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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 C09K
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 C09K
管理番号 1257285
審判番号 不服2010-14961  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-06 
確定日 2012-06-05 
事件の表示 特願2004-207271「窒化物蛍光体、窒化物蛍光体の製造方法、並びに上記窒化物蛍光体を用いた光源及びLED」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月 2日出願公開、特開2006- 28295、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成16年 7月14日の出願であって、その請求項1?7に係る発明は、平成22年 7月 6日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

なお、以下の点について付言する。
1.特許法第29条の2について
先願1:特願2004-159306
(特開2006-8721号公報)
先願2:特願2004-191679号
(特開2006-8948号公報)
先願1明細書記載の発明におけるEu_(0.008)Ca_(0.992)AlSiN_(3)等(先願明細書【0068】、【0069】【表1】)は、原料となる粉末の秤量、混合、成形の各工程を全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気に保持することができるグローブボックス中にて操作を行った後、原料の混合粉末を窒化ホウ素製のるつぼに入れて黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットして、焼成雰囲気を真空として、室温から800℃まで加熱し、800℃で純度99.999体積%の窒素を導入して1800℃で2時間加熱して製造されたものである。
また、先願2明細書記載の発明におけるEu_(0.008)Ca_(0.992)AlSiN_(3)(先願明細書【0060】?【0070】【表1】実施例1?3)は、原料混合粉末を窒化硼素製坩堝に入れ、酸素濃度を10ppm以下にした高純度窒素雰囲気中にて窒素圧力1.1気圧として電気炉を使用して1600℃で焼成したものである。そして、当該焼成に使用される炉として先願明細書には、「不活性雰囲気や還元雰囲気を保つことが可能な各種の高温焼成炉を使用する。中でも酸素濃度を精密に制御可能な高温焼成炉が好ましく、炭素製のヒーターと炭素製の断熱材を有する焼成炉で酸素濃度を0.1%以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下に制御できる密閉容器を有する焼成炉が特に好ましい。」(先願明細書【0053】)ことが記されている。
先願1明細書及び先願2明細書には、それぞれ、生成されたEu_(0.008)Ca_(0.992)AlSiN_(3)等に含有される炭素量について、何等記載はない。
当該炭素量に関して、平成22年 2月12日付け意見書第2頁では「先願明細書1及び2で得られた蛍光体では、焼成時にヒータ(当審注:先願1、2明細書記載の発明において、それぞれの焼成に使用された黒鉛抵抗加熱方式の電気炉)から炭素不純物が混入していると考えられ、炭素含有量が0.08重量%以下である蓋然性が高いとは言えない」旨主張され、平成22年 8月19日付け審判請求書の手続補正書第4頁では「黒鉛抵抗加熱炉を使うと炭素製のヒータや炭素製の断材からカーボン粉末やカーボン蒸気が発生し、炉内の製品への炭素不純物の混入を招くことは良く知られて」いた旨主張され、平成24年 3月26日付け回答書第2頁にて、「本件発明に係る蛍光体の代表的な組成であるCaAlSiN_(3):Euに含まれる炭素不純物の量を、黒鉛抵抗加熱炉を用いた場合と、メタル炉を用いた場合とで対比する実験」結果を実験報告書により提出し、該回答書第4頁の実験報告書にて、黒鉛抵抗加熱炉を用いた場合の炭素含有量は0.083重量%、メタル炉を用いた場合の炭素含有量は0.043重量%であったことを提示し、該回答書第2頁にて、「この実験から、黒鉛抵抗加熱炉でCaAlSiN_(3):Eu蛍光体を焼成した場合、窒化ホウ素製ルツボを用いても、0.08重量%以上の炭素不純物が混入することがわかります。したがって、黒鉛抵抗加熱炉を用いた先願明細書1、2において『炭素含有量が0.08重量%以下である蓋然性が非常に高い』(平成21年12月 4日付け拒絶理由通知書)とは言えません。」と説明している。
請求人提出の実験報告書、及び、請求人(出願人)が主張する黒鉛抵抗加熱炉からの炭素混入の可能性は、技術的妥当性があり、先願1明細書及び先願2明細書記載の発明におけるそれぞれの蛍光体は、その焼成時条件から炭素含有量が0.08重量以下である蓋然性が高いとは言えないと判断する。
よって、本願発明は、先願1明細書及び先願2明細書記載の発明と同一ではない。

2.特許法第36条第4項第1号について
本願明細書には、焼成に使用される炉に関する記載は一切なく、本願実施例での蛍光体製造に使用された炉についても、具体的にどのような加熱源を有する炉を使用したのか、明らかにされていない。
このことが、特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)違反を構成するかどうかについて、次のように判断する。
平成22年 2月12日付け意見書第2頁記載のように、「蛍光体を焼成する際に使う加熱炉のヒータ」として、「黒鉛等の炭素材料を加熱炉のヒータに使うと、ヒータからの蒸気が炭素源となり、炭素不純物の混入を招くこと」は本件出願当時において既に当業者に広く知られていた技術常識であり、このような技術常識を踏まえると、「本件明細書によって炭素不純物が蛍光体の発光特性を不安定にさせるとの知見を得た当業者であれば、本件明細書に記載の方法で本件の蛍光体を製造するにあたり、加熱炉のヒ-タに黒鉛等の炭素材料を使用することを避け」「炭素を発生させない材料を用いるのが通常であ」ると言える。
そして、平成22年 8月19日付け審判請求書の手続補正書第6頁記載のとおり、「本件出願当時、無機蛍光体の焼成には炭素材料を使わない管状炉や高周波加熱炉を用いること」も既に一般的に行われており、かつ、同審判請求書第7頁記載のように、「本件明細書において、『焼成温度は1000℃以上、好ましくは1400℃以上であればよい』と記載され、実際の焼成温度は1500℃(本件明細書【0040】、【0046】参照。)」であり、「この焼成温度は」「一般的な管状炉や高周波加熱炉で用いられている焼成温度と同程度であって、黒鉛抵抗加熱炉を用いなくても到達可能」である点も考慮すると、当業者であれば、本願明細書の発明の詳細な説明及び技術常識を参酌し、不純物炭素の混入を避けて適切な加熱炉を選択し、本願発明を実施することができたものであるから、特許法第36条第4項第1号の違反には該当しない。
 
審決日 2012-05-24 
出願番号 特願2004-207271(P2004-207271)
審決分類 P 1 8・ 161- WY (C09K)
P 1 8・ 536- WY (C09K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中西 祐子藤原 浩子  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 新居田 知生
磯貝 香苗
発明の名称 窒化物蛍光体、窒化物蛍光体の製造方法、並びに上記窒化物蛍光体を用いた光源及びLED  
代理人 田村 啓  
代理人 鮫島 睦  
代理人 田村 啓  
代理人 鮫島 睦  
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