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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1257965
審判番号 不服2010-12450  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-09 
確定日 2012-06-07 
事件の表示 特願2000-199125「入力表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月18日出願公開、特開2002- 14758〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願の手続の概要は,以下のとおりである。

平成12年 6月30日 出願
平成21年 5月 7日付け 拒絶理由通知
平成21年 7月 8日 意見書・手続補正
平成21年 9月17日付け 拒絶理由通知
平成21年11月30日 意見書
平成22年 2月26日付け 拒絶査定
平成22年 6月 9日 審判請求・手続補正
平成23年 3月22日付け 審尋
平成23年 5月27日 回答
平成23年10月12日付け 拒絶理由通知
平成23年12月19日 意見書・手続補正
平成24年 1月11日付け 拒絶理由通知
平成24年 3月19日 意見書・手続補正


第2 本願の特許請求の範囲

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成24年3月19日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
入力部と、
表示部と、
タイマーと、
待ち受け画面、第1画面及びロック状態の解除入力を受け付ける第2画面の各画面情報をそれぞれ記憶すると共に、前記ロック状態を解除するための複数桁の暗証コードを記憶する記憶部と、
ロック状態にて前記第1画面表示中に入力があると、前記第2画面を表示するとともに前記タイマーにて経過時間をカウントし、所定時間内に前記複数桁の暗証コードの入力がある場合はロック状態を解除して前記待ち受け画面に移行させる制御を行う制御部と、を具備し、
前記制御部は、ロック状態でも呼び出しがあると着信画面にし、ロック状態に関係なく通話操作可能にすることを特徴とする無線電話装置。」


第3 引用例について

引用例1 特開平11-355432号公報
引用例2 特開平11-308650号公報
引用例3 特開平10-177524号公報
引用例4 特開平11-136323号公報
引用例5 特開2000-134323号公報
引用例6 特開平11-341567号公報

1.引用例1の記載内容と引用例1発明

当審における平成24年1月11日付け拒絶理由通知において引用された,特開平11-355432号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。なお,下線は当審において付加したものである。

(ア)「本発明は移動体通信端末、より具体的には移動体通信端末におけるダイヤルロック解除方法に関する。」(段落【0001】)

(イ)「本実施の形態による移動体通信端末は、当該端末装置の全体を制御するマイクロコンピュータ(MPU)50と、電話番号やダイヤルロック設定または解除に伴う各種動作モードの設定等を行うキー操作部60と、暗証番号等のユーザにより設定されたデータが保存されるE^(2)PROM62と、キー操作部60から入力された各種情報や端末装置の状態を表示するLCD等からなる表示部64とを備える。なお、この表示部64には、例えばダイヤルロックが設定されている状態ではダイヤルロックマークである鍵マークが表示されるとともに、後述するダイヤルロックの「一時解除」中の場合にはこれを示す文字が表示される。」(段落【0011】)。

(ウ)「MPU50は、その内部にCPU51、ROM52、RAM53、クロック54、I/Oポート55およびタイマ56とにより構成されている。CPU51は、クロック54から供給されるクロックに同期して動作し、ROM52に格納されている当該端末装置の動作処理手順を規定するプログラムに基づき、指定された処理を演算データおよび外部情報を格納するRAM53を用いて実行する。CPU51はまた、I/Oポート55を介してMPU50以外の各構成要素と接続され、信号やデータの授受を行うことにより、所定の機能を実行する。・・・具体的には、CPU51は、例えばキー操作部60より入力されたダイヤルロック設定を行うキー操作を検出すると、ROM52に格納されているプログラムに従ってダイヤルロックを設定する。CPU51はまた、ダイヤルロックが設定されている状態でダイヤルロックを解除するための暗証番号が入力され、この暗証番号に続けて「解除」または「一時解除」の選択キーが入力されたことを検出すると、暗証番号を照合してこれが正しければダイヤルロックの「解除」または「一時解除」を行う。CPU51はさらに、「一時解除」の場合には、タイマ56を起動してキー入力有無を監視する。」(段落【0013】,【0014】)。

(エ)「画面64aはダイヤルロックが設定されているときの移動体通信端末の待ち受け時の状態を示したものである。画面64aに示すようにこの状態では、表示部64には基地局との受信状態や電池の容量、または日付や時間等とともに、ダイヤルロックが設定されていることを示すダイヤルロックマーク(鍵マーク)が基地局との受信状態の真下に表示される。・・・この状態で画面64bに示すように、予めユーザが設定した4桁の暗証番号である「****」が入力され、「解除」の選択キーが押下されると、暗証番号が合っていれば成功音が出力されて、画面64cに示すようにダイヤルロックマークが消え、ダイヤルロックが解除される。一方、暗証番号が間違っている場合にはエラー音を出力して画面64aに示すダイヤルロック状態に戻る。」(段落【0023】,【0024】)

(オ)「画面64a」は「鍵マーク」が表示されたものであり,「画面64b」は画面に「****」が含まれたものとなり,「画面64c」は「鍵マーク」も「****」も含まれないものであること。(【図4】)

上記摘記事項(ア)?(オ)によれば,引用例1には以下の発明が開示されていると認められる(以下,「引用例1発明」という。)。

<引用例1発明>
「キー操作部60と,
表示部64と,
タイマ56と,
ROM52,RAM53,及び暗証番号等のデータを記憶するE^(2)PROM62と,
ダイヤルロックが設定されているときの移動体通信端末の待ち受け時の状態であり,ダイヤルロックマークが表示される画面64aの状態で,4桁の暗証番号の入力『****』があると,画面に示されるのは『****』が含まれた画面64bとなり,暗証番号が合っていればダイヤルロックが解除されるとともに画面に示されるのはダイヤルロックマークが消えた画面64cとなり,暗証番号が間違っている場合にはダイヤルロック状態に戻るとともに画面に示されるのは画面64aとなる,
動作手順を実行するCPUと,
を備える移動体通信端末。」

2.引用例2の記載内容と引用例2開示事項

当審における平成24年1月11日付け拒絶理由通知において引用された,特開平11-308650号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。なお,下線は当審において付加したものである。

(カ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシークレット機能を有する選択呼出受信機に係り、特にシークレットモードを解除したい場合に、短時間で容易に解除することができる選択呼出受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】シークレット機能は、他人に勝手に使われないように機能をロックするものであり、利用者が設定したパスワード(暗証番号等)を入力しない限り、特定の場合以外、操作が無効となる(キー操作を行っても反応しない)ものである。
【0003】また、全ての機能ではなく特定の機能に対してロックをかける場合もあり、例えば、携帯電話や電子手帳の電話帳をロックして、読み出しを禁止するものもある。
【0004】シークレット機能を備えた携帯端末においては、利用者が予め設定した暗証番号(例えば4桁の数字)をEEPROM等に記憶しておき、一旦設定されたシークレットモードを解除する場合には、キー入力部より番号を入力し、入力番号とEEPROMに記憶された暗証番号とが一致した場合にシークレットモードが解除されるようになっている。」

(キ)「【0027】次に、本装置におけるシークレットモード設定方法について簡単に説明する。まず、予め設定されたシークレットモード設定画面の表示指示が入力されると、制御部5はシークレット設定モードに移行して、表示部9にシークレットモード設定画面を表示する。シークレットモード設定画面では、例えば、「シークレットモードにしますか?」というメッセージを表示する。
【0028】そして、キー入力部12から「YES」に相当するデータが入力されると、制御部5は、暗証キーパターンの確認画面を表示する。そして、キー入力部12からの入力キーパターンが、機能設定記憶部14に記憶されている暗証キーパターンと一致した場合に、制御部5は、機能設定記憶部14にシークレットモードフラグをセットして処理をシークレットモードに移行し、表示部9に「ロック中」等の表示を行う。このようにして、シークレットモードが設定されるものである。」

(ク)「【0030】ここで、制御部5におけるシークレットモードの解除方法について図3を用いて具体的に説明する。図3は、制御部5におけるシークレットモードの解除方法を示すフローチャート図である。図3に示すように、まず、「ロック中」表示から予め設定されたシークレットモード解除指示(ここでは「○」)が入力されると(100)、制御部5は、暗証キーパターン入力画面を表示し(102)、キー入力部12からの入力を待つ。キーデータが入力されると(104)、制御部5は確定キー(ここでは「○」)が押下されたかどうかを判断し(106)、「○」キーでなければ、一時的にワークメモリに記憶する(108)。【0031】処理106において「○」キーが押下された場合には、制御部5は、ワークメモリに記憶されている入力されたキーパターンと、機能設定記憶部14に記憶された暗証キーパターンとを比較し(110)、一致していれば機能設定記憶部14にセットされているシークレットモードフラグをリセットし(112)、通常モードに移行する。」

(ケ)「【0033】本発明の実施の形態に係る選択呼出受信機によれば、3種類のキー「■」「≪」「≫」の押下パターンから成る5桁の暗証キーパターンを機能設定記憶部14に記憶しておき、シークレットモード解除の際に、制御部5が入力されたキーパターンと機能設定記憶部14に記憶されている暗証キーパターンとを比較して、一致した場合にシークレットモードを解除して通常モードに移行するようにしているので、スクロール操作によって数字の暗証番号を入力するのに比べて短時間でパスワードを入力することができ、シークレットモードの解除に要する時間を短縮して、使い勝手を向上させることができる効果がある。」

(コ)「【0037】更にまた、一旦シークレットモードを解除しても、一定時間(例えば30秒間)の間にキー入力部12からのキー入力がない場合には再びシークレットモードに戻るようにしてもよい。この場合、制御部5は、機能設定記憶部14のシークレットモードフラグをリセットしてから一定時間経過してもキー入力部12からの入力がない場合、再び機能設定記憶部14にシークレットモードフラグをセットして、シークレットモードに移行する。」

上記摘記事項(カ)?(コ)によれば,引用例2には以下の事項が開示されていると認められる。(以下,「引用例2開示事項」という。)

<引用例2開示事項>
「他人に勝手に使われないように機能をロックするシークレット機能を備えた携帯端末において,
シークレットモードが設定されると表示部9に『ロック中』表示を行い,『ロック中』表示から予め設定されたシークレットモード解除指示である『○』が入力されると,暗証キーパターン入力画面を表示し,複数種類のキーの押下パターンから成る5桁の暗証キーパターンと『○』キーの入力がされた場合は,暗証キーパターンとを比較して,一致した場合にシークレットモードを解除して通常モードに移行し,
シークレットモードを解除しても,一定時間の間にキー入力部12からのキー入力がない場合には再びシークレットモードに戻る制御を行う制御部,
を有する携帯端末。」

3.引用例3の記載内容と引用例3開示事項

当審における平成24年1月11日付け拒絶理由通知において引用された,特開平10-177524号公報(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。なお,下線は当審において付加したものである。

(サ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報処理装置が持つ入出力デバイスなどのハードウェアに対し、あらかじめ決められた利用者以外の第3者からの不当なアクセスを防止する保護機能を備えた情報処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の情報処理システムは、利用者が自身で登録したパスワードを登録し、入力した場合の結果において、情報処理装置が持つ機能の使用を許可したり、禁止したりして、そのセキュリティを図ることを目的として用いられている。たとえば、特開平04-148257号公報には、図6に示したように、入力されたパスワードを、あらかじめパスワードメモリ52に記憶されているパスワードと比較回路54で照合し、不一致であれば、装置のハードウェア機能である、標準インタフェース部をプロテクトし、機能制限を行う技術が開示されている。」

(シ)「【0020】つぎに動作について説明する。電源スイッチ119を押して装置の電源を入れると、ブートプログラム122が動き、メニュープログラム121の起動を調べ、起動であればメニュープログラム121を起動する。メニュープログラム121は、入出力デバイスのロックの指定とロックを一時的に解除できるためのパスワードを登録し、その情報をBUM105に格納する。」

(ス)「【0022】利用者が、自身でロックしたデバイスを使用する場合を説明すると、各入出力デバイスを制御するBIOS123が起動され、BIOS123は最初にBUM105の内容を参照する。ロック指定がある場合には、一定時間のウェイトをしながら、パスワードの入力を求める。一定時間の間にパスワードの入力があれば、その照合を行い、一致の場合のみロックを解除し、ハードウェアのアクセスと処理を行う。その後、処理が終了したら再びロックを行う。もし、一定時間の間にパスワードの入力がなければ、タイムアウトとし、そのアクセスを拒否する。あるいは、パスワードの入力があっても、照合で不一致であれば、そのアクセスを拒否する。」

(セ)「【0031】次に、利用者が実際、ハードウェア機能を使用する時のBIOSの動作を、図4のフローチャートで説明する。各デバイスドライバやアプリケーションプログラムから各デバイスのBIOSのファンクションコールが行われると、ステップ401で、図2のステップ209で登録されたBUM105の情報を参照する。次にステップ402で、BUMに格納された各入出力デバイスのロック情報が設定してあるかどうかを調べる。もしロックありであれば、ステップ403で、第2のセットアップパスワードの入力要求を行う。次に、ステップ404で、第2のパスワードの入力ありかどうかを調べる。情報処理装置の使用者が、デバイスのロックを登録した利用者であれば、正しい第2のパスワードを入力するであろうし、もし利用者以外の第3者であったならば、パスワード入力をためらうか、間違ったパスワードを入力する。
【0032】ステップ404で、パスワードが入力されない場合には、ステップ415で一定時間の時間待ちであるウェイト処理を行い、ステップ416で、その時間の監視を続け、タイムアウトとなったときにステップ416でハードウェアアクセス拒否エラー表示を行い、システムをHALT状態とする。一方、もしステップ416でタイムアウトでなければ、ステップ417で再度、ステップ402の第2のセットアップパスワード入力要求処理に戻る。
【0033】ステップ404で、パスワードの入力があった場合、ステップ405で、そのパスワードの照合を行う。ステップ405での照合の結果、一致していた場合には、ステップ407で指定された入出力デバイスに対して、入出力デバイスロック機構108を通し、ロック部に対し、ソフトウェアコマンドでロック解除処理を実施する。これで、そのデバイスはハードウェア的にイネーブル状態に復帰し、動作可能となる。その後、ステップ408で本来のBIOS動作であるハードウェアアクセス処理を行う。
・・・(中略)・・・
【0036】ステップ406で、パスワードが一致しない場合は、制御はステップ415に移行する。この後、ステップ415で一定時間の時間待ちであるウェイト処理を行い、ステップ416で、その時間を監視を続け、タイムアウトであったらステップ416でハードウェアアクセス拒否エラー表示を行い、システムをHALT状態とする。一方、ステップ416で、タイムアウトでなければ、ステップ417で再度、ステップ402の第2のセットアップパスワード入力要求処理に戻る。」

(ソ)「【0039】また利用者がメニュープログラムを操作して入出力デバイスのロック設定し、その設定を保護するために第1と第2のセットアップパスワードを登録して、利用者しか使用できないように保護しているので、利用者以外の第3者による情報処理装置の入出力デバイスへの不正使用を禁止することができる。」

(タ)「ロック有り」の状態において
「第2のセットアップパスワード要求」(403)を行い,「入力有り?」(404)と「照合OK?」(406)とが両方ともYESであれば「入出力デバイスのロックを解除」(401)し,
「入力有り?」(404)がNOの場合,または「照合OK?」がNOの場合,「タイムアウト」がNOの場合は(417)「第2のセットアップパスワード要求」(403)に戻るが,「タイムアウト」がYESの場合は(416)「H/Wアクセス拒否エラーHALT」とすること。(【図4】)

上記摘記事項(サ)?(タ)によれば,引用例3には以下の事項が開示されていると認められる(以下,「引用例3開示事項」という。)。

<引用例3開示事項>
「パスワードを登録することによりセキュリティを図る装置において,
ロックを解除できるためのパスワードを登録してBUM105に格納し,
ロックしたデバイスを使用する場合,パスワードの入力を求め(403),一定時間の間にパスワードの入力があれば,その照合を行い(405),一致の場合のみロックを解除しデバイスを動作可能な状態とし(407),
一定時間の間にパスワードの入力がない場合,またはパスワードの入力があっても照合で不一致である場合は,制御を移行し(415),タイムアウトでなければ再度パスワード入力要求処理に戻る(417)が,タイムアウトであれば,エラー処理を行いアクセスを拒否する(416),
装置。」

4.引用例4の記載内容と周知の技術事項

当審における平成24年1月11日付け拒絶理由通知において引用された,特開平11-136323号公報(以下,「引用例4」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。

(チ)「【0010】・・・表示手段としての液晶パネル(以下、LCDと称する)12に、記憶手段としてのメモリ13から表示画面のデータを読み出して表示する。」

上記摘記事項(チ)によれば,引用例4には,「表示用の画面情報を記憶部に記憶すること。」との周知の技術事項が記載されていると認められる。

5.引用例5の記載内容と周知の技術事項

当審における平成24年1月11日付け拒絶理由通知において引用された,特開2000-134323号公報(以下,「引用例5」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。

(ツ)「【0002】・・・(中略)・・・この場合、人混みや満員電車の中などでは、ユーザの知らないところ(意図せずに)で、勝手に携帯電話機のキーパッドが押されてしまう場合があり、この時、最悪のケースでは、発信動作にも成りかねず、結果的に、いたずら電話になってしまう虞がある。
・・・(中略)・・・
【0004】また、従来、ダイヤルロックという機能がある。このダイヤルロック機能は、あるキー操作(例えばFキー+#キー)を行い、ユーザが予め設定してある暗証番号を入力することにより、発信動作を禁止できる機能で、本来は、携帯電話機を紛失した場合等に、他人に勝手に使用されることを禁止する為の機能だが、キー入力を禁止するという点で、上記誤操作防止機能に類するものであり、結果的に、前述の様な、誤操作を未然に防止できることになる。なお、これら機能の設定解除は、設定時に入力したキー操作(「F」キー+「6」キーや暗証番号の入力)を行うことにより可能である。
【0005】ところで、これら各機能設定中であっても、着信があった場合には、この着信に応答するキー入力だけ受け付けるようになっている。これは、ユーザの操作性を考慮してのものであり、いちいち設定を解除するというキー操作を行ってから、着信に応答するという不便さを解消するための処置である。
【0006】尚、この従来の誤操作防止モード設定中に着信を受けた場合の処理手順のフローチャートを図4に示す。図4に示すように、まず、ユーザにより誤操作防止モード設定キー入力操作(この例では、「F」キー+「6」キー押下)が行われると(ステップS501)、装置側では、誤操作防止モードの設定を行う(ステップS502)。そして、それ以降、装置では、誤操作防止モードを解除するキー入力操作{この例では、上記ステップS501と同じ入力操作(「F」キー+「6」キー押下}が行われるかどうかを監視し、ここで、誤操作防止モードを解除するキー入力操作が有ると(ステップS503YES)、上記設定した誤操作防止モードを解除して(ステップS504)、通常待ち受け状態に移行してこの処理を終了する。
【0007】一方、上記ステップS503の監視の結果、誤操作防止モードを解除するキー入力操作が無ければ(ステップS503NO)、次に、装置側では、着信が有るかどうかを監視し、ここで、着信が無ければ(ステップS505NO)、上記ステップS503に戻って以下同様の処理を行う。他方、着信が有った場合(ステップS505YES)、装置側では、発信(応答)キーの入力を許可し(ステップS506)、それ以降、この発信キーがユーザにより押下されるかどうかを監視する(ステップS507)。ここで、ユーザにより発信キーが押下されず、着信動作が終了した場合(ステップS508YES)、上記ステップS502の誤操作防止モードの設定に戻る。他方、上記ステップS507の監視の結果、着信動作が終了する前に(ステップS508NO)、ユーザにより発信キーが押下されたと判定した場合(ステップS507YES)、通話処理に移行して通話中となる(ステップS510)。その後、ユーザにより終話キーが押下されたり、あるいは相手から切断信号を受信して通話終了を検出すると(ステップS511YES)、上記ステップS502に戻り、再び誤操作防止モード設定へと移行する。」

上記摘記事項(ツ)によれば,引用例5には,「誤操作防止用のロック機能を備えた携帯電話において,ロック状態でも着信があると,着信に対する応答を受け付けること。」との,周知の技術事項が記載されていると認められる。

6.引用例6の記載内容と周知の技術事項

本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である,特開平11-341567号公報(以下,「引用例6」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。なお,下線は当審において付加したものである。

(テ)「【0002】
【従来の技術】従来の携帯電話端末における加入者が非常事態の時の対策機能としては、携帯電話端末のキー入力部がダイヤルロックの状態であっても119番や110番の緊急発信は可能であった。
【0003】また、上記ダイヤルロックとは、携帯電話端末をカバンやポケットの中に入れているときに誤発信を行わないようにキー入力部の入力を受け付けないようにする機能である。しかし、着信に対する応答を行うためのキー入力と、ダイヤルロックを解除するキー入力は受け付ける。」

上記摘記事項(テ)によれば,引用例6には,「誤操作防止用のロック機能を備えた携帯電話において,ロック状態でも着信があると,着信に対する応答を受け付けること。」との,周知の技術事項が記載されていると認められる。


第4 対比・判断

1 対比

本願発明と,引用例1発明とを対比する。

(a)引用例1発明の「入力部60」は,本願発明の「キー操作部」に相当する。

(b)引用例1発明の「表示部64」は,本願発明の「表示部」に相当する。

(c)引用例1発明の「タイマ56」は,後述するようにカウントの内容が暗証コードの入力までの経過時間ではない点を除き,本願発明の「タイマー」に対応する。

(d)引用例1発明の「暗証番号」は「4桁」であるから,本願発明の「複数桁の暗証コード」に相当する。引用例1発明の「ROM52,RAM53,及び,暗証番号等のデータを記憶するE^(2)PROM62」は,画面情報を記憶していない点を除き,本願発明の「記憶部」に対応する。

(e)引用例1発明の「画面64a」,「画面64b」,「画面64c」は,後述するように,それぞれの表示を切り替える条件が異なる点と,「第2画面」に関して後述する点を除き,本願発明の「第1画面」,「第2画面」,「待ち受け画面」に対応する。
また,引用例1発明の「ダイヤルロックマークが表示される画面64aの状態で,4桁の暗証番号の入力『****』」は,「第1画面表示を切り替えるための入力」ではない点を除き,本願発明の「ロック状態にて前記第1画面表示中に当該第1画面表示を切り替えるための入力」に対応する。
また,本願発明の「前記第2画面を表示するとともに前記タイマーにて経過時間をカウントし、所定時間内に前記複数桁の暗証コードの入力がある場合はロック状態を解除して前記待ち受け画面に移行」と,引用例1発明の「ダイヤルロックマークが表示される画面64aの状態で,4桁の暗証番号の入力『****』があると,画面に示されるのは『****』が含まれた画面64bとなり,暗証番号が合っていればダイヤルロックが解除されるとともに画面に示されるのはダイヤルロックマークが消えた画面64cとなり」は,ロック状態の画面表示中に入力があると,画面の表示を変更し,複数桁の暗証コードの入力がある場合はロック状態を解除して待ち受け画面に移行させる点において共通する。
また,引用例1発明の「CPU」が,装置の制御を司るものであることは当然である。
そうすると,引用例1発明の「CPU」と,本願発明の「制御部」とは,「ロック状態にて前記第1画面表示」中に「入力があると」「所定時間内に前記複数桁の暗証コードの入力がある場合はロック状態を解除して前記待ち受け画面に移行させる」「制御を行う」点において共通している。

(f)引用例1発明の「移動体通信端末」は,本願発明の「無線電話装置」に相当する。

2 一致点と相違点

以上によれば,本願発明と引用例1発明の一致点と相違点は,次の通りと認められる。

(1)一致点

「入力部と,
表示部と,
タイマーと,
前記ロック状態を解除するための複数桁の暗証コードを記憶する記憶部と,
ロック状態にて前記複数桁の暗証コードの入力がある場合はロック状態を解除して待ち受け画面に移行させる制御を行う制御部と,
を具備する無線電話装置。」

(2)相違点

[相違点1]本願発明の「記憶部」は「待ち受け画面、ロック状態で表示する第1画面及びロック状態の解除入力を受け付ける第2画面の各画面情報をそれぞれ記憶する」ものであるのに対し,引用例1発明の「ROM52,RAM53,及び,暗証番号等のデータを記憶するE^(2)PROM」は,そのようになっていない点。

[相違点2]本願発明は「ロック状態にて前記第1画面表示中に入力があると、」「第2画面」を表示し,暗証コードの入力処理になるが,引用例1発明は,「ダイヤルロックマークが表示される画面64aの状態で,4桁の暗証番号の入力『****』」によって「『****』が含まれた画面64bとなる」ものであり,「第1画面表示中」の「入力」によって「第2画面」を表示したうえで暗証コードの入力となる構成を有していない点。

[相違点3]本願発明は「タイマーにて経過時間をカウント」し、「所定時間内」に前記複数桁の暗証コードの入力がある場合はロック状態を解除して前記待ち受け画面に移行させるものであるのに対し,引用例1発明は暗証番号が合っていればダイヤルロックが解除されるものであり,ダイヤルロックの解除に「タイマー」を用いていない点。

[相違点4]本願発明は「前記制御部は、ロック状態でも呼び出しがあると着信画面にし、ロック状態に関係なく通話操作可能にする」ものであるのに対し,引用例1発明は,そのような構成になっていない点。

3 判断

(1)相違点1について
「表示用の画面情報を記憶部に記憶すること。」は,引用例4に例示されるように,周知の技術事項であると認められる。
そして,引用例1発明において,引用例4に例示される周知の技術事項を考慮して,携帯電話に表示するための表示画面のデータを記憶部に記憶するようになし,相違点1にかかる構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

(2)相違点2について
引用例2開示事項によれば,引用例2には「シークレットモードが設定されると表示部9に『ロック中』表示を行い,『ロック中』表示から予め設定されたシークレットモード解除指示である『○』が入力されると,暗証キーパターン入力画面を表示し,複数種類のキーの押下パターンから成る5桁の暗証キーパターンと『○』キーの入力がされた場合は,暗証キーパターンとを比較して,一致した場合にシークレットモードを解除して通常モードに移行」することが記載されていると認められる。
引用例2開示事項における,「『ロック中』表示」,「シークレットモード解除指示である『○』が入力されると」,「暗証キーパターン入力画面を表示」は,本願発明の「ロック状態で表示する第1画面表示」,「当該第1画面表示を切り替えるための入力があると」,「第2画面を表示」に相当する。
引用例1発明と,引用例2開示事項とは,操作者の暗証入力によって携帯端末のロックを解除する点において共通しているから,引用例1発明に,引用例2開示事項を適用することに関して格別の困難性は認められない。そうすると,引用例1発明に,引用例2開示事項を適用し,画面64aの状態において『ロック中』表示を行い,所定の解除指示『○』に応じて「暗証キーパターン入力画面」を表示するようにし,暗証キーパターンが入力された場合は,ロックを解除して通常モードに移行し,通常の待ち受け画面である画面64cを表示するように構成し,相違点2にかかる構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

(3)相違点3について
引用例3開示事項によれば,引用例3には
「パスワードを登録することによりセキュリティを図る装置において,
ロックを解除できるためのパスワードを登録してBUM105に格納し,
ロックしたデバイスを使用する場合,パスワードの入力を求め(403),一定時間の間にパスワードの入力があれば,その照合を行い(405),一致の場合のみロックを解除しデバイスを動作可能な状態とし(407),
一定時間の間にパスワードの入力がない場合,またはパスワードの入力があっても照合で不一致である場合は,制御を移行し(415),タイムアウトでなければ再度パスワード入力要求処理に戻る(417)が,タイムアウトであれば,エラー処理を行いアクセスを拒否する(416),
装置。」が記載されていると認められる。
そして,引用例3発明は,一定時間の間にパスワードの入力がなければ,エラー処理を行いアクセスを拒否するものであるから,当該エラー処理のための時間を計測するために,ユーザによりパスワード入力が可能になった時点からの時間をカウントするようなすことは,当業者が適宜なし得た事項に過ぎない。
そうすると,引用例1発明に,より強固なロックを実現するために,引用例3開示事項を適用し,ロックしたデバイスを使用するにおいて,パスワードの入力を可能にするとともに経過時間をカウントし,一定時間の間にパスワードの入力があればロックを解除し,一定時間の間にパスワードの入力がなければエラー処理を行うように構成し,相違点3にかかる構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

(4)相違点4について
引用例5及び引用例6に例示されるように,「誤操作防止用のロック機能を備えた携帯電話において,ロック状態でも着信があると,着信に対する応答を受け付けること。」は,周知の技術事項であると認められる。
このとき,当該周知の技術事項における「着信」は,本願発明の「呼び出し」に相当し,当該周知の技術事項における「ロック状態でも着信があると,着信に対する応答を受け付ける」は,本願発明の「ロック状態に関係なく通話操作可能にする」に相当する。
また,当該周知の技術事項における「ロック状態でも着信があると,着信に対する応答を受け付けること」が,携帯電話の制御部において実現されることは自明である。
また,携帯電話の技術分野において,着信時に,電話をかけた者の電話番号や名前を画面に表示することによって,画面を「着信画面」にすることは常套手段である。
引用例1発明において,携帯電話の技術分野における常套手段を考慮しつつ,引用例5及び引用例6に例示される周知の技術事項を適用し,相違点4にかかる構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものである。

以上判断したとおり,本願発明における上記相違点1乃至4に係る発明特定事項は,いずれも当業者が容易に想到することができたものであり,上記相違点を総合しても,想到することが困難な格別の事項は見いだせない。

(5)本願発明の作用効果について
本願発明の作用効果も,引用例1発明,引用例2開示事項,引用例3開示事項,引用例4に例示される周知の技術事項,引用例5及び引用例6に例示される周知の技術事項,並びに常套手段から当業者が予測できる範囲のものである。

(6)まとめ
したがって,本願発明は,引用例1発明,引用例2開示事項,引用例3開示事項,引用例4に例示される周知の技術事項,引用例5及び引用例6に例示される周知の技術事項,並びに常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 むすび

以上の次第で,本願発明は,引用例1発明,引用例2開示事項,引用例3開示事項,引用例4に例示される周知の技術事項,引用例5及び引用例6に例示される周知の技術事項,並びに常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。

したがって,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-27 
結審通知日 2012-04-03 
審決日 2012-04-16 
出願番号 特願2000-199125(P2000-199125)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 慎一  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 松尾 俊介
山本 章裕
発明の名称 入力表示装置  
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