• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1259093
審判番号 不服2011-19665  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-12 
確定日 2012-06-22 
事件の表示 特願2001-542133「固体ランプ」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 7日国際公開、WO01/40702、平成15年 5月 7日国内公表、特表2003-515899〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、2000年11月8日(優先権主張 1999年12月3日 (US)米国、2000年3月29日 (US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年4月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成23年9月12日に拒絶査定に対する不服の審判が請求されたものである。

そして、本願の各請求項に係る発明は、平成22年11月25日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】 光源(12)と、
それを通過する光を散乱させ、集束させ、または、指向させるディスパーサ(16)と、
二つの端部を有するセパレータ(14)であって、前記光源(12)が前記二つの端部の一方に接しており且つ前記ディスパーサ(16)が前記二つの端部の他方に配置されたセパレータ(14)とを備え、前記光源(12)からの光の少なくとも一部が、前記セパレータ(14)に沿って前記ディスパーサ(16)を通るように指向されることを特徴とするランプ。」

2.引用文献及びその記載事項
(1) 原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許第5581683号明細書(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

ア 「LIGHT DIFFUSING APPARATUS WITH U-SHAPED LIGHT GUIDE」
{U字型の光導波路を備えた光を拡散する装置}({}内は当審による翻訳文。)(第1欄第1?2行)

イ 「Referring to FIGS. 1-3, a light diffusing apparatus according to the first embodiment includes a light diffuser 10 having opposed light input and output surfaces 12 and 14 and a U-shaped light guide 16. The light diffuser 10 is made of red optical quality acrylic and the light guide 16 is made of clear optical quality acrylic. The light diffusing apparatus diffuses the light generated by LEDs 18. The light diffuser 10, the light guide 16, and the LEDs 18, are supported by a body of an apparatus (e.g., telephone set, not shown) to which the present invention is applied.」
{図1?3を参照すると、最初の具体例の光を拡散する装置は、対向する側に光入出力面12と14を備えた光拡散装置10とU字型の光導波路16とを備えている。光拡散装置10は赤いアクリル樹脂で作られており、光導波路16は透明なアクリル樹脂で作られている。光拡散装置は、LED18で発生した光を拡散する。光拡散装置10、光導波路16及びLED18は、この発明が適用される装置(例えば図示されない電話機)の本体に保持されている。}(第3欄第31?40行)

ウ FIG1?6を参照すると、
光導波路16は、二つの端部を備えており、一方にLED18が、他方に光拡散装置10が設けられているといえる。

上記の記載事項及び図面の記載を総合すると、引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が実質的に記載されていると認められる。
「LED18と、光拡散装置10と、
二つの端部を備えており、一方にLED18が、他方に光拡散装置10が設けられている光導波路16を備えた、U字型の光導波路を備えた光を拡散する装置。」

(2) 原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である特開平10-269802号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

エ 「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る照明装置の構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る照明装置は、被照明部に照射される光を出射する光源としての1つの発光ダイオード11と、この発光ダイオード11より出射された光の被照明部における照度を一様化するための照度一様化光学素子としてのロッド型光インテグレータ(以下、カレイドスコープ(KALEIDOSCOPE)と言う。)12とを備えている。カレイドスコープ12は、ある程度の長さを持つガラスロッドからなり、一端面(入射端面)より入射された光を一様化して他端面(出射端面)より出射するものである。このカレイドスコープ12は、四角柱状,六角柱状等、柱状であれば良いが、図1に示した例では、四角柱状としている。発光ダイオード11は、その発光面がカレイドスコープ12の入射端面に対向するように、カレイドスコープ12の入射端面に接合されている。なお、図1に示した照明装置では、カレイドスコープ12の入射端面の形状と略同形,同大の発光ダイオード11を用いたが、図2に示したように、カレイドスコープ12の入射端面の形状と相似形で、入射端面の形状よりも小さい発光ダイオード11を用いても良い。」

オ 「【0024】次に、図3および図4を参照して、本実施の形態に係る照明装置における発光ダイオード11とカレイドスコープ12との接合方法の例について説明する。図3および図4は、発光ダイオード11とカレイドスコープ12との接合部分を示す断面図である。図3に示した例では、発光ダイオード11の発光面とは反対側の面側に、球面の一部をなすような形状の電極を兼ねた反射鏡15が設けられ、発光ダイオード11の発光面と反射鏡15にそれぞれリード16,17が接続されている。この例では、例えば、数mm角の発光ダイオード11のベアチップを反射鏡15にマウントし、電極配線を行った後、発光ダイオード11の発光面がカレイドスコープ12の入射端面に対向するように、発光ダイオード11および反射鏡15をカレイドスコープ12の入射端面に接合している。発光ダイオード11のベアチップのマウントには、現在一般に市販されている発光ダイオードのマウント技術を用いることができる。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「LED18」は本願発明の「光源」に相当する。
以下、同様に「光拡散装置10」は「それを通過する光を散乱させ、集束させ、または、指向させるディスパーサ」に、「光導波路16」は「セパレータ」に、「U字型の光導波路を備えた光を拡散する装置」は「ランプ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「光導波路16」はLED18の光を光拡散装置10に導くものであるから、引用発明は本願発明の「光源からの光の少なくとも一部が、前記セパレータに沿って前記ディスパーサを通るように指向される」の構成を備えているといえる。

以上のことから、本願発明と引用発明とは次の点で一致する。
「光源と、
それを通過する光を散乱させ、集束させ、または、指向させるディスパーサと、
二つの端部を有するセパレータであって、前記ディスパーサが前記二つの端部の他方に配置されたセパレータとを備え、前記光源からの光の少なくとも一部が、前記セパレータに沿って前記ディスパーサを通るように指向されるランプ。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点]
光源に関して、本願発明ではセパレータの「二つの端部の一方に接して」いるのに対して、引用発明ではセパレータ(引用発明の光導波路)の端部の一方に設けられてはいるものの、接しているとはいえない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
引用例2には、発光ダイオード(本願発明の「光源」に相当。)がカレイドスコープ(本願発明の「セパレータ」に相当。)の入射端面に接合されていることが記載されている。(引用例2の記載事項エ?オを参照。)
また、その他にも、例えば実願昭60-182250号(実開昭62-91612号)のマイクロフィルム(明細書第3ページ第16?20行を参照。)には、光ファイバ(本願発明の「セパレータ」に相当。)に発光ダイオード(本願発明の「光源」に相当。)を直接固定した構造の発光装置によれば、発光ダイオードからの光を光ファイバに対して効率よく入力することが可能となることが記載されており、特開平9-50704号公報(段落【0002】?【0005】、【0027】を参照。)には、光源と導光板(本願発明の「セパレータ」に相当。)の端面とを接合すること、及び、光源と導光板とを、それらの間に空気の層ができないように接合することにより光の導入効率を向上させることが記載されており、特開平8-315621号公報(【請求項4】、段落【0059】?【0060】、【0064】、図9?10及び図14を参照。)には、LEDランプ(本願発明の「光源」に相当。)を導光板(本願発明の「セパレータ」に相当。)の端部に接触させること、及び、LEDランプと導光板との間における空気層をなくすと高い入射効率が得られることが記載されている。
このように、光源をセパレータの端部の一方に接して設けることは、本願優先日前に周知の技術である。

すると、引用発明において光源をセパレータの二つの端部の一方に接して設けることにより、本願発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものといえる。

そして、本願発明により得られる作用効果も、引用発明及び周知の技術から当業者であれば予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-23 
結審通知日 2012-01-26 
審決日 2012-02-07 
出願番号 特願2001-542133(P2001-542133)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 小関 峰夫
栗山 卓也
発明の名称 固体ランプ  
代理人 大塚 文昭  
代理人 須田 洋之  
代理人 上杉 浩  
代理人 西島 孝喜  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 辻居 幸一  
代理人 岩崎 吉信  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ