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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E02F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 E02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02F
管理番号 1260411
審判番号 不服2011-3248  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-14 
確定日 2012-07-17 
事件の表示 特願2006-509946「解放自在のカップリングアッセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月18日国際公開、WO2004/099511、平成18年11月 9日国内公表、特表2006-525449〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年4月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成15年4月30日及び平成16年4月15日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成22年10月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成23年10月13日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったが、請求人からは何ら応答がなかったものである。

第2 平成23年2月14日付け手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成23年2月14日付け手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成23年2月14日付け手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、特許請求の範囲を、次のように補正しようとするものである。
(補正前)
「【請求項1】
掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
支持構造と、
前記支持構造に取り付けられた磨耗部材と、
磨耗から前記掘削装置を保護するために前記磨耗部材を前記支持構造に解放自在に固定する楔とを備え、
前記支持構造及び前記磨耗部材は前記楔を受け入れるための開口部を協働して画成し、
前記楔は、前端と後端と該前端と後端との間を延びる長さとを有し、
前記楔は、実質的に全体の長さに沿って前記前端に向かってテーパしており、該楔の外面に沿って軸方向に延びる螺旋形状ねじが形成されており、
前記螺旋形状ねじは、前記楔を一方方向に回転することにより前記楔を開口部内に移動し、前記磨耗部材を前記支持構造上で更に押すように前記開口部のねじ形成部に螺着する、
掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
前記楔に設けられた前記螺旋形状ねじは、螺旋状溝によって画成されている、掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
前記溝の各巻回部対間に存在する前記楔の外面が、前記楔に対する支承面を提供する、
掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
前記楔と前記開口部の壁との間に嵌着するスプールを更に含み、前記楔は、この楔を前記開口部内で締め付けるときに前記スプールに沿って移動できる、掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
ねじ形成部が、前記溝と係合する少なくとも一つの突出部として前記スプールに形成されている、掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項6】
請求項4に記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
前記スプールは、本体及び一対のアームを含む全体にC形体を有する、掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項7】?【請求項30】(省略)」

(補正後)
「【請求項1】
掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
支持構造と、
前記支持構造に取り付けられた磨耗部材と、
磨耗から前記掘削装置を保護するために前記磨耗部材を前記支持構造に解放自在に固定する楔と、
スプールとを備え、
前記支持構造及び前記磨耗部材は前記楔及び前記スプールを受け入れるための開口部を協働して画成し、
前記スプールは、本体及びアームを有するC形状の形体を有し、前記本体は前記楔を受け入れるためのトラフ形状の凹所が形成されており、前記凹所は多数の隆起部を含むねじ形成部が設けられており、
前記楔は、前端と後端と該前端と後端との間を延びる長さとを有し、
前記楔は、実質的に全体の長さに沿って前記前端に向かってテーパしており、該楔の外面に沿って軸方向に延びる螺旋形状ねじが形成されており、
前記螺旋形状ねじは、前記楔を一方方向に回転することにより前記楔を開口部内に移動し、前記摩耗部材を前記支持構造に装着するように作動するように前記磨耗部材を前記支持構造上で更に押すように、及び、前記楔を回転することによって前記楔が引き出されるように、前記スプールの前記ねじ形成部を形成する前記多数の隆起部に螺着し、前記楔を回転することによって前記楔を前記スプールに沿って及び前記摩耗アッセンブリの内外に移動する、掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項2】請求項1に記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
前記楔に設けられた前記螺旋形状ねじは、螺旋状溝によって画成されている、掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
前記溝の各巻回部対間に存在する前記楔の外面が、前記楔に対する支承面を提供する、
掘削装置用磨耗アッセンブリ。
【請求項4】?【請求項11】(省略)」

2 補正の目的の適否
上記補正後の請求項1が、補正前の請求項1に係る発明を補正したものであるとすると、補正前の請求項1に係る発明の「掘削装置用磨耗アッセンブリ」は、「支持構造」、「磨耗部材」及び「楔」を備えたものであり、補正後の発明を特定する「スプール」は、これらとは異なる部材であるから、請求項1に係る補正は、特許請求の範囲の減縮(発明を特定する事項の限定)を目的とするものとは認められない。また、請求項の削除、明りょうでない記載の釈明、誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。
したがって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項に掲げる何れの事項を目的とするものにも該当しない。

3 独立特許要件の判断(特許法第29条第2項違反)
上記補正が、補正前の請求項1ないし3を削除し、請求項1を引用する請求項4を請求項1とし、請求項2を引用する請求項4を請求項2に、請求項3を引用する請求項4を請求項3に補正したものであるとすると、上記請求項1に係る補正は、補正前の請求項4における「スプール」の形状を限定するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。

(1)刊行物の記載内容
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された米国特許第5、964、547号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、次のことが記載されていると認められる。以下( )内は当審訳
(1a)「The present invention relates to connection pin assemblies for attaching replaceable implements to earthworking buckets of excavating equipment and the like. 」(1欄6行?8行)
(本発明は、地盤に作用するバケット装置およびその他同種のものに代替可能なアタッチメントを付けるための接合ピンアセンブリに関する。)

(1b)「FIG. 1 illustrates the positioning of an excavator intermediate adaptor 10 on a bucket nose 12 using a Whisler type attachment.
The bucket has a projecting lip or nose 14 which is received in a corresponding cavity 16 of the adaptor or intermediate adaptor. When positioned properly on the bucket nose, an aperture 18 of the intermediate adaptor aligns with an aperture 20 of the bucket nose to allow insertion of a spool (or clamp) and wedge assembly 22.」(2欄49行?57行)
(図1は、Whislerタイプ・アタッチメントを使用してバケット・ノーズ12を載せた掘削機の中間アダプター10の位置を図示したものである。
バケットは、アダプターか中間のアダプターの対応するキャビティ16に受け入れられる、突出したリップ又はノーズ14を有している。バケット・ノーズをバケット・ノーズを適切に位置決めした時に、スプール(又はクランプ)とウェッジ・アセンブリ22が挿入できるようにするために、中間のアダプターの開口18はバケット・ノーズの開口20と協働する。)

(1c)「The spool 24 is generally C-shaped and is dimensioned to pass between the rear 26 and front 28 walls of the aperture 20 in the bucket nose and then be positioned so that the tapered projections 30a, 30b, contact tapered blocks 32 on the intermediate adaptor either side of projection 14.」(2欄58行?62行)
(スプール24は通常C形で、バケット・ノーズの開口20の後部26と後部28の壁の間を通過できる寸法であり、そして、テーパーの突出部30a、30bが、突出部14(当審注:バケット・ノーズ14の突出部)の両側に位置する、中間のアダプター上のテーパーのブロック32に接触して位置決めされる。)

(1d)「Insertion of the wedge 33 causes lateral expansion of the assembly so that the wedge bears against the front wall 28 of the bucket nose aperture 20 and the spool pushes against and squeezes in the tapered blocks 32. This forces the intermediate adaptor rearwards relative to the nose, tightening the engagement, and also clamps the tapered blocks 32 against lip or nose 14, thereby securing the intermediate adaptor to the bucket.」(2欄63行?3欄3行)
(楔33の挿入によりアセンブリを横に押し広げる力がもたらされ、バケット・ノーズの開口20の前壁28とスプールに対して楔作用を伝え、テーパーのブロック32を押しつける。ノーズに対して中間アダプターを後方に押しつけるこの力は、かみ合いを緊密にし、またさらに、テーパーのブロック32を、リップまたはノーズ14に対して挟みつけ、それにより、バケットの中間アダプターを確保する。)

(1e)「Referring to FIGS. 2 and 3 the spool 24 has a recess 34 in its ramping surface 36 for receiving a screw member 38 which rotates on an axis parallel to the ramping surface. A passage 40 in the narrow end of the spool allows access to a drive block or other drive means 42 for rotating the screw.
An outermost segment of the screw thread extends beyond the ramping surface 36 to engage with formations 44 in a hollowed out portion 46 of the wedge's ramping surface 48. As the screw is rotated by use of the drive means 42, the wedge moves along the screw thread, and thus moves relative to the spool. The co-operating ramping surfaces 36, 48 on the spool and wedge translate this relative movement into lateral expansion of the assembly to tighten the connection between the bucket nose and adaptor. Rotation of the drive means in the other direction causes lateral contraction of the assembly to allow its removal from the aligned apertures.」(3欄4行?20行)
(図2、3を参照すると、スプール24は、傾斜した表面と平行な軸を中心に回転するネジ部材38を受け入れるために、傾斜した表面に凹部34を有している。スプールの狭い側の端部の通路40は、駆動ブロック又は他の駆動装置42が、ネジを回転させるためにアクセスするのを許可する。ネジの最も外側のセグメントは、傾斜した表面36を越えて伸び、楔の傾斜した表面48のえぐられた部分46内に形成された構成44と噛み合う。ネジが駆動装置42の使用によって回転すると楔はネジに沿って移動し、スプールに対して移動する。スプールと楔の傾斜した表面36、48は協働して、この相対的運動をアセンブリを横に押し広げる動きに変換し、バケット・ノーズおよびアダプターの間の接合を締めつける。駆動手段の他方向への回転は、アセンブリの横方向に縮みをもたらし、開口からの器具の除去を許可する。)

(1f)「With specific reference to FIGS. 4 and 5, it can be seen that the formations 44 on the wedge ramp surface may consist of a series of parallel projecting webs set in an arcuate (in end view) hollow in the ramping surface of the wedge. The arc defined by the hollow accommodates the segment of the screw thread which projects past the spool's ramping surface, while the projecting webs are set at the same pitch and angle as the screw thread. The gap 50 between adjacent formations is larger than the thickness of the screw thread, to allow sufficient clearance for operation under the dirty conditions in which such equipment is used.」(3欄34行?44行)
(図4、5を参照すると、楔の傾斜した表面上の構成(formations)44は、楔の傾斜面上のアーチ形の(端面から見て)くぼみの中にセットされた、一連の平行に突出するウェブからなることが見てとれる。くぼみによって画成された円弧は、スプールの傾斜した表面を越えて突出するネジ山のセグメントを収納し、突出するウェブは、ねじ山と同じピッチおよび角でセットされる。隣接する構成(formations)間の間隔50はねじ山の厚さより大きく、そのような機器が使用される汚れた状態で操作されるのに十分なクリアランスを有する。)

(1g)Fig.1には、次の図面が記載され、楔33はスプールに面した側が傾斜し、全体が前端に向かって細くなっていること、すなわち、実質的に全体の長さに沿って前端に向かってテーパしていること、ネジ部材38は螺旋形状であること、楔のえぐられた部分46に設けられる多数のウエブからなる構成44は、ネジ部材38を螺着する「ねじ形成部」を形成していることが示されている。


これらの記載によれば、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。
「地盤に作用するバケット装置およびその他同種のもののアッセンブリにおいて、
中間アダプター10、
前記中間アダプター10に取り付けられたバケット・ノーズ12と、
前記バケット・ノーズ12を前記中間アダプター10に解放自在に固定する楔33と、
スプール24とを備え、
前記中間アダプター10及び前記バケット・ノーズ12は前記楔33及び前記スプール24を受け入れるための開口18、20を協働して画成し、
前記スプール24は、本体及び突出部30a、30bを有するC形状の形体を有し、
前記スプール24の本体には、本体の傾斜した表面と平行な軸を中心に回転する螺旋形状のネジ部材38が受け入れられており、
前記楔33は、実質的に全体の長さに沿って前端に向かってテーパしており、該楔33のスプールに面した傾斜面に沿って、軸方向に延びる円弧状(アーチ形)にえぐられたくぼみ部分46が形成され、該くぼみ部分46には、多数のウエブからなるねじ形成部が設けられ、
前記ネジ部材38を一方向に回転することにより前記楔33を開口18、20内に移動させ、前記バケット・ノーズ12を前記中間アダプター10に接合するように横に押し広げ、及び、前記ネジ部材38を他方向に回転することによって前記楔33が引き出されるように、前記ネジ部材38は、前記楔33のねじ形成部を形成する多数のウエブに螺着し、前記ネジ部材38を回転することによって前記楔33を前記スプール24に沿って及び前記アッセンブリ10の内外に移動させる、アッセンブリ。」

原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された特公昭60-49761号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、次のことが記載されていると認められる。
(2a)「1 間隔を保って実質的に平行な堅固に結合された二枚の板と、該板の向い合うそれぞれの穴に挿入される一本のねじよりなる取付具であって、そのねじ17が円錐形であり、穴21,23は過大につくられていて、ねじを回転させることなくねじを挿入することができるものであり、ねじは円錐状のねじ山を備え、そのらせん溝27は両方の前記穴でその一部分と係合するようになっており、そのねじ山の稜線28はねじの前記穴と係合した側と反対の側で取付けるべき部品に当接するのに適するようになっており、それにより部品の締付けが、部品に対してねじが横方向に移動して行なわれることを特徴とする上記取付具。」(1欄2?14行、特許請求の範囲)

(2b)「本発明の目的は、種々の対象物、特に機械要素を容易にまた信頼できるように互に固定したり結合したりすることができ、同様に結合を解くこともできる前記の種類の取付具を創作するにある。
本発明は、円錐ねじがねじ込まれると幅が広くなり、ねじの長さ方向にほぼ直角に締付け力をおよぼすのに用いることができるから、円錐ねじは非常に有用であることの発見に基礎を置くものである。
したがって、本発明は取付具に円錐ねじを用いることにある。ねじは板の過大な穴に挿入され、ねじの一側は何れかの穴の縁と係合し、ねじの他の側は固定すべき対象物に接する。ねじを回転するとき、前記対象物をねじの横断方向にずれ、その抗力がねじの両端部と穴の縁を係合状態に保つ。」(2欄10?25行)

(2c)「第1図にはシャンク板11、13とウェブ板15とから成るU字形の枠が示されている。・・・シャンクは互に対面し間を隔てて平行の関係にあるように堅固に保たれた二枚の平板の形になっている。・・・頭19を持った円錐ねじ17は板11、13のそれぞれの穴21、23を通して挿入されている。穴は過大につくられていて、板11に頭が接触するまで完全にねじをさし込むことができ、ねじをまわさなくても抜くことができる。両穴は円形で、直径は互に異なる。
記述される取付具の目的は、ねじ17と枠11、13、15で囲まれた空所に挿入された対象物をつかむにある。第2、3図では対象物は方形の断面を持った管25である。この管は長さ方向に移動させることができ、所望の個所にねじで固定することができる。
ねじ17にはねじ山があり、ねじ山は実質的にねじの全長におよんでいる。ねじ山はねじの円錐面に刻まれた連続らせん溝27で形成され、ねじの側面には連続したらせん形の稜線が残されている。溝の断面は第3図に示すように半円形であり、シャンク板の穴21、23の縁は溝中に入るに適するように丸められている。」(3欄12?39行)

(2d)「ねじを挿入するには、最初にその一側を管25上にずらして回転させないで穴に通す。ねじ山の稜線が一端部または両端部で穴の縁につきあたると、以後はねじを回転しないと軸方向に移動しない。回転によって両方の穴の縁はねじ溝の中に入る。さらにねじを回転するとねじの軸線および接触線29が横方向に平行に移動する。接触線に沿って管に圧力がかかり、ねじを二三回回転した後は管はしっかりウェブ板15に締付けられる。・・・
管との結びつきを離すには、二三回回して穴に遊びが形成されるまでねじ戻せばよい。遊びを生じたならばねじはさらに回さなくても引出すことができる。すなわち本発明の取付具は取付け、取外しが非常に容易である。」(4欄16?35行)

(2e)「第11?14図は、本発明の取付具のさらに他の実施態様とその用法を示す。これらの図において、41と43は互に結合すべき部材を示す。各部材は、支持構造物、機械部品、あるいはある種の器具の保持具に固定されているか、その一部をなす。部材41は板11と13を持ち、前記のように両板を通して円錐ねじ17が挿入されている。部材43は間を置いて平行になった二枚の板45、47を持ち、両板は板11、13とそれぞれ重ね合せの関係にありそれらと接近している。大きな共軸の穴49、51は第9図の孔35、37に相当し、ねじ17は第9図の場合と同様な作用をする。唯一つの相違は、第9図の場合のように板45と47の下部を部材41に対し押付ける作用をするのではなく、ねじは板45と47の上部を引張る力をおよぼし、部材41と43が互に近づく相互の運動は上部材43に板11と13の縁をつきあてて停止される。
第12図においては、第11図の二枚の板45と47は一つになり中央の位置の厚板あるいは柱53となっている。厚板53は板11、13に直角をなす貫通孔55を持つ。ねじ17は貫通孔の両端を通る線に沿って貫通孔の内部と接触している。」(5欄13行?6欄1行)

これらの記載、特に第12図に示す実施例によれば、刊行物2には、次の発明が記載されていると認められる。
「支持構造物、機械部品、あるいはある種の器具の保持具の一部をなす部材41に、厚板を有する部材43を固定・解放する取付具であって、
間隔を保って実質的に平行な堅固に結合された二枚の板11、13を有する部材41と、
前記二枚の板11、13の間に取り付けられる厚板53を有する部材43と、
二枚の板を有する部材41と厚板53を有する部材43とを解放自在に固定するねじとを備え、
前記二枚の板を有する部材41と厚板53二枚の板の間に取り付けられる部材43は前記ねじを受け入れるための共軸の穴21、23、55を有し、
前記ねじは、円錐状のねじ山を備え、
前記ねじは、一方方向に回転することにより前記穴内21、23、55に移動し、前記二枚の板を有する部材41と二枚の板の間に取り付けられる部材43とがねじの横方向にずれるように作用し、前記二枚の板を有する部材41の穴21、23の縁に螺着する、
取付具。」

(2)対比
補正発明と刊行物1記載の発明を対比する。
ア 刊行物1記載の発明において、「バケット・ノーズ12」は、バケット先端の「中間アダプター」に「楔33」により解放可能に固定され、バケット本体を摩耗から保護するためのものであるから、補正発明の「摩耗部材」に相当し、同様に
「中間アダプター」は「支持部材」に、
「地盤に作用するバケット装置およびその他同種のもののアッセンブリ」は「掘削装置用磨耗アッセンブリ」に、それぞれ相当する。

イ 刊行物1記載の発明における「楔33」は、補正発明の「楔」と同様に「前端と後端と該前端と後端との間を延びる長さとを有し」いるということができる。
また、刊行物1記載の発明における「スプール24」の「本体」及び「突出部30a、30b」は、補正発明における「スプール」の「本体」及び「アーム」に相当する。

ウ 刊行物1記載の発明において、「円弧状(アーチ形)にえぐられたくぼみ部分46」は、「トラフ状の凹所」ということができ、くぼみ部分46に形成された「ウエブ」は「隆起部」といえる。
また、刊行物1記載の発明において、スプールの本体の「傾斜した表面と平行な軸を中心に回転する螺旋形状のネジ部材38」は、「楔の軸方向に沿った螺旋形状のねじ」ということができる。
したがって、刊行物1記載の発明において、
「スプール24の本体には、本体の傾斜した表面と平行な軸を中心に回転する螺旋形状のネジ部材38が受け入れられ」、
「楔33の傾斜した表面に沿って円弧状(アーチ形)にえぐられたくぼみ部分46が形成され、該くぼみ部分46には、多数のウエブからなるねじ形成部が設けられ」ることと、
補正発明において、
「楔の外面に沿って螺旋形状ねじが形成され」、
「スプール本体に楔を受け入れるためのトラフ形状の凹所が形成され」、
「前記凹所に多数の隆起部を含むねじ形成部が設けられ」ることとは、
「楔の外面とスプールのいずれか一方に、楔の軸方向に沿った螺旋形状ねじが設けられ、他方にトラフ形状の凹所が形成され、前記凹所に多数の隆起部を含むねじ形成部が設けられ」る点で共通する。

エ また、刊行物1記載の発明において、
「ネジ部材38を一方向に回転することにより楔33を開口18、20内に移動させ、及び、前記ネジ部材38を他方向に回転することによって前記楔33が引き出されるように、前記ネジ部材38は、前記楔33のねじ形成部を形成する多数のウエブに螺着し、前記ネジ部材38を回転することによって前記楔33を前記スプール24に沿って及び前記アッセンブリ10の内外に移動させる」ことと、
補正発明において、
「螺旋形状ねじは、楔を一方方向に回転することにより前記楔を開口部内に移動し、及び、前記楔を回転することによって前記楔が引き出されるように、スプールのねじ形成部を形成する多数の隆起部に螺着し、前記楔を回転することによって前記楔を前記スプールに沿って及び摩耗アッセンブリの内外に移動する」こととは、
「螺旋形状ねじは、前記螺旋形状ねじを一方方向に回転することにより楔を開口部内に移動し、及び、前記螺旋形状ねじを回転することによって前記楔が引き出されるように、ねじ形成部を形成する多数の隆起部に螺着し、前記螺旋形状ねじを回転することによって前記楔を前記スプールに沿って及び摩耗アッセンブリの内外に移動する」点で共通する。

オ さらに、刊行物1記載の発明において、「楔33を開口18、20内に移動させ、バケット・ノーズ12を中間アダプター10に接合するように横に押し広げ」ることは、
補正発明において、「楔を開口部内に移動し、摩耗部材を支持構造に装着するように作動するように前記磨耗部材を前記支持構造上で更に押すよう」にすることに相当する。

したがって、両者は次の点で一致する。
「掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
支持構造と、
前記支持構造に取り付けられた磨耗部材と、
磨耗から前記掘削装置を保護するために前記磨耗部材を前記支持構造に解放自在に固定する楔と、
スプールとを備え、
前記支持構造及び前記磨耗部材は前記楔及び前記スプールを受け入れるための開口部を協働して画成し、
前記スプールは、本体及びアームを有する形体を有し、
前記楔は、前端と後端と該前端と後端との間を延びる長さとを有し、
前記楔は、実質的に全体の長さに沿って前記前端に向かってテーパしており、
前記楔の外面とスプールのいずれか一方に、楔の軸方向に沿った螺旋形状ねじが設けられ、他方にトラフ状の凹所が形成され、前記凹所に多数の隆起部を含むねじ形成部が設けられ、
前記螺旋形状ねじは、前記螺旋形状ねじを一方方向に回転することにより前記楔を開口部内に移動し、前記摩耗部材を前記支持構造に装着するように作動するように前記磨耗部材を前記支持構造上で更に押すように、及び、前記螺旋形状ねじを回転することによって前記楔が引き出されるように、前記ねじ形成部を形成する多数の隆起部に螺着し、前記螺旋形状ねじを回転することによって前記楔を前記スプールに沿って及び摩耗アッセンブリの内外に移動する、
掘削装置用磨耗アッセンブリ。」

また、両者は次の点で相違する。
[相違点]
螺旋形状ねじとねじ形成部に関して、
補正発明は、楔の外面に沿って螺旋形状ねじが形成され、スプール本体に楔を受け入れるための凹所とねじ形成部が設けられているものであって、楔を回転することにより、楔をスプールに沿って移動するものであるのに対し、
刊行物1記載の発明は、スプールに楔とは別部材の螺旋形状ねじが受け入れられ、楔の外面にねじ形成部が設けられるものであり、前記別部材の螺旋形状ねじを回転することにより楔をスプールに沿って移動させるものであって、楔を回転するものではない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
刊行物2記載の発明の「ねじ」は、本件発明1における「螺旋形状ねじを有する楔」に相当するから、刊行物2記載の発明には、楔の外面に沿って軸方向に延びる螺旋形状ねじが形成され、楔を受け入れる開口部の縁に螺旋形状ねじを螺着する部分を設けることが示されている。
そして、刊行物1記載の発明と刊行物2記載の発明はいずれも、支持構造に他の部材を楔により固定解放可能に取付けるアッセンブリである点で共通するものであり、刊行物1記載の発明において、スプールに別部材の螺旋形状ねじを受け入れ、楔の外面に凹所を設けてねじ形成部を形成することに代えて、楔の外面に螺旋形状ねじを形成し、スプールに凹所を設けてねじ形成部を形成し、楔を回転することにより、楔をスプールに沿って移動するようにすることは当業者が容易に想到しうることである。

また、補正発明の作用効果は全体として、刊行物1及び2記載の発明から予測できることである。
したがって、補正発明は、刊行物1及び2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。

4 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項、又は第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成23年2月14日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし30に係る発明は、平成22年8月23日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし30に記載された事項により特定されるとおりのものである(請求項1ないし4に係る発明は、前記「第1 1(補正前)に記載したとおり)。
ここで、請求項1を引用する請求項4に係る発明は、次の事項により特定されるものと認められる。
「掘削装置用磨耗アッセンブリにおいて、
支持構造と、
前記支持構造に取り付けられた磨耗部材と、
磨耗から前記掘削装置を保護するために前記磨耗部材を前記支持構造に解放自在に固定する楔とを備え、
前記楔と前記開口部の壁との間に嵌着するスプールを更に含み、
前記支持構造及び前記磨耗部材は前記楔を受け入れるための開口部を協働して画成し、
前記楔は、前端と後端と該前端と後端との間を延びる長さとを有し、
前記楔は、実質的に全体の長さに沿って前記前端に向かってテーパしており、該楔の外面に沿って軸方向に延びる螺旋形状ねじが形成されており、
前記楔は、この楔を前記開口部内で締め付けるときに前記スプールに沿って移動でき、
前記螺旋形状ねじは、前記楔を一方方向に回転することにより前記楔を開口部内に移動し、
前記磨耗部材を前記支持構造上で更に押すように前記開口部のねじ形成部に螺着する、
掘削装置用磨耗アッセンブリ。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物の記載事項
原査定に引用され本願の優先日前に頒布された刊行物1、2およびその記載事項は上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 判断
本願発明は、前記「第2」で検討した補正発明から、「スプール」について、「本体及び一対のアームを含む全体にC形体を有し、前記本体は前記楔を受け入れるためのトラフ形状の凹所が形成されており、前記凹所は多数の隆起部を含むねじ形成部が設けられて」いるとの限定した事項を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明を特定するために必要な事項を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 2(3)」に記載したとおり、刊行物1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-20 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2012-03-06 
出願番号 特願2006-509946(P2006-509946)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E02F)
P 1 8・ 121- Z (E02F)
P 1 8・ 572- Z (E02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鹿戸 俊介西田 秀彦森次 顕  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 仁科 雅弘
宮崎 恭
発明の名称 解放自在のカップリングアッセンブリ  
代理人 千葉 昭男  
代理人 富田 博行  
代理人 宮前 徹  
代理人 小林 泰  
代理人 小野 新次郎  
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