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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1259278
審判番号 不服2010-13441  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-21 
確定日 2012-06-28 
事件の表示 特願2004- 66469「画像入力装置及びそれに用いる画像入力方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月22日出願公開、特開2005-260383〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
1 手続
本願は、平成16年 3月10日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 平成21年 6月30日(起案日)
手続補正 平成21年 9月 7日
拒絶査定 平成22年 3月18日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 平成22年 6月21日
手続補正 平成22年 6月21日

2 査定
原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。
<理由1>
本願の請求項1-10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

<理由2>
本願の請求項1-10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2003-163940号公報

第2 補正却下の決定
平成22年6月21日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について次のとおり決定する。

《結論》
平成22年6月21日付けの手続補正を却下する。

《理由》
1 本件補正の内容
本件補正は、平成21年9月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲についてする補正を含むものであり、補正前の請求項1ないし10を、補正後の請求項1ないし10とするものである。

特許請求の範囲(補正前)
【請求項1】
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による移動を制御する制御手段と、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段とを有し、前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うことを特徴とする画像入力装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタは、R/G/B(Red/Green/Blue)のフィルタからなることを特徴とする請求項1記載の画像入力装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、補色のYe/Cy/Mg(Yellow/Cyan/Magenta)のフィルタからなることを特徴とする請求項1記載の画像入力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記フォトダイオードの各画素上に前記カラーフィルタの各フィルタが位置するようにずらすよう制御することを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像入力装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記フォトダイオードの各画素上で前記カラーフィルタの各フィルタが重なったかのような状態とすることを特徴とする請求項4記載の画像入力装置。
【請求項6】
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置における画像入力方法であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させるステップと、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持手段に保持するステップと、その保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うステップとを有することを特徴とする画像入力方法。
【請求項7】
前記カラーフィルタは、R/G/B(Red/Green/Blue)のフィルタからなることを特徴とする請求項6記載の画像入力方法。
【請求項8】
前記カラーフィルタは、補色のYe/Cy/Mg(Yellow/Cyan/Magenta)のフィルタからなることを特徴とする請求項6記載の画像入力方法。
【請求項9】
前記カラーフィルタを移動する際に、前記フォトダイオードの各画素上に前記カラーフィルタの各フィルタが位置するようにずらすことを特徴とする請求項7または請求項8記載の画像入力方法。
【請求項10】
前記カラーフィルタを移動する際に、前記フォトダイオードの各画素上で前記カラーフィルタの各フィルタが重なったかのような状態とすることを特徴とする請求項9記載の画像入力方法。

特許請求の範囲(補正後)
【請求項1】
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による移動を制御する制御手段と、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段とを有し、前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行うことを特徴とする画像入力装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタは、R/G/B(Red/Green/Blue)のフィルタからなることを特徴とする請求項1記載の画像入力装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、補色のYe/Cy/Mg(Yellow/Cyan/Magenta)のフィルタからなることを特徴とする請求項1記載の画像入力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記フォトダイオードの各画素上に前記カラーフィルタの各フィルタが位置するようにずらすよう制御することを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像入力装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記フォトダイオードの各画素上で前記カラーフィルタの各フィルタが重なったかのような状態とすることを特徴とする請求項4記載の画像入力装置。
【請求項6】
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置における画像入力方法であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させるステップと、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持手段に保持するステップと、その保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行うステップとを有することを特徴とする画像入力方法。
【請求項7】
前記カラーフィルタは、R/G/B(Red/Green/Blue)のフィルタからなることを特徴とする請求項6記載の画像入力方法。
【請求項8】
前記カラーフィルタは、補色のYe/Cy/Mg(Yellow/Cyan/Magenta)のフィルタからなることを特徴とする請求項6記載の画像入力方法。
【請求項9】
前記カラーフィルタを移動する際に、前記フォトダイオードの各画素上に前記カラーフィルタの各フィルタが位置するようにずらすことを特徴とする請求項7または請求項8記載の画像入力方法。
【請求項10】
前記カラーフィルタを移動する際に、前記フォトダイオードの各画素上で前記カラーフィルタの各フィルタが重なったかのような状態とすることを特徴とする請求項9記載の画像入力方法。

2 補正の適合性
(1)補正の範囲(第17条の2第3項)
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の記載に基づくものであるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。

(2)補正の目的(第17条の2第4項第1号?第4号)
本件補正は、
補正前の請求項1における「前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行う」なる記載を、「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」として、補正後の請求項1とする補正と、
補正前の請求項6における「その保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うステップ」なる記載を、「その保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行うステップ」として、補正後の請求項6とする補正を含むものであり、
上記各補正は、補正前の「(前記保持手段に)保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行う」を、「(前記保持手段に)保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」に限定する補正であるということができるから、
補正後の請求項1および6に対する補正は、特許請求の範囲の減縮に該当する補正事項であると認められる。

(3)独立特許要件(第17条の2第5項)
本件補正は、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件補正後の請求項1に係る発明が、独立して特許を受けることができる発明であるか検討する。

ア 補正後の本願発明

本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という)は、以下のとおりのものである。

【請求項1】
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による移動を制御する制御手段と、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段とを有し、前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行うことを特徴とする画像入力装置。

イ 刊行物1の記載

原査定の拒絶の理由で引用された特開2003-163940号公報(以下「刊行物1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(刊行物1の記載)

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】カラーフィルタアレイを用いた従来のカラー撮像方式によると、エリアイメージセンサの各感光部には1つのカラーフィルタを透過した光が入射する。そのため、被写体の走査時に1つの感光部で蓄積した電荷に基づき得られる色情報は1色分のみである。各感光部で得られない色の情報については、各感光部に近接する他の感光部で得られた色情報で補間している。このため従来のカラー撮像方式によると、色情報が正確でないという問題があった。本発明は、上記問題に鑑みて創作されたものであって、その目的は、被写体の色情報をより正確に表すカラー画像データを作成するディジタルカメラ及びディジタルカメラによる撮像方法を提供することにある。

【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係るディジタルカメラによると、複数色のカラーフィルタが2次元に配列されているカラーフィルタアレイと、カラーフィルタの透過光をそれぞれ受光する複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサと、エリアイメージセンサの出力信号に基づいて被写体を表すカラー画像データを作成し記録媒体に格納する信号処理部と、エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる駆動部とを備える。

【0006】また本発明に係るディジタルカメラによると、駆動部は、オペレータの選択操作に応じ、2種類のモードのいずれかで作動する。ここで2種類のモードとは、(A)エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる第一撮像モードと、(B)エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを移動させずに複数の感光部の各々にいずれか1色のカラーフィルタを割り当てる第二撮像モードである。

【0011】エリアイメージセンサ26は、ハウジング18に固定された基板27に搭載されている。エリアイメージセンサ26は、レンズ14の光軸Oに垂直な仮想平面上に格子状に配列された複数の感光部24を有する。各感光部24はフォトダイオード等の光電変換素子で構成されている。エリアイメージセンサ26は、各感光部24で受光した光を光電変換して得られる電荷を一定時間蓄積し蓄積電荷を走査して電気信号(画像信号)として出力する。エリアイメージセンサ26としてはCCD形センサ、MOS形センサ、積層形センサ、増幅形センサ等のいずれを使用してもよい。

【0012】カラーフィルタアレイ(以下、単にフィルタアレイという。)22は、レンズ14の光軸Oに垂直な仮想平面上に格子状に配列された複数色のカラーフィルタ20を備えている。フィルタアレイ22は、マイクロモータ、圧電素子、ソレノイド等からなるアクチュエータ(ACT)28により移動させられる。

【0015】フィルタアレイ22は、エリアイメージセンサ26の至近距離にエリアイメージセンサ26と平行な姿勢で設けられている。フィルタアレイ22は、カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に移動自在に設けられている。以下、カラーフィルタ20の配列を規定する縦の格子平行線に平行な方向を垂直方向といい、横の格子平行線に平行な方向を水平方向という。カラーフィルタ20の垂直方向及び水平方向の配列ピッチはそれぞれ、エリアイメージセンサ26の感光部24の垂直方向及び水平方向の各配列ピッチに等しい。

【0017】センサ駆動部40は、エリアイメージセンサ26及びアクチュエータ(ACT)28を駆動する電子回路である。センサ駆動部40は例えば同期信号発生器、駆動用タイミングジェネレータ、D/A変換器、増幅回路等から構成される。

【0018】
… 略 …
またセンサ駆動部40は、フィルタアレイ22を垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、フィルタアレイ22を水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルスをアクチュエータ28にシーケンス入力することで、アクチュエータ28を駆動する。

【0020】第一撮像モードで作動するセンサ駆動部40は一つの静止画像を記録する1回の撮像について、エリアイメージセンサ26に対してフィルタアレイ22が相対移動するようにアクチュエータ28を駆動する処理と、エリアイメージセンサ26に信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返す。第一撮像モードでセンサ駆動部40に駆動されるアクチュエータ28は、エリアイメージセンサ26の各感光部24にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するようにフィルタアレイ22を移動させる。

【0023】処理部50は、アナログフロントエンド(AFE)52、ディジタル画像処理部60を備え、エリアイメージセンサ26から出力されるアナログの画像信号に基づきディジタルのカラー画像データを作成しその作成されたカラー画像データを記録媒体としての不揮発生メモリ64に格納する。

【0025】ディジタル画像処理部60は、AFE52から出力されたディジタル画像信号からカラー画像データを作成するDSP(Digital Signal Processor)を備える。ディジタル画像処理部60は、ディジタル画像処理部60内部の動作モードを設定するためのモードレジスタを備えている。後述の制御部70は、センサ駆動部40を第一撮像モードで作動させるときにはディジタル画像処理部60を第一撮像モードで作動させ、センサ駆動部40を第二撮像モードで作動させるときにはディジタル画像処理部60を第二撮像モードで作動させるように、ディジタル画像処理部60及びセンサ駆動部40のモードレジスタに値を設定する。ディジタル画像処理部60は、モードレジスタに設定される値に応じた方法でカラー画像データの作成を実施する。

【0026】ディジタル画像処理部60は第一撮像モードでは次のように作動する。すなわち、第一撮像モードでセンサ駆動部40が作動するときR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光は各感光部24に入射し、R、G、B各色に対応する画像信号が各画素についてAFE52からディジタル画像処理部60に入力される。これにより第一撮像モードで作動するディジタル画像処理部60は、近傍画素の画像信号を用いた補間を実施することなく、実際に入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得る。

【0028】ディジタル画像処理部60はカラー画像データの作成の他に、ガンマ補正、欠陥画素補正、自動ホワイトバランス処理、輪郭補正、ホワイトクリップ処理、被写体の抽出処理等の各種の処理をいずれの撮像モードにおいても実施する。

【0031】尚、以上のディジタル画像処理部60で処理される画像信号や、ディジタル画像処理部60により作成されるカラー画像データは、必要に応じてワークメモリ(例えば制御部70のRAM76)に一時的に格納することができる。
(… 略 …)」

(刊行物1の記載、以上)

ウ 刊行物1に記載された発明(引用発明)

(ア)刊行物1に記載された発明の概要(課題・目的)

上記刊行物1の段落【0003】によれば、
「カラーフィルタアレイを用いた従来のカラー撮像方式」では、「エリアイメージセンサの各感光部には1つのカラーフィルタを透過した光が入射する」ことから「被写体の走査時に1つの感光部で蓄積した電荷に基づき得られる色情報は1色分のみ」であって、「各感光部で得られない色の情報については、各感光部に近接する他の感光部で得られた色情報で補間して」おり、「色情報が正確でない」という課題に鑑みて、
「被写体の色情報をより正確に表すカラー画像データを作成するディジタルカメラ及びディジタルカメラによる撮像方法を提供する」ことを目的としている。

(イ)「被写体を撮像してカラー画像データを作成する装置」について

上記刊行物1の段落【0004】に「【課題を解決するための手段】本発明に係るディジタルカメラによると、複数色のカラーフィルタが2次元に配列されているカラーフィルタアレイと、カラーフィルタの透過光をそれぞれ受光する複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサと、エリアイメージセンサの出力信号に基づいて被写体を表すカラー画像データを作成し記録媒体に格納する信号処理部と、エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる駆動部とを備える。」とあり、

また、上記刊行物1の段落【0006】に「また本発明に係るディジタルカメラによると、駆動部は、オペレータの選択操作に応じ、2種類のモードのいずれかで作動する。ここで2種類のモードとは、(A)エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる第一撮像モードと、(B)エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを移動させずに複数の感光部の各々にいずれか1色のカラーフィルタを割り当てる第二撮像モードである。」とあるから、

前記第2の2(3)ウ(ア)に記載の課題を解決するための手段として、前記ディジタルカメラに、
「複数色のカラーフィルタが2次元に配列されているカラーフィルタアレイ」、「カラーフィルタの透過光をそれぞれ受光する複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサ」、「エリアイメージセンサの出力信号に基づいて被写体を表すカラー画像データを作成し記録媒体に格納する信号処理部」、および、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる駆動部」を備え、
前記「駆動部」は、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる第一撮像モードと」、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを移動させずに複数の感光部の各々にいずれか1色のカラーフィルタを割り当てる第二撮像モード」の「いずれかで作動する」ことが記載されている。

ディジタルカメラにおいて、前記「カラーフィルタアレイ」、前記「エリアイメージセンサ」、前記「信号処理部」、および、前記「駆動部」の各構成は、被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置の構成ということができ、かかる装置を刊行物1に記載された発明として認定する。

すなわち、刊行物1には、
前記第2の2(3)ウ(ア)に記載の課題を解決するための、被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置であって、
「複数色のカラーフィルタが2次元に配列されているカラーフィルタアレイ」、「カラーフィルタの透過光をそれぞれ受光する複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサ」、「エリアイメージセンサの出力信号に基づいて被写体を表すカラー画像データを作成し記録媒体に格納する信号処理部」、および、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる駆動部」を備え、
前記「駆動部」は、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる第一撮像モード」と、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを移動させずに複数の感光部の各々にいずれか1色のカラーフィルタを割り当てる第二撮像モード」の「いずれかで作動する」装置が記載されているといえる。

(ウ)「エリアイメージセンサ」について

上記刊行物1の段落【0011】に「エリアイメージセンサ26は、レンズ14の光軸Oに垂直な仮想平面上に格子状に配列された複数の感光部24を有する。各感光部24はフォトダイオード等の光電変換素子で構成されている。エリアイメージセンサ26は、各感光部24で受光した光を光電変換して得られる電荷を一定時間蓄積し蓄積電荷を走査して電気信号(画像信号)として出力する。」とあるから、
刊行物1の前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置が備える前記「エリアイメージセンサ」は、「格子状に配列された複数の感光部24」を有し、「各感光部24で受光した光を光電変換して得られる電荷を一定時間蓄積し蓄積電荷を走査して電気信号(画像信号)として出力する」ものであって、前記「各感光部24はフォトダイオード等の光電変換素子で構成されている」といえる。

(エ)「カラーフィルタアレイ」について

上記刊行物1の段落【0012】に「カラーフィルタアレイ(以下、単にフィルタアレイという。)22は、レンズ14の光軸Oに垂直な仮想平面上に格子状に配列された複数色のカラーフィルタ20を備えている。」とあり、
また、上記刊行物1の段落【0015】に「フィルタアレイ22は、エリアイメージセンサ26の至近距離にエリアイメージセンサ26と平行な姿勢で設けられている。」とあり、
また、刊行物1の図2(第一実施例によるディジタルカメラの内部構造)および図4(ディジタルカメラの構成)からは、イメージセンサ26よりもレンズ側(被写体光が入射する側)に前記カラーフィルタアレイ(22)が配置されていることが見てとれるから、
上記刊行物1の前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置が備える前記「カラーフィルタアレイ」は、「格子状に配列された複数色のカラーフィルタ20を備え」、前記「エリアイメージセンサ26の至近距離にエリアイメージセンサ26と平行な姿勢で」、「イメージセンサ26よりもレンズ側(被写体光が入射する側)に」設けられているといえる。

(オ)「アクチュエータ(ACT)28」および「センサ駆動部40」(駆動部)について

(オ-1)「アクチュエータ(ACT)28」について

上記刊行物1の段落【0012】に「フィルタアレイ22は、マイクロモータ、圧電素子、ソレノイド等からなるアクチュエータ(ACT)28により移動させられる。」とあり、
また、段落【0015】に「フィルタアレイ22は、カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に移動自在に設けられている。」とあり、
また、段落【0020】に「センサ駆動部40は…(略)…エリアイメージセンサ26に対してフィルタアレイ22が相対移動するようにアクチュエータ28を駆動する処理と、…(略)…繰り返す。」とあるから、
上記刊行物1の前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置は、前記「エリアイメージセンサ26に対してフィルタアレイ22(カラーフィルタアレイ)」を前記「カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に」「相対移動」させる「アクチュエータ(ACT)28」を備えるといえる。

(オ-2)「センサ駆動部40」について

上記刊行物1の段落【0017】に「センサ駆動部40は、エリアイメージセンサ26及びアクチュエータ(ACT)28を駆動する電子回路である。」とあり、
段落【0018】に「またセンサ駆動部40は、フィルタアレイ22を垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、フィルタアレイ22を水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルスをアクチュエータ28にシーケンス入力することで、アクチュエータ28を駆動する。」とあるから、
上記刊行物1の前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置は、「フィルタアレイ22を垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、フィルタアレイ22を水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルスをアクチュエータ28にシーケンス入力することで、アクチュエータ28を駆動する」「センサ駆動部40」を備えるといえる。

(オ-3)「エリアイメージセンサ26の各感光部24にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するようにフィルタアレイ22を移動させる」について

上記刊行物1の段落【0020】に「第一撮像モードで作動するセンサ駆動部40は一つの静止画像を記録する1回の撮像について、エリアイメージセンサ26に対してフィルタアレイ22が相対移動するようにアクチュエータ28を駆動する処理と、エリアイメージセンサ26に信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返す。第一撮像モードでセンサ駆動部40に駆動されるアクチュエータ28は、エリアイメージセンサ26の各感光部24にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するようにフィルタアレイ22を移動させる。」とあるから、
「第一撮像モードで作動するセンサ駆動部40」は、「一つの静止画像を記録する1回の撮像について」、「アクチュエータ28を駆動する処理と、エリアイメージセンサ26に信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返」し、前記「第一撮像モードでセンサ駆動部40に駆動されるアクチュエータ28は、エリアイメージセンサ26の各感光部24にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するようにフィルタアレイ22を移動させる」といえる。

(オ-4)「駆動部」について
ここで、前記「アクチュエータ(ACT)28」は前記「エリアイメージセンサ26に対してフィルタアレイ22(カラーフィルタアレイ)」を「相対移動」させ、
また、前記「センサ駆動部40」は「駆動パルスをアクチュエータ28にシーケンス入力することで、アクチュエータ28を駆動」し、
「第一撮像モードでセンサ駆動部40に駆動されるアクチュエータ28は、エリアイメージセンサ26の各感光部24にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するようにフィルタアレイ22を移動させる」ことから、
前記「アクチュエータ(ACT)28」および前記「センサ駆動部40」は、前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置が備える、前記「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる駆動部」に対応する。
よって、前記「駆動部」には、前記「アクチュエータ(ACT)28」および前記「センサ駆動部40」が含まれるといえる。

(オ-5)まとめ

以上まとめると、
前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置が備える前記「駆動部」には、
前記「エリアイメージセンサ26に対してフィルタアレイ22(カラーフィルタアレイ)」を前記「カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に」「相対移動」させる「アクチュエータ(ACT)28」(前記オ-1)、および、
「フィルタアレイ22を垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、フィルタアレイ22を水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルスをアクチュエータ28にシーケンス入力することで、アクチュエータ28を駆動する」「センサ駆動部40」(前記オ-2)が含まれ、
「第一撮像モードで作動するセンサ駆動部40」は、「一つの静止画像を記録する1回の撮像について」、「アクチュエータ28を駆動する処理と、エリアイメージセンサ26に信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返」し、前記「第一撮像モードでセンサ駆動部40に駆動されるアクチュエータ28は、エリアイメージセンサ26の各感光部24にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するようにフィルタアレイ22を移動させる」(前記オ-3)といえる。

(カ)「信号処理部」(処理部50、ディジタル画像処理部60)について

(カ-1)「処理部50」について
上記刊行物1の段落【0023】に「処理部50は、アナログフロントエンド(AFE)52、ディジタル画像処理部60を備え、エリアイメージセンサ26から出力されるアナログの画像信号に基づきディジタルのカラー画像データを作成しその作成されたカラー画像データを記録媒体としての不揮発生メモリ64に格納する。」とあるから、
前記「アナログフロントエンド(AFE)52」および「ディジタル画像処理部60」を備える前記「処理部50」は、上記刊行物1の前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置が備える、前記「エリアイメージセンサの出力信号に基づいて被写体を表すカラー画像データを作成し記録媒体に格納する信号処理部」に対応する。
よって、前記「信号処理部」は、前記「アナログフロントエンド(AFE)52」および「ディジタル画像処理部60」を備えるといえる。

(カ-2)「ディジタル画像処理部60」について

段落【0026】に「ディジタル画像処理部60は第一撮像モードでは次のように作動する。すなわち、第一撮像モードでセンサ駆動部40が作動するときR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光は各感光部24に入射し、R、G、B各色に対応する画像信号が各画素についてAFE52からディジタル画像処理部60に入力される。これにより第一撮像モードで作動するディジタル画像処理部60は、近傍画素の画像信号を用いた補間を実施することなく、実際に入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得る。」とあるから、
前記「ディジタル画像処理部60」は、「第一撮像モードでセンサ駆動部40が作動するときR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光は各感光部24に入射し、R、G、B各色に対応する画像信号が各画素についてAFE52からディジタル画像処理部60に入力され」、前記「第一撮像モードで作動するディジタル画像処理部60は」「入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得る」ことで、「カラー画像データを作成」するといえる。

(カ-3)まとめ
以上まとめると、
前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置が備える前記「信号処理部」は、「アナログフロントエンド(AFE)52」および「ディジタル画像処理部60」を備え、
前記「ディジタル画像処理部60」は、「第一撮像モードでセンサ駆動部40が作動するときR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光は各感光部24に入射し、R、G、B各色に対応する画像信号が各画素についてAFE52からディジタル画像処理部60に入力され」、前記「第一撮像モードで作動するディジタル画像処理部60は」「入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得る」ことで、「カラー画像データを作成」するといえる。

(キ)「欠陥画素補正」について

上記刊行物1の段落【0028】に「ディジタル画像処理部60はカラー画像データの作成の他に、ガンマ補正、欠陥画素補正、自動ホワイトバランス処理、輪郭補正、ホワイトクリップ処理、被写体の抽出処理等の各種の処理をいずれの撮像モードにおいても実施する。」とあるから、
前記「ディジタル画像処理部60」は、「欠陥画素補正」の処理を実施するといえる。

(ク)「制御部70」(ワークメモリ)について

上記刊行物1の段落【0031】に「以上のディジタル画像処理部60で処理される画像信号や、ディジタル画像処理部60により作成されるカラー画像データは、必要に応じてワークメモリ(例えば制御部70のRAM76)に一時的に格納することができる。」とあるから、
前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置は、さらに、ワークメモリ(制御部70のRAM76)を備え、
前記「ディジタル画像処理部60で処理される画像信号や、ディジタル画像処理部60により作成されるカラー画像データ」を、一時的に前記「ワークメモリ(制御部70のRAM76)」に格納できるといえる。

(ケ)まとめ
上記(ア)?(ク)によれば、刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)として、以下のとおりのものを認定することができる。

「カラーフィルタアレイを用いた従来のカラー撮像方式では、エリアイメージセンサの各感光部には1つのカラーフィルタを透過した光が入射することから、被写体の走査時に1つの感光部で蓄積した電荷に基づき得られる色情報は1色分のみであって、各感光部で得られない色の情報については、各感光部に近接する他の感光部で得られた色情報で補間しており色情報が正確でない、という課題を解決するための、被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置であって、
前記被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置は、
複数色のカラーフィルタが2次元に配列されているカラーフィルタアレイ、カラーフィルタの透過光をそれぞれ受光する複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサ、エリアイメージセンサの出力信号に基づいて被写体を表すカラー画像データを作成し記録媒体に格納する信号処理部、および、エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる駆動部を備え、
前記駆動部は、エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ複数の感光部の各々に全色のカラーフィルタを時分割して割り当てる第一撮像モードと、エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを移動させずに複数の感光部の各々にいずれか1色のカラーフィルタを割り当てる第二撮像モードのいずれかで作動し、
前記エリアイメージセンサは、格子状に配列された複数の感光部を有し、各感光部で受光した光を光電変換して得られる電荷を一定時間蓄積し蓄積電荷を走査して電気信号(画像信号)として出力するものであって、前記各感光部はフォトダイオード等の光電変換素子で構成されており、
前記カラーフィルタアレイは、格子状に配列された複数色のカラーフィルタ20を備え、前記エリアイメージセンサの至近距離に前記エリアイメージセンサと平行な姿勢で、前記エリアイメージセンサよりもレンズ側(被写体光が入射する側)に設けられ、
前記駆動部には、前記エリアイメージセンサに対して前記カラーフィルタアレイを前記カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に相対移動させるアクチュエータ28、および、
前記カラーフィルタアレイを垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、前記カラーフィルタアレイを水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルスを前記アクチュエータ28にシーケンス入力することで、前記アクチュエータ28を駆動するセンサ駆動部40が含まれ、
前記第一撮像モードで作動する前記センサ駆動部40は、一つの静止画像を記録する1回の撮像について、前記アクチュエータ28を駆動する処理と、前記エリアイメージセンサに信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返し、前記第一撮像モードで前記センサ駆動部40に駆動される前記アクチュエータ28は、前記エリアイメージセンサの各感光部にR、G、B各色のカラーフィルタ20の透過光が一度ずつ入射するように前記カラーフィルタアレイを移動させ、
前記信号処理部は、アナログフロントエンド(AFE)52およびディジタル画像処理部60を備え、
前記ディジタル画像処理部60は、前記第一撮像モードで前記センサ駆動部40が作動するときR、G、B各色の前記カラーフィルタ20の透過光は前記各感光部に入射し、R、G、B各色に対応する画像信号が各画素について前記AFE52から前記ディジタル画像処理部60に入力され、前記第一撮像モードで作動する前記ディジタル画像処理部60は、入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得ることで、カラー画像データを作成し、
前記ディジタル画像処理部60は、欠陥画素補正の処理を実施し、
さらに、ワークメモリ(制御部70のRAM76)を備え、前記ディジタル画像処理部60で処理される画像信号や、前記ディジタル画像処理部60により作成されるカラー画像データを、一時的に前記ワークメモリに格納できる、
被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置。」

エ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比するにあたり、
本件補正発明においては、
「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素、あるいは最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」としており、この部分の記載に関して、
「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とする発明と、
「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄のR/G/B(/G)から合成した中間色から欠落した画素を平均化あるいは重み付けして推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とする発明とが含まれ、
また、それぞれの発明の中にも、さらに、「平均化して推察する」とする発明と、「重み付けして推察する」とする発明とが含まれている(すなわち、合計4つの発明が含まれている)と認められるが、
上記の部分の記載に関しては、このうち、
「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とする発明を、引用発明と対比することとする。

(ア)「画像入力装置」について

引用発明は「被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置」である。
前記「被写体からの光を受光」することは、(光学的な被写体)画像を(受光し)入力するといえるから、
引用発明の前記「被写体からの光を受光してカラー画像データを作成する装置」は画像を入力する装置(画像入力装置)といえ、この点で本件補正発明と一致する。

(イ)「画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサ」について

引用発明は、カラーフィルタアレイと、複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサを有しており、
引用発明の前記カラーフィルタアレイ、および、前記複数の感光部が2次元に配列されているエリアイメージセンサは、それぞれ、本件補正発明のカラーフィルタ、および、画像入力素子に対応する。
前記カラーフィルタアレイは、前記エリアイメージセンサの至近距離に前記エリアイメージセンサと平行な姿勢で、前記エリアイメージセンサよりもレンズ側(被写体光が入射する側)に設けられており、
また、前記エリアイメージセンサに配列されている複数の前記各感光部はフォトダイオード等の光電変換素子で構成されていることから、
被写体光が入射する側を上側、エリアイメージセンサを下側とすると、引用発明の前記カラーフィルタアレイおよびエリアイメージセンサは、
前記エリアイメージセンサ上に前記カラーフィルタアレイを設け、前記カラーフィルタアレイの下に(前記エリアイメージセンサに配列されている)フォトダイオードを設けているといえ、
本件補正発明の(画像入力素子上にカラーフィルタ7を形成し、このカラーフィルタ7の下にフォトダイオード6を設けて主にカラーフィルタ7と組み合わせることで構築されている)色センサに対応するといえる。
よって、引用発明は、エリアイメージセンサ(画像入力素子)上にカラーフィルタアレイ(カラーフィルタ)を形成し、前記カラーフィルタアレイの下にフォトダイオードを設けて構築される、カラーフィルタアレイおよびエリアイメージセンサ(色センサ)を備えているといえ、この点で本件補正発明と一致する。

(ウ)「前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段」について

引用発明は、「エリアイメージセンサに対してカラーフィルタアレイを相対移動させ」る「駆動部」を備えており、
前記「駆動部」には、「前記エリアイメージセンサに対して前記カラーフィルタアレイを前記カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に相対移動させるアクチュエータ28」が含まれている。
前記「カラーフィルタアレイ」は「エリアイメージセンサと平行な姿勢で」設けられていて、前記「カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向」は、「エリアイメージセンサ(画像入力素子)」の(複数の感光部が2次元に配列されている)面に対して水平方向といえるから、
前記「前記エリアイメージセンサに対して前記カラーフィルタアレイを前記カラーフィルタ20の配列を規定する縦又は横の格子平行線と平行な方向に相対移動させる」は、前記カラーフィルタアレイの位置を前記エリアイメージセンサ(画像入力素子)と水平方向に移動させるといい得る。
よって、引用発明は、前記カラーフィルタアレイ(カラーフィルタ)の位置を前記エリアイメージセンサ(画像入力素子)と水平方向に移動させるアクチュエータ28(移動手段)を有するといえ、この点で本件補正発明と一致する。

(エ)「前記移動手段による移動を制御する制御手段」について

引用発明の前記「駆動部」に含まれる前記「センサ駆動部40」は、「前記カラーフィルタアレイを垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、前記カラーフィルタアレイを水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルスを前記アクチュエータ28にシーケンス入力することで、前記アクチュエータ28を駆動する」。
前記「アクチュエータ28」は「前記カラーフィルタアレイを垂直方向に移動させるための垂直駆動パルス、前記カラーフィルタアレイを水平方向に移動させるための水平駆動パルス等の駆動パルス」を「センサ駆動部40」により「シーケンス入力」されることで駆動されて、前記カラーフィルタアレイの移動が制御されるといえるから、
引用発明は、前記アクチュエータ28(移動手段)による(カラーフィルタアレイの)移動を制御するセンサ駆動部40(制御手段)を備えるといえ、この点で本件補正発明と一致する。

(オ)「その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段」について

引用発明においては、
「前記第一撮像モードで作動する前記センサ駆動部40は、一つの静止画像を記録する1回の撮像について、前記アクチュエータ28を駆動する処理と、前記エリアイメージセンサに信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返し」、
「前記第一撮像モードで作動する前記ディジタル画像処理部60は、入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得ることで、カラー画像データを作成」する。
そして、引用発明は「前記ディジタル画像処理部60で処理される画像信号」を一時的に格納できる「ワークメモリ」を備える。

「前記第一撮像モードで作動する前記センサ駆動部40」が「前記アクチュエータ28を駆動する処理と、前記エリアイメージセンサに信号電荷を所定時間蓄積させ信号電荷を走査する処理とを交互に各々カラーフィルタ20の色数に等しい回数(3回)だけ繰り返し」て、前記「ディジタル画像処理部60」は「入力された各画素3色の画像信号から全画素につきR、G、B全色の階調値を得」て「カラー画像データを作成」するから、
前記アクチュエータ28を駆動してカラーフィルタアレイを移動させる毎に前記エリアイメージセンサを走査して得た(前記ディジタル画像処理部60に入力された)3枚分の画像信号から、前記ディジタル画像処理部60が、全画素それぞれR、G、B全色の階調値が得られる1枚のカラー画像データを作成するのであって、
前記ディジタル画像処理部60が、前記3枚分の画像信号から1枚のカラー画像データを作成するためには、前記カラーフィルタアレイを移動させる毎にエリアイメージセンサを走査して得た前記各画像信号を、一時的にどこかに記憶(保持)させておかなくてはならないことは当業者にとって明かである。
引用発明は、前記ディジタル画像処理部60で処理される画像信号を一時的に格納できるワークメモリを備えているから、
引用発明においては、前記カラーフィルタアレイを移動させる毎にエリアイメージセンサを走査して得た前記各画像信号を、前記ワークメモリに一時的に格納(保持)させているといい得る。

よって、引用発明は、(前記アクチュエータ28を駆動して)前記カラーフィルタアレイを移動させる毎に(移動毎に)、エリアイメージセンサを走査して得た前記各画像信号(エリアイメージセンサのフォトダイオードからの信号)を一時的に格納(保持)させるワークメモリ(保持手段)を備えており、この点で本件補正発明と一致するといえる。

(カ)「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」について

引用発明のディジタル画像処理部60は欠陥画素補正の処理(欠陥画素の補完処理)を実施する。
前記欠陥画素補正の処理を実施する対象となる画像信号は、上記第2の2(3)エ(オ)に示したとおり、ワークメモリ(保持手段)に一時的に格納(保持)されているから、
引用発明においては、前記ワークメモリ(保持手段)に一時的に格納(保持)された画像信号(信号)を用いて、前記欠陥画素補正の処理(欠陥画素の補完処理)を行うといえ、この点で本件補正発明と一致する。

しかしながら、前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うことが、
本件補正発明においては、「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」のに対し、
引用発明においては、「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とはしていない点で相違する。

オ 一致点、相違点

以上の対比によれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

《一致点》
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による移動を制御する制御手段と、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段とを有し、前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うことを特徴とする画像入力装置。

《相違点》
「前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行う」が、
本件補正発明においては、「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」のに対し、
引用発明においては、「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とはしていない点

カ 判断
上記相違点について検討する。

撮像装置、デジタルカメラの技術分野において、欠陥画素の補完処理(欠陥画素補正の処理)を行う際に、欠陥画素の画素値を同色の周辺画素の画素値を平均化した値で置き換えることで前記欠陥画素の補完を行う技術は、本願出願前において、広く知られており、周知の技術である。
(例えば、特開2002-281390号公報の段落【0027】、特開2000-244823号公報の段落【0013】、特開2002-330355号公報の段落【0043】の記載を参照されたい。
なお、欠陥画素の画素値を同色の周辺画素の画素値を重み付けして得ることも、前記特開2000-244823号公報の段落【0014】に記載されているように周知の技術である。)
そして、前記欠陥画素の画素値を同色の周辺画素の画素値を平均化した値で置き換えることは、前記同色の周辺画素の画素値を平均化することで前記欠陥画素の画素値を推察して、その推察された画素値(周辺画素の画素値を平均化した値)を前記欠陥画素の画素値に置き換えることといえる。
引用発明においては、「前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行う」に際して、(具体的な欠陥画素の補完処理が明記されておらず、)「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とはしていないが、
欠陥画素の画素値を同色の周辺画素の画素値を平均化した値で置き換えることで前記欠陥画素の補完を行うことが当業者に広く知られており、周知の技術であるから、引用発明において欠陥画素の補完処理を行う際に、前記周知の技術を適用しようとすることは当業者であれば容易に想到し得た事であり、
引用発明に前記周知の技術を適用しようとする際、
引用発明においては、上記第2の2(3)エ(オ)に示したとおり、「全画素につきR、G、B全色の階調値を得」ており、欠陥画素に直接隣り合う画素(最寄の画素)にも、前記欠陥画素と同色の画素値が既に得られている(ワークメモリに格納されている)ことから、
既に得られている(格納されている)欠陥画素に直接隣り合う(最寄の)同色の画素値を平均化して欠陥画素の画素値を推察し、前記欠陥画素の画素値に置き換えようとすることは、当業者であれば容易に想到し得た事である。

よって、引用発明において、「前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行う」を、「前記保持手段に保持された信号のうち、最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより欠陥画素の補完処理を行う」とすることは、当業者であれば容易に想到し得た事である。

キ 効果
以上のように、上記相違点は、刊行物1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

ク まとめ(独立特許要件)
以上によれば、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成22年 6月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成21年 9月 7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に係る発明のとおりであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成21年 9月 7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による移動を制御する制御手段と、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段とを有し、前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うことを特徴とする画像入力装置。

第4 検討
1 刊行物に記載された発明
刊行物1には、上記第2の2(3)イの事項が記載されており、刊行物1に記載された発明として、上記第2の2(3)ウ(ケ)の「引用発明」を認定することができる。

2 対比(本件補正発明においてした対比の援用)
本願発明は、引用発明と対比した本件補正発明の「(保持手段に保持された信号のうち、)最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより」とする限定事項を削除し、「前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行う」としたものである。
したがって、本願発明と引用発明との対比は、該「(保持手段に保持された信号のうち、)最寄の同色の画素から欠落した画素を平均化して推察することにより」の部分を除き、上記第2の2(3)エの対比を援用する。

3 一致点
以上の対比によれば、本願発明と刊行物発明とは以下の一致点で一致する。

《一致点》
画像入力素子上にカラーフィルタを形成し、前記カラーフィルタの下にフォトダイオードを設けて構築される色センサを用いる画像入力装置であって、
前記カラーフィルタの位置を前記画像入力素子と水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による移動を制御する制御手段と、その移動毎に前記フォトダイオードからの信号を保持する保持手段とを有し、前記保持手段に保持された信号を用いて欠陥画素の補完処理を行うことを特徴とする画像入力装置。
4 まとめ
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、残る請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-05 
結審通知日 2012-04-10 
審決日 2012-05-16 
出願番号 特願2004-66469(P2004-66469)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 勝久  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 ▲徳▼田 賢二
小池 正彦
発明の名称 画像入力装置及びそれに用いる画像入力方法  
代理人 ▲柳▼川 信  
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