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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1258002
審判番号 不服2011-7377  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-07 
確定日 2012-06-07 
事件の表示 特願2005-212472「切り替え装置、並びに、その制御方法および制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 8日出願公開、特開2007- 34376〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成17年2月22日の出願であって、平成23年1月18日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対して同年4月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 補正却下の決定
平成23年4月7日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

(1)[補正却下の決定の結論]
平成23年4月7日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

(2)[補正却下の決定の理由]
(a)補正の内容
本件補正によると、その特許請求の範囲の請求項1は、
「ローカル側に設けられたコンピュータを、ネットワークを介して遠隔操作側から操作可能とする切り替え装置であって、
前記コンピュータが前記遠隔操作側から操作されているとき、該コンピュータの遠隔操作側からの操作を当該コンピュータが設けられた前記ローカル側に通知する遠隔操作通知手段を備え、
前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段に加えて、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、前記コンピュータの表示装置の表示画面により通知する第2の表示通知手段を備え、
前記ネットワークはIPネットワークであり、前記切り替え装置はIP-KVMスイッチであることを特徴とする切り替え装置。」
と補正されている。

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段を備え」を、「前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段に加えて、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、前記コンピュータの表示装置の表示画面により通知する第2の表示通知手段を備え」とするものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下検討する。

(b)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-44198号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下のような記載がある。
(ア)「【0031】
また、信号処理装置12には、例えばLAN(Local Area Network)やインターネット等の一般的なネットワーク環境に接続する機能も設けられている。従って、操作者は、ネットワーク上のパーソナルコンピュータ(以下、PCという)22等から信号処理装置12へアクセスし、これを介してサーバ11を遠隔操作することができる。
【0032】
次に、上記のような遠隔操作システム1の概略構成を図3を用いて詳細に説明する。図3に示すように、遠隔操作システム1は、サーバ11と信号処理装置12とPC22とを有して構成される。
【0033】
サーバ11はローカルにモニタやキーボードやマウス等を接続できるように構成されている。そこで信号処理装置12は、上述したように、これらの構成を利用してサーバ11に接続される。すなわち、信号処理装置12は、サーバ11のビデオ端子やキーボードコネクタやマウスコネクタやシリアルコネクタ等にケーブルを介して接続される。
【0034】
尚、サーバ11におけるビデオ端子には、DVI(Digital Visual Interface)方式によるコネクタやRGB方式によるコネクタ等を適用することができる。換言すれば、サーバ11と信号処理装置12とは、DVI方式によるディスプレイ接続インタフェースで接続されても、RGB(Red/Green/Blue)を用いた出力画像信号方式で操作画面を出力するように接続されてもよい。また、キーボードコネクタ及びマウスコネクタには例えばPS/2コネクタやUSB(Universal Serial Bus)コネクタ等を適用することができる。更にシリアルコネクタには例えばRS-232cインタフェース等のコネクタを適用することができる。
【0035】
この他、信号処理装置12は、モニタ13やキーボード14やマウス15等の表示手段や入力手段をローカルに接続できるように構成される。すなわち、本実施例では、信号処理装置12に対してローカルに接続されたモニタ13やキーボード14やマウス15等で構成されるコンソール(以下、ローカルコンソールという)を用いて、GUI(Graphical User Interface)環境の元、信号処理装置12自体を入力操作することや、信号処理装置12を介してサーバ11を入力操作することができるように構成される。
【0036】
また、信号処理装置12には、上述したように、ネットワークを介して操作者側のPC22がアクセス可能である。尚、以下の説明では、信号処理装置12とPC22とをHUB21を介して接続した場合、すなわちネットワークをLAN(Local Area Network)20で構成した場合を例に挙げる。
【0037】
PC22には、表示手段であるモニタ23と、入力手段であるキーボード24及びマウス25とが接続されている。これら表示手段と入力手段とはPC22により制御され、操作者にGUI環境を提供する。
【0038】
以上の構成において、操作者は、信号処理装置12のIP(Internet Protocol)アドレス又は信号処理装置12を一意に識別するための識別情報を用いてPC22から信号処理装置12へアクセスし、信号処理装置12にサーバ11の遠隔操作を要求する。信号処理装置12はPC22からサーバ11の遠隔操作が要求されると、サーバ11から出力されているビデオ信号V(但し、DVI方式ではデジタルデータ若しくはアナログデータであり、RGB方式ではアナログデータである)に基づいて表示画面(サーバ11の表示画面:以下、操作画面という)のイメージデータ(例えばビットマップ形式)を生成し、これをIPパケット化してLAN20へ出力する。PC22はLAN20を介して受信したIPパケットPを解析して操作画面のイメージデータを再構成し、これをターミナルウィンドウ状にモニタ23に表示する。尚、図4に、モニタ23の表示画面231にターミナルウィンドウ状に表示された操作画面232の構成を示す。
【0039】
また、PC22は、上記の操作画面232に対してキーボード24やマウス25等から各種入力が行われると、この際入力された操作コードをIPパケットPに変換し、これを信号処理装置12へLAN20を介して送信する。信号処理装置12はPC22から受信したIPパケットPを解析して操作コードを再構成し、これをサーバ11へキーボードコネクタやマウスコネクタやUSBコネクタやシリアルコネクタ等から入力する。サーバ11は、信号処理装置12から入力された操作コードに基づいた処理を実行する。尚、操作コードとは、キーボードからキーマトリクスに基づいて発生する信号やマウスから移動量やクリックに基づいて発生する信号であり、操作情報ということもできる。
【0040】
以上のようにLAN20等のネットワークを介してサーバ11の操作画面をPC22のモニタ23に表示し、この画面に基づいて入力された操作コードを同ネットワークを介してサーバ11に入力するように構成することで、サーバ11をネットワークを介して接続されたPC22から遠隔操作できる環境が実現する。」(段落【0031】?【0040】)

(イ)「【0046】
DVI処理部121は、サーバ11のDVI端子111から出力されたDVI方式によるビデオ信号V_(D)を入力する。DVI処理部121で入力されたデジタルのビデオ信号V_(D)は画像処理部124に入力される。
【0047】
ここで、DVI処理部121から入力されたビデオ信号V_(D)をLAN20へ出力する場合、画像処理部124は、ビデオ信号V_(D)に基づいて例えばビットマップ形式やGIF(Graphics Interchange Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等のイメージデータを生成し、これを通信処理部128へ入力する。通信処理部128は入力されたイメージデータに基づいてIPパケットPを生成し、これをLAN20へ送出する。
【0048】
尚、通信処理部128は、LAN20等のネットワークとの通信を制御する構成であり、例えばLANではMAC(Media Access Control layer)やPHY(Physical Layer)等に相当し、USBではSIE(Serial Interface Engine)等に相当し、RS-232cでは232cトランシーバに相当する構成である。
【0049】
また、DVI処理部121から入力されたビデオ信号V_(D)をローカルに接続されたモニタ13へ出力する場合、画像処理部124は、このビデオ信号V_(D)をアナログ信号(ビデオ信号V_(A)に相当:以下、アナログのビデオ信号をV_(A)とする)に変換し、これをビデオ信号切替部123へ入力する。但し、ビデオ信号V_(D)からアナログ信号への変換は、RGB処理部122で処理されるように構成しても良い。この場合の処理は次のようになる。画像処理部124はビデオ信号V_(D)をそのままビデオ信号切替部123へ入力する。ビデオ信号切替部123は、入力されたビデオ信号V_(D)をRGB処理部122へ入力する。RGB処理部122はビデオ信号V_(D)をアナログ信号(ビデオ信号V_(A))変換に、得られたビデオ信号V_(A)をビデオ信号切替部123へ入力する。尚、モニタ13がDVI方式によるモニタである場合、信号処理装置12が、DVI処理部121からのビデオ信号V_(D)を、ビデオ信号切替部123を介してそのままモニタ13へ入力するように構成することもできる。
【0050】
このようにアナログ信号に変換されたビデオ信号V_(A)が入力されると、ビデオ信号切替部123は、これをローカルに接続されたモニタ13へ出力する。これにより、DVI端子111から出力されたサーバ11の操作画面を、信号処理装置12に対してローカルに接続されたモニタ13に表示できる。
【0051】
一方、RGB処理部122は、サーバ11のRGB端子112から出力されたRGB方式によるビデオ信号V_(A)を入力する。RGB処理部122で入力されたアナログ信号であるビデオ信号V_(A)はビデオ信号切替部123に入力される。
【0052】
ここで、RGB処理部122から入力されたビデオ信号V_(A)をLAN20へ出力する場合、ビデオ信号切替部123は、ビデオ信号V_(A)を画像処理部124へ入力する。画像処理部124はビデオ信号V_(A)をデジタル信号(ビデオ信号V_(D)に相当:以下、デジタルのビデオ信号をV_(D)とする)に変換し、これに基づいて例えばビットマップ形式やGIF(Graphics Interchange Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等のイメージデータを生成する。尚、生成したイメージデータは、上述と同様に、通信処理部128に入力され、通信処理部128においてIPパケットPに変換された後、LAN20へ送出される。
【0053】
また、RGB処理部122から入力されたビデオ信号V_(A)をローカルに接続されたモニタ13へ出力する場合、ビデオ信号切替部123は、このビデオ信号V_(A)をそのままモニタ13へ入力する。これにより、RGB端子112から出力されたサーバ11の操作画面を信号処理装置12に対してローカルに接続されたモニタ13に表示できる。
【0054】
尚、以上の2種類のディスプレイ接続インタフェースにおいて何れを使用するかは、信号処理装置12に設けられたDIP(Dual Inline Package)スイッチ12-1又は何れの端子(DVI端子111,RGB端子112)が接続されているかに基づいて適宜選択される。尚、DIPスイッチ12-1は、信号処理装置12の各種設定を行うためのスイッチである。各種設定としては、上記の他、例えば通信機能におけるIPv4固定とIPv6有効との切替えや、PnP(Plug and Play)やDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)自動割り当て処理のON/OFFや、のHalf-Duplex(半二重通信)とFull-Duplex(全二重通信)との選択や、回線自動判別機能(オートネゴシエーション)のON/OFFや、動作モードの設定等が挙げられる。」(段落【0046】?【0054】)

(ウ)「【0057】
また、信号処理装置12には、キーボード及び/又はマウスが直接接続された状況をサーバ11に擬似的に提供するために、K/M処理部125が設けられる。K/M処理部125は、ローカルK/M処理部126を介して入力された操作コードをサーバ11のK/Mポート(キーボードコネクタ及びマウスコネクタに相当)113に入力する。
【0058】
また、K/M処理部125は、信号処理装置12にローカルに接続されたキーボード14やマウス15から入力された操作コードをそのままサーバ11のK/Mポート113に入力する。尚、ローカルK/M処理部126を介して入力された操作コードとは、LAN20から受信したPC22の操作コードである。
【0059】
更に、上述したように、K/M処理部125はサーバ11にキーボード及び/又はマウスが直接接続された状況を提供するための構成であるため、サーバ11側から提供された電力で動作するように構成することが好ましい。また、信号処理装置12における他の構成は、電源部12-2からの電力に基づいて動作する。
【0060】
ローカルK/M処理部126は、主として信号処理装置12をローカルに接続されたキーボード14及びマウス15を用いて入力操作する際に機能する。より詳細には、キーボード14又はマウス15から所定のキー操作(例えばファンクションキーや専用キー等)に基づく操作コードが入力されると、ローカルK/M処理部126は、この操作コードを制御部127に入力する。制御部127は、このように所定のキー操作による操作コードが入力されると、図示しないROM(Read Only Memory)等に予め格納しておいた所定のルーチンを読み出し、信号処理装置12を入力操作するための環境をローカルの操作者に提供する。
【0061】
これを実現するために、制御部127は、次の処理を実行する。制御部127は、所定のキー操作が入力されると、これをトリガとして上記した所定のルーチンを読み出す。制御部127は、このルーチンに従って信号処理装置12を入力操作するための画面(OSD(On Screen Display)等:以下、これをコンソール画面という)を生成し、これを画像処理部124に入力する。画像処理部124は、入力されたコンソール画面に基づいてアナログのビデオ信号V_(C)を生成し、これをビデオ信号切替部123に入力する。この際、図6に示すように、画像処理部124は、コンソール画面132を操作画面131に対してポップアップウィンドウ状に表示するためのビデオ信号V_(C)を生成する。ビデオ信号切替部123は、コンソール画面132が前面に表示されるように、画像処理部124から入力されたビデオ信号V_(C)を操作画面131のビデオ信号V_(A)に重畳し、これをモニタ13へ出力する。これにより、信号処理装置12を入力操作するためのコンソール画面132がローカルに接続されたモニタ13にオーバレイされて表示される。尚、図6は、モニタ13に表示されるサーバ11の操作画面131であって、これにコンソール画面132がオーバレイされた状態を示している。
【0062】
また、ローカルK/M処理部126は、モニタ13に表示されたコンソール画面132に対してキーボード14やマウス15から入力された操作コードを制御部127に入力する。制御部127は、このように入力された操作コードに基づいて各種設定及び処理を実行する。これにより、信号処理装置12自体を入力操作するための環境が実現できる。
【0063】
また、ローカルK/M処理部126には、LAN20を介して入力されたPC22の操作コードも入力される。より詳細には、通信処理部128はLAN20を介してPC22から送信されたIPパケットPを受信し、これを解析して操作コードを再構築する。再構築された操作コードは、制御部127を介してローカルK/M処理部126に入力される。ローカルK/M処理部126は入力された操作コードをそのままK/M処理部125に入力する。K/M処理部125は、入力された操作コードをサーバ11のK/Mポート113に入力する。これにより、サーバ11を遠隔に入力操作するための環境がPC22側の操作者に提供できる。」(段落【0057】?【0063】)

以上の記載によれば、この引用例には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「サーバ11と信号処理装置12とPC22とを有して構成される遠隔操作システム1において、
PC22は、キーボード24やマウス25等から各種入力が行われると、入力された操作コードをIPパケットに変換し、LAN20を介して送信し、
信号処理装置12において、通信処理部128はLAN20を介してPC22から送信されたIPパケットPを受信し、これを解析して操作コードを再構築し、再構築された操作コードは、制御部127を介してローカルK/M処理部126に入力され、K/M処理部125は、入力された操作コードをサーバ11のK/Mポート113に入力し、
また、K/M処理部125は、ローカルに接続されたキーボード14やマウス15から入力された操作コードをそのままサーバ11のK/Mポート113に入力し、
DVI処理部121は、サーバ11のDVI端子111から出力されたDVI方式によるビデオ信号V_(D)を入力し、入力されたデジタルのビデオ信号V_(D)は画像処理部124に入力され、
DVI処理部121から入力されたビデオ信号V_(D)をLAN20へ出力する場合、画像処理部124は、ビデオ信号V_(D)に基づいて例えばビットマップ形式やGIF(Graphics Interchange Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等のイメージデータを生成し、通信処理部128は入力されたイメージデータに基づいてIPパケットPを生成しLAN20へ送出し、
DVI処理部121から入力されたビデオ信号V_(D)をローカルに接続されたモニタ13へ出力する場合、画像処理部124は、このビデオ信号V_(D)をアナログ信号(ビデオ信号V_(A)に相当:以下、アナログのビデオ信号をV_(A)とする)に変換し、これをビデオ信号切替部123へ入力し、ビデオ信号切替部123は、これをローカルに接続されたモニタ13へ出力し、DVI端子111から出力されたサーバ11の操作画面を、信号処理装置12に対してローカルに接続されたモニタ13に表示でき、
RGB処理部122は、サーバ11のRGB端子112から出力されたRGB方式によるビデオ信号V_(A)を入力し、入力されたアナログ信号であるビデオ信号V_(A)はビデオ信号切替部123に入力され、
RGB処理部122から入力されたビデオ信号V_(A)をLAN20へ出力する場合、ビデオ信号切替部123は、ビデオ信号V_(A)を画像処理部124へ入力し、ビデオ信号V_(A)をデジタル信号(ビデオ信号V_(D)に相当)に変換し、これに基づいて例えばビットマップ形式やGIF(Graphics Interchange Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等のイメージデータを生成し、生成したイメージデータは、通信処理部128に入力され、通信処理部128においてIPパケットPに変換された後、LAN20へ送出され、
RGB処理部122から入力されたビデオ信号V_(A)をローカルに接続されたモニタ13へ出力する場合、ビデオ信号切替部123は、このビデオ信号V_(A)をそのままモニタ13へ入力し、RGB端子112から出力されたサーバ11の操作画面を信号処理装置12に対してローカルに接続されたモニタ13に表示でき、
上記2種類のディスプレイ接続インタフェースにおいて何れを使用するかは、信号処理装置12に設けられたDIP(Dual Inline Package)スイッチ12-1又は何れの端子(DVI端子111,RGB端子112)が接続されているかに基づいて適宜選択することにより行われ、
LAN20等のネットワークを介してサーバ11の操作画面をPC22のモニタ23に表示し、この画面に基づいて入力された操作コードを同ネットワークを介してサーバ11に入力するように構成することで、サーバ11をネットワークを介して接続されたPC22から遠隔操作できる環境を実現する信号処理装置12。」

(c)対 比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「サーバ11」は、PC22からネットワークを介して遠隔操作されるコンピュータであるから、本願補正発明の「ローカル側に設けられたコンピュータ」に相当する。
(2)引用発明の「PC22」は、サーバ11を遠隔操作しているから、本願補正発明の「遠隔操作側」に相当するといえる。
(3)引用発明の「LAN20」は、IPパケットを用いて通信するから、本願補正発明の「IPネットワーク」に相当する。
(4)引用発明の「信号処理装置12」は、サーバ11をネットワーク(LAN20)を介して接続されたPC22から遠隔操作できる環境を実現するから、本願補正発明の「ローカル側に設けられたコンピュータを、ネットワークを介して遠隔操作側から操作可能とする切り替え装置」に相当する。
(5)引用発明の「信号処理装置12」は、ローカルに接続されたキーボード14やマウス15から入力された操作コードをそのままサーバ11のK/Mポート113に入力する場合とPC22においてキーボード24やマウス25で入力された操作コードをサーバ11のK/Mポート113に入力する場合とを切り替え、ビデオ信号V_(D),V_(A)をローカルに接続されたモニタ13へ出力する場合とビデオ信号V_(D),V_(A)をIPパケットPに変換してLAN20へ送出する場合とを切り替えているから、本願補正発明の「IP?KVMスイッチ」と「KVM信号を切り替える装置」である点で共通するといえる。

そうすると、本願補正発明の用語を用いると両者は、
「ローカル側に設けられたコンピュータを、ネットワークを介して遠隔操作側から操作可能とする切り替え装置であって、
前記ネットワークはIPネットワークであり、前記切り替え装置はKVM信号を切り替える装置であることを特徴とする切り替え装置。」
で一致するものであり、次の(1)、(2)の点で相違している。

(1)本願補正発明は、「前記コンピュータが前記遠隔操作側から操作されているとき、該コンピュータの遠隔操作側からの操作を当該コンピュータが設けられた前記ローカル側に通知する遠隔操作通知手段を備え、前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段に加えて、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、前記コンピュータの表示装置の表示画面により通知する第2の表示通知手段を備え」ているのに対し、引用発明は、PC11側からの操作をサーバ11が設けられたローカル側に通知する遠隔操作通知手段について記載がない点。

(2)本願補正発明は、切り替え装置は、「IP?KVMスイッチ」であるのに対し、引用発明は、「信号処理装置12」が「IP?KVMスイッチ」であることは記載されていない点。

(d)当審の判断
・相違点(1)について
遠隔操作システムにおいて、遠隔操作側からの操作をローカル側(操作される側)に設けられた表示部により通知する表示通知手段を備えることは、本願出願前周知(例えば、特表2002-525750号公報、段落【0086】「さらに、このカードはKEY-VIEW PCの前面にある状態ライト(通常ターボライト)の一つを制御するために用いることができ、誰かがKEY-VIEW PCにリモートアクセスしているときには、それをホストサイトにおいて視覚的に知ることができる(すなわち、ライトが点灯する)。」、段落【0627】「KEY-VIEWのPCが遠隔でアクセスされた時には、LEDは一瞬強い光を発する。より具体的には、KEY-VIEWが遠隔でアクセスされ(すなわち、pcAnywhereが“動作中”の場合)、かつ、メニューモードにある時には常に、ターボライトは5秒毎に0.5秒間強い光を発し、残りの時間は消灯されている。また、もしpcAnywhereが“動作中”で、かつ、KEY-VIEW PCがホストモードにあるときには、KEY-VIEW PCのターボライトは5秒間消灯され、残りの時間は点灯されている。」の記載、特開2002-288067号公報、段落【0021】「利用者PC11において、処理部12は遠隔操作への対応処理、変更履歴更新処理等を行う。通信部13は担当者PC22への接続、確認応答、・・・中略・・・表示部15は遠隔操作表示、確認メッセージ表示等を行う。」の記載、特開2001-75626号公報、段落【0018】「遠隔操作用コンピュータ13からキー入力すると操作用コンピュータ4でキー入力が発生し、・・・中略・・・さらに遠隔操作中の画面は操作用コンピュータ4に表示されるので、生産設備側で遠隔操作の内容を確認できる。」の記載、特開2004-135040号公報、段落【0072】「図12において、第1の実施例と異なるところは、現在遠隔制御を行っていることを報せるための遠隔制御中表示手段1201を設けた点である。遠隔制御中表示手段1201には、LEDを用いることでこの構成を容易に実現できる。」の記載、特開2002-355244号公報、段落【0037】「外部機器から通信制御部8を介して遠隔操作される場合に、図5に示すように、メッセージ表示部10は外部機器から通信制御部8を介して入力する情報により遠隔操作中である旨の警告メッセージを表示し」の記載参照)である。
そして、遠隔操作側コンピュータからの操作をローカル側(操作される側)に設けられた表示部により通知するのに、切り替え装置に設けられた表示部、操作されるコンピュータの表示装置の表示画面のどちらか一方で通知するか、あるいはその両方により通知するかは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計事項にすぎない。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、コンピュータが前記遠隔操作側から操作されているとき、該コンピュータの遠隔操作側からの操作を当該コンピュータが設けられた前記ローカル側に通知する遠隔操作通知手段を備え、前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、切り替え装置に設けられた表示部により通知する表示通知手段に加えて、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、前記コンピュータの表示装置の表示画面により通知する表示通知手段を備えるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点(2)について
本願補正発明の「IP-KVMスイッチ」は、その構成が必ずしも明確ではないので、本願明細書の発明の詳細な説明を参照すると、「IP-KVMスイッチ1は、信号相互変換回路11、ビデオ信号A/D変換回路12、および、KM信号化回路13を備えている。ビデオ信号A/D変換回路12は、ローカル側コンピュータ2のコンピュータ本体21からのビデオモニタ信号(V信号)を、そのまま通過させてローカル側コンピュータ2のビデオモニタ23に供給すると共に、A/D変換を行ってディジタル化されたV信号を信号相互変換回路11に出力する。また、KM信号化回路13は、ローカル側コンピュータ2のキーボード22からのキーボード信号(K信号)およびマウス24からのマウス信号(M信号)、並びに、信号相互変換回路11からのK信号およびM信号(すなわち、ネットワークを介した遠隔操作側コンピュータ3のキーボード32からのK信号およびマウス34からのM信号)を選択してローカル側コンピュータ2のコンピュータ本体21に供給する。さらに、信号相互変換回路11は、例えば、LAN42のEthernet(登録商標)信号等のLAN信号とKVM信号との相互変換を行う。」(段落【0010】、【0011】)と記載されている。
そうすると、引用発明の信号処理回路12における「ビデオ信号切替部123」、「通信処理部128」は、それぞれ上記「ビデオ信号A/D変換回路12」、「信号相互変換回路11」に相当し、引用発明の信号処理回路12における「ローカルK/M処理部126」及び「K/M処理部125」は、上記「KM信号化回路13」に相当し、「操作者は、信号処理装置12のIP(Internet Protocol)アドレス又は信号処理装置12を一意に識別するための識別情報を用いてPC22から信号処理装置12へアクセスし」(引用例、段落【0038】)、PC22と信号処理装置12はIPパケットで通信しているから、引用発明の「信号処理装置12」は、本願補正発明の「IP-KVMスイッチ」に相当するといえ、この点は実質的な相違点とは認められない。
なお、本願出願前にIP-KVMスイッチは周知(例えば、特表2003-534685号公報、国際公開第2004/032356号参照。)であり、引用発明の信号処理回路12をIP-KVMスイッチとすることも容易になし得ることである。

本願補正発明により奏される効果は、引用発明及び周知技術から、当業者が予想し得る範囲内のものと認められる。

(e)結論
そうすると、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年12月14日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「ローカル側に設けられたコンピュータを、ネットワークを介して遠隔操作側から操作可能とする切り替え装置であって、
前記コンピュータが前記遠隔操作側から操作されているとき、該コンピュータの遠隔操作側からの操作を当該コンピュータが設けられた前記ローカル側に通知する遠隔操作通知手段を備え、
前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段を備え、
前記ネットワークはIPネットワークであり、前記切り替え装置はIP-KVMスイッチであることを特徴とする切り替え装置。」

第4 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 (2)(b)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明の「前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段に加えて、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、前記コンピュータの表示装置の表示画面により通知する第2の表示通知手段を備え」を、「前記遠隔操作通知手段は、前記コンピュータの遠隔操作側からの操作を、該切り替え装置に設けられた表示部により通知する第1の表示通知手段を備え」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-28 
結審通知日 2012-04-03 
審決日 2012-04-17 
出願番号 特願2005-212472(P2005-212472)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 博司  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 安島 智也
稲葉 和生
発明の名称 切り替え装置、並びに、その制御方法および制御プログラム  
代理人 中村 健一  
代理人 鶴田 準一  
代理人 河合 章  
代理人 南山 知広  
代理人 青木 篤  

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