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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1258531
審判番号 不服2011-12178  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-08 
確定日 2012-06-14 
事件の表示 特願2005-114533「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月26日出願公開、特開2006-293067〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯

本願は平成17年 4月12日の出願であって、平成20年 5月 7日付けで手続補正書が提出され、平成22年10月18日付けで通知した拒絶理由に対して、同年12月24日付けで手続補正書が提出されたが、平成23年 2月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成23年 6月 8日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、その後、前置審査における平成23年 6月24日付けで通知された拒絶理由に対して、同年 8月23日付けで手続補正書が提出され、当審における同年11月24日付け審尋に対して、平成24年 1月30日付けで回答書が提出されたものである。


第2 本願発明

本願の請求項1?7に係る発明は、平成23年 8月23日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1,2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」,「本願発明2」という。)は、次のとおりである。

「 【請求項1】
排出口を備え、前記排出口から画像が形成された記録材を積載部へ排出する排出手段と、
前記排出口より下方に位置する吹出口を備え、前記吹出口から前記排出手段によって排出される記録材の下面へ風を送る送風手段と、
前記積載部に積載された記録材の高さに連動して移動し、前記積載部に積載された記録材が予め設定された所定高さであることを検知する為の検知部材と、
を有する画像形成装置において、
前記検知部材により前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さより高いと検知された場合の前記送風手段による送風量は、前記検知部材により前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さより低いと検知された場合の前記送風手段による送風量より小さく、
前記検知部材により前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さに到達したことが検知された後、予め設定された所定の複数枚数の記録材を排出して画像形成動作が停止されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
排出口を備え、前記排出口から画像が形成された記録材を積載部へ排出する排出手段と、
前記排出口より下方に位置する吹出口を備え、前記吹出口から前記排出手段によって排出される記録材の下面へ風を送る送風手段と、
を有する画像形成装置において、
前記積載部に積載された記録材の高さが予め設定された所定高さより高い場合の前記送風手段による送風量は、前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さより低い場合の前記送風手段による送風量より小さく、
前記積載部に積載された記録材の高さが、前記所定高さに到達した後も画像形成動作が実行され、前記積載部に積載された記録材の高さが、前記所定高さよりも高いあらかじめ設定された別の所定高さに到達したことに基づいて画像形成動作が停止されることを特徴とする画像形成装置。」


第3 引用刊行物

平成23年 6月24日付け拒絶理由で引用された、本出願前に頒布された特開2002-229419号公報(以下、「刊行物1」という。)、特開平11-60024号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与。)

(1)刊行物1
(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート上に電子写真方式等の画像形成手段により画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置に適用され、形成画像を伴うシートを、取り込んだ外気の風により排出時または排出後に冷却する送風手段を備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、画像形成装置、特に電子写真方式で帯電器等の高圧放電を利用したものにおいては、装置内部の暖まった内部空気を排出するための排気ファンが設けられている構成が知られている。
【0003】また近年では、一分間に40枚以上の高速出力が可能なカラー画像形成装置が実用化され始めている。このような装置では、たとえば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色のトナーを重ね合わせ、熱ローラー定着器により溶融・混色させることによりフルカラー画像を形成する方式がとられる。そして、四色分のトナーを完全に混色させるために、定着時に短時間で多くの熱量を与える構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような従来技術による画像形成装置には以下のような問題があった。
【0005】定着直後に排出されるシートは、かなりの高温となっている。通常定着直後には排紙ローラから排紙トレイに排出されるが、そのため、排紙トレイ上に大量の高温の出力紙が積載され、画像上に載った紙の裏にトナーがオフセットして裏汚れとなってしまったり、場合によっては出力紙同士が張り付いてしまうという現象が発生して形成した画像品質を劣化させていた。
【0006】本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、排出トレイに排出されたシートの裏面汚れや張り付きを防止して、高品位な画像を形成することの可能な画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明にあっては、シートに画像を形成する画像形成手段と、該画像形成手段によって形成された画像をシートに定着する定着手段と、該定着手段によって画像が定着されたシートを装置外部に排出する排出手段と、該排出手段によって排出されたシートを載置する排出トレイと、を備えた画像形成装置において、前記排出手段によって排出されるシートに向かって冷却風を送る送風手段を設けたことを特徴とする。
【0008】ここで、排出手段によって排出されるシート(以下、排出シートともいう。)には、排出手段によって排出中であるシート及び排出が完了して排出トレイ上に載せ置かれるシートを含む。排出シートに冷却風を当てて強制的に冷却することにより、シートの裏面汚れや排出トレイ上に載置されたシート同士の張り付きを防止することができる。
【0009】前記送風手段は、前記排出手段によって排出されるシートの下面に冷却風を送り込むとよい。
【0010】これにより、既に排出トレイ上に積載されているシート(以下、積載シートともいう。)と排出シートとの間に空気層が形成され、排出シートを浮かせ、排出シートと積載シートとが離れている状態を時間的に長く作り出すことにより、冷却効果が一層高まると共に、シートの裏面汚れやシート同士の張り付きを効果的に防止することができる。
【0011】前記送風手段の送風方向は、前記排出手段によって排出されるシートの排出方向と略直交し、且つ、シート面と略平行であるとよい。
【0012】これにより、排出中のシートは冷却風を横切るかたちとなるので、シート排出方向の送風幅を小さくしても排出シートの全面に冷却風をあてて十分な冷却効果を得ることができ、送風手段の小型化を図ることが可能となる。」

(1b)「【0018】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を、図1を用いて説明する。
(中略)
【0026】7はシート上に転写されたトナー像をシートに定着する定着器(定着手段)を示している。701は定着ローラ対のニップ部にシートを導くガイド部材である。定着ローラ対は定着ローラ702及び加圧ローラ703から構成され、両ローラの加圧接触したニップ部において定着動作がおこなわれる。また、704aは定着器7からシートが排出されたことを検出する定着後センサである。
【0027】750は定着器7によって画像が定着されたシートを装置外部に排出する排出手段たる排紙部を示している。751は排紙ローラ対、753はフラッパーで、排紙方向と後述の反転部方向にシートの行き先を切り替える。また、709は、定着後のシートのカールを矯正するカール取りローラである。さらに、704bは、シートが装置外に排出されたことを検出し、排紙枚数をカウントする計数手段たる排紙センサである。
【0028】752は排紙部750から装置外へと排出されたシートが載置される排紙トレイである。また、排紙トレイ752上に積載されたシートの高さは、シート高さ検出手段たる排紙高さ位置検出センサ105によって検出される。
【0029】8は反転経路で、81a,81bは搬送ローラ対、82は回転方向が正・逆転する反転ローラである。81c,81d,81e,81f,81gは搬送ローラ対、83は両面画像形成時の表面のみ画像形成されたシートを、一時収容しておく中間トレイ、84,85はサイズごとに中間トレイに収容するためのフラッパである。
【0030】100は、排紙トレイ752上に排紙されるシートと排紙されたシートを冷却するために、取り込んだ外気を冷却風として排紙に向かって送る送風手段としての排紙横ファンである。
(中略)
【0043】次に、図2及び図3を用いて、本実施の形態の画像形成装置における排紙部周辺の構成と動作について詳しく説明する。図2は本実施の形態の画像形成装置における排紙部周辺の概略構成を示す模式断面図、図3は本実施の形態の画像形成装置における排紙方向から見た排紙部周辺の概略構成図である。
【0044】図中、100は排紙横ファン、101は排紙横ファン100が外気を取り込むためのルーバ穴、102は排紙部カバー、130は排紙後端の高さを規制する後端ガイド、105は排紙トレイ752上に積載された排紙の高さを検出するシート高さ検出手段としての排紙高さ位置検出センサである。
【0045】上述したような画像形成プロセスによってシート上に作像されたトナー像は、ガイド部材701により案内されて定着器7に送り込まれ、定着ローラ702と加圧ローラ703によって形成されるニップで熱と圧力によってシート上に定着される。
【0046】その際、定着ローラ702は、シート先端が定着ニップに突入する前に約2回転するタイミングで回転駆動を開始する。そして、シート後端が定着ニップを抜けてから約1回転した後、停止する。連続複写時にはこの動作を繰り返す。
【0047】また、排紙ローラ対751は定着ローラ702と同一駆動源から駆動されているため、同じ動作タイミングで回転する。
【0048】排紙ローラ対751によって装置外へと排出されたシートは順次排紙トレイ752上へと載せ置かれる。排紙トレイ752はシート排出方向外側に向かって高くなるように傾斜しているので、排出されたシートは端部規制部材900に後端を揃えて積載されていく。
【0049】また、排紙トレイ752は、排紙ローラ対751のニップよりも低い位置に取り付けられている。これにより、排出中のシートは排紙トレイ752上に積載されているシートに対して、上下に所定の間隔を開けて排出されるので、シート同士が摺接して画像面を汚してしまうことを防止できる。
【0050】排紙横ファン100は、シートが排紙トレイ752上に積載される時のシート後端がくる位置(端部規制部材900)のほぼ真横で且つ画像形成装置の奥側に配置される。その送風方向は、シートの排出方向と略直交し、且つ、シート面と略平行となっている。
【0051】このように排出中のシート裏面に風が当たり且つ、排紙トレイ752上に排出・積載されたシート上面の全域にも風が当たるようにしていることにより、排出されるシートの冷却効果を高めている。
【0052】また、排出中のシートは排紙横ファン100の冷却風を横切るかたちとなるため、シート排出方向の送風幅を小さくしても排出中のシートの全面に冷却風をあてて十分な冷却効果を得ることができ、排紙横ファン100を小型化することが可能となる。なお、本実施の形態では、排紙横ファン100として排紙を冷却するに必要な風量を得ることができるシロッコファンを印可電圧24V?15Vで駆動している。
【0053】さらに、排紙横ファン100は、図2に示すように、排紙ローラ対751の下流側近傍に設けられ、排紙ローラ対751のニップと排紙トレイ752のシート積載面との間の高さに配置される。
【0054】図2の矢印のように排紙横ファン100により取り込まれた外気は、図3の矢印のように、排紙ローラ対751によって排出されるシートの下面に送りこまれる。
【0055】これにより、排紙トレイ752上に積載されているシートと排出されたシートとの間に空気層が形成され、排出されたシートを排紙トレイ752上で浮かせて、排紙トレイ752上に連続で排出されたシート同士を離すことができ、より排紙冷却効果が高まる。
【0056】これらの排紙冷却効果により、画像上に載った紙の裏にトナーがオフセットしたり、出力紙同士が張り付いてしまうという現象も発生せず高品位な画像を提供することができる。
【0057】また、連続コピー動作時に排紙横ファン100を動作させたままにすると、冷却風によって排紙トレイ752上に積載されたシート束が乱され、整列性が悪くなることがある。
【0058】そこで、本実施の形態の画像形成装置においては、排紙横ファン100を制御するための制御手段を設け、排紙横ファン100のON/OFF及びその風量の制御を行うことを可能とした。」

(1c)「【0063】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について図6を用いて説明する。
【0064】「本実施の形態では、シートの厚さを検出する紙種検出センサ4cと、排紙トレイ上に積載される排紙の高さを検出する排紙高さ位置検出センサ105とを設け、該紙種検出センサ4cと排紙高さ位置検出センサ105の検出結果に応じて、排紙横ファン100の風量を変更するように構成している。これにより、使用者による設定が不要となり、より良好となる。
【0065】その他の構成及び作用については上記第1の実施の形態と同一なので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0066】以下に、図6のフローチャートを用いて、本実施の形態の画像形成装置におけるシート排出時の動作について説明する。なお、図5と共通の動作については、同一のステップ番号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0067】カセット部3又は手差し部3aから給紙されたシートは(ステップS6)紙種検出センサ4cを通過する(ステップS21)。ここで、64g紙等の薄紙用紙か80g、104gなどの普通紙か、157g、207gなどの厚紙か、OHPなどの特殊紙かが判別される。
【0068】その後、シートにはトナー像が転写され(ステップS8)、転写終了後、所定時間の後に定着モータ710がONされる(ステップS22)。ここで、前述の紙種検出センサ4cでの判定結果をもとに、排紙横ファン100の駆動電圧を決定し(ステップS23)、定着モータ710と同期してファン動作を開始する(ステップS24、ステップS25)。
【0069】また、ステップS23において薄紙と判断された場合には、さらに排紙高さ位置検出センサ105によって排紙トレイ752上に積載された排紙の高さを検出し、排紙高さが一定値以上の値を示した時には、排紙横ファン100を駆動しない(ステップS20)。これは排紙された薄紙が、ある一定以上の位置まで積載された場合、排紙横ファン100の風の影響を強く受け、吹き飛ばされてしまうことを防ぐためである。
【0070】シートは定着器7で定着され(ステップS9)、排紙トレイ752上に排出される(ステップS13)。その所定時間後、定着モータ710はOFFされ(ステップS26)、排紙横ファン100も動作を停止する(ステップS27)。
【0071】以上のような動作により、第1の実施の形態で示した排紙冷却効果をさらに高性能なものにすることができる。」

(1d)「【0091】(第5の実施の形態)本発明の第5の実施の形態に係る画像形成装置について図9を用いて説明する。
【0092】本実施の形態では、シートが装置外に排出されたことを検出して排紙枚数をカウントする計数手段である排紙センサ704bを設け、該センサの検出結果に応じて、排紙横ファン100の風量を変更するように構成している。これにより、使用者による設定が不要となり、より良好となる。
【0093】その他の構成及び作用については上記第1の実施の形態と同一なので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0094】以下に、図9のフローチャートを用いて、本実施の形態の画像形成装置におけるシート排出時の動作について説明する。なお、図5と共通の動作については、同一のステップ番号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0095】カセット部3又は手差し給紙部3aから給紙されたシートは(ステップS6)、紙種検出センサ4cを通過する(ステップS21)。ここで、64g紙等の薄紙用紙か80g、104gなどの普通紙か、157g、207gなどの厚紙か、OHPなどの特殊紙かが判別される。
【0096】その後、シートにはトナー像が転写され(ステップS8)、転写終了後、所定時間の後に定着モータ710がONされる(ステップS22)。
【0097】定着モータ710ONと同期して、前述の紙種検出センサ4cの判別結果を参照し(ステップS23)、普通紙、厚紙又はOHPなどの特殊紙の場合には排紙横ファン100のファン動作を開始する(ステップS24)。
【0098】一方、薄紙の場合には排紙センサ704bによってカウントされた排紙枚数に基づいて、連続通紙カウント枚数が所定枚数N以上か否かが判定され(ステップS51)、N以上の場合に排紙横ファン100を15Vで駆動し(ステップS25)、N未満の場合には24Vで駆動する(ステップS24)。
【0099】シートは定着器7で定着され(ステップS9)、排紙センサ704bで排紙枚数がカウントされ(ステップS53)、排紙トレイ752上に排出される(ステップS13)。その所定時間後、定着モータ710はOFFされ(ステップS26)、排紙横ファン100も動作を停止する(ステップS27)。
【0100】ここで、排紙センサ704bでカウントされた排紙枚数は、後続のシートの定着動作におけるファン動作の駆動制御(ステップS51)に用いられる。
【0101】これは薄紙連続通紙時に連続通紙カウント枚数を読み取ることにより、排紙トレイ752上に積載された薄紙排紙の高さ位置を想定し、所定の高さ以上まで薄紙が積載された場合に排紙横ファン100の風量を落とすことにより、排紙トレイ752に積載された排紙が吹き飛ばされることを防ぐためである。
【0102】以上のような動作により、第1の実施の形態で示した排紙冷却をさらに適切に行うことができる。
【0103】なお、以上5つの実施の形態を示したが、第1の実施の形態に対し、第2乃至第5の実施の形態の排紙横ファン制御を同時に行うことにより、排紙トレイ752上でのより安定した排紙整合性を確保することができる。」

(1e)図1,図2は以下のとおり。

【図1】



【図2】


なお、図2(排紙部周辺の概略構成断面図)を見ると、排紙ローラ対751と排紙トレイ752との間には、排紙部カバー102が存在し、そして段落【0048】に記載されている様に、「排紙ローラ対751によって装置外へと排出されたシートは順次排紙トレイ752上へと載せ置かれる」ことからすると、「排紙部カバー102には、シートの排出口が備えられ、シートは排出口を通って排紙トレイ752へ排出されること」が読み取れる。

これらの記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認める。なお、(第5の実施の形態)を中心に認定した。

「定着器7によって画像が定着されたシートを排出口を通って装置外部に排出する排出手段たる排紙部750であって、
排紙部750の排紙ローラ対751によって装置外へと排出されたシートは順次排紙トレイ752上へと載せ置かれ、
排紙横ファン100は、排紙ローラ対751の下流側近傍に設けられ、排紙ローラ対751のニップと排紙トレイ752のシート積載面との間の高さに配置され、
排紙横ファン100により取り込まれた外気は、排紙ローラ対751によって排出されるシートの下面に送りこまれ、
シートが装置外に排出されたことを検出して排紙枚数をカウントする計数手段である排紙センサ704bが設けられ、
紙種検出センサ4cで薄紙用紙と判別された場合には、排紙センサ704bによってカウントされた排紙枚数に基づいて、連続通紙カウント枚数が所定枚数N以上か否かが判定され、N以上の場合に排紙横ファン100を15Vで駆動し、N未満の場合には24Vで駆動し、
薄紙連続通紙時に連続通紙カウント枚数を読み取ることにより、排紙トレイ752上に積載された薄紙排紙の高さ位置を想定し、所定の高さ以上まで薄紙が積載された場合に排紙横ファン100の風量を落とすものである画像形成装置。」

(2)刊行物2
(2a)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、記録用紙が所定高さになるまで積み上げられた状態で、記録用紙が更に排出されると、その記録用紙の先端部は、積み上げれられた記録用紙の端部と当たって折れ曲がったり、または、ずれたりして不揃いとなり、記録用紙は整然と積み上げられない。また、高く積み上げられた状態の記録用紙は、倒れ落ちて散乱する原因にもなる。一方、用紙スタック部には、できるだけ多くの記録用紙を収納したいという要望がある。本発明は、上記の問題を解決するために為されたものであり、できるだけ多くのシート状媒体をシートスタック部に整然と収納することができるシート状媒体収納機構及び画像形成装置を提供することを目的とする。」

(2b)「【0022】レーザプリンタ1は、図1に示されるように、筐体としての本体ケース2の前面上側に、表示パネル3a及び入力キー3b付きの操作パネル3を備えている。この操作パネル3の下方位置には、未使用の記録用紙P1(シート状媒体)を収納する給紙カセット部4が本体ケース2内に着脱できるように配設されている。また、本体ケース2の前方上面側には、記録済みの記録用紙P1を積層した状態でスタックするための、シートスタック部としての用紙スタック部5が設けられている。更に、この用紙スタック部5の後方上面側には、用紙排出口6が設けられており、この用紙排出口6から記録済みの記録用紙P1を用紙スタック部5に排出する。
【0023】そのレーザプリンタ1の下方前面側には、図2に示されるように、記録用紙P1を給紙カセット部4から取り出すための、用紙分離部8が設けられており、この用紙分離部8は、給紙カセット部4の最上位から一枚ずつ記録用紙P1を取り出して、案内通路7に搬送する。そして、レーザプリンタ1の本体ケース2内部には、記録用紙P1の搬送用の案内通路7が設けられ、その案内通路7の両側には、複数の搬送ローラ7aが配設されているので、記録用紙P1は、案内通路7に沿って給紙カセット部4から用紙スタック部5まで搬送される。その本体ケース2内部には、前記案内通路7に沿った画像形成用のプロセスユニット9が設けられており、このプロセスユニット9は、画像情報に従って形成されたトナー画像を記録用紙P1に転写する。」

(2c)「【0033】また、その用紙排出口6の近傍には、用紙スタック部5上に積み上げられた記録用紙P1の高さ(収納量)を検出するため、例えば、接触型のセンサSEが設けられており、このセンサSEは、用紙スタック部5上における最上位の記録用紙P1と接触することにより、その高さを検出する。この場合、センサSEが接触する記録用紙P1の高さは、例えば、A4サイズの用紙を250枚及び500枚積み上げた場合の高さに予め設定する。従って、センサSEは記録用紙P1(シート状媒体)の収納量を検出する収納量検出手段を構成するが、このセンサSEは、接触型センサ以外のセンサ等であってもよい。」

(2d)「【0040】それにより、記録用紙P1全体が、図4に示されるように記録用紙P1排出方向の下流側にずれた後に、記録用紙P1を更に収納する。この場合、新たに収納された記録用紙P1は、積み上げられた記録用紙P1と一部重なって並ぶので、用紙スタック部5は、例えば、A4サイズの用紙を250枚程度積み上げた場合の高さの2倍分、つまり最高500枚の記録用紙P1を収納することができる。そして、新たに排出された記録用紙P1は折れ曲がったりずれたりしにくいので、これら記録用紙P1を、用紙スタック部5に整然と積み上げて大量に収納することができ、また、そのようにスタックされた状態の記録用紙P1は倒れにくい。S7でYES、すなわち、2度目の所定高さである場合、制御装置CPは画像形成動作を終了する。すなわち、センサSEは、用紙スタック部5で積み上げられた記録用紙P1が2度目の所定高さに達したことを検出すると、用紙スタック部5は、500枚以上の記録用紙P1を積み上げることができないため、画像形成動作は終了する。
【0041】次に、他の実施の形態のレーザプリンタ1の動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。この実施の形態では、用紙スタック部5へ排出される記録用紙P1の高さ(収納量)を検出するのではなく、制御装置CPは、用紙スタック部5へ排出される排出枚数をカウントし、このカウント結果に基づいて、前記搬送ローラ7bの搬送量(駆動量)を制御する態様を行う。そして、画像が形成された記録用紙P1の排出枚数をカウントする方法として、例えば、プロセスユニット9の画像形成動作を検出制御して、排出枚数をカウントする方法を採用する。従って、制御装置CPは、用紙スタック部5へ排出される排出枚数のカウント部を構成する。もっとも、記録用紙P1の排出枚数をカウントするカウンタ(図示せず)を別途設けて、カウント手段を構成してもよい。」

(2e)「【0047】なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、用紙スタック部5へ排出される記録用紙P1の高さ(収納量)を検出し、この検出結果に基づいて、前記搬送ローラ7bの搬送量を制御する態様と、用紙スタック部5へ排出される記録用紙P1の排出枚数をカウントし、このカウント結果に基づいて、前記搬送ローラ7bの搬送量を制御する態様とを、同時に行なってもよいし、あるいは、いずれか一方のみを行ってもよい。また、シート搬送手段は、前記用紙スタック部5に搬送用ローラ7bを設ける以外に、例えば、記録用紙P1を下流側に搬送するための、搬送用プレート、または、搬送用ベルトを用紙スタック部5に設けてもよい。もっとも、シート搬送手段は、これら搬送用ローラ、搬送用プレートまたは搬送用ベルト以外であっても良い。
【0048】また、本発明の画像形成装置は、この実施の形態のレーザプリンタに限定されるものではなく、例えば、サーマルプリンター等のプリンタであってもよく、例えば、複写機、ファクシミリ装置、印刷機等であってもよい。また、シート状媒体は、記録用紙に限定されず、例えば、OHP用透明フィルムその他の媒体などであってもよい。」

(2f)図1および図2は以下のとおり。

【図1】



【図2】



第4 対比・判断(本願発明1)
刊行物1発明の「排出口」,「シート」,「排紙トレイ752」は、それぞれ本願発明1の「排出口」,「記録材」,「積載部」に相当する。

刊行物1発明において、「定着器7によって画像が定着されたシートを排出口を通って装置外部に排出する排出手段たる排紙部750であって、排紙部750の排紙ローラ対751によって装置外へと排出されたシートは順次排紙トレイ752上へと載せ置かれ」ることから、当該「排出手段たる排紙部750」は、本願発明1の「排出口を備え、前記排出口から画像が形成された記録材を積載部へ排出する排出手段」に相当する。

刊行物1発明において、「排紙横ファン100は、排紙ローラ対751の下流側近傍に設けられ、排紙ローラ対751のニップと排紙トレイ752のシート積載面との間の高さに配置され」、しかも、「排紙横ファン100によって取り込まれた外気は、排紙ローラ対751によって排出されるシートの下面に送りこまれ」ることから、刊行物1発明の排紙横ファン100は、本願発明1の送風手段と同様に、「排出口の下方に吹出口を備え、吹出口から排出手段によって排出される記録材の下面へ風を送る」ものである。

刊行物1発明の「排紙センサ704b」は、「シートが装置外に排出されたことを検出して排紙枚数をカウントする計数手段であ」って、「連続通紙カウント枚数を読み取ることにより、排紙トレイ752上に積載された薄紙排紙の高さ位置を想定」している、つまりは間接的に高さ位置を検知しているとも言えることから、本願発明1の「検知手段」と刊行物1発明の「排紙センサ704b」とは、直接的に高さを検知するのか、それとも間接的に高さを検知するのかの違いはあるものの、積載部に積載される記録材が予め設定された所定高さであることを検知するための検知手段であることで共通している。
そして、刊行物1発明において、「紙種検出センサ4cで薄紙用紙と判別された場合には、排紙センサ704bによってカウントされた排紙枚数に基づいて、連続通紙カウント枚数が所定枚数N以上か否かが判定され、N以上の場合に排紙横ファン100を15Vで駆動し、N未満の場合には24Vで駆動」することは、本願発明1の「検知部材により積載部に積載された記録材の高さが所定高さより高いと検知された場合の送風手段による送風量は、検知部材により積載部に積載される記録材の高さが所定高さより低いと検知された場合の送風手段による送風量より小さ」いことに相当する。

以上のことから、本願発明1と刊行物1発明とは、
「排出口を備え、前記排出口から画像が形成された記録材を積載部へ排出する排出手段と、
前記排出口より下方に位置する吹出口を備え、前記吹出口から前記排出手段によって排出される記録材の下面へ風を送る送風手段と、
前記積載部に積載された記録材が予め設定された所定高さであることを検知する為の検知部材と、
を有する画像形成装置において、
前記検知部材により前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さより高いと検知された場合の前記送風手段による送風量は、前記検知部材により前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さより低いと検知された場合の前記送風手段による送風量より小さい画像形成装置。」で一致し、以下の2点で相違している。

(1)検知部材が、本願発明1は、積載部に積載された記録材の高さに連動して移動して、直接的に高さを検知するのに対し、刊行物1発明は、シートが装置外に排出されたことを検出して排紙枚数をカウントする計数手段であって、連続通紙カウント枚数を読み取ることにより薄紙排紙の高さを想定し、間接的に高さを検知している点。

(2)検知部材により積載部に積載された記録材の高さが所定高さに到達したことが検知された後、本願発明1は、予め設定された所定の複数枚数の記録材を排出して画像形成動作が停止されるのに対し、刊行物1発明は、予め設定された所定の複数枚数の記録材を排出するのかどうか、かつ画像形成動作がどうなるのか不明な点。

・相違点(1)について
刊行物1の(第2の実施形態)の段落【0069】には、「排紙高さ位置検出センサ105によって排紙トレイ752上に積載された排紙の高さを検出し、排紙高さが一定値以上の値を示した時には、排紙横ファン100を駆動しない」ことが記載されており、この排紙高さ位置検出センサ105は、本願発明1の「積載部に積載された記録材の高さに連動して移動する検知部材」に相当し、直接的に記録材の高さを検知しているものである。

刊行物1発明の検知部材は、「排紙枚数をカウントする計数手段」であるが、「薄紙排紙の高さ位置を想定し」て、間接的に高さを検知するものであるので、より正確に検知する為に、直接的に高さを検知しようとすることは当業者ならば容易に気づく事項に過ぎず、したがって、刊行物1発明の検知部材を、刊行物1に記載された積載部に積載された記録材の高さに連動して移動する検知部材に替える事に困難性は無い。

・相違点(2)について
刊行物1発明において、「排紙横ファン100の風量を落とす」ための基準となる条件は、「所定高さ以上まで薄紙が積載された場合」であることから、所定高さを越えても、薄紙が積載され得るものである。また、その目的も「排紙トレイ752に積載された排紙が吹き飛ばされることを防ぐため」(段落【0101】)であるが、たかだか1枚増えた程度で、突然排紙が吹き飛ばされる様になるとは考えにくく、ある程度のまとまった量の複数枚の記録材が、所定高さを越える部分に積載されることによって、吹き飛ばされる不都合が発生するものと考えられる。
とすれば、刊行物1に接した当業者であれば、刊行物1発明において、検知部材により積載部に積載された記録材の高さが所定高さに到達したことが検知された後においても、複数枚数の記録材の画像形成動作及び排出が行われると解するのが自然である。

次に、刊行物2の上記(2a)の記載である「記録用紙が所定高さになるまで積み上げられた状態で、記録用紙が更に排出されると、その記録用紙の先端部は、積み上げれられた記録用紙の端部と当たって折れ曲がったり、または、ずれたりして不揃いとなり、記録用紙は整然と積み上げられない。」、同じく(2d)の「センサSEは、用紙スタック部5で積み上げられた記録用紙P1が、2度目の所定高さに達したことを検出すると、用紙スタック部5は、500枚以上の記録用紙P1を積み上げることができないため、画像形成動作は終了する」、および「用紙スタック部5へ排出される記録用紙P1の高さ(収納量)を検出するのではなく、制御装置CPは、用紙スタック部5に排出される排出枚数をカウントし、このカウント結果に基づいて、前記搬送ローラ7bの搬送量(駆動量)を制御する態様を行う」ことを参照すると、刊行物2には、積載部に積載された記録材が所定高さになるまでに積み上げられると記録材を整然と積み上げられなくなるので、記録材が所定枚数に到達したことによって、画像形成動作を終了させることが記載されていることから、刊行物1発明においても、積載部に積載された記録材を所定高さ以上に積み上げない様にするために、記録材が所定枚数に到達したことによって、画像形成動作を終了させようとすることは、当業者ならば当然考慮すべき事項である。
そして、刊行物2に記載された事項における所定高さとは、画像形成動作を終了させる高さなので、刊行物1発明における送風手段による送風量を小さくするための所定高さよりも高いものであって、同じく刊行物1発明における所定高さよりも、所定枚数多く積み上げられた状態の高さである。

したがって、刊行物1発明において、検知部材により積載部に積載された記録材の高さが所定高さに到達したことが検知された後に、刊行物2に記載されている、記録材が所定枚数に到達したことによって、画像形成動作を終了させることを適用して、本願発明1の様に、予め設定された所定の複数枚数の記録材を排出して画像形成動作が停止されることに替えた点は、当業者にとって容易である。

(小括)
したがって、本願発明1は、刊行物1および2に記載の発明から、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 対比判断(本願発明2)

刊行物1発明の「排出口」,「シート」,「排紙トレイ752」は、それぞれ本願発明2の「排出口」,「記録材」,「積載部」に相当する。

刊行物1発明において、「定着器7によって画像が定着されたシートを排出口を通って装置外部に排出する排出手段たる排紙部750であって、排紙部750の排紙ローラ対751によって装置外へと排出されたシートは順次排紙トレイ752上へと載せ置かれ」ることから、当該「排出手段たる排紙部750」は、本願発明2の「排出口を備え、前記排出口から画像が形成された記録材を積載部へ排出する排出手段」に相当する。

刊行物1発明において、「排紙横ファン100は、排紙ローラ対751の下流側近傍に設けられ、排紙ローラ対751のニップと排紙トレイ752のシート積載面との間の高さに配置され」、しかも、「排紙横ファン100によって取り込まれた外気は、排紙ローラ対751によって排出されるシートの下面に送りこまれ」ることから、刊行物1発明の排紙横ファン100は、本願発明2の送風手段と同様に、「排出口の下方に吹出口を備え、吹出口から排出手段によって排出される記録材の下面へ風を送る」ものである。

刊行物1発明の「排紙センサ704b」が、「シートが装置外に排出されたことを検出して排紙枚数をカウントする計数手段であ」って、「連続通紙カウント枚数を読み取ることにより、排紙トレイ752上に積載された薄紙排紙の高さ位置を想定」している、つまりは間接的ではあるが、積載部に積載された記録材の高さを検知しているとも言える。
そして、刊行物1発明において、「紙種検出センサ4cで薄紙用紙と判別された場合には、排紙センサ704bによってカウントされた排紙枚数に基づいて、連続通紙カウント枚数が所定枚数N以上か否かが判定され、N以上の場合に排紙横ファン100を15Vで駆動し、N未満の場合には24Vで駆動」することは、本願発明2の「積載部に積載された記録材の高さが予め設定された所定高さより高い場合の送風手段による送風量は、積載部に積載された記録材の高さが所定高さより低い場合の送風手段による送風量より小さ」いことに相当する。

以上のことから、本願発明2と刊行物1発明とは、
「排出口を備え、前記排出口から画像が形成された記録材を積載部へ排出する排出手段と、
前記排出口より下方に位置する吹出口を備え、前記吹出口から前記排出手段によって排出される記録材の下面へ風を送る送風手段と、
を有する画像形成装置において、
前記積載部に積載される記録材の高さが予め設定された所定高さより高い場合の前記送風手段による送風量は、前記積載部に積載された記録材の高さが前記所定高さより低い場合の前記送風手段による送風量より小さい画像形成装置。」で一致し、以下の点で相違している。

(3)本願発明2は、載置部に載置された記録材の高さが、所定高さに到達した後も画像形成動作が実行され、積載部に積載された記録材の高さが、所定高さよりも高いあらかじめ設定された別の所定高さに到達したことに基づいて画像形成動作が停止されるのに対し、刊行物1発明は、記録材の高さが所定高さ到達した後、画像形成動作が実行されるのか、停止されるのかどうか不明な点。

・相違点(3)について
刊行物1発明において、「排紙横ファン100の風量を落とす」ための基準となる条件は、「所定高さ以上まで薄紙が積載された場合」であることから、所定高さ以上を越えても、薄紙が積載され得るものである。また、その目的も「排紙トレイ752に積載された排紙が吹き飛ばされることを防ぐため」(段落【0101】)であるが、たかだか1枚増えた程度で、突然排紙が吹き飛ばされる様になるとは考えにくく、ある程度のまとまった量の複数の記録材が、所定高さを越える部分に積載されることによって、吹き飛ばされる不都合が発生するものと考えられる。
とすれば、刊行物1に接した当業者であれば、刊行物1発明において、検知部材により積載部に積載された記録材の高さが所定高さに到達したことが検知された後においても、複数枚数の記録材の画像形成動作及び排出が行われると解するのが自然である。

次に、刊行物2の上記(2a)の記載である「記録用紙が所定高さになるまで積み上げられた状態で、記録用紙が更に排出されると、その記録用紙の先端部は、積み上げれられた記録用紙の端部と当たって折れ曲がったり、または、ずれたりして不揃いとなり、記録用紙は整然と積み上げられない。」、同じく(2c)の「用紙排出口6の近傍には、用紙スタック部5上に積み上げられた記録用紙P1の高さ(収納量)を検出するため、例えば、接触型のセンサSEが設けられており、このセンサSEは、用紙スタック部5上における最上位の記録用紙P1と接触することにより、その高さを検出する。」、さらに(2d)の「センサSEは、用紙スタック部5で積み上げられた記録用紙P1が2度目の所定高さに達したことを検出すると、用紙スタック部5は、500枚以上の記録用紙P1を積み上げることができないため、画像形成動作は終了する。」を参照すると、刊行物2には、積載部に積載された記録材が所定高さになるまでに積み上げられると記録材を整然と積み上げられなくなるので、記録材が所定高さに到達したことによって、画像形成動作を終了させることが記載されていることから、刊行物1発明においても、積載部に積載された記録材を所定高さ以上に積み上げない様にするために、記録材が所定高さに到達したことによって、画像形成動作を終了させようとすることは、当業者ならば当然考慮すべき事項である。
そして、刊行物2に記載された事項における所定高さとは、画像形成動作を終了させる高さなので、刊行物1発明における送風手段による送風量を小さくするための所定高さよりも高いものである。

したがって、刊行物1発明において、検知部材により積載部に積載された記録材の高さが所定高さに到達したことが検知された後に、刊行物2に記載されている、記録材が所定高さに到達したことによって、画像形成動作を終了させることを適用して、本願発明2の様に、積載部に積載された記録材の高さが、所定の高さよりも高いあらかじめ設定された別の所定高さに到達したことに基づいて画像形成動作が停止されることに替えた点は、当業者にとって容易である。

(小括)
したがって、本願発明2は、刊行物1および2に記載の発明から、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6 請求人の主張について

請求人は、平成24年 1月30日付け回答書において、
「引用文献1では、図9のフローチャート及び関連する記載(〔0094〕?〔0101〕)を参照しても、N枚目の薄紙は排紙横ファンの送風量を小さくして排出されるものの、それ以降(N+1枚目以降)に薄紙が排出されるのかどうか不明です。
つまり、例えば、図9のフローチャートによれば、薄紙を連続排紙すると、K枚目(K=N)の紙の定着を行う際に、K=Nであるので、初めてステップS51においてYesとなり、ステップS25に進んで15Vで排紙横ファンを駆動する。その後、ステップS9、S53、S13、S26、S27を経て、K枚目の薄紙への画像形成動作は完了するということは理解できます。
しかしながら、K+1枚目の紙についてはどのように扱われるのかは不明です。即ち引き続き画像形成動作を行うのか、画像形成動作を停止するのかは不明です。
また、連続通紙時にN枚目以降に初めて薄紙の画像形成を行う場合、例えば、K枚目(K=N)まで普通紙であり、K+1枚目が薄紙である場合、K+1枚目の薄紙については図9のフローチャートに従ってステップS25に進んで画像形成動作は完了するということまでは理解できます。
しかしながら、K+2枚目の紙についてはどのように扱われるのかは不明です。即ち、引き続き画像形成動作を行うのか、画像形成動作を停止するのかは不明です。
上記を考慮すれば、引用文献1の〔0101〕の「所定高さ以上まで薄紙が積載された場合に排紙横ファン100の風量を落とすことにより、排紙トレイ752に積載された排紙が吹き飛ばされることを防ぐためである」という記載は、連続通紙を行う際に、所定高さ以上で初めて薄紙が出てきた場合に、その薄紙1枚については、排紙横ファン100の風量を落として排出するということを示しているだけであり、その薄紙1枚を排出した以降にどうするのか(更に画像形成を行うのか)は不明です。」
と主張している。

確かに、図9のフローチャートでは、S51「排紙連続カウントN以上?」でYesとなった以降、画像形成動作及び排紙動作を繰り返すのかどうかは不明であるが、上記「第4 対比・判断(本願発明1)」の「・相違点(2)について」、または上記「第5 対比・判断(本願発明2)」の「・相違点(3)について」で既に述べた様に、刊行物1発明は、記録材の高さが所定高さに到達したことが検知された後においても、複数枚数の記録材の画像形成動作及び排出が可能であり、図9のフローチャートには、画像形成動作及び排紙動作の繰り返しに関する記載が無いだけであるものと認められることから、請求人の主張は採用することができない。


第7 むすび

以上のとおり、本願発明1,2は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-16 
結審通知日 2012-04-17 
審決日 2012-05-01 
出願番号 特願2005-114533(P2005-114533)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 孝平松本 泰典  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 金高 敏康
住田 秀弘
発明の名称 画像形成装置  
代理人 阿部 琢磨  
代理人 黒岩 創吾  

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