• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) G06F
管理番号 1259451
審判番号 不服2009-15915  
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-28 
確定日 2012-07-04 
事件の表示 特願2000-523609「幾人かのユーザの間における資源の分担管理用装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月10日国際公開、WO99/28828、平成13年12月11日国内公表、特表2001-525570〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、平成10年11月24日の出願であって、その請求項に係る発明は、特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、平成23年 7月 1日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。なお、上記拒絶理由の内容は次のとおりである。

「[理由]この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号ないし第2号に規定する要件を満たしていない。



(1)請求項1について
(1-1)請求項1記載の「それぞれのユーザの相対的な権利を表現して資源を使用する前記それぞれのユーザの幾つかの分担パラメータ」において、「それぞれのユーザの相対的な権利を表現して資源を使用する」が、日本語として意味不明りょうであって、発明が明確でない。すなわち、「ユーザの相対的な権利を表現して」とは、具体的にユーザの、何に対する権利なのか、また該権利を何との関係でどのように相対的にされているのか、また、前記権利を具体的にどのように「表現して」いるのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、前記「ユーザの相対的な権利を表現して」が、「資源を使用する前記それぞれのユーザの幾つかの分担パラメータ」のどこにどのように係るのか、日本語として不明であり、発明が明確でない。

(1-2)前記「ユーザの幾つかの分担パラメータ」において、「幾つかの分担パラメータ」とは、具体的に、ユーザに対する、何に関するどのようなパラメータを意味するのか、不明であり、発明が明確でない。さらに、「ユーザの幾つかの分担パラメータ」からすると、ユーザが幾つか(すなわち、複数の)分担パラメータを有すると解されるが、発明の詳細な説明のどの記載に対応するのか、不明であり、この点で、発明の詳細な説明に記載したものとは認められない。

(1-3)請求項1記載の「分担パラメータ(Di)の単位毎に受信されたサービス・スライス(Qi)と同等でありそれぞれが各ユーザ(Ui)の前記資源のサービス・スライス(Qi)の割り当てに関して進行可能である前記それぞれのユーザの幾らかの量(Ei)」について、各分節の日本語としての係り受けが不明であり、発明が明確でない。
すなわち、「分担パラメータ(Di)の単位毎に受信された」は、どこに係るのか、「サービス・スライス(Qi)と同等であり」がどこに係るのか、「それぞれが各ユーザ(Ui)の前記資源のサービス・スライス(Qi)の割り当てに関して進行可能である」がどこに係るのか、また、前記「それぞれが」の「それぞれ」とは何に関してそれぞれなのか、また「前記それぞれのユーザの幾らかの量(Ei)」の「前記それぞれ」の「前記」何を指しているのか、また「それぞれ」とは何に関してそれぞれなのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「分担パラメータ(Di)の単位」、「サービス・スライス(Qi)」、及び「ユーザの幾らかの量(Ei)」が具体的にどのような関係にあるのか、不明であり、発明が明確でない。

(1-4)さらに、「分担パラメータ(Di)の単位毎に受信された」について、「分担パラメータ(Di)の単位」とは、具体的に、何に関するどのような単位を意味するのか、不明であり、さらに、「分担パラメータ(Di)の単位毎に」何を、どこから、どこにどのように受信するのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、前記「サービス・スライス(Qi)と同等であり」について、何が、何と同等であるのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「各ユーザ(Ui)の前記資源のサービス・スライス(Qi)の割り当て」の「前記資源」とはどの資源を意味するのか、不明であり、「前記資源のサービス・スライス(Qi)の割り当て」が、どこから、何に対してどのように割り当てられるのか、不明であるとともに、前記「サービス・スライス(Qi)と同等であり」との関係が不明であり、発明が明確でない。
さらに、「割り当てに関して進行可能である前記それぞれのユーザの幾らかの量(Ei)」における「進行可能」とは、具体的に何がどのように進行するのか、その進行の態様が不明であるとともに、「進行可能である」とは、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、具体的に何が、どのように、「進行可能である」ように、どのように構成されるのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「それぞれのユーザの幾らかの量(Ei)」とは、何に関する量を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。さらに、「幾らかの量」とは、どの程度の量(量の大きさ)を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。

(1-5)さらに、請求項1には、「最小進行量(Ei)」は、(Qi)/(Di)に同等である旨、「比(Qi)/(Di)に同等な増分量(dEi)」であると記載されている。そうすると、最小進行量(Ei)と増分量(dEi)とは、同じ量であって差異はないことになるが、発明の詳細な説明のどの記載に対応するのか、不明であり、この点で、発明の詳細な説明に記載したものとは認められない。

(1-6)請求項1記載の「最小進行量(Ei)を所有するように、資源の選択されたサービス・スライス(Qi)を、選択ユーザ(uS)に割り当て、その後に、比(Qi)/(Di)に同等な増分量(dEi)に従ってこの選択ユーザ(uS)の前記量(Ei)を進行させるための決定手段」において、「最小進行量(Ei)」とは、具体的に、何に関する量を意味するのか、また「最小進行」とは、具体的に何に関する量のどのように最小である態様を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、誰が、「最小進行量(Ei)を所有する」のか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「最小進行量(Ei)」と「資源の選択されたサービス・スライス(Qi)」との関係が不明であり、発明が明確でない。また、「最小進行量(Ei)を所有するように、資源の選択されたサービス・スライス(Qi)を、選択ユーザ(uS)に割り当て、」とは、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、具体的にどのようにして、「最小進行量(Ei)を所有するように」割り当てるのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「選択ユーザ」とは、何がいつどのように選択したのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「その後に、比(Qi)/(Di)に同等な増分量(dEi)に従ってこの選択ユーザ(uS)の前記量(Ei)を進行させる」とは、具体的に前記選択ユーザに割り当てられた資源の選択されたサービス・スライス(Qi)を、その後どのように割り当てるのか、その態様が不明であり、発明が明確でない。
さらに「比(Qi)/(Di)」が、具体的に何と何とのいつ時点の比を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。すなわち、「(Qi)」及び「(Di)」は、それぞれ、「分担パラメータ(Di)の単位毎に受信されたサービス・スライス(Qi)」における「サービス・スライス」及び「分担パラメータ」を意味すると解されるが、そもそも、(1-3)で指摘したように「「分担パラメータ(Di)の単位毎に受信されたサービス・スライス(Qi)」について、「分担パラメータ(Di)の単位」とは、具体的に、何に関するどのような単位を意味するのか、不明であり、さらに、「サービス・スライス(Qi)」について、どこから送信されて、どこにどのように受信するのか、」不明であるから、「比(Qi)/(Di)」が、具体的に何と何とのいつ時点の比を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「増分量(dEi)に従ってこの選択ユーザ(uS)の前記量(Ei)を進行させる」とは、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、具体的にどのようにして、選択ユーザ(uS)の前記量(Ei)を進行させるのか、不明であるとともに、選択ユーザ(uS)の前記量(Ei)はどのように進行するのか、時間との関係も不明であり、発明が明確でない。
さらに前記「決定手段」は、具体的に何をどのように決定するのか、その決定内容が不明であり、発明が明確でない。

(1-7)請求項1記載の「待ち行列の先頭での識別子が、この待ち行列内での最小進行量(Ei)を有するユーザを常に指名するように、分担パラメータ(Di)及び量(Ei)と、各ユーザ識別子(ui)とを結び付け、「先入れ先出し」(FIFO)タイプのユーザ待ち行列を定義するためのメモリ・リンク手段(5)」について「待ち行列の先頭での識別子が、この待ち行列内での最小進行量(Ei)を有するユーザを常に指名するように」とは、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、具体的にどのようにして、待ち行列の先頭での識別子が、この待ち行列内での最小進行量(Ei)を有するユーザを常に指名するようにするのか、その具体的な構成が不明であり、発明が明確でない。
さらに、「分担パラメータ(Di)及び量(Ei)と、各ユーザ識別子(ui)とを結び付け」とは、具体的にどのようにして、結びつけているのか、そのための具体的な構成が不明であり、発明が明確でない。なお、前記「量(Ei)」は、進行(時間)によって変化する量であると推定されるが、「進行」(時間)との結びつけをどのようにしているのか、不明であり、発明が明確でない。

(1-8)請求項1記載の「ワークメモリ(3)が前記ユーザ待ち行列の領域内で増分量(P(c))の値の制限数を更に記憶可能であり、前記増分量(P(c))の値の各一つがクラス(c)を特徴付け、」について、「増分量(P(c))の値の制限数」とは、前記ユーザ待ち行列のどのユーザ識別子に対する「増分量(P(c))の値」の「制限数」を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、前記「増分量(P(c))」と請求項1記載の「比(Qi)/(Di)に同等な増分量(dEi)」との関係が不明であり、発明が明確でない。
さらに、「前記増分量(P(c))の値の各一つ」の「各一つ」が、何を意味するのか、「増分量(P(c))の値」がどのように構成されているのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「クラス(c)」とは具体的にどのようなクラスを意味するのか、不明であり、発明が明確でない。また、「クラス(c)」と前記ユーザ待ち行列のユーザ識別子との関係も不明であり、発明が明確でない。

(1-9)請求項1記載の「メモリ・リンク手段(5)が、これらの増分量(P(c))の値のうちの一つと各ユーザとを結び付けてユーザの前記増分量(dEi)を前記増分量(P(c))の値と等しくするようにする」について、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、メモリ・リンク手段は、どのようにして、増分量(P(c))の値のうちの一つと各ユーザとを結び付けてユーザの前記増分量(dEi)(=「比(Qi)/(Di)」)を前記増分量(P(c))の値と等しくするようにするのか、その具体的な構成が不明であり、発明が明確でない。
さらに、「増分量(P(c))の値のうちの一つ」と、どのユーザとをどのように結び付けるのか、「増分量(P(c))の値のうちの一つ」と前記ユーザ待ち行列のユーザ識別子との関係も不明であり、発明が明確でない。
また、前記ユーザ待ち行列のユーザ識別子のユーザの前記増分量(dEi)(=「比(Qi)/(Di)」)を具体的にどのようにして、「前記増分量(P(c))の値」と「等しくするようにする」のか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「これらの増分量(P(c))の値のうちの一つ」と「ユーザの前記増分量(dEi)」と「前記増分量(P(c))の値」とが、それぞれ、どのような関係にあるのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、請求項1の「これらの増分量(P(c))の値のうちの一つと各ユーザとを結び付けてユーザの前記増分量(dEi)を前記増分量(P(c))の値と等しくするようにする」は、当該「等しくするようにする」が発明の詳細な説明のどの記載と対応するのか、不明であり、この点で、発明の詳細な説明に記載したものとは認められない。

(1-10)請求項1には、「進行可能である」「最小進行量(Ei)を所有するように」「進行させるための」「最小進行量(Ei)を有するユーザを常に指名するように」といった「進行」について希望的な事項が記載されているが、前記「進行」とは、何がどのように進行することを意味するのか、何がどのようにして、「進行」を行うのか、その具体的な構成が不明であり、発明が明確でない。

(1-11)明細書には、例えば、付録IIの行(11)(12)または付録IIIに、割り付け処理が実質的に時間内のバーチャルポイントの更新(V←V+pV)までを繰り返しの単位として当該全量Vを基に増分量(時間が経過を前提として全量Vは見込める)をユーザへ割り付けがされる旨開示されている。
そして、明細書には、このような全量Vの進行を基本の要件としない分担管理装置の開示はされていない。したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

(2)請求項2について
(2-1)請求項2は請求項1を引用しているので、前記「(1)請求項1について」において言及したことと同様のことが指摘される。

(2-2)請求項2記載の「ユーザの量(Ei)として同じ単位でバーチャルタイムを表現する全量(V)」について、「全量」が具体的に何を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。
すなわち、「全量」とは何に関する全量なのか、不明である。「全量」と「ユーザの量(Ei)」との関係が不明である。また、「同じ単位」とは、具体的にどのような単位を意味して、何と何とが「同じ単位」なのか、不明である。また、「バーチャルタイム」とは、具体的に何を意味するのか、不明であり、また資源との関係も不明である。

(2-3)請求項2記載の「前記決定手段(6)は、前記資源の各割当に際し、ユーザ(ui)に渡っての通常の前記分担パラメータ(Di)の合計に対して割り当てられた前記サービス・スライス(Qi)の比に同等とすることで選択された全増分量(pV)に従って全量(V)を進行させて…」について、「ユーザ(ui)に渡っての通常の前記分担パラメータ(Di)の合計」とは、具体的に何を意味するのか、さらに、「通常の」が意味する内容が不明であり、発明が明確でない。また、発明の詳細な説明のどの記載と具体的に対応するのか、不明であり、この点で、発明の詳細な説明に記載したものでない。
さらに、「ユーザ(ui)に渡っての通常の前記分担パラメータ(Di)の合計に対して割り当てられた前記サービス・スライス(Qi)の比」とは、具体的にどのような比率を意味するのか、不明であるとともに、請求項1記載の「比(Qi)/(Di)」との関係も不明であり、発明が明確でない。
さらに、「ユーザ(ui)に渡っての通常の前記分担パラメータ(Di)の合計に対して割り当てられた前記サービス・スライス(Qi)の比に同等とする」において、何を「ユーザ(ui)に渡っての通常の前記分担パラメータ(Di)の合計に対して割り当てられた前記サービス・スライス(Qi)の比」と同等にするのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、「選択された全増分量(pV)」とは、何がどのように選択したのか、不明であるとともに、「全増分量(pV)」とは、何に関する全増分量なのか、不明であり、発明が明確でない。
また、請求項1記載の「比(Qi)/(Di)に同等な増分量(dEi)に従ってこの選択ユーザ(uS)の前記量(Ei)を進行させる」ことと、前記「ユーザ(ui)に渡っての通常の前記分担パラメータ(Di)の合計に対して割り当てられた前記サービス・スライス(Qi)の比に同等とすることで選択された全増分量(pV)に従って全量(V)を進行させ」ることとの関係が不明であり、発明が明確でない。

(2-4)請求項2記載の「全量(V)がユーザ(ui)の量(Ei )より少ない進行であれば」について、「全量(V)がユーザ(ui)の量(Ei )より少ない進行」とは、具体的にどのような態様を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、請求項2には「・・・少ない進行であれば・・・」と記載されているが、少ない進行でない場合の制御の流れも不明であり、発明が明確でない。

(3)請求項3について
(3-1)請求項3は請求項1を引用しているので、前記「(1)請求項1について」において言及したことと同様のことが指摘される。

(3-2)請求項3記載の「(FIFO)「待ち行列」領域が各待ち行列に対して待ち行列増分量(P(c))と、先頭ユーザ(u(c))の識別子とを有し」について、「各待ち行列」とあることからすると、「待ち行列」領域には、複数個の待ち行列が存在することが示唆される。しかしながら、請求項1記載の「待ち行列」は、複数個存在することは記載も示唆もなく、請求項3記載の「各待ち行列」とは、どのような待ち行列を意味するのか、不明であるとともに、請求項1記載の「待ち行列」との関係も不明であり、発明が明確でない。また、請求項1記載の「クラス(c)」との関係も不明であり、発明が明確でない。
さらに、「待ち行列増分量(P(c))」とは、具体的に何に関するどのような増分量を意味するのか、不明であるとともに、請求項1記載の「ユーザ待ち行列の領域内で増分量(P(c))の値の制限数」との関係も不明であり、発明が明確でない。

(3-3)請求項3記載の「「ユーザ」領域が、各ユーザに対してその識別子(u)と、分担パラメータ(D(u))と、待ち行列アイテム(nd(u))の終わりとを有する」において、「待ち行列アイテム(nd(u))の終わり」とは、具体的に各ユーザのどのようなアイテムを意味するのか、不明であり、発明が明確でない。

(4)請求項4について
(4-1)請求項4は請求項1を引用しているので、前記「(1)請求項1について」において言及したことと同様のことが指摘される。

(4-2)請求項4記載の「それが入力/出力リンク(4)を有し」の「それ」とは、何を指すのか、不明であり、発明が明確でない。

(4-3)請求項4記載の「入力/出力リンク(4)が前記資源の前記サービス・スライス(Qi)をリクエストするユーザ(a(u)=トゥルー)と、前記資源のリクエストしないユーザ(a(u)=フォールス)とを区別するために設けられた」とは、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、具体的に「入力/出力リンク(4)」は、どのようにして、リクエストするユーザ(a(u)=トゥルー)と、前記資源のリクエストしないユーザ(a(u)=フォールス)とを区別するのか、その具体的な構成が不明であり、発明が明確でない。

(5)請求項5について
(5-1)請求項5は、請求項4を引用しているので、前記「(4)請求項4について」において言及したことと同様のことが指摘される。

(5-2)請求項5記載の「メモリ・リンク手段(5)が、前記入力/出力リンク(4)に協働するために、そして、新たにリクエストしたユーザ(tfs=「新しく」)と、以前にリクエストしたユーザ(tfs=「以前に」)との明確な待ち行列を定義するために更に設けられた」とは、実現すべき機能の単なる願望を記載したに過ぎず、具体的に「メモリ・リンク手段(5)」は、どのようにして、新たにリクエストしたユーザ(tfs=「新しく」)と、以前にリクエストしたユーザ(tfs=「以前に」)との明確な待ち行列を定義するのか、その具体的な構成が不明であり、発明が明確でない。

(5-3)さらに、請求項5記載の「メモリ・リンク手段(5)が、…更に設けられた」からすると、請求項5記載の「メモリ・リンク手段」は、請求項1記載の発明に対して、更に設けられたと解される。
してみると、請求項5記載の「メモリ・リンク手段(5)」と請求項1記載の「待ち行列の先頭での識別子が、この待ち行列内での最小進行量(Ei)を有するユーザを常に指名するように、分担パラメータ(Di)及び量(Ei)と、各ユーザ識別子(ui)とを結び付け、「先入れ先出し」(FIFO)タイプのユーザ待ち行列を定義するためのメモリ・リンク手段(5)」との関係が不明であり、発明が明確でない。

(5-4)さらに、請求項5記載の「メモリ・リンク手段(5)」と請求項1記載の「メモリ・リンク手段(5)」とが同じものであると仮定した場合であっても、「新たにリクエストしたユーザ(tfs=「新しく」)と、以前にリクエストしたユーザ(tfs=「以前に」)との明確な待ち行列」とは、具体的にどのような構成をした待ち行列を意味するのか、不明であり、発明が明確でない。
また、「明確な待ち行列」の「明確な」とは、「待ち行列」が具体的にどのように明確であるのか、不明であり、発明が明確でない。
さらに、請求項1記載の「分担パラメータ(Di)及び量(Ei)と、各ユーザ識別子(ui)とを結び付け、「先入れ先出し」(FIFO)タイプのユーザ待ち行列」に対して、具体的にどのような構成を追加することで、「新たにリクエストしたユーザ(tfs=「新しく」)と、以前にリクエストしたユーザ(tfs=「以前に」)との明確な待ち行列」としたのか、不明であり、発明が明確でない。」

そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-03 
結審通知日 2012-02-07 
審決日 2012-02-20 
出願番号 特願2000-523609(P2000-523609)
審決分類 P 1 8・ 537- WZF (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 修治  
特許庁審判長 赤川 誠一
特許庁審判官 石井 茂和
田中 秀人
発明の名称 幾人かのユーザの間における資源の分担管理用装置  
代理人 筒井 大和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ