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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E04B
管理番号 1257077
審判番号 不服2011-4747  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-02 
確定日 2012-05-14 
事件の表示 特願2005-168185「間仕切り構造」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月21日出願公開,特開2006-342558〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成17年6月8日を出願日とする特許出願であって,平成22年12月17日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年3月2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同日受付の手続補正書により特許請求の範囲及び明細書の補正(以下,「請求時補正」という。)がなされたものである。
その後,当審にて,平成23年11月29日付けで請求時補正について補正の却下の決定を行い,同日付で拒絶理由通知(最後)を行ったところ,平成24年1月30日に意見書が提出されるとともに,同日受付の手続補正書により明細書及び図面の補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。

第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
(1)本件補正後の請求項1
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである。(下線は,補正前(平成22年4月27日受付の手続補正書を参照)と補正後との変更箇所について当審にて付与。)

「間仕切りと間仕切りとを直線的にあるいは直交させて突合せする間仕切り構造において,
各間仕切りの端面に上端から下端に亘って取り付けられる縦枠材が断面コの字形状であり,
前記縦枠材のコの字形状の開口部が間仕切りの端面に嵌め込まれ,
前記コの字形状の開口部以外の外周面のそれぞれの面に,上端から下端に亘って断面半月状の溝が設けられており,
突合せる間仕切りと間仕切りとを直線的に突合せる場合には,突合わされる一方の縦枠材の背面と他方の縦枠材の背面に設けられた前記断面半月状の溝のどちらか一方の溝に,
そして,間仕切りを直交させて突合せする場合には,突合わされる一方の縦枠材の背面と他方の縦枠材の側面に設けられた前記断面半月状の溝のどちらか一方の溝に,
前記断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さの断面楕円形状の遮光突条を嵌め込んで取り付けられていて,他方の間仕切りが突合わされた時に,前記遮光突条が他方の間仕切りの溝に嵌まり込み突合せされることを特徴とする間仕切り構造。」

ここで,平成24年1月30日受付の手続補正書中の「…他方の両間仕切りが突合わされた時に,…」との記載は,記載内容の整合や請求時補正の記載を考慮して,「…他方の間仕切りが突合わされた時に,…」と記載すべきところの誤記であると認定した。

(2)請求項1の補正事項
本件補正は,補正前の請求項1に発明を特定するために必要な事項(以下,「発明特定事項」という。)として記載された
(α)「…接続する間仕切り接続構造」について,「…突合せする間仕切り構造」とし,
(β)「断面半月状の溝」について,「上端から下端に亘って」設けられていることを限定し,
(γ)遮光突条を嵌め込む溝について,「接続する間仕切りと間仕切りとを突合せたときに生じる断面半月状の対面する溝同士により形成される楕円形の溝」としていたものを,間仕切りと間仕切りとを直線的に接続する場合と,間仕切りと間仕切りとを直線的に接続する場合と直交させて接続する場合とに分けて,それぞれ「突合わされる一方の縦枠材の背面と他方の縦枠材の背面に設けられた断面半月状の溝のどちらか一方の溝」と,「突合わされる一方の縦枠材の背面と他方の縦枠材の側面に設けられた断面半月状の溝のどちらか一方の溝」とし,
(δ)「断面楕円形状の遮光突条」について,「断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さ」と限定し,
(ε)「断面楕円形の遮光突条を嵌め込んで両間仕切りを接続すること」について,「断面楕円形状の遮光突条を嵌め込んで取り付けられていて,他方の両間仕切りが突合わされた時に,前記遮光突条が他方の間仕切りの溝に嵌まり込み突合せされる」
とそれぞれ補正するものである。

2.補正の適否の判断
2-1.目的要件
補正事項(α)については,補正前の請求項1の「接続する間仕切りと間仕切りとを突合せたとき…断面楕円形の遮光突条を嵌め込んで両間仕切りを接続する」との記載からして,「突合せ」自体を「接続」と称していたと解されることから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明である。
補正事項(β)及び(δ)は,同条第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
補正事項(γ)は,遮光突条を嵌め込む溝について,補正前の請求項1に記載されていた「間仕切りと間仕切りとを直線的にあるいは直交させて接続する」それぞれの接続態様に場合分けして記載するものであるから,同条第4項第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明である。
補正事項(ε)は,遮光突条を嵌め込む手順を明らかにしているが,「物」の発明である「間仕切り構造」からは,遮光突条がどのような手順で嵌め込まれたものであるのかを特定できないので,補正前の「断面楕円形の遮光突条を嵌め込んで両間仕切りを接続する」態様を明瞭化したものと認定でき,同条第4項第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明である。

2-2.独立特許要件
本件補正は,上記補正事項(β)及び(δ)のように,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例
(イ)引用例1
当審における拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された刊行物である
実願昭62-21874号(実開昭63-129011号)のマイクロフィルム(以下,「引用例1」という。)
には,次の事項が記載されている。

(a1)「[産業上の利用分野]
本考案は展示会や事務室等に用いる簡易間仕切に関するものである。」(第1頁第13?15行目)

(b1)「[実施例]
図中1は仕切板,2,3は仕切板1の両端縁に嵌込む接続金具である。接続金具2,3は何れも仕切板1に嵌まる凵形嵌着部4を設け,一方の接続金具2には凵形嵌着部4の先に正方形枠部5を一体に連設し,三方に半円形嵌合溝6を形成する。尚嵌合溝6は第3図及び第4図6',6"に示すようにV形又は台形状にしても差支えない。
他方の接続金具3は嵌着部4のと一体の接合板7の先端縁に半円形嵌合溝6に適合する突条8を一体に設けてある。」(第2頁第12行目?第3頁第3行目)

(c1)「[考案の効果]
本考案によれば,仕切板は極めて簡単かつ確実に接続でき,特に嵌合溝は奥側が漸次狭くなっているため密着作用が良好でがたつくことがない。」(第3頁第8?12行目)

(d1)第1図及び第5図には,符号「2」及び「3」で示される接続金具が,符号「1」で示される仕切板の端面の上端から下端に亘って取り付けられていること,符号「6」で示される嵌合溝が,符号「2」で示される接続金具の上端から下端に亘って設けられていること,符号「8」で示される突条が,符号「3」で示される接続金具の上端から下端に亘って設けられていること,が記載されている。また,第5図には,符号「2」及び「3」で示される接続金具が,同じ仕切り板の端面に取り付けられていることが記載されているから,符号「2」及び「3」で示される接続金具は同じ長さであって,符号「8」で示される突条が,符号「6」で示される嵌合溝の上端から下端に亘って嵌まり込み突合わせられるようになることは自明である。

(e1)第2図[B]には,仕切板1と仕切板1とを直線的に突合せる間仕切り構造の態様が記載され,図面左側の仕切板1の端面に嵌め込まれた接続金具2の凵形嵌着部4と対向する面の裏側に設けられた半円形嵌合溝6に,図面右側の仕切板1の端面に嵌め込まれた接続金具3の前記凵形嵌着部4と対向する接合板7の裏側に設けられた突条8が嵌まり込み突合わせされている様子が記載されている。

(f1)第2図[D]には,仕切板1と仕切板1とを直交させて突合せする間仕切り構造の態様が記載され,図面右側の仕切板1の端面に嵌め込まれた接続金具2の図面下側(側面)に設けられた半円形嵌合溝6に,図面下側の仕切板1の端面に嵌め込まれた接続金具3の凵形嵌着部4と対向する接合板7の裏側に設けられた突条8が嵌まり込み突合わせされる様子が記載されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例1には以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「仕切板1と仕切板1とを直線的にあるいは直交させて突合せする間仕切り構造において,
各仕切板1の端面に上端から下端に亘って取り付けられる接続金具2,3が断面凵形状であり,
前記接続金具2,3の凵形嵌着部4が仕切板1の端面に嵌め込まれ,
前記接続金具2の前記凵形嵌着部4の先の正方形枠部5の三方に,上端から下端に亘って半円形嵌合溝6が設けられており,
前記接続金具3の前記凵形嵌着部4と対向する接合板7の裏側に,上端から下端に亘って突条8が設けられており,
突合わせる仕切板1と仕切板1とを直線的に突合せる場合には,突合わされる一方の仕切板1の端面に嵌め込まれた前記接続金具2の前記凵形嵌着部4と対向する面の裏側に設けられた前記半円形嵌合溝6の上端から下端に亘って,他方の仕切板1の端面に嵌め込まれた前記接続金具3の前記突条8が嵌まり込み突合わせされ,
そして,仕切板1を直交させて突合せする場合には,突合わされる一方の仕切板1の端面に嵌め込まれた前記接続金具2の側面に設けられた前記半円形嵌合溝6の上端から下端に亘って,他方の仕切板1の端面に嵌め込まれた前記接続金具3の前記突条8が嵌まり込み突合わせされる間仕切り構造。」

(ロ)引用例2
当審における拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された刊行物である
実願昭52-42094号(実開昭53-137515号)のマイクロフィルム(以下,「引用例2」という。)
には,次の事項が記載されている。

(a2)「本考案は組立式パネルに係り,特に使用箇所に応じて使い分けの出来る単体形状の統一されたパネルに関する。」(第2頁第3?5行目)

(b2)「従来より発泡物質を芯材となして形成された断熱パネルを組合せて箱構造体を組立ることが広く行われている。この種のパネルは所定の構造を組立る為に複数個を並べて各端面同志を接合したり,或いは直交させて接合する必要があり,これらの接合部の正確な接合を得る為に突起と溝の如き嵌合手段即ち位置決め手段を接合面に設けることが必要とされている。例えば第1図に示す如き箱構造体を組立る場合には,第2図に示される如く天井及び床パネルに関するだけでもパネル端面の一方のみに嵌合溝が形成されたパネル1,両端面に嵌合溝が形成されたパネル2,一方の端面と他方の端部側面とに嵌合溝が形成されたパネル3の3種類のパネルが必要であり,更に構造が複雑化した場合にはこれに応じて更に他の形状のパネルが必要となる。このような状況に於て,従来は夫々のパネルを個々に製造していたので製造工程が多く効率良い製造が出来ないうえ,製造中の管理が複雑であつて製造コストを高めるのみならず,製造後に於てもパネル管理が繁雑となる欠点を有していた。」(第2頁第6行目?第3頁第11行目)

(c2)「それ故に本考案の目的は前述した欠点を解消し,形状統一を計つて効果的に製造及び管理の出来る組立式パネルを提供することにある。」(第3頁第12?14行目)

(d2)「図面を参照して詳述すれば第3図には本考案による第1の具体例を示している。このパネル4は表面板5及び6の端縁に枠材7が取付けられ,内部に芯材として発泡物質8が充填されて製造されるものである。この枠材7は合成樹脂材又は金属より作られ得るものであり,本考案の特徴によりその端面及び側面に夫々嵌合溝9が形成されるとともに剥取部10が嵌合溝9を塞いだ状態にて一体形成されている。この剥取部10は適当な手段で容易且つ正確に剥取られ得るように両端に切欠線11が形成されているが,剥取られない状態にあつては或る程度の強度を与え,又外観的に好ましい外形を呈するようになされているのである。」(第4頁第8行目?第5頁第5行目)

(e2)「このようなパネル4は例えば第2図に於けるパネル1及び2の如き端面同志の接合を行う場合,第4図に示す如く端面に形成された剥取部10を適当な手段にて剥取り,これによつて露出された嵌合溝9を互いに対置させ,これら溝同志を位置決めする為の嵌合部材12を嵌込んでパネル同志の所定の接合が行われるのである。」(第5頁第6?12行目)

(f2)「又第2図に於けるパネル3の如く直交して接合する場合には,第5図に示す如く側面に形成された剥取部10を同様に剥取り,これにより露出した嵌合溝9を例えば第2図の壁パネルに相当するパネル13に形成された嵌合溝9'と対置させ,嵌合部材12を嵌込んで行われるのである。この場合も端面の剥取部10はそのまま残され,前述の如く強度及び外観的に有利となすのである。ここでパネル13はパネル4の如き枠材7を有するパネルとして形成出来ることは勿論可能である。」(第6頁第1?11行目)

(g2)第4図及び第5図には,符号「9」又は「9'」で示される嵌合溝の形状として,断面長半円状のものが記載され,また,符号「12」で示される嵌合部材の形状として,断面楕円形状のものが記載されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例2には,以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「パネル4の端縁に,その端面及び側面に夫々嵌合溝9が形成された枠材7を取付け,相互に突き合わされる枠材7間で対面することとなる断面長半円状の嵌合溝9,9のそれぞれに,断面楕円形状の嵌合部材12を嵌込んで接合する組立式パネルの接合構造。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると,
・引用発明1の「仕切板1」は,本願補正発明の「間仕切り」に相当し,以下同様に,
・「接続金具2」又は「接続金具3」は,「縦枠材」に,
・「断面凵形状」は,「断面コの字形状」に,
・「凵形嵌着部4」は,「コの字形状の開口部」に,
・「凵形嵌着部4の先の正方形枠部5の三方」は,「コの字形状の開口部以外の外周面のそれぞれの面」に,
・「半円形嵌合溝6」は,「断面半月状の溝」に,
それぞれ相当する。
また,
・引用発明1の「接続金具2の凵形嵌着部4の先の正方形枠部5の三方に,上端から下端に亘って半円形嵌合溝6が設けられ」ることと,本願補正発明の「(縦枠材の)コの字形状の開口部以外の外周面のそれぞれの面に,上端から下端に亘って断面半月状の溝が設けられ」ることとは,「突合せする間仕切りの少なくとも一方の間仕切りに嵌め込まれる縦枠材のコの字形状の開口部以外の外周面のそれぞれの面に,上端から下端に亘って断面半月状の溝が設けられ」ることで共通し,以下同様に,
・「突条8」と「遮光突条」とは,「突条」である点において共通し,
・「接続金具3の凵形嵌着部4と対向する接合板7の裏側に,上端から下端に亘って突条8が設けられて」いて,「突合わされる一方の仕切板1の端面に嵌め込まれた接続金具2の凵形嵌着部4と対向する面の裏側に設けられた半円形嵌合溝6の上端から下端に亘って,他方の仕切板1の端面に嵌め込まれた前記接続金具3の前記突条8が嵌まり込み突合わせされ」る態様と,「突合わされる一方の縦枠材の背面と他方の縦枠材の背面に設けられた断面半月状の溝のどちらか一方の溝に,…断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さの断面楕円形状の遮光突条を嵌め込んで取り付けられていて,他方の両間仕切りが突合わされた時に,前記遮光突条が他方の間仕切りの溝に嵌まり込み突合せされる」態様とは,「突合わされる少なくとも一方の縦枠材の背面に設けられた断面半月状の溝に,前記断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さの突条が嵌まり込み,該突条を介して突合せされる」態様において共通し,
・「接続金具3の凵形嵌着部4と対向する接合板7の裏側に,上端から下端に亘って突条8が設けられて」いて,「突合わされる一方の仕切板1の端面に嵌め込まれた接続金具2の側面に設けられた半円形嵌合溝6の上端から下端に亘って,他方の仕切板1の端面に嵌め込まれた前記接続金具3の前記突条8が嵌まり込み突合わせされる」態様と,「突合わされる一方の縦枠材の背面と他方の縦枠材の側面に設けられた断面半月状の溝のどちらか一方の溝に,断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さの断面楕円形状の遮光突条を嵌め込んで取り付けられていて,他方の両間仕切りが突合わされた時に,前記遮光突条が他方の間仕切りの溝に嵌まり込み突合せされる」態様とは,「突合わされる少なくとも一方の縦枠材の側面に設けられた断面半月状の溝に,前記断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さの突条が嵌まり込み,該突条を介して突合せされる」態様において共通する。

してみると,両発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「間仕切りと間仕切りとを直線的にあるいは直交させて突合せする間仕切り構造において,
各間仕切りの端面に上端から下端に亘って取り付けられる縦枠材が断面コの字形状であり,
前記縦枠材のコの字形状の開口部が間仕切りの端面に嵌め込まれ,
前記突合せする間仕切りの少なくとも一方の間仕切りに嵌め込まれる縦枠材の前記コの字形状の開口部以外の外周面のそれぞれの面に,上端から下端に亘って断面半月状の溝が設けられており,
突合せる間仕切りと間仕切りとを直線的に突合せる場合には,突合わされる少なくとも一方の縦枠材の背面に設けられた断面半月状の溝に,
そして,間仕切りを直交させて突合せする場合には,突合わされる少なくとも一方の縦枠材の側面に設けられた断面半月状の溝に,
前記断面半月状の溝の上端から下端に亘る長さの突条が嵌まり込み,該突条を介して突合せされる間仕切り構造。」

[相違点1]
「縦枠材」に関して,本願補正発明では,突合わされる一方の縦枠材と他方の縦枠材とはいずれも断面半月状の溝を有する同じものであるのに対して,引用発明1では,突合わされる一方の縦枠材は断面半月状の溝を有するものの,他方の縦枠材は断面半月状の溝を有しておらず突条を有するものであって,突合わされる縦枠材が相互に異なっている点で相違しており,その結果,本願補正発明では,突き合わされる縦枠材間で対面することとなる断面半月状の溝のそれぞれに,縦枠材とは別体である断面楕円形状の突条が嵌め込んで取り付けられているのに対して,引用発明1では,突き合わされる一方の縦枠材に設けられた溝に,形状の異なる他方の縦枠材の突条が嵌まり込んでいる点で相違している。
ここで,本願補正発明では,突き合わされる縦枠材間で対面することとなる断面半月状の溝のいずれか一方の溝に,断面楕円形状の突条が嵌め込んで取り付けられていて,突合わされた時に,この突条が他方の間仕切り(縦枠材)の溝に嵌まり込み突合せされる旨が特定されているが,2-1.欄に記載したように,「物」の発明である「間仕切り構造」からは,断面楕円形状の突条がどのような手順で嵌め込まれたかを特定できないので,上記のように相違点1を認定した。

[相違点2]
「突条」に関して,本願補正発明では,「遮光突条」であるのに対して,引用発明では,遮光性を有するか不明な点で相違している。

(3)進歩性の判断
上記各相違点について以下に検討する。

(イ)相違点1について
引用発明2は,引用例2の上記摘記事項(b2)に記載されるように,組立式パネルの各端面同志を接合したり,或いは直交させて接合したりするにあたり,嵌合溝の形成位置が異なる複数種類の嵌合手段が必要となるという欠点を解決するための手段を提供するものであって,当該欠点は,接続金具2及び接続金具3という2種類の接続金具を有する引用発明1においても当てはまるものである。
また,引用発明1と引用発明2とは,間仕切りと間仕切りとを直線的にあるいは直交させて突合せする間仕切りの接続構造である点においても共通している。
したがって,引用発明1に,上記欠点の解決手段としての引用発明2を適用して,引用発明1の接続金具を,引用発明2の嵌合溝9に相当する半円形嵌合溝6が形成された接続金具2のみとするとともに,接続金具2どうしの突合わせに当たり,引用発明2に記載されるような断面楕円形状の嵌合部材12(本願補正発明の「突条」に相当。)を介在させるようにして,上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。

なお,相違点1に関連して,本願補正発明の請求項1で特定されている突条を嵌め込む手順,すなわち,突き合わされる縦枠材間で対面することとなる断面半月状の溝のいずれか一方の溝に,断面楕円形状の突条が嵌め込んで取り付けられていて,突合わされた時に,この突条が他方の間仕切り(縦枠材)の溝に嵌まり込み突合せされるという手順について,仮に相違点として認定したとしても,引用発明2に記載されたパネルの接合の手順としては,
(α)一方の枠材7の嵌合溝9に嵌合部材12を嵌め込んでから,他方の枠材7を突き合わせるか,
(β)一方の枠材7と他方の枠材とを突き合わせ段断面長半円の嵌合溝9,9を形成してから,嵌合部材12を挿入するか
のいずれかであり,組み立ての容易性を考慮して,上記(α)の手順を採用することは当業者が容易に想到し得た事項であるといえるので,上記のような認定をしたとしても,本願補正発明の進歩性が肯定されるものではないことを付記する。

(ロ)相違点2について
間仕切りどうしの隙間から漏れる光をなくすという課題は,特に公知文献を挙げるまでもなく周知な課題であるから,上記(イ)及び(ロ)欄に記載した引用発明1への引用発明2の適用に当たり,断面楕円形状の嵌合部材12(本願補正発明の「突条」に相当)を遮光性のものとすることにより,上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。

(ハ)請求人の主張について
請求人は,平成24年1月30日受付の意見書の3.a)欄において,引用例1に記載された発明について,「突条部分のみを上端部に延長することは不可能であり,そのように上部に延長されることは記載されてません。」,「もし延長できたとしても,…上端部において光漏れの防止ができません。」と主張している。
しかしながら,そもそも,本願補正発明の断面半月状の溝と断面楕円状の遮光突条とは同一の長さであり,遮光突条のみを突出させるものではない。そして,引用例1には,上記摘記事項(d1)に記載したように「符号「2」及び「3」で示される接続金具は同じ長さ」であることが開示されており,「突条8」を上部に延長することの開示がないことは,本願補正発明の進歩性を肯定する理由とはならない。また,上記摘記事項(d1)に記載したように「符号「8」で示される突条が,符号「6」で示される嵌合溝の上端から下端に亘って嵌まり込み突合わせられる」から,上端部において光漏れが生じるとは考えられない。
さらに,請求人は上記意見書3.b)欄において,引用例2に記載された発明について,「断熱パネルを組合わせて箱構造体を組立てるパネル同士の接続に関するもの」で,「光漏れの防止に関しては意を用いておらず,…上端から下端に亘る凹部内に断面楕円形状の突条に関しての記載,示唆はありません。」と主張している。
しかしながら,引用発明1と2との組み合わせの動機づけについては,上記(イ)欄で述べたとおりであり,また,引用発明1に適用する引用発明2は,引用例2に記載された発明のうち,パネルの接合構造に関する部分であるから,引用例2に開示された組立パネルが「断熱パネル」であることや,「光漏れの防止」について言及のないこと自体は,組み合わせを阻害する要因とはならない。また,突条8が嵌合溝6の上端から下端に亘って嵌まり込み突合わせられることについては,上記のとおり,引用例1に開示されている。
よって,請求人の主張は採用できない。

(ニ)効果の予測性について
本願補正発明の全体構成により奏される作用・効果,すなわち本願明細書の段落【0006】に記載される作用・効果は,引用発明1及び2並びに上記周知な技術的事項から,当業者が予測できた範囲内のものである。

(ホ)まとめ
よって,本願補正発明は,引用発明1及び2並びに周知な技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)独立特許要件の判断
以上のとおり,本願補正発明は,引用発明1及び2並びに周知な技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3.むすび
したがって,本件補正は,改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明の認定
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成22年4月27日受付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「間仕切りと間仕切りとを直線的にあるいは直交させて接続する間仕切り接続構造において,
断面コの字形状に形成され,コの字形状の開口部が間仕切りの端面に嵌め込まれる取付
部となっていて,前記コの字形状の開口部以外の外周面に,断面半月状の溝がそれぞれの面に設けられている縦枠材と,断面楕円形の遮光突条とを用いて,
前記縦枠材の開口部を接続する各間仕切りの端面に上端から下端に亘って取り付け,
接続する間仕切りと間仕切りとを突合せたときに生じる前記断面半月状の対面する溝同士により形成される楕円形の溝に,前記断面楕円形の遮光突条を嵌め込んで両間仕切りを接続することを特徴とする間仕切りの接続構造。」

2.引用例
引用例1,2及びその記載事項,並びに,引用発明1及び2は,第2.[理由]2-2.(1)欄に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は,上記第2.欄で検討した本願補正発明から,上記第2.[理由]1.(2)欄に記載した補正事項(β)及び(δ)の限定を削除したものに相当する。なお,補正事項(α),(γ)及び(ε)は,上記のとおり明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるから,発明の内容を変更するものではない。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が,上記第2.[理由]2-2.(3)欄に記載したとおり,引用発明1及び2並びに周知な技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様な理由により,これらに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-15 
結審通知日 2012-03-16 
審決日 2012-03-27 
出願番号 特願2005-168185(P2005-168185)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E04B)
P 1 8・ 575- WZ (E04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新田 亮二  
特許庁審判長 鈴野 幹夫
特許庁審判官 仁科 雅弘
中川 真一
発明の名称 間仕切り構造  
代理人 松田 省躬  
代理人 松田 省躬  
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