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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F17C
管理番号 1260373
審判番号 不服2011-20000  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-15 
確定日 2012-07-19 
事件の表示 特願2006-547025「燃料タンクレベルモニタリングシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月21日国際公開、WO2005/066591、平成19年 7月12日国内公表、特表2007-518943〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成16年12月1日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理平成15年12月22日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年5月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年9月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明は、平成23年2月21日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は次のとおり記載されている。
「【請求項1】既知の容量を有するタンク内の液体燃料のレベルをモニタリングする方法であって、前記タンクは燃料供給ラインに流体連通し、前記燃料供給ラインを通って燃料は気体状態で送出される方法において、
前記供給ラインを通って流れる気体状燃料の流量を測定し、
前記測定された流量に基づいて、消費された燃料容積を計算し、
前記消費された燃料容積およびタンク容量に基づいて、前記タンクに残っている液体燃料レベルを決定し、
前記残っている液体燃料レベルに対応して、液体燃料を前記タンクへ配達するのを決定する、方法であって、
前記供給ラインに調整器を配置し、
さらに前記供給ラインを通って流れる燃料の流量を測定するために、プロセッサ、メモリ及び通信リンクを有するフロー測定モジュールを設け、
前記フロー測定モジュールは、前記気体状燃料の流量に基づいて消費した燃料容積を計算し、前記消費された燃料容積および前記タンク容量に基づいて、前記タンクに残っている液体燃料レベルを決定する、方法。」
(以下、請求項1に係る発明を、「本願発明1」という。)

3 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である国際公開第02/095336号(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次の記載がある(括弧内は日本語訳)。
a「This invention relates to devices for measuring gas flow rates and in particular to in-line gas flow rate sensors and to systems utilizing such sensors.」
(本発明は、ガス流量を測定するためのデバイスに関するものであり、さらに詳細には、配管取付けガス流量センサおよびこのようなセンサを利用するシステムに関するものである。)(第1ページ第2行?第5行)
b「It is therefore desired to provide a propane tank level monitoring system which can not only sense and display the level of gas in the propane tank, but which can also provide a signal to a central location to use the information to track gas usage rate and to schedule delivery of replacement fuel as needed. In particular, it is desired to provide an in-line gas flow rate sensor for sensing the gas flow rate from which the level of the propane gas remaining in the tank can be derived.」
(したがって、プロパンタンク内のガスレベルを感知・表示できるだけではなく、中央ロケーションに信号を送信し、この情報を用いてガス使用率を追跡し、必要に応じて交換燃料の配送予定を組むこともできるプロパンタンクレベル監視システムを実現することが望まれている。特に、タンク内に残っているプロパンガスレベルを導くことができるガス流量を感知する配管取付けガス流量センサの実現が望まれている。)(第1ページ第19行?第28行)
c「Accordingly, starting with a known full gas tank level and having determined the gas flow rate exiting the tank, the actual level of gas remaining in the tank can readily be determined. This information can conveniently be utilized for scheduling delivery of replacement fuel to the tank.」
(したがって、既知の満杯のガスタンクレベルから開始して、このタンクから流出するガス流量を判定することにより、タンク内に残る実際のガスレベルを容易に決定することができる。好都合なことに、タンクの交換燃料の配達スケジュールを組むためにこの情報を利用することができる。)(第3ページ第19行?第24行)
d「Figure 1 illustrates a propane gas distribution system 10 which includes a tank 12 containing a supply of propane gas. A pressure regulator 14 regulates the gas pressure in a supply conduit 16 which is coupled to an in-line flow rate sensor 18. The gas flow output of the flow rate sensor 18 is coupled on an outlet conduit 20 to users 21 of the propane gas. The gas flow rate sensor 18 includes a communication link to provide a signal on output line 22 representing the gas flow rate which signal is coupled to a report station 24. The report station 24 uses the gas flow rate information to determine the level of propane remaining within the propane tank 12 and can then schedule delivery of replacement gas to the tank 12 as needed.」
(図1は、供給されたプロパンガスを含むタンク12を備えたプロパンガス分配システム10を示している。圧力レギュレータ14は、配管取付け流量センサ18に結合される供給導管16内のガス圧を調整する。流量センサ18からのガス流出力は、流出導管20を介してこのプロパンガスのユーザ21に結合されている。ガス流量センサ18は、ガス流量を表す信号を出力回線22を介して提供すべく通信リンクを備えており、この信号はレポートステーション24に結合される。レポートステーション24は、ガス流量情報を利用してプロパンタンク12内に残っているプロパンのレベルを判定し、必要に応じてタンク12への交換ガスの配送のスケジュールを組むことができる。)(第4ページ第11行?第25行)
e「Once the gas flow rate has been determined, the amount of gas remaining within propane tank 12 can readily be determined, and delivery of any replacement fuel can be scheduled as required.」
(ガス流量が一旦決定されると、プロパンタンク12内に残っているガスの容量は簡単に決定することができ、要求に従って、どのような交換燃料のどのような配送でもスケジュールを組むことができる。)(第7ページ第22行?第25行)

そして、図1には、タンク12が供給導管16及び流出導管20に結合する点が図示されている。
また、「ガス」とは燃料を意味すること、タンク内の燃料が液体であること、並びに、供給導管及び流出導管を通る燃料が気体であることは、いずれも当業者に明らかな事項である。
さらに、上記c、d、eにおいて、燃料の流量に基づいてタンクに残っている燃料の容量及び燃料のレベルを決定しているが、燃料の流量に基づいて消費された燃料容積が計算されること、並びに、タンクに残っている燃料の容量は消費された燃料容積及びタンク容量により計算され、このタンクに残っている燃料の容量により燃料のレベルが決定されることは、いずれも当業者に明らかな事項であるので、燃料の流量に基づいて消費された燃料容積を計算し、消費された燃料容積及びタンク容量に基づいて、タンクに残っている燃料のレベルを決定しているものと認められる。

以上の記載及び図1によれば、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。
「既知の容量を有するタンク内の液体燃料のレベルを監視する方法であって、タンクは供給導管及び流出導管に結合し、供給導管及び流出導管を通って燃料は気体状態で送出される方法において、
供給導管及び流出導管を通って流れる気体状燃料の流量を感知し、
感知された流量に基づいて、消費された燃料容積を計算し、
消費された燃料容積およびタンク容量に基づいて、タンクに残っている液体燃料レベルを決定し、
残っている液体燃料レベルに対応して、液体燃料をタンクへ配達するのを決定する、方法であって、
供給導管及び流出導管に圧力レギュレータを配置し、
さらに供給導管及び流出導管を通って流れる燃料の流量を感知するために、通信リンクを有する流量センサを設け、
レポートステーションは、気体状燃料の流量に基づいて消費した燃料容積を計算し、消費された燃料容積およびタンク容量に基づいて、タンクに残っている液体燃料レベルを決定する、方法」

4 対比
本願発明1と引用文献1に記載された発明とを対比すると、引用文献1に記載された発明の「監視」、「供給導管及び流出導管」、「結合」、「感知」、「圧力レギュレータ」、「流量センサ」は、それぞれ本願発明1の「モニタリング」、「燃料供給ライン」、「流体連通」、「測定」、「調整器」、「フロー測定モジュール」に相当する。

そうすると、両者は、
「既知の容量を有するタンク内の液体燃料のレベルをモニタリングする方法であって、タンクは燃料供給ラインに流体連通し、燃料供給ラインを通って燃料は気体状態で送出される方法において、
供給ラインを通って流れる気体状燃料の流量を測定し、
測定された流量に基づいて、消費された燃料容積を計算し、
消費された燃料容積およびタンク容量に基づいて、タンクに残っている液体燃料レベルを決定し、
残っている液体燃料レベルに対応して、液体燃料をタンクへ配達するのを決定する、方法であって、
供給ラインに調整器を配置し、
さらに供給ラインを通って流れる燃料の流量を測定するために、通信リンクを有するフロー測定モジュールを設け、
気体状燃料の流量に基づいて消費した燃料容積を計算し、消費された燃料容積およびタンク容量に基づいて、タンクに残っている液体燃料レベルを決定する、方法」
である点で一致し、次の点で相違する。

《相違点》
本願発明1では、フロー測定モジュールがプロセッサ及びメモリを有し、タンクに残っている液体燃料レベルの決定をフロー測定モジュールで行うのに対し、引用文献1に記載された発明では、タンクに残っている燃料レベルの決定をレポートステーションで行う点。

5 相違点の検討
上記相違点について検討する。

タンクに残っている液体燃料レベルの決定をどの装置で行うかは、当業者が適宜選択し得た設計的事項に過ぎず、また、プロセッサやメモリは、コンピュータを用いて計算や決定を行う際には当然に必要となるものであって、プロセッサやメモリをフロー測定モジュールに設置することを妨げる特段の事情もないので(例えば、特表2003-503786号公報の【0035】には、プロセッサやメモリをフロー測定モジュールに設置する点が記載されている。)、引用文献1に記載された発明において、上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願発明1が奏する効果は、引用文献1に記載された発明から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-17 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2012-03-05 
出願番号 特願2006-547025(P2006-547025)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F17C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳本 幸雄  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 ▲高▼辻 将人
熊倉 強
発明の名称 燃料タンクレベルモニタリングシステムおよび方法  
代理人 西元 勝一  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  

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