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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1257722 |
審判番号 | 不服2010-148 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-06 |
確定日 | 2012-05-28 |
事件の表示 | 特願2003-311417「プラスミン特異的活性阻害剤」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月24日出願公開、特開2005- 75812〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年9月3日の出願であって、拒絶理由に応答して平成21年9月15日付けで手続補正が提出されたが、同年10月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年1月6日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。 第2 平成22年1月6日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年1月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、補正前の特許請求の範囲(平成21年9月15日付け手続補正書を参照。): 「【請求項1】 パセリ溶媒抽出物からなる、トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤。 【請求項2】 パセリの全草のエタノール抽出物からなる、トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤。」 を、以下の補正後の特許請求の範囲(平成22年1月6日付け手続補正書を参照。): 「【請求項1】 パセリ溶媒抽出物からなる、トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤(但し、パセリ溶媒抽出物を当該プラスミン特異的活性阻害剤として使用せずに肌荒れ改善のために使用する場合を除く)。 【請求項2】 パセリの全草のエタノール抽出物からなる、トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤(但し、パセリの全草のエタノール抽出物を当該プラスミン特異的活性阻害剤として使用せずに肌荒れ改善のために使用する場合を除く)。」 に補正するものである。(下線は原文のとおり。下線部分が変更箇所である。) 2.当審の判断 上記の請求項1,2の補正は、補正前の請求項1,2の「トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤」において、「パセリ溶媒抽出物又はパセリの全草のエタノール抽出物を、当該プラスミン特異的活性阻害剤として使用せずに肌荒れ改善のために使用する場合を除く」とするものであり、発明特定事項の一部を除外しようとしてなされたものであると認められる。 しかしながら、補正前の請求項1,2の発明は、パセリ溶媒抽出物又はパセリの全草のエタノール抽出物の用途を「トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤」とする発明であり、すなわち、パセリ溶媒抽出物又はパセリの全草のエタノール抽出物を「当該プラスミン特異的活性阻害剤として使用」することについての用途発明であることから、そもそも「当該プラスミン特異的活性阻害剤として使用」しない場合を包含しないものであることは明らかである。 そうしてみると、上記の請求項1,2の補正は、発明特定事項の一部を何ら除外するものではなく、補正前の請求項1,2の発明特定事項を限定するものとはいえないから、請求項の限定的減縮に該当せず、また、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないから、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないものである。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 平成22年1月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年9月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの以下のものである。 「パセリ溶媒抽出物からなる、トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤。」 第4 引用例 A.特開平11-292784号公報 (原審の引用文献1。以下、「引用例A」という。) 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布されたことが明らかな上記引用例Aには、次の事項が記載されている。 (A)引用例Aの記載事項 (a-1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 アガリクス茸(・・・)子実体の抽出物と、活性酸素消去剤を配合して成る、皮膚外用剤。 ・・・ 【請求項4】 活性酸素消去剤が、・・・,パセリ(・・・)から選択される1種又は2種以上の植物の抽出物であることを特長とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。 ・・・」(【特許請求の範囲】) (a-2)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】そこで本発明においては、皮膚の肌荒れ及び老化防止作用に優れ、真皮線維芽細胞に対する紫外線による傷害を防御する作用を有し、シワの発生、皮膚弾性の低下といった症状の防止或いは改善に有効で、かつ、皮膚中での活性酸素生成に起因する過酸化脂質の生成や、肌の炎症,肌荒れを防止或いは改善する効果を有する皮膚外用剤を得ることを目的とした。 【0004】 【課題を解決するための手段】・・・今回、このアガリクス茸子実体抽出物と、活性酸素消去剤を併用して皮膚外用剤に含有させることにより、皮膚の肌荒れ及び老化防止作用に優れ、真皮線維芽細胞に対する紫外線による傷害を防御する作用を有し、シワの発生、皮膚弾性の低下といった症状の防止或いは改善に有効で、かつ、皮膚中での活性酸素生成に起因する過酸化脂質の生成や、肌の炎症,肌荒れを防止或いは改善する効果を発揮することを見いだし、上記課題を解決するに至った。」(段落【0003】?【0004】) (a-3)「【0012】本発明において用いられる活性酸素消去剤としては、皮膚外用剤に用いられ得るものであれば特に限定されず、例えば活性酸素消去作用を有する植物抽出物,・・・などが挙げられる。 【0013】本発明で用いられる植物抽出物としては、カロテノイド類,フラボノイド類,タンニン類を含むことが好ましく、例えば・・・,パセリ(・・・)等が例示される。」(段落【0012】?【0013】) (a-4)「【0021】本発明で用いられるパセリ(・・・)は、セリ科(・・・)の2年生の草本植物である。パセリの抽出物を得る際の抽出部位は特に限定されず、パセリの全草若しくは地上部位を用いることができ、また葉,茎,根,種子等の一部を用いることもできる。 【0022】本発明において、これらの植物からの抽出物を得る際の抽出溶媒としては、水、エタノール,・・・などの一価アルコール類、グリセリン,・・・等の多価アルコール又はその誘導体等の極性溶媒から1種又は2種以上を選択して用いることができる。特に、皮膚外用剤に配合する際の安全性及び安定性の面から、精製水,エタノール,1,3-ブチレングリコール,グリセリン,プロピレングリコールを単独で若しくは2種以上を併用して用いることが好ましい。 ・・・ 【0025】また、このようにして得られた植物抽出物は、そのまま用いることもできるが、本発明の効果を失わない範囲内で脱臭,脱色,濃縮等の精製操作を加えたり、さらにはカラムクロマトグラフィー等を用いて分画物として用いてもよい。これらの抽出物や脱臭,精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾燥物とすることもでき、さらにアルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で皮膚外用剤に配合することができる。」(段落【0021】?【0025】) (a-5)「【0032】本発明に於いては、上記の活性酸素消去剤や成分から1種又は2種以上を選択して用いることができる。また、これらの活性酸素消去剤の皮膚外用剤への配合量は、各植物抽出物や成分の活性酸素消去能に依存するが、概ね0.0001?5重量%が適当である。 【0033】本発明にかかる皮膚外用剤には、外用剤基剤に通常用いられる油脂類,・・・等を含有させることができる。さらに、他の皮膚細胞賦活剤,・・・等を含有させることができる。 【0034】本発明にかかる皮膚外用剤は、ローション剤,乳剤,ゲル剤,クリーム,軟膏等の剤型で提供することができる。また、化粧水,乳液,クリーム,美容液,マッサージ剤,パック剤等の皮膚用化粧料、メイクアップベースローション,メイクアップベースクリーム,液状又はクリーム状のファンデーション等のメイクアップ化粧料、ハンドクリーム,レッグクリーム,ボディローション等の身体用化粧料等としても提供することができる。」(段落【0032】?【0034】) (a-6)「【0035】 【実施例】本発明の実施例に使用した、アガリクス茸子実体抽出物の製造例を次に示す。 【0036】[製造例1]アガリクス茸子実体抽出物 ・・・ 【0037】続いて、本発明の実施例について詳細に説明する。なお、各実施例に使用した植物抽出物は、乾燥した植物体を5重量倍の溶媒に室温で1週間浸漬したものを、濾過して用いた。 【0038】[実施例1?4,比較例1?6]O/W乳化型美容液 表1に示した各成分を用いて、下記の処方によりO/W乳化型美容液を調製した。 (処方) (1)スクワラン 5.0(重量%) (2)白色ワセリン 2.0 (3)ミツロウ 0.5 (4)ソルビタンセスキオレエート 0.8 (5)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 1.2 (6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (7)プロピレングリコール 5.0 (8)精製水 全量が100となる量 (9)カルボキシビニルポリマー1.0重量%水溶液 20.0 (10)水酸化カリウム 0.1 (11)エタノール 5.0 (12)表2に示した成分 表1に示す量 (13)香料 0.2 製法:・・・ 【0039】 【表1】 」(段落【0035】?【0039】) (a-7)「【0040】前記実施例1?実施例4及び比較例1?比較例6を用いて、紫外線によるしわの発生に対する防止効果を評価した。・・・ ・・・ 【0044】続いて、本発明の実施例1?実施例4及び比較例1?比較例6について、抗炎症作用を評価した。人工的に炎症を形成した1群5匹のマウスを用い、各群に実施例及び比較例をそれぞれ0.5gずつ1日2回7日間塗布し、7日目に炎症部位の状態を観察し、「有効」,「やや有効」,「無効」の3段階で評価し、各評価を得たマウスの数にて表4に示した。 【0045】 【表4】 【0046】表4より明らかなように、抗炎症作用については、本発明の実施例塗布群では全て5例のマウスにおいて有効な抗炎症作用が認められており、製造例1のアガリクス茸子実体抽出物を単独で2倍量配合した比較例1より優れた効果を発揮していた。 【0047】次に本発明の実施例1?実施例4及び比較例1?比較例6について、6ヶ月間の実使用試験を行った。パネラーとして、顕著なしわの発生若しくは弾性の低下等の皮膚症状を有する40歳?60歳代の女性、及び顕著な肌荒れ症状を呈する20歳?50歳代の女性を用い、それぞれ1群20名とした。使用試験は、各群に実施例及び比較例のそれぞれをブラインドにて使用させ、使用試験開始前と使用試験終了後の皮膚の状態を観察して行った。・・・また、肌荒れについては、表6に示す判断基準に従って皮膚の状態を点数化し、20名の平均値により使用試験開始前と使用試験終了後を比較して表7に示した。 ・・・ 【0051】 【表7】 【0052】表7に示されるように、本発明の実施例使用群では、全パネラーにおいて、肌荒れの改善傾向が認められ、殆どのパネラーにおいて、皮溝,皮丘が明瞭に認められるに至っていた。これに対し、各種成分を単独で配合した比較例1?比較例5においては、各種成分を配合していない比較例6より皮膚の状態が改善されていたが、皮溝が平坦で皮丘の形が不明瞭な状態にとどまっていた。」(段落【0040】?【0052】) (a-8)「【0057】 [実施例8]皮膚用ゲル剤 (1)精製水 88.0(重量%) (2)カルボキシビニルポリマー 0.5 (3)ジプロピレングリコール 10.0 (4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (5)水酸化カリウム 0.1 (6)アガリクス茸子実体抽出物(製造例1) 0.8 (7)パセリ50重量%1,3-ブチレングリコール抽出物 0.5 製法:・・・」(段落【0057】) 第5 対比・判断 引用例Aには、アガリクス茸子実体の抽出物と、活性酸素消去剤を配合した皮膚外用剤であって、活性酸素消去剤がパセリの抽出物である皮膚外用剤が記載され(摘記事項a-1,3,4,6,8)、該皮膚外用剤は、皮膚の肌荒れ作用等に優れ、かつ、皮膚中での活性酸素生成に起因する過酸化脂質の生成や、肌の炎症,肌荒れを防止或いは改善する効果を有することが記載されている(摘記事項a-2)。さらに、実施例4,比較例5には、パセリ50重量%1,3-ブチレングリコール抽出物をそれぞれ0.3%,1.0重量%配合したO/W乳化型美容液が具体的に開示され(摘記事項a-6)、表4には、実施例4の使用により、抗炎症作用が認められたこと、パセリ抽出物を含有する比較例5は、有効成分を含有しない比較例6よりも抗炎症作用に優れたことが具体的に裏付けられている(摘記事項a-7,特に段落【0044】?【0046】)。さらに、実施例4の使用により、全パネラーにおいて、肌荒れの改善傾向が認められたこと、比較例5においては、各種成分を配合していない比較例6より皮膚の状態が改善されていたこと(摘記事項a-7,特に段落【0051】?【0052】)が具体的に記載されており、これらの結果から、パセリ溶媒抽出物が抗炎症作用や肌荒れ改善作用等を有することが明らかである。 すなわち、引用例Aの上記摘記事項の記載からみて、引用例Aには、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「パセリ溶媒抽出物からなる抗炎症並びに肌荒れ改善剤。」 本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、いずれもパセリ溶媒抽出物が単独で薬理活性を有するものであることから、 「パセリ溶媒抽出物からなる薬剤。」で一致し、下記の点で一応相違する。 薬剤の用途が、本願発明は、「トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤」であるのに対し、引用発明は、「抗炎症並びに肌荒れ改善剤」である点。 そこで、この相違点について、以下に検討する。 用途発明は、ある物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見出したことに基づく発明と解されるが、未知の属性を発見したとしても、その技術分野の出願時の技術常識を考慮し、その物の用途として新たな用途を提供したといえなければ、請求項に係る発明の新規性は否定される。 本願明細書には、本願発明のプラスミン特異的活性阻害剤の適用対象として、プラスミンの活性変化が認められる種々の疾患を改善する製剤であることが記載され、患部において、プラスミンの活性変化が認められる接触性皮膚炎、乾癬、尋常性天疱瘡、先天性水疱瘡等の皮膚疾患を例示している他、皮膚外用剤に好ましく配合され、乾燥や洗浄剤等による肌荒れに対して優れた改善若しくは予防効果を有する皮膚外用剤が提供されることを記載している(段落【0001】,【0026】)。ここで、皮膚炎は皮膚の炎症であり、接触性皮膚炎は、急性あるいは慢性の炎症で、皮膚に接触して毒性あるいはアレルギー性反応を引き起こす物質によって生じることが一般的に知られており(例えば、メルクマニュアル 第17版 日本語版,1999年,日経BP社,785?786頁参照のこと)、また、乾癬は、本願明細書の背景技術において、炎症性異常角化性疾患の代表であることが記載されている(段落【0004】)ことから、接触性皮膚炎、乾癬は、炎症性皮膚疾患に他ならないものである。さらに、処方例1には、パセリ溶媒抽出物を配合した肌荒れ改善用皮膚外用剤が具体的に開示され(段落【0053】?【0054】)、処方例1が、肌荒れ改善・予防効果に優れることも記載されている(段落【0061】)。すなわち、本願発明の「トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤」は、その具体的な用途として、接触性皮膚炎や乾癬等の炎症性皮膚疾患や肌荒れの改善・予防のための薬剤を包含するものであることが明らかである。 そうしてみると、本願発明において、パセリ溶媒抽出物が、「トリプシン活性を阻害しないで、プラスミンに対して特異的に優れた拮抗作用を有する」という未知の属性を有することを発見したものであり、「トリプシン活性を阻害しないプラスミン特異的活性阻害剤」という発明特定事項により特定された薬剤であるとしても、本願発明と引用発明とは、いずれも適用対象が炎症性皮膚疾患や肌荒れ症状をもつヒトであって、その用途が炎症性皮膚疾患や肌荒れ症状の改善・予防のための「抗炎症並びに肌荒れ改善剤」である点において一致するものであり、この点で、本願発明は新たな用途を提供したものとはいえない。 よって、上記した一応相違するとした点は、実質的に同一であり、両者を区別することはできない。 したがって、本願発明は、引用例Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。 なお、請求人は、平成23年12月21日付けの回答書において、本願発明を単にパセリ抽出物ではなく、「プラスミン特異的活性阻害剤」という認識を持って使用する限り、例えば、本願発明の「プラスミン特異的活性阻害剤」を製品として販売するため、特定容器に充填して「プラスミン特異的活性阻害剤」の製品名のラベルを貼付すれば、本願発明の「プラスミン特異的活性阻害剤」と、引用例A記載の「肌荒れ改善用皮膚外用剤」とは完全に区別可能な発明になる旨、したがって、本願発明の「プラスミン特異的活性阻害剤」(原料製品)と「肌荒れ改善用皮膚外用剤」(化粧料等)とは販売ルートも取り扱いルートも製品名も異なる別個の発明であり、補正後の本願発明は、引用例Aにより特許法第29条第1項第3号によって拒絶される発明ではない旨を主張している。(なお、引用文献1は、引用例Aに置き換えて記載した。) しかしながら、上記したとおり、引用例Aからは「パセリ溶媒抽出物からなる抗炎症並びに肌荒れ改善剤。」という発明を認定することができ、その場合、本願発明と引用発明とは、いずれも化粧料や皮膚外用剤に配合して用いられる原料製品である点において区別することはできないものであるし、「プラスミン特異的活性阻害剤」と「肌荒れ改善用皮膚外用剤」との表現上の相違によって、本願発明が新たな用途を提供したものとはいえない点については、上記検討したとおりである。 よって、上記請求人の主張は、理由がない。 第6 まとめ 以上のとおり、本願の請求項1に記載された発明は、本願の出願日前に頒布されたことが明らかな上記引用例Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-26 |
結審通知日 | 2012-03-27 |
審決日 | 2012-04-17 |
出願番号 | 特願2003-311417(P2003-311417) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A61K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 菊池 美香 |
特許庁審判長 |
内田 淳子 |
特許庁審判官 |
上條 のぶよ 穴吹 智子 |
発明の名称 | プラスミン特異的活性阻害剤 |
代理人 | ▲高▼野 俊彦 |