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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1259458 |
審判番号 | 不服2010-9635 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-05-06 |
確定日 | 2012-07-04 |
事件の表示 | 特願2007-550314「移動通信端末機における向上した発信のための装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月22日国際公開、WO2007/032620、平成20年 7月24日国内公表、特表2008-527840〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2006年9月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年9月13日、大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成21年7月3日付けで拒絶理由が通知され、同年10月13日付けで手続補正されたが、同年12月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年5月6日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正されたものである。 第2 本願発明 特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年5月6日付けで手続補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「移動通信端末機における発信(calling)番号に先立ってコードを追加するための方法であって、 表示された発信番号に先立ってコードリストから追加するコードを選択する段階と、 前記表示された発信番号に先立って前記選択されたコードを追加する段階と、 前記コードを選択する段階以前に、前記記憶された発信番号を選択する場合にコード追加モードを選択する段階と、を有し、 前記コード追加モードを選択する段階は、 前記コード追加モードでコード追加メニューを表示する段階と、 前記コード追加メニューからコード追加記憶メニューが選択された場合に、コード入力ウィンドウを表示する段階と、 前記コードリストにコードを追加する段階と からなる前記コードリストを更新する段階をさらに有し、 前記コードは、インフォモバイル(Info-Mobile)サービスのためのサービスコード、国際電話サービスのための国家コード、市外電話サービスのための地域コード、ローミング(roaming)サービスコード、及びモバイルクーポンコードのうちいずれか一つであることを特徴とする方法。」 第3 引用発明 原審の拒絶理由に引用された特開2005-184650号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【技術分野】 【0001】 この発明は携帯電話機に関し、特に、複数の国において使用可能な携帯電話機に関する。」(2頁) ロ.「【0038】 図6は、実施の形態1の携帯電話機の動作を説明するためのフローチャートである。 【0039】 図7は、図6のフローチャートに対応する表示部の変化を説明するための図である。 【0040】 図6、図7を参照して、国番号付加処理について説明する。国番号付加処理がスタートすると、まずステップS101において、手入力もしくはメモリダイアル(電話帳)から選択された電話番号が入力される。電話番号の入力後には表示部9の表示が画面P101のようになる。画面P101では、決定キー25が国番号キーとして割当てられていることが示されている。 【0041】 続いて、ステップS102においてキー入力待ちとなっている携帯電話にキーの入力が行なわれ、ステップS103において入力されたキーがどのようなキーであるかの判別が行なわれる。ステップS103において国番号キーが押されていると判別された場合にはステップS104に進む。一方、発信キー23が押された場合にはステップS120に進み発信処理が行なわれる。 【0042】 国番号キーが押されステップS104に進んだ場合には、入力された電話番号の先頭が「+」か否かが判断される。電話番号の先頭が「+」である場合には、この電話番号は、GSM圏において国際電話(たとえばイギリスからフランスへ)を行なうためのものとして登録されたものである場合であるので、「+」の後には国番号が続くものと推定される。したがって先頭が「+」の場合には国番号は付加する必要が無いので、ステップS105に進み表示部9にはエラーメッセージの表示が行なわれる。そして、再びステップS102のキー入力待ち状態となる。 【0043】 一方、ステップS104において先頭が「+」でない場合には、ステップS106において国番号リストが選択されたか否かの判断が行なわれる。この場合には表示部9は、画面P102に示す状態となる。カーソルキー21と決定キー25を操作して画面の「リスト」の表示が選択された場合には、ステップS107に進み、予め登録されたリストから国番号を選択することが可能となる。この場合には表示部9は画面P103に示す状態になる。この場合に表示部には候補番号01?09と対応する国名が表示され、この国名の中からユーザは国際電話をかけたい国を選択することができる。 【0044】 図8は、図1のメモリ11に予め保存された国番号テーブルを示す図である。 【0045】 図8に示すように、候補番号01?09にそれぞれ対応して、国名が日本、イギリス、イタリア、スイス、スペイン、ドイツ、ポルトガル、オランダおよびフランスのように登録されており、これらの国名にそれぞれ対応する国番号が「81」,「44」,「39」,「41」,「34」,「49」,「351」,「31」,「33」というふうに登録されている。これらの国名に関連付けられた国番号は、図1のメモリ11の登録情報を格納する領域17に予め保存されている。 【0046】 再び図6、図7を参照して、画面P103において、たとえば候補02のイギリスがカーソルキー21によって選択され反転表示され、決定キー25が押された場合には、ステップS109に進み付加する国番号が決定する。この場合、付加する国番号は44となる。 【0047】 一方、ステップS106において国番号リストの選択をユーザが行なわなかった場合には、直接国番号を入力することができる。たとえばイギリスの場合であれば数字キー20を使用して「44」のように入力する。入力後には表示部9は画面P104に示す状態となる。ステップS109において決定キーが押されると、ステップS110に進み、画面P101に表示されていた電話番号の先頭に「+」と国番号が付加され、表示部は画面P105に示す状態となる。その際に、電話番号の先頭が「0」であるときには、先頭の「0」が削除されてから「+」と国番号が付加される。ただし、国番号が特定の国たとえばイタリアの国番号である場合には先頭の「0」は削除せずそのまま「+」と国番号が付加される。先頭の「0」の削除を行なうか否かは各国によって異なるので、対応する情報が予めメモリ11に登録され、これを参照してステップS110の処理が行なわれる。 【0048】 そして、発信キー23を押す等して発信の開始を指示することによりステップS120において発信処理が行なわれる。発信処理における表示部9は画面P106のように表示される。 【0049】 この際に、後に実施の形態4で説明する国際コード自動付加モードがオンであった場合には、先頭の「+」が事業者番号と国際プリフィックス番号に変換され、画面はP107に示すようになる。 【0050】 以上説明したように、実施の形態1では、ユーザが国番号をいちいち記憶していなくても、登録済みの電話番号または手入力された電話番号に容易に国番号を付加できるので、ユーザは国際電話を簡単にかけることができる。」(6?8頁) ハ.「【0082】 図15、図16を参照して、登録処理においては、まずステップS401において国際自動付加モードを選択するか否かを設定する。画面P401、P402に示されるようにカーソルキーを操作してオンかオフかを切換え、そして、決定キーを押すことによりモードが決定される。ここで国際コード自動付加モードがオフに設定された場合には、ステップS404に進み、画面P403に示されるような「OFFに設定しました」という表示が行なわれる。 【0083】 そして、いずれかのキーを押すと通常画面P407に戻り処理は終了する。通常画面P407の例として図16には、時間と日付を表示する画面が示されている。 【0084】 一方、ステップS401において画面P402に示されるように国際コード自動付加モードがオンに設定されるとステップS402に進む。ステップS402では、画面P404のように国際コードを入力することができる状態となる。 【0085】 この場合、国際コードとして事業者コードに対応する「0046」と国際プレフィックス番号「010」とが入力されている。この入力は10桁以内で許容され、10桁を超えて入力があった場合には、エラー音が鳴動する。 【0086】 そして必要な桁数の入力が終了すると決定キーが押されることにより、ステップS403に進み画面P406のような登録完了表示が表示部に表示される。そしていずれかのキーを押すと通常画面P407の表示となる。ここでステップS402において入力が所定時間全くない場合には、画面P405のような入力を促す表示を行ない再び入力待ちとなるようにしてもよい。」(10?11頁) 上記引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ロ.の【0040】における「国番号付加処理がスタートすると、まずステップS101において、手入力もしくはメモリダイアル(電話帳)から選択された電話番号が入力される。電話番号の入力後には表示部9の表示が画面P101のようになる。画面P101では、決定キー25が国番号キーとして割当てられていることが示されている。」との記載、図6及び図7によれば、国番号付加処理は、メモリダイアル(電話帳)から選択された電話番号が入力され、電話番号が表示されている(図7、P101)。そして、上記摘記事項ロ.の【0043】における「この場合には表示部9は、画面P102に示す状態となる。カーソルキー21と決定キー25を操作して画面の「リスト」の表示が選択された場合には、ステップS107に進み、予め登録されたリストから国番号を選択することが可能となる。この場合には表示部9は画面P103に示す状態になる。この場合に表示部には候補番号01?09と対応する国名が表示され、この国名の中からユーザは国際電話をかけたい国を選択することができる。」との記載、図6及び図7によれば、国番号付加処理は、電話番号の先頭に、国番号リストから付加する国番号を選択している。すなわち、(α)国番号付加処理は、表示された電話番号に先立って国番号リストから付加する国番号を選択している。 また、上記摘記事項ロ.の【0047】における「ステップS109において決定キーが押されると、ステップS110に進み、画面P101に表示されていた電話番号の先頭に「+」と国番号が付加され、表示部は画面P105に示す状態となる。その際に、電話番号の先頭が「0」であるときには、先頭の「0」が削除されてから「+」と国番号が付加される。」との記載、図6及び図7によれば、(β)国番号付加処理は、前述の表示された電話番号に先立って前述の選択された国番号を付加している。 また、前述の国番号は、国際電話サービスのための国番号ということができる。 また、上記(α)及び(β)を纏めると、前述の国番号付加処理は、携帯電話機における電話番号に先立って国番号を付加するための方法ということができる。 したがって、上記(α)及び(β)をステップとして纏めると、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「携帯電話機における電話番号に先立って国番号を付加するための方法であって、 表示された電話番号に先立って国番号リストから付加する国番号を選択するステップと、 前記表示された電話番号に先立って前記選択された国番号を付加するステップと、を有し、 前記国番号は、国際電話サービスのための国番号である方法。」 第4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 a.引用発明の「携帯電話機」及び「電話番号」は、本願発明の「移動通信端末機」及び「発信(calling)番号」にそれぞれ相当する。 b.引用発明の「付加」は、「追加」と同義である。 c.引用発明の「国番号」は、本願発明の「コード」に含まれる。 d.引用発明の「国番号リスト」は、上記c.の対比を考慮すると、「コードリスト」ということができる。 e.引用発明の「国際電話サービスのための国番号」は、本願発明の「インフォモバイル(Info-Mobile)サービスのためのサービスコード、国際電話サービスのための国家コード、市外電話サービスのための地域コード、ローミング(roaming)サービスコード、及びモバイルクーポンコードのうちいずれか一つ」に含まれる。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「移動通信端末機における発信番号に先立ってコードを追加するための方法であって、 表示された発信番号に先立ってコードリストから追加するコードを選択する段階と、 前記表示された発信番号に先立って前記選択されたコードを追加する段階と、を有し、 前記コードは、インフォモバイルサービスのためのサービスコード、国際電話サービスのための国家コード、市外電話サービスのための地域コード、ローミングサービスコード、及びモバイルクーポンコードのうちいずれか一つである方法。」 <相違点1> 本願発明は、「前記コードを選択する段階以前に、前記記憶された発信番号を選択する場合にコード追加モードを選択する段階を有す」るのに対し、引用発明は、その様な構成を備えていない点。 <相違点2> 本願発明は、「前記コード追加モードを選択する段階は、前記コード追加モードでコード追加メニューを表示する段階と、前記コード追加メニューからコード追加記憶メニューが選択された場合に、コード入力ウィンドウを表示する段階と、前記コードリストにコードを追加する段階とからなる前記コードリストを更新する段階をさらに有す」るのに対し、引用発明は、その様な構成を備えていない点。 第5 判断 そこで、まず、上記相違点1について検討する。 上記引用例の上記摘記事項ハ.の【0082】?【0086】には、登録処理、すなわち、コード付加(追加)モードが示されており、また、移動通信端末機において、コードを選択する段階以前に、コード追加モードを選択することは、例えば、原審の拒絶理由に引用された特開平10-164209号公報(段落23、24、図2、3)、特開2001-61000号公報(段落62、63、図11、12)に開示されるように周知であるから、本願発明のように「前記コードを選択する段階以前に、コード追加モードを選択する段階を有す」ることは当業者が容易に成し得ることである。また、その際、引用発明の「電話番号」(発信(calling)番号)は、メモリダイアル(電話帳)に記憶され選択されるものであるから、本願発明のように「前記記憶された発信番号を選択する場合に」することは適宜成し得ることである。 次に、上記相違点2について検討する。 移動通信端末機において、コード追加モードを選択する方法が、コード入力ウィンドウを表示する段階及びコードリストにコードを追加する段階からなるコードリストを更新する段階を有することは、例えば、前述の原審の拒絶理由に引用された特開平10-164209号公報(段落20?23、28、図2)、特開2000-4283号公報(段落31?35、図3、4)に開示されるように周知であり、また、移動通信端末機において、ユーザが情報を入力する場合のユーザインターフェースとして、メニューを表示し、当該メニューから特定の選択肢(メニュー)を選択することは、常套手段であるから、本願発明のように「前記コード追加モードを選択する段階は、前記コード追加モードでコード追加メニューを表示する段階と、前記コード追加メニューからコード追加記憶メニューが選択された場合に、コード入力ウィンドウを表示する段階と、前記コードリストにコードを追加する段階とからなる前記コードリストを更新する段階をさらに有す」ることは当業者が容易に成し得ることである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-01 |
結審通知日 | 2012-02-07 |
審決日 | 2012-02-21 |
出願番号 | 特願2007-550314(P2007-550314) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山岸 登 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
宮田 繁仁 萩原 義則 |
発明の名称 | 移動通信端末機における向上した発信のための装置及び方法 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 渡邊 隆 |