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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60H
管理番号 1260380
審判番号 不服2012-2655  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-10 
確定日 2012-07-19 
事件の表示 特願2010- 4333号「空調方法および二酸化炭素の利用方法ならびに空調システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月28日出願公開、特開2011-143760号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成22年1月12日の出願であって、平成23年11月8日付け(発送:11月15日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年2月10日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年3月18日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲における請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。

「【請求項1】
少なくとも、車輪をモーターで駆動させるための二次電池または燃料電池を搭載した自動車において、人が乗るための車室内の空気を調和する方法であって、
前記車室内の空気を、メタノールと酸化性ガスを触媒に供給し、メタノールを燃焼させて発生する熱を利用することによって調和し、
前記触媒に供給するメタノールとして、二酸化炭素を原料にして製造したメタノールを用いることを特徴とする空調方法。」

3.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶理由において引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平6-143987号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に、次の記載がある。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気体あるいは液体燃料を燃焼し、その燃焼熱を車内の暖房に利用する電気自動車用暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気自動車用の暖房装置は、電気自動車の動力源であるバッテリーの電気により駆動するヒートポンプにより暖房を行うものや、蓄熱材を利用して暖房を行うものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電気自動車の動力源はバッテリーである。このために、駆動モータや冷暖房装置の運転はバッテリーに蓄えられた電気エネルギーにより行われる。したがって4000kcal/h?5000kcal/hといわれる車両暖房負荷をバッテリーの電気エネルギーから取り出すことは、バッテリーにかなりな負担をかけるという課題が生じる。」(段落【0001】?【0003】、下線は当審にて付与、以下同じ。)

イ.「【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例の構成図である。図1において、1は電気自動車本体、2は駆動用バッテリーである。燃料タンク3から燃料の供給を受け、燃焼部4で燃焼し、燃焼熱を熱循環経路5で熱交換器6に供給し、車内の暖房を行うものである。ここで燃焼部4は図2に示すような構成になっている。
【0014】図2において、3は燃料タンクである。燃料タンク3内の燃料は、フィルター7を介して燃料ポンプ8により気化器9へ供給される。気化器9は燃料を気化するヒータと温度センサ(ともに図示せず)を有し、燃料を最適な温度で気化できるようにしてある。燃焼用空気は燃焼用送風機10から流量コントローラ11を介して気化器9に供給される。気化器9内では気化した燃料と燃焼用空気が混合し、予混合気が燃焼室12へ供給される。
【0015】燃焼室12内には触媒を担持した燃焼体13、たとえばセラミックスハニカムに白金やパラジウムなどの貴金属触媒を担持したものが設けてある。あらかじめ、バッテリー(図示せず)からの電流を触媒加熱用ヒータ14に通電し、燃焼体13を加熱する。燃焼体13の温度を検出するセンサ15からの信号により、触媒温度コントローラ16が触媒が活性温度に達したことを検出すると、予混合気を燃焼室12に供給する。予混合気が燃焼体13の触媒表面に接触すると、触媒表面で触媒燃焼を開始する。触媒燃焼時に発生した燃焼熱は、燃焼室12を覆ったウォータージャケット17で内部の循環水と熱交換され、排気ガスは排気パイプ18より大気へ放出される。ウォータージャケット17内で高温になった循環水は、循環ポンプ19により循環経路20を介して熱交換器21へ供給される。熱交換器21においては、ブロアモータ22により送風ファン23を回すことにより、高温の循環水から温風に熱交換し、車内に温風を供給することにより暖房を行う。熱交換器21で温風に熱交換され、低温になった循環水は再びウォータージャケット17に戻され、燃焼熱を吸収する。
【0016】上記の実施例は熱交換装置として水循環方式について説明してきたが、燃焼室12で発生した燃焼熱を加熱用空気と熱交換し、加熱空気を循環して車内の暖房を行っても、同様の効果がある。」(段落【0013】?【0016】)

ウ.「【0008】
【作用】触媒燃焼は触媒作用により、燃焼反応の活性化エネルギーを小さくすることができるために、燃焼温度を低くして燃焼を行うことができる。本発明はこのことを応用したもので、電気自動車用暖房装置として触媒燃焼を応用した燃焼器を用いている。触媒燃焼は触媒の働きにより燃焼温度を500℃?900℃の範囲に抑えることができる。一般にNOxの発生温度は1400℃以上といわれており、このため触媒燃焼を用いると、NOxの発生が皆無で燃焼反応を行うことができる。このため、本発明のように電気自動車用暖房器の燃焼器に触媒燃焼を用いると、NOxが全く発生しない。」(段落【0008】)

エ.ア、イの記載から、刊行物1には、暖房装置を用いた暖房方法が記載されていることがわかる、また、電気自動車の駆動用バッテリー2がモータを駆動させるものであることは、自明な事項である。

以上を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「車輪をモーターで駆動させるための駆動用バッテリー2を搭載した電気自動車において、車内の暖房を行う暖房方法であって、
前記車内を、液体燃料と燃焼用空気を触媒を担持した燃焼体13に供給し、液体燃料触媒燃焼時に発生した燃焼熱を用いて暖房する暖房方法。」

(2)原査定の拒絶理由において引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-211945号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に、次の記載がある。

オ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒反応により得られる熱を利用して冷却媒体を加熱する触媒反応式冷媒加熱システムに関する。」(段落【0001】)

カ.「【0032】図1は、本第1実施形態の触媒反応式冷媒加熱システムの全体構成を示す概念図である。図1に示すように冷媒加熱システムには、熱交換により冷却媒体を加熱する熱交換部10が設けられている。熱交換部10は、燃料と空気の混合ガスが通過する混合ガス経路11と冷却媒体が通過する冷却媒体経路12が繰り返し積層された構造となっている。本第1実施形態では、燃料として反応性に優れる水素を用い、冷却媒体として冷却水を用いている。」(段落【0032】)

キ.「【0036】水素と空気との混合ガスは、熱交換部10の上流側のガス混合部16より混合ガス経路11に供給され、フィン13の表面において触媒燃焼を起こした後、排気ガス排出部17より排出される。触媒燃焼により発生した熱は、フィン13表面からチューブ14内を流れる冷却水に伝えられる。熱交換部10は、混合ガス経路11と冷却媒体経路12が複数積層された構造をもつことにより、フィン13およびチューブ14の伝熱面積を大きくすることができるため、良好な伝熱特性が得られる。
【0037】また、熱交換部10には、触媒燃焼時における熱交換部10の温度を検出するための温度センサ18が設けられている。
【0038】冷媒加熱システムには、熱交換部10に冷却水を循環させる冷媒循環経路20が設けられている。冷媒循環経路20には、熱交換部10にて高温となった冷却水で加熱される被加熱体21、冷却水を循環させるウォータポンプ(W/P)22、冷却水の温度を検出する温度センサ23が設けられている。なお、本発明でいう冷却水供給手段はW/P22から構成される。
【0039】ガス混合部16には、燃料供給装置30より燃料供給ポート31を介して水素が供給されるとともに、空気供給装置32より空気が供給される。燃料供給装置30としては、例えば改質反応により水素を生成する改質装置、あるいは水素吸蔵合金等を内蔵して純水素を貯蔵する水素タンクを用いることができる。空気供給装置32としては、例えば送風ファンやコンプレッサを用いることができる。なお、本発明でいう燃料供給手段は燃料供給装置30および燃料供給ポート31から構成され、空気供給手段は空気供給装置から構成される。」(段落【0038】?【0039】)

ク.「【0042】従来、触媒反応を利用するシステムの低温環境下での起動に際し、EHC(電気加熱触媒)または電気ヒータ等の加熱源により触媒あるいは燃料の温度を加熱昇温し、触媒の反応活性を高くする手段がとられてきた。これは触媒と反応ガスとが活性になる温度が高いため低温状態では触媒反応が起きないことによる。しかし、車両用を想定すると、起動の際、二次電池による電力供給が行われるが、低温では二次電池の供給可能電力は限られており、EHC等での電力消費は好ましくない。従って、先述のような加熱源を使用することなく低温での起動が必要であった。」(段落【0042】)

ケ.「【0085】(他の実施形態)なお、上記各実施形態では、空気と混合する燃料として水素を用いたが、ガソリン、灯油、メタノール等の炭化水素系燃料を用いることができる。」(段落【0085】)

以上を総合すると、刊行物2には、車両用の冷媒加熱システムの発明として、次の発明(以下「刊行物2記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「空気と混合したガソリン、灯油、メタノール等の炭化水素系燃料を触媒に供給し、触媒燃焼で発生する熱を利用して冷却媒体を加熱する触媒反応式冷媒加熱システム。」

(3)本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-104701号公報(以下「周知刊行物1」という。)には、図面と共に、次の記載がある。

コ.「【0029】図2は本発明の燃料製造システムをガスタービン廃熱の処理に提供した一例を示す概念図である。本図においてガスタービン21には空気入り口22、燃料入り口23、排ガス・廃熱通路24が取り付けられている。ガスタービン21では圧縮空気と燃料とが混合され、燃焼されてガスタービンを回し発電が行なわれる。そして二酸化炭素、水蒸気、および空気(窒素および未反応の酸素を含む)が廃熱とともに排ガス・廃熱通路24から排出される。このときの廃熱温度は1000?1200℃である。
【0030】上記排ガス・廃熱は窒素分離槽25に入り、分離された窒素は排気通路26を通って除去される。排ガス・廃熱は次に酸素分離槽27に入り、分離された酸素は排気通路28を通って除去される。この段階で排ガス中の成分はほぼ二酸化炭素と水蒸気のみとなり、通路29を通って炭素が担持された反応槽30へ入る。反応槽30における反応は上述のSOFC燃料リサイクルシステムにおける反応槽8の場合と同様であり、上記(3)および(4)の式にしたがって二酸化炭素と水蒸気は水素と一酸化炭素に変換される。
【0031】生成した一酸化炭素は一酸化炭素分離槽31で他のガス(水素、および未反応の水蒸気と二酸化炭素)と分離し、一酸化炭素は排気通路32を通って回収される。一方、残りのガスは通路33を通りCuOを含んだ触媒層34に入る。触媒層34ではCO2+3H2=CH3OH+H2Oの反応が生じメタノールが生成される。生成したメタノールはメタノール分離槽35で分離され、通路36を通って回収される。残った未反応の二酸化炭素、水蒸気および廃熱は通路37を通って空調や温水として活用される。
【0032】
【発明の効果】本発明の反応槽は、排ガス中の二酸化炭素と水蒸気とを炭素と反応させ、さらに廃熱も利用して各種燃料用途やメタノール、メタン等の原料用途に使用できる一酸化炭素と水素とを生成させる。また、排ガス中の二酸化炭素をそのまま大気中に排出することがないため環境対策として有効である。
【0033】また、本発明の燃料製造システムは、上記反応槽で製造した水素と、排ガス中に残留する二酸化炭素とからメタノールやメタンを製造することができる。こうして製造したメタノールやメタンは各種製品の原料、自動車、ボイラー、燃料電池等の燃料として有用である。」(段落【0029】?【0033】)

(4)本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-29835号公報(以下「周知刊行物2」という。)には、次の記載がある。

サ.「【0001】
本発明は光触媒を用いて水と二酸化酸素から、ホルムアルデヒドやメタノール等の有用な有機化合物を生成する技術に関し、大気中の二酸化炭素を削減しつつ資源として有効利用する、大気の温暖化防止技術および資源の再利用技術に関する。」(段落【0001】)

シ.「【0012】
本発明の二酸化炭素の還元方法を用いることにより、紫外光や太陽光の照射により、水と二酸化炭素を原料として、ホルムアルデヒドやメタノールなどの有用な低分子量の有機化合物を生成することが可能となる。ホルムアルデヒドは、より付加価値の高い有機化合物の原料となり、一方、メタノールは石油に代わるエネルギー源となり燃料電池の燃料や、より付加価値の高い有機化合物の原料ともなる。
【0013】
原料の二酸化炭素は、空気中に微量に含まれる二酸化炭素ガスでもよいし、二酸化炭素を多く含む燃焼排ガスでも良いので、近年注目されている二酸化炭素の排出量削減となり、大規模に実施すれば大気の温暖化の防止ともなり得る。」(段落【0012】?【0013】)

(5)本願出願前に頒布された刊行物である特開2001-322958号公報(以下「周知刊行物3」という。)には、次の記載がある。

ス.「【0027】以上説明したように本発明によれば、二酸化炭素と水とを原料として酸素とメタノールを得ることができる。本発明の実施例においては熱源として電気炉を用いた例を示しているが、第1工程および第3工程においては、600℃以上の廃熱を利用することが本発明の本来の用途である。本発明による二酸化炭素の固定方法は、焼却炉や火力発電所などから排出される二酸化炭素と廃熱とを同時に利用して酸素とメタノールとを生産することにより、これらの設備の環境負荷を低減することが特徴の一つである。また、第1、第3工程は、装置を構成する各部材の安定性を確保するため、850℃以下で動作させることが好ましい。」(段落【0027】)

(6)本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-336050号公報(以下「周知刊行物4」という。)には、次の記載がある。

セ.「【請求項1】 水素と二酸化炭素を含む原料ガスを触媒の存在下及び有機溶媒の存在下で反応させてメタノールを製造する方法において、該反応を該溶媒が超臨界状態になる条件で反応させることを特徴とするメタノールの製造方法。」(特許請求の範囲)

4.対比
本願発明と刊行物1記載の発明を対比すると、刊行物1記載の発明の「駆動用バッテリー2」は本願発明の「二次電池」に相当し、以下同様に、「電気自動車」は「自動車」、「車内の暖房を行う暖房方法」は「人が乗るための車室内の空気を調和する方法」に、「前記車内」は「前記車室内の空気」に、「燃焼用空気」は「酸化性ガス」に、「触媒を担持した燃焼体13」は「触媒」に、「暖房方法」は「空調方法」に、各々、相当する。

また、刊行物1記載の発明の「液体燃料」も本願発明の「メタノール」も共に「液体燃料」ということができ、同様に、「液体燃料燃焼時に発生した燃焼熱を用いて暖房する」ことも「メタノールを燃焼させて発生する熱を利用することによって調和」することも「液体燃料を燃焼させて発生する熱を利用することによって調和」することということができる。

したがって、本願発明と刊行物1記載の発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
車輪をモーターで駆動させるための二次電池を搭載した自動車において、人が乗るための車室内の空気を調和する方法であって、
前記車室内の空気を、液体燃料と酸化性ガスを触媒に供給し、液体燃料を燃焼させて発生する熱を利用することによって調和する空調方法。

(相違点)
触媒に供給され燃焼される「液体燃料」の種類が、本願発明では「二酸化炭素を原料にして製造したメタノール」と特定されているのに対し、刊行物1記載の発明ではその種類が特定されていない点。

5.判断
そこで、上記相違点につき検討する。

本願発明と刊行物2記載の発明を対比すると、刊行物2記載の発明の「空気」は本願発明の「酸化性ガス」に相当し、以下同様に、「触媒燃焼で発生する熱」は「燃焼させて発生する熱」に、各々、相当する。

故に、車両用の冷媒加熱システムの発明である刊行物2記載の発明は、次のように言い換えることができる。

「酸化性ガスと混合したガソリン、灯油、メタノール等の炭化水素系燃料を触媒に供給し、該燃料を燃焼させて発生する熱を利用して冷却媒体を加熱する触媒反応式冷媒加熱システム。」

また、刊行物2記載の発明においては、液体燃料の種類は「ガソリン、灯油、メタノール等の炭化水素系燃料」と選択的なものとなっているが、これら具体的に列挙された炭化水素系燃料の中から、化石燃料以外の石油代替エネルギ-として周知のメタノール(例えば、摘記事項シ参照)を選択して採用することは、エネルギー問題を考慮に入れた場合、当業者にとっては自明ともいえる選択である。

よって、刊行物1記載の発明において、液体燃料の種類として「メタノール」を用いることは、車両用の冷媒加熱システムの発明である刊行物2記載の発明に倣って、当業者が、容易に想到し得た事項である。

一方、例えば刊行物1に「NOx」問題が記載(摘記事項ウ参照)されているように、地球環境問題に関して従来より様々な取組みが行われていることは、周知の事項である。

また、環境負荷を軽減するための一つの手段として「二酸化炭素を原料にしてメタノールを製造する」ことも、また、周知刊行物1?4記載のように、従来より周知の技術手段である。

したがって、刊行物1記載の発明において刊行物2記載の発明を適用して燃料を「メタノール」とするに際して、そのメタノールを、環境負荷に配慮して「二酸化炭素を原料にして製造したメタノール」とすることも、当業者が、上記周知の技術手段に倣って、容易に想到し得た事項である。

そして、本願発明により得られる効果も、刊行物1、2記載の発明及び周知の技術手段から、当業者であれば、予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

なお、請求人は、
審判請求書において「審判審理に当たっては、本願発明の技術内容、意義及び引用文献1-3に記載された発明との差異について直接説明をさせて頂きたいので、審判官殿との面接を希望いたします。代理人にご連絡頂けますようお願い申し上げます。」と、
また、審理終結通知後の、平成24年5月22日付けの上申書で「面接を申し込む具体的な理由ですが、例えば審判請求書中に述べましたように、本件は国内大手自動車メーカーに本願発明のプレゼンテーションを行ったところ反響をよんでおります。これらの点に関しては書面のみならず面談での説明が本願の進歩性を判断する上でも有効であると思われます。
したがいまして、審理の再開および面接の機会を頂けますよう、是非にご再考願います。」
として、面接の実施、審理の再開を要請している。

しかしながら、原審における二度の拒絶理由通知とその応答内容、拒絶査定および審判請求書の記載をみるならば、「本願発明の技術内容、意義及び引用文献1-3に記載された発明との差異」は明確であり、当合議体はこれらの内容を十分に理解しているため、面接による説明を受ける必要がないと判断した。

したがって、審理の再開は行わないものとする。

6.結び
以上のとおり、本願発明は、刊行物1、2記載の発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-18 
結審通知日 2012-05-22 
審決日 2012-06-07 
出願番号 特願2010-4333(P2010-4333)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 一正  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 森川 元嗣
前田 仁
発明の名称 空調方法および二酸化炭素の利用方法ならびに空調システム  
代理人 好宮 幹夫  

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