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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G |
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管理番号 | 1259376 |
審判番号 | 不服2010-23478 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-19 |
確定日 | 2012-07-05 |
事件の表示 | 特願2003-151223「自発光表示装置及び自発光表示用駆動回路」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月16日出願公開、特開2004-354625〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許出願: 平成15年5月28日 手続補正: 平成21年10月5日 拒絶査定: 平成22年7月9日(送達日:同年7月20日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成22年10月19日 手続補正: 平成22年10月19日 拒絶理由通知: 平成24年1月25日(発送日:同年1月31日) (以下、「当審拒絶理由」という。) 手続補正: 平成24年3月30日(以下、「本件補正」という。) 意見書: 平成24年3月30日 2.本願発明 本願の請求項1ないし18に係る発明は、本件補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「自発光素子群が配列されたアクティブマトリクス型自発光パネルと、 前記自発光素子群におけるRごとGごとBごとのグループのガンマ特性を個別に調整してRごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路と、 表示データを該RごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路から生成された階調電圧に変換するデコーダ回路部とを有し、 該デコーダ回路部で変換された階調電圧を前記アクティブマトリクス型自発光パネル上のRごとGごとBごとのグループの信号線へ印加する自発光表示用駆動回路とを備え、 前記RごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路は、階調番号の両端の振幅電圧を調整する振幅調整回路と、 該振幅調整回路から得られる振幅電圧を複数に分圧して各々を調整することにより中間階調番号における電圧を調整して複数の基準階調電圧を生成するカーブ調整回路と、 該カーブ調整回路から得られる複数の基準階調電圧間を複数に細分圧して所望の階調電圧を出力する出力回路とを有し、 前記出力回路において、最低階調電圧から最高階調電圧に向うにつれて前記基準階調電圧間に割り当てる階調番号数を少なくすることを特徴とする自発光表示装置。」(以下、「本願発明」という。) 3. 当審拒絶理由 これに対し、当審拒絶理由の概要は、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-76334号公報(発明の名称:表示装置、出願人:株式会社東芝、公開日:平成15年3月14日、以下、「引用例」という。)に記載された発明、及び本願出願前に頒布された刊行物である特開2002-250908号公報(発明の名称:液晶表示装置及び画像表示応用機器、出願人:松下電器産業株式会社、公開日:平成14年9月6日、以下、「周知例1」という。)に記載されているような周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 4.引用例記載の事項・引用発明 (1)記載事項 引用例には、次の事項(a)ないし(c)が図面とともに記載されている。 (a)「【0009】図1はこの有機EL表示装置の構成を示す。有機EL表示装置は外部回路に接続される有機ELパネル10を有する。この有機ELパネル10は、ガラス等の絶縁基板上で表示部DSを構成するように略マトリクス状に配置される複数の表示画素PX、これら表示画素PXの行に沿って配置される複数の走査線11、これら表示画素PXの列に沿って配置される複数の信号線12、これら走査線11および信号線12の交差位置近傍にそれぞれ配置される複数の画素スイッチ13、表示部DSの外側に配置され複数の走査線11を駆動する走査線ドライバ14、および表示部DSの外側に配置され複数の信号線12を駆動する信号線ドライバ15を備える。各表示画素PXは赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)のいずれかの発光色で発光する自己発光素子として有機EL素子16、一対の電源端子VDD,VSS間でこの有機EL素子16に直列に接続され、例えばPチャネル薄膜トランジスタでなる駆動素子17、およびこの駆動素子17のゲート電圧を保持する容量素子18により構成される。電源端子VDDおよびVSSは外部電源電圧により例えば+12.5Vおよび0Vの電位に設定される。行方向に並ぶ3列の表示画素PXは赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)で発光する3種の有機EL素子16をそれぞれ用いて構成され、発光効率および電流-輝度特性のような発光特性が発光色に依存して互いに異なる。」 (b)「【0010】各画素スイッチ13は例えばNチャネル薄膜トランジスタにより構成され、対応走査線11から供給される走査信号により制御され、対応信号線12に供給される階調電圧を駆動素子17のゲートに印加すると共に、階調電圧を容量素子18に書き込む。駆動素子17はこの階調電圧に応じた駆動電流Idを有機EL素子16に供給する。有機EL素子16は蛍光性有機化合物を含む薄膜である発光層をカソード電極およびアノード電極間に挟持した構造を有し、発光層に電子および正孔を注入しこれらを再結合させることにより励起子を生成させ、この励起子の失活時に生じる光放出により発光する。ここで、例えば画素スイッチ13を構成するNチャネル薄膜トランジスタおよび駆動素子17を構成するPチャネル薄膜トランジスタは、その半導体層に多結晶シリコン膜を用いて構成されている。また、走査線ドライバ14および信号線ドライバ15は、画素スイッチ13および駆動素子17と同一工程で形成される多結晶シリコン膜を用いたNチャネル薄膜トランジスタあるいはPチャネル薄膜トランジスタにより構成され、同一絶縁基板上に一体的に形成される。 【0011】走査線ドライバ14は外部回路から供給される垂直走査制御信号を受け取り、この垂直走査制御信号の制御により1フレーム期間(1F)において順次複数の走査線11に走査信号を供給する。すなわち、各走査線11は互いに異なる1水平走査期間(1H)において走査信号により駆動される。信号線ドライバ15は外部回路から供給されるデジタル映像信号および水平走査制御信号を受け取り、この水平走査制御信号の制御により各水平走査期間においてデジタル映像信号の階調データを順次階調電圧に変換し、これら階調電圧を複数の信号線12に出力する。 【0012】各行の画素スイッチ13は対応走査線11から供給される走査信号により1水平走査期間だけ導通し、走査信号が再び1フレーム期間後に供給されるまで非導通となる。1行分の駆動素子17はこれら画素スイッチ13の導通により複数の信号線12から供給される階調電圧に対応した駆動電流Idを有機EL素子16にそれぞれ供給する。この階調電圧は容量素子18に書き込まれ、映像信号の更新周期である1フレーム期間(1F)毎に更新される。」 (c)「【0013】図2は信号線ドライバ15の構成をさらに詳細に示す。信号線ドライバ15は複数の信号線12を行方向において各々3のn倍(n:自然数)の所定数、例えば6本(n=2)毎に区分して得られる複数の信号線ブロックに対応する複数の信号線12をそれぞれ駆動可能に構成される。すなわち、信号線ドライバ15は、3種の有機EL素子16の発光特性にそれぞれ割り当てられる3つ階調基準電圧群を発生する基準電圧発生部20、奇数番目の信号線ブロックおよび偶数番目の信号線ブロックに対して供給されるデジタル形式の階調データDATA1およびDATA2をそれぞれアナログ形式に変換し、階調電圧として信号線切換回路23Bを介して対応する信号線12に出力する変換出力部21、および基準電圧発生部20により発生される3つの階調基準電圧群の各々を選択し、対応する階調基準電圧群を変換出力部21のD/A変換器24Cに出力する基準電圧群切換回路23Aと、変換出力部21から出力される階調電圧を対応する信号線ブロックの信号線に振り分ける信号線切換回路23Bを含む。 【0014】基準電圧発生部20は赤、緑および青用の階調基準電圧群をそれぞれ発生する電圧発生器20R,20G,20Bを有する。電圧発生器20Rは基準電源端子VRLおよびVRH間に供給される赤用電源電圧を階調データDATA1およびDATA2の階調数mに対応して抵抗分割することにより赤用階調基準電圧群、すなわちm個の基準電圧VR1?VRmを発生する分圧回路である。電圧発生器20Gは基準電源端子VGLおよびVGH間に供給される緑用電源電圧を階調データDATA1およびDATA2の階調数mに対応して抵抗分割することにより緑用階調基準電圧群、すなわちm個の基準電圧VG1?VGmを発生する分圧回路である。基準電圧発生器20Bは基準電源端子VBLおよびVBH間に供給される青用電源電圧を階調データDATA1およびDATA2の階調数mに対応して抵抗分割することにより青用階調基準電圧群、すなわちm個の基準電圧VB1?VBmを発生する分圧回路である。ここで、赤、緑および青用の階調基準電圧群の基準電圧はそれぞれ有機EL素子16間のホワイトバランスおよび階調の乱れを解消するガンマ補正を行うように選定される。」 (2)引用発明 ・前記記載(a)、図1より、 (ア)「略マトリクス状に配置される複数の表示画素PXを備えるアクティブマトリクス型の有機ELパネル10」の技術事項が読み取れる。 ・前記記載(c)、図2より、 (イ)「前記複数の表示画素PXにおける赤、緑、青の列ごとにホワイトバランスおよび階調の乱れを解消するガンマ補正を行うように選定されて赤、緑、青の列ごとに対応する赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を発生する電圧発生器20R、20G、20Bと、デジタル形式の階調データDATAを、該赤、緑、青の列ごとに該電圧発生器20R、20G、20Bから発生された赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を参照して階調電圧に変換するD/A変換器24Cとを有し、該D/A変換器24Cで変換された階調電圧を該アクティブマトリクス型の有機ELパネル10上の赤、緑、青の列の信号線12に印加する有機EL表示装置用の信号線ドライバ15」の技術事項が読み取れる。 以上の技術事項(ア)ないし(イ)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。 「略マトリクス状に配置される複数の表示画素PXを備えるアクティブマトリクス型の有機ELパネル10と、 前記複数の表示画素PXにおける赤、緑、青の列ごとにホワイトバランスおよび階調の乱れを解消するガンマ補正を行うように選定されて赤、緑、青の列ごとに対応する赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を発生する電圧発生器20R、20G、20Bと、 デジタル形式の階調データDATAを、該赤、緑、青の列ごとに該電圧発生器20R、20G、20Bから発生された赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を参照して階調電圧に変換するD/A変換器24Cとを有し、 該D/A変換器24Cで変換された階調電圧を該アクティブマトリクス型の有機ELパネル10上の赤、緑、青の列の信号線12に印加する有機EL表示装置用の信号線ドライバ15とを備える、 有機EL表示装置。」(以下、「引用発明」という。) 5.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 まず、引用発明における、「略マトリクス状に配置される複数の表示画素PXを備えるアクティブマトリクス型の有機ELパネル10」が、本願発明における、「自発光素子群が配列されたアクティブマトリクス型自発光パネル」に相当することは明らかである。 同様に、引用発明における、「複数の表示画素PXにおける赤、緑、青の列ごとにホワイトバランスおよび階調の乱れを解消するガンマ補正を行うように選定されて赤、緑、青の列ごとに対応する赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を発生する電圧発生器20R、20G、20B」は、本願発明における、「自発光素子群におけるRごとGごとBごとのグループのガンマ特性を個別に調整してRごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路」に相当し、引用発明における、「デジタル形式の階調データDATAを、該赤、緑、青の列ごとに該電圧発生器20R、20G、20Bから発生された赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を参照して階調電圧に変換するD/A変換器24C」は、本願発明における、「表示データを該RごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路から生成された階調電圧に変換するデコーダ回路部」に相当し、引用発明における、「D/A変換器24Cで変換された階調電圧を該アクティブマトリクス型の有機ELパネル10上の赤、緑、青の列の信号線12に印加する有機EL表示装置用の信号線ドライバ15」は、本願発明における、「デコーダ回路部で変換された階調電圧を前記アクティブマトリクス型自発光パネル上のRごとGごとBごとのグループの信号線へ印加する自発光表示用駆動回路」に相当することも明らかである。 してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 「自発光素子群が配列されたアクティブマトリクス型自発光パネルと、 前記自発光素子群におけるRごとGごとBごとのグループのガンマ特性を個別に調整してRごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路と、 表示データを該RごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路から生成された階調電圧に変換するデコーダ回路部とを有し、 該デコーダ回路部で変換された階調電圧を前記アクティブマトリクス型自発光パネル上のRごとGごとBごとのグループの信号線へ印加する自発光表示用駆動回路とを備え、 ることを特徴とする自発光表示装置。」 (相違点) RごとGごとBごとのグループのガンマ特性を個別に調整してRごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路に関し、本願発明では、「RごとGごとBごとのグループに対応する階調電圧を生成する階調電圧生成回路は、階調番号の両端の振幅電圧を調整する振幅調整回路と、 該振幅調整回路から得られる振幅電圧を複数に分圧して各々を調整することにより中間階調番号における電圧を調整して複数の基準階調電圧を生成するカーブ調整回路と、 該カーブ調整回路から得られる複数の基準階調電圧間を複数に細分圧して所望の階調電圧を出力する出力回路とを有し、 前記出力回路において、最低階調電圧から最高階調電圧に向うにつれて前記基準階調電圧間に割り当てる階調番号数を少なくする」ものであるのに対し、引用発明では、「赤、緑、青の列ごとにホワイトバランスおよび階調の乱れを解消するガンマ補正を行うように・・・赤用階調基準電圧群、緑用階調基準電圧群、青用階調基準電圧群を発生する」ものにとどまる点 。 6.判断 上記相違点について検討する。 まず、前記周知例1(特開2002-250908号公報)の段落【0007】?【0017】、図16?20や、特開2002-366112号公報(以下、「周知例2」という。)の段落【0022】?【0027】、図3、にも記載されているように、 階調番号の両端の振幅電圧を調整する振幅調整回路と、該振幅調整回路から得られる振幅電圧を複数に分圧して各々を調整することにより中間階調番号における電圧を調整して複数の基準階調電圧を生成するカーブ調整回路と、該カーブ調整回路から得られる複数の基準階調電圧間を複数に細分圧して所望の階調電圧を出力する出力回路とを有する階調電圧生成回路は、周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。また、周知例1の段落【0055】は、ELパネルへの適用に関しても言及している。 次に、周知例1の段落【0012】、【0013】に、「従来のガンマ補正電源回路7Aの構成例を図18に示す。・・・そして信号レベル0の黒から、信号レベル255の白までの計256レベルの内、どの7レベルに基準電圧をあてがうかが重要である。補正効果は、図16のガンマ補正曲線Dの勾配の大きな部分に多く割り当てることで大きくなることが明らかである。例えば信号レベルとして、0(黒)、255(白)の他に、32,64、128、192,240を参照基準レベルに用いる。参照基準レベルに対応する電圧を参照基準電圧、又は単にガンマ補正電圧と呼ぶ。」とあるように、ガンマ補正処理に際して、ガンマ補正曲線の勾配の大きな部分に対して数多くの補正点(基準電圧)を割り当てて補正効果の向上を図ることが従来技術として記載されている。 ここで、ある部分に対して、数多くの補正点(基準電圧)を割り当てるとは、そのある部分に相当する特定数の階調に対して、その他の部分よりも多くの基準電圧が割り当てられるということであり、言い換えると、ある部分の基準電圧一つ当たりの階調の数は、その他の部分よりも少なくなる、ということである。 すなわち、周知例1によれば、ガンマ補正処理に際して、補正曲線の勾配の大きな部分に対して、基準電圧間に割り当てる階調番号数を少なくすることも周知技術(以下、「周知技術2」という。)であるといえる。 したがって、引用発明の有機EL表示装置における階調電圧生成回路として、周知技術1に係る階調電圧生成回路を採用し、また、赤、緑、青の列ごとにホワイトバランスおよび階調の乱れを解消するガンマ補正を行う際に、周知技術2を適用して、補正曲線の勾配の大きな部分に対して基準電圧(基準階調電圧)間に割り当てる階調番号数を少なくすることは、当業者が容易になし得たものといえる。 また、具体的にどのような階調領域において割り当てる階調番号数を少なくするかは、補正対象となる自発光素子の特性等に応じて適宜選択されるべき設計事項に過ぎず、最低階調電圧から最高階調電圧に向うにつれて補正曲線の勾配が大となるような特性を有する自発光素子も一般的なものに過ぎないから、結局のところ、「最低階調電圧から最高階調電圧に向うにつれて前記基準階調電圧間に割り当てる階調番号数を少なくする」ことも、当業者が容易になし得たものである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1,2から当業者が予測可能なものであって、格別のものではない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1,2に基づいて当業者が容易に発明し得たものといえる。 7.請求人の主張について 審判請求人は、前記意見書において、概略、以下のように主張しているので、検討する。 (1)請求人の主張の概要 「・周知文献1(特開2002-250908)の段落[0013]には、以下が示されています。 「信号レベル0の黒から、信号レベル255の白までの計255レベルの内、どの7レベルの基準電圧に割り当てるかが重要である。補正効果は、図16のガンマ補正曲線Dの勾配の大きい部分に多く割り当てることで大きくなることは明らかである。例えば、信号レベルとして、0(黒)、255(白)の他に、32、64、128,192、240(注:240は、224の誤記と思われる)を参照基準レベルに用いる。」 また、段落[0015]には、「その結果を、図20に示す。」と記載されています。 ここで、最低階調電位から最高階調電位に向うにつれて前記基準階調電圧間に割り当てる階調番号数は、段落[0013]より(なお、基準レベルを含まないとし、上述したように240が224の誤記としている)、30個、30個、62個、62個、30個,30個となる。 したがって、この周知文献1に記載の技術思想は、補正後の本願請求項の「最低階調電圧から最高階調電圧に向うにつれて前記基準階調電圧間に割り当てる階調番号数を少なくする」とは異なっています。」 (2)そこで、検討するに、上記「6.判断」で説示したとおり、ガンマ補正処理に際して、補正曲線の勾配の大きな部分に対して数多くの補正点(基準電圧)を割り当てて補正効果の向上を図ること、すなわち、補正曲線の勾配の大きな部分に対して、基準電圧間に割り当てる階調番号数を少なくすることは、周知例1(周知文献1)に示されているように周知技術であり、しかも、具体的にどのような階調領域において割り当てる階調番号数を少なくするかは、設計事項に過ぎない。 したがって、審判請求人の主張は採用できない。 8.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は当審拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-04-25 |
結審通知日 | 2012-05-08 |
審決日 | 2012-05-21 |
出願番号 | 特願2003-151223(P2003-151223) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G09G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 奈良田 新一 |
特許庁審判長 |
飯野 茂 |
特許庁審判官 |
中塚 直樹 森 雅之 |
発明の名称 | 自発光表示装置及び自発光表示用駆動回路 |
代理人 | ポレール特許業務法人 |