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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F25B
管理番号 1258875
審判番号 不服2011-22098  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-12 
確定日 2012-06-21 
事件の表示 特願2006-235637号「冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 3月13日出願公開、特開2008- 57870号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年8月31日の出願であって、平成23年7月7日付けで拒絶査定がなされ(発送:平成23年7月12日)、これに対し、平成23年10月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判請求と同時に手続補正がなされたものであり、さらに、平成24年1月27日付けで当審において拒絶理由が通知され(発送:1月31日)、これに対して、同年4月2日付けで手続補正書及び意見書が提出されたものである。。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年4月2日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項2】
冷媒を圧縮して高圧冷媒として吐出する圧縮機(11)と、パワー素子(62,64,65)を有して該圧縮機(11)を駆動する電力変換装置(2,202)とを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
前記パワー素子(62,64,65)の全て又は一部は、前記圧縮機(11)に接続され且つ前記高圧冷媒が流通する吐出管(18)に配設されており、
前記パワー素子(62,64,65)の温度に関連する値を検出する検出手段(68)と、
前記検出手段(68)の検出結果に基づいて前記圧縮機(11)の回転速度を制御することによって高圧冷媒の温度を制御して前記パワー素子(62,64,65)を冷却する制御手段(2C,7)とをさらに備えることを特徴とする冷凍装置。」

3.引用刊行物とその記載事項
(1)当審における平成24年1月27日付けの拒絶理由(以下「当審における拒絶理由」という。)において引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-42529号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

ア.「【請求項1】
圧縮機、凝縮器、絞り装置、および蒸発器が冷媒配管で接続された冷媒回路を有してなる空気調和装置の前記圧縮機を駆動する整流器、直流リアクトル、直流平滑コンデンサ、および逆変換器を具備するPWMインバータを備えた空気調和装置のインバータ制御装置において、
前記逆変換器にSiC(シリコンカーバイド)素子を適用したことを特徴とする空気調和装置のインバータ制御装置。
【請求項2】
前記逆変換器を前期空気調和装置の冷媒回路上の高温部に密接させて熱交換することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のインバータ制御装置。」(特許請求の範囲。下線は当審にて付与、以下同じ。)

イ.「【0004】
この文献に開示されている空気調和装置では、インバータ付き誘導電動機に起因する騒音を低減し、かつ高効率な運転を実現するために、空気調和装置の圧縮機と、この圧縮機を駆動する誘導電動機をチャンバ内に密閉するとともに、誘導電動機を回転制御するインバータのスイッチング素子にIGBTを使用し、インバータ制御のキャリア周波数を4kHz以上10kHz以下の周波数に設定することを特徴としている。」(段落【0004】)

ウ.「【0020】
実施の形態2.
図3-1は、本発明の実施の形態2にかかるインバータ制御装置に具備される逆変換器9の設置場所を示す図である。図1に示す実施の形態1からの変更点は、SiCを適用した逆変換器9を圧縮機1、あるいは圧縮機1と凝縮器2とを接続する吐出配管に密接させて配置した点に特徴がある。なお、その他の構成については、実施の形態1の構成と同一あるいは同等であり、それらの部分の図示を省略する。
【0021】
逆変換器9の具体的な配置例として示したものが、図3-2、図3-3、および図3-4である。すなわち、図3-2は、圧縮機上面が吐出温度となる構造とし、その部位に逆変換器9を取り付けた一例を示す図であり、図3-3は、圧縮機側面が吐出温度となる構造とし、その部位に逆変換器9を取り付けた一例を示す図であり、図3-4は、吐出配管に放熱可能な取り付け構造とし、その部位に逆変換器9を取り付けた一例を示す図である。なお、図3-2?図3-4に示した配置例以外にも、冷媒に対して熱移動できる高温部(例えば、オイルセパレータなど)などが存在すれば、当該部位に設置してもよい。
【0022】
図3-5は、逆変換器9の放熱構造を説明するための図である。本発明にかかるインバータ制御装置では、逆変換器9にSiCモジュールを適用しているので、逆変換器9が非常に高温になる一方で、充電部などが露出するのは回避したい。このため、同図に示すように、SiCモジュール9Aの放熱面以外の部分を絶縁性の断熱材9Bで覆うようにしている。このような放熱構造とすることにより、高温でも使用可能なSiCの特徴を活用しつつ、SiCの排熱を冷房運転や、暖房運転のサイクルに利用することができる。また、設置部位が、周囲温度以上の高温部であるため、結露の心配がないという利点も有する。
【0023】
以上説明したように、この実施の形態の空気調和装置のインバータ制御装置によれば、逆変換器を空気調和装置の冷媒回路上の高温部に密接させて熱交換するようにしているので、SiCの排熱を冷房運転や、暖房運転のサイクルに利用することができるという効果を奏する。」(段落【0020】?【0023】)

エ.ア?ウの記載から
・圧縮機、凝縮器、絞り装置、および蒸発器が冷媒配管で接続された冷媒回路を有してなる空気調和装置が冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うこと、
・圧縮機が冷媒を圧縮して高圧冷媒として吐出すること、
は、自明の事項である。

以上の事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「冷媒を圧縮して高圧冷媒として吐出する圧縮機(1)と、SiCモジュールを有して該圧縮機(1)を駆動するインバータとを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う空気調和装置であって、
前記SiCモジュールの全ては、前記圧縮機(1)に接続され且つ前記高圧冷媒が流通する吐出配管に配設されている空気調和装置。」

(2)当審における拒絶理由にて引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-281129号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

オ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮機の運転周波数を可変に調節するインバータ装置を備えた空気調和機の運転制御装置に係り、特にインバータ装置の過熱保護に関するものである。」(段落【0001】)

カ.「【0002】
【従来の技術】従来、空気調和機の圧縮機の電動機を任意の周波数で駆動するインバータ装置のスイッチング素子を過熱から保護する装置としては、放熱部を室外側風回路に露出させて、室外ファンによる通風により放熱を促進するようにしたもの、例えば、特開平7-42974公報に記載のものがある。また特開平3-255826公報に示されるようにスイッチング素子の温度を検出するものがあり、その検出した温度により圧縮機を停止するか、あるいはインバータ出力周波数を下げて過熱から保護するものも開示されているが、検出温度によって室外ファンの回転数が制御されるとともに圧縮機の周波数を制限したものは開示されていない。」(段落【0002】)

キ.「【0015】図3は空気調和機の制御フローチャートである。まず、ステップS1において、素子温度検出手段12により検出されたスイッチング素子11の温度Tmを、ファン制御温度である第1の所定温度(この例では、90℃)と比較し、もし超えていたら、ステップS2において温度を低下させるために室外ファン6の風量を増加させる。また、さらにステップS3において、スイッチング素子11の温度Tmを圧縮機過負荷制御温度である第2の所定温度(この例では、100℃)と比較し、もし超えていたら、ステップS4においてスイッチング素子11の発熱量を低下させるためにインバータ装置8の出力交流周波数を低下させ、圧縮機2の回転数を下げる。さらに、ステップS5において、スイッチング素子11の温度を圧縮機停止温度である第3の所定温度(この例では、110℃)と比較し、もし超えていたら、ステップS6においてスイッチング素子11の熱劣化を防止するために圧縮機2を停止する。」(段落【0015】)

(3)当審における拒絶理由にて引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-243246号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

ク.「【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平10-115448号公報に開示された装置をも含め、従来の空調装置は、電動モータの入力電流値に制限を設けて入力電流値以下で運転したとしても、インバータの発熱量が、冷凍回路の低温側による奪熱量を超える場合がしばしば有り得るのが実情である。このように冷凍回路の低温側によるインバータの冷却が不十分な場合、電動モータの入力電流値に制限を設けて入力電流値以下で運転したとしても、結局は、インバータが破損してしまう虞がある。【0009】本発明の課題は、インバータの過剰な温度上昇を防止することでインバータの破損を確実に回避できる空調装置を提供することである。」(段落【0008】、【0009】)

ケ.「【0033】さらに、本空調装置は、インバータ温度判定手段31による判定結果が「インバータ22の温度(T)が第1の所定値(Tset1)よりも高い」である場合に、インバータ22および電動モータ21を介してコンプレッサ11の回転数を低下させるコンプレッサ回転数制御手段221を有している。」(段落【0033】)

コ.「【0072】
【発明の効果】本発明による空調装置は、インバータの温度(T)が第1の所定値(Tset1)よりも高いか否かを判定する温度判定手段と、温度判定手段による判定結果が「インバータの温度(T)が第1の所定値(Tset1)よりも高い」である場合に、インバータおよび電動モータを介してコンプレッサの回転数を低下させるコンプレッサ回転数制御手段とを有しているため、インバータの過剰な温度上昇を防止することでインバータの破損を確実に回避できる。」(段落【0072】)

(4)当審における拒絶理由にて引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-75349号公報(以下「刊行物4」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

サ.「【0013】上記構成において、圧縮機6の運転により、パワートランジスタ5の温度が上昇し、さらに過負荷運転等によりパワートランジスタ5の温度を検出する温度センサー7の検出温度T3が、パワートランジスタ5の許容温度等により、あらかじめ定められた第1設定値となる周波数下降設定温度T1よりも上昇すると、圧縮機6の運転周波数を現状の運転周波数よりも2Hz程度(H1)下降させ、以下この動作をパワートランジスタ5の検出温度T3が周波数下降設定温度T1よりも低くなるまで繰り返される。」(段落【0013】)

シ.「【0022】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発明によれば圧縮機に接続されるパワートランジスタと、このパワートランジスタの温度を検出する温度センサーと、この温度センサーの検出値により前記圧縮機の運転周波数を可変する信号を前記パワートランジスタに出力して制御する制御部を設けているので、パワートランジスタの温度が上昇しても、圧縮機の運転を停止することなく、運転周波数を下げることにより、パワートランジスタの温度を下げ、きめ細かい空調ができる空気調和機のインバータ装置を提供できる。」(段落【0022】)

(5)当審における拒絶理由にて引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-249384号公報(以下「刊行物5」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

ス.「【請求項1】 モータ(12)で駆動される圧縮機(1)、凝縮器(6)、減圧機構(5)および蒸発器(3)を有する冷媒回路と、
上記冷媒回路に充填されたHFC32系冷媒と、
上記モータ(12)の温度を直接または間接に検出するセンサ(13,15,16,17,18,19)と、
上記センサ(13,15,16,17,18,19)が検出したモータ(12)の温度が所定値よりも高くなると、上記圧縮機(1)の回転速度を低くしてモータ(12)の温度を下げるように制御するモータ回転速度制御手段(S2,S3)とを備えたことを特徴とする冷凍装置。」(特許請求の範囲)

セ.「【0009】さらに、上記センサは、モータの温度を直接または間接に検出する一方、上記モータ回転速度制御手段は、上記センサが検出したモータの温度が所定値よりも高くなると、上記圧縮機の回転速度を低くして、単位時間あたりのモータおよび圧縮機の仕事量を少なくして、モータの温度を下げるように制御する。したがって、上記HFC32系冷媒を使用していても、モータの信頼性および性能を低下させることはない。」(段落【0009】)

ソ.「【0038】また、上記実施の形態では、モータ12のコイルの温度をコイル温度センサ12で直接検出するようにしているが、モータ12のコイル以外の部分の温度、圧縮機本体11の温度またはケーシング10の温度に基づいて、あるいは、吐出管温度センサ15で検出した圧縮機1から吐出したHFC32系冷媒の温度によって間接的にモータ12のコイルを検出してもよい。また、吐出管温度センサ15で検出した圧縮機1から吐出したHFC32系冷媒の温度、室内熱交換器温度センサ17で検出したHFC32系冷媒の凝縮温度、および、室外熱交換器温度センサ16で検出したHFC32系冷媒の蒸発温度の中の2以上の組み合せによって、モータ12のコイルの温度を間接的に検出、つまり、推測してもよい。このモータ12のコイルの温度の間接的な検出には、テーブルまたは演算式を用いる。さらに、このモータ12のコイルの温度の間接的な検出には、上述の温度に加えて、室内温度センサ18で検出した室内空気の温度と、室外温度センサ19で検出した外気の温度とを利用するようにしてもよい。」(段落【0038】)

3.発明の対比
本願発明と刊行物1記載の発明を対比すると、刊行物1記載の発明における「SiCモジュール」は本願発明における「パワー素子」に相当し、以下同様に、「インバータ」は「電力変換装置」に、「空気調和装置」は「冷凍装置」に、「吐出配管」は「吐出管」に、各々相当する。

よって、両者の一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
冷媒を圧縮して高圧冷媒として吐出する圧縮機と、パワー素子を有して該圧縮機を駆動する電力変換装置とを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
前記パワー素子の全ては、前記圧縮機に接続され且つ前記高圧冷媒が流通する吐出管に配設されている冷凍装置。

(相違点)
本願発明においては「パワー素子(62,64,65)の温度に関連する値を検出する検出手段(68)と、前記検出手段(68)の検出結果に基づいて前記圧縮機(11)の回転速度を制御することによって高圧冷媒の温度を制御して前記パワー素子(62,64,65)を冷却する制御手段」を備えているのに対し、刊行物1記載の発明は、かかる制御手段を具備していない点。

4.判断
刊行物1記載の発明において用いられているパワー素子は具体的には「SiC(シリコンカーバイド)素子」であり耐熱性に優れた素子ではあるが、発熱するパワー素子である以上、インバータの発熱量が、冷凍回路の冷媒による奪熱量を超えることも想定され(摘記事項ク参照)、これに対応して、過熱破損防止策を講じることが望ましいことは、当業者に自明な事項である。

他方、冷凍回路のパワー素子の過熱破損防止のために「パワー素子の温度に関連する値を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて圧縮機の回転速度を制御手段」を設けることは、例えば、刊行物2(摘記事項カ、キ)、刊行物3(摘記事項ケ、コ)、刊行物4(摘記事項サ、シ)記載のように、従来より周知の技術手段である。

よって、刊行物1記載の発明において、パワー素子の過熱破損防止のために「パワー素子の温度に関連する値を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて圧縮機の回転速度を制御する制御手段」を設けることは、当業者が、上記周知の技術手段に倣って、容易に想到し得た事項である。

また、冷凍回路において圧縮機の回転速度を制御すれば、高圧冷媒の温度も同時に制御されることは、当業者に自明な事項である。(このことは、摘記事項ソにおいて「吐出管温度センサー15で検出した圧縮機1から吐出したHFC32系冷媒の温度」が圧縮機の回転速度を低下させた時、低下することからも明らかである。)

さらに、刊行物1記載の発明のように、パワー素子が冷媒管路に配置されている場合においては、パワー素子と管路内冷媒の温度差に基づく熱の移動が生じるため、「圧縮機の回転速度を制御する制御手段」が、それ自体で「圧縮機の回転速度を制御することによって高圧冷媒の温度を制御して前記パワー素子を冷却する制御手段」となることも、当業者に自明な事項である。

以上のように、刊行物1記載の発明において設けられる「圧縮機の回転速度を制御する制御手段」が、それ自体で「圧縮機の回転速度を制御することによって高圧冷媒の温度を制御して前記パワー素子を冷却する制御手段」となることは自明な事項であるから、刊行物1記載の発明において、パワー素子の過熱破損防止のために「パワー素子の温度に関連する値を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記圧縮機の回転速度を制御することによって高圧冷媒の温度を制御して前記パワー素子を冷却する制御手段」を設けて、本願発明の発明特定事項とすることも、当業者が、上記周知の技術手段に倣って、容易に想到し得た事項である。

さらには、本願発明により得られる効果も、刊行物1記載の発明及び上記周知の技術手段から、当業者であれば、予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

なお、請求人は、平成24年4月2日付け意見書にて、次の二点を主張している(請求項2に係る発明に関しても請求項1に係る発明(本願発明1)と同様としている)。

(主張1)
本願発明1は、パワー素子を高圧冷媒で冷却することを目的としているのに対し、刊行物発明1は、パワー素子の排熱を高圧冷媒に回収させることを目的としている点で、両者は、パワー素子を圧縮機のケーシングに配設している目的が異なります。

(主張2)
次に、本願発明1と刊行物3?5に係る発明(以下、「刊行物発明3?5」という:当審注、審決における刊行物3、2、4が対応)とを対比しますと、刊行物発明3?5の何れも、パワー素子の発熱量を制御するために圧縮機の回転数を制御するものであり、パワー素子を冷却する高圧冷媒の温度を制御するために圧縮機の回転数を制御するものではありません。

しかしながら、「パワー素子を高圧冷媒で冷却する」という現象も「パワー素子の排熱を高圧冷媒に回収する」という現象も、共に、「高温のパワー素子から低温の高圧媒体への伝熱現象」という同じ現象を、異なる言葉で言い換えたものにすぎず、実質的に相違するものではない(このことは、本願明細書において刊行物1記載の発明を「電力変換装置が有するパワー素子を圧縮機から吐出される高圧冷媒で冷却している。」段落【0004】、本願発明の効果を「パワー素子(62,64,65)を高圧冷媒で冷却することによって、該パワー素子(62,64,65)が発する熱は高圧冷媒に回収される。」段落【0082】等の記載とも合致している)、よって、主張1は採用できない。

また、上述のように、冷凍回路において圧縮機の回転速度を制御すれば、高圧冷媒の温度も同時に制御され、特に、刊行物1記載の発明のように、パワー素子が冷媒管路に配置されている場合においては、「圧縮機の回転速度を制御する制御手段」が、それ自体で「圧縮機の回転速度を制御することによって高圧冷媒の温度を制御して前記パワー素子を冷却する制御手段」となることは自明な事項であるため、主張2も採用できない。

6.結び
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1記載の発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-20 
結審通知日 2012-04-24 
審決日 2012-05-09 
出願番号 特願2006-235637(P2006-235637)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 勝司千壽 哲郎  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長崎 洋一
前田 仁
発明の名称 冷凍装置  
代理人 福本 康二  
代理人 竹内 祐二  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
代理人 岩下 嗣也  
代理人 長谷川 雅典  
代理人 前田 弘  
代理人 川北 憲司  
代理人 間脇 八蔵  
代理人 嶋田 高久  
代理人 竹内 宏  
代理人 原田 智雄  
代理人 松永 裕吉  
代理人 河部 大輔  
代理人 関 啓  
代理人 岡澤 祥平  
代理人 今江 克実  
代理人 二宮 克也  
代理人 前田 亮  
代理人 杉浦 靖也  

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