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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09D 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C09D 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C09D |
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管理番号 | 1260155 |
審判番号 | 不服2009-19826 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-15 |
確定日 | 2012-07-09 |
事件の表示 | 特願2008-108374「基板をコーティングするための電着可能な誘電性コーティング組成物および誘電性コーティングを形成する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月25日出願公開、特開2008-223033〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成15年6月27日(パリ条約による優先権主張、平成14年6月27日、米国)の国際出願による特願2004-517990号の一部を平成20年4月17日に新たな特許出願としたものであって、以降の手続の経緯は以下のとおりである。 平成20年 4月17日 出願審査請求 平成20年11月26日付け 拒絶理由通知 平成21年 5月27日 意見書・手続補正書 平成21年 6月12日付け 拒絶査定 平成21年10月15日 審判請求 第2 本願発明 本件出願に係る発明は、平成21年5月27日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される下記のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。 「水性媒体に分散した樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物であって、ここで、該樹脂相が以下: (a)非ゲル状の活性水素含有イオン塩基含有樹脂;および (b)該樹脂(a)の該活性水素と反応する硬化剤、 を含有する、 電着可能コーティング組成物。」 第3 拒絶査定の理由 平成21年6月12日付け拒絶査定は、 「この出願については、平成20年11月26日付け拒絶理由通知書に記載した理由1?3によって、拒絶をすべきものです。」というものであり、平成20年11月26日付け拒絶理由通知によれば、理由1は以下のとおりのものである。 「1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 … 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) … よって、本願請求項1に係る発明は、引用例1…に記載された発明…である。 《 引用文献等一覧 》 1.特表2002-516388号公報 …」 第4 当審の判断 当審は、上記の原査定の理由と同じ理由により、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であると判断する。 1.引用文献に記載された事項 引用文献1(特表2002-516388号公報)には、以下の事項が記載されている。 ・摘示事項1-a: 「【0013】 本発明のプロセスの第一工程は、導電性基板の表面上に導電性コーティングを電着する工程である。このコーティングは、硬化可能なイオン性樹脂および導電性顔料を含む組成物から析出される。組成物は、アニオン性電着可能組成物またはカチオン性電着可能組成物であり得、このことが好ましい。使用され得るアニオン性およびカチオン性の電着可能組成物は、高い均一電着性および良好な耐腐食性を提供するものである。これらの組成物は、当該分野において周知である。」 ・摘示事項1-b: 「【0015】 カチオン性の電着可能コーティング組成物に使用するために適切であるイオン性樹脂の例には、ポリエポキシドおよび一級または二級アミンの酸可溶化反応生成物(例えば、米国特許第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;および同第3,947,339号に記載されるもの)のようなアミン塩の基含有樹脂が挙げられる。通常、これらのアミン塩の基含有樹脂は、ブロックイソシアネート硬化剤と組み合わせて使用される。このイソシアネートは、上記米国特許第3,984,299号に記載されるように完全にブロックされ得るか、またはこのイソシアネートは、米国特許第3,947,338号に記載されるような樹脂骨格を用いて部分的にブロックされそして反応され得る。また、米国特許第4,134,866号およびDE-OS第2,707,405号に記載されるような1成分組成物は、フィルム形成樹脂として使用され得る。エポキシ-アミン反応生成物に加えて、フィルム形成樹脂はまた、米国特許第3,455,806号および同第3,928,157号に記載されるようなカチオン性アクリル樹脂から選択され得る。」 ・摘示事項1-c: 「【0017】 本発明が特に有効である樹脂は、一級および/または二級アミン基を含む陽電荷の樹脂である。このような樹脂は、米国特許第3,663,389号;同第3,947,339号;および4,116,900号に記載される。米国特許第3,947,339号では、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラアミンのようなポリアミンのポリケチミン誘導体は、ポリエポキシドと反応される。反応生成物が酸で中和され、そして水中に分散される場合、遊離の一級アミン基が生成される。また、ポリエポキシドがジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラアミンのような過剰のポリアミンと反応され、そして過剰のポリアミンが反応混合物から真空除去される場合、等価の生成物が形成される。このような生成物は、米国特許第3,663,389号および米国特許第4,116,900号に記載される。」 ・摘示事項1-d: 「【0043】 用語「活性水素」とは、イソシアネートと反応性(これは、JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY、第49巻、3181頁(1927)に記載されるように、Zerewitnoffテストによって測定される)の基を意味する。好ましくは、活性水素は、ヒドロキシル、第1アミンおよび第2アミンである。多くのポリエーテルのTgは、文献によって利用可能である。また、Tgの決定の際に役立つのは、Clash-Berg法(「Advances in Polyurethane Technology」Burstら、WileyおよびSons、1968、88ff頁に記載)である。」 ・摘示事項1-e: 「【0086】 (実施例) 防食のためのカチオン性電着可能組成物(これは、基板に対して導電性コーティングを生じる)を、実施例1の以下に記載される物質から調製した。これらは、ブロック型ポリイソシアネート架橋剤(これは、実施例1Aに従って調製する)、およびカチオン性電着可能プライマー樹脂(これは、この組成物の主なビヒクル(これは、実施例1Bで調製する)をブロック型ポリイソシアネートと共に形成した)を包含した。カチオン性電着可能組成物を実施例1Cに従って調製した。」 ・摘示事項1-f: 「【0087】 (実施例1パートA:イソシアネート架橋剤) ブロック型ポリイソシアネート架橋剤を以下の物質から調製した: 【0088】 【表1】 ^(1) ポリマー性MDI;登録商標PAPI2940で、DOW CHEMICAL Company,Michiganから入手可能。 【0089】 ポリイソシアネートおよびメチルイソブチルケトンを、窒素雰囲気下で反応フラスコに充填し、そして80℃まで加熱した。次いで、トリメチロールプロパンを添加し、そしてこの混合物を105℃まで加熱し、そして30分間維持した。この混合物を65℃まで冷却し、そしてジブチルチンジラウレートおよび2-(2-ブトキシエトキシ)エタノールを徐々に添加し、この反応混合物は80?110℃の間の温度まで発熱し、そして赤外分析が未反応NCOが残っていないことを示すまでこの状態に保った。」 ・摘示事項1-g: 「【0090】 (実施例1パートB:カチオン性プライマー電着ビヒクル) カチオン性水性主ビヒクルを以下の物質から調製した。全ての部および割合は、他に示さなければ、重量によってである。 【0091】 【表2】 ^(2) ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル;Shell Oil andChemical Co.,Houston Texasから入手可能。 ^(3) 米国特許第4,468,307号(Wismerら)に従う物質を用いて調製した。 ^(4) ジエチレントリアミンおよびメチルイソブチルケトンから誘導したジケチミン(メチルイソブチルケトン中73%個体)。 EPON828、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物、ビスフェノールAおよびメチルイソブチルケトンを、反応容器へ充填し、そして窒素雰囲気下で125℃まで加熱した。ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを添加し、そして反応混合物は約145℃で発熱した。反応を145℃の温度で2時間保ち、そしてエポキシ等価物を得た。エポキシ等価物は、通常、目的のエポキシ等価物重量付近で失速する。この時、架橋剤、ジケチミンおよびN-メチルエタノールアミン(N-methyethanolamine)を連続して添加した。この混合物は発熱し、次いで、130℃の温度に達し、そして混合物を1時間130℃に維持した。樹脂混合物(6000部)を154.62部のスルファミン酸および3339.88部の脱イオン水の混合物へ添加することによって、水性媒体へ分散させた。30分間攪拌後、55.20部のEmersol210オレイン酸を添加し、そしてこの分散液をさらに30分攪拌した。Emersol210は、Henkel Crop.Emery Division,Cincinnati,Ohioから入手可能である。この分散液を、それらの段階において、1909.94部の脱イオン水、1273.29部の脱イオン水および2345.54部の脱イオン水でさらに希釈し、そして有機溶媒を除去するためにバキュームストッピングし、44.78パーセントの固体含有率および860オングストロームの粒子サイズを有する懸濁液を得た。」 ・摘示事項1-h: 「【0092】 (実施例1パートC:カチオン性電気コート(electrocoat)プライマーの調製) カチオン性電着コーティングを、以下の物質から調製した。全ての部および割合は、他に示さなければ、重量によってである。 【0093】 【表3】 ^(5) 米国特許第4,423,166号にほぼ従う柔軟剤-フロー制御剤(flexibilizer-flow control agent)の水性懸濁液を、電着可能組成物と共に使用するために調製した。柔軟剤-フロー制御剤を、ポリエポキシド(EPON828)およびポリオキシアルキレン-ポリアミン(JEFFAMINE D-2000は、Huntsman Corporation,Salt Lake City,Utah.から入手可能)から調製した。柔軟剤-フロー制御剤を乳酸の補助を伴う水性媒体に分散し、この分散液は36.0パーセントの樹脂固体含有率を有した。 ^(6) 界面活性剤ブレンド(85-XS-139);Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,Pennsylvaniaから入手可能。 ^(7) 導電性カーボンブラック顔料を含むカチオン性顔料ペースト(CP639);PPG Industries,Inc.,Pittsburgh,Pennsylvaniaから入手可能。」 2.引用文献1に記載された発明 引用文献1の実施例1の「カチオン性電着可能組成物」は、実施例1Cに従って調製されるものであり、実施例1Bで調製する「カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクル」を包含するものであり、実施例1Bで調製する「カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクル」にはブロック型ポリイソシアネート架橋剤(これは、実施例1Aに従って調製する)が含まれるものである(摘示事項1-e)。 そして、引用文献1の実施例1Aには、ブロック型ポリイソシアネート架橋剤(摘示事項1-f)が、実施例1Bには、EPON828と、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物と、ビスフェノールAとの反応生成物であるエポキシ等価物に、架橋剤(実施例1Aに従って調整)、ジケチミンおよびN-メチルエタノールアミンを連続して添加、混合してなる、樹脂混合物を、スルファミン酸および脱イオン水の混合物へ添加することによって、水性媒体へ分散させて、「カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクル」とすること(摘示事項1-g)が、実施例1Cには、「カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクル」(実施例1Bに従って調整)に、「導電性カーボンブラック顔料を含むカチオン性顔料ペースト(CP639)」(PPG Industries,Inc.,Pittsburgh,Pennsylvania)などを加えてなる「カチオン性電着可能組成物」(摘示事項1-h)が記載されている。 以上によれば、引用文献1の実施例1Cには、EPON828と、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物と、ビスフェノールAとの反応生成物であるエポキシ等価物に、ブロック型ポリイソシアネート架橋剤(実施例1A)、ジケチミンおよびN-メチルエタノールアミンを添加、混合してなる、樹脂混合物を、スルファミン酸および脱イオン水の混合物へ添加することによって、水性媒体へ分散させて得た、「カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクル」に「導電性カーボンブラック顔料を含むカチオン性顔料ペースト(CP639)」などを加えてなる「カチオン性電着可能組成物」が記載されていると認められる。 ここで、引用文献1の実施例1Cに記載された「カチオン性電着可能組成物」は、「硬化可能なイオン性樹脂」を含む組成物であり、「高い均一電着性」を有するものである(摘示事項1-a)。 引用文献1の実施例1Cに記載された「カチオン性電着可能組成物」の「硬化可能なイオン性樹脂」は、「ポリエポキシドおよび一級または二級アミンの酸可溶化反応生成物」のような「アミン塩の基」を含有する樹脂であり、通常、これらのアミン塩の基含有樹脂は、ブロックイソシアネート硬化剤と組み合わせて、カチオン性の電着可能コーティング組成物として使用されるものである(摘示事項1-b)。 引用文献1の実施例1Cに記載された「カチオン性電着可能組成物」の「硬化可能なイオン性樹脂」は、エポキシ等価物がジケチミンと反応し、その反応生成物がスルファミン酸で中和されるものであるので、「遊離の一級アミン基」を有するものである(摘示事項1-c)。 以上を考慮すると、引用文献1には、実施例1Cとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「硬化可能なイオン性樹脂と、ブロック型ポリイソシアネート架橋剤とを、水性媒体へ分散させて得た、カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクルに、導電性カーボンブラック顔料などを含有させてなる、カチオン性の電着可能コーティング組成物であって、 硬化可能なイオン性樹脂が、EPON828と、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物と、ビスフェノールAとの反応生成物であるエポキシ等価物にジケチミンが反応し、その反応生成物がスルファミン酸で中和されるイオン性樹脂であり、 該イオン性樹脂は、遊離の一級アミン基を有するものであり、 該イオン性樹脂は、アミン塩の基を有するものである、 カチオン性の電着可能コーティング組成物。」 3.本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比すると、 引用発明の「硬化可能なイオン性樹脂と、ブロック型ポリイソシアネート架橋剤とを、水性媒体へ分散させて得た、カチオン性電着可能プライマー電着ビヒクルに、導電性カーボンブラック顔料などを含有させてなる、カチオン性の電着可能コーティング組成物」は、「硬化可能なイオン性樹脂」と「ブロック型ポリイソシアネート架橋剤」とは、水性媒体へ分散されて、樹脂相を形成するものであるから、本願発明の「水性媒体に分散した樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物」に相当する。 引用発明の「硬化可能なイオン性樹脂…該イオン性樹脂は、遊離の一級アミン基を有するものであり、該イオン性樹脂は、アミン塩の基を有するものである」は、摘記事項1-dに照らせば、「遊離の一級アミン基」が「活性水素」を有するイソシアネートと反応性の基であることよりみて、本願発明の「活性水素含有イオン塩基含有樹脂」に相当する。 引用発明の「ブロック型ポリイソシアネート架橋剤」は、「硬化可能なイオン性樹脂」の「遊離の一級アミン基」と反応する架橋剤であるから、本願発明の「該樹脂(a)の該活性水素と反応する硬化剤」に相当する。 そうすると両者は、 「水性媒体に分散した樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物であって、ここで、該樹脂相が以下: (a)活性水素含有イオン塩基含有樹脂;および (b)該樹脂(a)の該活性水素と反応する硬化剤、 を含有する、 電着可能コーティング組成物。」 の点において一致し、次の点において一応相違する(以下、「相違点」という。)。 相違点:活性水素含有イオン塩基含有樹脂が、本願発明においては「非ゲル状」であるのに対して、引用発明においては「非ゲル状」である明示はされていない点 4.相違点の検討 引用発明において、活性水素含有イオン塩基含有樹脂に相当すると認められる、硬化可能なイオン性樹脂は、EPON828と、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物と、ビスフェノールAとの反応生成物であるエポキシ等価物にジケチミンが反応しその反応生成物がスルファミン酸で中和されたイオン性樹脂であるが、これが架橋を含まないことは明らかである。 そして、一般に、ゲル化が高分子の架橋によって生じることは周知の技術的事項と認められる(例えば、「新版高分子辞典」高分子学会高分子辞典編集委員会編(朝倉書店)1991年8月10日発行、第129頁の「ゲル」の項には「ゲル…このような溶媒に不溶の架橋高分子をゲルと呼ぶのに対し,可溶の高分子をゾルという.ゾルがゲルに変化する現象をゲル化という.ゲル化は架橋によってもたらされる…」、同頁の「ゲル化」の項には「ゲル化…多官能性化合物あるいは線状高分子は架橋反応によって分子量が無限の大きさに達した時点,つまりゲル化時点でいかなる溶媒にも不溶となる.このような状態になることをゲル化…という.…」と記載されている。)。 そうすると、引用発明の硬化可能なイオン性樹脂はゲル化していないもの、すなわち、非ゲル状のものと認められる。 また、一般に、コーティング組成物、すなわち、塗料とは「流動する状態(sol)のものから物体の表面に塗りひろげられて乾燥化し,流動しない状態(gel)になり,物体の被覆ならびに美化,またはその他の目的を達する性能をもつもの」(「技能と訓練 塗装技術」清水正雄等著(日刊工業新聞社)昭和50年3月15日発行、第2頁)のことであることを考慮すると、引用発明の電着コーティング組成物において構成成分(ビヒクル成分)として使用される硬化可能なイオン性樹脂についても、塗膜を形成する前の コーティング組成物は流動する状態(sol)の、非ゲル状のものであることは明らかなことと認められる。 そうすると、前記相違点は、実質的な相違点とは認められない。 5.審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求の理由【本願発明が特許されるべき理由】4.2において、「本願発明は耐燃焼性を付与するために、樹脂原料としてハロゲン化ビスフェノール([0026]と実施例)を用います。ゲル化傾向がより高いものです。従って、非ゲルの意義は引用文献と本願発明との間では微差でなく、容易に設計変更可能な程度ではないものと思料いたします。 」 と主張する。 しかしながら、本願発明は、樹脂原料としてハロゲン化ビスフェノールを使用することを、発明特定事項とするものでないから、請求人の主張は特許請求の範囲に記載された事項に基づくものではなく、妥当ではない。 6.まとめ 上記相違点は実質的な相違点ではないから、本願発明は、その出願前日本国内において頒布された引用文献1に記載された発明といえる。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、その余の点について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-07 |
結審通知日 | 2012-02-08 |
審決日 | 2012-02-28 |
出願番号 | 特願2008-108374(P2008-108374) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C09D)
P 1 8・ 121- Z (C09D) P 1 8・ 537- Z (C09D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木村 敏康 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
東 裕子 橋本 栄和 |
発明の名称 | 基板をコーティングするための電着可能な誘電性コーティング組成物および誘電性コーティングを形成する方法 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 安村 高明 |