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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01S
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01S
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01S
管理番号 1260412
審判番号 不服2011-13120  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-21 
確定日 2012-07-17 
事件の表示 特願2005- 613「半導体レーザ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月20日出願公開、特開2006-190762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年1月5日の出願であって、平成22年6月17日に手続補正がなされたが、平成23年3月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである(以下、この平成23年6月21日になされた手続補正を「本件補正」という。)。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲である
「【請求項1】
一対の光閉じ込め層が形成され、その対の光閉じ込め層の間に活性層を有すると共に、上面の一部に凸部が形成されたレーザ構造部と、
前記レーザ構造部の上面のうち前記凸部以外の領域に形成された低誘電率層と、
前記レーザ構造部の上面と前記低誘電率層との間に形成された第1の絶縁層と、
前記凸部上に形成された上部電極と、
前記低誘電率層上に形成された第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に形成された電極パッドと、
前記上部電極および前記電極パッドを電気的に接続する配線と
を備えたことを特徴とする半導体レーザ。
【請求項2】
前記低誘電率層および前記凸部は、所定の距離を隔てて形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項3】
前記低誘電率層は、ポリイミドにより構成されており、
前記絶縁層は、窒化物または酸化物により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。」

「【請求項1】
一対の光閉じ込め層が形成され、その対の光閉じ込め層の間に活性層を有すると共に、上面の一部に凸部が形成されたレーザ構造部と、
前記レーザ構造部の上面のうち前記凸部以外の領域に形成された低誘電率層と、
前記レーザ構造部の上面と前記低誘電率層との間に形成された第1の絶縁層と、
前記凸部上に形成された上部電極と、
前記低誘電率層の上面全体に形成された第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に形成された電極パッドと、
前記上部電極および前記電極パッドを電気的に接続する配線と
を備えた半導体レーザ。
【請求項2】
前記低誘電率層および前記凸部は、所定の距離を隔てて形成されている 請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項3】
前記低誘電率層は、ポリイミドにより構成されており、
前記絶縁層は、窒化物または酸化物により構成されている 請求項1に記載の半導体レーザ。」
と補正することを含むものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので、以下に、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、独立特許要件の検討を行う。

2 刊行物の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-249719号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面発光型半導体発光素子に関する。」

イ 「【0033】(実施形態1)図2は、本発明の実施形態1にかかる面発光型半導体発光素子の構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)の断面A-A'における断面図である。ここでは面発光型半導体レーザについて説明する。
【0034】この面発光型半導体レーザは、基板1の主面上に、発光領域13を有する半導体活性層3と、半導体活性層3を狭持し、基板1の主面に対して垂直方向の共振器を形成する第1の半導体多層膜反射鏡6及び第2の半導体多層膜反射鏡2が形成されている。半導体活性層3の上下両面には、半導体クラッド層4及び半導体クラッド層5が形成されている。
【0035】第1の半導体多層膜反射鏡6上には、コンタクト層7が形成されている。コンタクト層7上にはコンタクト電極9が形成されている。コンタクト電極9は、発光領域13上を開口するように形成されている。
【0036】基板1の裏面には、電極10が形成されている。
【0037】第1の半導体多層膜反射鏡6、半導体活性層3、半導体クラッド層4及び半導体クラッド層5は凸部形状のメサ部100となっている。このメサ部は、基板1の主面上方向に突出している。
【0038】第1の半導体多層膜反射鏡6及び半導体活性層3を含むメサ部100の周辺には凹部12が設けられている。メサ部100は基板1に対して逆テーパに形成されている。ここでメサ部100の上面は、基板1に接する面よりも大きい面を有している。
【0039】第1の半導体多層膜反射鏡6の下には、メサ部100の側壁から発光領域13に向かって横方向に酸化されることによって形成された電流狭窄部14が形成されている。
【0040】また、第2の半導体多層膜反射鏡2の上には、メサ部100の側壁から発光領域13に向かって横方向に酸化されることによって形成された電流狭窄部15が形成されている。これら電流狭窄部14及び15は、発光領域13へ電流を絞り込むためのものである。
【0041】メサ部100が基板1に対して逆テーパ状に形成されているので、電流狭窄部14が位置するメサ部100側面から発光領域13までの距離が、メサ部100のコンタクト電極形成面の端縁から光取り出し部までの距離のうち最短のものよりも短くなっている。
【0042】また、凹部12の表面には絶縁膜50が形成され、これを介して電極51が形成されている。電極51は、配線52によってコンタクト電極9と接続されている。」

ウ 「【0051】次に、図2に示す面発光型半導体レーザの製造方法について、具体的に説明する。
【0052】先ず、洗浄された厚さ400μmの3インチ、面方位(100)のn型GaAs基板1上に、MOCVD装置を用いてn型の半導体多層膜反射鏡2、電流狭窄部15となる被酸化層、クラッド層4、半導体活性層3、クラッド層5、電流狭窄部14となる被酸化層、p型の半導体多層膜反射鏡6、コンタクト層7を順次成長する。・・・。
【0057】次に、フォトリソグラフィとエッチング工程によりn型半導体多層膜反射鏡2の上部までエッチングを行い、GaAs基板1に対して逆テーパ形状になるようにメサ部を作製する。・・・。
【0061】次に、水蒸気雰囲気中で400℃?500℃の熱処理を行い、被酸化層を横方向に選択酸化し電流狭窄部14及び15を形成する。このとき、メサ部100の側壁からの酸化長を6.5μmとし、5μm径の発光領域13を作製する。・・・。
【0063】次に、ポリイミドを用いてメサエッチング部を埋め込んで絶縁層50を形成する。
【0064】次に、ボンディングパッド51を形成する。次に、配線部52が形成されるべき部分と光取り出し口となるp型半導体多層膜反射鏡6上の絶縁膜49を除去し、p型GaAsコンタクト層7上にp側電極9を形成する。このときボンディングパッド51とp側電極9とをつなぐ配線52を同時に形成する。基板裏面にはn側電極10を形成する。」

エ 図2には、凹部12の表面に絶縁膜49が形成され、この(凹部12の表面に形成された)絶縁膜49の表面に絶縁層50が形成され、この絶縁層50上にさらに絶縁膜49が形成され、この(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49上にボンディングパッド51が形成されている様子が示されている。
なお、図2は、次のものである。


(2)同じく、特開2004-31633号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光半導体レーザ素子及び光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
面発光半導体レーザ素子は、活性層近傍に電流と光を閉じ込める必要があるため、及び、高速変調のために寄生容量を低減するため、多くの場合、レーザ構造としては半導体柱構造をとる。
【0003】
さらに、このような面発光半導体レーザ素子では、素子への水分を遮断し素子が劣化するのを防ぐため、また、素子表面の平坦化により配線パターニングを容易にするため、また、放熱のため、また、高速変調を可能にするため、レーザ構造部である半導体柱の周辺は、一般に、耐熱性があり、機械的強度が高く、水分遮断性が高く、低誘電率であり、膜形成が容易であるポリイミド保護膜で覆われる。」

イ 「【0024】
図1は本発明に係る面発光半導体レーザ素子の基本的な構成例を示す図(断面図)である。図1を参照すると、この面発光半導体レーザ素子は、半導体基板(n-GaAs基板)上に、下部半導体分布ブラッグ反射鏡(下部半導体DBR:下部ミラー層)と、NとAsを含むIII-V族混晶半導体(GaInNAs系材料)からなる活性層を含む共振器構造と、上部半導体分布ブラッグ反射鏡(上部半導体DBR:上部ミラー層)とが順次に積層されて、半導体積層構造として形成されている。そして、この半導体積層構造の表面から少なくとも活性層の下端まで(図1の例では、下部半導体DBR(下部ミラー層)の表面まで)がエッチング除去されて柱状構造をなし、レーザ構造部が形成されており、このレーザ構造部の表面に、全応力2.5×102Pa・m以下のポリイミド保護膜が設けられている。」

ウ 「【0053】
また、図1の面発光半導体レーザ素子において、レーザ構造部の表面とポリイミド保護膜との間に、SiNまたはSiON膜からなるパッシベーション層を設けることもできる。
【0054】
図4には、図1の面発光半導体レーザ素子において、レーザ構造部の表面とポリイミド保護膜との間に、SiNまたはSiON膜からなるパッシベーション層が設けられている面発光半導体レーザ素子が示されている。
【0055】
ここで、SiNまたはSiON膜からなるパッシベーション層は、プラズマCVDなどで作製することができる。
【0056】
このように、図1の面発光半導体レーザ素子において、レーザ構造部の表面とポリイミド保護膜との間に、SiNまたはSiON膜からなるパッシベーション層を設けることで、レーザ構造部への水分遮蔽効果をより高めることができ、面発光半導体レーザ素子の信頼性をより高めることができる。
【0057】
さらに、図4の面発光半導体レーザ素子において、レーザ構造部の表面とパッシベーション層との間に、SiO_(2)膜からなる応力緩和層を設けることもできる。」

(3)刊行物3
同じく、特開平8-220358号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体光素子に係り、特に光通信用モジュール、光通信システム、光ネットワークに用いる好適な半導体光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】リッジ装荷型光導波素子は作製工程が非常に簡易であるため、半導体レーザ、光変調器等様々な導波路型光素子に適用されている。しかし、図2に示すような従来のリッジ装荷型光導波素子には構造上以下の問題点がある。なお図2において、1はn型(100)InP半導体基板、2はInGaAsP多重量子井戸活性層、3はp型InPクラッド層、4はp型InGaAsキャップ、5はシリコン酸化膜、6は上部電極、7はポリイミド樹脂膜、8は下部電極である。
【0003】(1)図2(a)に示すように、リッジ部が平坦でないため電極形成等の後続プロセスが困難である。
【0004】(2)平坦化のためにしばしば、図2(b)のようにポリイミド樹脂膜7等が用いられているが、放熱性が悪いため半導体レーザに適用した場合、特に高出力化が困難である。また、ポリイミド膜の引っ張り応力によるストレス等から素子寿命に関する信頼性に問題が残されている。また、電極を形成する場合、ポリイミド膜と電極金属との密着性が極めて悪いため、ワイヤボンディング工程の際電極剥がれがしばしば発生する。このため高歩留まり化に難がある。さらに、原理上リッジ部が完全に平坦にならず、表面段差が0.5?1μm程度存在するため特に成長表面を下側にしたいわゆるジャンクションダウン実装が困難である。このため、ジャンクションダウン実装が必須な高出力レーザへの適用は困難であった。」

イ 「【0009】図1(a),(b)に本発明によるリッジ装荷型光導波路構造の一例を示す。リッジ導波路はInP半導体基板1上に形成され、コア層2、クラッド層3を含む多層膜構造をリッジ加工し、さらにポリイミド等の絶縁性樹脂膜をリッジ両脇に設けられた一対の溝部のみに形成することにより得られる。溝部の横幅は2?40μmに設定されている。さらに本構造をレーザ、変調器等に適用する場合には図示のように上部、下部に電極を形成する。」
ウ 「【0010】本構造の採用による改善点は以下の通りである。
【0011】(1)まず、素子の電気実装の際、ワイヤボンディングを行う電極パッド下にポリイミド等の有機絶縁性樹脂膜がなく、電極が接触する材料はSiO2膜のような無機材料であるため通常のワイヤボンディングに必要な十分な電極の密着強度が得られる。このため、実装歩留まり、素子の耐震性に関する信頼性等が大きく向上する。
【0012】(2)ポリイミド等の有機絶縁性樹脂膜がリッジ両脇の2?40μmと素子内の僅かな領域のみにしか存在しないため、リッジ導波路型光素子の劣化の主要因である膜の引っ張り応力等による面内ストレスが殆どない。また、ポリイミドが電極に覆われ素子の表面に露出しないため耐湿性に優れた構造が容易に得られる。このため、素子の長期寿命も大きく改善できる。」

(4)刊行物4
同じく、特開平9-283531号公報(以下「刊行物4」という。)には、次の記載がある。

「【0024】低い誘電定数を有している厚いボンディングパッド誘電体層16によって所望された結果が生じたことは示されてきたが、トランジスタ10へワイヤボンディングするための最適なプラットフォームは提供されない。接続のための最適なプラットフォームは、ポリイミドより良好なボンディングパッドの密着性および機械的安定性を提供する窒化シリコンあるいは二酸化シリコンのいずれかを具備しているボンディングパッド誘電体層16を使用して達成される。」

3 引用発明
前記2(1)によれば、刊行物1には、
「基板1の主面上に、発光領域13を有する半導体活性層3と、半導体活性層3を狭持し、基板1の主面に対して垂直方向の共振器を形成する第1の半導体多層膜反射鏡6及び第2の半導体多層膜反射鏡2が形成されている面発光型半導体レーザであって、
半導体活性層3の上下両面には、半導体クラッド層4及び半導体クラッド層5が形成されており、
第1の半導体多層膜反射鏡6上には、コンタクト層7が形成され、コンタクト層7上にはコンタクト電極9が形成されており、
第1の半導体多層膜反射鏡6、半導体活性層3、半導体クラッド層4及び半導体クラッド層5は、凸部形状のメサ部100となって、基板1の主面上方向に突出しており、
第1の半導体多層膜反射鏡6及び半導体活性層3を含むメサ部100の周辺には凹部12が設けられており、
凹部12の表面に絶縁膜49が形成され、この(凹部12の表面に形成された)絶縁膜49の表面にポリイミドの絶縁層50が形成され、この絶縁層50上にさらに絶縁膜49が形成され、この(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49上にボンディングパッド51が形成されており、
ボンディングパッド51は、配線52によってコンタクト電極9と接続されている面発光型半導体レーザ。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

4 対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

(1)本願補正発明も引用発明もともに「半導体レーザ」であって、引用発明の「半導体活性層3を狭持し、基板1の主面に対して垂直方向の共振器を形成する第1の半導体多層膜反射鏡6及び第2の半導体多層膜反射鏡2」、「半導体活性層3」及び「凸部形状のメサ部100」は、それぞれ、本願補正発明の「一対の光閉じ込め層」、「活性層」及び「凸部」に相当するから、引用発明は、本願補正発明と同様に「一対の光閉じ込め層が形成され、その対の光閉じ込め層の間に活性層を有すると共に、上面の一部に凸部が形成されたレーザ構造部」を備える「半導体レーザ」といえる。

(2)引用発明の「凹部12」は、本願補正発明の「レーザ構造部の上面のうち前記凸部以外の領域」であるといえ、また、引用発明の「絶縁層50」は、「ポリイミドの絶縁層50」であるところ、本願補正発明の「低誘電率層」について、上記1のとおり、本願の【請求項3】には、「前記低誘電率層は、ポリイミドにより構成されており」と記載されていることに照らして、引用発明の「絶縁層50」は、本願補正発明の「低誘電率層」といえ、引用発明は、本願補正発明と同様に「前記レーザ構造部の上面のうち前記凸部以外の領域に形成された低誘電率層」を備えるものといえる。

(3)引用発明は、「凹部12の表面に絶縁膜49が形成され、この(凹部12の表面に形成された)絶縁膜49の表面にポリイミドの絶縁層50が形成され」るものであるから、引用発明の「(凹部12の表面に形成された)絶縁膜49」は、本願補正発明の「第1の絶縁層」に相当するところであり、引用発明は、本願補正発明と同様に「前記レーザ構造部の上面と前記低誘電率層との間に形成された第1の絶縁層」を備えるものといえる。

(4)引用発明の「コンタクト電極9」は、「凸部形状のメサ部100」を構成する「第1の半導体多層膜反射鏡6」上の「コンタクト層7」上に形成されており、本願補正発明の「凸部上に形成された上部電極」に相当する。

(5)引用発明の「(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49」は、絶縁層50上に形成されているから、本願補正発明と引用発明は、「前記低誘電率層上に形成された第2の絶縁層」を備えるものである点で一致する。

(6)引用発明の「ボンディングパッド51」は、「(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49上に」形成されており、本願補正発明の「前記第2の絶縁層上に形成された電極パッド」に相当する。

(7)引用発明の「配線52」は、「ボンディングパッド51」と「コンタクト電極9」を接続するものであるから、本願補正発明の「前記上部電極および前記電極パッドを電気的に接続する配線」に相当する。

(8)以上によれば、両者は、
「一対の光閉じ込め層が形成され、その対の光閉じ込め層の間に活性層を有すると共に、上面の一部に凸部が形成されたレーザ構造部と、
前記レーザ構造部の上面のうち前記凸部以外の領域に形成された低誘電率層と、
前記レーザ構造部の上面と前記低誘電率層との間に形成された第1の絶縁層と、
前記凸部上に形成された上部電極と、
前記低誘電率層上に形成された第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に形成された電極パッドと、
前記上部電極および前記電極パッドを電気的に接続する配線と
を備えた半導体レーザ。」
である点で一致し、
「本願補正発明は、第2の絶縁層が低誘電率層の上面全体に形成されているのに対し、引用発明の(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49は、ボンディングパッド51の下部には形成されているものの、絶縁層50の上面全体には形成されていない点。」(以下、単に「相違点」という。)
で相違するものと認められる。

5 判断
刊行物2には、レーザ構造部の表面とポリイミド保護膜との間に設ける層がSiNまたはSiON膜からなるパッシベーション層であり、水分遮蔽効果をより高めることができるものである旨記載されており(前記2(2)ウを参照。)、かかる記載に接した当業者においては、引用発明の「(凹部12の表面に形成された)絶縁膜49」は、刊行物2に記載されるのと同様のSiNまたはSiON膜からなるパッシベーション層であると理解されるところであって、引用発明の「(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49」についても、前記「(凹部12の表面に形成された)絶縁膜49」と同じであり、SiNまたはSiON膜であると理解される。
ここで、引用発明の「(絶縁層50上に形成された)絶縁膜49」は、ボンディングパッド51の下部に形成されているが、これは、刊行物3や刊行物4に記載されるように、ボンディングパッドは、ポリイミドとの密着性が悪いが無機材料との密着性は良い(前記2(3)ア【0004】「ポリイミド膜と電極金属との密着性が極めて悪いため、ワイヤボンディング工程の際電極剥がれがしばしば発生する」、同ウ【0011】「ワイヤボンディングを行う電極パッド下にポリイミド等の有機絶縁性樹脂膜がなく、電極が接触する材料はSiO2膜のような無機材料であるため通常のワイヤボンディングに必要な十分な電極の密着強度が得られる」の記載、前記2(4)「ポリイミドより良好なボンディングパッドの密着性および機械的安定性を提供する窒化シリコンあるいは二酸化シリコン」の記載を参照。)ので、無機材料であるSiNやSiON膜が絶縁膜49としてボンディングパッド51の下部に設けられているものと理解されるところ、引用発明の配線52もボンディングパッドと同様にポリイミドの絶縁層50との密着性が良くないことは明らかであり、配線52と絶縁層50との密着性を高めるために、これらの間にも無機材料であるSiNやSiON膜を設けることは、当業者が必要に応じて適宜採用する程度の事項というべきである。
また、SiNやSiON膜は、刊行物2に記載されるとおり、パッシべーション層であり、水分遮蔽効果を高めることができるものであることに照らせば、これらをポリイミドの絶縁層50の上面全体に設けることは、当業者が必要に応じて適宜採用する程度の事項というべきである。
してみれば、引用発明において、絶縁層50の上面全体に絶縁膜49となるSiNやSiON膜を設けるようにして、相違点に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものというべきである。
そして、本願補正発明において、相違点に係る構成により格別顕著な効果が奏されるものとも認められない。

6 むすび
以上の検討によれば、本願補正発明は、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年6月17日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1に、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1として示したとおりのものである。

2 判断
本願発明は、本願補正発明の「低誘電率層の上面全体に形成された第2の絶縁層」を「低誘電率層上に形成された第2の絶縁層」としたものに相当する。
すなわち、本願発明は、前記第2[理由]3において、本願補正発明と引用発明が一致する点として示したものと同じであって、引用発明と相違するところはない。

3 むすび
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-18 
結審通知日 2012-05-22 
審決日 2012-06-04 
出願番号 特願2005-613(P2005-613)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01S)
P 1 8・ 113- Z (H01S)
P 1 8・ 575- Z (H01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 三寛  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 岡▲崎▼ 輝雄
星野 浩一
発明の名称 半導体レーザ  
代理人 藤島 洋一郎  
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