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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C01F
管理番号 1259963
審判番号 無効2009-800223  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-10-28 
確定日 2012-06-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4202838号「無水石膏の製造方法」の特許無効審判事件についてされた平成22年6月15日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10234号平成23年3月23日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4202838号の請求項に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第4202838号についての手続の概要は以下のとおりである。
平成15年6月25日 特許出願
平成20年10月17日 特許権の設定登録
平成21年10月28日 特許無効審判の請求
平成22年1月22日 答弁書及び訂正請求書提出
平成22年4月22日 口頭審理(口頭審理陳述要領書提出)
平成22年6月15日 審決
無効とすることはできない
平成23年3月23日 判決(平成22年(行ケ)第10234号)
審決を取り消す
平成23年4月12日 訂正請求申立書提出
平成23年5月18日 訂正請求書提出
平成23年5月23日 手続補正書提出
平成23年9月27日 弁駁書提出

2.訂正の適否についての判断
平成23年5月23日付け手続補正書により補正された同年5月18日付け訂正請求書に添付した訂正明細書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりであり、該手続補正書の特許請求の範囲の記載と該訂正明細書の特許請求の範囲の記載は同じである。
なお、平成22年1月22日付け訂正請求は、特許法第134条の2第4項の規定により取り下げられたものとみなす。

(2-1)訂正の内容
◇訂正事項a
特許請求の範囲の記載を
「【請求項1】 内筒の内部で燃料を燃焼させて該内筒の下部の開口部から燃焼ガスを噴出させ、前記内筒を囲繞し、下部が逆円錐状に形成された本体にナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材を供給し、該本体の内部で該石膏廃材を、該本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で加熱しながら、前記燃焼ガスによって流動化させ、生じたII型無水石膏を前記本体の内部から外部に排出し、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95%質量以上の製品を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
【請求項2】 削除
【請求項2】 前記集塵を2段階で行い、前段の集塵を集塵効率90%以上のサイクロンで行うことを特徴とする請求項1に記載の無水石膏の製造方法。
【請求項3】 前記前段の集塵を行うサイクロンを、前記無水石膏焼成炉の直上に配置し、該サイクロンにて集塵したダストを輸送機を介さずに直接該無水石膏焼成炉に戻すことを特徴とする請求項2に記載の無水石膏の製造方法。
【請求項5】 削除 」に訂正する。(下線部は、被請求人が付与したものである。)

◇訂正事項b
発明の名称を「無水石膏の製造方法」に訂正する。

(2-2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
◇訂正事項aについて
訂正事項aは、詳述すれば(i)?(vi)の訂正事項からなる。
(i)請求項1について、「石膏廃材を供給し」とあるのを「ナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材を供給し」に訂正する。

(ii)請求項1について、「該本体の内部で該石膏廃材を330℃以上840℃以下に加熱しながら」とあるのを「該本体の内部で該石膏廃材を、該本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように加熱しながら」に訂正する。

(iii)請求項1について、「生じた無水石膏を」とあるのを「生じたII型無水石膏を」に訂正する。

(iv)請求項1について、「外部に排出する」とあるのを「外部に排出し、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95%質量以上の製品を得る」に訂正する。

(v)請求項2、5を削除する。

(vi)請求項2を削除することにより、訂正前の請求項3、4の項順を順次繰り上げると共に、従属する請求項の項番を訂正する。

上記(i)?(vi)の訂正事項についてそれぞれ検討する。
(i)の訂正事項は、供給する「石膏廃材」について、「ナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書には、
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原料に石膏廃材を用いて無水石膏を製造する場合には、従来のロータリーキルン等を用いて焼成すると、局所的に過剰に加熱される部分が生じ、石膏廃材に高性能減水剤として混和されているナフタレンスルホン酸基が分解されて硫黄酸化物が発生するおそれがあるという問題があった。また、石膏自体も、1000℃以上に加熱すると、石膏が熱分解して大量に硫黄酸化物が発生するおそれがあるという問題があった。」
「【0011】
本発明にかかる無水石膏の製造方法は、粉粒体を流動化状態として、高温の燃焼ガスを接触させて加熱する間接加熱方式を採用し、粉粒体層は完全混合状態となり、全体として略々均一な温度となり、局所的に過剰に加熱されることはないため、原料としての石膏廃材粉末が、石膏自体の分解温度(1000℃以上)や、混和剤として含有されるナフタレンスルホン酸基の分解温度(850℃以上)に加熱されることを避けることができる。これによって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができる。ここで、石膏廃材粉末による粉粒体層温度を330℃?840℃に制御し、20分以上の滞留時間を与えることで、硫黄酸化物をほとんど発生させずに、石膏廃材中の2水石膏を完全にII型無水石膏化することができる。」との記載があることから、上記(i)の訂正事項は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(ii)の訂正事項は、本体内部での石膏廃材の加熱について、「本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で加熱」すると限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書には、
「【0034】
無水石膏焼成炉31は、下部のコーン部分の有効容積が1.5m^(3)で、上部円筒部分の内径が1,850mmの試験用焼成炉である。また、無水石膏焼成炉31からの排気経路に設けられたサイクロン35は、集塵効率が93%であって、これによって排気ガスの第一段集塵を行い、さらにバグフィルタ36にて第二段集塵を行った後、ファン37を介して排気ガスを大気に放出した。サイクロン35及びバグフィルタ36の捕集ダストDは、合流した後、所定の割合をスクリューコンベア39を介して無水石膏焼成炉31に戻し、残部を製品に混入した。無水石膏焼成炉31の運転条件は、炉出口粉粒体温度が460℃、炉出口ガス温度が410℃であり、時産0.70t-無水石膏/hを目標とした。」
「【0011】
本発明にかかる無水石膏の製造方法は、粉粒体を流動化状態として、高温の燃焼ガスを接触させて加熱する間接加熱方式を採用し、粉粒体層は完全混合状態となり、全体として略々均一な温度となり、局所的に過剰に加熱されることはないため、原料としての石膏廃材粉末が、石膏自体の分解温度(1000℃以上)や、混和剤として含有されるナフタレンスルホン酸基の分解温度(850℃以上)に加熱されることを避けることができる。これによって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができる。ここで、石膏廃材粉末による粉粒体層温度を330℃?840℃に制御し、20分以上の滞留時間を与えることで、硫黄酸化物をほとんど発生させずに、石膏廃材中の2水石膏を完全にII型無水石膏化することができる。」との記載、および
【0042】【表2】には、「炉出口粉粒体温度(℃)を460℃(実施例1)、470℃(実施例2)、450℃(実施例3)、470℃(実施例4)にする」ことの表示があることから、上記(ii)の訂正事項は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものである。
なお、当該訂正事項について、請求人は、口頭審理陳述要領書において、加熱温度を、本体内部の温度での規定から本体出口温度での規定に変えるものであるから、特許請求の範囲を変更するものである旨主張している。
この点について検討すると、上述のとおり、本件特許明細書には、「【0034】・・・無水石膏焼成炉31の運転条件は、炉出口粉粒体温度が460℃、炉出口ガス温度が410℃であり、時産0.70t-無水石膏/hを目標とした。」という記載があることから、本件特許発明を具体的に実施する際には、炉出口(本体出口)での粉粒体温度が特定温度となるように運転条件を調整していることが理解でき、そして、口頭審理において被請求人が陳述したとおり、本件特許発明で使用するいわゆるコニカルケトル炉における炉出口の温度は、本体内部での加熱温度と実質的には変わらないとみることができることから、加熱温度を、本体内部の温度での規定から本体出口温度での規定に変えたとしても、特許請求の範囲を変更するものであるとはいえない。

(iii)の訂正事項は、製造する無水石膏について、「II型無水石膏」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書には、
「【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができるとともに、高純度のII型無水石膏を得ることができ、燃費も低い無水石膏の製造方法及び無水石膏焼成システムを提供することを目的とする。」
「【0011】
本発明にかかる無水石膏の製造方法は、粉粒体を流動化状態として、高温の燃焼ガスを接触させて加熱する間接加熱方式を採用し、粉粒体層は完全混合状態となり、全体として略々均一な温度となり、局所的に過剰に加熱されることはないため、原料としての石膏廃材粉末が、石膏自体の分解温度(1000℃以上)や、混和剤として含有されるナフタレンスルホン酸基の分解温度(850℃以上)に加熱されることを避けることができる。これによって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができる。ここで、石膏廃材粉末による粉粒体層温度を330℃?840℃に制御し、20分以上の滞留時間を与えることで、硫黄酸化物をほとんど発生させずに、石膏廃材中の2水石膏を完全にII型無水石膏化することができる。」との記載があることから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(iv)の訂正事項は、製造する無水石膏について、「内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95%質量以上の製品を得る」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書には、
「【請求項2】 前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことを特徴とする請求項1に記載の無水石膏の製造方法。」との記載があることから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(v)の訂正事項は、請求項2、5を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(vi)の訂正事項は、請求項2の削除に整合させて行うものであることから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

◇訂正事項bについて
訂正事項bの発明の名称を「無水石膏の製造方法」に訂正することは、請求項5(無水石膏焼成システム)の削除に整合させて行うものであることから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。。

(2-3)訂正の適否についてのむすび
以上のとおりであるから、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、訂正事項bは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2ただし書き、及び同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので適法な訂正である。

3.本件特許発明
上記のとおり本件訂正は認められたので、本件特許の請求項1?3に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明3」という。)は、平成23年5月23日付け手続補正書により補正された同年5月18日付け訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 内筒の内部で燃料を燃焼させて該内筒の下部の開口部から燃焼ガスを噴出させ、前記内筒を囲繞し、下部が逆円錐状に形成された本体にナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材を供給し、該本体の内部で該石膏廃材を、該本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で加熱しながら、前記燃焼ガスによって流動化させ、生じたII型無水石膏を前記本体の内部から外部に排出し、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95%質量以上の製品を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
【請求項2】 前記集塵を2段階で行い、前段の集塵を集塵効率90%以上のサイクロンで行うことを特徴とする請求項1に記載の無水石膏の製造方法。
【請求項3】 前記前段の集塵を行うサイクロンを、前記無水石膏焼成炉の直上に配置し、該サイクロンにて集塵したダストを輸送機を介さずに直接該無水石膏焼成炉に戻すことを特徴とする請求項2に記載の無水石膏の製造方法。」

4.請求人の主張
請求人は、特許第4202838号の請求項1乃至3に係る発明(無水石膏の製造方法)についての特許を無効とする、審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、下記甲第1号証?甲第9号証、甲第11号証?甲第21号証(甲第10号証は本件特許公報)を提出し、無効審判請求書、口頭審理陳述要領書および弁駁書において、
本件発明1、2は、本件出願前に頒布された刊行物である下記の甲第1号証?甲第8号証、甲第11号証?甲第14号証、甲第16号証および甲第17号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件発明3は、同甲第1号証?甲第9号証、甲第11号証?甲第14号証、甲第16号証および甲第17号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、
本件発明1?3(無水石膏の製造方法)は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、これらの発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号により無効にすべきものである旨主張している。

(証拠方法)
○甲第1号証:特公昭60-9852号公報

○甲第2号証:特開2002-86126号公報

○甲第3号証:特開平6-279075号公報

○甲第4号証:特開平11-100244号公報

○甲第5号証:特開平10-230242号公報

○甲第6号証:村上恵一監修、「新しい資源・セッコウとその利用」、株式会社ソフトサイエンス社、昭和51年3月20日、第1版第1刷、第190?191頁

○甲第7号証:特許第2571374号公報

○甲第8号証:特開2003-117343号公報

○甲第9号証:石膏石灰学会編著、「石膏石灰ハンドブック」、株式会社技報堂、昭和47年6月15日、第1版第1刷、第444?445頁

○甲第11号証:特開平5-293350号公報

○甲第12号証:特開平6-127994号公報

○甲第13号証:特開2002-68820号公報

○甲第14号証:特開平6-142633号公報

○甲第15号証:井伊谷鋼一著、「集塵技術マニュアル」、日刊工業新聞社、昭和47年3月31日、初版、広31頁、第12?13頁

○甲第16号証:菱田一雄著、「ばい煙・粉じんの排出防止対策と実例」、電氣雑誌OHM、株式会社オーム社、昭和45年10月12日(昭和45年10月29日国立国会図書館受入)、第57巻、第10号、第44?55頁

○甲第17号証:海外技術資料研究所専門委員会翻訳・編集、「公害技術資料 粉塵による大気汚染防止技術 原典 CONTROL TECHNIQUES FOR PARTICULATE AIR POLLUTANTS (No.51)」、株式会社海外資料研究所、昭和49年3月29日国立国会図書館受入、2-3、3-17、3-28、3-29、4-3、4-4、4-5、6-34、6-40、6-41頁

○甲第18号証:本件審決取消訴訟、平成22年9月16日付け原告(請求人)準備書面

○甲第19号証:本件審決取消訴訟、平成22年11月12日付け被告(被請求人)準備書面

○甲第20号証:特開2001-146420号公報

○甲第21号証:特開2002-68740号公報

5.被請求人の主張
被請求人は、みなし取り下げされた平成22年1月22日付け訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(無水石膏の製造方法)は、請求人の提示する甲第1号証?甲第9号証、甲第11号証?甲第17号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、同請求項1に従属する形式で記載された請求項2?4に係る発明(無水石膏の製造方法)も同じく当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、
本件発明1?3(無水石膏の製造方法)は、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものではないので、これらの発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号により無効にすべきものでない旨主張しているということができる。

6.甲各号証記載の発明
◇甲第1号証:特公昭60-9852号公報
(1)特許請求の範囲
「1 粉末化されたあるいは粒状の石膏、または他の粒状材料を熱処理するための装置であって、使用に際しての前記材料により接触される無孔底を有する容器、熱処理されるべき前記材料のための入口、熱処理された材料のための出口、および少なくとも一本の下方に延びて熱ガスを通すようになされて前記底に隣接して容器の内側に開口した加熱管を具備し、前記容器は前記出口によって決まる材料の高さでの容器の横断面積よりも小さな面積の底を提供すべく少なくとも使用中の材料で占められる区域の側壁が傾斜せしめられており、前記容器の前記底は前記底における粒状材料を前記開口の近傍に制限すべく前記加熱管の前記開口に関して形状づけられ、寸法づけられかつ配置されておりそして前記容器の前記底は前記加熱管の前記開口の底端より下に設けられた少なくとも一個の内部突起を有し、しかして、操作中前記加熱管の下方部分から出る熱ガスが熱処理された材料の堆積を阻止すべく前記底を横切って連続的に前記材料を掃引するようになしたことを特徴とする粉末化されたあるいは粒状の石膏、または他の粒状材料を熱処理するための装置。
・・・
3 使用中の材料によって占められる容器の前記区域は逆円錐形であり、かかる容器の垂直軸線に実質的に沿って前記加熱管が配置されている特許請求の範囲第1項または第2項に記載の粉末化されたあるいは粒状の石膏、または他の粒状材料を熱処理するための装置。
4 前記加熱管はその下方部分の側壁に付加的に複数のガス分配孔を有する特許請求の範囲第1項から第3項のいずれか一項に記載の粉末化されたあるいは粒状の石膏、または他の粒状材料を熱処理するための装置。
5 前記加熱管は上方部分で燃料供給源および酸素含有ガス源に接続されうるものであり、かつ前記加熱管は燃料バーナーを含む特許請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の粉末化されたあるいは粒状の石膏、または他の粒状材料を熱処理するための装置。」

(2)第3欄第22?24行
「本発明は粒状材料特に鉱物を熱処理するための、特に石膏(水和硫酸カルシウム)をか焼するための装置に関する。」(当審注:システムの入力文字制限のため、「暇」の「日」が「火」である文字を「か」で表記することで「か焼」とする。以下同じ。)

(3)第4欄第18?29行
「本発明によれば、使用中容器含有物によって接触せしめられる無孔底および熱処理される材料の入口、熱処理された材料の出口、および底に隣接して容器の内面に向いて開いた、熱ガスの通路のために設けられた少なくとも一つの下方に向って延びた加熱管を有する容器からなる粒状材料を熱処理するための装置を提供し、この容器の底は管開口近くで底で材料を制限させるように形作り、これによって使用中加熱管の下方部分から出る熱ガスは、底で材料を加熱と同時に循環させ、これによって容器の内容物全部を実質的に攪拌し加熱するようにする。」

(4)第5欄第17?21行
「更に拡大した直径または断面積の上方帯域はダストとして排出ガス中に伴われて失われる微細な材料(これは次に排出ガスから分離する必要がある。)の量を減少させる。」

(5)第6欄第41?43行
「容器は装置の熱効率を増強させるため熱損失に対して外部から保温するのが好ましい。またその上方帯域を收塵器に接続するのが望ましい。」

(6)第7欄第4?9行
「容器を連続式で運転するとき、材料例えば硫酸カルシウム二水和物のためのバルブ付入口を設け、熱処理された材料のためのバルブ付出口または溢流装置を設けるのが好ましい。容器への材料の供給または容器からの材料の放出を制御するため、適切な任意の方法を使用できる。」

(7)第7欄第34?40行
「本発明の装置中での処理材料の流動化は、それが主として流入ガスによるにしろあるいは放出された蒸気による自己流動化によるにしろ、内容物の急速かつ効率的な混合に寄与し、熱伝達に寄与する、そしてまた連続運転中生成物の放出さえも容易にする。この使用のために容器には機械的攪拌機を備える必要はない。」

(8)第8欄第14?21行
「主として有効か焼温度を制御することによってこの装置で半水プラスターおよび無水プラスターまたはその混合物の製造を行うことができる。例えば処理すべき硫酸カルシウムの温度を約140?170℃に保つならば、硫酸カルシウム二水和物からの主たるか焼生成物は半水石膏である、十方(当審注:「一方」の誤記と認められる。)更に高い温度、約350℃以上の温度では主生成物は無水硫酸カルシウムである。」

(9)第8欄第42行?第9欄第2行
「先ず第1図を参照して逆円錐形の容器1は限定された面積の丸底2およびか焼すべき材料例えば粉末石膏のための供給パイプ4、および集塵器(図示せず)に接続した排出ガス出口パイプ5を嵌合した蓋3を有する。」

(10)第9欄第7?10行
「容器を運転するとき容器中の粉末材料の通常の高さは10で示す。か焼された材料のための出口は導出パイプ12に接続した外方溢流堰11の形で設ける。バルブ付底部放出口21も設ける。」

(11)第9欄第27?35行
「燃料ガス例えば天然ガスはパイプ16を介して、容器中の材料の高さ10に近い所で管6内に配置したノズル混合形のガスバーナー17に供給する。空気はファン19から空気パイプ18を通ってこのバーナーに別々に供給する。ノズル混合バーナー17を通る燃料/空気混合物はスパーク針20で点火され、燃焼による熱いガス状生成物は管中を下方に向って通過し、その開放端13および孔14を通って出る。」

(12)上記(1)の「・・・粉末化されたあるいは粒状の石膏・・・」、上記(8)の「・・・更に高い温度、約350℃以上の温度では主生成物は無水硫酸カルシウムである。」、上記(3)の「・・・使用中加熱管の下方部分から出る熱ガスは、底で材料を加熱と同時に循環させ、これによって容器の内容物全部を実質的に攪拌し加熱するようにする。」、上記(7)の「本発明の装置中での処理材料の流動化は、それが主として流入ガスによるにしろあるいは放出された蒸気による自己流動化によるにしろ、内容物の急速かつ効率的な混合に寄与し、熱伝達に寄与する・・・」、(10)の「・・・か焼された材料のための出口は導出パイプ12に接続した外方溢流堰11の形で設ける。バルブ付底部放出口21も設ける。」との記載からして、引用例には、「外方溢流堰11およびバルブ付底部放出口21」を含めた容器の内部で流動化されている処理材料(粉粒体)の温度がほぼ均一であってこれを約350℃以上にすること、つまり、「『外方溢流堰11およびバルブ付底部放出口21』における粉粒体温度を約350℃以上にする」ことが記載されているということができる

上記(1)ないし(11)の記載事項および上記(12)の検討事項より、甲第1号証には、
「加熱管6の内部で燃料を燃焼させて該加熱管6の下部の『開口およびガス分配孔14』から燃焼ガスを放出させ、前記加熱管6を囲み、下部が逆円錐形の容器1に石膏を供給し、該容器1の内部で該石膏を、『外方溢流堰11およびバルブ付底部放出口21』における粉粒体温度が約350℃以上になるように加熱しながら、前記燃焼ガスによって流動化させ、生じた無水硫酸カルシウムを前記容器1の内部から外部に排出し、前記加熱管6及び容器1を備える『か焼するための装置』から排出される排出ガスを集塵してダストを分離すると共に、排出ガス中に伴われて失われる微細な材料の量を減少させる、無水硫酸カルシウムの製造方法。」の発明(以下、「甲第1号証記載の発明」という。)が開示されている。

◇甲第2号証:特開2002-86126号公報
(13)「【請求項1】 セメントクリンカ焼成用のサスペンションプレヒータに石膏ボード廃材を給養し、下部から400?850℃の熱風を吹き込むことにより、石膏ボード廃材の石膏と石膏に付着している紙とを同時に焼成する方法。」

(14)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】石膏ボード廃材から石膏を回収するために、石膏ボード廃材に含まれる紙を除去する手段として、焼成による方法が考えられるが、ロータリーキルンとグレードクーラの組合せでは、石膏微粉の存在のため温度コントロールが難しく、石膏の分解が起こらない温度まで加熱し、紙を完全燃焼させることは困難である。したがって、本発明の目的は、石膏ボード廃材からリサイクル石膏を得る方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の目的は、セメントクリンカ焼成用のサスペンションプレヒータに石膏ボード廃材を給養し、下部から400?850℃の熱風を吹き込むことにより、石膏ボード廃材の石膏と石膏に付着している紙とを同時に焼成し、焼成された石膏をロータリーキルンで冷却することにより達成される。」

(15)「【0008】
【発明実施の形態】石膏ボード廃材に含まれる紙を完全燃焼させるために必要な温度は、紙の形態、粒度および燃焼時間によって異なるが、400?700℃の範囲であり、紙の耐火度が低い程、粒度の細かい程、燃焼時間が長い程、低温で完全燃焼させることができる。
【0009】一方、加熱による石膏の分解は、約950℃から起こることが知られており、石膏ボード廃材を石膏の分解が起こらない温度まで加熱し、紙を完全に焼成するためには、石膏ボード廃材焼成時の温度を400?850℃の範囲に維持する必要がある。
【0010】本発明における石膏ボード廃材の焼成方法は、ロータリーキルン以外の熱風源において発生させた400?850℃の熱風をサスペンションプレヒータ下部に導入し、石膏ボード廃材をサスペンションプレヒータに給養することにより、紙を完全に燃焼させると共に、石膏の分解によるSOxの発生を抑制し、かつロータリーキルンにおいて回収物の冷却を行うものである。
【0011】本発明における熱風発生源としては、発電設備等の高温の排ガスおよび熱風炉等が使用でき、燃料としては、都市ガス、LNG、重油、灯油等が挙げられるが、S分の少ない燃料を使用する方が好ましい。」

(16)「【0018】実施例および比較例の焼成品を粉末X線回折で確認したところ、実施例1?3および比較例1、3の石膏の形態は、全て無水石膏であり、比較例2については、その殆どが無水石膏であったが、極微量の半水石膏も含まれていた。焼成品の粉末X線回折の結果より、上記表1における焼成品の強熱減量は、未燃焼の紙分の炭化に伴うものであると考えられ、強熱減量の値は、焼成品に含まれる不完全燃焼の紙の割合を知る目安になるものと考えられる。」

(17)【0016】【表1】には、「実施例1での焼成温度が400℃である」ことの表示がある。

上記(13)ないし(17)の記載事項より、甲第2号証には、
「『石膏ボード廃材(石膏廃材)』を供給して、『焼成温度が400℃(実施例1)になるように』加熱して『II型無水石膏』を生じさせる」ことが開示されている。

◇甲第7号証:特許第2571374号公報
(14)「【請求項5】焼成すべき材料の床を含有するための容器および容器の頂部から下方に延び、上記床中に熱ガスを直接導入するための下方区域中に少なくとも一つの開口を有するチユーブを有する焼成すべき材料を焼成する装置であって、上記床の最上部の上のレベルから、装置が操作中にあるとき上記床の最上部の下のレベルまで延びる外チユーブによって熱ガスチユーブがその長さの一部のみが取り巻かれており、外チユーブの上方区域中に少なくとも1種の比較的冷たい溶相性物質を導入するための装置が設けられていることを特徴とする焼成装置。
・・・
【請求項7】容器を出る排ガスからダストを分離するため容器の上方区域にダスト分離器を接続し、ダストコレクターから外チユーブの上方区域に排ガスを循環させるための装置を設けた特許請求の範囲第5項または第6項記載の焼成装置。
【請求項8】ダスト分離器からチユーブの上方区域に分離されたダストを循環させるための装置を設けた特許請求の範囲第5項、第6項または第7項記載の焼成装置。」

(15)第3欄第17?19行
「本発明は焼成装置、特に硫酸カルシウム2水塩または石膏の如き焼成すべき材料を焼成するための装置に関する。」

(16)第5欄第19?27行
「排ガス出口15はサイクロンダスト分離器31に接続され、そこからダクト32は最終ダストコレクターに導かれ、続いて排ガスの放出をする。冷たい排ガスを外チユーブ26に再循環させるときには、それらは都合よくダクト32から取り出され、図示する如くフアン33によつてガス入口29にポンプで送られる。微細にされた焼成された材料はサイクロン31の基部34で回収され、所望によつて破線で示す如く固体入口28に再循環させることができる。」

上記(14)ないし(16)の記載事項より、甲第7号証には、
「石膏焼成装置から排出される排ガス(燃焼ガス)のダストをサイクロンで集塵して分離し、このダストを石膏焼成装置に戻す」ことが開示されている。

◇甲第11号証:特開平5-293350号公報
(17)「【請求項2】 重量平均分子量が10000?30000の縮合物を得ることを特徴とする請求項1記載の石膏-水スラリー用分散剤の製造法。」

(18)「【0002】
【従来の技術】従来、石膏-水スラリー用分散剤として高度な分散性を示すナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下ナフタレン系と称す)が知られている。」

上記(17)(18)の記載事項より、甲第11号証には、
「重量平均分子量が10000?30000であるナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を含む石膏(ナフタレンスルホン酸基を含む石膏)を使用する」ことが開示されている。

◇甲第12号証:特開平6-127994号公報
(19)「【0002】
【従来の技術】従来、石膏-水スラリー用分散剤として高度な分散性を示すナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下ナフタレン系と称す)が知られている。石膏ボードの製造において、ナフタレン系分散剤を使用することにより、混練り水量が低減され、乾燥時間の短縮が可能となり、生産性が向上する。石膏ボードの製造は、所定の配合に応じて、石膏、混和剤水溶液、硬化促進剤水溶液等と泡沫とを同時にピンミキサーと称される混練機に投入して10秒程度の攪拌で排出され、上下のボード(紙)に挟み込む生産工程からなっている。」

上記(19)の記載事項より、甲第12号証には、
「ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を含む石膏(ナフタレンスルホン酸基を含む石膏)を使用する」ことが開示されている。

◇甲第13号証:特開2002-68820号公報
(20)「【0002】
【従来の技術】従来、石膏ボード等に用いられる石膏スラリーの製造には、分散剤としてリグニンスルホン酸塩やナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、トリスフェノール・アミノベンゼンスルホン酸塩共縮合物(特開平6-91149号公報)等が使用されているが、製造合理化の観点から更に減水性の高い石膏スラリーの製造方法の開発が要望されている。」

上記(20)の記載事項より、甲第13号証には、「ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物を含む石膏(ナフタレンスルホン酸基を含む石膏)を使用する」ことが開示されている。

◇甲第14号証:特開平6-142633号公報
(21)「【請求項1】 石膏ボード芯の少なくとも一部に石膏ボード用原紙が付着してなる石膏ボードの廃材を加熱して石膏ボード用原紙を炭化させることを特徴とする石膏ボード廃材から石膏を回収する方法。」

(22)「【0006】また、得られる石膏を単に増量材として、或はアルカリ剤の存在下で水和させて再利用する場合には、石膏ボードの廃材を360℃以上で、好ましくは360?600℃で加熱して原紙を炭化させ脱水した石膏の殆どがII型無水石膏とすることもできるし、原紙を燃焼させて石膏をII型無水石膏とすることもできる。この場合にも、加熱時間は任意とすることができるが、0.1?3時間、好ましくは0.5?1時間とするのがよい。高温加熱前の廃材の破砕が充分でなく塊状であると、原紙の炭化後でもIII 型無水石膏が塊状のまま残ることがあるので容易に再利用できるように高温加熱後に粉砕工程を設けることができる。この場合の粉砕も、上述した破砕と同様の条件で行うことができる。本発明では、上記方法により回収した石膏(III 型無水石膏)を単独で石膏芯として使用することもでき、又、通常の焼石膏と混合して使用することもできる。」

上記(21)(22)の記載事項より、甲第14号証には、
「『石膏ボード廃材(石膏廃材)』を供給して、『加熱温度が360?600℃になるように、所定の時間(0.1?3時間)で』加熱して『II型無水石膏』を生じさせる」ことが開示されている。

7.当審の判断
(7-1)本件発明1について
本件発明1と甲第1号証記載の発明とを対比する。
○甲第1号証記載の発明の「加熱管6」、「『開口およびガス分配孔14』」、「放出」、「囲み」、「逆円錐形の」、「容器1」、「『外方溢流堰11およびバルブ付底部放出口21』」、「無水硫酸カルシウム」、「『か焼するための装置』」、「排出ガス」は、
本件発明1の「内筒」、「開口部」、「噴出」、「囲繞し」、「逆円錐形状に形成された」、「本体」、「本体出口」、「無水石膏」、「無水石膏焼成炉」、「燃焼ガス」にそれぞれ相当する。

○甲第1号証記載の発明の「粉粒体温度が約350℃以上になるように加熱しながら」と、本件発明1の「本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で加熱しながら」とは、「粉粒体温度が約350℃以上500℃以下になるように加熱しながら」という点で共通する。

○甲第1号証記載の発明の「集塵してダストを分離すると共に、排出ガス(燃焼ガス)中に伴われて失われる微細な材料の量を減少させる」ことと、本件発明1の「集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95%質量以上の製品を得る」こととは、「集塵してダストを分離すると共に、燃焼ガス中に伴われて失われる微細な材料の量を減少させる」という点で共通する。

上記より、本件発明1と甲第1号証記載の発明とは、
「内筒の内部で燃料を燃焼させて該内筒の下部の開口部から燃焼ガスを噴出させ、前記内筒を囲繞し、下部が逆円錐状に形成された本体に石膏を供給し、該本体の内部で該石膏を、本体出口における粉粒体温度が350℃以上500℃以下になるように加熱しながら、前記燃焼ガスによって流動化させ、生じた無水石膏を前記本体の内部から外部に排出し、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵してダストを分離すると共に、燃焼ガス中に伴われて失われる微細な材料の量を減少させる、無水石膏の製造方法。」という点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1>
本件発明1では、「ナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材」を供給して、「粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で」加熱して「II型無水石膏」を生じさせるのに対して、甲第1号証記載の発明では、石膏を供給して、粉粒体温度が約350℃以上になるように加熱して無水石膏を生じさせるものの、上記事項を発明特定事項にしていない点。

<相違点2>
本件発明1では、「集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95%質量以上の製品を得る」のに対して、甲第1号証記載の発明では、ダストを集塵して分離すると共に、排出ガス(燃焼ガス)中に伴われて失われる微細な材料の量を減少させるものの、上記事項を発明特定事項にしていない点。

上記両相違点について検討する。
<相違点1>について
上記6.より、
甲第2号証には、「『石膏ボード廃材(石膏廃材)』を供給して、『焼成温度が400℃(実施例1)になるように』加熱して『II型無水石膏』を生じさせる」ことが開示され、
甲第14号証には、「『石膏ボード廃材(石膏廃材)』を供給して、『加熱温度が360?600℃になるように、所定の時間(0.1?3時間)』加熱して『II型無水石膏』を生じさせる」ことが開示され、
甲第11ないし13号証には、「ナフタレンスルホン酸基を含む石膏を使用する」ことが開示されている。
上記からして、一般に、「『石膏廃材』を供給して、『粉粒体温度が例えば400℃程度になるように、所定の時間で』加熱して『II型無水石膏』を生じさせる」ことは本件出願前周知の事項(以下、「周知の事項A」という。)であり、また、「ナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材が存在する」ことも本件出願前周知の事項(以下、「周知の事項B」という。)である。
また、甲第1号証記載の発明と上記周知の事項Aとは、「石膏を加熱して無水石膏を生じさせる」という点で共通している。
そうすると、甲第1号証記載の発明の「石膏を供給して、粉粒体温度が約350℃以上になるように加熱して無水石膏を生じさせる」ことについて、上記の点で共通する周知の事項Aを適用することで、「石膏廃材」を供給して、「粉粒体温度が例えば400℃程度になるように、所定の時間(例えば0.1?3時間)で」加熱して「II型無水石膏」を生じさせるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
そして、この際に、上記周知の事項Bの「ナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材」を供給するかどうかは、不都合なく無水石膏を製造する等の観点より、当業者であれば適宜決定する、ナフタレンスルホン酸基の物性の確認等に基いた選択事項であるということができる。
したがって、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば甲第1号証記載の発明および本件出願前周知の事項(例えば、甲第2、11?14号証参照)に基いて当業者であれば容易になし得ることである。

<相違点2>について
甲第1号証記載の発明の「ダストを集塵して分離すると共に、排出ガス(燃焼ガス)中に伴われて失われる微細な材料の量を減少させる」ことについて、これは、燃焼ガス中に伴われて失われるダストが材料として用い得られるものであって、この失われるダスト(材料)の量を減少させるという技術思想を開示するものであり、そうである以上、集塵して分離されたダストを材料として「か焼するための装置」(無水石膏焼成炉)に戻し、供給した石膏の殆どをか焼(焼成)して無水石膏(II型無水石膏)にする、つまり、無水石膏(II型無水石膏)の純度の高い製品を得ようとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
そして、この際に、集塵して分離されたダストのどれくらいを戻すのか、また、どれくらいの高い純度にするかは、製造効率を良好にする等の観点より、当業者であれば適宜決定する設計事項であるということができる。
したがって、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば甲第1号証記載の発明および本件出願前周知の事項(例えば、甲第2号証、甲第11?14号証参照)に基いて当業者であれば容易になし得ることである。

よって、本件発明1は、甲第1号証記載の発明および本件出願前周知の事項(例えば、甲第2、11?14号証参照)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7-2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1において、「集塵を2段階で行い、前段の集塵を集塵効率90%以上のサイクロンで行う」ことを限定事項にするものである。
ここで、上記6.より、甲第7号証には、「石膏焼成装置から排出される排ガス(燃焼ガス)のダストをサイクロンで集塵して分離し、このダストを石膏焼成装置に戻す」ことが開示されている。
また、一般に、排ガスのダストを集塵して分離する手段を多段にすることは、普通に行われている常套手段である。
そうすると、甲第1号証記載の発明において、上記(7-1)の「<相違点2>について」で検討したように、集塵して分離されたダストを材料として「か焼するための装置」(無水石膏焼成炉)に戻す際に、上記の甲第7号証記載の事項および常套手段を適用することで、集塵を2段階で行い、前段の集塵をサイクロンで行なうことは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
そして、この際に、前段のサイクロンの集塵効率をどれくらいにするかは、製造効率を良好にする等の観点より、当業者であれば適宜決定する設計事項であるということができる。
よって、本件発明2は、甲第1号証記載の発明および本件出願前周知の事項(例えば、甲第2、7、11?14号証参照)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7-3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明2において、「前段の集塵を行うサイクロンを、無水石膏焼成炉の直上に配置し、該サイクロンにて集塵したダストを輸送機を介さずに直接該無水石膏焼成炉に戻す」ことを限定事項にするものである。
ここで、甲第1号証には、上記6.(5)で示したように、「容器は装置の熱効率を増強させるため熱損失に対して外部から保温するのが好ましい。またその上方帯域を收塵器に接続するのが望ましい。」との記載があり、これは、「か焼するための装置」(無水石膏焼成炉)の上方に收塵器(集塵器)を配置すると共に、熱損失を小さくして熱効率を増強するという技術思想を開示するものである。
そうすると、甲第1号証記載の発明において、上記(7-2)で検討したように、前段のサイクロンで集塵して分離されたダストを材料として無水石膏焼成炉に戻す際に、上記の「無水石膏焼成炉の上方に集塵器を配置すると共に、熱損失を小さくして熱効率を増強するという技術思想」からして、無水石膏焼成炉の上方に前段のサイクロンを配置すると共にこのサイクロンと無水石膏焼成炉とをできる限り近接させることで熱損失を小さくして熱効率を増強すること、つまり、前段のサイクロンを無水石膏焼成炉の直上に配置し、該サイクロンにて集塵したダストを輸送機を介さずに直接該無水石膏焼成炉に戻すようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
よって、本件発明3は、甲第1号証記載の発明および本件出願前周知の事項(例えば、甲第2、7、11?14号証参照)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

8.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1?3は、甲第1号証記載の発明および本件出願前周知の事項(例えば、甲第2、7、11?14号証参照)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、これらの発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号により無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定によって、被請求人の負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
無水石膏の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒の内部で燃料を燃焼させて該内筒の下部の開口部から燃焼ガスを噴出させ、前記内筒を囲繞し、下部が逆円錐状に形成された本体にナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材を供給し、該本体の内部で該石膏廃材を、該本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で加熱しながら、前記燃焼ガスによって流動化させ、生じたII型無水石膏を前記本体の内部から外部に排出し、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95質量%以上の製品を得ることを特徴とする無水石膏の製造方法。
【請求項2】
前記集塵を2段階で行い、前段の集塵を集塵効率90%以上のサイクロンで行うことを特徴とする請求項1に記載の無水石膏の製造方法。
【請求項3】
前記前段の集塵を行うサイクロンを、前記無水石膏焼成炉の直上に配置し、該サイクロンにて集塵したダストを輸送機を介さずに直接該無水石膏焼成炉に戻すことを特徴とする請求項2に記載の無水石膏の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏廃材を焼成して無水石膏、特にII型無水石膏を焼成する無水石膏の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の石膏製品の需要の増加とともに、建築物の解体等に伴う石膏廃材の発生量が増加している。特に、建築現場等で発生する廃石膏ボードについては、解体時の分別が困難であったり、リサイクル市場が不足しているため、そのほとんどが埋立処分されている。
【0003】
廃石膏ボードを埋め立てる場合には、管理型の産業廃棄物最終処分場で処分することとされている。そのため、処理コストの増大を招くとともに、最終処分場の涸渇化の問題があり、石膏廃材の有効利用が期待されている。
【0004】
そこで、本出願人は、ロータリーキルンを用い、炉内温度を焼点温度500?1200℃及び窯尻温度300?950℃に制御して石膏廃材を焼成することにより、II型無水石膏の含有量が80重量%以上、半水石膏とIII型無水石膏の合計含有量が10重量%以下、CaOの含有量が10重量%以下、及び全有機炭素量0.3重量%以下の無水石膏類を製造する技術を提案した(特許文献1参照)。
【0005】
また、石膏廃材の有効利用に関する技術ではないが、特許文献2は、無孔の底、材料のための入口及び出口、並びに逆円錐形の容器の底に隣接して開いた熱ガス用の少なくとも1個の下方に向かって延設された管を有する容器を含む粒状材料熱処理装置において、底を管の近くの底で材料を制限するように形成し、ここで管から出る熱ガスが材料を加熱し、循環させるようにした装置、いわゆるコニカルケトル炉を用いて無水石膏を生成することの可能性に言及している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001-146420号公報
【特許文献2】
特開昭55-94634号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原料に石膏廃材を用いて無水石膏を製造する場合には、従来のロータリーキルン等を用いて焼成すると、局所的に過剰に加熱される部分が生じ、石膏廃材に高性能減水剤として混和されているナフタレンスルホン酸基が分解されて硫黄酸化物が発生するおそれがあるという問題があった。また、石膏自体も、1000℃以上に加熱すると、石膏が熱分解して大量に硫黄酸化物が発生するおそれがあるという問題があった。
【0008】
さらに、ロータリーキルン、コニカルケトル炉等、使用する炉の種類に関わらず、製品として得られるII型無水石膏の純度を高く維持するとともに、燃費を低減することも要請されていた。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができるとともに、高純度のII型無水石膏を得ることができ、燃費も低い無水石膏の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、無水石膏の製造方法であって、内筒の内部で燃料を燃焼させて該内筒の下部の開口部から燃焼ガスを噴出させ、前記内筒を囲繞し、下部が逆円錐状に形成された本体にナフタレンスルホン酸基を含む石膏廃材を供給し、該本体の内部で該石膏廃材を、該本体出口における粉粒体温度が330℃以上500℃以下になるように、平均滞留時間30分以上で加熱しながら、前記燃焼ガスによって流動化させ、生じたII型無水石膏を前記本体の内部から外部に排出し、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことにより、II型無水石膏の純度が95質量%以上の製品を得ることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる無水石膏の製造方法は、粉粒体を流動化状態として、高温の燃焼ガスを接触させて加熱する間接加熱方式を採用し、粉粒体層は完全混合状態となり、全体として略々均一な温度となり、局所的に過剰に加熱されることはないため、原料としての石膏廃材粉末が、石膏自体の分解温度(1000℃以上)や、混和剤として含有されるナフタレンスルホン酸基の分解温度(850℃以上)に加熱されることを避けることができる。これによって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができる。ここで、本体出口の粉粒体温度を330℃以上500℃以下に制御し、本体の内部で石膏廃材を平均滞留時間30分以上で加熱することで、硫黄酸化物をほとんど発生させずに、石膏廃材中の2水石膏を完全にII型無水石膏化することができる。
【0012】
また、前記内筒及び本体を備える無水石膏焼成炉から排出される燃焼ガスを集塵して捕集されるダストの70質量%以上を、該無水石膏焼成炉に戻すことで、II型無水石膏純度の低い飛散ダストを製品に混入することがなくなり、製品II型無水石膏の高純度(95質量%以上)が確保される。
【0013】
前記集塵を2段階で行い、前段の集塵を集塵効率90%以上のサイクロンで行うことが好適である。サイクロンで可能な限り高温でダストを回収することにより、II型無水石膏製造の熱量原単位を低減することができる。
【0014】
また、前記前段の集塵を行うサイクロンを、前記無水石膏焼成炉の直上に配置し、該サイクロンにて集塵したダストを輸送機を介さずに直接該無水石膏焼成炉に戻すこともできる。これによって、集塵したダストを無水石膏焼成炉に戻す経路を最短とすることができ、熱量原単位をさらに低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかる無水石膏の製造方法を実施するシステムの一例を示すフローチャートである。この無水石膏焼成システムは、無水石膏焼成炉1と、無水石膏焼成炉1から排出される燃焼ガスが導入され、この燃焼ガスに含まれるダストを集塵する高温集塵機としてのサイクロン2と、サイクロン2から排出されたガスに含まれるダストを集塵するバグフィルタ3と、集塵後の燃焼ガスを大気に放出するファン4と、バグフィルタ3で集塵したダストを無水石膏焼成炉1に戻すためのスクリューコンベア5と、無水石膏焼成炉1の本体13に圧縮空気Cを供給するコンプレッサ6と、無水石膏焼成炉1の本体13に燃焼用空気Aを供給するためのルーツブロワ7と、無水石膏焼成炉1に石膏廃材Mを供給するためのホッパ8、スクリューフィーダ9、スクリューコンベア10とで構成される。
【0017】
無水石膏焼成炉1は、図2乃至図4に示すように、下部にスリット(開口部)15を備えた内筒12と、この内筒12を囲繞するように、下部13aが逆円錐状に形成された本体13とで構成される。
【0018】
内筒12は、本体13の中央部に配置され、上部に燃焼用空気管19を備え、内筒12の中心軸に沿って、燃料としての都市ガスを供給するための燃料供給管11が配置される。また、内筒12の下端部には、複数のスリット15が開設され、このスリット15から燃焼ガスが本体13内に噴出する。尚、内筒12の内部は、燃焼熱によって1200℃程度の高温に曝されるため、内筒の内壁を冷却することが好ましい。
【0019】
燃焼用空気管19は、内筒12における燃料の燃焼用の空気を導入するために設けられ、図1に示したルーツブロワ7から空気が供給される。
【0020】
燃料供給管11は、上方から内筒12の天板12aを貫通するように配置され、燃料供給管11の下端部には、分割炎を得るための多孔板22が設けられる。この燃料供給管11は、上端部の一部を除き、燃料供給管11へ内側から空気を導くための管20によって囲繞されている。
【0021】
本体13は、上述のように、下部13aが逆円錐状に、上部13bが円筒状に形成され、この本体13の内部に供給された石膏廃材が燃焼ガスとの熱交換により無水石膏となる。本体13の天板13cを貫通するように、原料供給管16、飛散ダスト戻し管17が配置され、天板13cには、さらに排気管18が接続される。また、下部13aの内壁に沿って、圧縮空気を導入するためのエアーランス14が配置される。下部13aと上部13bとの境界付近が開口され、この開口部13dに連通する製品排出管23が設けられる。尚、本体13の内部の温度を高く維持する場合には、本体13の内壁に耐火物を配設する。
【0022】
原料供給管16は、石膏廃材を本体13の内部に供給するために備えられ、原料供給用に、さらに飛散ダスト戻し管17も備えられる。
【0023】
排気管18は、本体13の内部と連通し、内筒12で発生した燃焼ガスを本体13の内部を介して系外に排出する。
【0024】
エアーランス14は、本体13の下部13aの最下部に圧縮空気を導入するために備えられ、この圧縮空気によって製品としての無水石膏Pが排出される。
【0025】
製品排出管23は、開口部13dから排出された製品としての無水石膏Pを系外に排出するために設けられる。
【0026】
サイクロン2は、無水石膏焼成炉1から排出される燃焼ガスの温度が高い状態でこの燃焼ガスに含まれるダストを高効率で集塵するために設けられ、90%以上の集塵効率であることが好ましい。また、サイクロン2から無水石膏焼成炉1にダストDを戻すルートは、サイクロン2を無水石膏焼成炉1の直上に配置することにより、できるだけ短縮してダストの温度が低下することを防止し、ヒートロスを最小限に抑えることが好ましい。
【0027】
次に、上記構成を有する無水石膏焼成システムの運転要領について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0028】
内筒12の内部に燃焼用空気管19を介して、ルーツブロワ7から燃焼用空気Aを、燃料供給管11を介して燃料としての都市ガスGを供給する。都市ガスGが内筒12の内部で燃焼し、内筒12の内部は、約1200℃に維持される。一方、ホッパ8、スクリューフィーダ9、スクリューコンベア10から、原料供給管16を介して本体13の内部に石膏廃材Mが供給される。本体13の内部は、通常、460℃程度に制御されるが、石膏廃材または製品の種類に応じて330℃乃至840℃の範囲で変化させることができる。
【0029】
内筒12の内部で都市ガスGが燃焼して発生した燃焼ガスは、スリット15から本体13の最下部に噴出する。この噴出した燃焼ガスにより石膏廃材Mが本体13の下部3aにおいて流動化し、燃焼ガスと熱交換する。熱交換が完了すると、石膏廃材Mは、製品としての無水石膏Pに変化し、エアーランス14を介して導入されたコンプレッサ6からの圧縮空気Cにより流動化され、開口部13dから製品排出管23を介して系外に排出される。
【0030】
一方、本体13から排出された燃焼ガスは、サイクロン2に導入され、サイクロン2で集塵されたダストDが無水石膏焼成炉1に戻される。また、サイクロン2から排出されたガスは、バグフィルタ3に導入され、バグフィルタ3で集塵されたダストDもスクリューコンベア5を介して無水石膏焼成炉1に戻される。集塵後の燃焼ガスは、ファン4によって大気に放出される。
【0031】
次に、本発明にかかる無水石膏の製造方法及び無水石膏焼成システムの試験例について説明する。
【0032】
まず、実施例1?3及び比較例1で用いる試験装置について、図5を参照しながら説明する。この試験装置は、無水石膏焼成炉31の本体33に燃焼用空気Aを供給するためのルーツブロワ41と、本体33に石膏廃材Mを供給するための原料ホッパ42、スクリューフィーダ43、及びスクリューコンベア44と、本体33に圧縮空気Cを供給するコンプレッサ40と、本体33からの燃焼ガス中のダストを集塵して集塵したダストDを本体33または製品ホッパ45に戻すためのサイクロン35、バグフィルタ36、及びスクリューコンベア38、39と、集塵後の燃焼ガスを大気に放出するファン37とを備える。
【0033】
無水石膏焼成炉31は、下部のコーン部分の有効容積が1.5m^(3)で、上部円筒部分の内径が1,850mmの試験用焼成炉である。また、無水石膏焼成炉31からの排気経路に設けられたサイクロン35は、集塵効率が93%であって、これによって排気ガスの第一段集塵を行い、さらにバグフィルタ36にて第二段集塵を行った後、ファン37を介して排気ガスを大気に放出した。サイクロン35及びバグフィルタ36の捕集ダストDは、合流した後、所定の割合をスクリューコンベア39を介して無水石膏焼成炉31に戻し、残部を製品に混入した。無水石膏焼成炉31の運転条件は、炉出口粉粒体温度が460℃、炉出口ガス温度が410℃であり、時産0.70t-無水石膏/hを目標とした。
【0034】
次に、実施例4で用いる試験装置について説明する。この試験装置の全体構成は、図1に示したシステムと同様であって、無水石膏焼成炉1は、上述の図5に示した無水石膏焼成炉31と同じものを用いた。無水石膏焼成炉1の直上に集塵効率が93%のサイクロン2を設け、炉排気ガスの第一段集塵を行い、さらにバグフィルタ3にて第二段集塵を行った後、ファン4を介して排気ガスを大気に放出した。サイクロン2の捕集ダストDは、輸送機を介さず直接無水石膏焼成炉31に全量戻した。また、バグフィルタ3の捕集ダストDも、スクリューコンベア5を介して全量無水石膏焼成炉31に戻した。無水石膏焼成炉1の運転条件は、炉出口粉粒体温度が460℃、炉出口ガス温度が410℃であり、時産0.70t-無水石膏/hを目標とした。
【0035】
次に、比較例2で用いる試験装置について、図6を参照しながら説明する。この試験装置は、ロータリーキルン61(内径1.3m、長さ20m)と、ロータリーキルン61に石膏廃材Mを供給するための原料ホッパ62、スクリューフィーダ63、及びスクリューコンベア64と、ロータリーキルン61からの燃焼ガス中のダストを集塵して集塵したダストDをロータリーキルン61に戻すサイクロン65、バグフィルタ66、及びスクリューコンベア68、69と、集塵後の燃焼ガスを大気に放出するファン67とを備える。
【0036】
サイクロン65の集塵効率は93%であり、このサイクロン65でロータリーキルン61からの排気ガスの第一段集塵を行い、さらにバグフィルタ66にて第二段集塵を行った後、排気ガスをファン67を介して大気に放出した。サイクロン65及びバグフィルタ66の捕集ダストDは、合流させた後、全量をスクリューコンベア69を介してロータリーキルン61に戻した。ロータリーキルン61の運転条件は、キルン落口粉粒体温度が500℃、キルン排気ガス温度が280℃であり、時産2.1t-無水石膏/hを目標とした。
【0037】
次に、試験結果について説明する。上記試験装置を用い、石膏ボード廃材の破砕物から紙を選別・除去して得られた、表1の粒度分布を有する石膏廃材Mを、燃料として、LPGを用いて無水石膏を焼成した。その結果を表2に示す。尚、同表において、無水石膏焼成炉1、31をコニカルケトル炉と表示する。
【0038】
得られた焼成物は、その形態を粉末X線回折によって同定・定量し、CaOの含有量をセメント協会標準試験方法に順じて測定した。また、全有機炭素量をカーボン分析計によって測定した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
本試験により、コニカルケトル型の炉を用いることにより、排ガス中の硫黄酸化物濃度を低減することができ、集塵ダストを70質量%以上焼成炉に戻すことにより、製品中のII型無水石膏の純度を95質量%以上とすることができ、第一段の集塵を行うサイクロンを、焼成炉の直上に設置し、その集塵ダストを直接炉に戻すことにより、熱量原単位を向上させることができることが判る。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる無水石膏の製造方法によれば、石膏廃材を焼成して無水石膏、特にII型無水石膏を焼成するにあたって、硫黄酸化物の発生を大幅に抑制することができ、高純度のII型無水石膏を低燃費で焼成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる無水石膏の製造方法を実施するシステムの一例を示すフローチャートである。
【図2】図1の無水石膏焼成システムの無水石膏焼成炉の一実施の形態を示す一部破断正面図である。
【図3】図2のA-A線断面図である(但し、焼成用空気管19及びエアーランス14近傍については、A-A線断面となっていない)。
【図4】図2の無水石膏焼成炉の上面図である。
【図5】図1の無水石膏焼成システムの試験装置を示すフローチャートである。
【図6】ロータリーキルンを用いた無水石膏焼成試験装置を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 無水石膏焼成炉
2 サイクロン
3 バグフィルタ
4 ファン
5 スクリューコンベア
6 コンプレッサ
7 ルーツブロワ
8 ホッパ
9 スクリューフィーダ
10 スクリューコンベア
11 燃料供給管
12 内筒
12a 天板
13 本体
13a 下部
13b 上部
13c 天板
13d 開口部
14 エアーランス
15 スリット
16 原料供給管
17 飛散ダスト戻し管
18 排気管
19 燃焼用空気管
20 燃料供給管へ内側から空気を導くための管
22 多孔板
23 製品排出管
31 無水石膏焼成炉
32 内筒
33 本体
34 燃料供給管
35 サイクロン
36 バグフィルタ
37 ファン
38 スクリューコンベア
39 スクリューコンベア
40 コンプレッサ
41 ルーツブロワ
42 原料ホッパ
43 スクリューフィーダ
44 スクリューコンベア
45 製品ホッパ
61 ロータリーキルン
62 原料ホッパ
63 スクリューフィーダ
64 スクリューコンベア
65 サイクロン
66 バグフィルタ
67 ファン
68 スクリューコンベア
69 スクリューコンベア
A 燃焼用空気
C 圧縮空気
D ダスト
G 都市ガス
M 石膏廃材
N 液体窒素
P 無水石膏
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2012-03-27 
結審通知日 2012-03-30 
審決日 2012-05-09 
出願番号 特願2003-180533(P2003-180533)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (C01F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 横山 敏志  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 中澤 登
吉川 潤
登録日 2008-10-17 
登録番号 特許第4202838号(P4202838)
発明の名称 無水石膏の製造方法  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 山口 昭則  
代理人 大貫 進介  
代理人 佐々木 定雄  
代理人 中井 潤  
代理人 中井 潤  
代理人 伊東 忠重  

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