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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09K
管理番号 1257934
審判番号 不服2008-10694  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-28 
確定日 2012-06-08 
事件の表示 特願2002-102831「蛍光変換発光ダイオード」拒絶査定不服審判事件〔平成15年2月7日出願公開、特開2003-34791〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成14年4月4日(パリ条約による優先権主張2001年4月4日、米国)の特許出願であって、平成19年6月15日付けで拒絶理由が通知され、同年12月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成20年1月18日に拒絶査定がされ、これに対し、同年4月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年7月16日付けで審判請求書についての手続補正書及び明細書についての手続補正書が提出された後、平成22年7月12日付けで審尋がされ、平成23年1月17日に回答書が提出され、その後、当審が平成23年6月15日付けで拒絶理由を通知し、それに対して、同年11月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本件出願に係る発明は、平成23年11月16日付けで手続補正された明細書(以下、「本願明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項30に記載した事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。

「一次光を放射する発光ダイオード、及び
前記発光ダイオード表面の少なくとも一部に重り、前記一次光の少なくとも一部を吸収し、前記一次光の波長より長い波長を有する二次光を放射することができる(Sr_(l-u-v-x)Mg_(u)Ca_(v)Ba_(x))(Ga_(2-y-z)Al_(y)In_(z)S_(4)):Eu^(2+)の蛍光物質、
を含み、ここで、
0<u≦1、0≦v≦1、0≦x≦1、0<(u+v+x)≦1、0≦y≦2、0≦z≦2、0≦y+z≦2、又は、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦x≦1、0≦(u+v+x)≦1、0≦y≦2、0<z≦2、0<y+z≦2であることを特徴とする発光デバイス。」

第3 当審が通知した拒絶理由
平成23年6月15日付けで当審が通知した拒絶理由は、次の理由を含むものである。

本件出願の発明は、本件出願前に頒布された下記の刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開2000-82849号公報
刊行物2:国際公開第00/33389号

第4 当審の判断
当審は、本願発明1は、上記拒絶の理由のとおり、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであるから特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである、と判断する。
以下、詳述する。

1.刊行物の記載事項
ア 刊行物1
本件出願の優先権主張日前である、平成12年3月21日に頒布された刊行物1には、以下の事項が記載されている。
1a 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体発光素子、半導体発光装置およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、蛍光体を励起することにより、高い効率で波長変換された光を外部に取り出すことができる半導体発光素子、半導体発光装置およびその製造方法に関する。」
1b 「【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図97に示したような従来の発光発光装置では、半導体発光素子からの発光を直接外部に取り出す構造であるために、以下に列挙するような問題があった。
【0015】まず第1に、発光素子の構造のばらつきにより、発光波長が素子ごとにばらつくという問題があった。すなわち、半導体発光素子は、同一の条件で製造しても、不純物の混入量や各層厚などがばらつくことによって、その発光波長がばらつく傾向を有する。
【0016】第2に、駆動電流によって、発光波長が変化するという問題があった。すなわち、半導体発光素子に供給する電流量に応じて、その発光波長が変動することがあり、発光輝度と発光波長とを独立して制御することが困難であるという問題があった。
【0017】第3に、温度によって、発光波長が変化するという問題があった。すなわち、半導体発光素子の特に発光層部分の温度が変化すると、発光層の実効的なバンドギャップも変化するために、発光波長が変動するという問題があった。
【0018】第4に、発光波長に応じて、内蔵する半導体発光素子の材料や構造を適宜選択し、変更しなければならないという問題もあった。例えば、赤色において発光させるためには、AlGaAs系材料を用い、黄色においてはGaAsP系またはlnGaAlP系材料、緑色系においてはInGaAlP系またはGaP系材料、青色においてはInGaN系材料の如く、最適な材料をその波長に併せて選択しなければならないという問題があった。
【0019】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、発光波長が極めて安定で、しかも、可視光から赤外線領域までの種々の波長において高い輝度で発光させることができる半導体発光素子、半導体発光装置およびその製造方法を提供することを目的とする。」
1c 「【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、波長変換機能を有する蛍光物質を半導体発光素子の内部、表面、または、半導体発光装置の樹脂部分または、その他の外囲器の表面または内部に適宜、混合、堆積、または配置することによって、半導体発光素子からの発光をきわめて高い効率で波長変換し、外部に取り出すことができる半導体発光素子および発光装置を提供するものである。
【0021】すなわち、本発明による半導体発光素子は、第1の波長の光を放出する発光層と、前記発光層が放出する前記第1の波長の光を吸収して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を放出する蛍光物質と、を備えたことを特徴とし、発光波長が極めて安定で、発光色の調節も容易であるなどの種々の利点を有する。」
1d 「【0033】本発明においては、このような半導体発光素子10の少なくともいずれかの部分に蛍光物質を含有させ、あるいは堆積する。紫外線領域の光で効率良く励起される蛍光体としては、例えば、赤色の発光を生ずるものとしては、Y_(2)O_(2)S:Eu、青色の発光を生ずるものとしては、(Sr、Ca、Ba、Eu)_(10)(PO_(4))_(6)・Cl_(2)、緑色の発光を生ずるものとしては、3(Ba、Mg、Eu、Mn)O・8Al_(2)O_(3)などを挙げることができる。これらの蛍光物質を適当な割合で混合すれば、可視光領域の殆どすべての色調を表現することができる。」
1h 「【0272】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に説明する効果を奏する。本発明によれば、半導体発光素子の発光層からの発光を直接取り出すことがなく、蛍光物質により波長変換することとしているので、半導体発光素子の製造パラメータのばらつき、駆動電流、温度などに依存して、発光波長が変動するという問題を解消することができる。すなわち、本発明によれば、発光波長が極めて安定で、発光輝度と発光波長とを独立して制御することができるようになる。
【0273】また、本発明によれば、用いる蛍光物質を適宜組み合わせることによって、容易に複数の発光波長を得ることができる。例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光物質を適宜混合して、発光素子に含有させれば、白色光の発光を容易に得ることができる。
【0274】さらに、本発明によれば、発光波長に応じて、内蔵する半導体発光素子の材料や構造を適宜選択し、変更する必要がなくなる。例えば、従来は、赤色において発光させるためには、AlGaAs系材料を用い、黄色においてはGaAsP系またはlnGaAlP系材料、緑色系においてはGaPまたはInGaAlP系材料、青色においてはInGaN系材料の如く、最適な材料をその波長に併せて選択しなければならないという問題があった。これに対して、本発明によれば、発光波長に応じて蛍光物質の種類を適宜選択すれば良く、半導体発光素子を変更する必要がなくなる。
【0275】また、本発明によれば、異なる発光色を有する半導体発光素子を並べる必要がある場合においても、発光色の変更は、用いる蛍光体の種類を変えるだけで済み、半導体発光素子の材料や構造は同一とすることができる。従って、発光装置の構成を極めて簡略化することが可能となり、製造コストを顕著に低減することができるとともに、信頼性も高く、また、駆動電流や、供給電圧、あるいは素子のサイズなどを共通にすることにより、応用範囲を顕著に拡大することができるという利点も生ずる。
【0276】このように、本発明によれば、比較的簡略な構成により、発光波長が極めて安定で、しかも、可視光から赤外線領域までの種々の波長において高い輝度で発光させることができる半導体発光素子および半導体発光装置を提供することができ、産業上のメリットは多大である。」

ウ 刊行物2
本件出願の優先権主張日前である、2000年6月8日に頒布された刊行物2には、和訳にして以下の事項が記載されている。
2a 「…デバイス視感度及び出力光束の高い光源があれば性能向上の面で望ましい。」(1頁22?24行)
2b 「本発明の一つの例示的な実施形態によるランプは、発光ダイオード又はレーザーダイオードのような青色光を発する発光素子と該発光素子の第一スペクトルの青色光を吸収して第二スペクトルの光を発する蛍光体組成物を含んでなる。この蛍光体組成物は、Ba_(2)MgSi_(2)O_(7):Eu^(2+)、Ba_(2)SiO_(4):Eu^(2+)及び(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga)_(2)S_(4):Eu^(2+)の1種類以上を含んでなる。
本発明は、青色光を発する発光素子と該発光素子の第一スペクトルの青色光を吸収して第二スペクトルの光を発する蛍光体組成物にも関するが、当該ランプの発する光の分光視感度は、ワット放射束当り550ルーメン以上である。出力スペクトルの分光視感度が高いために、ランプに対する入力電力は高い明るさを供するように効率的にルーメンに変換される。例えば、当該ランプのデバイス視感度は、ワット入力電力当り35?45ルーメン或いはそれ以上にできる。」(2頁2?16行)
2c 「本発明の例示的実施形態によれば、光源はLED又はレーザーダイオードのような青色光を発する発光デバイスと、青色光を吸収して緑色光を発する蛍光体とを含んでなる。蛍光体は、図1の視感度曲線の最も感度の高い領域に集約された出力スペクトルを有する緑色光を発するように選択される。
LEDの発する青色光の発光ピークは通例400nmよりも長波長側にあり、典型的には400?520nmの間、さらに典型的には約450?約470nmの間にある。LEDの発する青色光のピーク半値幅は、典型的には約70nm未満、さらに典型的には約50nm未満であり、随意約20nm未満としてもよい。
当技術分野で公知の通り、青色LEDは基板上に種々の半導体材料を堆積させることによって製造し得る。発光デバイスの形成に有用な半導体材料として知られている公知のグループは窒化ガリウム(GaN)系である。窒化ガリウム系とは、III族窒化物、即ち窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)及び窒化インジウム(InN)の1種類以上を含む半導体材料をいう。GaN系ではその組成中のGaN、AlN及びInNの相対量に基づいて種々の波長の光、特に短波長光の発光が可能である。GaN系は、通例、従来の緑色発光LEDと比べると出力放射束が比較的高く、温度感受性が小さいという利点も与える。」(5頁5?26行)
2d 「蛍光体組成物230は、図4に示すように透過体230の外表面に形成してもよいし、或いは透過体230内部の光源210に直接形成してもよい。蛍光体組成物を透過体230又は光源210に塗布するため、蛍光体組成物を例えば工業用ラッカーに用いられるニトロセルロース/酢酸ブチルバインダーと溶媒の溶液のような懸濁液に加えてもよい。その他にも、水に適当な分散剤及びポリエチレンオキサイドのような増粘剤又はバインダーを加えたものを始めとする種々の液体を使用し得る。蛍光体含有懸濁液を刷毛塗り又はコーティング又はその他の方法でLEDに塗布して乾燥する。照明装置200は複数の散乱粒子を含んでいてもよく、例えばレーザーダイオードを光源として使う場合には、二酸化チタン又は酸化アルミニウム粒子を透過体230内に埋め込んでおいてもよい。
導線212,214に電流を流すと、LEDは青色光を発し、蛍光体組成物230によって緑色光へと変換される。LED又はレーザーダイオードの発する青色光は緑色発光蛍光体を効率よく励起できる。本発明の例示的実施形態では、Ba_(2)MgSi_(2)O_(7):Eu^(2+)、Ba_(2)SiO_(4):Eu^(2+)及び(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga)_(2)S_(4):Eu^(2+)の蛍光体の1種類以上が用いられる。
上記の蛍光体において、符号コロンの後に記載された元素は賦活剤を表す。(A,B,C)という表記は(Ax,By,Cz)を意味する。ただし、0≦x≦1及び0≦y≦1及び0≦z≦1及びx+y+z=1である。例えば、(Sr,Ca,Ba)は(Srx,Cay,Baz)を意味し、0≦x≦1及び0≦y≦1及び0≦z≦1及びx+y+z=1である。通例、x,y及びzはすべて零以外の数値である。(A,B)という表記は(Ax,By)を意味し、0≦x≦1及び0≦y≦1及びx+y=1である。通例、x及びyはともに零以外の数値である。」(6頁21行?7頁15行)

(2)刊行物1に記載された発明
刊行物1は、「蛍光体を励起することにより、高い効率で波長変換された光を外部に取り出すことができる半導体発光素子、半導体発光装置およびその製造方法」(摘示1a)に関して記載するもので、「従来の発光装置では、半導体発光素子からの発光を直接外部に取り出す構造」であったため「不純物の混入量や各層厚などがばらつくことによって、その発光波長がばらつく傾向を有する」、「駆動電流によって、発光波長が変化する」等、摘示1bに示す各種の問題があったところ、それらにおいて「波長変換機能を有する蛍光物質を半導体発光素子の内部、表面、または、半導体発光装置の樹脂部分または、その他の外囲器の表面または内部に適宜、混合、堆積、または配置すること」によって、「半導体発光素子からの発光をきわめて高い効率で波長変換し、外部に取り出すことができる半導体発光素子および発光装置を提供するもの」(摘示1c)であって、「半導体発光素子の製造パラメータのばらつき、駆動電流、温度などに依存して、発光波長が変動するという問題を解消することができる。すなわち、本発明によれば、発光波長が極めて安定で、発光輝度と発光波長とを独立して制御することができるようになる」等の摘示1hに示された効果を奏するものである。
そうすると、刊行物1には、
「半導体発光素子、及び
波長変換機能を有する蛍光物質を半導体発光素子の内部、表面、または、半導体発光装置の樹脂部分または、その他の外囲器の表面または内部に適宜、混合、堆積、または配置させた、半導体発光素子からの発光をきわめて高い効率で波長変換し、外部に取り出すことができる半導体発光素子を含む、半導体発光装置。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。

(3)本願発明1と引用発明との対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における、「半導体発光素子」は、本願発明1における「一次光を放射する発光ダイオード」に相当し、引用発明の「波長変換機能を有する蛍光物質」であって「半導体発光素子の内部、表面、または、半導体発光装置の樹脂部分または、その他の外囲器の表面または内部に適宜、混合、堆積、または配置させた、半導体発光素子からの発光をきわめて高い効率で波長変換」する蛍光物質は、本願発明1の「発光ダイオード表面の少なくとも一部に重り、前記一次光の少なくとも一部を吸収し、前記一次光の波長より長い波長を有する二次光を放射することができる」蛍光物質に相当する。そして、引用発明の「半導体発光装置」は、本願発明1の「発光デバイス」ということができる。
そうすると、本願発明1と引用発明とを対比したときの一致点及び相違点は、以下のとおりのものと認められる。

一致点
「一次光を放射する発光ダイオード、及び
前記発光ダイオード表面の少なくとも一部に重り、前記一次光の少なくとも一部を吸収し、前記一次光の波長より長い波長を有する二次光を放射することができる蛍光物質、
を含む発光デバイス。」

相違点
蛍光物質が、本願発明1は、
「(Sr_(l-u-v-x)Mg_(u)Ca_(v)Ba_(x))(Ga_(2-y-z)Al_(y)In_(z)S_(4)):Eu^(2+)
0<u≦1、0≦v≦1、0≦x≦1、0<(u+v+x)≦1、0≦y≦2、0≦z≦2、0≦y+z≦2、又は、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦x≦1、0≦(u+v+x)≦1、0≦y≦2、0<z≦2、0<y+z≦2」(以下、「本願蛍光物質」という。)であるのに対して、引用発明は、特に規定されるものではない点

(4)相違点についての判断
引用発明に用いる蛍光物質について、刊行物1には、
「紫外線領域の光で効率良く励起される蛍光体としては、例えば、赤色の発光を生ずるものとしては…、青色の発光を生ずるものとしては…、緑色の発光を生ずるものとしては、…などを挙げることができ」(摘示1d、【0033】)と記載され、半導体発光素子の発光の「領域の光で効率良く励起され」るようなものを用いることが示されている。
他方、刊行物2には、「デバイスにおいて視感度及び出力光束の高い光源」(摘示2a)とすることができ、「LED又はレーザーダイオードの発する青色光」が「効率よく励起できる」(摘示2d)蛍光物質として「(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga)_(2)S_(4):Eu^(2+)」なる緑色発光蛍光体(摘示2d等)が記載されている。
この刊行物2に記載された蛍光物質(以下、「刊2蛍光物質」という。)も本願蛍光物質も、Eu^(2+)がドープされたIIA-IIIA_(2)S_(4)、すなわち、(Sr、Mg、Ca、Ba)(Ga、Al、In)_(2)S_(4):Eu^(2+) であり、その出願前知られた硫化物蛍光体(必要であれば、原査定及び審尋において示した特表2000-505041号公報等、さらには、本願明細書の段落【0012】記載の3文献等も参照)の範ちゅうの蛍光物質であるものの、本願蛍光物質は、IIA元素としてMgが、及び/又は、IIIA元素としてInが含まれている点において、刊2蛍光物質とは一応異なる。
しかし、蛍光物質において、その母体を構成する元素について、同族の他の元素を付加するか、及び/又は、同族の他の元素に置換することにより発光ピークを短波長ないし長波長へシフトさせる等、所望の発色光を得るために蛍光物質の組成を調整することは、原審の拒絶の理由においても示したとおり、当業者が通常行うことである(必要であれば、特開平10-107325号公報【0029】、【0032】等を参照のこと)。
そうすると、引用発明の蛍光物質として、半導体発光素子の発光領域の光で効率良く励起されるものを採用しようとする当業者は、上記効率良く励起されることが示されている刊2蛍光物質「(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga)_(2)S_(4):Eu^(2+)」を採用し、所望の発色光等の必要に応じ、発光ピーク波長をMg、及び又はInにより調整したものとすること、すなわち、本願蛍光物質を採用することは、何ら困難なことではない。
そして、この点によって、本願発明1が予測を超える顕著な効果を奏するものとも認められない。

(5)まとめ
よって、本願発明1は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第5 結び
以上のとおり、本願発明1は特許を受けることができないものであるから、その余を検討するまでもなく、本件出願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-26 
結審通知日 2012-01-12 
審決日 2012-01-24 
出願番号 特願2002-102831(P2002-102831)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中西 祐子中野 孝一  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 村守 宏文
橋本 栄和
発明の名称 蛍光変換発光ダイオード  
代理人 中村 稔  
代理人 西島 孝喜  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 箱田 篤  
代理人 小川 信夫  
代理人 大塚 文昭  
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