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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1260635
審判番号 不服2010-29029  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-22 
確定日 2012-07-25 
事件の表示 特願2007-540575号「膜ユニット及びそれを備えた圧力測定ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成18年5月26日国際公開、WO2006/053673、平成20年6月19日国内公表、特表2008-520260号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成17年11月10日(パリ条約による優先権主張 平成16年11月17日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成21年12月25日付けで拒絶理由が通知され、平成22年4月2日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成22年8月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

II.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成22年4月2日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
圧力測定ユニットのハウジング(10)内で用いるように適合された膜ユニットであって、
前記膜ユニットは、弾性を有する柔軟材料よりなる可撓性の膜(20)及び前記膜(20)と一体且つ前記膜(20)よりも硬い硬質材料よりなる固定リング(30)を備えており、
前記膜(20)及び前記固定リング(30)は1ピースの部材を構成し、
前記固定リング(30)の可撓性は前記膜(20)の可撓性よりも低く、
前記固定リング(30)は、前記固定リング(30)を前記ハウジング(10)に固定する為の1つ以上の固定部材を有する
ことを特徴とする膜ユニット。」

III.引用文献
原査定の拒絶の理由3に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である「米国特許出願公開第2003/0200812号明細書」(以下「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(なお、翻訳文として、引用文献1に対応する日本語文献である特表2005-524081号公報を援用した。)。

ア:「The present invention relates to medical fluid pressure sensors. More specifically, the present invention provides an apparatus that reduces the amount of air that enters between mating membranes of a pressure sensor. The pressure sensor of the present invention includes a transducer portion and separate patient or medical fluid transfer portion (referred to herein as a "dome" or a "body"). The transducer portion is reusable and the dome is disposable. The dome defines a fluid flow chamber that is bounded on one side by a dome membrane. Likewise, the transducer is mounted inside a housing, wherein the housing defines a surface that holds a transducer membrane.」([0014])
『・・・本発明は、医療流体圧力センサに関する。より具体的には、本発明は、圧力センサの合わさった膜の間に入る空気の量を減少させる装置を提供する。本発明の圧力センサは、変換器部分および別個の患者流体または医療流体の移動部分(本明細書中で、「ドーム」または「本体」と称される)を備える。変換器部分は再使用可能であり、そしてドームは使い捨てである。このドームは、流体フローチャンバを規定し、このチャンバは、1つの側で、ドーム膜と境界を接する。同様に、変換器は、ハウジングの内部に設置され、ここで、このハウジングは、変換器膜を保持する表面を規定する。』(【0014】)

イ:「In an embodiment the increased contact forces or stresses are provided by a sealing member or O-ring integral to the dome membrane. The integral sealing member or O-ring of the dome membrane compresses to help prevent air from leaking between the dome and transducer membranes, which mate when the housing and dome are mated. The integral O-ring can have various cross-sectional shapes and in an embodiment is at least partly circular in cross-section. The dome membrane in an embodiment also includes an integral mounting ring that pressure fits into the dome.」([0017])
『1つの実施形態において、増加した接触力または応力は、ドーム膜と一体のシーリング部材またはOリングによって提供される。ドーム膜の一体のシーリング部材またはOリングは、圧縮して、ドーム膜と変換器膜と(これらは、ハウジングおよびドームが合わさる場合に合わさる)の間で空気が漏出することを防止する。一体のOリングは、種々の断面形状を有し得、そして1つの実施形態において、断面は、少なくとも部分的に円形である。1つの実施形態におけるドーム膜はまた、一体の取り付けリングを備え、これは、ドームへと圧力フィットする。』(【0017】)

ウ:「Both the housing 12 and the body 30 of the pressure sensor 10 include a flexible membrane. The housing 12 includes a membrane 50 disposed over and defining a bounding surface of the chamber 20. The membrane 50 is positioned substantially flush along the top surface (e.g., stainless steel surface) 52 of the housing 12. The transducer membrane 50 is, in an embodiment, silicone of approximately 0.1 to 0.5 mm thickness. Other materials and thicknesses may be used for the transducer membrane 50.
The transducer membrane 50 contacts the dome membrane 60 when the dome 30 and the housing 12 have been mated together. The contacting membranes 50 and 60 enable positive and negative pressure fluctuations of medical or patient fluid in the chamber 36 of the body 30 to be transmitted to the transmission material 22 and to the chip 18. In past pressure sensors, the interface between the contacting membranes 50 and 60 has become corrupted with gas leaking into the interface through the sides of the membranes 50 and 60 and from the medical or patient fluid though a relatively gas permeable dome membrane. The present invention seeks to address both these problems.
First, the dome membrane 60 is made from a substantially gas impermeable material. In a preferred embodiment, the dome membrane 60 is made from butyl rubber or from a blended rubber using butyl, such as halobutyl rubber. Butyl is generally known to have very good sealing properties and have a very low gas permeability rate. Butyl also has relatively good tear strength, chemical resistance, environmental resistance (including resistance to ozone attack) and is relatively easy to manufacture. The membrane 60 material can be made using a high state of cure (i.e., crosslink density), wherein the crosslinking reduces the rate of permeation.」([0053]?[0055])
『圧力センサのハウジング12および本体30の両方は、可撓性膜を備える。ハウジング12は、チャンバ20上に配置される膜50を備え、そして膜50は、チャンバ20の境界表面を規定する。膜50は、ハウジング12の上面(例えば、ステンレス鋼表面)52に沿って実質的に同一平面で配置される。変換器膜50は、1つの実施形態において、約0.1?0.5mm厚のシリコーンである。他の材料および厚さが、変換器膜50に使用され得る。
変換器膜50は、ドーム30およびハウジング12が一緒に嵌合する場合にドーム膜60と接触する。接触膜50および60により、本体30のチャンバ36における医学的流体または患者の体液の正および負の圧力変動を、伝達材料22およびチップ18へと伝達することが可能となる。上記の圧力センサにおいて、接触膜50と60との間の界面は、比較的にガス透過性のドーム膜を介する医学的流体または患者の体液からの、膜50および60の側面を介する界面へのガス漏れにより破損する。本発明は、これらの両方の問題を処理しようとする。
まず、ドーム膜60は、実質的にガス不透過性の材料から作製される。好ましい実施形態において、ドーム膜60は、ブチルゴムまたはブチルを用いて混合されたゴム(例えば、ハロブチルゴム)から作製される。ブチルは、一般的に、非常に良好な密封特性を有し、そしてガス透過率が非常に低いことが知られている。ブチルはまた、比較的良好な裂き強度、化学的耐性、環境耐性(オゾン攻撃に対する耐性を含む)を有し、そして、比較的製造が容易である。膜60材料は、高い硬化の状態を用いて作製され得(すなわち、架橋密度)、ここで、架橋は、透過率を減少させる。」(【0044】?【0046】)

エ:「The membrane 60 also defines a sealing rib 62 that press fits inside of an annular ring 64 defined by the body 30. In an embodiment, sealing rib 62 has an inner radius slightly less than the inner radius of the annular ring 64, so that the membrane 60 has to stretch to fit the rib 62 inside of the ring 64. The sealing rib 62 and the thin portion of the membrane (that engages at least a portion of the membrane 50) are made of the same material in an embodiment, but may be of different materials in other embodiments. The thin, sealing portion of the membrane 60 is, in an embodiment, approximately 0.4 mm thick.」([0057])
『膜60はまた、本体30によって規定される環状リング64の内側に圧力嵌合する密封リブ62を規定する。1つの実施形態において、密封リブ62は、環状リング64の内側半径よりわずかに小さな内側半径を有し、その結果、膜60は、リング64の内側でリブ62を嵌合するように伸長する必要がある。密封リブ62および膜の薄い部分(膜50の少なくとも一部分と係合する)は、1つの実施形態において同じ材料から作製されるが、他の実施形態において異なる材料から作製され得る。この膜60の薄い密封部分は、1つの実施形態において、約0.4mm厚である。』(【0048】)

オ:アの「本発明の圧力センサは、変換器部分および別個の患者流体または医療流体の移動部分(本明細書中で、「ドーム」または「本体」と称される)を備える。」との記載及びFIG.1Aの図示内容からして、ドーム30及びハウジング12は、医療流体圧力センサの筐体を構成しているといえる。

カ:FIG.1Aには、ドーム膜60と密封リブ62が1ピースの部材である態様が示されている。

キ:イの「1つの実施形態におけるドーム膜はまた、一体の取り付けリングを備え」との記載及びカからして、密封リブ62はリング状であって、ドーム膜60は及びリング状密封リブ62はドーム膜のユニットを構成しているといえる。

ク:FIG.1Aには、密封リブ62がドーム膜60より肉厚である態様が示されている。

ケ:ウの「圧力センサのハウジング12および本体30の両方は、可撓性膜を備える。」との記載、ウの「ドーム膜60は、ブチルゴムまたはブチルを用いて混合されたゴム(例えば、ハロブチルゴム)から作製される。」との記載、エの「密封リブ62および膜の薄い部分(膜50の少なくとも一部分と係合する)は、1つの実施形態において同じ材料から作製される」との記載、カ及びキからして、ドーム膜60及びリング状密封リブ62から構成されるドーム膜のユニットは、ブチルゴムよりなる可撓性のドーム膜60及びドーム膜60と一体且つブチルゴムよりなるとともにドーム膜の厚さより肉厚のリング状密封リブ62を備えているといえる。

コ:ケの態様において、ドーム膜60と同じ材質でドーム膜60より肉厚のリング状密封リブ62の可撓性は、ドーム膜60より低いことは技術常識からして明らかである。

サ:エの「膜60はまた、本体30によって規定される環状リング64の内側に圧力嵌合する密封リブ62を規定する。」との記載からして、リング状密封リブ62は、ドーム30の環状リング64の内側に圧力嵌合されるとともに、ドーム膜60をドーム30に固定するといえる。

これら記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「医療流体圧力センサのドーム及びハウジングから構成される筐体内で用いるように適合されたドーム膜及びリング状密封リブから構成されるドーム膜のユニットであって、
ドーム膜及びリング状密封リブから構成されるドーム膜のユニットは、ブチルゴムよりなる可撓性のドーム膜及びドーム膜と一体且つブチルゴムよりなるとともにドーム膜より肉厚のリング状密封リブを備えており、
ドーム膜及びリング状密封リブは1ピースの部材を構成し、
リング状密封リブの可撓性はドーム膜の可撓性よりも低く、
リング状密封リブは、ドームの環状リングの内側に圧力嵌合されるとともに、ドーム膜をドームに固定する、
ドーム膜及びリング状密封リブから構成されるドーム膜のユニット。」

IV.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「医療流体圧力センサ」は本願発明の「圧力測定ユニット」に相当し、以下同様に、「ドーム及びハウジングから構成される筐体」は「ハウジング(10)」に、「ブチルゴム」は「弾性を有する柔軟材料」に、「ドーム膜」は「膜(20)」に、「ドーム膜のユニット」は「膜ユニット」に、それぞれ相当する。

引用発明の「リング状密封リブ」は「ドーム膜を伸長してドームに固定する」から、本願発明の「固定リング(30)」に相当する。

引用発明の「リング状密封リブ」は、「ドーム」(ハウジング(10))「の環状リングの内側に圧力嵌合される」から、本願発明の「固定部材」と、「ハウジング(10)に固定」される点で一致する。

以上によれば、本願発明と引用発明とは次の点で一致する。
(一致点)
「圧力測定ユニットのハウジング(10)内で用いるように適合された膜ユニットであって、
前記膜ユニットは、弾性を有する柔軟材料よりなる可撓性の膜(20)及び前記膜(20)と一体の固定リング(30)を備えており、
前記膜(20)及び前記固定リング(30)は1ピースの部材を構成し、
前記固定リング(30)の可撓性は前記膜(20)の可撓性よりも低く、
前記固定リング(30)は、前記ハウジング(10)に固定される、
膜ユニット。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明では、「前記膜ユニットは、弾性を有する柔軟材料よりなる可撓性の膜(20)及び前記膜(20)と一体且つ前記膜(20)よりも硬い硬質材料よりなる固定リング(30)を備えて」いるのに対して、
引用発明では、「ドーム膜及びリング状密封リブから構成されるドーム膜のユニットは、ブチルゴムよりなる可撓性のドーム膜及びドーム膜と一体且つブチルゴムよりなるとともにドーム膜より肉厚のリング状密封リブを備えて」いる点。

(相違点2)
本願発明では、「前記固定リング(30)は、前記固定リング(30)を前記ハウジング(10)に固定する為の1つ以上の固定部材を有する」のに対して、
引用発明では、「リング状密封リブは、ドームの環状リングの内側に圧力嵌合される」点。

V.判断
(相違点1)
(1)平成22年4月2日付けで補正された特許請求の範囲の請求項3における「請求項1又は2に記載の膜ユニットにおいて、前記固定リング(30)及び前記膜(20)は、接着剤によって互いに連結される」との記載、平成19年5月1日付けの明細書における、「固定リング及び膜は、適切な接続技術、好適には接着剤又は溶接によって互いに結合される。」(【0007】)との記載、「膜20及び固定リング30は、両パーツを製造した後に連結されるか又は単一のプロセスで、例えば射出成形によって製造される1ピースの部材を構成する。」(【0026】)との記載、「膜ユニットは、それぞれの形成後に例えば接着剤又は溶接によって互いに連結された2つのパーツから構成される。」(【0036】)との記載からして、相違点1に係る「膜(20)と一体・・・固定リング(30)」は、2つのパーツである膜(20)と固定リング(30)とが連結されて1ピースの部材を構成する態様を含むといえる。

そして、例えば本件出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である実公昭39-24719号公報(第4図)には、圧力検出用ゴム製隔膜の取付装置に関し、「隔膜3はその差圧を敏感に伝えなければならない性能上の要求により肉厚の薄いものが使用されるため、壁面7,8間に働く締付力が過剰となって、隔膜周辺部に損傷をもたらしたり、または締付力が不足して気密の漏洩をもたらしたりして適応する締付力範囲が少いために取付上非常な困難が伴っている。」(1頁右欄1?7行)という技術課題を解決するための、「ゴム製隔膜の周辺に設けられた断面角形の環状肉厚部16に・・・L形の断面を持つ金属製リング17を当て、それらを金属製被覆板18で分離しないように周辺をかしめる。」(1頁右欄27?30行)態様が示され、
同じく、実願平2-83710号(実開平4-42960号)のマクロフィルム(第1図)には、「・・・気体間の圧力差によって可撓性膜部を軸線方向に移動させる」(明細書2頁6?8行)ダイアフラムに関し、「固定部2に隣接する可撓性膜部1の表面が、可撓性膜部1の軸線方向の往復作動に伴って、カバー7の内周側角部及び装着溝8の内側の環状突起の先端部と接触摺動して損傷させられるおそれがあり、この損傷を防止するために」(明細書3頁4?8行)、「ゴム状弾性材をもって成形された可撓性膜部(1)及び該可撓性膜部(1)の外周に一体的に接続された固定部(2)を有し、ゴム状弾性材よりも硬質の材料をもって成形され、内方端部を断面略円弧状に反り曲げられた径方向部(4)及び軸方向部(5)を備えて略L字様の断面形状を呈する固定用部材(3)を前記固定部(2)の外周面及び端面に接着され、前記固定部(2)及び前記固定用部材(3)をケース本体(7)及びカバー(8)に挾持されているダイアフラム。」(実用新案登録請求の範囲、明細書4頁4?11行)が示されている。
上記「圧力検出用ゴム製隔膜」、上記「気体間の圧力差によって可撓性膜部を軸線方向に移動させるダイアフラム」は、いずれも「圧力検出用膜」といえ、上記「ゴム製隔膜」、上記「ゴム状弾性材をもって成形された可撓性膜部(1)」は、いずれも「弾性を有する柔軟材料よりなる可撓性の膜」といえ、上記「金属リング17」及び「金属板リング18」、上記「ゴム状弾性材よりも硬質の材料をもって成形され、内方端部を断面略円弧状に反り曲げられた径方向部(4)及び軸方向部(5)を備えて略L字様の断面形状を呈する固定用部材(3)」は、いずれも「膜よりも硬い硬質材料よりなる固定用の部材」といえ、上記「ゴム製隔膜の・・・環状肉厚部16に・・・L形の断面を持つ金属製リング17を当て、それらを金属製被覆板18で分離しないように周辺をかしめ」たもの、上記「可撓性膜部(1)・・・の・・・固定部(2)・・・固定用部材(3)を前記固定部(2)の外周面及び端面に接着され」たものは、いずれも「可撓性の膜と固定部材とを連結して1ピースの部材を構成した」、つまり「一体とした膜ユニット」といえるから、上記各刊行物の記載事項からして、圧力検出用膜に関し、膜の損傷を防ぎ適切にシールして膜を固定するために、「弾性を有する柔軟材料よりなる可撓性の膜及び前記膜と一体且つ前記膜よりも硬い硬質材料よりなる固定用の部材を備えている膜ユニット」を用いることは、本件出願の優先権主張の日前に周知であり、原査定における周知技術自体の認定にも誤りはないといえる。
してみると、医療用流体圧力センサに係る引用発明において、膜の損傷を防ぎ適切にシールして膜を固定するために上記周知技術や原査定おける周知技術を適用し、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得る程度の事項である。

(2)加えて、例えば本件出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開昭62-019151号公報に「血液等の体液と接するようになる圧力ドーム1の全ての部品は、生理学的に中性のプラスチック製とされており、ダイアフラムを除いては、できるだけ屈曲しないものとされる。例えば、ダイアフラムの素材はシリコンゴムである。圧力ドーム1のハウジング10はプレッシャ鋳造によって造られるのが好ましい。・・・変換器2のハウジング21はできるだけ強固な材料で造られているのが好ましい。」(7頁左下欄18行?右下欄9行)と記載されているように、圧力による膜(ダイアフラム)の変位に基づいて圧力を測定する圧力測定ユニットにおいては、膜以外の構成部材を圧力により変位する弾性を有する柔軟材料で形成する必要はなく、むしろ、膜以外の構成部材を圧力により変位する柔軟材料で形成すると、被測定圧力により膜以外の構成部材が変位する結果、膜により正確な圧力を測定できなくなるおそれがあって、しかも、引用発明のリング状密封リブは、環状リングの内側に圧力嵌合されるとともにドーム膜をドームに固定する機能を奏する程度の硬さが要求されることは明らかである。
そして、技術常識からして硬い材料の方が可撓性が低く、引用文献1に「密封リブ62および膜の薄い部分・・・は、1つの実施形態において同じ材料から作製されるが、他の実施形態において異なる材料から作製され得る。」(記載事項エ)と記載されているように、引用文献1には、引用発明のリング状密封リブとドーム膜とを異なる材料で形成することも示唆されていることからすれば、引用発明において、膜より低い可撓性のリング状密封リブを、該リング状密封リブが環状リングの内側に圧力嵌合されるとともにドーム膜をドームに固定できるように、ドーム膜よりも硬い硬質材料から形成し、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項であるともいえる。

(相違点2)
引用発明のリング状密封リブは、ドームの環状リングの内側に圧力嵌合されるものであって、リング状密封リブの該圧力嵌合をより確実にすることは自明の課題であるから、そのためにリング状密封リブに固定部材を設け、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項である。

そして、本願発明による効果も、引用発明や周知技術から当業者が予測し得た程度のものである。

以上によれば、本願発明は、引用発明及び周知技術或いは引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術或いは引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
そして、本願の請求項1に係る発明(本願発明)が特許を受けることができないものである以上、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-08 
結審通知日 2012-02-14 
審決日 2012-03-12 
出願番号 特願2007-540575(P2007-540575)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小原 深美子  
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 関谷 一夫
田合 弘幸
発明の名称 膜ユニット及びそれを備えた圧力測定ユニット  
代理人 今江 克実  
代理人 竹内 宏  
代理人 杉浦 靖也  
代理人 井関 勝守  
代理人 嶋田 高久  
代理人 原田 智雄  
代理人 竹内 祐二  
代理人 関 啓  
代理人 二宮 克也  
代理人 前田 弘  

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