• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41H
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A41H
管理番号 1257004
審判番号 不服2009-5748  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-16 
確定日 2012-05-11 
事件の表示 特願2002-549302「使い捨て吸収性物品形体の配列及び着用者用使い捨て吸収性物品形体を特定するための販売ディスプレーシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月20日国際公開、WO02/47733、平成17年 1月20日国内公表、特表2005-501975〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2001年12月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年12月12日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年12月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成21年3月16日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成21年4月15日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成21年4月15日付け手続補正についての補正却下の決定
【補正却下の決定の結論】
平成21年4月15日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

【理由】
2-1.本件補正
本件補正は、補正前の特許請求の範囲に、
「 【請求項1】
発達の種々の段階で着用者に適合するように設計された使い捨て吸収性物品形体の配列であって、
第一吸収性物品形体であって、着用者の発達の第一段階に対応するように設計されたシャーシを含む第一吸収性物品形体と、
第二吸収性物品形体であって、着用者の発達の第二段階に対応するように設計されたシャーシを含む第二吸収性物品形体と、を含み、
前記第一吸収性物品形体と第二吸収性物品形体は、構造的に相違によって識別可能である配列。
【請求項2】
前記着用者の発達の第一段階が、動き回る以前の時期を含んでなり、その段階において前記着用者は新生児及び動かない幼児を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項3】
前記着用者の発達の第二段階が、這う時期を含んでなり、その段階に前記着用者が勢いよく進むこと、ころがること、及び這うことができる、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項4】
着用者の発達の第三段階に対応するように設計されたシャーシを含む第三吸収性物品形体を更に含んでなる、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項5】
前記着用者の発達の第三段階が、歩く時期を含んでなり、その段階に前記着用者が立つこと、歩くこと、及び走り始めることができる、請求項4に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項6】
着用者の発達の第四段階に対応するように設計されたシャーシを含む第四吸収性物品形体を更に含んでなる、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項7】
前記発達の第四段階が学習する時期を含んでなり、その段階に前記着用者が服を着ることができるようになる、請求項6に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項8】
着用者の発達の第五段階に対応するように設計されたシャーシを含む第五吸収性物品形体を更に含んでなる、請求項7に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項9】
前記発達の第五段階が、しつけの時期を含んでなり、その段階において前記着用者が排泄のしつけ中である、請求項8に記載の使い捨て吸収性物品形体の配列。
【請求項10】
第一の包装に封入された第一形体の吸収性物品と、
前記第一の包装に付され、大人と発達の第一段階に対応する幼児として表現された第一の幼児とを描いた第一のしるしと、
第二の包装に封入された第二形体の吸収性物品と、
前記第二の包装に付され、大人と発達の第二段階に対応する幼児として表現された第二の幼児とを描いた第二のしるしと、を有し、
前記第一形体と第二形体は、構造的に相違によって識別可能である使い捨て吸収性物品製品の配列。
【請求項11】
第三の包装に封入された第三形体の吸収性物品と、
前記第三の包装に付され、発達の第三段階に対応する第三のしるしと、
を更に含む、請求項10に記載の配列。
【請求項12】
第四の包装に封入された第四形体の吸収性物品と、
前記第四の包装に付され、発達の第四段階に対応する第四のしるしと、
を更に含む、請求項11に記載の配列。
【請求項13】
前記第一段階は、動き回る以前の時期を含んでいる、請求項10に記載の配列。
【請求項14】
前記第二段階は、這う時期を含んでいる、請求項10に記載の配列。
【請求項15】
前記第三段階は、歩く時期を含んでいる、請求項11に記載の配列。
【請求項16】
前記第四段階は、学習する時期を含んでいる、請求項11に記載の配列。
【請求項17】
前記しるしの少なくとも一つは、母親を描いている、請求項10に記載の配列。
【請求項18】
第一の包装に封入された第一形体の吸収性物品と、
前記第一の包装に付され、大人と発達の第一段階に対応する行動または活動を行っている幼児として表現された第一の幼児とを描いた第一のしるしと、
第二の包装に封入された第二形体の吸収性物品と、
前記第二の包装に付され、大人と発達の第二段階に対応する行動または活動を行っている幼児として表現された第二の幼児とを描いた第二のしるしと、を有し
前記第一形体と第二形体は、構造的に相違によって識別可能である使い捨て吸収性物品製品の配列。
【請求項19】
第三の包装に封入された第三形体の吸収性物品と、
前記第三の包装に付され、大人と発達の第三段階に対応する行動または活動を行っている幼児として表現された第三の幼児とを描いた第三のしるしと、を更に含む、請求項18に記載の配列。
【請求項20】
前記発達の第一段階に対応する行動または活動は、勢いよく進むこと、転がること、及び這うことのうちの一つである、請求項18に記載の配列。
【請求項21】
前記発達の第二段階に対応する行動または活動は、立つこと、歩くこと、及び走ることのうちの一つである、請求項18に記載の配列。
【請求項22】
前記発達の第三段階に対応する行動または活動は、服を着ることを含む、請求項19に記載の配列。」
とあるのを、
「【請求項1】
第一の装着者につけられた第一の吸収性物品を描いた第一のしるしを有する、新生児、歩き始める前の幼児、歩き始めた幼児のための吸収性物品の第一の包装と、
第二の装着者につけられた第二の吸収性物品を描いた第二のしるしを有する、新生児、歩き始める前の幼児、歩き始めた幼児のための吸収性物品の第二の包装と、を有し、
前記第一と第二の吸収性物品は異なる形体を有している、販売ディスプレーシステム。
【請求項2】
前記第一の吸収性物品の形体は臍の緒のくぼみを有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項3】
前記第一の吸収性物品の形体は前記第一の吸収性物品の毛布のような感触を提供する特徴を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項4】
前記第一の吸収性物品の形体は、前記第一の吸収性物品を前記第一の装着者により良く適合させる特徴を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項5】
前記第一の吸収性物品の形体は、前記第一の装着者の自由な動きを可能にする特徴を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項6】
前記第一の吸収性物品の形体は、狭い股領域を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項7】
前記第一の吸収性物品の形体は、可撓性ファスナーを有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項8】
前記第一の吸収性物品の形体は、高拡張側部を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項9】
前記第一の吸収性物品の形体は、前記第一の吸収性物品の湿り度を示す特徴を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項10】
前記第二の吸収性物品の形体は前記第二の吸収性物品の毛布のような感触を提供する特徴を有している、請求項2記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項11】
前記第二の吸収性物品の形体は、前記第二の吸収性物品を前記第二の装着者により良く適合させる特徴を有している、請求項3記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項12】
前記第二の吸収性物品の形体は、前記第二の装着者の自由な動きを可能にする特徴を有している、請求項3記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項13】
前記第二の吸収性物品の形体は、狭い股領域を有している、請求項3記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項14】
前記第二の吸収性物品の形体は、可撓性ファスナーを有している、請求項7記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項15】
前記第二の吸収性物品の形体は、高拡張側部を有している、請求項7記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項16】
前記第二の吸収性物品の形体は、前記第二の吸収性物品の湿り度を示す特徴を有している、請求項8記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項17】
前記第一と第二の吸収性物品の形体は、異なる図形を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項18】
第三の装着者につけられた第三の吸収性物品を描いた第三のしるしを有する、新生児、歩き始める前の幼児、歩き始めた幼児のための吸収性物品の第三の包装をさらに有し、
前記第三の吸収性物品は前記第一と第二の吸収性物品と異なるシャーシを有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項19】
前記第三の吸収性物品のシャーシはプルオンシャーシである、請求項18記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項20】
前記第三の吸収性物品は、下着のような形体を有している、請求項19記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項21】
前記第一の装着者は転がっており、前記第二の装着者は座っている、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項22】
前記第一の装着者は座っており、前記第二の装着者は這っている、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項23】
前記第一の装着者は這っており、前記第二の装着者は座っている、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項24】
前記第一の装着者は座っており、前記第二の装着者は立っている、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項25】
前記第一と第二の吸収性物品のシャーシはテープスタイルである、請求項18記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項26】
前記第一と第二の吸収性物品は前記異なる形体に関係づけられた異なる製品名を有している、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項27】
前記第一の包装は第一の寸法範囲を有し、前記第二の包装は第二の寸法範囲を有し、前記第一と第二の寸法範囲は少なくとも部分的に重なっている、請求項1記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項28】
前記第一と第二の寸法範囲は体重による範囲である、請求項27記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項29】
第一の装着者につけられた第一の吸収性物品を描いた第一のしるしと、第一の吸収性物品の形体を描いた第二のしるしを有する、新生児、歩き始める前の幼児、歩き始めた幼児のための吸収性物品の第一の包装と、
第二の装着者につけられた第二の吸収性物品を描いた第三のしるしと、第二の吸収性物品の形体を描いた第四のしるしを有する、新生児、歩き始める前の幼児、歩き始めた幼児のための吸収性物品の第二の包装と、を有する、販売ディスプレーシステム。
【請求項30】
前記第一の吸収性物品の形体は臍の緒のくぼみを有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項31】
前記第一の吸収性物品の形体は前記第一の吸収性物品の毛布のような感触を提供する特徴を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項32】
前記第一の吸収性物品の形体は、前記第一の吸収性物品を前記第一の装着者により良く適合させる特徴を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項33】
前記第一の吸収性物品の形体は、前記第一の装着者の自由な動きを可能にする特徴を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項34】
前記第一の吸収性物品の形体は、狭い股領域を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項35】
前記第一の吸収性物品の形体は、可撓性ファスナーを有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項36】
前記第一の吸収性物品の形体は、高拡張側部を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項37】
前記第一の吸収性物品の形体は、前記第一の吸収性物品の湿り度を示す特徴を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項38】
前記第二の吸収性物品の形体は前記第二の吸収性物品の毛布のような感触を提供する特徴を有している、請求項30記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項39】
前記第二の吸収性物品の形体は、前記第二の吸収性物品を前記第二の装着者により良く適合させる特徴を有している、請求項31記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項40】
前記第二の吸収性物品の形体は、前記第二の装着者の自由な動きを可能にする特徴を有している、請求項31記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項41】
前記第二の吸収性物品の形体は、狭い股領域を有している、請求項31記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項42】
前記第二の吸収性物品の形体は、可撓性ファスナーを有している、請求項35記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項43】
前記第二の吸収性物品の形体は、高拡張側部を有している、請求項35記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項44】
前記第二の吸収性物品の形体は、前記第二の吸収性物品の湿り度を示す特徴を有している、請求項36記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項45】
前記第一と第二の吸収性物品の形体は、異なる図形を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項46】
第三の装着者につけられた第三の吸収性物品を描いた第三のしるしを有する、新生児、歩き始める前の幼児、歩き始めた幼児のための吸収性物品の第三の包装をさらに有し、
前記第三の吸収性物品は前記第一と第二の吸収性物品と異なるシャーシを有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項47】
前記第三の吸収性物品のシャーシはプルオンシャーシである、請求項46記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項48】
前記第三の吸収性物品は、下着のような形体を有している、請求項47記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項49】
前記第一の装着者は転がっており、前記第二の装着者は座っている、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項50】
前記第一の装着者は座っており、前記第二の装着者は這っている、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項51】
前記第一の装着者は這っており、前記第二の装着者は座っている、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項52】
前記第一の装着者は座っており、前記第二の装着者は立っている、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項53】
前記第一と第二の吸収性物品のシャーシはテープスタイルである、請求項46記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項54】
前記第一と第二の吸収性物品は前記異なる形体に関係づけられた異なる製品名を有している、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項55】
前記第一の包装は第一の寸法範囲を有し、前記第二の包装は第二の寸法範囲を有し、前記第一と第二の寸法範囲は少なくとも部分的に重なっている、請求項29記載の販売ディスプレーシステム。
【請求項56】
前記第一と第二の寸法範囲は体重による範囲である、請求項55記載の販売ディスプレーシステム。」
と補正するものある。

2-2.判断
本件補正において、請求項数を22から56へ増加する補正(請求項の削除に伴って必然的に生じる請求項の従属形式から独立形式への変更などの補正とは認められない。)及び発明の対象を「配列」から「販売ディスプレーシステム」と変更する補正は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、また、請求項の削除、誤記の訂正、または、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでないことも明らかである。

2-3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号のいずれを目的とするものにも該当しないから、同法第17条の2第4項の規定に違反するもので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成21年4月15日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年3月31日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「発達の種々の段階で着用者に適合するように設計された使い捨て吸収性物品形体の配列であって、
第一吸収性物品形体であって、着用者の発達の第一段階に対応するように設計されたシャーシを含む第一吸収性物品形体と、
第二吸収性物品形体であって、着用者の発達の第二段階に対応するように設計されたシャーシを含む第二吸収性物品形体と、を含み、
前記第一吸収性物品形体と第二吸収性物品形体は、構造的に相違によって識別可能である配列。」

4.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である大王製紙株式会社の「elleair 2000年春新商品カタログ」(特許庁意匠課、平成12年1月26日受入)(以下、「引用文献1」という。)には、以下の各事項が記載されている。

(a)第9頁には、品名「フレンド スーパーVパンツ」について、Lサイズ及びビッグサイズの各パッケージが配列された下記の写真が掲載され、
また、「市場規模〔当社調査〕」と題し、M?ビッグサイズについて、パンツ式紙おむつをテープ式紙おむつと比較した市場規模に係る事項が記載。



(b)第11頁には、上記「フレンド スーパーVパンツ」についての商品特長が、そのパンツ式紙おむつの外観と共に記載。

(c)第13頁には、品名「フレンド スーパーさらっと」について、新生児用、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ及びビッグサイズの各パッケージが配列された下記の写真が掲載。



(d)第14頁には、上記「フレンド スーパーVさらっと」の新生児用及びSサイズについての商品特長が、そのテープ式紙おむつの外観と共に記載。

(e)第16頁には、上記「フレンド スーパーVさらっと」のM?ビッグサイズについての商品特長が、そのテープ式紙おむつの外観と共に記載。

(f)第19頁には、品名「テークケア らくらくパンツ うす型すっきりタイプ」の男性用及び女性用、それらの後方に、品名「テークケア らくらくパンツ 長時間しっかりタイプ」の男性用及び女性用、並びに、品名「テークケア テープ止めタイプ」の各パッケージが配列された下記の写真が掲載。



(g)第21頁には、上記「テークケア らくらくパンツ うす型すっきりタイプ」の男性用及び女性用について、各2サイズのパッケージが配列された写真が掲載され、
また、第22頁には、上記「テークケア らくらくパンツ うす型すっきりタイプ」の男性用及び女性用の商品特長が、そのパンツ式紙おむつの外観と共に記載。

(h)第23頁には、上記「テークケア らくらくパンツ 長時間しっかりタイプ」の男性用及び女性用について、各2サイズのパッケージが配列された写真が掲載され、
また、上記「テークケア らくらくパンツ 長時間しっかりタイプ」の男性用及び女性用の商品特長が記載。

(i)第24頁には、上記「テークケア テープ止めタイプ」について、そのパッケージの写真が掲載され、
また、上記「テークケア テープ止めタイプ」の商品特長が、テープ式紙おむつの外観と共に記載。

(j)第28頁?第31頁には、ベビー用品として上記「フレンド スーパーVパンツ」及び「フレンド スーパーVさらっと」、また、介護用品として「テークケア らくらくパンツ うす型すっきりタイプ」、「テークケア らくらくパンツ 長時間しっかりタイプ」及び「テークケア テープ止めタイプ」の各サイズについて、パッケージのサイズ、個装入数等の商品規格が一覧で記載。

以上の記載のうち記載事項(c)?(e)及び(j)によると、引用文献1には、
「各種サイズのテープ式紙おむつをそれぞれ複数個収納したパッケージの配列であって、新生児用、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ及びビッグサイズの各サイズのテープ式紙おむつをそれぞれ複数個収納したパッケージの配列。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

5.対比
本願発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「テープ式紙おむつ」は、本願発明の「使い捨て吸収性物品形体」に相当し、
また、引用発明の各サイズの「テープ式紙おむつ」は、引用文献1の上記記載事項(d)及び(e)に記載されているように、それぞれ着用する乳幼児の発達の段階に適合するように設計されていることは明らかであること、
そして、引用発明の各サイズの紙おむつは、パッケージに収納された状態で配列されているが、各サイズの紙おむつが配列されていることには変わりはないことより、両者は、
「発達の種々の段階で着用者に適合するように設計された使い捨て吸収性物品形体の配列。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点;本願発明では、配列が、第一吸収性物品形体であって、着用者の発達の第一段階に対応するように設計されたシャーシを含む第一吸収性物品形体と、第二吸収性物品形体であって、着用者の発達の第二段階に対応するように設計されたシャーシを含む第二吸収性物品形体と、を含み、前記第一吸収性物品形体と第二吸収性物品形体は、構造的に相違によって識別可能であるのに対し、引用発明では、そのようになっていない点。

6.判断
上記相違点について検討すると、
引用発明のテープ式紙おむつのパッケージの配列は、該テープ式紙おむつを商品カタログにおいて紹介するためのものであり、また、該テープ式紙おむつは、新生児の段階以上の乳幼児に対応したものである。
一方、引用文献1の上記記載事項(a)には、引用発明のテープ式紙おむつと構造的に相違するパンツ式紙おむつのパッケージの配列が記載されており、また、上記パンツ式紙おむつは、上記新生児より発達した段階以上の乳幼児に対応したものであり、引用発明のテープ式紙おむつとは構造的な相違によって識別可能なものと認められる。
また、引用文献1の上記記載事項(f)に、介護用の紙おむつではあるが、構造的に相違する複数種類の紙おむつのパッケージが配列されたものが記載されているように、商品カタログにおいて、構造的に相違する商品を組み合わせて配列して紹介することは、通常よく行われていることである。
よって、引用発明において、新生児の段階以上の乳幼児に対応したテープ式紙おむつのパッケージの配列に加えて該新生児より発達した段階以上の乳幼児に対応したパンツ式紙おむつのパッケージを配列すること(例えば、以下のような配列。)により、上記相違点の本願発明のようになすことは、当業者が容易になし得たものである。

(注:引用文献1の上記記載事項(a)及び(c)の写真を合成して作成した。)

なお、引用発明において、新生児用及びSサイズの紙おむつとM?ビッグサイズの紙おむつとは、それぞれ対応する乳幼児の発達段階は相違していること、また、それぞれ相違した商品特長を有するもので(引用文献1の上記記載事項(d)及び(e)参照。)、相違した構造を有し、当然それらを識別可能なものと認められることから、引用発明は、本願発明と差がないものともいえる。
さらに、仮に、本願明細書の段落【0017】に記載されているように(ただし、「配列」の用語は記載されていない。)、本願発明の「配列」が、店舗の棚への商品の配置を意味するものと限定的に解釈しても、店舗の棚へパンツ式紙おむつ及びテープ式紙おむつなど構造的に相違した複数種類の商品を配置することは、ごく普通に行われていることであるから、上記のように限定的に解釈しても、本願発明には進歩性は認められない。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-21 
結審通知日 2011-02-22 
審決日 2011-03-07 
出願番号 特願2002-549302(P2002-549302)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A41H)
P 1 8・ 57- Z (A41H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 直渋谷 善弘  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 豊島 ひろみ
鳥居 稔
発明の名称 使い捨て吸収性物品形体の配列及び着用者用使い捨て吸収性物品形体を特定するための販売ディスプレーシステム  
代理人 岡田 淳平  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 吉武 賢次  
代理人 永井 浩之  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ