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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1257346
審判番号 不服2010-24602  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-01 
確定日 2012-05-24 
事件の表示 特願2003-356329「磁電変換素子」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 5月12日出願公開、特開2005-123383〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年10月16日の出願であって、平成22年2月12日に手続補正がなされ、同年7月26日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日に手続補正がなされ、その後当審において、平成23年12月8日付けで審尋がなされ、平成24年2月7日に回答書が提出されたものである。

2.補正の却下の決定
【補正の却下の決定の結論】
平成22年11月1日になされた手続補正を却下する。

【理由】
(1)補正の内容
平成22年11月1日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1及び明細書を補正するものであって、そのうちの補正前後の請求項1は以下のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
リードフレームが、少なくとも2つ以上の厚さで、第1の厚さの領域と第2の厚さの領域を有し、前記第1の厚さの方が前記第2の厚さより厚くなっており、前記リードフレーム上に感磁部と内部電極とを有するペレットが固着され、該ペレットを固着する部分の前記リードフレームが2つ以上に分割され、該リードフレームと前記内部電極とが金属細線により電気的に接続され、少なくとも前記ペレットと前記リードフレームとを電気的に接続した部分は、樹脂で封止され、前記第1の厚さの領域の前記リードフレームの接続面が露出して外部との電気的な接続用端子となっており、前記第1の厚さから前記第2の厚さの前記リードフレームの断面が側面に露出しており、前記ペレットを固着する部分の裏面領域に前記第2の厚さの領域を有する部分が存在することを特徴とする磁電変換素子。」

(補正後)
「【請求項1】
リードフレームが、少なくとも2つ以上の厚さで、第1の厚さの領域と第2の厚さの領域を有し、前記第1の厚さの方が前記第2の厚さより厚くなっており、前記リードフレーム上に感磁部と内部電極とを有するペレットが固着され、該ペレットを固着する部分の前記リードフレームが2つ以上に分割され、該リードフレームと前記内部電極とが金属細線により電気的に接続され、少なくとも前記ペレットと前記リードフレームとを電気的に接続した部分は、樹脂で封止され、前記第1の厚さの領域の前記リードフレームの接続面が露出して外部との電気的な金属被膜された接続用端子となっており、前記第1の厚さから前記第2の厚さの前記リードフレームの断面が側面に露出しており、前記ペレットを固着する部分の裏面領域に前記第2の厚さの領域を有する部分が存在することを特徴とする磁電変換素子。」

(2)新規事項追加の有無及び補正の目的の適否についての検討
(2-1)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「外部との電気的な接続用端子」について、「外部との電気的な金属被膜された接続用端子」と限定的に減縮する事項を追加する補正であり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下「特許法第17条の2第4項」という。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2-2)そして、「金属被膜された」という事項は、本願の願書に最初に添付した明細書の【0033】の記載に基づく補正であり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(以下「特許法第17条の2第3項」という。)に規定された新規事項の追加禁止の要件を満たしている。

(3)独立特許要件について
(3-1)はじめに
上記(2)において検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項(以下「特許法第17条の2第5項」という。)において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて、検討する。

(3-2)補正後の請求項1に係る発明
本件補正による補正後の請求項1ないし5に係る発明は、平成22年11月1日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されている事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの補正後の請求項1に係る発明(以下「補正後の発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される上記2.(1)の補正後の請求項1として記載したとおりのものである。

(3-3)引用刊行物
(3-3-1)特開2002-353395号公報
(3-3-1-1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前である平成14年12月6日に日本国内で頒布された刊行物である特開2002-353395号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、図1、2とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当合議体において付加したものである。(以下同様。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リードフレームの製造方法、リードフレーム、及び半導体装置に関する。」
「【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)及び(b)は、本実施形態に係るリードフレームの製造方法について示す平面図である。まず最初に、図1(a)に示すように、リード12と、ダイパッド13と、該ダイパッド13と一体化して成るサポートバー11とを金属帯条10に形成する。この加工工程はプレスによる抜き加工により行われ、また、金属帯条10は例えば銅から成る。
【0020】図示の如く、ダイパッド13は、それと一体化して成るサポートバー11毎に複数片に分割されている。ダイパッド13を分割する分割工程は、上記の加工工程と同時に行っても良いし、或いは加工工程後にプレス加工により別途行っても良い。同時に行う場合には、製造工程が短縮されるという利点がある。図示の例では、複数片のダイパッド13の各々の形状が概略矩形であり、この矩形の2つの対角線のうちの一方の対角線13aが、サポートバー11の仮想延長上にある。
【0021】しかる後、図1(b)に示すように、斜線で示されるコイニング領域にコイニング加工を施す。ここでは、コイニング領域の全域に金型(不図示)が押し当てられて、ダイパッド13がサポートバー11よりも薄厚になる。かかるコイニング加工はダイパッド13を薄厚にすべく行われるから、コイニング領域は分割された全てのダイパッド13を包含するものであれば良く、サポートバー11の先端部位にもコイニングが施されても構わない。
【0022】コイニング領域は、コイニング加工で薄厚となった分だけ伸張するが、既にダイパッド13が分割されて互いに離間しているので、ダイパッド13間のスペースSに伸張を逃がすことができ、ダイパッド13やサポートバー11に歪みが生じることが無い。更に、高価なハーフエッチングによってではなく、安価なコイニング加工によってダイパッド13を薄厚にしているので、リードフレームの製造コストが安価になるという利点が本発明にはある。
【0023】図1(c)は、図1(b)のA-A線による断面図であるが、それに示されるように、元々約0.2mmの厚みを有していたコイニングエリアが、コイニング加工により、約0.05?0.10mm程度にまで薄厚にされる。但し、これは本発明がこの値に限定されることを言うのではない。金属帯条10の厚みや、コイニング加工による加工深さは、諸般の事情を考慮して任意に設定して良い。
【0024】また、図示の例では、ダイパッド13の2つの主面13c、13dのうち、一方の主面13c側から金型が押し当てられて、該一方の主面13cのみにコイニング加工が施されているが、場合によっては両主面13c、13dにコイニング加工を施しても良い。しかる後は、必要個所にめっきを施す等の公知の工程を行い、本実施形態に係るリードフレームを完成させる。」
「【0028】リードフレームを完成させた後は、公知の工程を経て、図2(a)に示される様な半導体装置14を完成させる。図2(a)は、上記製造方法により製造されたリードフレームに半導体素子15を搭載して成る半導体装置14の平面図である。図2(a)に示すように、この半導体装置14では、分割されたダイパッド13の上に半導体素子15が固着されている。この固着は、例えば、銀ペースト等を介して行われる。
【0029】図2(b)は、図2(a)のB-B線による断面図であるが、それに示されるように、半導体素子15の電極端子(不図示)は、ボンディングワイヤ16を介してリード12の先端部位と電気的に接続されている。ボンディングワイヤ16は例えば金線から成る。これら半導体素子15とボンディングワイヤ16とは、封止体17により封止されており、外気に曝されるのが防がれている。封止体17は、例えば樹脂やセラミック等から成る。
【0030】そして、リード12に着目すれば、それは曲げ加工されること無しに、その一方の主面が半導体装置14の裏面に露出している。露出している主面は、半導体装置14の外部接続端子部として供す。これらの特徴により、半導体装置14は所謂QFNタイプの半導体装置であるが、勿論、本発明がQFNタイプに限定されるわけではなく、例えば、QFP(Quad Flat Package)タイプの半導体装置にも本発明を適用することができる。
【0031】図2(c)は、図2(a)のC-C線による断面図である。これに示すように、半導体素子15は、ダイパッド13の2つの主面13c、13dのうち、コイニング加工が施されていない側の主面13d上に固着されている。そして、コイニング加工が施された側の主面13cが封止体17で封止されて、ダイパッド13が半導体装置14の外部に露出しない構造となっている。この構造には、ダイパッド13と封止体17との間から水分が浸入しないという利点や、マザーボード等の実装基板(不図示)の設計に制限を与えないといった利点がある。」

(3-3-1-2)引用刊行物1の実施の形態に記載された「リードフレーム」は、「リード12」、「ダイパッド13」及び「サポートバー11」から構成されていることは明らかである。そして、引用刊行物1の「図1(a)に示すように、リード12と、ダイパッド13と、該ダイパッド13と一体化して成るサポートバー11とを金属帯条10に形成する。この加工工程はプレスによる抜き加工により行われ、また、金属帯条10は例えば銅から成る。」(【0019】)及び「図1(b)に示すように、斜線で示されるコイニング領域にコイニング加工を施す。ここでは、コイニング領域の全域に金型(不図示)が押し当てられて、ダイパッド13がサポートバー11よりも薄厚になる。」(【0021】)という記載から、「リード12」及び「サポートバー11」は、コイニング加工前の「金属帯条10」の厚さである第1の厚さを有し、「ダイパッド13」は、第1の厚さよりも薄い第2の厚さを有していることは明らかである。

(3-3-1-3)そうすると、引用刊行物1には、以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。

「リードフレームに半導体素子15を搭載して成る半導体装置14であって、
前記リードフレームが、第1の厚さを有するリード12及びサポートバー11と、前記第1の厚さよりも薄い第2の厚さを有するダイパッド13から構成されており、
前記ダイパッド13は、それと一体化して成る前記サポートバー11毎に複数片に分割されており、
分割された前記ダイパッド13の上に半導体素子15が固着されており、
前記半導体素子15の電極端子が、ボンディングワイヤ16を介してリード12の先端部位と電気的に接続されており、
前記半導体素子15と前記ボンディングワイヤ16とは、樹脂から成る封止体17により封止されており、
前記リード12の一方の主面が、前記半導体装置14の裏面に露出しており、前記露出している主面は、前記半導体装置14の外部接続端子部として供されている、
半導体装置。」

(3-3-2)特開平11-121830号公報
(3-3-2-1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前である平成11年4月30日に日本国内で頒布された刊行物である特開平11-121830号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図1、2とともに、以下の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホール素子とその製造方法に関し、特に極めて薄型で、かつ高感度のホール素子とその製造方法に関する。」
「【0022】
【実施例】
実施例1
本発明による薄型で、かつ、高感度のホール素子の実施例の構造を図1および図2に示す。図1は平面図、図2は側面図であるが、ホール素子の構造の理解のために、上層または手前側の構成要素を輪郭のみ示し、いわば平面透視図および側面透視図として示している。リードフレーム1のアイランド部1aには高透磁率フェライト基板2、磁気に感ずる半導体薄膜3および磁気集束用高透磁率フェライトチップ4からなる半導体装置5が載せられている。半導体薄膜3は高透磁率フェライト基板2と磁気集束用高透磁率フェライトチップ4に挟まれており、感磁部3a、配線部3bおよび電極部3cからなり、電極部3cにはボンディング用電極6が形成されている。ボンディング用電極6とリードフレーム1はボンディングワイヤーである金線7によって接続され、リードフレーム1は外部実装用電極の役割を果たしている。8はモールド樹脂である。」

(3-4)対比・判断
(3-4-1)刊行物発明の「第1の厚さを有するリード12及びサポートバー11」は、補正後の発明の「第1の厚さの領域」に相当し、刊行物発明の「第2の厚さを有するダイパッド13」は、補正後の発明の「第2の厚さの領域」に相当する。

(3-4-2)刊行物発明の「電極端子」を有する「半導体素子15」と補正後の発明の「感磁部と内部電極とを有するペレット」は、「内部電極」「を有するペレット」という点で共通する。

(3-4-3)刊行物発明の「ボンディングワイヤ16」は、補正後の発明の「金属細線」に相当する。そして、刊行物発明の「リード12」は「リードフレーム」の構成部分であるから、刊行物発明において、「リードフレーム」と「半導体素子15の電極端子」とが電気的に接続されていることは明らかである。

(3-4-4)刊行物発明において、「半導体素子15」と「リード12」とを接続した部分は、「樹脂から成る封止体17により封止されて」いることは明らかである。

(3-4-5)刊行物発明の「半導体装置14の裏面に露出し」た「リード12の一方の主面」は、補正後の発明の「露出し」た「第1の厚さの領域の」「リードフレームの接続面」に相当する。そして、刊行物発明の「半導体装置14の外部接続端子部」と補正後の発明の「外部との電気的な金属被膜された接続用端子」は、「外部との電気的な」「接続用端子」という点で共通する。

(3-4-6)刊行物発明の「半導体装置」と補正後の発明の「磁電変換素子」は、「素子」という点で共通する。

(3-4-7)そうすると、補正後の発明と刊行物発明とは、
「リードフレームが、少なくとも2つ以上の厚さで、第1の厚さの領域と第2の厚さの領域を有し、前記第1の厚さの方が前記第2の厚さより厚くなっており、前記リードフレーム上に内部電極を有するペレットが固着され、該ペレットを固着する部分の前記リードフレームが2つ以上に分割され、該リードフレームと前記内部電極とが金属細線により電気的に接続され、少なくとも前記ペレットと前記リードフレームとを電気的に接続した部分は、樹脂で封止され、前記第1の厚さの領域の前記リードフレームの接続面が露出して外部との電気的な接続用端子となっており、前記ペレットを固着する部分の裏面領域に前記第2の厚さの領域を有する部分が存在することを特徴とする素子。」である点で一致し、次の4点で相違する。

(相違点1)補正後の発明の「ペレット」は、「感磁部を有する」のに対し、刊行物発明の「半導体素子15」は、具体的にどのような素子であるのかが特定されていない点。

(相違点2)補正後の発明の「外部との電気的な」「接続用端子」は、「金属被膜され」ているのに対し、刊行物発明の「外部接続端子部」には、そのような特定がなされていない点。

(相違点3)補正後の発明では、「第1の厚さから」「第2の厚さの」「リードフレームの断面が側面に露出して」いるのに対し、刊行物発明ではそのような特定はなされていない点。

(相違点4)補正後の発明は、「磁電変換素子」であるのに対し、刊行物発明の「半導体装置」は、具体的にどのような装置であるのかが特定されていない点。

(3-5)判断
(3-5-1)相違点1及び4について
引用刊行物2には、「リードフレーム1のアイランド部1aに載せられ、感磁部3a配線部3bおよび電極部3cからなる半導体薄膜3を備え、前記電極部3cにはボンディング用電極6が形成され、前記ボンディング用電極6と前記リードフレーム1はボンディングワイヤーである金線7によって接続され、モールド樹脂8で封止されたホール素子」が記載されている。そして、「ホール素子」が磁電変換素子であることは明らかである。
そうすると、刊行物発明において、「半導体素子15」として、引用刊行物2に記載された「ホール素子」を採用することにより、 補正後の発明のように、「リードフレーム上に感磁部と内部電極とを有するペレットが固着され」た構成を有する「磁電変換素子」とすることは、当業者が必要に応じて、適宜なし得たことである。
よって、相違点1及び4は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(3-5-2)相違点2について
リードフレームにおいて、外部との電気的な接続用端子となる部分に金属薄膜を形成することは、以下の周知例1、2に記載されるように、従来から周知のことである。

(周知例1)特開2001-94027号公報には、図1?6とともに、以下の事項が記載されている。
「【0019】
【発明の実施の形態】図1の(a)?(d)は本発明の一実施の形態に係るQON型の半導体装置40を示す図であり、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は縦断面図、(d)は(c)中二点鎖線Nで囲んだ部分を拡大して示す断面図である。また、図2は、半導体装置40のリードフレーム50を示す図である。また、図3は半導体装置40の要部を示す断面図である。なお、これらの図において、上述した図4?図6と同一機能部分には同一符号を付した。
【0020】半導体装置40は、半導体素子41が搭載されたベッド52と、このベッド52の周囲に配置されたインナリード53と、このインナリード53に連設されたアウタリード54とを備えている。
【0021】また、半導体素子41の各端子42とインナリード53とはそれぞれ金属ワイヤ43で接続されている。さらに、図1中44はモールド樹脂からなる樹脂封止成形部を示しており、ベッド52の素子搭載面52a、半導体素子41、金属ワイヤ43、インナリード53、アウタリード54が樹脂封止されている。樹脂封止成形部44の外形線は、アウタリード54の先端を結ぶ線とほぼ一致している。なお、ベッド52の上面52b及びアウタリード54は樹脂封止成形部44から露出している。
【0022】リードフレーム50は、図2に示すようにフレーム基部51と、ベッド52と、このベッド52の周囲に設けられたインナリード53と、このインナリード53に連設されたアウタリード54と、隣接するアウタリード54を支持するタイバー55とを備えている。このリードフレーム50は、プレス加工やエッチング加工により成形されている。
【0023】なお、インナリード53には銀めっき53aが施されており、アウタリード54には厚さ30μmの外装はんだSがメッキにより施されている。また、図中破線Rは樹脂封止成形部44により封止される範囲を示している。」

(周知例2)特開2002-124596号公報には、図10、11とともに、以下の事項が記載されている。
「【0042】(実施の形態2)図10は、本発明の実施の形態2による半導体装置の断面図、図11は、図10の半導体装置の実装説明図、図12は、図10の半導体装置における製造工程のフローチャートである。
【0043】本実施の形態2においては、半導体装置1に設けられた外部電極10の構成が異なる点以外は前記実施の形態1と同様であるので、相違する点のみを説明し、同様の点については説明を省略する。
【0044】この半導体装置1に設けられた外部電極10は、図10に示すように、パッケージ7における実装面から側面にかけて露出して形成されている。外部電極10は、電極部10a、およびはんだめっき層(はんだ被膜層)10bから構成されている。
【0045】電極部10aは、インナリード5が延在して形成されている。はんだめっき層10bは、電極部10aの全面、すなわちパッケージ7の実装面、ならびに側面から露出した電極10aの表面に形成されている。
【0046】はんだめっき層10bは、浸漬はんだ付け、または無電解めっき法によって形成されたはんだ皮膜である。はんだめっき層10cの厚さは約20μm程度に形成されている。
【0047】また、浸漬はんだ付けは、はんだをヒータなどにより加熱、溶融させたはんだ槽におろして対象物をはんだと接触させ、一定時間後にその対象物を引き上げる方法である。
【0048】半導体装置1は、はんだめっき層10bによって充分な初期スタンドオフが確保されるとともに、この外部電極10の全面に形成されたはんだめっき層10bにより、該外部電極10のはんだぬれ性を大幅に向上することができる。」

そうすると、刊行物発明において、「半導体装置14の裏面に露出し」、「半導体装置14の外部接続端子部として供されている」「リード12の一方の主面」に対して、金属薄膜を形成することにより、補正後の発明のように、「第1の厚さの領域の」「リードフレームの接続面が露出して外部との電気的な金属被膜された接続用端子となって」いる構成とすることは、当業者が必要に応じて、適宜なし得た程度のことである。
よって、相違点2は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(3-5-3)相違点3について
引用刊行物1の図2(b)には、「リード12」の一方の側面が「半導体装置14」の側面に露出することが図示されている。
これに対し、本願明細書には、「実施の形態1」として、【0030】及び【0032】に、「切断によって露出した第1の厚さaのリードフレーム部4aの断面が、磁電変換素子の側面に露出して」いると記載されており、補正後の発明の「第1の厚さから」「第2の厚さの」「リードフレームの断面が側面に露出しており」という事項は、第1の厚さのリードフレームの断面が側面に露出する態様を包含しているものと認められる。
そうすると、相違点3は実質的な相違点ではない。
なお、仮に、相違点3が実質的な相違点であるとしても、樹脂封止型の半導体素子の外部接続部用のリードの下面に外部接続端子となる突起部を形成することは、以下の周知例3?5に記載されるように、従来から周知の技術である。ここで、外部接続部用のリードの厚みに着目すると、側面に露出した部分の厚みは、突出部が形成された部分の厚みよりも薄くなっていることは明らかである。

(周知例3)特開昭64-54749号公報には、第1?3図とともに、以下の事項が記載されている。
「実施例
第1図は本発明の一実施例による半導体装置の断面図、第2図Aは第1図の半導体装置の裏面を示す図、第2図Bは第1図に関連して半導体チップの搭載状態を示す図である。第1図から第3図まで共通部分には同一番号を付した。
第1?3図において、1は金属のリード、2は樹脂体、3は絶縁基板、4は半導体チップ、6は金属細線、6はリード突出部、7は樹脂体である。なお、金属リード突出部6は最終的には外部端子となるものである。まず、第1図に沿って、本発明の第1の実施例を説明する。一群のリード1の上には絶縁基板3が搭載されており、半導体チップは4は前記絶縁基板3上に接着固定されている。前記半導体チップ4上の電極(第1図では省略した)とリード1とは金属細線5(例えば25ミクロンの金線)で接続されている。第1図では封止樹脂を樹脂体2と樹脂体7に分けて示したが、両者同一樹脂であってもかまわない。
第2図は第1図の平面図である。第2図Aは本発明の半導体装置を裏面から見た図である。金属リード突出部6はここでは外部端子としてその配置、形状、電極ピッチ等はICカードの規格に一致させてある。第2図Bは説明の都合上第1図の構造から樹脂体7を省略した図である。リード1の上面に絶縁基板3が搭載されている。前記絶縁基板3上には半導体チップ4が接着・固定され、前記チップ4上の電極(第2図では省略した)とリード1とは金属細線6(例えば25ミクロンの金線)で接続されている。
ここではリ-ド1の形状として、下方へのリード突出部6を有する例について説明したが、その他にリードの上面に金属細線接続部としての突出部を有するリード、またリードの上面、下面両方に突出部を有するリードを使用することが考えられる。」(第2頁右下欄第3行?第3頁左上欄第18行)

(周知例4)特開平11-204715号公報には、図1とともに、以下の事項が記載されている。
「【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その説明を省略する。
【0005】図1(a)、図1(b)、図1(c)は、本願発明の第1実施形態を説明するための図であり、図1(a)は、樹脂封止後の断面図、図1(b)は、実装面の平面図、図1(c)は樹脂封止前の平面図を示す。
【0006】第1実施形態の半導体装置は、その裏面に実装基板などの外部と接続するために部分的に形成された突部6を備えたインナーリード2と、このインナーリードの表面に絶縁樹脂3により固定された半導体チップ1とを備えている。この半導体素子1の回路形成面に形成されている電極パット4は導電材配線5によりインナーリード2と接続されている。この導電材配線5は例えば金やアルミなどが一般的に用いられている。
【0007】これらインナーリード2、半導体チップ1、導電材配線5は、インナーリード2に形成された突部6を露出させて封止樹脂7により封止されている。ここで、インナーリード2の先端部、すなわち、半導体チップ1を搭載する部分をインナーリードの他の部分に比べて幅広く形成してもよい。その場合、絶縁樹脂3を塗布する面積が増加することにより、インナーリード2と半導体チップ1とを接合する面積が増加し、より安定して半導体チップ1を固定することができる。」

(周知例5)特開2000-188353号公報には、図1とともに、以下の事項が記載されている。
「【0010】
【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るボールグリッドアレイ型半導体装置の構造を示す断面図であり、図2は図1の底面図である。これらの図において、本実施の形態に係るボールグリッドアレイ型半導体装置1は、ハーフエッチング加工により端子部10aが形成され接着テープ12が設けられたリードフレーム10上に半導体素子14が搭載されている。この半導体素子14はボンディングワイヤ16によりリードフレーム10と半導体素子電極とを接続した後、樹脂18により所定のパッケージ形状になるように封止されている。樹脂封止では端子部10aをパッケージ面より凸となるように形成し、半田めっき19をその端子凸部に施すことによりそのまま端子として使用する構成となっている。
【0011】端子部10aの形状は円柱や角柱型等ハーフエッチング加工により様々な形状とすることが可能であるが、実装後の耐温度サイクル性を考慮すると応力が発生しにくい円柱型が望ましい。またパッケージ面からの端子高さは実装後のフラックス洗浄性を考慮し、0.1?0.3mm程度が望ましい。更に端子部10aに施す半田めっき厚は、従来のクワッド・フラット・パック(QFP)型に代表される樹脂封止型半導体装置のアウターリードに施される半田めっき厚:5?10μm程度が望ましい。」

そうすると、刊行物発明に上記周知の技術を勘案することにより、「リード12」の下面に突起部を設けることは、当業者が容易になし得た程度のことであり、その際、突起部の厚さをどの程度にするかということについては、単なる設計的事項に過ぎない。そして、明細書の記載を参酌しても、補正後の発明においても、「第1の厚さから」「第2の厚さの」「リードフレームの断面が側面に露出して」いるとすることについて、臨界的意義を認めることができないから、刊行物発明に上記周知の技術を勘案することにより、補正後の発明のように、「第1の厚さから」「第2の厚さの」「リードフレームの断面が側面に露出して」いる構成とすることは、当業者が必要に応じて、適宜なし得た程度のことである。
よって、仮に、相違点3が実質的な相違点であるとしても、相違点3は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(3-6)独立特許要件についてのまとめ
以上検討したとおり、補正後の発明と刊行物発明との相違点は、引用刊行物2に記載された技術思想及び周知技術を勘案することにより、当業者が、容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものにすぎず、補正後の発明は、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。

(4)補正の却下についてのむすび
本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるが、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものである。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成22年11月1日になされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成22年2月12日になされた手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されている事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される上記2.(1)の補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

4.刊行物に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物には、上において検討したとおり、上記2.(3-3-1-1)及び(3-3-2-1)に記載したとおりの事項及び(3-3-1-3)で認定したとおりの発明(刊行物発明)が記載されているものと認められる。

5.判断
上記2.(2)において検討したとおり、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「外部との電気的な接続用端子」について、「外部との電気的な金属被膜された接続用端子」と限定したものである。逆に言えば本件補正前の請求項1に係る発明(本願発明)は,補正後の発明から上記の限定をなくしたものである。
そうすると、上記2(3)において検討したように、補正後の発明が,引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、当然に当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-22 
結審通知日 2012-03-27 
審決日 2012-04-09 
出願番号 特願2003-356329(P2003-356329)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川村 裕二  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 小野田 誠
酒井 英夫
発明の名称 磁電変換素子  
復代理人 濱中 淳宏  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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