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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47F |
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管理番号 | 1258010 |
審判番号 | 不服2011-15743 |
総通号数 | 151 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-07-21 |
確定日 | 2012-06-07 |
事件の表示 | 特願2001-183854号「展示物スタンド」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月 7日出願公開、特開2003- 404号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年6月18日の出願であって、平成23年6月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年7月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年1月18日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「皿状物を支持する展示物スタンドにおいて、 皿状物の下端部を支持する台座部材と、この台座部材に取り付けられると共に、皿状物の背面を支持する透明体で形成された背面支持部を有する背面部材とを具備しており、 前記背面支持部が、平板状のものであり、その上端部を後方に傾斜させていることを特徴とする展示物スタンド。」 3.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭54-37640号(実開昭55-136371号)のマイクロフィルム(以下「引用刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア)「(1)左右一対の棒状台を底面部で架橋板に止着して等間距離に並置するようなさしめると共に、各棒状台上面部の前面には係止用突起を設けしめるのほか、その後方には一定間距離を隔てゝ複数の穴を穿設し、該穴を介して受板の支持脚を脱着自在で適宜取付位置が変えられるように構成したことを特徴とする置き物台。・・・」(実用新案登録請求の範囲) (イ)「本考案は絵皿や額、その他各種美術品を飾るために使用される置き物台に関し、その特徴とするところは品物の寸法に応じ、また見る位置に応じてその飾り傾斜角度が自由に変えられるように構成したことにある。」(明細書第1頁第19行?第2頁第3行) (ウ)「以下、本考案実施の一例を図面にもとづいて説明する。 1、1’は左右一対の棒状台で真鋳製である。図示例で各棒状台1、1’は多角形に構成されてなり、その底面部には架橋板2がビスネジ3を使用して止着され、これにより一定の等間距離に並置される。4は各棒状台の底面部に適宜の接着剤を使用して貼着させてなるフエルトなどのクツシヨン材であって、滑り止めの作用をも果す。」(明細書第2頁第4行?13行) (エ)「一方、各棒状台1、1’の上面には前面に係止用突起5、5’が取付けられてなり、その後方には一定距離を隔てゝ複数の穴6a、6b、6c・・・・・6’a、6’b、δ’c、・・・・・が穿設されてなる。このさい各穴は6aと6’aが、6bと6’bが、6cと6’c・・・・・が夫々れ対応するようになつているのであり、各穴には後述の受板の支持脚が挿入される。」(明細書第2頁第14行?第3頁第1行) (オ)「7はステンレス製の受板であつて、一定の高さに作成されている。8a、8bは該受板の支持脚であつて真鋳製であり、該脚端は前記棒状台1、1’上面の各穴に挿入可能な寸法に形成されている。」(明細書第3頁第2行?6行) (カ)「本考案は以上の如く構成されてなり、使用にさいしては受板7の支持脚8a、8bを棒状台1、1’上面の各穴6a、6b、6c・・・・・・、6’a、6’b、6’c・・・・・・に挿入することにより垂直に立て、該板と先端部の係止用突起5、5’との間に皿など各種美術品を立て掛け状態に載置させるようになすものである。このさい、その傾斜角度は受板7の支持脚8a、8bの各穴6a、6b、6c・・・・・、6’a、6’b、6’c・・・・に対する挿入位置を変えることによつて、任意に変えることができるのであつて、飾り品の寸法やその置く位置によつて最も適した視角に自由な調整を可能ならしめるものである。」(明細書第3頁第7行?19行) (キ)上記記載事項(イ)、上記記載事項(ウ)及び上記記載事項(カ)の「本考案は以上の如く構成されてなり、使用にさいしては受板7の支持脚8a、8bを棒状台1、1’上面の各穴6a、6b、6c・・・・・・6’a、6’b、6’c・・・・・・に挿入することにより垂直に立て、該板と先端部の係止用突起5、5’との間に皿など各種美術品を立て掛け状態に載置させるようになすものである。・・・」記載より、棒状台1、1’及び架橋板2は絵皿の下端部を支持するといえる。 (ケ)上記記載事項(イ)及び上記記載事項(カ)の「本考案は以上の如く構成されてなり、使用にさいしては受板7の支持脚8a、8bを棒状台1、1’上面の各穴6a、6b、6c・・・・・・、6’a、6’b、6’c・・・・・・に挿入することにより垂直に立て、該板と先端部の係止用突起5、5’との間に皿など各種美術品を立て掛け状態に載置させるようになすものである。・・・」の記載より、受板7は絵皿の背面を支持するといえる。 (ク)上記記載事項(ウ)、上記記載事項(オ)及び第1図より、受板7及び支持脚8a、8bは棒状台1、1’及び架橋板2に取り付けられるといえる。 (コ)上記記載事項(オ)の「7はステンレス製の受板であつて、・・・」の記載及び第1図より、受板7は平板状のものであり、かつ不透明の材料で形成されたものといえる。 上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。) が記載されている。 「絵皿を載置する置き物台において、 絵皿の下端部を支持する棒状台1、1’及び架橋板2と、この棒状部材1、1’及び架橋板2に取り付けられると共に、絵皿の背面を支持する不透明の材料で形成された受板7を有する受板7及び支持脚8a、8bとを具備しており、 前記受板7が、平板状のものであり、かつ不透明の材料で形成されたものである、置き物台。」 また、原査定の拒絶の理由に引用された登録実用新案第3041952号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (サ)「・・・ この考案は、例えば、皿、鏡、絵画等の物品を起立状態に支持するときに用いられる台座に関する。」(段落【0001】) (シ)「・・・ 図面は物品の一例として、大小の皿を起立状態に支持するときに用いられる台座を示し、図1、図2、図3、図4に於いて、台座1は、台座本体2の上面側に、皿Aと対応する大きさ及び形状に形成された一方の支持台3,4を差込み固定し、台座本体2に差込み固定された一方の支持台3,4に皿Aを載置して起立状態に支持するもので、台座本体2及び又は支持台3,4は、例えば、ポリプロピレン、アクリル等の合成樹脂により透明、半透明、不透明に形成又は任意の色相に着色している。」(段落【0023】) 4.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、後者における「置き物台」が、その機能・作用等からみて前者における「展示物スタンド」に相当し、同様に、「絵皿」が「皿状物」に、「絵皿を載置する置き物台」は「皿状物を支持する展示物スタンド」に、「棒状台1、1’及び架橋板2」は「台座部材」に、「受板7」は「背面支持部」に、「受板7及び支持脚8a、8b」は「背面部材」に、それぞれ相当している。 したがって、両者は、 「皿状物を支持する展示物スタンドにおいて、 皿状物の下端部を支持する台座部材と、この台座部材に取り付けられると共に、皿状物の背面を支持する背面支持部を有する背面部材とを具備しており、 前記背面支持部が、平板状のものである展示物スタンド。」の点で一致し、以下の点で相違している。 相違点1:本願発明では、背面支持部が透明体で形成されているのに対し、引用発明では、受板7(背面支持部)は不透明の材料で形成されたものである点。 相違点2:本願発明では、背面支持部が、その上端部を後方に傾斜させているのに対し、引用発明では、受板7(背面支持部)はそのような発明特定事項を有するどうか不明である点。 そこで上記相違点について検討する。 (相違点1について) 引用刊行物2には、上記記載事項(サ)及び上記記載事項(シ)より、「皿を起立状態に支持する台座(展示スタンド)において、台座本体2及び又は支持台3,4は、合成樹脂により透明に形成されている」点が記載されている。その透明に形成されている支持台3,4は皿の背面を支持する部材であるといえる。また、部材を透明体から構成して物品を透視できるようにすることは物品の支持スタンドの技術分野において本願出願前に周知技術にすぎない(例えば、登録実用新案第3040763号公報、特開平9-276094号公報、登録実用新案第3039898号公報参照)。したがって、引用発明に引用刊行物2に記載された発明及び上記周知技術を適用し、受板7を不透明な材料にかえて透明体で形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点2について) 皿の背面を支持する背面支持部が、その上端部を後方に傾斜させているように構成することは、展示物スタンドの技術分野において本願出願前に周知技術にすぎない(例えば、実願昭51-24034号(実開昭52-117197号)のマイクロフィルム、登録実用新案第3064629号公報参照)。そして、そのような周知技術を引用発明に適用し相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 また、本願発明の効果も引用発明、引用刊行物2に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用発明、引用刊行物2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-04-09 |
結審通知日 | 2012-04-10 |
審決日 | 2012-04-23 |
出願番号 | 特願2001-183854(P2001-183854) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A47F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大谷 光司 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
蓮井 雅之 高田 元樹 |
発明の名称 | 展示物スタンド |
代理人 | 赤澤 一博 |