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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F28F
管理番号 1257994
審判番号 不服2011-5612  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-14 
確定日 2012-06-07 
事件の表示 特願2004-277775号「熱交換器用伝熱管」拒絶査定不服審判事件〔平成18年4月6日出願公開、特開2006-90657号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成16年9月24日の出願であって、平成22年12月9日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年12月14日)、これに対し、平成23年3月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともにその審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
これに対し、当審により、同年11月24日付けで拒絶理由通知がなされ、平成24年1月30日に手続補正がなされたものである。

2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年1月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「管外面に管軸に対してねじれ角を持つ断面略三角形の螺旋溝を有すると共に管内面に管軸に対してねじれ角を持つ螺旋突起が形成された熱交換器用の伝熱管であって、
管内面には、螺旋状突起と管内面底部が形成され、管内面に形成される突起の幅W1が0.20?0.40mm、高さHfが0.10?0.40mm、頂角αfが5?60°、ねじれ角βfが5?50°で、管内面の底部の幅W2を0.15?1.2とすると、前記管内面の底部の幅W2と前記管内面の突起の幅W1との比W2/W1が0.8?3.0であり、
前記管外面に形成される断面略三角形の螺旋溝の深さHgが0.05?0.5mm、頂角αgが40?120°で、ねじれ角βhが5?50°であり、熱交換効率性能向上率ΔQと圧力損失の増加率ΔPの比ΔQ/ΔPの評価が1以上であることを特徴とする熱交換特性と加工性の両者が優れる内径dが5?10mmである小径の熱交換器用伝熱管。」

3 刊行物について
当審による拒絶理由において提示され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭62-142995号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア 「[産業上の利用分野]
本発明は、空気調和機、冷凍機、ボイラー等の熱交換器の中で、ポンプ手段によって移送される管内流体が相変化を行う用途に適した内面らせん溝付伝熱管(以下「内面溝付管」という)の改良に関するものである。」(第1ページ左下欄第18行?同右下欄第3行)
イ 「[発明の目的]
本発明の目的は、前記した従来技術の欠点を低減させると共に、製造コストの増加を最小に抑えながら、より蒸発性能の高い、高性能な内面溝付管を提供することにある。」(第2ページ左上欄第1?5行)
ウ 「即ち、本発明は、管の最小内径(Di)に対する溝深さ(Hf)の比(Hf/Di)が0.02?0.03、溝の管軸に対するねじれ角が7°?30°、溝深さ(Hf)に対する個々の溝部の軸直角断面積(S)の比(S/Hf)が0.25?0.40である多数の断面が略U字形のらせん状溝を有し、その溝間に位置するフィンは、溝直角断面における頂角が30°?50°、先端の平坦部長さが0.02?0.10mm、先端両側の角部が半径0.02mm以下の台形断面であることを特徴とするものである。
次に各数値の意義について述べる。
(1)溝深さの影響について
溝深さ(Hf=フィン高さ)は、内側表面積の増加、内部流体の乱流促進、その他全ての点で伝熱性能への影響が大きい。
溝深さ(Hf=フィン高さ)を管の最小内径(Di)との比で、熱伝達率と圧力損失を平滑管と比べてみると、Hf/Diの値を零から次第に増して行ったとき、熱伝達率は増加するものの、その増加はHf/Di =0.02?0.03付近から緩慢となる。一方、圧力損失はHf/Di =0.03付近から急激に増大する傾向を示す。
従って、圧力損失が平滑管と大差ない範囲で、できる限り高い伝熱性能を得るには、溝の深さ(Hf)は、管の最小内径(Di)との比にしてHf/Di=0.02?0.03の範囲とすることが望ましい。
(2)溝のねじれ角の影響について
最も一般的に使用されている条件で行なった実験結果から、溝のねじれ角と熱伝達率比との関係を見ると、蒸発時は、溝の管軸に対するねじれ角が7°?20°に僅かなピークを持ち、凝縮時はねじれ角の増加と共に性能が漸増する傾向を示す。
しかし、このねじれ角の増加は管製造時の加工性低下を招くことを考え併せると、溝の管軸に対するねじれ角は、7°?30°程度の範囲に留めることが好ましい。しかも、この範囲内においては、蒸発・凝縮性能の差はあまりないので、両性能のバランスの要求されるヒートポンプタイプへの適用も可能である。
(3)溝部断面積の影響について
溝深さが一定の場合、管内壁(溝部)での液膜挙動が性能への大きな影響要因となってくる。即ち、溝深さを一定として、溝の幅を変えて溝の断面積と冷媒流量の関係をみると、溝の幅を大きくした場合、溝面積が大きくなりすぎて液膜が薄くなり、フィン先端の乾いた部分は蒸発に寄与しなくなる。また溝の幅を小さくした場合、溝面積が小さくなりすぎて、溝内をかき上げられるべき液の絶対量が加熱量に対して不足し、蒸発性能が低下することになる。一方、凝縮については、前者のようにできるだけ乾いた部分が多いことが望ましいが、前者の場合は、溝ピッチの増大に伴う総表面積の減少が著しいため、蒸発・凝縮の両性能を低下させる方向となる。
従って、液膜挙動と内表面積とのバランスにおいて最適な溝断面積値が存在するはずである。
そこで、第7図に示すように、フィンの断面形状を一定とし、そのピッチを変えて溝の断面積の影響をみた結果、蒸発性能は、溝深さ(Hf)に対する溝断面積(S)の比(S/Hf)が0.3付近にピークがあり、これ以上での急激な性能低下に比べ、0.3以下での性能低下は緩やかである。一方、凝縮性能は、S/Hfの値が小さくなるほど上昇している。
これらの両性能の傾向を見ると、S/Hfが小さいはと性能的に安定しているように思われるが、S/Hfが小さくなることは、フィン数の増加による単位長さ当りの重量(以下単重という)の増加が著しいことも忘れてはならない。従って、性能と単重を総合的に考えると、溝断面積(S)は溝深さ(Hf)との関係においてS/Hfの値が0.25?0.4の範囲にあることが望ましい。
(4)フィン形状の影響について
一般に三角形フィンは、大なり小なりその先端に丸味をもっている。何故なら溝付加工工具の製作、加工精度の維持等の実用性を考慮すると、フィンの先端が丸味をもつことは避けられないからである。しかも、フィン先端の丸味はフィン頂角が小さいものほど大きくなってくる。内面溝付管が使用されている代表的な仕様条件のものでみると、そのフィン先端の丸味は半径0.03?0.05mmとなる。この内面溝付管は熱交換器組立て時のプラグ拡管作業において通常の管外径を6%程度拡管する場合、溝深さ(フィン高さ)の減少量は約0.02mmであり、結果的にフィンは先端に平坦部を持つ台形となる。
従って、そのことを想定して予めフィン形状を台形にておけば、フィン先端の面圧及び変形量を減少させ、金属粉の発生量も大幅に減少させることができる。
この場合、フィン先端の平坦部長さは0.02mm以上は必要であるが、あまり極端なフィン先端幅の増大は、当然単重の増加を招くので、上限としては0.1mm程度が望ましい。また、その先端角部は、平坦部の確保、内部流体の流れ等の点も考慮すると、半径0.02mm以下であることが望ましい。
内面溝付管が使用されている代表的な条件で、フィンの先端幅を0.06mmとしてフィン頂角を変えて行なった実験結果では、第5図に示すようにフィン頂角(α)が25°?50°の範囲では、表面積の差以上に蒸発熱伝達率の向上が得られている。これは、フィン形状により溝内を流れる冷媒液の流速が維持されるか、撹拌による伝熱促進効果がもたらされたものと思われる。」(第2ページ左上欄第11行?第3ページ右上欄第16行)
エ 「第5図は、外径9.52mm、Di=8.52mm、Hf=0.20mm、溝数60、ねじれ角(β)18°、フィン先端幅0.60mmとし、フィン頂角(α)を変化させた台形フィンを有する内面溝付銅管についての実験結果を示すものである。
横軸にフィン頂角(α)をとり、縦軸に蒸発熱伝達率を平滑管との比でとっている。なお、比較例としての従来品は、先端に半径0.04mm程度の丸味のある頂角の小さい三角フィンを設けたものである。
本図によれば、フィン頂角(α)が30°?50°の範囲で約10%の性能向上が得られる。台形フィンと三角フィンとの間の表面積差はほんの僅かであるので、ここに見られる性能向上は、次のような理由によるものと思われる。
即ち、三角フィンと台形フィンの近傍においては、第6図に示すように、溝2内を溝に沿ってかき上げられる蒸発液の流れ(イ)は、フィン3の先端近傍になると管軸方向への主流(ロ)の影響を受けてフィン3を乗り越えようとする。このとき、先端に丸味のあるフィンの場合(a)は、スムーズに乗り越えて行く(ハ)に対し、角の張った台形フィンの場合(b)は、乗り越えられずに溝方向向う流れ(ニ)や、乗り越える前後に、ミクロ的な渦流を発生する流れ(ホ)等を生じ、これらが溝内流の流速を維持するか、撹拌による伝熱促進効果をもたらすものと思われる。」(第4ページ左上欄第7行?同右上欄第13行)
オ 上記ウ?エの記載事項、第1図、第6図(b)の図示内容によれば、管内面にらせん溝間に位置する台形断面のフィンと溝底面が設けられることが示されている。
カ 上記ウ?エの記載事項、第3図の図示内容によると、(Hf/Di)が0.02?0.03の範囲において、圧力損失の増加率よりも蒸発あるいは凝縮の伝熱性能である熱伝達率の増加率の方が大きいことが示されている。

上記ア?エの記載事項、上記オ?カの認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる。
「内面に管軸に対するねじれ角をもつらせん溝を有し、らせん溝間に位置する台形断面形状のフィンを設けた熱交換器に用いられる内面らせん溝付伝熱管であって、
内面には、らせん溝間に位置する台形断面形状のフィンと溝底面とが設けられ、
溝深さ(Hf)を0.20mmとし、
フィンの溝直角断面における頂角を30°?50°とし、
溝の管軸に対するねじれ角を7°?30°とすることにより、管製造時の加工性低下を招くことのないようにし、
蒸発性能がピークを有し、凝縮性能が上昇するように、溝深さ(Hf)に対する個々の溝部の軸直角断面積(S)の比(S/Hf)を0.25?0.40とし、
管の最小内径(Di)に対する溝深さ(Hf)の比(Hf/Di)を0.02?0.03とすることにより、圧力損失の増加率よりも伝熱性能の増加率の方が大きく、かつ、管製造時の加工性低下を招くことのない
管の最小内径(Di)を8.52mmとした内面らせん溝付伝熱管。」

4 対比
本願発明と刊行物に記載された発明とを対比する。
刊行物に記載された発明の「内面に管軸に対するねじれ角をもつらせん溝を有し、らせん溝間に位置する台形断面形状のフィンを設けた」ことは、その構成及び機能からみて本願発明の「管内面に管軸に対してねじれ角を持つ螺旋突起が形成された」ことに相当し、以下同様に、
「熱交換器に用いられる内面らせん溝付伝熱管」は、「熱交換器用の伝熱管」に、
「内面には、らせん溝間に位置する台形断面形状のフィンと溝底面とが設けられ」ることは、「管内面には、螺旋状突起と管内面底部が形成され」ることに、
「管の最小内径(Di)に対する溝深さ(Hf)の比(Hf/Di)を0.02?0.03とすることにより、圧力損失の増加率よりも伝熱性能の増加率の方が大きく、かつ、管製造時の加工性低下を招くことのない」ことは、「熱交換効率性能向上率ΔQと圧力損失の増加率ΔPの比ΔQ/ΔPの評価が1以上であることを特徴とする熱交換特性と加工性の両者が優れる」ことに、
それぞれ相当する。
そして、刊行物に記載された発明の「溝深さ(Hf)を0.20mmと」することは、「突起の」「高さHfが0.10?0.40mm」であることに含まれ、以下同様に、
「フィンの溝直角断面における頂角を30°?50°と」することは、「突起の」「頂角αfが5?60°」であることに、
「溝の管軸に対するねじれ角を7°?30°とする」ことは、「ねじれ角βfが5?50°」であることに、
「管の最小内径(Di)を8.52mmと」することは、「内径dが5?10mmである小径」であることに、
それぞれ含まれる。

したがって、上記両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「管内面に管軸に対してねじれ角を持つ螺旋突起が形成された熱交換器用の伝熱管であって、
管内面には、螺旋状突起と管内面底部が形成され、管内面に形成される突起の高さHfが0.10?0.40mm、頂角αfが5?60°、ねじれ角βfが5?50°であり、
熱交換効率性能向上率ΔQと圧力損失の増加率ΔPの比ΔQ/ΔPの評価が1以上であることを特徴とする熱交換特性と加工性の両者が優れる内径dが5?10mmである小径の熱交換器用伝熱管。」

[相違点1]
本願発明では、管外面に管軸に対してねじれ角を持つ断面略三角形の螺旋溝を有し、管外面に形成される断面略三角形の螺旋溝の深さHgが0.05?0.5mm、頂角αgが40?120°で、ねじれ角βhが5?50°であるのに対して、刊行物に記載された発明では、管外面に螺旋溝を有さない点。

[相違点2]
本願発明では、管内面に形成される螺旋状突起の幅W1が0.20?0.40mmで、管内面の底部の幅W2を0.15?1.2とすると、管内面の底部の幅W2と管内面に形成される螺旋状突起の幅W1との比W2/W1が0.8?3.0であるのに対して、刊行物に記載された発明では、蒸発性能がピークを有し、凝縮性能が上昇するように、溝深さ(Hf)に対する個々の溝部の軸直角断面積(S)の比(S/Hf)が0.25?0.40である点。

5 当審による判断
(1)相違点1について
熱交換器用の伝熱管の技術分野において、管外面での熱交換性能を向上させるために、管外面に断面略三角形の螺旋溝を形成し、螺旋溝の深さHgを0.05?0.5mmの範囲内とし、頂角αgを40?120°の範囲内とし、ねじれ角βhを5°?50°の範囲内とすることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、平成23年11月24日付け拒絶理由通知書において提示された実願昭61-146952号(実開昭63-54976号)のマイクロフィルムに示された螺旋溝2や、同じく、特開平10-213387号公報に示された外周面の溝部21を参照。以下「周知の技術事項1」という。)。
また、刊行物に記載された発明と同等の内径d5?10mmである熱交換器用の小径の伝熱管においても、管外面に螺旋溝を有すると共に管内面に螺旋突起を形成することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、原査定において提示された特開平3-86314号公報には、内面及び外面にフィン、螺旋状の溝、突起等を形成した外径が9.60mmの熱交換器に使用される金属管について示され、特開平7-208888号公報には、内面に凸状2が配置され、外面に凹溝5を形成された外直径が7mm?10mm程度の空調用熱交換器に用いられるチューブ4について示されている。)。
そして、刊行物に記載された発明の内面らせん溝付伝熱管は、管内面における伝熱性能を向上させるものであるが、管外面においても、熱交換器の用途や、伝熱管の材料、用いられる熱交換媒体の性質に応じて、熱交換性能を向上させる必要があることは、当業者にとって自明の課題である。
さらに、本願発明において、螺旋溝の深さHg、頂角αg、ねじれ角βhを所定範囲としたことに格別な臨界的意義を有するものでもない。
してみると、刊行物に記載された発明において、管外面の熱交換性能を向上させるために上記周知の技術事項1を適用するとともに、圧力損失や、加工性が満足した値となるように実験等を通して、管外面に形成される断面略三角形の螺旋溝の深さHgを0.05?0.5mmとし、頂角αgを40?120°とし、ねじれ角βhを5?50°とすることは当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点2について
刊行物に記載された発明と同等の内径d5?10mmである熱交換器用の小径の伝熱管において、熱交換性能を向上させるために、管内面に形成される螺旋状突起について、管内面に形成される突起の幅W1、あるいは、管内面の底部の幅W2を所定範囲に設定し、かつ、管内面の底部の幅W2と管内面の突起の幅W1との比W2/W1を所定範囲に設定することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開平1-131895号公報の溝の底幅W_(1)、山の底幅W_(2)、及び、(溝の底幅W_(1)/山の底幅W_(2))を所定範囲とすることや、特開昭62-98200号公報の溝幅W_(1)及び(溝幅W_(1)/W_(2))を所定範囲とすることや、特開平8-105699号公報の溝底幅Wgを所定範囲とすることや、特開昭63-294495号公報の平均溝幅W1と平均山幅W2とが所定の範囲のピッチ内で所定の関係を有することを参照。以下「周知の技術事項2」という。)。
ところで、本願発明において、管内面の底部の幅W2、管内面の突起の幅W1、及び、管内面の底部の幅W2と管内面の突起の幅W1の比W2/W1の範囲を所定範囲としたことに格別な臨界的意義を有するものでもない。
そして、刊行物に記載された発明は、「溝深さ(Hf)に対する個々の溝部の軸直角断面積(S)の比(S/Hf)を0.25?0.40と」するものであるが、これは、蒸発性能がピークを有し、凝縮性能が上昇するようにするためである。ここで、フィンの断面積と溝の断面積との関係は、フィンの高さである溝深さ(Hf)を一定とした場合、伝熱管内面におけるフィン幅と溝底面幅との関係に置き換えることができるものである。
してみると、刊行物に記載された発明において、上記周知の技術事項2に倣って、熱交換器の用途や、用いられる熱交換媒体の性質を考慮して、実験等を通して、管の構造を管の最小内径(Di)に対する溝深さ(Hf)の比(Hf/Di)で特定することに換えて、管内面に形成される突起の幅W1、管内面の底部の幅W2、管内面の底部の幅W2と管内面の突起の幅W1との比W2/W1で特定するとともに、その数値範囲を限定して上記相違点2のようにすることは当業者が適宜なし得たものである。

(3)小括
本願発明の奏する効果についてみても、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項から当業者が予測できた効果の範囲内のものである。
よって、本願発明は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物に記載された発明および周知の技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-28 
結審通知日 2012-04-03 
審決日 2012-04-16 
出願番号 特願2004-277775(P2004-277775)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柿沼 善一  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 青木 良憲
長崎 洋一
発明の名称 熱交換器用伝熱管  
代理人 井上 誠一  

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