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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C07C
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C07C
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C07C
管理番号 1258471
審判番号 訂正2012-390048  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-04-13 
確定日 2012-05-31 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4762381号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4762381号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第4762381号は、2011年 3月 8日(優先権主張2010年10月19日、日本国)を国際出願日とする出願であり、平成23年 6月17日に当該特許の特許権の設定登録がなされ、平成24年 4月13日に本件訂正審判が請求されたものである。


2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第4762381号に係る願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下、これらをまとめて「本件特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めるものであり、その訂正の内容は次の訂正事項1のとおりである。

訂正事項1
本件特許明細書の段落【0010】の【化2】において




とあるのを、




と訂正する。


3 当審の判断
3-1 訂正の目的の適否について
(1)請求人は、訂正事項1について、本件特許明細書の段落【0010】の【化2】の式(3)で表される化学構造式が、その3’位の炭素に結合しているメチル基を示す線が薄く、僅かな点を残して認識できない不明瞭なものであるため、その3’位の炭素に結合しているメチル基を示す線を明瞭にする訂正を行おうとするものである点を主張する。

(2)これに対して、本件特許明細書の段落【0010】の【化2】の式(3)を参照すると、その3’位の炭素の上方には、明確に線分といえるものは記載されていないが、以下に拡大するとおり、僅かながら二点が直線状に並んでいることが認められる。



よって、段落【0010】の【化2】の式3には、その3’位の炭素に対してメチル基の結合を示す線分が明瞭でない化学構造式が記載されていることは明らかである。

(3)そうすると、本件特許明細書の段落【0010】の【化2】の式(3)について、その3’位の炭素にメチル基の結合を示す線分を明確化しようとする訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

3-2 新規事項の追加の有無について
(1)請求人は、本件特許明細書において、
ア 【特許請求の範囲】等において式(3)で表される化合物として示される化学構造式はその3’位の炭素にメチル基が結合しているものであること
イ 段落【0027】において式(3)で表される化合物のものとして示される質量分析結果は3’位の炭素にメチル基が結合している化合物を示唆すること
ウ 段落【0031】の【表3】において式(3)で表される化合物のものとして示されるNMRデータより3’位の炭素にメチル基が結合している化合物を示唆すること
を指摘し、本件特許明細書の段落【0010】の【化2】の式(3)は、その3’位の炭素にメチル基を有するべき化合物であることを主張する。

(2)これに対して、本件特許明細書には、【特許請求の範囲】及び段落【0006】において、式(3)で表される化合物として以下の化学構造式が記載されている。



【特許請求の範囲】及び段落【0006】に記載の式(3)で表される上記化合物と、段落【0010】に記載の式(3)で表される化合物とは、後者の3’位の炭素に対して上方に直線状に配列した二点が記載された不明瞭なものであるのに対して前者は3’位の炭素に対して上方にメチル基の結合を示す線分が明瞭に記載されている点で相違する。しかしながら、同一の明細書において同一の式番号で示される化合物は、同一の化合物を示すことが通常の表記方法であり、いずれの化合物も同じく「式(3)」として記載されていることから、段落【0010】の式(3)で表される化合物の3’位の炭素に対して上方に直線状に配列した二点を、前者のごとくメチル基の結合を示す線分の一部が消えてしまったものと見ることは、自然なことである。

(3)本件特許明細書には、【実施例】として、段落【0021】ないし段落【0032】において、「式(1)?(6)で表される化合物」の分離操作を通じて式(3)の化合物が分離同定されたことが示されている。本実施例には「式(1)?(6)で表される化合物」の化学構造式は示されていないので、その「式(1)?(6)で表される化合物」という語が指す化合物の化学構造式が何であるか本件特許明細書をみてみるに、段落【0010】には「式(1)?(6)で表される化合物」として【化2】に式(1)ないし(6)の化学構造式が示されていることから、本実施例における式(3)で表される化合物とは、段落【0010】の【化2】において式(3)で表される化合物を指すものであると認める。
その前提で実施例の記載を検討するに、段落【0027】に示される式(3)で表される化合物のHREIMS(高分解能電子イオン化質量分析法)の結果は、質量及び分子式のいずれにおいても、式(3)で表される化合物がその3’位の炭素に対してメチル基が結合した物質を支持するものである。
また、本件特許明細書の段落【0031】の【表3】に示される式(3)で表される化合物のNMRデータの結果も、請求人が主張するとおり、式(3)で表される化合物がその3’位の炭素にメチル基が結合した物質を支持するものである。

(4)また、本件特許明細書のその余の記載を参照しても、本件特許明細書において式(3)で表される化合物が、その 3’位の炭素に対してメチル基が結合した物質以外のものであると認められる記載も示唆もない。

(5)よって、訂正事項1は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるということができ、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。

3-3 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
(1)訂正事項1は特許請求の範囲を訂正するものではない。

(2)また、訂正事項1は、特許請求の範囲の式(3)に合わせて段落【0010】の【化2】の式(3)を訂正するものであるともいえるが、訂正前の段落【0010】において式(3)で表される化合物が特許請求の範囲の式(3)として表されるべきものであることは上記3-2に示したとおりであり、そのような訂正である本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

(3)よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。


4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び同条第6項に規定する要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
抗リーシュマニア化合物及び抗リーシュマニア薬
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い抗リーシュマニア活性を有する抗リーシュマニア化合物及び抗リーシュマニア薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リーシュマニア症は、リーシュマニア原虫に感染することを原因として発症する感染症であり、WHOにより六大熱帯病の1つに指定されている。吸血昆虫であるサシチョウバエを媒介とし、サシチョウバエの吸血時に体内にリーシュマニア原虫が侵入することにより感染する。リーシュマニア症の症状は軽いものから重いものまであるが、主に治療薬として用いられている5価のアンチモンは強い副作用を引き起こすことが知られている。従って、副作用のリスクの低い新薬が求められる。また、副作用を抑制した薬として、AmphotericinB(AmBisome)があるが、薬価が高いという問題があった。
【0003】
一方で、海藻由来の代謝物は、抗リーシュマニア活性を示すことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この文献においては海藻由来のどの化合物が抗リーシュマニア活性を有するかについて化合物の特定は行われていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Y.Freile-Pelegrin,D.Robledo,M.J.Chan-Bacab,B.O.Orrtega-Morales,“Antileishmanial propertie of tropical marine algae extract”,Fitoterapia,(Holland),Elsevier,2008,79,p.374-377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科アズマネジモク(Sargassum yamadae)に着目し、抽出物の分画を行ったところ高い抗リーシュマニア活性を有することを発見し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明に係る抗リーシュマニア化合物は、
式(3)
【化1】

で表される。
【0007】
また、本発明に係る抗リーシュマニア薬は、式(3)で表される化合物及びその薬理上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い抗リーシュマニア活性を示す抗リーシュマニア化合物及び抗リーシュマニア薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(1回目)の手順を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(1回目)の手順を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(1回目)の手順を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(1回目)の手順を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(1回目)の手順を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(2回目)の手順を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(2回目)の手順を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係る化合物の分離操作(2回目)の手順を示す図である。
【図9】本発明の実施例に係るin vitro抗リーシュマニア活性測定の結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例に係るin vivo抗リーシュマニア活性測定の結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例に係るin vivo抗リーシュマニア活性測定の結果を示す図である。
【図12】本発明の実施例に係るin vivo抗リーシュマニア活性測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る抗リーシュマニア化合物及び抗リーシュマニア薬について説明する。本発明に係る抗リーシュマニア化合物は式(1)?(6)で表される化合物のうちの少なくとも1つからなり、本発明に係る抗リーシュマニア薬は、式(1)?(6)で表される化合物のうち少なくとも1つを有効成分として含有する。
【化2】

【0011】
式(1)?(6)で表される化合物のうちの何れかを回収するには、褐藻等の藻に対して、当該化合物の理化学的性質を考慮して、代謝物を採取するのに通常用いられる分離、精製の手段を適宜利用すればよい。例えば、藻に対して有機溶剤、好ましくはクロロホルム-メタノールの等量混合溶媒で抽出操作を行う。次に得られた抽出液からさらにジクロロメタン等の有機溶剤で化合物を抽出してもよいし、各種のクロマトグラフィーを用いて化合物を吸着、溶出させてもよい。さらに必要に応じてさらに精製操作を行って、所望の純度を有する化合物を回収することができる。クロマトグラフィーにおいては、慣用の無機及び有機の担体、例えばシリカゲル、ポリスチレン樹脂などを担体として用いることができる。
【0012】
式(1)?(6)で表される化合物は、例えば医薬品分野の抗原虫薬、特に抗リーシュマニア薬として有用である。式(1)?(6)の何れかで表される化合物は、単独で用いてもよいし、又は一般に製剤上許容される添加剤と共に混和し、製剤化してもよい。また、投与形態としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、エキス剤等の経口剤を用いた投与形態または、注射剤、液剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤、パップ剤、ローション剤等の非経口剤を用いた投与形態等が挙げられるが、特に制限はなく、治療目的等に応じて適宜選択することができる。
【0013】
また、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、散剤の場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の添加剤を含有させることができる。賦形剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース、白糖、デキストリン、コーンスターチ等を挙げることができる。
【0014】
結合剤としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロW ピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
【0015】
崩壊剤としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
【0016】
滑沢剤としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0017】
また、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤の場合には、水や植物油等の一般的に用いられる不活性な希釈剤の他、着色剤、矯味剤、芳香剤等を添加剤として含有させてもよい。
【0018】
また、注射剤の場合には、懸濁液、乳濁液、用時溶解剤等の添加剤を含有させることができる。また、軟膏剤、坐剤の場合には、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ろう、樹脂、プラスチック、基剤、グリコール類、高級アルコール、水、乳化剤、懸濁化剤等を添加剤として含有させることができる。また、パップ剤の場合にはグリセリン、水、水溶性高分子、吸水性高分子等を添加物として含有させることができる。また、ローション剤の場合には、溶剤、乳化剤、懸濁化剤等を添加剤として含有させることができる。
【0019】
本発明の抗リューシュマニア化合物は、食品、チューインガム、飲料等に添加して、いわゆる特定保健用食品(例えば、抗リューシュマニア食品)やサプリメント等に含有させることもできる。
【0020】
なお、上述の式(1)?(6)で表される化合物は、これらの化合物の薬理上許容される塩を含む概念である。すなわち、本発明は、ヒト又は動物の体内で代謝されることによって上記化合物及びアミドに変化して薬理活性を示す生化学的前駆物質を含む。本発明において、薬理上許容される塩とは、上記の化合物を酸または塩基で処理することにより得られる塩であって、著しい毒性を有さず、医薬として使用され得る塩をいう。このような酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸等による付加塩があげられ、塩基による塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、グアニジン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基による塩があげられる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。
【0022】
1.式(1)?(6)で表される化合物の分離操作
(1)脂質成分の抽出
褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科アズマネジモク(Sargassum yamadae)(294.4g)をメタノールとクロロホルムの等量混合溶媒(1.4L)に1日浸漬し、吸引濾過により残渣を除き脂質成分を抽出した。さらに、この残渣についてメタノールとクロロホルムの等量混合溶媒(1.4L)に1日浸漬し、吸引濾過を行うことにより脂質成分を抽出した。溶媒を減圧下で除去し、得られた抽出物(31.2g)を水とクロロホルムにより二層分配し、脂質成分(23.8g)を得た。なお、ネジモクは採取後人工海水により洗浄して恒温除湿室で乾燥し、粉砕後実験に使用するまで-20℃で保存した。
【0023】
(2)分離操作1回目
(1)に示す操作により得られた脂質成分のうち、5.14gを分別し、図1に示すように酢酸エチルーヘキサン系の溶媒の割合を変えながらオープンカラムクロマトグラフィー(φ7×45cm)によりA?Pの16の画分に分けた。
【0024】
これらのうち、図2?5に示すように画分E、K、N及びOについて、さらにオープンカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、及び酢酸エチル-ヘキサン混合溶出液を用いたHPLCにより、数種の化合物を分離した。
【0025】
図2に示すように画分Eについて薄層クロマトグラフィーを行い、数種の画分を得た。
【0026】
このうち、画分fから式(5)で表される化合物を得た。また、画分eについてHPLCを行い保持時間18分に式(5)で表される化合物を得た。なお、図2?8においては画分名の下段に、得られた画分の質量(mg)を示す。また、上述の式(1)?(6)で表される化合物の何れかである場合にはその化合物の式の番号を太字で示している。また、HPLCを行った際に得られた画分については上から順に保持時間、得られた化合物の質量(mg)を示し、更に上述の式(1)?(6)で表される化合物の何れかである場合にはその化合物の式の番号を太字で示している。
【0027】
また、図3に示すように画分Kについて20%酢酸エチル-ヘキサン溶出液を用いてHPLCを行い、保持時間28分にサルガキノン酸(sargaquinoic acid)を、保持時間31分に式(1)で表される化合物を得た。また、図4に示すように画分Nについて薄層クロマトグラフィー及び20%酢酸エチル-ヘキサン溶出液を用いたHPLCを行い、HPLCにおいて保持時間28分に式(2)で表される化合物(HREIMS m/z 440.2560[M+].C_(27)H_(36)O_(5)(△-0.3mmu)を得た。また、図5に示すように画分Oについて55%酢酸エチル-ヘキサン溶出液を用いてHPLCを行い、保持時間28分に式(3)で表される化合物(HREIMS m/z 440.2934[M+].C_(28)H_(40)O_(4)(△+0.8mmu)を得た。
【0028】
(3)分離操作2回目
上述の脂質成分の抽出操作により得られた脂質成分のうち分離操作1回目で使用しなかった残りの18.6gについて酢酸エチル-ヘキサン系の溶媒の割合を変えながら図6に示すようにオープンカラムクロマトグラフィー(φ7×45cm)によりA’?O’の15の画分に分けた。
【0029】
図7に示すように得られた画分のうち画分C’及び画分D’を合わせSep-Pakによる抽出を行った。0.5%酢酸エチルーヘキサン混合溶出液を用いて抽出した画分について1%酢酸エチル-ヘキサン溶出液を用いてHPLCを行い保持時間182分に式(6)で表される化合物を得た。また、1%酢酸エチル-ヘキサン混合溶出液を用いて抽出した画分について7%酢酸エチル-ヘキサン溶出液を用いてHPLCを行い保持時間108分に式(5)で表される化合物を得た。
【0030】
また、図8に示すように画分E’について薄層クロマトグラフィーを行い、さらに20%酢酸エチルーヘキサン混合溶出液を用いてHPLCを行った。保持時間40分に式(5)で表される化合物を、保持時間76分に式(4)で表される化合物(EIMS m/z 408 C_(27)H_(36)O_(3)[M+],m/z 175[M-C_(15)H_(25)O])をそれぞれ得た。
【0031】
得られた化合物については^(1)H-及び^(13)C-NMR等により分子構造の解析を行った。NMRスペクトルのデータを下表に示す。なお、式(1)で表される化合物のNMRデータは、Bull.Chem.Soc.Jpn.,2008,81(9)1125-1130に発表したNMRデータと共に示し、式(4)で表される化合物のNMRデータは、構造類似のサルガクロメノール(sargachromenol)のNMRデータと共に示し、式(5)及び式(6)で表される化合物のNMRデータはサルガキノン酸(sargaquinoic acid)のNMRデータと共に示した。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0032】
これらのNMRデータから、得られた化合物はそれぞれ上述の式(1)?式(6)で表されることが分かった。
【0033】
2.抗リーシュマニア活性測定
(1)in vitro抗リーシュマニア活性測定
上述した手順により単離した式(1)?(6)で表される化合物について下記に示す条件の下、生理活性測定を行った。リーシュマニア原虫として、Leishmania.major promastigotesを選択し、蛍光蛋白egfp遺伝子を導入したL.major/egfp promastigotesを用いて、上記化合物をサンプルとして下記の条件で成長阻害率を求めた。
【0034】
(測定手順)
25℃において96-穴プレートを用いて10%ウシ胎児血清25mMおよびHepes Buffer(ICN Biomedeivals Inc.,Aurora,OH)を添加した199培地(日水製薬)中でL.major/egfp promastigotesを培養した。次に、96穴プレートの各ウェルにL.major/egfp原虫100μL(1×10^(6)cell/mL)及びサンプル溶液100μL(DMSOに溶解)を加え、25℃で72時間培養を行った。その後、蛍光マイクロプレート読み取り装置(Fluoroscan Ascent FL,大日本製薬)を用いて励起光485nm、放射光538nmでL.major/egfp promastigotesの蛍光シグナルを測定した。また、標準物質としてAmphotericin Bを用いた場合の成長阻害率を100%として、各試料の阻害率を示した。
【0035】
図9には測定の結果、求められた成長阻害率を示す。これらの結果により、式(1)?(6)で表される化合物はリーシュマニア原虫の成長を阻害する生理活性特性を有することが示された。特に、式(3)で表される化合物の成長阻害率はAmphotericin Bの成長阻害率と略同等であった。
【0036】
(2)in vivo抗リーシュマニア活性測定
上述の手順により単離した式(3)で表される化合物についてin vivoにおける抗リーシュマニア活性を評価するためにリーシュマニア症マウスモデルを用いて治療効果を調べた。
【0037】
6週令のマウス(Balb/C,male,1群6頭)にリーシュマニア原虫L.major PM2株 1×10^(7)の培養promastigotesを感染させた。感染の次の日からマウスに腹腔接種により式(3)で表される化合物を各検体に200μgずつ投与した。投与スケジュールは1日1回、3週間連続投与とした。また、コントロールとしてAmphotericin Bの投与を行った治療群、何も投与を行わない治療群についても測定を行った。
【0038】
マウスの潰瘍サイズを計測した結果を図10に示す。また、図11にはマウスの血中の抗体価の変動を示す。また、図12にはマウスの血液から抽出したDNAを鋳型として用い、原虫遺伝子を標的として実施したPCRにより増幅したDNA産物を電気泳動した結果を示す。即ち、図12は、血中における原虫DNAの検出結果を示し、原虫DNAが存在する場合には310bpの位置にPCR産物が観察される。図12において白色が濃くなるほど原虫DNAが高い濃度で存在することを示している。一方、310bpが黒色の場合には原虫DNAが存在しないことを示している。
【0039】
これらの結果から式(3)で示される化合物はin vivoにおいてもAmphotericin Bと同様の抗リーシュマニア活性を示すことが分かった。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)
【化3】

で表される抗リーシュマニア化合物。
【請求項2】
請求項1記載の抗リーシュマニア化合物またはその薬理上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする抗リーシュマニア薬。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-05-23 
出願番号 特願2011-517547(P2011-517547)
審決分類 P 1 41・ 854- Y (C07C)
P 1 41・ 855- Y (C07C)
P 1 41・ 853- Y (C07C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野口 勝彦  
特許庁審判長 井上 雅博
特許庁審判官 東 裕子
齋藤 恵
登録日 2011-06-17 
登録番号 特許第4762381号(P4762381)
発明の名称 抗リーシュマニア化合物及び抗リーシュマニア薬  
代理人 藤本 芳洋  
代理人 藤本 芳洋  

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