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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1260334
審判番号 不服2010-13660  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-22 
確定日 2012-07-19 
事件の表示 特願2003-283988「情報提供装置および情報提供方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 2月24日出願公開、特開2005- 50264〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

1.手続の経緯の概要
本願は、
平成15年7月31日付けの出願であって、
平成18年7月28日付けで審査請求がなされると共に、同日付けで手続補正書が提出され、
平成21年9月18日付けで拒絶理由通知(同年同月29日発送)がなされ、
同年11月18日付けで意見書が提出されると共に、同日付けで手続補正書が提出され、
平成22年3月16日付けで拒絶査定(同年同月23日謄本送達)がなされ、
同年6月22日付けで審判請求がされると共に、
同日付けで手続補正書が提出されたものである。

なお、同年8月4日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
平成23年11月29日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(同年12月1日発送)がなされ、これに対して
平成24年1月13日付けで回答書が提出されている。


2.補正の内容
(1)平成21年11月18日付け手続補正
上記平成21年11月18日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するとともに、発明の詳細な説明をこれに合わせて補正するものである。
「 【請求項1】
所定のユーザに情報を提供する情報提供装置において、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信する第1の通信手段と、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段により受信される前記ユーザの個人情報を蓄積する第1の蓄積手段と、
前記第1の蓄積手段により蓄積された前記個人情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成され、前記第2の通信手段により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を基に、前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択する第2の選択手段と、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出手段と
を備え、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の通信手段により受信された場合、前記第2の通信手段は、前記アドレス検出手段により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の選択手段により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信する
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記第2の選択手段は、前記ユーザが所望する提供情報を前記ユーザに提供するために、所定の変換処理が必要であった場合、前記ユーザが所望する提供情報を変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報を蓄積する第2の蓄積手段
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記第2の通信手段は、前記第2の選択手段が前記ユーザの所望する提供情報を選択するために参照した前記ユーザによる操作入力を示す信号を、前記第2の他の情報処理装置のうちの少なくともいずれか1つに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記第1の選択手段により選択された複数の前記提供情報が、異なる前記第1の他の情報処理装置から送信されたものであっても、前記第1の選択手段により選択された複数の前記提供情報が全て記載された前記リストを1つ生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記提供情報の送信元が許可された送信元か否かを検出する検出手段を更に備え、
前記検出手段は、所定の人物または団体を示す人形を、それぞれ認識することが可能なパッドで構成され、前記ユーザが、前記パッドに、前記提供情報の送信元として許可する所定の人物または団体を示す人形を配置することにより、前記提供情報の送信元が許可された送信元であることを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
所定のユーザに情報を提供する情報提供装置の情報提供方法において、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信し、前記提供情報または前記提供情報に関する第1の情報を取得する第1の取得ステップと、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信し、前記ユーザの個人情報を取得する第2の取得ステップと、
前記第2の取得ステップの処理により取得された前記個人情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップの処理により蓄積された前記個人情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択ステップと、
前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記リストを出力する第1の出力ステップと、
前記第1の出力ステップの処理により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を取得する第3の取得ステップと、
前記第3の取得ステップの処理により取得された前記操作入力を基に、前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択して出力する第2の出力ステップと、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出ステップと
を含み、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の取得ステップの処理により受信された場合、前記第2の取得ステップは、前記アドレス検出ステップの処理により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の出力ステップの処理により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信する
ことを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
所定のユーザに情報を提供する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信し、前記提供情報または前記提供情報に関する第1の情報の取得を制御する第1の取得制御ステップと、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信し、前記ユーザの個人情報の取得を制御する第2の取得制御ステップと、
前記第2の取得制御ステップの処理により取得が制御された前記個人情報の蓄積を制御する第1の蓄積制御ステップと、
前記第1の蓄積制御ステップの処理により蓄積が制御された前記個人情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択ステップと、
前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記リストの出力を制御する第1の出力制御ステップと、
前記第1の出力制御ステップの処理により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力の取得を制御する第3の取得制御ステップと、
前記第3の取得制御ステップの処理により取得が制御された前記操作入力を基に、前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択して、出力を制御する第2の出力制御ステップと、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報の検出を制御するアドレス検出制御ステップと
を含み、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の取得制御ステップの処理により受信された場合、前記第2の取得制御ステップは、前記アドレス検出制御ステップの処理により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置への、前記第2の出力制御ステップの処理により選択された前記ユーザが所望する提供情報の送信を制御する
ことを特徴とする処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
所定のユーザに情報を提供する情報提供装置と、
ユーザの個人情報を管理する第1の情報処理装置と、
ユーザに提供される提供情報を映像と音声の少なくとも一方で出力する第2の情報処理装置と
を備える情報提供システムにおいて、
前記情報提供装置は、
前記ユーザに提供される前記提供情報を送信する、少なくとも1つの第3の情報処理装置と通信する第1の通信手段と、
前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置と通信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段により受信される前記ユーザの個人情報を蓄積する第1の蓄積手段と、
前記第1の蓄積手段により蓄積された前記個人情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を基に、前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択する第2の選択手段と、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出手段と
を備え、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の通信手段により受信された場合、前記第2の通信手段は、前記アドレス検出手段により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の選択手段により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信し、
前記第1の情報処理装置は、
前記ユーザの個人情報を蓄積する第2の蓄積手段と、
前記情報提供装置および前記第2の情報処理装置と通信する第3の通信手段と
を備え、
前記第3の通信手段は、前記第2の蓄積手段により蓄積された前記個人情報を、前記情報提供装置に送信し、
第2の情報処理装置は、
前記情報提供装置および前記第1の情報処理装置と通信する第4の通信手段と、
前記情報提供装置から送信され、前記第4の通信手段により受信された、前記提供情報のリストまたは前記提供情報の表示を制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする情報提供システム。」

(2)平成22年6月22日付け手続補正
上記平成22年6月22日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するとともに、発明の詳細な説明をこれに合わせて補正しようとするものである。
「 【請求項1】
所定のユーザに情報を提供する情報提供装置において、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信する第1の通信手段と、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段により受信される前記ユーザを特定するための個人情報と、前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される前記ユーザの嗜好情報とを蓄積する第1の蓄積手段と、
前記第1の蓄積手段により蓄積された前記個人情報および前記嗜好情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成され、前記第2の通信手段により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を基に、前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択する第2の選択手段と、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出手段と
を備え、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の通信手段により受信された場合、前記第2の通信手段は、前記アドレス検出手段により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の選択手段により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信する
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記第2の選択手段は、前記ユーザが所望する提供情報を前記ユーザに提供するために、所定の変換処理が必要であった場合、前記ユーザが所望する提供情報を変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報を蓄積する第2の蓄積手段
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記第2の通信手段は、前記第2の選択手段が前記ユーザの所望する提供情報を選択するために参照した前記ユーザによる操作入力を示す信号を、前記第2の他の情報処理装置のうちの少なくともいずれか1つに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記第1の選択手段により選択された複数の前記提供情報が、異なる前記第1の他の情報処理装置から送信されたものであっても、前記第1の選択手段により選択された複数の前記提供情報が全て記載された前記リストを1つ生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記提供情報の送信元が許可された送信元か否かを検出する検出手段を更に備え、
前記検出手段は、所定の人物または団体を示す人形を、それぞれ認識することが可能なパッドで構成され、前記ユーザが、前記パッドに、前記提供情報の送信元として許可する所定の人物または団体を示す人形を配置することにより、前記提供情報の送信元が許可された送信元であることを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
所定のユーザに情報を提供する情報提供装置の情報提供方法において、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信し、前記提供情報または前記提供情報に関する第1の情報を取得する第1の取得ステップと、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信し、前記ユーザを特定するための個人情報と、前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される前記ユーザの嗜好情報とを取得する第2の取得ステップと、
前記第2の取得ステップの処理により取得された前記個人情報および前記嗜好情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップの処理により蓄積された前記個人情報および前記嗜好情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択ステップと、
前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記リストを出力する第1の出力ステップと、
前記第1の出力ステップの処理により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を取得する第3の取得ステップと、
前記第3の取得ステップの処理により取得された前記操作入力を基に、前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択して出力する第2の出力ステップと、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出ステップと
を含み、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の取得ステップの処理により受信された場合、前記第2の取得ステップは、前記アドレス検出ステップの処理により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の出力ステップの処理により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信する
ことを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
所定のユーザに情報を提供する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信し、前記提供情報または前記提供情報に関する第1の情報の取得を制御する第1の取得制御ステップと、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信し、前記ユーザを特定するための個人情報と、前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される前記ユーザの嗜好情報との取得を制御する第2の取得制御ステップと、
前記第2の取得制御ステップの処理により取得が制御された前記個人情報および前記嗜好情報の蓄積を制御する第1の蓄積制御ステップと、
前記第1の蓄積制御ステップの処理により蓄積が制御された前記個人情報および前記嗜好情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択ステップと、
前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記リストの出力を制御する第1の出力制御ステップと、
前記第1の出力制御ステップの処理により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力の取得を制御する第3の取得制御ステップと、
前記第3の取得制御ステップの処理により取得が制御された前記操作入力を基に、前記第1の選択ステップの処理により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択して、出力を制御する第2の出力制御ステップと、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報の検出を制御するアドレス検出制御ステップと
を含み、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の取得制御ステップの処理により受信された場合、前記第2の取得制御ステップは、前記アドレス検出制御ステップの処理により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置への、前記第2の出力制御ステップの処理により選択された前記ユーザが所望する提供情報の送信を制御する
ことを特徴とする処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
所定のユーザに情報を提供する情報提供装置と、
ユーザを特定するための個人情報と、前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される前記ユーザの嗜好情報とを管理する第1の情報処理装置と、
ユーザに提供される提供情報を映像と音声の少なくとも一方で出力する第2の情報処理装置と
を備える情報提供システムにおいて、
前記情報提供装置は、
前記ユーザに提供される前記提供情報を送信する、少なくとも1つの第3の情報処理装置と通信する第1の通信手段と、
前記第1の情報処理装置および前記第2の情報処理装置と通信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段により受信される前記ユーザの個人情報および嗜好情報を蓄積する第1の蓄積手段と、
前記第1の蓄積手段により蓄積された前記個人情報および前記嗜好情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を基に、前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択する第2の選択手段と、
前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出手段と
を備え、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の通信手段により受信された場合、前記第2の通信手段は、前記アドレス検出手段により検出された前記アドレス情報を基に、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の選択手段により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信し、
前記第1の情報処理装置は、
前記ユーザの個人情報および嗜好情報を蓄積する第2の蓄積手段と、
前記情報提供装置および前記第2の情報処理装置と通信する第3の通信手段と
を備え、
前記第3の通信手段は、前記第2の蓄積手段により蓄積された前記個人情報および前記嗜好情報を、前記情報提供装置に送信し、
第2の情報処理装置は、
前記情報提供装置および前記第1の情報処理装置と通信する第4の通信手段と、
前記情報提供装置から送信され、前記第4の通信手段により受信された、前記提供情報のリストまたは前記提供情報の表示を制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする情報提供システム。」



第2.平成22年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年6月22日付けの手続補正を却下する。


[理由]
1.本件補正の内容
平成22年6月22日付けの手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、特許請求の範囲について、上記第1.2(1)記載の特許請求の範囲から、上記第1.2(2)記載の特許請求の範囲に補正しようとするものである。


2.本件補正の目的について
(1)本件補正は、本件補正前の請求項1における「第1の蓄積手段」が蓄積する「ユーザの個人情報」を「ユーザを特定するための個人情報と、前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される前記ユーザの嗜好情報」に変更するとともに、本件補正前の請求項1における「第1の選択手段」が行う選択の基となる「ユーザの個人情報」を「前記個人情報および前記嗜好情報」に変更するものである。
(2)本件補正前の「個人情報」と本件補正後の「個人情報」及び「嗜好情報」との関係について検討するに、本件補正前後の特許請求の範囲の記載からは、以下のような複数の解釈ができる。
解釈1:本件補正前の「個人情報」と本件補正後の「個人情報」は同じものを意味し、本件補正は、該「個人情報」が「ユーザを特定するための」もので有る旨の説明を付加するとともに、「第1の蓄積手段」には該「個人情報」とは別に「嗜好情報」も蓄積し、「第1の選択手段」での「選択」は「嗜好情報」をも基にするものであると言う事項を追加するものである。
解釈2:本件補正前の「個人情報」は本件補正後の「個人情報」の上位概念に相当するものであり、本件補正は、該「個人情報」をその下位概念の「ユーザを特定するための」ものに限定するとともに、「第1の蓄積手段」には該「個人情報」とは別に「嗜好情報」も蓄積し、「第1の選択手段」での「選択」は「嗜好情報」をも基にするものであると言う事項を追加するものである。
解釈3:本件補正前の「個人情報」は本件補正後の「個人情報」及び「嗜好情報」の上位概念に相当するものであり、本件補正は、該本件補正前の「個人情報」をその下位概念である「ユーザを特定するための個人情報」と「嗜好情報」からなるものに限定するものである。

(3)本件補正前後の特許請求の範囲の記載のみからは、上記いずれのものに解釈すべきかは明確に判断し得るものでないが、本願の発明の詳細な説明の段落【0096】の「ここで、個人関連情報とは、単に、名前、住所などそのユーザを特定するための情報だけでなく、嗜好情報、認証情報、他の人からもらった情報などを含む、そのユーザに関連するさまざまな情報の集合を意味する。」との記載や上記平成24年1月13日付けの回答書の釈明を参酌すれば、本件補正前の「個人情報」は段落【0096】の記載中の「個人関連情報」を意味することを意図した記載であり、本件補正後の「個人情報」「嗜好情報」は、それぞれ、同記載中の「名前、住所などそのユーザを特定するための情報」「嗜好情報」を意味することを意図した記載であると理解することができ、本件補正は、本件補正前の請求項1記載の発明を特定するための事項(以下「発明特定事項」と記す。)であるところの「個人情報」をより下位の「個人情報」及び「嗜好情報」に限定するもの、すなわち解釈3の補正を意図したものと解することができる。
そして、この限定によって、本件補正前後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
さらに、このことは、請求項7、8、9に係る補正についても言える。
したがって、本件補正の目的は、請求項に記載した発明特定事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下「限定的減縮」と記す。)に該当し、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられる事項を目的とするものであると解することができる。


3.独立特許要件について
上記2.のとおり、本件補正は限定的減縮を目的とするものであると解することができるので、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。


3-1.本件補正発明
本件補正発明は、上記第1.2(2)において【請求項1】として記載したとおりのものである。


3-2.先行技術

(1)引用文献
本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成21年9月18日付けの拒絶理由通知において引用された、下記引用文献には、下記引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)


<引用文献>
特開2003-108590号公報(平成15年4月11日出願公開)

<引用文献記載事項1>
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信回線を介して配信された新聞、雑誌等のコンテンツを受信し、受信したコンテンツを閲覧するための家庭用機器に送出するホームサーバと、
このホームサーバが受信したコンテンツを一時蓄積するコンテンツ記憶装置とを備えたコンテンツ管理方式であって、配信が要求された、上記コンテンツのジャンルを示すキーワード毎に、上記コンテンツの閲覧制御を行う配信キーワードテーブルを予め上記コンテンツ記憶装置のインデックス情報保存部に保存し、
上記キーワードが付加されている上記コンテンツを受信した際に、上記ホームサーバが、上記コンテンツに付加されているキーワードと上記配信キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、受信した上記コンテンツのファイル管理を行う配信管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記配信管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツを上記コンテンツ記憶装置のコンテンツ蓄積部に一時蓄積し、
受信した上記コンテンツの閲覧指示を受けた際に、上記ホームサーバが、上記配信キーワードテーブルと上記配信管理テーブルを参照して、上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツを読み出して上記家庭用機器に送出することを特徴とするコンテンツ管理方式。
【請求項2】 ホームサーバが、テレビ、ファクシミリ又はパソコンのいずれかの家庭用機器にコンテンツを送出することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ管理方式。
【請求項3】 保存が要求された、コンテンツのジャンルを示すキーワード毎に、上記コンテンツの保存制御を行う保存キーワードテーブルを予めインデックス情報保存部に保存し、
ホームサーバが、コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツに付加されているキーワードと上記保存キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、保存するコンテンツのファイル管理を行う保存管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記保存管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツをコンテンツ記憶装置のコンテンツ保存部に保存することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ管理方式。
【請求項4】 配信キーワードテーブルに、キーワード毎に受信したコンテンツの表示順序と表示時間を予め記録し、
保存キーワードテーブルに、キーワード毎にコンテンツ保存部に保存するコンテンツの保存期間を予め記録し、
ホームサーバが、配信管理テーブル及び保存管理テーブルに、キーワード毎に、コンテンツを受信した配信日付、同一のキーワードが複数存在する場合の一連番号、上記コンテンツのファイル名を記録することを特徴とする請求項3記載のコンテンツ管理方式。
【請求項5】 ホームサーバが、受信したコンテンツの自動表示モードでの閲覧の指示を受けた際に、配信キーワードテーブルに記録されている表示順序及び表示時間と、配信管理テーブルに記憶されているファイル名を参照して、コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツを読み出して家庭用機器に出力することを特徴とする請求項4記載のコンテンツ管理方式。
【請求項6】 ホームサーバが、コンテンツ保存部に保存されているコンテンツの閲覧の指示を受けた際に、保存管理テーブルの一覧を、保存されているコンテンツのメニューとして家庭用機器に出力し、選択されたメニューに対応したファイル名を参照して、上記コンテンツ保存部に保存されているコンテンツを読み出して家庭用機器に出力することを特徴とする請求項4記載のコンテンツ管理方式。
【請求項7】 ホームサーバが、配信管理テーブルに記録されている配信日付を参照し、上記配信管理テーブルとコンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツのメンテナンスを行うことを特徴とする請求項4記載のコンテンツ管理方式。
【請求項8】 ホームサーバが、保存管理テーブルに記録されている配信日付と保存キーワードテーブルに記録されている保存期間を参照し、上記保存管理テーブルとコンテンツ保存部に保存されているコンテンツのメンテナンスを行うことを特徴とする請求項4記載のコンテンツ管理方式。
【請求項9】 ホームサーバが、コンテンツ保存部に保存されているコンテンツのメンテナンスの指示を受けた際に、保存管理テーブルの一覧を、保存されているコンテンツのメニューとして家庭用機器に出力し、選択されたメニューに対応して、上記保存管理テーブルと上記コンテンツ保存部に保存されているコンテンツのメンテナンスを行うことを特徴とする請求項4記載のコンテンツ管理方式。」

<引用文献記載事項2>
「【0019】図2は家庭に設置されたホームサーバ3とコンテンツ記憶装置5の構成を示すブロック図である。図において、31は通信回線9を介して配信サーバ1にコンテンツ配信の要求を送信したり、配信サーバ1から配信されたコンテンツを受信する通信手段、32は通信手段31が受信したコンテンツを管理するコンテンツ管理手段、33はコンテンツ管理手段32が管理しているコンテンツを家庭用電子機器に送出する送出手段、34はユーザの指示により通信手段31、コンテンツ管理手段32、送出手段33を制御するサーバ制御手段である。
【0020】また、図2において、36はホームサーバ3とTV6を接続するビデオインタフェースを有するビデオ端子、37はホームサーバ3とFax7を接続するアナログ回線インタフェースを有するアナログ電話端子、38はホームサーバ3とPC8を接続するLANインタフェースを有するLAN端子である。
【0021】このように、ホームサーバ3は、通信手段31、コンテンツ管理手段32、送出手段33、サーバ制御手段34、ビデオ端子36、アナログ電話端子37、LAN端子38により構成されている。
【0022】さらに、図2において、41はユーザがホームサーバ3を制御するために指示を入力するコンソール、42はユーザがTV6を使用してコンテンツを閲覧する場合に、出力するコンテンツの巻き戻しや早送り等を指示するためのビデオ制御装置である。
【0023】さらに、図2において、51は受信したコンテンツを一時的に蓄積するコンテンツ記憶装置5内のコンテンツ蓄積部、52はコンテンツのジャンルを示すキーワード毎に閲覧制御や保存制御を行うためのキーワードテーブルと、受信したコンテンツを管理するための管理テーブルを保存するコンテンツ記憶装置5内のインデックス情報保存部、53は配信されたコンテンツのうちで長期保存用のコンテンツを保存するコンテンツ記憶装置5内のコンテンツ保存部である。」

<引用文献記載事項3>
「【0067】図11は保存されたコンテンツを閲覧する手順を示すフローチャートである。ステップST91において、ユーザはコンソール41を使用してホームサーバ3に、保存されたコンテンツの閲覧指示と、閲覧する場合のTV6、Fax7、PC8の家庭用機器を指定する。この閲覧指示と家庭用機器の指定は、サーバ制御手段34を介してコンテンツ管理手段32、送出手段33に通知される。
【0068】ステップST92において、ユーザはコンソール41を使用してホームサーバ3に、保存されたコンテンツのメニュー出力を指示する。このメニュー出力の指示は、サーバ制御手段34を介してコンテンツ管理手段32と送出手段33に通知される。ステップST93において、コンテンツ管理手段32はインデックス情報保存部52に保存されている保存管理テーブル52dを検索する。
【0069】ステップST94において、送出手段33は、コンテンツ管理手段32が検索した保存管理テーブル52dの一覧を保存されたコンテンツのメニューとして、ステップST91で指定された家庭用機器に、ビデオ端子36又はアナログ電話端子37又はLAN端子38を介して出力する。このコンテンツのメニューは、家庭用機器としてTV6やPC8を使用する場合にはTV6やPC8の画面に表示され、家庭用機器としてFax7が使用される場合には印字される。
【0070】ステップST95において、ユーザは家庭用機器に出力されたコンテンツのメニューの中から閲覧するメニューを選択する。このメニューの選択は、ユーザがコンソール41を使用して表示又は印字されているファイル名529をホームサーバ3に指定することで行われ、指定されたファイル名529は、サーバ制御手段34を介してコンテンツ管理手段32に通知される。
【0071】ステップST96において、コンテンツ管理手段32は、指定されたファイル名529のコンテンツをコンテンツ保存部53から読み出し、送出手段33は、読み出されたコンテンツを、ステップST91で指定された家庭用機器に、ビデオ端子36又はアナログ電話端子37又はLAN端子38を介して出力する。以上のようにして、ユーザは保存されたコンテンツをユーザが指定する家庭用機器により閲覧することができる。
【0072】上記ステップST96において、家庭用機器としてTV6を使用する場合に、ユーザはビデオ制御装置42により、出力されるコンテンツの早送りや、巻き戻し、一時停止等の制御を行うこともできる。」

<引用文献記載事項4>
「【0073】図12はキーワードの登録処理を示すフローチャートである。これは、図6に示す配信キーワードテーブル52a及び保存キーワードテーブル52bにキーワードを登録する場合の処理を示している。ステップST101において、ユーザはコンソール41を使用して、ユーザが希望するコンテンツのジャンルを示すキーワードを入力して、ホームサーバ3にキーワードの登録を指示する。このユーザからの指示はサーバ制御手段34を介してコンテンツ管理手段32に通知される。
【0074】ステップST102において、ユーザからの指示が配信を要求するコンテンツのキーワードである場合に、ステップST103において、コンテンツ管理手段32はインデックス情報保存部52の配信キーワードテーブル52aをアクセスし、ユーザから入力されたキーワードが登録済みであるかを確認し、登録済みであれば処理を終了する。
【0075】ステップST103で登録済みでなければ、ステップST104において、コンテンツ管理手段32は送出手段33とユーザが使用している家庭用機器を介して、ユーザにコンテンツの表示順序と表示時間の指定を促し、ユーザがコンソール41を使用して表示順序と表示時間を指定する。
【0076】ステップST105において、コンテンツ管理手段32は、ステップST101で入力されたキーワードと、ステップST104で指定された表示順序と表示時間を、インデックス情報保存部52の配信キーワードテーブル52aに、キーワード521、表示順序522、表示時間523として登録する。
【0077】一方、ステップST102で、ユーザからの指示が保存を要求するコンテンツのキーワードである場合に、ステップST106において、コンテンツ管理手段32はインデックス情報保存部52の保存キーワードテーブル52bをアクセスし、ユーザから入力されたキーワードが登録済みであるかを確認し、登録済みであれば処理を終了する。
【0078】ステップST106で登録済みでなければ、ステップST107において、コンテンツ管理手段32は送出手段33とユーザが使用している家庭用機器を介して、ユーザにコンテンツの保存期間の指定を促し、ユーザがコンソール41を使用して保存期間を指定する。
【0079】ステップST108において、コンテンツ管理手段32は、ステップST101で入力されたキーワードと、ステップST107で指定された保存期間を、インデックス情報保存部52の保存キーワードテーブル52bに、キーワード524、保存期間525として登録する。
【0080】以上のようにして、ユーザが配信を要求するコンテンツのキーワード及びユーザが保存を要求するコンテンツのキーワードが、インデックス情報保存部52の配信キーワードテーブル52a及び保存キーワードテーブル52bにそれぞれ登録される。」


(2)参考文献
本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となされた下記参考文献には、それぞれ、下記参考文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)


<参考文献1>
特開2003-32660号公報(平成15年1月31日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【0036】また、ユーザプロファイルデータベース106cは、利用者に関する情報等を格納する利用者情報格納手段である。このユーザプロファイルデータベース106cに格納される情報は、利用者を一意に識別するための利用者識別情報、利用者の各種の属性に関する基本情報(例えば、氏名、住所、電子メールアドレス、年齢等)、利用者の嗜好に関する嗜好情報(利用者識別情報、カテゴリ識別情報、重み情報等)等を相互に関連付けて構成されている。」

<参考文献記載事項1-2>
「【0071】また図16に示すように、一例として、あるユーザが女優のカテゴリ情報に分類される「Audrey」に関心があるとする場合においては、初期編集処理部102aは、その上位カテゴリの映画女優カテゴリ、映画俳優カテゴリ、映画情報カテゴリの上昇分ポイントをカテゴリの総数比により算出し、ユーザの嗜好テーブルに反映してもよい(例えば、女優に20ポイント、映画俳優に15ポイント、映画に10ポイントを付加してユーザプロファイルデータベース106cに登録する)。」


<参考文献2>
特開2002-184157号公報(平成14年6月28日出願公開)

<参考文献記載事項2-1>
「【0261】追加属性の表現
下記の記述は、ここに参照するXML(Extensible MarkupLanguage)で表現される。任意の他の言語も同様に用いることができる。ユーザ好み記述の定義は次の通りである。
・・・中略・・・
【0265】ユーザID記述は、ユーザ記述スキームの特定例を、他のユーザの例又は同一ユーザの異なる使用条件及び状況における例から区別する識別子の目的を果たす。ユーザネーム記述子は、特定のユーザを他のユーザから識別する。家庭での設定の場合、その一家のメンバーが通常の条件で使用する全ての機器に対し、その一家の各メンバーが、その家庭で唯一のユーザネームを使用することで識別することができる。ユーザネームは、個人だけでなく例えば家族のような人のグループのユーザ記述スキームを区別するためにも使用できる。(ホテルの部屋又はレンタカー内の装置のように)多数の違った人達により一時的な条件で使用する機器は、識別の一意性を確保するために一時的なセッション識別票を使用者に割り当てる。」

<参考文献記載事項2-2>
「【0283】フィルタリング・サーチ好み記述は、複数の特定の個人により好評を受けているプログラムのサーチをユーザが望んでいることを表現する選択レビューの記述を含むことができる。例えば、映画評論家シスケルとエバートが評論し推薦した映画に対する好みをフィルタリング及びサーチ好み記述内に記述して含めることができる。なお、図29に、全体の記述スキームの概観を示す。」

<参考文献記載事項2-3>
「【0292】図33は、個々の好みの実施例を示す図である。ユーザの好み記述は、個々の好み或いは複数の好みを記述する原始要素を含むことができる。個人の好みは、一般に、“name:value(名称:値)”対の用語で定義される。名称成分は、1セットの好み名称の中の1つである。値のドメインは、符号及び自由なテキスト形式のような名称に依って変化する。」


<参考文献3>
特表2001-519951号公報(平成13年10月23日公表)

<参考文献記載事項3-1>「位置更新
図4を参照すると、位置更新部2が位置更新メッセージを送るのは、ユーザが位置更新部で登録をするときの位置更新部2が固定されている場合と、先の位置更新以降、位置更新部を保持しているユーザが所定の閾値の距離を移動するときの位置更新部が移動する場合とである。
パーソナルエージェントはユーザの新しい位置を受取ると、位置更新、またはユーザが端末にログオンするために、段階102でパーソナルエージェントはユーザの位置記録を更新し、段階104で位置ディレクトリ(LD)から新しい位置サービスリストを要求する。
位置サービスリスト要求を受取ると、位置ディレクトリは記憶された端末の局所性の記録と記憶された情報源の局所性の記録との地理的な共通部分に対するサーチを行い、位置サービスリストを生成して、該位置サービスリストはユーザの位置と関係する全ての情報源の情報源記述とユーザの位置と関係する局所性をもつ全ての端末の端末記述とを提供する。情報源記述は、情報源の名前、その内容の要約、そのアドレス、およびその局所性の記録を含む。端末記述は端末のネットワークアドレスを含む。
コンパイルされるとき、位置サービスリストはパーソナルエージェントへ送られ、段階106で該パーソナルエージェントは位置サービスリストを受取る。このリストから以下でさらに詳しく記載するように、段階108でパーソナルエージェントは情報源のショートリストを生成することができ、段階110でユーザによって情報を受領する適切な端末を選択する。
端末を選定すると、段階112でパーソナルエージェントはショートリストの情報を選定された端末の端末エージェント(TA)へ送る。
この点で、ユーザはショートリスト上に詳細に記載された情報にアクセスでき、該ショートリストはユーザが同じ位置に留まる限り有効である。ユーザが新しい位置に移動するとき、パーソナルエージェントは、この位置更新部から新しいユーザの位置を受取り、段階100へ戻る。
位置は必ずしも地理的な位置でなくてもよいことに注意すべきである。例えば、電車のような輸送手段に特定の位置を割り当てて、ユーザのパーソナルエージェントが乗車したときにユーザにとって重要であると考える情報を選定できるようにすることも適切である。このような情報は例えば移動接続情報でもよい。
位置が地理的な位置であるとき、パーソナルエージェントによって選定される情報のタイプは、ローカルエリア内のサービス、ローカルエリア内の他のユーザ(友人)(この意味で、パーソナルエージェントは、同じ局所性において重要な当事者へ分散するための位置ディレクトリをもつ各情報を登録することによって情報エージェントとして機能することもできる)、地方の観光情報、などであってもよい。」(第19頁第21行?第21頁第1行)


<参考文献4>
森原一郎,「モバイル環境におけるエージェント通信技術の応用」,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,1996年12月17日,第96巻,第433号,p.9-14

<参考文献記載事項4-1>
「現状の多くの電子メールサービスでは、受信したメールについて様々な処理を自動的に行うよう指定することができる。例えば、特定の送信者やタイトルのメールを自動的に削除したり、別の人のメールボックスやFAXに転送したりすることが可能である。しかし、緊急メールなどを外出時にも受け取れるようにしようとすると、外出の度に外出先のFAXへ転送するよう指定したり、pagerでメール到着を通知するよう指定する必要があり、これは、ユーザにとって非常にわずらわしいことである。
通常、ユーザは個人のスケジュール情報やアドレス情報を作成・管埋している。インテリジェントメールシステムでは、スケジュール情報などから緊急メール受信時に受信者がどこにいるかをエージェントが自動的に判断し、アドレス情報からその場所への通信手段を判断する。これによって、ユーザは、転送先を逐一指定する必要がなくなる。尚、ユーザにメールの到着を通知しようとして失敗した場合は、別の連絡先や通信手段を探してできるだけ早く通知できるようにしている。
このように、エージェント通信技術を利用することによって、ユーザはエージェントに対してメールの自動転送を一度依頼しておくだけで、メールの転送先を逐一入力するというわずらわしさから解放されることになる。」(第13頁左欄第16行?同頁右欄第21行)


3-3.引用発明の認定

(1)引用文献には、上記引用文献記載事項1の【請求項1】冒頭に記載の如き「通信回線を介して配信された新聞、雑誌等のコンテンツを受信し、受信したコンテンツを閲覧するための家庭用機器に送出するホームサーバと、
このホームサーバが受信したコンテンツを一時蓄積するコンテンツ記憶装置とを備えたコンテンツ管理方式」
が記載されているところ、該「コンテンツ管理方式」は【請求項1】に続いて記載されるごとく
「配信が要求された、上記コンテンツのジャンルを示すキーワード毎に、上記コンテンツの閲覧制御を行う配信キーワードテーブルを予め上記コンテンツ記憶装置のインデックス情報保存部に保存し、
上記キーワードが付加されている上記コンテンツを受信した際に、上記ホームサーバが、上記コンテンツに付加されているキーワードと上記配信キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、受信した上記コンテンツのファイル管理を行う配信管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記配信管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツを上記コンテンツ記憶装置のコンテンツ蓄積部に一時蓄積し、
受信した上記コンテンツの閲覧指示を受けた際に、上記ホームサーバが、上記配信キーワードテーブルと上記配信管理テーブルを参照して、上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツを読み出して上記家庭用機器に送出」するものであり、
さらに同【請求項3】【請求項6】記載のごとく
「保存が要求された、コンテンツのジャンルを示すキーワード毎に、上記コンテンツの保存制御を行う保存キーワードテーブルを予め上記インデックス情報保存部に保存し、
上記ホームサーバが、上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツに付加されているキーワードと上記保存キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、保存するコンテンツのファイル管理を行う保存管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記保存管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツをコンテンツ記憶装置のコンテンツ保存部に保存し、
上記ホームサーバが、コンテンツ保存部に保存されているコンテンツの閲覧の指示を受けた際に、上記保存管理テーブルの一覧を、保存されているコンテンツのメニューとして家庭用機器に出力し、選択されたメニューに対応したファイル名を参照して、上記コンテンツ保存部に保存されているコンテンツを読み出して家庭用機器に出力する」ことも、記載されている。

(2)上記引用文献記載事項2の段落【0019】【0020】【0022】等の記載から、
「上記ホームサーバは、通信回線を介して配信サーバにコンテンツ配信の要求を送信したり、該配信サーバから配信されたコンテンツを受信する通信手段と、
上記通信手段が受信したコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、
該コンテンツ管理手段が管理しているコンテンツを上記家庭用電子機器に送出する送出手段と、
ユーザの指示により上記通信手段、上記コンテンツ管理手段、及び上記送出手段を制御するサーバ制御手段と、
当該ホームサーバとTVを接続するビデオインタフェースを有するビデオ端子と、
当該ホームサーバとFaxを接続するアナログ回線インタフェースを有するアナログ電話端子と、
当該ホームサーバとPCを接続するLANインタフェースを有するLAN端子とを有し、
ユーザが当該ホームサーバを制御するために指示を入力するコンソールと接続されて」いると言える。

(3)上記引用文献記載事項3から、
「上記コンテンツ保存部に保存されているコンテンツを読み出して家庭用機器に出力する処理は
ユーザが上記コンソールを使用して上記ホームサーバに、保存されたコンテンツの閲覧指示と、閲覧する場合のTV、Fax、PCの家庭用機器を指定し、
この閲覧指示と家庭用機器の指定が、上記サーバ制御手段を介してコンテンツ管理手段、送出手段に通知され、
ユーザが上記コンソールを使用して上記ホームサーバに、保存されたコンテンツのメニュー出力を指示し、
このメニュー出力の指示は、上記サーバ制御手段を介して上記コンテンツ管理手段と上記送出手段に通知され、
コンテンツ管理手段が上記インデックス情報保存部に保存されている上記保存管理テーブルを検索し、
上記送出手段が、上記コンテンツ管理手段が検索した上記保存管理テーブルの一覧を保存されたコンテンツのメニューとして、上記指定された家庭用機器に、上記ビデオ端子又は上記アナログ電話端子又は上記LAN端子を介して出力し、
ユーザが上記家庭用機器に出力されたコンテンツのメニューの中から閲覧するメニューを選択し、このメニューの選択は、ユーザがコンソールを使用して表示又は印字されているファイル名を上記ホームサーバに指定することで行われ、指定されたファイル名が、サーバ制御手段を介して上記コンテンツ管理手段に通知され、
上記コンテンツ管理手段が、指定されたファイル名のコンテンツをコンテンツ保存部から読み出し、上記送出手段が、読み出されたコンテンツを、上記指定された家庭用機器に、上記ビデオ端子又は上記アナログ電話端子又は上記LAN端子を介して出力すると言う手順でなされるもの」であると言える。

(4)上記引用文献記載事項4から、
「上記配信キーワードテーブル及び保存キーワードテーブルは、ユーザが上記コンソールを使用して、ユーザが希望するコンテンツのジャンルを示すキーワードを入力して、上記ホームサーバにキーワードの登録を指示することで該キーワードが登録されるもの」
であると言える。

(5)よって、引用文献には、下記引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「通信回線を介して配信された新聞、雑誌等のコンテンツを受信し、受信したコンテンツを閲覧するための家庭用機器に送出するホームサーバと、
このホームサーバが受信したコンテンツを一時蓄積するコンテンツ記憶装置とを備えたコンテンツ管理方式であって、

該コンテンツ管理方式は
配信が要求された、上記コンテンツのジャンルを示すキーワード毎に、上記コンテンツの閲覧制御を行う配信キーワードテーブルを予め上記コンテンツ記憶装置のインデックス情報保存部に保存し、
上記キーワードが付加されている上記コンテンツを受信した際に、上記ホームサーバが、上記コンテンツに付加されているキーワードと上記配信キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、受信した上記コンテンツのファイル管理を行う配信管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記配信管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツを上記コンテンツ記憶装置のコンテンツ蓄積部に一時蓄積し、
受信した上記コンテンツの閲覧指示を受けた際に、上記ホームサーバが、上記配信キーワードテーブルと上記配信管理テーブルを参照して、上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツを読み出して上記家庭用機器に送出し、

保存が要求された、コンテンツのジャンルを示すキーワード毎に、上記コンテンツの保存制御を行う保存キーワードテーブルを予め上記インデックス情報保存部に保存し、
上記ホームサーバが、上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツに付加されているキーワードと上記保存キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、保存するコンテンツのファイル管理を行う保存管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記保存管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツをコンテンツ記憶装置のコンテンツ保存部に保存し、

上記ホームサーバが、コンテンツ保存部に保存されているコンテンツの閲覧の指示を受けた際に、上記保存管理テーブルの一覧を、保存されているコンテンツのメニューとして家庭用機器に出力し、選択されたメニューに対応したファイル名を参照して、上記コンテンツ保存部に保存されているコンテンツを読み出して家庭用機器に出力するものであり、

上記ホームサーバは、通信回線を介して配信サーバにコンテンツ配信の要求を送信したり、該配信サーバから配信されたコンテンツを受信する通信手段と、
上記通信手段が受信したコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、
該コンテンツ管理手段が管理しているコンテンツを上記家庭用電子機器に送出する送出手段と、
ユーザの指示により上記通信手段、上記コンテンツ管理手段、及び上記送出手段を制御するサーバ制御手段と、
当該ホームサーバとTVを接続するビデオインタフェースを有するビデオ端子と、
当該ホームサーバとFaxを接続するアナログ回線インタフェースを有するアナログ電話端子と、
当該ホームサーバとPCを接続するLANインタフェースを有するLAN端子とを有し、
ユーザが当該ホームサーバを制御するために指示を入力するコンソールと接続されており、

上記コンテンツ保存部に保存されているコンテンツを読み出して家庭用機器に出力する処理は
ユーザが上記コンソールを使用して上記ホームサーバに、保存されたコンテンツの閲覧指示と、閲覧する場合のTV、Fax、PCの家庭用機器を指定し、
この閲覧指示と家庭用機器の指定が、上記サーバ制御手段を介してコンテンツ管理手段、送出手段に通知され、
ユーザが上記コンソールを使用して上記ホームサーバに、保存されたコンテンツのメニュー出力を指示し、
このメニュー出力の指示は、上記サーバ制御手段を介して上記コンテンツ管理手段と上記送出手段に通知され、
コンテンツ管理手段が上記インデックス情報保存部に保存されている上記保存管理テーブルを検索し、
上記送出手段が、上記コンテンツ管理手段が検索した上記保存管理テーブルの一覧を保存されたコンテンツのメニューとして、上記指定された家庭用機器に、上記ビデオ端子又は上記アナログ電話端子又は上記LAN端子を介して出力し、
ユーザが上記家庭用機器に出力されたコンテンツのメニューの中から閲覧するメニューを選択し、このメニューの選択は、ユーザがコンソールを使用して表示又は印字されているファイル名を上記ホームサーバに指定することで行われ、指定されたファイル名が、サーバ制御手段を介して上記コンテンツ管理手段に通知され、
上記コンテンツ管理手段が、指定されたファイル名のコンテンツをコンテンツ保存部から読み出し、上記送出手段が、読み出されたコンテンツを、上記指定された家庭用機器に、上記ビデオ端子又は上記アナログ電話端子又は上記LAN端子を介して出力すると言う手順でなされるものであり、

上記配信キーワードテーブル及び保存キーワードテーブルは、ユーザが上記コンソールを使用して、ユーザが希望するコンテンツのジャンルを示すキーワードを入力して、上記ホームサーバにキーワードの登録を指示することで該キーワードが登録されるものである

コンテンツ管理方式。」


3-4.対比
以下、本件補正発明と引用発明とを比較する。

(1)引用発明は「通信回線を介して配信された新聞、雑誌等のコンテンツを受信し、受信したコンテンツを閲覧するための家庭用機器に送出するホームサーバと、」「このホームサーバが受信したコンテンツを一時蓄積するコンテンツ記憶装置とを備えたコンテンツ管理方式」であるから、引用発明も本件補正発明と同様に「所定のユーザに情報を提供する情報提供装置」と言えるものである。

(2)引用発明における「配信サーバ」は、本件補正発明における「第1の他の情報処理装置」に対応付けられるものであるところ、前者から配信されたコンテンツは「家庭用機器」にて「閲覧」されるのであるから、前者も後者と同様に「前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置」と言えるものである。
そして、引用発明における「通信手段」は、本件補正発明における「第1の通信手段」に対応付けられるものであるところ、前者は「通信回線を介して配信サーバにコンテンツ配信の要求を送信したり、該配信サーバから配信されたコンテンツを受信する」のであるから、前者も後者と同様に「前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信する第1の通信手段」と言えるものである。

(3)引用発明における「家庭用機器」及び「コンソール」は、本件補正発明における「第2の他の情報処理装置」に対応付けられるものであるところ、前者の「家庭用機器」が「前記所定のユーザが保有する」ものであることは明らかであり、前者の「コンソール」は「ユーザが当該ホームサーバを制御するために指示を入力する」ものであるから、これも「前記所定のユーザが保有する」ものである。したがって、引用発明における「家庭用機器」及び「コンソール」は、本件補正発明における「第2の他の情報処理装置」と同様に「前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置」と言えるものである。
そして、引用発明における「コンソール」が何らかの通信手段を介して「ホームサーバ」と接続されていることは明らかであり、また「家庭用機器」も「当該ホームサーバとTVを接続するビデオインタフェースを有するビデオ端子」「当該ホームサーバとFaxを接続するアナログ回線インタフェースを有するアナログ電話端子」「当該ホームサーバとPCを接続するLANインタフェースを有するLAN端子」等の通信手段を介して「ホームサーバ」と接続されており、これらの通信手段は、本件補正発明における「第2の通信手段」と同様に「前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信する第2の通信手段」と言えるものである。

(4)引用発明における「保存キーワードテーブル」に記録される「キーワード」は、本件補正発明における「ユーザの嗜好情報」に対応付けられるものであるところ、前者は「ユーザが希望するコンテンツのジャンルを示すキーワード」であり、しかも、「コンソールを使用して」「入力」されるものであるから、両者は「前記第2の通信手段により受信される」「前記ユーザの嗜好情報」とも言えるものである点で共通する。
したがって、引用発明における「保存キーワードテーブル」と本件補正発明における「第1の蓄積手段」は、「前記第2の通信手段により受信される前記ユーザの嗜好情報を蓄積する第1の蓄積手段」である点で共通するといえる。

(5)引用発明における「コンテンツをコンテンツ記憶装置のコンテンツ保存部に保存」する処理は、本件補正発明における「第1の選択手段」に対応付けられるものであるところ、前者は「上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツに付加されているキーワードと上記保存キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、保存するコンテンツのファイル管理を行う保存管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記保存管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツをコンテンツ記憶装置のコンテンツ保存部に保存」するのであるから、引用発明と本件補正発明とは「前記第1の蓄積手段により蓄積された前記嗜好情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択手段」を備える点で共通するといえる。

(6)引用発明において「家庭用機器」に「出力」される「メニュー」は、本件補正発明における「リスト」に対応付けられるものであるところ、前者は上記「コンテンツをコンテンツ記憶装置のコンテンツ保存部に保存」する処理における「上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツに付加されているキーワードと上記保存キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に」「生成」される「保存管理テーブルの一覧」であるから、前者も後者と同様に「前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリスト」と言えるものである。
したがって、引用発明も本願発明と同様に「前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成手段」を備えるものであるといえる。

(7)引用発明における「メニューの選択」は、本件補正発明における「第2の選択手段」に対応付けられるものであるところ、前者は「ユーザが上記家庭用機器に出力されたコンテンツのメニューの中から閲覧するメニューを選択し、このメニューの選択は、ユーザがコンソールを使用して表示又は印字されているファイル名を上記ホームサーバに指定することで行われ」るのであるから、引用発明も本願発明と同様に「前記生成手段により生成され、前記第2の通信手段により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を基に、前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択する第2の選択手段」を備えるものであるといえる。

(8)引用発明は「上記キーワードが付加されている上記コンテンツを受信した際に、上記ホームサーバが、上記コンテンツに付加されているキーワードと上記配信キーワードテーブルのキーワードとを照合し、照合結果が一致した場合に、上記コンテンツに付加されているキーワード毎に、受信した上記コンテンツのファイル管理を行う配信管理テーブルを生成して上記インデックス情報保存部に保存すると共に、上記配信管理テーブルが生成されたキーワードが付加されているコンテンツを上記コンテンツ記憶装置のコンテンツ蓄積部に一時蓄積し」、「受信した上記コンテンツの閲覧指示を受けた際に、上記ホームサーバが、上記配信キーワードテーブルと上記配信管理テーブルを参照して、上記コンテンツ蓄積部に一時蓄積されているコンテンツを読み出して上記家庭用機器に送出する」のであるから、本件補正発明とは「前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の通信手段により受信された場合、前記第2の通信手段は、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の選択手段により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信する」ものである点で共通するといえる。

(9)よって、本件補正発明は、下記一致点で引用発明と一致し、下記相違点で引用発明と相違する。

<一致点>
「所定のユーザに情報を提供する情報提供装置において、
前記ユーザに提供される提供情報を送信する、少なくとも1つの第1の他の情報処理装置と通信する第1の通信手段と、
前記所定のユーザが保有する少なくとも1つの第2の他の情報処理装置と通信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段により受信される前記ユーザの嗜好情報を蓄積する第1の蓄積手段と、
前記第1の蓄積手段により蓄積された前記嗜好情報を基に、複数の前記提供情報から、所定の提供情報を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報のリストを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成され、前記第2の通信手段により前記第2の他の情報処理装置のうちのいずれかに送信された前記リストを参照した前記ユーザによる操作入力を基に、前記第1の選択手段により選択された所定の前記提供情報から、前記ユーザが所望する提供情報を選択する第2の選択手段と
を備え、
前記ユーザに対する提供情報が、前記第1の通信手段により受信された場合、前記第2の通信手段は、前記第2の他の情報処理装置へ、前記第2の選択手段により選択された前記ユーザが所望する提供情報を送信する
ことを特徴とする情報提供装置。」

<相違点1>
本件補正発明におけるユーザの嗜好情報は「前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される」ものである。
(これに対し、引用発明の「キーワード」は「前記ユーザの嗜好を検出するための情報の項目および前記ユーザの嗜好を示す値であるスコアから構成される」ものではない。)

<相違点2>
本件補正発明における第1の蓄積手段は「前記ユーザを特定するための個人情報」も蓄積し、本件補正発明における第1の選択手段は「前記個人情報」をも基に選択を行うものである。
(これに対し、引用発明における保存キーワードテーブルには「ユーザを特定するための個人情報」は蓄積していない。)

<相違点3>
本件補正発明は「前記第2の他の情報処理装置へ前記提供情報を送信するために必要なアドレス情報を検出するアドレス検出手段」を備え、前記第2の通信手段は「前記アドレス検出手段により検出された前記アドレス情報を基に」提供情報を送信するものである。
(これに対し、引用発明は「閲覧する場合のTV、Fax、PCの家庭用機器を指定し、」この「家庭用機器の指定が、上記サーバ制御手段を介してコンテンツ管理手段、送出手段に通知され」るものではあるものの、これが「アドレス情報」を用いて通知される旨の記載は上記引用文献には無い。)


3-5.判断
以下、上記相違点について検討する。

(1)相違点1について
個人の嗜好を表す情報として、項目毎の項目名とその好き嫌いの度合いを示す数値を蓄積することは、当業者が適宜に採用している周知慣用技術であり(必要があれば上記参考文献記載事項1-2、2-2、2-3等参照)、引用発明における「キーワード」の蓄積に代えてかかる周知慣用技術を採用すること、すなわち、上記相違点1に係る構成を採用することは、当業者であれば適宜になし得た設計変更にすぎない。

(2)相違点2について
嗜好が個人によって異なることは常識であり、嗜好情報に個人を特定する情報を付すことも通常行われている事である(必要があれば上記参考文献記載事項1-1、2-1等)から、引用発明においても嗜好情報に個人を特定する情報を付すこと、すなわち、上記相違点2に係る構成を採用することも、当業者であれば適宜になし得た設計変更にすぎない。

(3)相違点3
情報の送信に際して送信先の所在すなわちアドレスを得て、そこに宛てて情報を送信することは証拠を挙げるまでもなく(必要があれば上記参考文献記載事項3-1、4-1等参照)古くから慣用されている技術常識的な構成であるから、引用発明においても、かかる周知慣用技術を採用すること、すなわち、上記相違点3に係る構成を採用することは、当業者であれば普通に採用する設計事項にすぎないものである。

(4)してみると、本件補正発明の構成は引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


3-6.小結
よって、本件補正発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


4.むすび
以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下しなければならないものである。

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。



第3.本件審判請求の成否について

1.手続きの経緯、本願発明の認定
本願の手続きの経緯は上記第1.記載のとおりのものであり、さらに、平成22年6月22日付けの手続補正は上記第2.のとおり却下された。
したがって、本願の特許請求の範囲は、上記第1.2.(1)に記載したとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」と記す。)はそこに【請求項1】として記載したとおりのものである。

2.先行技術・引用発明の認定
上記第2.3-2.(1)(2)で示したとおり、本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成21年9月18日付けの拒絶理由において引用された上記引用文献には上記引用文献記載事項が記載されており、本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となされた上記参考文献にはそれぞれ上記参考文献記載事項が記載されている。
そして、上記引用文献には上記第2.3-3.で認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
上記第2.3.で検討した本件補正発明は、本願発明に対し上記第2.2.で述べた限定的減縮をしたものであるから、本願発明は、上記本件補正発明から当該限定的減縮により限定される要件を無くしたものに相当する。
そして、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の要件を付加したものに相当する上記本件補正発明は、上記第2.3-5.に記載したとおり、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明も同様の理由により、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項についての検討をするまでもなく、本願を拒絶すべきものとした原審の拒絶査定は妥当なものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-23 
結審通知日 2012-05-24 
審決日 2012-06-05 
出願番号 特願2003-283988(P2003-283988)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨長谷川 篤男梅本 達雄  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 原 秀人
酒井 伸芳
発明の名称 情報提供装置および情報提供方法、並びにプログラム  
代理人 稲本 義雄  

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