ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
---|---|
管理番号 | 1258905 |
審判番号 | 不服2011-17489 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-07-26 |
確定日 | 2012-06-18 |
事件の表示 | 特願2005-193314「図書館用バーコード一体型のRIDタグを用いてなる図書館における書籍管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月18日出願公開、特開2007- 11827〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成17年7月1日に出願したものであって、平成23年5月6日付けの拒絶理由通知に対して同年6月23日付けで手続補正がなされたが、同年7月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月27日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正がなされた。 その後、平成23年12月28日付けの審尋に対し、平成24年2月2日付けで回答書が提出されたものである。 第2 本願発明 1 平成23年7月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。) 本件補正は、特許請求の範囲について、 本件補正前に、 「【請求項1】 図書館で使用されるバーコード情報が、印字されるコード印字部及び非接触で外部との通信可能なRFIDタグを有する図書館用ラベルであって、書籍にバーコードを一体型のRFIDタグを貼付してタグを含む書籍全体をブックコーティングで保護し、かつ該タグをはがし取られるトラブルを防いで書架からの書籍の出し入れに対するタグの耐久性を向上し、更に必要なデータをエンコードして図書館に納入して直ちに使用可能にしたことを特徴とする図書館用バーコード一体型のRFIDタグを用いてなる図書館における書箱管理システム。 【請求項2】 請求項1記載のRFIDタグを有する図書館用ラベルであって、バーコード一体型RFIDタグのみの材料でかつ該バーコード一体型RFIDタグの貼付のみの作業工程にした請求項1記載の図書館用バーコード一体型のRFIDを用いてなる図書館における書籍管理システム。 【請求項3】 請求項1記載のRFIDタグを有する図書館用ラベルであって、書籍の2ケ所に貼付けていた従来のバーコードラベルICタグとを書籍の表紙部のみにバーコード一体型のRFIDタグを貼付けて、RFIDタグの耐久性を向上させる請求項1記載の図書館用バーコード一体型のRFIDを用いてなる図書館における書籍管理システム。」 とあったところを、 本件補正により、 「【請求項1】 書籍の表紙部と裏面部とにバーコードラベルとICタグを貼付けて自動仕分をし、かつバーコードの背ラベル印刷後に自動搬送してから装備をして箱詰搬送する図書館用ラベルにおいて、前記表紙部のバーコードラベルに小型ICタグを組み込み一体化されたバーコード一体型RFIDタグを貼付け、かつ前記ICタグを任意な位置に貼付けてICタグにデータを登録し、更にブックコーティングカバーをして図書館装備ラインの流れのなかでICタグを迅速かつ確実な装備を可能にしたことを特徴とする図書館用バーコード一体型RFIDタグを用いてなる図書館における書籍管理システム。」 とするものである。 なお、本件補正後の請求項1に記載された「バーコード体型RFIDタグ」は、「バーコード一体型RFIDタグ」の誤記であると認定した。 ここで、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものに該当し、また、原査定の拒絶の理由に対応して補正するものであって、特許法第17条の2第4項に規定する明りょうでない記載の釈明に該当するものである。 そこで、本件補正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願発明」という)が、特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。 2 引用例及びその記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2004-354730号公報(平成16年12月16日公開、以下「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。 (a)「【発明の属する技術分野】 本発明は、図書館で管理される図書に貼付される図書館用ラベルに関するものである。」 (b)「【0005】 この図書館に納められる書類、資料は必ず、図書館の財産として登録される。分類方法は、NDC分類(日本の図書分類法)に沿ったデータ(MARC,MachineーReadable Cataloging)になる。また、その現物(主に、書籍に関しても)に、決まったラベルなどにバーコードや分類番号を表示して貼る。さらに、公共の図書館では、表紙全面にビニールのフィルムを貼っている。 これらのデータ作成や、ラベル貼り、フィルム貼りを、一冊一冊に対して加工して、図書館に納めることを図書館装備業務という。」 (c)「【0011】 【課題を解決するための手段】 前記課題を解決するために、請求項1の発明は、図書館で管理される図書に貼付される図書館用ラベルにおいて、図書分類、図書コード、著者記号の少なくとも1つを含む図書管理情報の複数の記号を、それぞれ記載する複数の記載欄が、異なる色で色分けされたカラーラベル表示部と、前記図書管理情報が記録され、非接触で外部と通信可能なRFID部と、を備えたことを特徴とする図書館用ラベルである。 【0012】 請求項2の発明は、請求項1に記載の図書館用ラベルにおいて、前記図書管理情報をコード化した情報を印字するコード印字部を備えたことを特徴とする図書館用ラベルである。」 (d)「【0014】 【発明の実施の形態】 以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しくに説明する。 図1は、本発明による図書館用ラベルの実施形態を示す平面図及び断面図である。 本実施形態の図書館用ラベル1は、ラベル基体2の表面には、図1(A)に示すように、カラーラベル表示部5、コード印字部6、情報印字部7が形成されており、反対面には、図1(B)に示すように、粘着剤層3を介して、RFIDタグ10及び剥離紙4が積層されている。 この図書館用ラベル1は、図1では、1枚のラベルとして表示しているが、実際には、剥離紙4に切り離し自在に仮着されて、剥離紙4で連続状に接続されている。」 (e)「【0016】 コード印字部6は、上述した図書管理情報を、コード化した情報を印字する部分である。コードの種類は、特に限定されるものではなく、各種のバーコード、2次元バーコード、OCRコードなどが適用できる。 この実施形態では、コード印字部6には、図書管理情報のうち、その図書館がその図書に振り当てた登録番号(図書館内では無二の号)が、バーコードによって付与されている。この番号は、バーコードであることが多いが、OCRコードでもよい。ここでは、バーコードラベルとして、図書館名とバーコードと可読できる、数字が印字されている。 番号は、意味を持った場合と持たない場合がある、ほとんどの場合は単にシリアル番号であり、ごく一部で最初の方に購入年度を入れたり、所在場所をコード化してつける場合がある。チェックデジットを番号の最後に付ける場合もある。方式は、図書館によって異なっている。 また、後述する情報印字部7の下にも、コード印字部6Aが設けられ、このコード印字部6Aにも、コード印字部6と同じコードが印字されている。」 (f)「【0022】 RFIDタグ10は、図書管理情報が記録され、非接触で外部と通信可能なタグである。なお、「RFIDタグ」には、「非接触ICタグ」、「非接触データキャリア」、「無線ICタグ」、「非接触IC」、「非接触ICラベル」等と、種々の名称で表現される場合もあるので、本発明においては、代表して「RFIDタグ」と表現し、前記のように表現されている名称のものも包含するものとする。」 (g)「【0029】 以上説明したように、本実施形態によれば、カラーラベル表示部5と、RFIDタグ10とを1枚のラベルにしたので、以下のような効果がある。 (1)図書館側 (a)カラーラベル表示部5によって、分類が目視によっても分かり、棚整理や分類の作業が軽減し、アルバイトやボランティアによっても、図書館運営が可能となる。 (b)RFIDタグ10によって、書誌データを格納することで、 今まで書籍管理が、電算化されてはいたが人手による確認が必要だったが、RFIDによって書誌データを格納することで、一冊?数冊が一括に処理、または逐一、1冊、1冊毎に確実に処理が可能となる。 (c)出入り口にゲートを置いて、RFIDタグ10をチャックすることで不正持ち出しが防止できる。 (d)RFIDタグ10によって、自動貸出し、自動返却や、自動棚配送オートメーションも可能となる。 (e)RFIDタグ10によって、DBと現物そのものが一対一で確実に管理できる。 【0030】 (2)装備業者側(a)ラベルが1個になることにより、業務の軽減、コストダウン(ラベル5個→1個)を図ることができる。 (b)RFIDタグ10に作業内容や、発注情報を入れることによって、それまでの目視だけの検査が、DB上でも、リアルタイムで管理できる。」 ア 上記(b)の「‥‥‥現物(主に、書籍に関しても)に、‥‥‥ラベルなどにバーコード‥‥‥を表示して貼る。さらに、‥‥‥表紙全面にビニールのフィルムを貼っている。これらの‥‥‥ラベル貼り、フィルム貼りを、一冊一冊に対して加工して、図書館に納めることを図書館装備業務という。」との記載から、図書館装備業務は、書籍に、バーコードを表示したラベルを貼り、さらに、表紙全面にビニールのフィルムを貼って図書館に納める業務であるから、引用例に記載のものは「書籍に、バーコードを表示したラベルを貼り、さらに、表紙全面にビニールのフィルムを貼って図書館に納める図書館装備業務のなかで用いられる、バーコードを表示したラベル」を有するものである。 イ 上記(b)の「‥‥‥現物(主に、書籍に関しても)に、‥‥‥ラベルなどにバーコード‥‥‥を表示して貼る。さらに、‥‥‥表紙全面にビニールのフィルムを貼っている。これらの‥‥‥ラベル貼り、フィルム貼りを、一冊一冊に対して加工して、図書館に納めることを図書館装備業務という。」との記載、上記(d)の「‥‥‥図1は、本発明による図書館用ラベルの実施形態を示す平面図及び断面図である。‥‥‥図書館用ラベル1は、‥‥‥コード印字部6‥‥‥が形成されており、反対面には、図1(B)に示すように、‥‥‥RFIDタグ10‥‥‥が積層されている。‥‥‥」との記載、上記(e)の「‥‥‥コード印字部6は、上述した図書管理情報を、コード化した情報を印字する部分である。コードの種類は、特に限定されるものではなく、各種のバーコード‥‥‥が適用できる。‥‥‥」との記載、上記(g)の「‥‥‥本実施形態によれば、‥‥‥以下のような効果がある。‥‥‥(2)装備業者側(a)ラベルが1個になることにより、業務の軽減、コストダウン(ラベル5個→1個)を図ることができる。」との記載、及び上記(f)の「‥‥‥RFIDタグ10は、図書管理情報が記録され、非接触で外部と通信可能なタグである。なお、「RFIDタグ」には、「非接触ICタグ」、‥‥‥「無線ICタグ」と、種々の名称で表現される場合もある‥‥‥」との記載から、図書館用ラベルに、バーコードが印字されたコード印字部6が形成され、反対面には、図書管理情報が記録されるRFIDタグ(ICタグ)10が積層されたものであり、装備業者が貼るラベルをこのような図書館用ラベルとすることにより、業務の軽減、コストダウンを図ることができるといえるから、引用例に記載のものは「図書館装備業務のなかで、バーコードを表示するラベルの反対面に、図書管理情報が記録されるRFIDタグ(ICタグ)が積層された、図書館用ラベルを書籍に貼り、これによって、図書館装備業務の軽減、コストダウンを図る」ものである。 ウ 上記(a)の「‥‥‥本発明は、図書館で管理される図書に貼付される図書館用ラベルに関する‥‥‥」との記載、上記(c)の「‥‥‥図書館で管理される図書に貼付される図書館用ラベルにおいて、図書分類、図書コード、著者記号の少なくとも1つを含む‥‥‥図書管理情報が記録され、非接触で外部と通信可能なRFID部と、を備えた‥‥‥図書館用ラベルである。」との記載、及び上記(g)の「‥‥‥本実施形態によれば、‥‥‥以下のような効果がある。‥‥‥(d)RFIDタグ10によって、自動貸出し、自動返却や、自動棚配送オートメーションも可能となる。‥‥‥(e)RFIDタグ10によって、DBと現物そのものが一対一で確実に管理できる。‥‥‥」との記載から、図書館用ラベルは、図書管理情報によって図書を管理するシステムに用いるものということができるから、引用例に記載のものは、「図書館用ラベルを用いてなる図書館における図書管理システム」を前提としたものということができる。 上記引用例に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしウを総合すると、引用例には、次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。 「書籍に、バーコードを表示したラベルを貼り、さらに、表紙全面にビニールのフィルムを貼って図書館に納める図書館装備業務のなかで用いられる、バーコードを表示したラベルにおいて、 図書館装備業務のなかで、バーコードを表示するラベルの反対面に、図書管理情報が記録されるRFIDタグ(ICタグ)が積層された、図書館用ラベルを書籍に貼り、これによって、図書館装備業務の軽減、コストダウンを図る、 図書館用ラベルを用いてなる図書館における図書管理システム。」 3 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (A)引用発明の「書籍に、バーコードを表示したラベルを貼り、さらに、表紙全面にビニールのフィルムを貼って図書館に納める図書館装備業務のなかで用られる、バーコードを表示したラベル」において、図書館装備業務のなかで貼られる「バーコードを表示したラベル」は、図書館用のラベルであるということができ、また、書籍を搬送することは常套手段であるから、本願発明と引用発明とは、「書籍にバーコードラベルを貼付け、装備をして搬送する図書館用ラベル」である点で共通する。 (B)引用発明の「バーコードを表示するラベルの反対面に、図書管理情報が記録されるRFIDタグ(ICタグ)が積層された、図書館用ラベル」において、「RFIDタグ(ICタグ)」は「バーコードを表示するラベル」に積層されることから「小型ICタグ」ということができ、また「バーコードを表示するラベル」に「RFIDタグ(ICタグ)」(すなわち「小型タグ」)が積層された「図書館用ラベル」は、「バーコード一体型RFIDタグ」として捉えることができるから、引用発明の「図書館用ラベル」と本願発明の「RFIDタグ」とは、「バーコードラベルに小型ICタグを組み込み一体化されたバーコード一体型RFIDタグ」である点で共通する。 (C)引用発明は、「書籍に、」「ラベルを貼り、さらに、表紙全面にビニールのフィルムを貼り、図書館に納める図書館装備業務」において、「図書館装備業務のなかで、バーコードを表示するラベルの反対面に、図書管理情報が記録されたRFIDタグ(ICタグ)が積層された図書館用ラベルを書籍に貼り、これによって、図書館装備業務の軽減、コストダウンを図る」ものである。したがって、図書館に書籍を納める図書館装備業務において、「バーコードを表示するラベルの反対面に、」「RFIDタグ(ICタグ)が積層された図書館用ラベル」(本願発明の「バーコード一体型RFIDタグ」に相当(上記(B)参照))を貼り、「さらに、表紙全面にビニールのフィルムを貼」るものであり、また、図書において、ビニールのフィルムを表紙、背表紙、裏表紙にわたって貼るブックコーティングを行うことは常套手段であることから、引用発明も、ブックコーティングカバーをしてRFIDタグ(ICタグ)を「確実」に「装備」できるものであるといえ、また、「図書館用ラベル」を書籍に貼ることでもってバーコードを表示するラベルとRFIDタグ(ICタグ)とを書籍に貼ることになるのであるから、「迅速」「な装備」を可能にしたものともいえる。 したがって、本願発明と引用発明とは、「バーコード一体型RFIDタグを貼付け、」「更にブックコーティングカバーをして図書館装備ラインの流れのなかでICタグを迅速かつ確実な装備を可能にした」点で共通する。 (D)引用発明の「図書館用ラベル」は、「図書館用バーコード一体型RFIDタグ」であるから(上記(B)参照)、引用発明の「図書館用ラベルを用いてなる図書館における図書管理システム」は、「図書館用バーコード一体型RFIDタグを用いてなる図書館における書籍管理システム」ということができる。 すると、本願発明と引用発明とは、次の<一致点>及び<相違点>を有する。 <一致点> 「書籍にバーコードラベルを貼付け、装備をして搬送する図書館用ラベルにおいて、バーコードラベルに小型ICタグを組み込み一体化されたバーコード一体型RFIDタグを貼付け、更にブックコーティングカバーをして図書館装備ラインの流れのなかでICタグを迅速かつ確実な装備を可能にした図書館用バーコード一体型RFIDタグを用いてなる図書館における書籍管理システム。」 <相違点> (ア)本願発明が「書籍の表紙部と裏面部とにバーコードラベルとICタグを貼付けて自動仕分をし」ているのに対し、引用発明は、「書籍に、バーコードを表示したラベルを貼」るものの「書籍の表紙部と裏面部とにバーコードラベルとICタグを貼付けて自動仕分をし」ていることについて特定がない点。 (イ)本願発明が「バーコードの背ラベル印刷後に自動搬送してから装備をして箱詰搬送する」のに対し、引用発明は、このような手順について特定がない点。 (ウ)バーコードラベルに小型ICタグを組み込むことについて、本願発明が「表紙部のバーコードラベル」であるのに対し、引用発明はこのような特定がない点。 (エ)本願発明が、「前記ICタグを任意な位置に貼付けてICタグにデータを登録し」ているのに対し、引用発明は、「図書管理情報が記録されるRFIDタグ(ICタグ)」を有するものの、どのようにしてデータを登録するのか不明である点。 4 判断 <相違点>(ア)について 書籍にバーコードとICタグを貼り付けることは、当業者において周知な技術であり(例えば、「実例1 富里市立図書館 21世紀の図書館が目指す“見えないサービス”の提供とは?」月刊CardWave 9月号 (株)シーメディア 2003年8月18日 P34-35(34頁左欄17ないし18行(蔵書にはバーコードとICタグが貼付されている点))参照)、また、書籍の表紙部と裏面部とにバーコードとICタグを貼り付けることは当業者が適宜なし得る事項である(例えば、特開2003-85329号公報(段落【0002】(図書の表紙や裏表紙等にバーコードラベルを貼付する点)、段落【0026】(非接触ICタグラベル4は表紙とか裏表紙とか図書の外面部分に貼着する点)参照)。 そして、一般に、物品を納入する前に、バーコードやICタグを用いて、仕分けをすることは、当業者にとって周知慣用手段であり(例えば、原査定の拒絶の理由において周知例として引用された特開2003-118842号公報(段落【0025】(商品に添付されているバーコードや無線タグの商品情報を読み取って商品を仕分けし、店舗に出荷する点))、また、仕分けを自動的に行うことも周知慣用手段(例えば、特開2003-85329号公報(段落【0022】(非接触タグの識別IDを読み取り、搬送路上において、コンベアと仕分け機械により自動仕分け操作を行う点))である。 よって、引用発明における「図書館装備業務」において、書籍の表紙部と裏面部とにバーコード及びICタグを貼り付け、自動仕分けをすることに格別の困難性を有さず、本願発明のように「書籍の表紙部と裏面部とにバーコードラベルとICタグを貼付けて自動仕分を」することは、当業者が適宜なし得る事項である。 <相違点>(イ)について 書籍の背ラベルにバーコードを印字することは周知技術(例えば、特開2002-347908号公報(段落【0014】、段落【0016】(識別情報がバーコードであり、識別情報が印字されたラベルが背表紙に貼付される点)参照)であり、また、バーコードの背ラベルの印刷をブックコーティングカバーを装備する前に行うことは当業者が適宜なし得る事項である。 そして、一般に、仕入れた物品に付加価値をつけて納入先に配送する場合において、物品を自動搬送し、物品が納入可能な状態になったときに物品を箱詰搬送することは常套手段であって当業者が普通になし得る事項であるから、自動搬送してからブックコーティングカバーの装備をして箱詰め搬送することに格別の困難性を有しない。 よって、本願発明のように、「バーコードの背ラベル印刷後に自動搬送してから装備をして箱詰搬送する」ことは、当業者が適宜なし得る事項である。 <相違点>(ウ)について 書籍の表紙部にバーコードラベルを設けることは、上記「<相違点>(ア)について」 の項において記載したように、当業者が適宜なし得る事項であるから、本願発明のように「表紙部の」バーコードラベルに小型ICタグを組み込むようにすることに格別の困難性を有しない。 <相違点>(エ)について ICタグを任意の位置に貼り付けることは、当業者が適宜なし得る事項であり、また、図書館装備業務の流れのなかでICタグにデータを登録することも周知技術であって(例えば、「実例1 富里市立図書館 21世紀の図書館が目指す“見えないサービス”の提供とは?」月刊CardWave 9月号 (株)シーメディア 2003年8月18日 P34-35(35頁左欄9ないし11行(図書館は情報入力済みのICタグを貼付した図書を供給してもらえる点))参照)、当業者が適宜なし得る事項である。 そして、ICタグを貼り付けてICタグからデータを読み出すことは、常套手段であるから、ICタグへのデータの登録についても、ICタグを貼り付けて行うことに格別の困難性を有しない。 よって、本願発明のように「かつ前記ICタグを任意な位置に貼付けてICタグにデータを登録」することは、当業者が適宜なし得る事項である。 そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用例及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-04-12 |
結審通知日 | 2012-04-19 |
審決日 | 2012-05-02 |
出願番号 | 特願2005-193314(P2005-193314) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小山 満 |
特許庁審判長 |
酒井 伸芳 |
特許庁審判官 |
西山 昇 殿川 雅也 |
発明の名称 | 図書館用バーコード一体型のRIDタグを用いてなる図書館における書籍管理システム |
代理人 | 唐木 浄治 |