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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 D06F
管理番号 1260108
審判番号 不服2011-25028  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-21 
確定日 2012-07-12 
事件の表示 特願2007-272127号「ドラム式洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年5月7日出願公開、特開2009-95585号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年10月19日の出願であって、平成23年8月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成23年11月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年11月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により請求項1は、次のように補正された。
「モータ等負荷装置の運転を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットに付加する絶縁トランスと、前記制御ユニットを収納する樹脂材料で構成したケースとを備え、前記ケースは、水密的に嵌合組み合せおよび取り外しが可能な蓋ケースと本体ケースとで構成してドラム式洗濯機の外箱内方に収容され、前記絶縁トランスは、前記制御ユニットと分離した単品部材として前記ケース内に前記制御ユニットと共に収納され、前記蓋ケース内側に凸となるボス部を有し、前記絶縁トランスの一部を覆う外郭部にフランジ曲げ部を設け、前記フランジ曲げ部を前記ボス部に取り付けて前記絶縁トランスを前記蓋ケース内方に収納固定したドラム式洗濯機。」(下線は補正箇所。)

2.補正の目的
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ボス部」について、「蓋ケース内側に凸となる」と限定したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3-1.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2003-290591号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【発明の属する技術分野】本発明は、ドラム式洗濯機、及びドラム式洗濯機と渦巻き式洗濯機とを含む洗濯機に関する。」(段落【0001】、下線は当審で付与。以下、同様。)
イ 「【発明の実施の形態】以下、本発明に係る洗濯機の一実施例であるドラム式洗濯機について、図面を参照して説明する。」(段落【0052】)
ウ 「上記のような電気的構成のうち、操作キーや表示器は操作パネル5の裏面に設けられているが、それ以外の電気部品や該部品の殆どを搭載する電気回路基板(プリント基板)は、一体にユニット化されて外箱1の前面板の裏側下方に装着される。その基板ユニットの取付構造を次に説明する。
図8は本実施例のドラム式洗濯機において基板ユニットの部分のみを破断して示す左側面図、図9は外箱の前面板及び基板ユニットを取り外した状態で要部の正面平面図、図10は基板ユニットを装着した状態を示す正面平面図、図11は基板ユニットからプリント基板及び裏面カバーを取り外した状態を示す正面平面図、図12は図10中の矢視線A-A’断面図、図13及び図14は基板ユニットを取り外す手順を示す図、図15は図10中の矢視線B-B’断面図、図16及び図17は基板ユニットからプリント基板を取り外す手順を示す図である。
基板ユニット70は、主要な電気部品が実装された細長形状のプリント基板71と、該プリント基板71の裏面(部品実装面の反対面)側を覆うように該プリント基板71がネジで固定される浅い皿状の裏面カバー72と、両端部が外箱1前面の左右に前方を向いて立設されている取付板1bにネジで固定され、上記プリント基板71の部品実装面を覆う主カバー73と、を含んで構成される。図11に示すように、主カバー73には二箇所に所定形状の凹部730,731が形成されており、該凹部730,731にはトランス74とモータ駆動のインバータ電流制限用電力抵抗器75とがネジで固定されている。該トランス74と電力抵抗器75とはプリント基板71上に実装すると大きなスペースを必要とするが、主カバー73自体に取り付けることによりプリント基板71上にそのスペースが不要になり、その分だけ基板面積を小さくすることができる。更にまた、プリント基板71上にトランス74を実装した場合、安全対策上、保護カバーなどが必要になるが、そうした別部材も不要になる。
上記構成により、プリント基板71、トランス74、電力抵抗器75は主カバー73と裏面カバー72から構成される箱状体の中に収容される。そのため、上から水が滴下してきても、電気回路部分に水が接触せず高い信頼性を確保することができる。また、この基板ユニット70の設置位置はドラム13の回転軸である水平軸線Cよりも下方であり、そのため外槽10が最も前方に突出した部分よりも下方である。そのため、スペースを確保し易く、外箱1内のスペースを有効に活用した配置が可能である。また、基板ユニット70を左右の取付板1bの間に架設することによって、外箱1の構造体の補強を兼ねることができる。更にまた、前方から容易に着脱が可能な前面板1aを取り外しさえすれば基板ユニット70が露出するので、故障修理などのメンテナンス作業が容易になる。更にまた、基板ユニット70の位置は電子回路に対してノイズ源となり易いドラムモータから離れた位置であるため、こうしたノイズの飛び込みも軽減することができる。
外箱1への主カバー73の取付構造に関して詳しく述べると、外箱1の左右の取付板1bにはそれぞれ上下一対の角穴1cが設けられ、主カバー73の左右の両取付片部732にはその角穴1cに対応したフック部733が形成されている。図13に示すように、該フック部733を角穴1cに前方から挿入した後に主カバー73を押し下げることにより、主カバー73は取付板1bに掛止される。フック部733を挿入する穴の形状が円形状ではなく四角形状であるため、主カバー73の左右方向の移動の余裕度が広がる。それにより、左右のフック部733と角穴1cとの位置ずれが多少大きくても、フック部733と角穴1cとの間の遊びによってずれが吸収され、互いに無理な力を加えることなく主カバー73を取付板1bに取り付けることができる。」(段落【0067】?【0071】)
エ 「次に、主カバー73に対する裏面カバーの取付構造について述べると、図15に示すように、主カバー73の左右方向の略中央の下端には円柱状の軸部736が架設されており、裏面カバー72の下端に形成されている軸受部721がその軸部736に嵌合している。図10に示すように、プリント基板71が内側に取り付けられた裏面カバー72は複数のネジ77により主カバー73に対して固定されているが、このネジ77を取り外すと、図16及び図17に示すように、裏面カバー72はほぼ軸部736を中心として回動可能である。すなわち、取付板1bに先に取り付けられた主カバー73に裏面カバー72を装着する際には、まず、図17に示すような状態で軸受部721を軸部736に嵌合し、図16に示すように、軸部736を中心にして裏面カバー72を回動させることにより、最終的に図15に示すように裏面カバー72を主カバー73に収めればよい。電気回路の修理や交換など、裏面カバー72を主カバー73から外す際には上記と逆の動作を行えばよい。」(段落【0074】)

上記記載を検討すると、記載ウのとおり、トランス74と電力抵抗器75とはプリント基板71上に実装されていたものを別体としたものであるから、トランス74とプリント基板71は連結されることが明らかであって、トランス74はプリント基板71と分離した単品部材として配置されるものである。また、記載ウの「プリント基板71、トランス74、電力抵抗器75は主カバー73と裏面カバー72から構成される箱状体の中に収容される。そのため、上から水が滴下してきても、電気回路部分に水が接触せず高い信頼性を確保することができる」によれば、箱状体を構成する主カバー73と裏面カバー72は水密的に組み合わされるものと認められ、また、記載エのとおり、主カバー73と裏面カバー72は取り外し可能に構成されている。

上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「主要な電気部品が実装されたプリント基板71と、前記プリント基板71と連結するトランス74と、前記プリント基板71を収容する箱状体とを備え、前記箱状体は、水密的に組み合せおよび取り外しが可能な主カバー73と裏面カバー72とで構成してドラム式洗濯機の外箱1の前面板の裏側下方に装着され、前記トランス74は、前記プリント基板71と分離した単品部材として前記箱状体内に前記プリント基板71と共に収容され、前記主カバー73に凹部730を形成し、前記トランス74を前記凹部730に固定したドラム式洗濯機。」

3-2.対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「主要な電気部品が実装された」「プリント基板71」は、本願補正発明の「モータ等負荷装置の運転を制御する」「制御ユニット」に相当し、以下同様に、
「プリント基板71と連結する」「トランス74」は「制御ユニットに付加する」「絶縁トランス」に、
「プリント基板71を収容する」「箱状体」は「制御ユニットを収納する」「ケース」に、
「主カバー73」は「蓋ケース」に、
「裏面カバー72」は「本体ケース」に、
「ドラム式洗濯機の外箱1の前面板の裏側下方に装着」は「ドラム式洗濯機の外箱内方に収容」に、
「前記箱状体内に前記プリント基板71と共に収容」は「前記ケース内に前記制御ユニットと共に収納」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「前記主カバー73に凹部730を形成し、前記トランス74を前記凹部730に固定」することは、本願補正発明の「前記蓋ケース内側に凸となるボス部を有し、前記絶縁トランスの一部を覆う外郭部にフランジ曲げ部を設け、前記フランジ曲げ部を前記ボス部に取り付けて前記絶縁トランスを前記蓋ケース内方に収納固定」することと「絶縁トランスを蓋ケースに固定」することで共通する。

そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)
「モータ等負荷装置の運転を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットに付加する絶縁トランスと、前記制御ユニットを収納するケースとを備え、前記ケースは、水密的に組み合せおよび取り外しが可能な蓋ケースと本体ケースとで構成してドラム式洗濯機の外箱内方に収容され、前記絶縁トランスは、前記制御ユニットと分離した単品部材として前記ケース内に前記制御ユニットと共に収納され、前記絶縁トランスを前記蓋ケースに固定したドラム式洗濯機。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点1)
ケースについて、本願補正発明では「樹脂材料で構成した」ものであって、蓋ケースと本体ケースを「嵌合組み合せ」したものであるのに対して、引用発明では材料が不明であり、主カバー73(蓋ケース)と裏面カバー72(蓋ケース)がどのように組み合わされるか不明な点。

(相違点2)
絶縁トランスの蓋ケースへの固定について、本願補正発明では「前記蓋ケース内側に凸となるボス部を有し、前記絶縁トランスの一部を覆う外郭部にフランジ曲げ部を設け、前記フランジ曲げ部を前記ボス部に取り付けて前記絶縁トランスを前記蓋ケース内方に収納固定」ものであるのに対して、引用発明では主カバー73(蓋ケース)に凹部730を形成し、前記トランス74(絶縁トランス)を前記凹部730に固定した点。

3-3.相違点の判断
(相違点1)
洗濯機のコントロールユニットのケースを樹脂材料で構成することは、従来周知(拒絶の理由に引用された、特開2000-254391号公報(段落【0012】参照))であり、また、ケースを水密的にするために接合面を嵌合することは慣用手段であるから、相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が設計的事項として容易に成し得たことである。

(相違点2)
家電装置において、部品の配置、全体の形状を、スペース、メンテナンス等を考慮して設計することは、周知の課題であるから、引用発明においても絶縁トランスの取り付け構造について検討されるものといえる。
ところで、絶縁トランスのケースへの取り付け構造として、ケースに凸となるボス部を設け、絶縁トランスにフランジを設け、前記フランジを前記ボス部に取り付けて絶縁トランスをケースに固定することは、例えば前置報告で示された特開昭58-180009号公報(キャビネット21にボス25,26を設け、電源トランス20に取付片23,24を設けて、取付片23,24をボス25,26に固定する構造)、他にも特開平4-180611号公報(ケース1の第1要素1aにボス2を設け、トランス5に枠体9の一部を切り起こして形成した取付部材10を設けて、取付部材10をボス2に固定する構造)に記載されているように、従来周知の構造である。また、絶縁トランスに設けるフランジを絶縁トランスの一部を覆う外郭部にフランジ曲げ部として形成することも、前記特開平4-180611号公報に記載されているように、フランジの形成にあたって採用される構造にすぎず、特別な構造ではない。
してみると、引用発明において、従来周知の絶縁トランスのケースへの取り付け構造を適用するに際して、絶縁トランスに設けるフランジを絶縁トランスの一部を覆う外郭部にフランジ曲げ部として形成して、前記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が周知技術に基づいて容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

なお、請求人は、回答書において、位置決めボスを設けることを特定した補正案を提示しているが、部材の位置決めのためにボスを設けることは、当業者における設計事項の範囲にすぎず、位置決めボスを設けることを特定しても進歩性を肯定することはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3-4.むすび
以上のとおり、本件補正は、改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成23年2月25日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「モータ等負荷装置の運転を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットに付加する絶縁トランスと、前記制御ユニットを収納する樹脂材料で構成したケースとを備え、前記ケースは、水密的に嵌合組み合せおよび取り外しが可能な蓋ケースと本体ケースとで構成してドラム式洗濯機の外箱内方に収容され、前記絶縁トランスは、前記制御ユニットと分離した単品部材として前記ケース内に前記制御ユニットと共に収納され、前記蓋ケース内面側にはボス部を有し、前記絶縁トランスの一部を覆う外郭部にフランジ曲げ部を設け、前記フランジ曲げ部を前記ボス部に取り付けて前記絶縁トランスを前記蓋ケース内方に収納固定したドラム式洗濯機。」

2.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「第2」「3-1.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」「1.」の本願補正発明において、「ボス部」についての限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含むものに相当する本願補正発明が、前記「第2」「3-3.」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-09 
結審通知日 2012-05-15 
審決日 2012-05-28 
出願番号 特願2007-272127(P2007-272127)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D06F)
P 1 8・ 575- Z (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 正章  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 亀田 貴志
森川 元嗣
発明の名称 ドラム式洗濯機  
代理人 藤井 兼太郎  
代理人 永野 大介  
代理人 内藤 浩樹  

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