および言葉を正しく綴るために空白を埋める工程からなる群から選択される、ゲーム。
【請求項17】
請求項12に記載のゲームであって、少なくとも、前記第1および第2アクティビティータイプとは異なる第3アクティビティータイプに関するアクティビティー指示の第3サブセットをさらに含む、ゲーム。
【請求項18】
請求項12に記載のゲームであって、複数のマーカーをさらに備え、該マーカーは、該ゲームを通じて進行をたどるために該ゲームの印上に位置するためにある、ゲーム。
【請求項19】
請求項18に記載のゲームであって、前記ゲームプレイ面上の印は、該ゲームを通じてプレイヤーの進行をたどるために該プレイ面の周りに第1経路および第2経路を示し、該第1経路は、該ゲームプレイ面を通じてより早い進行を規定し、該第2経路は、該ゲームプレイ面を通じてより遅い進行を規定し、該第1経路と該第2経路とは、前記複数の色の全
てに関連付けられた該複数の印において交差する、ゲーム。
【請求項20】
前記ゲームプレイ面が、堅いボードを備える、請求項19に記載のゲーム。
【請求項21】
彫刻するパテのタブをさらに備える、請求項20に記載のゲーム。
【請求項22】
前記ゲームプレイ面およびマーカーが、マルチ媒体手段で表される、請求項21に記載のゲーム。
【請求項23】
前記マルチ媒体手段が、コンピュータベースのプレイ環境またはコンピュータまたはテレビを含む、請求項22に記載のゲーム。
【請求項24】
ゲームキットであって、
該ゲームキットは、
a)複数の印でマークされるゲームボードであって、該複数の印のうちのいくつかは、複数の色のうちの1つに関連付けられ、該複数の印のうちのいくつかは、該複数の色の全てに関連付けられる、ゲームボードと、
b)該ゲームボードの該複数の印上に位置する複数のマーカーと、
c)カードの第1デッキであって、該カードの第1デッキは、複数のカードを含み、該複数のカードの各々は、プレイヤーにアクティビティーを実行させるためのアクティビティー指示を有し、該カードの第1デッキの該複数のカードの各々のアクティビティー指示は、実際の知識能力、聴覚/視覚パフォーマンス能力、2次元および/または3次元の描写能力、ならびに綴り/語彙能力からなる群から選択される第1ヒト中核能力に関連付けられ、該第1デッキに含まれる該複数のカードは、少なくとも、該第1中核能力に関連付けられた第1アクティビティータイプに関するカードの第1サブセットと、該第1中核能力に関連付けられた第1アクティビティータイプとは異なる第2アクティビティータイプに関するカードの第2サブセットとを含む、第1デッキと、
d)カードの第2デッキであって、該カードの第2デッキは、複数のカードを含み、該複数のカードの各々は、プレイヤーにアクティビティーを実行させるためのアクティビティー指示を有し、該カードの第2デッキの該複数のカードの各々のアクティビティー指示は、該カードの第1デッキに関連付けられた該第1中核能力とは少なくとも部分的に異なる第2ヒト中核能力に関連付けられ、該カードの第1および第2デッキのカードに対する該アクティビティーのパフォーマンスにより、該ゲームボード上のプレイヤーのマーカーの進行が決定される、第2デッキと
を含み、
該カードの第1デッキおよび該カードの第2デッキの各々は、該複数の色のうちの1つの色と、それに関連付けられた対応する複数の印とに関連付けられ、該カードの第1デッキおよび該カードの第2デッキは、該複数の色の全てに関連付けられた該複数の印に対応する、ゲームキット。
【請求項25】
請求項24に記載のゲームキットであって、少なくとも、前記第1中核能力に関連付けられた第3アクティビティータイプであって、前記第1および第2アクティビティータイプとは異なる第3アクティビティータイプに関するカードの第3サブセットをさらに含む、ゲームキット。」
に補正された。(以下、この補正を「本件補正」という。)


(2) 補正の目的
本件補正は、以下の点を補正した。

・補正前の請求項1に、補正前の請求項1を引用している補正前の請求項2に記載された事項を追加し、実際上の意味内容を変更しない程度に表現を補正して、補正後の請求項1とした。(以下「補正事項1」という。)

・補正前の請求項1を引用している補正前の請求項3?12を、補正後の請求項1を引用している補正後の請求項2?11とした。(以下「補正事項2」という。)

・補正前の請求項13に、補正前の請求項13を引用している補正前の請求項14に記載された事項を追加し、実際上の意味内容を変更しない程度に表現を補正して、補正後の請求項12とした。(以下「補正事項3」という。)

・補正前の請求項13を引用している請求項15?25を、補正後の請求項12を引用している請求項13?23とした。(以下「補正事項4」という。)

補正事項1について
補正後の請求項1は、実質的に補正前の請求項2であるから、
補正事項1は、補正前の請求項1の削除を目的とするものに該当する。

補正事項2について
補正後の請求項1は、補正前の請求項2に記載された事項を含むので、補正後の請求項1を引用する補正後の請求項2?11も、補正前の請求項2に記載された事項を含む。
一方、補正前の請求項3?12は、補正前の請求項2を引用していないので、補正前の請求項2に記載された事項を含んでいない。
よって、補正事項2は、補正前の請求項3?12に補正前の請求項2に記載された事項を追加する補正であって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

補正事項3について
補正事項1と同様に、補正前の請求項13の削除を目的とするものに該当する。

補正事項4について
補正事項2と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

以上により、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、又は同第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。


(3) 特許性についての検討
(3-1) 引用文献に記載されている事項
原査定において提示された実願昭60-175054号(実開昭62-84073号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)(第1頁第4?15行)
「2.実用新案登録請求の範囲
表面に、複数種の色が選択的に施してある多数のステーションが設けられてあって、始めのステーションをスタート、最後のステーションをゴールとしてなる盤と、前記ステーションに施されてある色と同色の複数種とされ、各色につき複数枚が用意されてあって、そのそれぞれに予め音楽用語の記号、意味その他音楽に関する質問が記載されてあり、振られたサイコロに出た目の数だけ進んで止まったステーションと同色のものが選択されたとき、それに記載されてある質問の解答を求めるためのカードとからなる双六型音楽教習具。」

(イ)(第2頁第6?9行)
「(考案が解決しようとする問題点)
この考案は音楽用語、記号その他を、ゲームによって楽しみながらマスターできるようにすることを目的とする。」

(ウ)(第3頁第4行?第5頁6行)
「(実施例)
この考案の実施例を図によって説明すると、1は紙その他からなる盤で、その表面に多数の区画されたステーション2が設けられてあり、始めのステーション3をスタートとし、最後のステーション4をゴールとしてある。各ステーション2にはそれぞれ互いに異なる色が施してある。図では3種の色を使用した例を示している。
別に第2図に示すようにカード5?7が用意される。カード5?7は前記のように使用した色と同じ色のカードとされている。そして各カードには音楽に関する質問が記載されてある。たとえば第1の色(たとえば青色)のカード5には、音楽一般の質問、たとえば「日本の楽器を一つ言ってください。」、「知っている音楽家の名前を一人言ってください。」、「ベートーベンが作曲した曲を一曲言ってください。」などの質問が記載されてある。
第2の色(たとえば黄色)のカード6には、音の高低、長短、リズム、拍子などを決定する音符、休符の記号とその意味についての質問、たとえば「(或る音符を画いておき)何おんぷで何ぱくでしょう?」、「(或る休止符を画いておき)何休ふで何ぱくお休みでしょう?」などの質問が記載されてある。
第3の色(たとえば赤色)のカード7には、曲などについての速さ、強弱、曲想、奏法などを指示する記号、用語とその意味についての質問、たとえば「(記号mpを画いておき)なまえといみをいいなさい。」、「(用語ritを記載しておき)よみかたといみをいいなさい。」などの質問が記載されてある。
使用方法は次の通りである。すなわち最初に任意の駒をスタートのステーション3に置き、サイコロを振る。このときに出たサイコロの目の数だけ駒を進める。そして止まったところのステーション2の色と同じ色のカードをカード6?7の中から拾い出す。そしてそのカードに記載されてある質問について解答する。誤答の場合は1ステーションだけ戻る。正答の場合はその位置にとどまり、次の人が次にサイコロを振る。このようにして最初に駒がゴールのステーション4に到達した人が勝ちとなる。」

(エ)(第5頁第11?19行)
「ゲームをより楽しくするためには、ステーション2の間の適当な箇所に、別の形状(図では大型の円)のステーション2Aを設け、これにゲームの進行を指示する条件、具体的には図にも示してあるように、「スタートにもどる。」、「1回休み」、「○(色を表すものとする)の問題ができたら19へ進む。」などの条件をつけておき、ここに止まった場合はこの条件に従わせるようにするとよい。」

(オ)(第6頁第1行?第6頁第4行)
「以上詳述したようにこの考案によれば、双六のようなゲームをしている過程で、楽しみながら自然に音楽に関する知識を次第に身につかせることができるといった効果を奏する。」

以上、(ア)?(オ)の記載、及び図面を総合すると、引用文献1には、以下の発明が開示されている。
「複数のステーション2、2A、3、4が設けられてあり、複数のステーション2には、複数種の色が選択的に施してあり、複数のステーション2Aには、ゲームの進行を指示する条件がつけてある、盤1と、
前記盤1の前記ステーション2、2A、3、4上に置く複数の駒と、
前記ステーション2に施されてある色と同色の複数種とされ、各色につき複数枚が用意されてあるカード5?7であって、音楽に関する質問が記載されてあり、該質問について解答させることにより前記盤1での前記複数の駒のうちの1つの駒の進行が決定される、カード5?7と
を備え、
前記カード5?7には、各色毎に異なる種類の質問が記載されてあり、
前記各色につき複数枚が用意されてあるカード5?7の各々には、異なる質問が記載されてある、
双六型音楽教習具。」
(以下、この発明を「引用発明」という。)


(3-2) 対比
引用発明と本願補正発明とを対比する。

引用発明における「双六型音楽教習具」は、本件補正発明における「ゲームキット」に相当し、以下同様に、
「複数のステーション2、2A、3、4」は「複数の印」に、
「複数のステーション2には、複数種の色が選択的に施してあり」は「該複数の印のうちのいくつかは、複数の色のうちの1つに関連付けられ」に、
「盤1」は「ゲームプレイ面」に、
「駒」は「マーカー」に、
相当する。

引用発明における「前記ステーション2に施されてある色と同色の複数種とされ、各色につき複数枚が用意されてあるカード5?7」の、各種類毎の集合体は、本件補正発明における「カードのデッキ」に相当する。
ところで、引用発明においては、単体のカードとカードの集合体とが明確に区別して記載されていないので、以下、前記「カード5?7」の各種類毎の集合体を、“デッキ”という。

引用発明における「カード5?7」に「音楽に関する質問が記載されてあ」る点は、本件補正発明における「カード」が「プレイヤーにアクティビティーを実行させるための指示をする印を有」する点に相当する。
引用発明における「該質問について解答させることにより前記盤1での前記複数の駒のうちの1つの駒の進行が決定される」は、本件補正発明における「該アクティビティーのパフォーマンスにより該ゲームプレイ面での該複数のマーカーのうちの1つのマーカーの進行が決定される」に相当する。

引用発明における「カード5?7」に記載された「音楽に関する質問」は、音楽に関する人間の能力に関している。
引用文献1の(ウ)には、「カード5?7」に記載される「音楽に関する質問」の種類の一例として、「音楽一般の質問」、「音の高低、長短、リズム、拍子などを決定する音符、休符の記号とその意味についての質問」及び「曲などについての速さ、強弱、曲想、奏法などを指示する記号、用語とその意味についての質問」が開示されているので、
引用発明における「カード5?7」は、たとえば「音楽一般」に関する能力、「音の高低、長短、リズム、拍子などを決定する音符、休符の記号」に関する能力及び「曲などについての速さ、強弱、曲想、奏法などを指示する記号」に関する能力等の、少なくとも部分的に異なる複数の能力からなる群の一つによってカテゴライズされている。
よって、引用発明における複数の“デッキ”と、本件補正発明における「複数のカードのデッキ」とは、
「1つ以上の関連するヒトの能力に関連付けられたアクティビティーに関するカードを含み」、“該複数のカードのデッキの各々は、複数の能力からなる群の1つによってカテゴライズされ”、「該1つ以上の関連するヒトの能力は、該複数のカードのデッキのうちの他のデッキに含まれるカードのアクティビティーに関連付けられたヒトの能力とは少なくとも部分的に異な」る点で、共通する。

引用発明における「カード5?7」が「前記ステーション2に施されてある色と同色の複数種とされ」ている点は、本件補正発明における「該複数のカードのデッキの各々は、該複数の色のうちの1つの色と、対応する複数の印とに関連付けられ」に相当する。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「ゲームキットであって、
該ゲームキットは、
a)複数の印でマークされたゲームプレイ面であって、該複数の印のうちのいくつかは、複数の色のうちの1つに関連付けられる、ゲームプレイ面と、
b)該ゲームプレイ面の該複数の印上に位置する複数のマーカーと、
c)複数のカードのデッキであって、該複数のカードのデッキの各々は、複数のカードを含み、該複数のカードの各々は、プレイヤーにアクティビティーを実行させるための指示をする印を有し、該アクティビティーのパフォーマンスにより該ゲームプレイ面での該複数のマーカーのうちの1つのマーカーの進行が決定される、複数のカードのデッキと
を備え、
i)該複数のカードのデッキの各々は、1つ以上の関連するヒトの能力に関連付けられたアクティビティーに関するカードを含み、該複数のカードのデッキの各々は、複数の能力からなる群の1つによってカテゴライズされ、該1つ以上の関連するヒトの能力は、該複数のカードのデッキのうちの他のデッキに含まれるカードのアクティビティーに関連付けられたヒトの能力とは少なくとも部分的に異なり、
iii)該複数のカードのデッキの各々は、該複数の色のうちの1つの色と、対応する複数の印とに関連付けられる、ゲームキット。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件補正発明における「複数の印」には、「複数の色の全てに関連付けられる」ものが含まれるのに対し、
引用発明における「複数のステーション2A、3、4」に、このようなものが含まれるか否か不明である。

<相違点2>
本件補正発明における「複数のカードのデッキ」の各々が、「実際の知識能力、聴覚/視覚パフォーマンス能力、2次元および/または3次元の描写能力、ならびに綴り/語彙/言語能力からなる群のうちの1つによってカテゴライズされ」ているのに対し、
引用発明における複数の“デッキ”の各々は、異なる能力からなる群の一つにカテゴライズされているものの、群を構成する具体的な能力が異なる。

<相違点3>
本件補正発明における「複数のカードのデッキ」の各々が、「少なくとも、第1アクテティビティータイプに関するカードの第1サブセットと、該第1アクティビティータイプとは異なる第2アクティビティータイプに関するカードの第2サブセットとを含」むのに対し、
引用発明における複数の“デッキ”の各々は、前記「第1サブセット」及び「第2サブセット」を含むか否か不明である。

<相違点4>
本件補正発明における「複数のカードのデッキの全て」は、「該複数の色の全てに関連付けられた複数の印に対応する」のに対し、
引用発明における複数の“デッキ”の全てが、「複数のステーション2A、3、4」のいずれかに対応するようになっているか否か不明である。


(3-3) 判断
<相違点1>及び<相違点4>について
<相違点1>及び<相違点4>は密接に関連するので、合わせて判断する。
原査定において提示された国際公開第98/20948号(以下、「引用文献2」という。第10頁第21?33行等参照。)には、複数の「space」のうちの「"Opportunity" space」に到達したときに、「Large Deal」又は「Small Deal」の「deck」のどちらから「card」を引くか、選択できるゲームキットの発明が開示されており、
前記「space」、「deck」及び「card」は、本件補正発明における「印」、「カードのデッキ」及び「カード」に相当する。
そして、引用文献1の(エ)及び第1図によれば、「ステーション2」とは別の形状の「ステーション2A」を複数設け、これらに「○(色を表すものとする)の問題ができたら19へ進む。」などの条件をつけることが記載されているので、当該条件において、複数の“デッキ”の全てからどのカードを引くか選択できるようにして、前記<相違点1>及び<相違点4>に係る本件補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

<相違点2>について
ゲームキットにおいて、引いたカードに記載された内容に基づいて行わせる行動としては、引用文献1?2に開示されたものの他、
原査定において提示された特開平1-101988号公報(以下「引用文献3」という。第2頁左上欄第18行?右上欄第10行、同頁左下欄第6?13行、第4図の11等参照。)、
原査定において提示された実願昭49-154055号(実開昭51-80248号)のマイクロフィルム(以下「引用文献4」という。)、
平成23年6月3日付け審尋において提示された米国特許第4216594号明細書(以下「引用文献5」という。)、
米国特許第5295834号明細書(以下「引用文献6」という。)
にも開示されているように、様々なものが知られている。(以下、「周知事項」という。)
よって、前記周知事項に基づき、引用発明における複数の“デッキ”を、周知の能力からなる群でカテゴライズされるように構成することは、当業者が容易に想到しうるものであるし、
前記群を構成する具体的な能力を、「実際の知識能力、聴覚/視覚パフォーマンス能力、2次元および/または3次元の描写能力、ならびに綴り/語彙/言語能力」とする場合の効果も、予測しうる程度のものである。

<相違点3>
引用発明における複数の“デッキ”は、少なくとも部分的に異なる複数の能力からなる群の1つによってカテゴライズされている。
そして、各“デッキ”内の「カード5?7」をさらに詳細にカテゴライズすることは、当業者が適宜なしうるものであり、その場合に奏される効果も予測しうる程度のものである。
よって、前記「カード5?7」の各種類毎の集合体である“デッキ”において、“デッキ”内の「カード5?7」をさらに詳細にカテゴライズして、前記<相違点3>に係る本件補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。


(3-4) 特許性についての検討のまとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に開示された発明及び前記周知事項から、当業者が容易に想到しうるものであるから、
本願補正発明は、特許法第29条第2項に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。


(4) むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
(1) 本願発明
平成23年3月25日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本出願に係る発明は、平成22年11月15日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲により特定されるとおりのものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 【請求項1】
ゲームキットであって、
該ゲームキットは、
a)複数の印でマークされたゲームプレイ面であって、該複数の印のうちのいくつかは、複数の色のうちの1つに関連付けられ、該複数の印のうちのいくつかは、該複数の色の全てに関連付けられる、ゲームプレイ面と、
b)該ゲームプレイ面の該複数の印上に位置する複数のマーカーと、
c)複数のカードのデッキであって、該複数のカードのデッキの各々は、複数のカードを含み、該複数のカードの各々は、プレイヤーにアクティビティーを実行させるための指示をする印を有し、該アクティビティーのパフォーマンスにより該ゲームプレイ面での該複数のマーカーのうちの1つのマーカーの進行が決定される、複数のカードのデッキと
を備え、
i)該複数のカードのデッキの各々は、1つ以上の関連するヒトの能力に関連付けられたアクティビティーに関するカードを含み、該1つ以上の関連するヒトの能力は、該複数のカードのデッキのうちの他のデッキに含まれるカードのアクティビティーに関連付けられたヒトの能力とは少なくとも部分的に異なり、
ii)該複数のカードのデッキの各々は、少なくとも、第1アクテティビティータイプに関するカードの第1サブセットと、該第1アクティビティータイプとは異なる第2アクティビティータイプに関するカードの第2サブセットとを含み、
iii)該複数のカードのデッキの各々は、該複数の色のうちの1つの色と、対応する複数の印とに関連付けられ、
iv)該複数のカードのデッキの全ては、該複数の色の全てに関連付けられた該複数の印に対応する、ゲームキット。」

(2) 引用文献に記載されている事項
引用文献に記載された発明及び周知事項については、前記2.(3)で説示のとおりである。

(3) 対比・判断
本願発明(補正前の請求項1に係る発明)は、前記2.で検討した本願補正発明(補正後の請求項1に係る発明)から、補正前の請求項2に記載された事項を削除し、実際上の意味内容を変更しない程度に表現を補正したものである。
そうすると、
前記2.に記載したとおり、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明は、引用発明、引用文献2に開示された発明及び前記周知事項から、当業者が容易に想到しうるものであるから、
本願発明も、本願補正発明についての理由と同様の理由により、引用発明、引用文献2に開示された発明及び前記周知事項から、当業者が容易に想到しうるものである。

(4) むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に開示された発明及び前記周知事項から、当業者が容易に想到しうるものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-09 
結審通知日 2011-12-12 
審決日 2011-12-27 
出願番号 特願2008-117911(P2008-117911)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高木 亨  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 吉村 尚
秋山 斉昭
発明の名称 複数のゲームアクティビティーを有するゲーム  
代理人 安村 高明  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  
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