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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1257236
審判番号 不服2011-11718  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-02 
確定日 2012-05-17 
事件の表示 特願2001-273215「光路変換偏光板及び液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月19日出願公開、特開2003- 84129〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1. 経緯

本願は、平成13年9月10日の出願であって、平成22年8月20日付けで拒絶理由が通知され、それに対して、同年10月22日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、平成23年3月1日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年6月2日付けで審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正書が提出され、さらに、同年6月27日及び7月1日に手続補正書が提出され、同年10月19日付けで審尋送付、同年12月14日に回答書が提出されたものである。


第2.平成23年6月2日付け手続補正、同年6月27日付け手続補正、同年7月1日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成23年6月2日付け手続補正、同年6月27日付け手続補正、同年7月1日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.補正内容及び補正後の本願発明
平成23年6月2日付けでなされた補正(以下「本件補正」という。)には、本件補正前の平成22年10月22日付け手続補正の特許請求の範囲の請求項1を次のように補正しようとする事項が含まれている。

(補正前)
「【請求項1】 偏光板の表面に透明フィルムが積層された光路変換偏光板であって、
前記偏光板は、450?700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上であり、
前記透明フィルムは、前記偏光板が形成する平面に対する傾斜角が35?48度の光路変換斜面を具備する複数の光出射手段を設けてなり、全光線透過率が75?92%であり、かつ、ヘイズが4?20%であることを特徴とする光路変換偏光板。」


(補正後)
「【請求項1】
偏光板の表面に透明フィルムが積層された光路変換偏光板であって、
前記偏光板は、450?700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上であり、
前記透明フィルムは、前記偏光板が形成する平面に対する傾斜角が35?48度の光路変換斜面を具備する複数の光出射手段を設けてなり、全光線透過率が75?92%であり、かつ、ヘイズが4?20%であり、
前記光出射手段は、凹部からなり、
前記光出射手段を形成する凹部がその光路変換斜面に基づいて、仮想中心に対してピット状に配置されてなることを特徴とする点状光源用の光路変換偏光板。」


また、本件補正には、発明の詳細な説明及び図面に対する補正も含まれており、平成23年6月27日付け手続補正及び同年7月1日付け手続補正は、上記発明の詳細な説明及び図面に対する補正により生じた記載不備を修正するものである。


(補正の目的の検討)
上記本件補正における特許請求の範囲に対する補正事項は、
補正前の請求項1に係る発明に記載されていた光出射手段を「凹部」に限定し、当該「凹部」の配置を「その光路変換斜面に基づいて、仮想中心に対してピット状に配置」とし、さらに、光路変換偏光板を「点状光源用」の光路変換偏光板に変更するものである。
上記補正事項は当該請求項1において、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2. 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(前記「1.(補正後)」参照。以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(1)刊行物1
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開2001-194529号公報(平成22年8月20日付け拒絶理由通知における引用例1。以下、「刊行物1」という。)には以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1a)
「【請求項1】 偏光板の片側にその表面層との屈折率差が0.1以内の粘着層を有し、かつ前記偏光板の他方側に偏光板面に対する傾斜角が35?48度で略一定方向を向く光路変換斜面を具備する凹凸の繰り返し構造を有することを特徴とする光路変換偏光板。」

(1b)
「【0006】
【発明の効果】本発明の光路変換偏光板によれば、それを側面に照明装置を有する液晶セルの視認面に沿わせて配置することにより、前記側面からの入射光ないしその伝送光を偏光板に設けた光路変換斜面を介し液晶セルの視認方向に効率よく光路変換して透過モードでの液晶表示に利用でき、薄さと軽量性に優れ明るくて表示品位に優れる透過型の液晶表示装置を形成することができる。また偏光板の光路変換斜面間に平坦面部分を設けることで外光を効率よく入射させることができその入射光を反射層を介し反射させて反射モードでの液晶表示に利用でき、前記した透過モード機構に加えて反射モード機構も形成できて薄さと軽量性に優れ明るくて表示品位に優れる反射・透過両用型の液晶表示装置を形成することができる。」

(1c)
「【0010】
【発明の実施形態】本発明による光路変換偏光板は、偏光板の片側にその表面層との屈折率差が0.1以内の粘着層を有し、かつ前記偏光板の他方側に偏光板面に対する傾斜角が35?48度で略一定方向を向く光路変換斜面を具備する凹凸の繰り返し構造を有するものからなる。その例を図1に示した。1が光路変換偏光板であり、11が光路変換斜面A1を具備する凹凸すなわち光路変換手段Aの繰り返し構造層である。また12、14は透明保護層で、13は偏光フィルムでありそれらが偏光板Pを形成し、15が粘着層である。さらに16は剥離シートである。
【0011】偏光板としては、適宜なものを用いることができ特に限定はない。一般には図例の如く偏光フィルム13の片側又は両側に透明保護層12、14を接着してなる偏光板Pなどが用いられる。高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比の表示を得る点などよりは、例えばポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸処理してなる吸収型偏光フィルムを用いたものなどの如く偏光度の高いものが好ましく用いうる。」

(1d)
「【0014】前記の目的を達成するために光路変換偏光板1は、図1に例示した如く側面方向からの入射光ないしその伝送光を所定方向に反射して光路変換する斜面A1を偏光板Pの片側に有するものとされる。その場合、本発明にては光路変換を介して正面方向への指向性に優れる照明光を得る点より図1に示した如く、偏光板面A4に対する傾斜角θ1が35?48度で、略一定方向を向く光路変換斜面A1を具備する凹凸すなわち光路変換手段Aの繰り返し構造を有するものとされる。
【0015】前記した光路変換斜面A1を有する光路変換手段Aの例を図1(a)?(h)に示した。その(a)?(c)、(g)、(h)では光路変換手段Aが断面略三角形のものからなり、(d)、(e)では断面略四角形、(f)では断面略五角形のものからなる。また(a)では二等辺三角形による2面の光路変換斜面A1を有し、(b)、(g)、(h)では光路変換斜面A1と傾斜角が斜面A1よりも大きい急斜面A2を有する光路変換手段Aを有するものからなる。一方(c)では光路変換斜面A1と傾斜角が小さい緩斜面A3とを単位とする光路変換手段Aが隣接連続状態の繰返し構造として偏光板片側の全面に形成されたものからなる。さらに(a)?(c)、(e)、(g)、(h)では凹部(溝)からなる光路変換手段Aを有するものからなり、(d)、(f)では凸部(突起)からなる光路変換手段Aを有するものからなる。
【0016】従って前記した例のように光路変換手段は、等辺面ないし同じ傾斜角の斜面からなる凸部又は凹部にても形成できるし、光路変換斜面と急斜面又は緩斜面ないし傾斜角が相違する斜面からなる凸部又は凹部にても形成でき、その斜面形態は光を入射させる側面方向の数や位置にて適宜に決定することができる。耐擦傷性の向上による斜面機能の維持の点よりは、凸部よりも凹部からなる光路変換手段として形成されていることが斜面等が傷付きにくくて有利である。」

(1e)
「【0026】光路変換手段Aは、図2?4に例示の如くその稜線が光が入射する側面方向に平行又は傾斜状態で沿うように設けられるがその場合、光路変換手段Aは図2、3の例の如く光路変換偏光板1の一端から他端にわたり連続して形成されていてもよいし、図4の例の如く断続的に不連続に形成されていてもよい。不連続に形成する場合、伝送光の入射効率や光路変換効率などの点よりその溝又は突起からなる凹凸の側面方向に沿う方向の長さを深さ又は高さの5倍以上とすることが好ましく、また偏光板上での均一発光化の点より前記長さを500μm以下、就中10?480μm、特に50?450μmとすることが好ましい。
【0027】光路変換手段Aを形成する斜面は、直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態に形成されていてよく、光路変換手段Aの断面形状やそれを介した光路変換斜面A1の繰返しピッチについては特に限定はない。光路変換斜面A1が透過(点灯)モードでの輝度決定要因となることより偏光板上での発光の均一性や、反射・透過両用型では外光モードでの発光の均一性などに応じて適宜に決定でき、その分布密度にて光路変換光量を制御することができる。
【0028】従って斜面A1、2、3の傾斜角等がシートの全面で一定な形状であってもよいし、吸収ロスや先の光路変換による伝送光の減衰に対処して偏光板上での発光の均一化を図ることを目的に、図5の例の如く光が入射する側の側面から遠離るほど光路変換手段Aを大きくしてもよい。また図2、3の例の如く一定ピッチの光路変換手段Aとすることもできるし、図4、6の例の如く光が入射する側の側面から遠離るほど徐々にピッチを狭くして光路変換手段Aの分布密度を多くしたものとすることもできる。」

(1f)
「【0047】本発明による光路変換偏光板は、照明装置等による側面方向からの入射光ないしその伝送光を光路変換斜面を介し視認に有利な垂直性に優れる方向に光路変換して光の利用効率よく出射し、また外光に対しても良好な透過性を示し、図7、8に例示した如く1又は2以上の側面に照明装置5、51を配置した液晶セル2の視認背面側(バック)や視認側(フロン)に配置して明るくて見やすい透過型や低消費電力性に優れる反射・透過両用型の液晶表示装置などの種々の装置を形成することができる。」

(1g)
「【0058】一方、液晶セルの側面に配置する照明装置は、液晶表示装置の照明光として利用する光を液晶セルの側面から入射させることを目的とする。これにより液晶セルのバックやフロントに配置する光路変換偏光板との組合せにて液晶表示装置の薄型軽量化を図ることができる。照明装置としては適宜なものを用いることができ、例えば(冷,熱)陰極管等の線状光源、発光ダイオード等の点光源やそれを線状や面状等に配列したアレイ体、あるいは点光源と線状導光板を組合せて点光源からの入射光を線状導光板を介し線状光源に変換するようにした照明装置などが好ましく用いうる。」

(1h)
「【図1】



(当審注:図1は、光路変換斜面A1を有する光路変換手段を示したものである。当該斜面A1は、偏光板面A4に対する傾斜角θ1が35?48度である。)

(1i)
「【図4】



(当審注:図4は、光路変換手段が不連続に形成された光路変換偏光板を示している。)

これらの記載事項によれば、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「偏光板の表面に光路変換手段Aの繰り返し構造層が積層された光路変換偏光板であり、
前記繰り返し構造層は、偏光板面A4に対する傾斜角θ1が35?48度の光路変換斜面A1を具備する凹部からなる光路変換手段Aからなり、発光ダイオード等の点光源に対して用いられる光路変換偏光板。」

(2)周知例1
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開平11-281817号公報(平成22年8月20日付け拒絶理由通知における引用例2。以下、「周知例1」という。)には以下の事項が記載されている。

(2a)
「【0016】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。以下において%はとくに断りのないかぎり重量%である。
実施例1
高分子フィルムとして重合度4000のポリビニルアルコールフィルム、支持体フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを用い、2.5%の硼酸、0.01%の沃素、0.04%の沃化カリウムを含む35℃の水溶液中で5分間染色し、2.5%の硼酸を含む50℃の水溶液中で配向させ、乾燥して偏光膜を作成した後、この偏光膜の両面に支持体を貼付して、平行透過率39.0%、平行位の色相a^(*) =-0.27 b^(* )=-0.98の偏光板を得た。」

(2b)
「【0020】実施例1及び比較例1から得た偏光フィルムについて平行透過率を測定した結果を図1に、実施例2及び比較例2から得た偏光フィルムについて平行透過率を測定した結果を図2に示す。また、実施例1、2及び比較例1、2と他社品をマクベスで測定した結果を表1に示す。表中のa* 値、b* 値は、その絶対値が0に近づくほど白色度が高くなることを示している。なお、光学特性測定方法は、次の通りである。」

(2c)
「図1


(当審注:図1の■で示されるグラフは、実施例1の偏光フィルムについて平行透過率を測定した結果である。波長450?700nmにおいて、該透過率は39%?37%の数値範囲内に収まっていることから、当該波長領域における透過率の最小値/最大値は37/39≒0.95程度である。)

(3)周知例2
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開昭62-156602号公報(平成22年8月20日付け拒絶理由通知における引用例4。以下、「周知例2」という。)には以下の事項が記載されている。

(3a)
「図6



(当審注:図6は、偏光板の透過率曲線である。波長450?750nmの範囲において、ほぼ平坦な透過率を示している。)

(4)周知例3
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開昭64-13118号公報(平成22年8月20日付け拒絶理由通知における引用例5。以下、「周知例3」という。)には以下の事項が記載されている。

(4a)
「図2


(当審注:図2は、偏光板の分光特性図であり、波長450?750nmの範囲において、ほぼ平坦な透過率Tを示している。)

(5)周知例4
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開2001-228309号公報(平成23年3月1日付け拒絶査定で追加された周知例。以下、「周知例4」という。)には以下の事項が記載されている。

(5a)
「【0028】導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な厚さは、その入射側面に基づき10mm以下、就中0.1?5mm、特に0.3?5mmである。明るい表示を達成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射光、特に光出射面から光出射手段形成面への垂直入射光の全光線透過率が90%以上、就中92%以上、特に95%以上で、ヘイズが30%以下、就中15%以下、特に10%以下のものである。」

(6)周知例5
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開2001-141931号公報(平成23年3月1日付け拒絶査定で追加された周知例。以下、「周知例5」という。)には以下の事項が記載されている。

(6a)
「【0037】導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。液晶表示装置等の形成に用いる場合の一般的な厚さは、その入射側面に基づき10mm以下、就中0.1?5mm、特に0.3?3mmである。また明るい表示を達成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射光、特に下面から上面への垂直入射光の全光線透過率が90%以上、就中92%以上、特に95%以上で、ヘイズが30%以下、就中15%以下、特に10%以下のものである。」

(7)周知例6
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された国際公開第98/19105号(平成23年10月19日付け審尋で追加された引用文献10。以下、「周知例6」という。)には以下の事項が記載されている。

(7a)
「 第9図は導光板22の下面に形成された拡散パターン24を示す底面図である。上述したように、点光源30(または発光装置28)はその光出射面が導光板22の光入射面26に接した状態で導光板22に取り付けられている。点光源30から出射した光は導光板22内に導入され、導光板22内に点光源30を中心として放射状に広がりながら全反射によって伝搬していく。導光板22に形成された拡散パターン24は多数の拡散パターン素子24aを含み、これらの拡散パターン素子24aは、放射状に広がりながら伝搬する導波光に対応して、点光源30を中心として同心円状に配置されている。」(明細書第25頁第7-18行)

(7b)
「第9図


(当審注:第9図には、点光源30に対して、当該点光源30を中心として同心円状に拡散パターン素子24aを配置することが記載されている。)


(8)周知例7
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開2001-35222号公報(平成23年10月19日付け審尋で追加された引用文献12。以下、「刊行物7」という。)には以下の事項が記載されている。

(8a)
「【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、少なくとも一つ以上の点状光源を透光材からなる透明基板に近接させ、前記点状光源からの光を該透明基板の観察方向に出射させるようにした面状照明装置において、多くの光線が観察方向に出射するように、溝部、凹部、凸部、曲面あるいはそれらの組合わせよりなる光出射要素を、点状光源から放射状に出射されるより多くの光線と直交するように配置したことを特徴とする。」

(8b)
「【0025】次に、図3に示す実施の形態は請求項4に対応するものであり、透明基板2が方形であり、発光ダイオード4がその一辺中央から透明基板2の中心に向けて配設されており、透明基板2の溝部2aが発光ダイオード4から放射状に出射される光線に交差する複数の円弧状のものとなっている。」

(8c)
「図3


(当審注:図3において、2aは発光ダイオード4からの光線を観察方向に出射させる溝部であり、円弧状に形成されている。)

(9)周知例8
本願の出願日前に日本又は外国で頒布された特開平11-250714号公報(平成23年10月19日付け審尋で追加された引用文献11。以下、「周知例8」という。)には以下の事項が記載されている。

(9a)
「【0034】導光板32の下面に設けられている拡散パターン36の配置を図13に示す。導光板32の下面に凹設された各拡散パターン36は、かまぼこ形をしており、点光源40を中心とする一定角度の扇形領域C内において点光源40の近傍から導光板32の縁まで配列されている。また、いずれの拡散パターン36も長さ方向が点光源40と結ぶ方向に対して90°の角度をなすように配置されており、点光源40を中心とする円周方向には拡散作用を有していない。しかも、それぞれの拡散パターン36の長さは、点光源40に対して遠い側から近い側へ近づくに従って次第に短くなっており、さらには、点光源40を中心として各拡散パターン36の長さを見込む角度も点光源40に対して遠い側から近い側へ向けて徐々に小さくなっている。しかも、拡散パターン36のパターン密度は、導光板32の輝度分布が均一となるように設計されている。」

(9b)
「【図13】



(当審注:図13には、点光源40からの光の輝度分布が均一となるように拡散パターン36を配置することが記載されている。)

(10)対比・検討
[対比]
本願補正発明と刊行物1記載の発明とを比較する。

刊行物1記載の発明の「光路変換手段A」は、本願補正発明の「光出射手段」に相当する。そして、刊行物1記載の発明の光出射手段の「繰り返し構造層」は、本願補正発明の、「透明フィルム」に相当する。また、刊行物1記載の発明の「発光ダイオード等の点光源」は、本願補正発明の「点状光源」に、相当する。

したがって、両者は、

「偏光板の表面に透明フィルムが積層された光路変換偏光板であって、
前記透明フィルムは、前記偏光板が形成する平面に対する傾斜角が35?48度の光路変換斜面を具備する複数の光出射手段を設けてなり、
前記光出射手段は、凹部からなる点状光源用の光路変換偏光板。」

で、一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明では偏光板が「450?700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上」であるのに対して、刊行物1記載の発明では偏光板の透過率が不明である点。

(相違点2)
本願補正発明では透明フィルムが「全光線透過率が75?92%であり、かつ、ヘイズが4?20%」であるのに対して、刊行物1記載の発明では当該全光線透過率及びヘイズが不明である点。

(相違点3)
本願補正発明では「光出射手段を形成する凹部がその光路変換斜面に基づいて、仮想中心に対してピット状に配置」されているのに対して、刊行物1記載の発明では、上記配置とは異なる配置となっている点。


[検討]
(ア)相違点1について
「450?700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上」の条件を満たす偏光板は周知である。(上記2.(2)-(4)の周知例1-3参照)
そして、偏光板において、波長に対する透過率の変化が小さい方が色付き防止の観点から好ましいことは広く知られた事項であるから、刊行物1記載の発明において、上記周知の偏光板を採用することは当業者が容易に想到しうるものである。

(イ)相違点2について
表示装置の視認側に設けられ、光源からの光路を変換する機能を有する導光板において、「全光線透過率が75?92%であり、かつ、ヘイズが4?20%」程度の光学特性を有するものは周知である。(上記2.(5),(6)の周知例4,5参照)
刊行物1記載の発明は、光路変換偏光板に係る発明であり、導光板ではないが、表示装置の視認側に設けられ、光路を変換する機能を有する点では上記周知の導光板と同じであるから、上記刊行物1記載の発明に係る光路変換偏光板においても、「全光線透過率が75?92%であり、かつ、ヘイズが4?20%」程度の光学特性を満たす透明フィルムを用いることは当業者が容易に想到しうるものである。

(ウ)相違点3について
側面に設けられた点光源からの光に対して凹部を設け光路変換を行う光学素子において、当該凹部を「仮想中心に対してピット状に配置」することは周知技術である。(上記2.(7)-(9)の周知例6-8参照)
刊行物1記載の発明に係る光路変換偏光板も、点光源からの光に対して凹部からなる光出射手段を設け光路変換を行うものであるから、上記周知技術を採用して光出射手段を「仮想中心に対してピット状に配置」することは当業者が容易に想到しうるものである。

(11)独立特許要件についてのむすび
したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知例1-8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
そして、平成23年6月27日付け手続補正及び同年7月1日付け手続補正は、本件補正によって補正することが必要となったものであるから、それらの手続補正も本件補正と同じく却下すべきものである。


第3.本願発明について

(1)本願発明
平成23年6月2日付けの手続補正は上述のとおり却下されたので、本願の請求項1-19に係る発明(以下、当該請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、本件補正前の平成22年10月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-19に記載されたとおりのものである。(上記「第2.[理由]1.(補正前)参照)

(2)刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及び周知例1-8の記載事項は、前記「第2.[理由]2.(1)-(9)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明で規定された「前記光出射手段は、凹部からなり、前記光出射手段を形成する凹部がその光路変換斜面に基づいて、仮想中心に対してピット状に配置され」、「点状光源用」である点が除かれたものである。
してみると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.[理由]2.(1)-(11)」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明及び周知例1-8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、刊行物1に記載された発明及び周知例1-8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知例1-8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-21 
結審通知日 2012-03-22 
審決日 2012-04-05 
出願番号 特願2001-273215(P2001-273215)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 周士郎  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 住田 秀弘
金高 敏康
発明の名称 光路変換偏光板及び液晶表示装置  
代理人 中山 ゆみ  
代理人 辻丸 光一郎  
代理人 吉田 玲子  
代理人 伊佐治 創  

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