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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1259414
審判番号 不服2011-19905  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-14 
確定日 2012-07-05 
事件の表示 特願2007-126779「光放射デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月 9日出願公開、特開2007-201516〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成10年(1998年)5月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年5月27日、ドイツ)を国際出願日とする特願平11-500091号(以下「原出願」という。)の一部を平成18年3月10日に新たな特許出願とした、特願2006-65668号の一部を平成19年5月11日に新たな特許出願としたものであって、平成22年8月30日に手続補正がなされたが、平成23年5月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月14日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成22年8月30日になされた手続補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「少なくとも1つの活性層(3)を含み、エピタキシャルに析出された多重層(2、3、4、5)と、
該多重層(2、3、4、5)の裏側(6)の上に形成された第1の金属コンタクト層(7)と、
ヘテロ基板(9)の表側(8)の上に形成された第2の金属コンタクト層(10)と、
第1の金属コンタクト層(7)と第2の金属コンタクト層(10)との間の電気的および機械的接触を生ずるろう層(11)と
を備え、
ヘテロ基板(9)はシリコンへテロ基板である
ことを特徴とする光放射デバイス。」

3 刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用した、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平6-302857号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の記載がある(下線は、審決で付した。)。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に発光ダイオードに関し、特に発光ダイオードの製造方法に関する。」

(2)「【0024】
【実施例】図1を参照すると、本発明を実施する第1の工程は、複数個のLED層をその上で順次成長させる第1基板として成長基板30を選択することである。好適な実施例では、成長基板30はLED層の製造後に除去される一時的成長基板である。この実施例では、成長基板の電気的、光学的特性は製造されるLEDの動作には関係ないので、成長基板はLED層の成長に影響する特性に関してだけ選択することができる。例えば、格子整合は一般に成長基板を選択する上で配慮される重要な側面である。しかし、実施例によっては成長基板は残されるので、その実施例では成長の適応性以外の特性が重要になる。
【0025】一時的成長基板30の例は厚さが250ないし500μmの範囲内のGaAs基板である。次に四つのLED層32,34,36及び38が成長基板30上で成長される。LED層32-38は液相エピタキシ、気相エピタキシ、金属有機化学蒸着及び分子ビーム・エピタキシを含む多様な公知の方法の何れかを利用して成長させることができる。LED層32-38は二重異質接合LEDを形成するが、本発明はどの種類のLED装置にも利用できる。
【0026】成長基板30の真上のLED層32はn-ドーピングされた緩衝層であるが、成長基板(30)と結合された第2側面ともなる。緩衝層の上方ではn-ドーピングされた下部のAlGaInP密封層が成長される。下部の密封層のLED層34の厚さは例えば800ナノメートルである。
【0027】AlGaInPの能動層となるLED層36は厚さが例えば500ナノメートルまで成長される。次にp-ドーピングされたAlGaInPの上部密封層となるとともに、第1側面ともなるLED層38の模範的な厚さが例えば800ナノメートルである。電流の拡散を促進することによって、LED構造の性能を向上するために、透明で、LED層34,36及び38よりも導電性が高いウインドゥ層をオプションとして上部密封層となるLED層38の上で成長させてもよい。このようなウインドゥ層はフレッチャー(Fletcher)他の米国特許明細書第5,008,718号に記載されている。
【0028】LED層32-38内ではある程度の光吸収性及び電気抵抗率の誤差が許容される。それはこれらの層が充分に薄く、最適な特性を達成するために素子の性能を著しく妥協しなくてもよいからである。しかし、光吸収性の一時的成長基板30は明確に性能に影響を及ぼす。さて、図2を参照すると、成長基板は既に除去され、成長層であるLED層32-38によって形成されたLED構造が残されている。成長基板の除去は、化学エッチング、ラップ研磨/研磨、反応性イオン・エッチング及びイオン摩砕を含むそれらの組み合わせの方法で達成できる。後に詳述するように、成長基板を除去する方法は除去した後で清浄で平坦な表面が現れる限りは限定的なものではない。成長基板に加えて、緩衝層であるLED層32の全部、又は一部を除去し、下部の密封層であるLED層34の一部を除去することができる。
【0029】一時成長基板を除去した後、性能向上基板が図2に示したLED構造40の最下層のLED層32又は最上層のLED層38の何れかに接合される。接合されるべきウェーハの位置はLED構造40、及び成長層32-38及び/又は接合される基板の電気的及び光学的特性に左右される。ウェーハ・ボンディング技術が採用される。ウェーハ・ボンディングによってLEDに性能増強基板を付与する別の方法と比較して多くの利点が得られる。
【0030】図3は透明層として使用され、また永久基板でもある導電性、透光性基板42が緩衝層であるLED層32にウェーハ接合された実施例を示している。ウェーハ・ボンディングには透光性基板を成長させる必要なくてもこれを得られるという利点をもたらす。好ましくはウェーハ接合された導電性、透光性基板42は8ミルを超える厚さを有している。従来の技術を使用してこれに匹敵する厚さを有する基板を成長させることは困難であるか、不可能であり、可能であるにしても極めて長時間を要するであろう。LED構造40の比較的薄い層であるLED層32-38だけを成長させればよいので、エピタキシャル成長に要する時間を劇的に短縮でき、それによって処理量を最大限にすることができる。更に、ウェーハ・ボンディング工程によってエピタキシャル成長される透光性基板と比較して機械的特性が増強された厚い装置が得られる。その結果産出されるLED装置は取扱いが一層容易になり、破損しにくくなるので、製造がより簡単になり、装置の産出量が増大する。ウェーハ・ボンディングは更に装置の底部からp-n接合部を変位するために利用してもよく、それによって従来のように装置を導電性銀含有エポキシに実装する際に装置が短絡回路とする可能性が軽減される。」

(3)「【0034】更に、図1の素子は導電率が低く、装置の電流拡散力が限定される従来形の透光性層の成長基板30を有しているものでもよい。この場合は、導電率がより高い透光性基板をウェーハ接合することが望ましい。導電率が高まると、装置の性能が向上しよう。置き換えの透光性基板が導電率の低い露出したLED層にウェーハ接合される。導電率がより高い置き換えの透光性基板を、導電率が低い透光性層の除去の前又は後にLED構造にウェーハ接合することができよう。
【0035】同様にして、吸収性の一時的成長基板を導電率がより高い吸収性基板と置き換えてもよい。吸収性層を取り付けるためにウェーハ・ボンディングを利用することは好適な本実施例ではないが、このようなウェーハ・ボンディングでもLED素子の性能を同様に向上させるであろう。」

(4)「【0037】図3を再び参照すると、導電性、透光性基板42とLED構造40との間の所望の電気的接続は金属化の実施によって保証することができる。例えば、ウェーハ接合される導電性、透光性基板42の上面に薄い接点領域を形成することができる。対応する接点領域をLED構造の最下層のLED層32に形成することができる。厚さが1000オングストローム未満の接点が好ましい。適正な電気的接点を確保するためには接点のパターンは充分に大きいことが必要であるものの、接点が占める総面積は、LED構造と導電性、透光性基板42との境界面が透光性基板への、又、透光性基板からの光線の透過を可能にするのに充分小さいことが必要である。接点は合金でも、非合金でもよい。そこで基板の表面が最下層のLED層32の表面と接触され、装置は温度を上昇して熱処理される。熱処理によって金属化されない領域でのウェーハ・ボンディングが達成され、金属化された接点での接合がなされる。」

(5)「【0039】さて図8を参照すると、前述のLED構造40はミラー60にウェーハ接合することができる。ミラー60はそこで下方に放射された光線、又は先に反射された内部光線を反射する。反射によって装置の光線出力が高められる。ミラー60は基板62によって好適に支持される。光線は基板に到達する前に反射されるので、基板の光学特性は関係がない。
【0040】ミラー60と基板62はLED構造40にバイアスを加えるために電極を基板に接合できるように、導電性材料から成る必要がある。更にミラーはエピタキシャル成長又は溶着されたブラッグ・リフレクタから成っているものでもよいことに留意されたい。基板62を形成するためにシリコン、GaAs又は同様のある種の材料を使用できる。装置が高温下で、又は高電流下で動作される場合、これらの材料の幾つか、例えばSiは熱伝導率が比較的高いので、これらの材料によって装置を更に向上させることができる。」

4 引用発明
前記3(1)(2)及び(4)によれば、引用刊行物には、次の発明が記載されているものと認められる。
「四つのLED層32,34,36及び38が一時成長基板30上で成長され、一時成長基板30を除去した後、性能向上基板である導電性、透光性基板42が、LED層32-38によって形成されたLED構造40の最下層のLED層32に接合された発光ダイオードであって、導電性、透光性基板42の上面に薄い接点領域を形成するとともに対応する接点領域をLED構造の最下層のLED層32に形成し、導電性、透光性基板42の表面が最下層のLED層32の表面と接触され、熱処理によって金属化されない領域でのウェーハ・ボンディングが達成され、金属化された接点での接合がなされた発光ダイオード。」(以下「引用発明」という。)

5 対比
本願発明と引用発明とを対比するに、引用発明の「LED層32-38によって形成されたLED構造40」、「性能向上基板である導電性、透光性基板42」及び「発光ダイオード」は、それぞれ、本願発明の「少なくとも1つの活性層(3)を含み、エピタキシャルに析出された多重層(2、3、4、5)」、「ヘテロ基板(9)」及び「光放射デバイス」に相当する。
そして、引用発明は、「金属化された接点での接合」がなされるようにするものであるから、引用発明の「『導電性、透光性基板42の上面』に形成した『薄い接点領域』」及び「『LED構造の最下層のLED層32に形成』した『接点領域』」は、それぞれ、本願発明の「ヘテロ基板(9)の表側(8)の上に形成された第2の金属コンタクト層(10)」及び「該多重層(2、3、4、5)の裏側(6)の上に形成された第1の金属コンタクト層(7)」に相当する。
したがって、両者は、
「少なくとも1つの活性層(3)を含み、エピタキシャルに析出された多重層(2、3、4、5)と、該多重層(2、3、4、5)の裏側(6)の上に形成された第1の金属コンタクト層(7)と、ヘテロ基板(9)の表側(8)の上に形成された第2の金属コンタクト層(10)と、を備える光放射デバイス。」
である点で一致し、以下の(1)及び(2)の点で相違するものと認められる。

(1)ヘテロ基板が、本願発明では「シリコンへテロ基板」であるのに対して、引用発明では「導電性、透光性基板42」である点(以下「相違点1」という。)。

(2)本願発明は、「第1の金属コンタクト層(7)と第2の金属コンタクト層(10)との間の電気的および機械的接触を生ずるろう層(11)」を備えるのに対して、引用発明は、ろう層を備えるものであるのかどうか不明である点(以下「相違点2」という。)。

6 判断
(1)相違点1について
前記3(5)によれば、引用刊行物には、ミラー60で光線を反射する場合、基板の光学特性は関係がないことが記載され、この場合に用いられる基板62について、導電性材料からなる必要があること、シリコンが使用できることが記載されているものと認められる。かかる記載によれば、シリコンは光吸収性だが導電性の高い材料とされていることが理解できる。
しかるところ、前記3(3)によれば、引用刊行物には、装置の電流拡散力が限定される従来形の透光性層の一時成長基板30を、導電率がより高い透光性基板に置き換えるのと同様にして、光吸収性の一時的成長基板を導電率がより高い光吸収性基板と置き換えてもよいことが記載されているものと認められる。
してみれば、引用発明の導電性、透光性基板42に代えて、導電率の高い光吸収性基板となるシリコン基板を用いること、すなわち、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことというべきである。

(2)相違点2について
電気接点同士を接続する際に、接点間に電気的および機械的接触を生ずるろう層を形成することは慣用手段であるから、引用発明において「金属化された接点での接合」がなされるようにするために、「第1の金属コンタクト層と第2の金属コンタクト層との間の電気的および機械的接触を生ずるろう層」を備えるようにすること、すなわち、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(3)小括
以上の検討によれば、本願発明は、引用発明及び引用刊行物の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。

7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用刊行物の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-30 
結審通知日 2012-02-03 
審決日 2012-02-16 
出願番号 特願2007-126779(P2007-126779)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 三寛  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 北川 創
江成 克己
発明の名称 光放射デバイス  
代理人 星 公弘  
代理人 篠 良一  
代理人 高橋 佳大  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 二宮 浩康  
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