• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1260311
審判番号 不服2010-7464  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-08 
確定日 2012-07-23 
事件の表示 特願2007-221433「GPS探索装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 3月13日出願公開、特開2008- 59587〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年5月18日(パリ条約による優先権主張1993年5月18日、イギリス国)に出願した特願平6-525189号の一部を平成16年11月30日に新たな特許出願とした特願2004-347193号の一部を平成18年2月23日に新たな特許出願とした特願2006-46591号の一部を平成19年8月28日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年2月28日付け手続補正書の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。
「無線伝送から興味がある情報を検索するポータブル装置であって、
前記ポータブル装置の位置を検知する位置決定部と、
少なくとも一つの無線伝送を受信する受信機であって、前記少なくとも一つの無線伝送は、ラジオまたはテレビジョンによるものであり、かつ、前記ポータブル装置の操作から独立しており、かつ、無線伝送された内容に対応し、場所に適合した興味ある情報を含み、前記情報は異種の対象に関するものである受信機と、
前記興味ある情報を選択する手段と、
前記検知した位置に基づき、前記選択された興味ある情報に関連付けられた一またはそれ以上の詳細な情報を検索する検索部と、
前記検索された情報をユーザに提供する提供部と、
を備えているポータブル装置。」

2.当審で通知した拒絶理由に引用した引用例
一方、当審において平成22年8月24日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開平4-294210号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 地球周回軌道に衛星装置を配備して携帯装置が送発する信号をとらえ、位置を測定すると共にその他ナビゲーション情報を得るために、利用者は携帯装置を所持し、電話など通信回線を介してナビゲーション情報センタを呼出し、利用者コードを報知すると共にナビゲーションサービスに関してリクエストを発信し、ナビゲーション情報センタでは衛星装置により信号探索を行い利用者コードが一致する携帯装置を探知し、該探知による位置情報に基づき目的地までの最適ルートなど各種のナビゲーション情報を作成すると共に、それらのナビゲーション情報を携帯装置に返送することを特徴とするナビゲーション方法。」

(イ)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、利用者に対して目的地までの最適ルートなど各種のナビゲーション情報の提供を行うナビゲーション方法に関し、特に利用者が携帯装置を所持してナビゲーション情報を享受するようなナビゲーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】利用者に対して目的地までの最適ルートなど各種のナビゲーション情報の提供を行うことに関しては、従来ナビゲーション装置が知られており、これには全世界測位衛星システム(GPS)と呼ばれるもの、すなわち、地球周回軌道に複数がある衛星装置から地上に向けて放射された電波を受信して自己の位置測定を行うもの等がすでに実用に供されており、航空機,船舶あるいは車両などに装備することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そうした従来のナビゲーション装置にあっては、航空機,船舶等に対する装備を前提としたものなので、このようなナビゲーション装置を携帯可能な形で利用することまではそもそも考慮されておらず、従って装置自体の大きさについては適宜小型化が図られているものの、携帯可能なまでには至っておらず、不満足なものであった。すなわち、ナビゲーションのための位置を割出すには膨大な解析演算があり、解析に必要なコンピュータを含めその他周辺部までのデータベースを携帯可能な大きさにまとめることはほとんど不可能であり、このためナビゲーション装置を携帯して利用することには多くの困難な問題があり、利用者の各人が外出時にパーソナルユース的に使用することはできなかった。
【0004】この発明は、上記のような背景に鑑みてなされたものであり、装置の小型化を格段に図れて装置の携帯を容易化でき、利用者各人に対するパーソナルユース的なナビゲーションを可能にすることができるナビゲーション方法の提供をその目的とする。」

(ウ)「【0014】なお、ナビゲーション情報としては、利用者の現在位置はもちろんのこと、最寄りの駅への道順および目的地に至る交通手段といった目的地までの最適ルートに関するものの他、現在位置周辺の有名店などを検索、表示できるうえにショッピングやレジャー等に関連した、いわば多目的情報等々、利用者の現在位置を把握できさえすれば様々に展開が可能である。
【0015】また、携帯装置2は、上述の携帯電話機能を取外して構成しても良く、この場合ナビゲーション情報センタ3との通信は近隣の公衆電話等を利用することにすれば何ら不都合はなく、携帯電話機能がないので、より一層装置を小型化でき、携帯性に優れる。」

上記(ア)乃至(ウ)及び関連する図面の記載によれば、引用例1には以下の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
「現在位置周辺の有名店などを検索する携帯装置であって、
ナビゲーション情報センタからナビゲーション情報を受信し、前記ナビゲーション情報の受信は、携帯電話機能によるものであり、かつ、その携帯電話機能を前記携帯装置から取外して構成しても良く、かつ、受信された前記ナビゲーション情報は利用者の現在位置周辺の有名店などの情報を含み、
前記現在位置周辺の有名店などを利用者に表示する手段と、
を備えている携帯装置。」

また、上記拒絶の理由に引用した特開昭63-94388号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(エ)「次ぎに、ニュース情報やデーターバンク等の各種情報サービス機関からの情報を選択するに、先ず、第2図に示しホストコンピューター(5)に自己の個人情報を予め登録しておき、報道機関や各種情報サービス機関等の端末機(6)から日々ホストコンピューター(5)に伝送されて来るユーザー用情報の中から、前記登録されている個人情報を基にその個人情報主本人(ユーザー)に適する情報のみを一次選択し、各ユーザーの端末機に伝送する。この場合も、人工知能による専門家システムを活用することが有意義であり、例えば、「7、(職業)」の項目が弁理士であるユーザーA氏に対しては、工業所有権や発明に関する情報を一次選択し「5、(趣味)」の項目が釣のユーザーに関しては、釣情報や釣具の新製品情報を一次選択して伝送する。又、情報サービス機関等から日々送られて来る大量の情報の中から特定の情報(例えば、工業所有権や釣情報)を一次選択する手段としては、各種情報を内容別に分類し(例えば、大分類として1、自然化学,2、法律,3、文学,又、小分類としてa、物理学,b、化学、c、生物学,更に細分類、細々分類、というようにする)、あるユーザーが欲すると思われる分類をその者の個人情報から割り出して、その分類を予め登録しておく。この分類の割り出しには、人工知能を使用した専門家システムの活用が有意義である。次ぎに、報道機関や各種情報ザービス機関において、伝送する情報に予め逐一前記内容別の分類を付してもらい、その状態で分類と共に情報をホストコンピューター(5)まで伝送してもらう。そして、ホストコンピューター(5)で予め登録されている分類に一致する分類が付されている情報のみをピックアップして、各ユーザーの端末機(7)まで伝送する。この場合ホストコンピューター(5)に組み込まれるプログラムを第9図に示す。又、別の手段としては、キーワード検索が考えられる。例えば、ユーザーA氏の場合では、「工業所有権」や「発明」、あるいは、「釣」等のキーワードを割り出し登録しておき、ホストコンピューター(5)に伝送されて来た大量の情報の中から前記キーワードと一致する言葉が含まれていた場合は、その情報をピックアップしてユーザーA氏の端末機(7)まで伝送する。前記キーワードの割り出しは、人工知能を使用した専門家システムの活用が有意義である。又、ニュース等の音声を媒体とする情報に対しキーワード検索するには、音声認識技術が必要であり、第10図に示すいわゆるパターン・マッチング法による音声認識システムを使用するのが好ましい。図中(10)は前処理部、(11)はディジタルフイルタ群、(12)は特徴抽出部、(13)は認識部、(14)は標準パターンメモリー、(15)は標準パターンバッファ、(16)は制御部である。」(第6ページ左下欄14行?第7ページ右上欄7行)

3.対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、以下の対応関係が認められる。
(あ)本願発明の「無線伝送」、及び「無線伝送された内容」が指す技術的内容がやや不明確であるが、本願の請求項1の「少なくとも一つの無線伝送を受信する」、「前記少なくとも一つの無線伝送は、ラジオまたはテレビジョンによるものであり」との記載、及び本願の明細書【0012】の「基本装置は、GPSデータをキーとして使用し、装置内に格納されているデータベース若しくは所定の手段によってこれに取り付けられているデータベース、または電話、ラジオ若しくはテレビ放送などの所定の手段によって受信されるデータベースからディジタル音声を検索するポータブルオーディオ情報システムである。」との記載から、「無線伝送」は「電話、ラジオまたはテレビ放送などの無線による情報の伝送」を指し、「無線伝送された内容」は「電話、ラジオまたはテレビ放送などの無線による情報の伝送手段によって伝送されたデータベースなどの情報」を指すものと解することが相当である。そして、引用例1記載の発明の「ナビゲーション情報」は、ナビゲーション情報センタから携帯装置の携帯電話機能という無線による情報の伝送手段によって伝送される情報であるから、本願発明の「無線伝送」に相当するということができ、また、引用例1記載の発明の「受信されたナビゲーション情報」は本願発明の「無線伝送された内容」に相当するということができる。
(い)引用例1記載の発明の「携帯装置」は、利用者が携帯可能(ポータブル)な装置であり、該携帯装置を用いて利用者が検索する「現在位置周辺の有名店など」はナビゲーション情報に含まれる情報である。したがって、引用例1記載の発明の「携帯装置」は、「無線伝送から情報を検索するポータブル装置」と呼ぶことができる。
(う)引用例1記載の発明の「利用者の現在位置周辺の有名店などの情報」は、携帯端末に受信されたナビゲーション情報(無線伝送された内容)に含まれる、すなわち対応する情報であるといえる。そして該「利用者の現在位置周辺の有名店などの情報」は、場所に適合した情報であって、緯度・経度などの位置情報とは異種の対象に関するものである。そして、引用例1記載の発明の携帯装置は、少なくとも一つの上記ナビゲーション情報を受信する携帯電話機能を有しているので、「受信機」と呼び得るものを備えているということができる。ここで、上記携帯装置は上記携帯電話機能を取外して構成しても良いのであるから、該「受信機」は上記携帯装置の操作と独立しているともいえる。以上により、引用例1記載の発明の「携帯装置」は、「少なくとも一つの無線伝送を受信する受信機であって、前記少なくとも一つの無線伝送は、携帯電話機能によるものであり、かつ前記携帯装置の操作から独立しており、かつ、無線伝送された内容(受信されたナビゲーション情報)に対応し、場所に適合した情報(利用者の現在位置周辺の有名店などの情報)を含み、前記情報は異種の対象に関するものである受信機」を備えているということができる。
次に、引用例1記載の発明の「携帯電話機能」と、本願発明の「ラジオまたはテレビジョン」とは、ともに「無線による情報の伝送手段」である点で共通するから、引用例1記載の発明の「受信機」と本願発明の「受信機」とは、ともに「少なくとも一つの無線伝送を受信する受信機であって、前記少なくとも一つの無線伝送は、無線による情報の伝送手段によるものであり、かつ、前記ポータブル装置の操作から独立しており、かつ、無線伝送された内容に対応し、場所に適合した情報を含み、前記情報は異種の対象に関するものである受信機」である点で共通するといえる。
(え)引用例1記載の発明の「利用者」は本願発明の「ユーザ」に相当するから、引用例1記載の発明の「利用者の現在位置周辺の有名店などの情報を利用者に表示する手段」と本願発明の「前記検索された情報をユーザに提供する提供部」とは、ともに「情報をユーザに提供する提供部」である点で共通する。

したがって、本願発明と引用例1記載の発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「無線伝送から情報を検索するポータブル装置であって、
少なくとも一つの無線伝送を受信する受信機であって、前記少なくとも一つの無線伝送は、無線による情報の伝送手段によるものであり、かつ、前記ポータブル装置の操作から独立しており、かつ、無線伝送された内容に対応し、場所に適合した情報を含み、前記情報は異種の対象に関するものである受信機と、
情報をユーザに提供する提供部と、
を備えているポータブル装置。」である点。

(相違点1)
無線による情報の伝送手段が、本願発明では、「ラジオまたはテレビジョン」であるのに対し、引用例1記載の発明では、「携帯電話機能」であって、「ラジオまたはテレビジョン」でない点。

(相違点2)
本願発明は、「ポータブル装置の位置を検知する位置決定部」を備えているのに対し、引用例1記載の発明は、「ポータブル装置の位置を検知する位置決定部」を備えていない点。

(相違点3)
ポータブル装置が無線伝送から検索する情報が、本願発明では、「興味がある情報」または「興味ある情報」であるのに対し、引用例1記載の発明では、「興味がある情報」または「興味ある情報」であるとは限らない点。

(相違点4)
本願発明は、「興味ある情報を選択する手段」及び「前記検知した位置に基づき、前記選択された興味ある情報に関連付けられた一またはそれ以上の詳細な情報を検索する検索部」を備え、情報提供部は該検索部で検索された情報を提供するものであるのに対し、引用例1記載の発明は、「興味ある情報を選択する手段」及び「前記検知した位置に基づき、前記選択された興味ある情報に関連付けられた一またはそれ以上の詳細な情報を検索する検索手段」を備えておらず、情報提供部は該検索部で検索された情報を提供するものでない点。

4.当審の判断
(1)上記相違点1について
本願出願時において、携帯電話機能、ラジオ、またはテレビジョンは無線による情報の伝送手段として周知の技術であった。このことは、本願の出願当初明細書の【0012】段落にも「電話、ラジオ若しくはテレビ放送などの所定の手段によって受信されるデータベース」と記載されていることからも明らかである。そして、引用例1記載の発明においては、無線による情報の伝送手段として携帯電話機能、ラジオ、及びテレビジョンのいずれの手段を採用しても同じ作用効果が得られることは当業者に自明である。してみると、引用例1記載の発明の無線による情報の伝送手段として周知の「携帯電話機能」を、同様に無線による情報の伝送手段として周知の「ラジオまたはテレビジョン」とすることに格別の困難性を認めることはできない。
よって、引用例1記載の発明において、「携帯電話機能」を、「ラジオまたはテレビジョン」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)上記相違点2について
引用例1記載の発明は、上記(イ)の【0003】段落に「このようなナビゲーション装置を携帯可能な形で利用することまではそもそも考慮されておらず、従って装置自体の大きさについては適宜小型化が図られているものの、携帯可能なまでには至っておらず、不満足なものであった。」と記載されていることから明らかなように、自身の位置測定を行うナビゲーション装置はすでに実用化されているものの、装置自体の大きさが大きく携帯可能なまでには至っていないという事情を考慮して、携帯装置に該ナビゲーション装置を備えないように構成しつつ、該携帯装置自身の位置情報を利用可能とした発明である。しかしながら、技術思想として、利用者が所持する装置において、ナビゲーション装置が有する機能を備えることが排除されるものではなく、また、利用者が所持する装置に対して多機能化かつ小型化が常時指向される技術の流れであることを鑑みれば、引用例1記載の発明の携帯装置がナビゲーション装置が有する機能を備えることに格別の技術的困難性を認めることはできない。
よって、引用例1記載の発明において、携帯装置(ポータブル装置)に、ナビゲーション装置、すなわち「前記ポータブル装置の位置を検知する位置決定部」を備えることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)上記相違点3について
本願発明における「興味がある情報」または「興味ある情報」については、例えば「予めユーザによって設定されたユーザの興味に関する情報に基づいて、抽出された情報」などの限定が無く、単に「興味がある情報」または「興味ある情報」とのみ記載されているところ、引用例1記載の発明の携帯装置が検索する情報においても、利用者にとって当然に「興味がある情報」を含むものであるから、上記相違点3は実質的な相違点とはいえない。
仮に、本願発明の「興味がある情報」または「興味ある情報」が、上記「予めユーザによって設定されたユーザの興味に関する情報に基づいて、抽出された情報」であるとした場合について、本願発明が進歩性を有するかどうかを検討する。
引用例2の上記(エ)によれば、引用例2には以下の技術(以下「引用例2記載の技術」という。)が記載されていると認められる。
「ホストコンピュータに利用者の個人情報を予め登録しておくことで、ホストコンピュータがその利用者に適する情報のみを一次選択して、利用者の端末機に伝送する技術。」

そうすると、引用例1記載の発明において、ナビゲーション情報センタが各種のナビゲーション情報を作成して利用者の携帯装置に伝送する際に、上記引用例2記載の技術が有用であることは当業者にとって自明である。したがって、引用例1記載の発明において、上記引用例2記載の技術を用いて、ナビゲーション情報センタに予め利用者(ユーザ)の個人情報(興味)を登録(設定)しておくことで、その利用者に適する情報(興味がある情報)のみを一時選択して、利用者の携帯装置に伝送する構成とすること、すなわちポータブル装置が検索する情報を「興味がある情報」または「興味ある情報」とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(4)上記相違点4について
引用例1記載の発明において、ポータブル装置が「利用者の現在位置周辺の有名店などの情報」を検索し、表示するに当たり、該ポータブル装置に表示された情報(例えば利用者の現在位置周辺の利用者の興味がある有名店の『店名』)の一つを利用者が選択したら、該一つの情報に関連づけられた詳細な情報(例えば上記有名店の『地図、住所、電話番号など』)を利用者の携帯装置に表示する構成とする程度のことは情報検索を行う利用者がとる行動として当事者が容易に想定し得る範囲内のことである。そして、該検索情報が興味ある情報であれば、関連する詳細な情報のさらなる表示はなお一層のことであり、それを何ら妨げるものではない。
したがって、引用例1記載の発明において、引用例2記載の技術を用いて、「興味ある情報を選択する手段」、及び「前記検知した位置に基づき、前記選択された興味ある情報に関連付けられた一またはそれ以上の詳細な情報を検索する検索部」を備え、表示する手段(情報提供部)に該検索部で検索された情報を表示(提供)することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(5)本願発明の作用効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、引用例2記載の技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(6)審判請求人の主張について
審判請求人は平成23年2月28日付け意見書にて、「例えば、ラジオを聞いていたユーザが、放送されたレストランの名前に反応して、そのレストランに関する情報を選択すると、その位置に対応した当該レストランの情報が提供されます。このようなインタラクティブなポータブル装置は、どの引例にも記載されておらず、まだ、示唆もありません。したがって、本発明は進歩性を有するものです。」と主張している。
しかしながら、上記のような「ラジオを聞いていたユーザが、放送されたレストランの名前に反応して、そのレストランに関する情報を選択すると、その位置に対応した当該レストランの情報が提供されるようなインタラクティブなポータブル装置」は、本願の出願当初明細書にも記載も示唆もない。以下にその理由を述べる。
本願の出願当初明細書には、以下の記載がある。
「【0012】
基本装置は、GPSデータをキーとして使用し、装置内に格納されているデータベース若しくは所定の手段によってこれに取り付けられているデータベース、または電話、ラジオ若しくはテレビ放送などの所定の手段によって受信されるデータベースからディジタル音声を検索するポータブルオーディオ情報システムである。」

「【0048】
詳細(more detail)モード
オーディオモードの場合、場所の詳細がシステムによって音声で提供された時、データベースから画像情報も得られる場合には、ビープまたはプロンプトによってユーザに注意が喚起される。その後、ユーザは、必要ならば画像情報を選択することができる。」

上記記載からは、ラジオなどの所定の手段によって「データベース」が受信されること、ポータブル装置が該ポータブル装置の位置情報(GPSデータ)をキーとして上記データベースを検索すること、及び、検索されてユーザに提供された情報(上記例では「音声による場所の詳細」)に対して、画像情報も提供できることが示されているのみであるから、上記「(4)上記相違点4について」で検討した「利用者の携帯装置に表示された情報(例えば利用者の現在位置周辺の利用者の興味がある有名店の『店名』)の一つを利用者が選択したら、該一つの情報に関連づけられた詳細な情報(例えば上記有名店の『地図、住所、電話番号など』)を利用者の携帯装置に表示する構成とする」こととその機能及び作用効果において格別相違するものではない。そうすると、審判請求人が主張するような「インタラクティブなポータブル装置」、すなわち「ラジオを聞いていたユーザが、何らかの方法でポータブル装置を用いて興味ある情報(そのラジオで放送されたレストランの名前)を選択し、該ポータブル装置が、該ポータブル装置の位置情報と前記興味ある情報との両方をキーとしてデータベースを検索し、詳細な情報(その位置に対応した当該レストランの情報)を提供するポータブル装置」が記載されているとはいえず、また、出願当初明細書のその他の箇所にもそれを示唆するような記述もない。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。

よって、本願発明は引用例1記載の発明、引用例2記載の技術に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明、引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-29 
結審通知日 2011-04-05 
審決日 2011-04-18 
出願番号 特願2007-221433(P2007-221433)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上嶋 裕樹長 由紀子  
特許庁審判長 岩崎 伸二
特許庁審判官 池田 聡史
飯田 清司
発明の名称 GPS探索装置  
代理人 石川 泰男  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ