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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1260718
審判番号 不服2011-4895  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-03 
確定日 2012-07-26 
事件の表示 特願2009-240434「遊技島の土台下構造」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月21日出願公開、特開2010- 12313〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年4月3日に特許出願した特願2000-100940号の一部を平成21年10月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成21年10月19日 出願
平成22年 8月17日 拒絶理由通知
平成22年10月20日 手続補正
平成22年12月 2日 拒絶査定
平成23年 3月 3日 本件審判請求

2.本願発明
本願の請求項1に記載された発明は、平成22年10月20日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「遊技機が曲線に沿って配列される形態の遊技島を構築する際に床面上に固定されて、その上に搭載される遊技島本体を、あらかじめ決められた位置に水平に設置するための基礎となる遊技島の土台下構造であって、
それぞれが前記曲線に沿う形状とされている複数の土台下ユニットを配列した構造になっていて、その配列中で隣り合う土台下ユニットが、複数の面で互いに当接することによって前記曲線に沿って配列され、前記土台下構造の形状が全体として前記曲線に沿う形状となるように相対的に位置決めされている
ことを特徴とする遊技島の土台下構造。」(以下、「本願発明」という。)

3.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-9173号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

「ユニット枠は、工場において予め組み立てる。そして、このユニット枠やユニットベース等を遊技店に搬入する。遊技店では、先ず、床面にユニットベースを水平に固定する。その後、該ユニットベース上にユニット枠を所望する数たけ隣接状態で載置し、隣り合うユニット枠の縦材同士を接続手段により接続する。このようにすると、横長な島が構成され、各ユニット枠の台設置空間内に遊技機を単位台数宛設置することができる。」(2頁左上欄2?10行)
「ユニットベース2は、島1の前後幅とほぼ同じ長さのベース部材6を1つのユニット枠3の左右長さに対応する間隔で複数敷設し、これらベース部材6に直交する方向に2本のレール部材7,7を各ベース部材6の端部上に水平な状態で平行に取付けてなる。」(2頁右上欄1?6行)
「このベース部材6上に取付けるレール部材7は、C型チャンネル鋼など下面の中央部分が開放した金属製の型材からなり、当該島1の全長の相当する長さを有し、」(2頁右上欄10?13行)
「この様にして、各レール部材7上に設置したユニット枠3は、予めユニットベース2により水平出しが行われているので、」(3頁右上欄18?20行)
「以上説明した島1は、パチンコ機5を背中合せに設置する両島1であるが、本発明は、この両島1に限定されるものてはなく、店の壁に沿って設ける所謂壁島1であってもよい。」(10頁右上欄9?12行)

以上の記載事項によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「遊技機がユニット枠3の台設置空間内に設置される島1を構成する際に、床面上に固定されて、その上に載置されるユニット枠3を、水平に設置するためのユニットベース2であって、
ユニットベース2のレール部材7は島1の全長の相当する長さを有し、ユニットベース2及びユニット枠3で構成された島は横長な形状となる、
ユニットベース2。」(以下、「引用発明」という。)

4.対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「島1」、「ユニット枠3」は、本願発明の「遊技島」、「遊技島本体」に相当する。
そして、以下のことがいえる。
(1)本願明細書の段落【0002】によれば、「土台下構造」は、最初に床面上に固定される構造物であって、その上に遊技島本体を搭載することにより、遊技島を構築するための構造物と認められる。そうすると、引用発明の「ユニットベース2」は、最初に床面上に固定され、その上に「ユニット枠3」を搭載することにより、「島1」を構築するための構造物と認められるから、本願発明の「土台下構造」に相当する。
そして、引用発明の「島1」は、横長な形状であるから、「島1」に設置される遊技機は直線に沿って配列されるものということができ、「島1」を構成する「ユニットベース2」は「形状が全体として直線に沿う形状となる」ものということができる。そうすると、直線か曲線かは別として、引用発明と本願発明は「遊技機が線に沿って配列される形態の遊技島」及び「土台下構造の形状が全体として線に沿う形状となる」との構成を具備する点で共通している。
(2)引用発明の「ユニット枠3」が構築する前にその位置はあらかじめ決められていること、「ユニットベース2」は「ユニット枠3」の基礎となっていることは自明であるから、引用発明は本願発明の「遊技島本体を、あらかじめ決められた位置に水平に設置するための基礎となる遊技島の土台下構造」に相当する構成を実施的に具備している。

以上によると、本願発明と引用発明は、
「遊技機が線に沿って配列される形態の遊技島を構築する際に床面上に固定されて、その上に搭載される遊技島本体を、あらかじめ決められた位置に水平に設置するための基礎となる遊技島の土台下構造であって、
前記土台下構造の形状が全体として前記線に沿う形状となるようにされている遊技島の土台下構造。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
遊技機が沿って配列される「線」及び土台下構造の形状が全体として沿う「線」が、本願発明では「曲線」であるのに対し、引用発明では「直線」である点。
<相違点2>
土台下構造が、本願発明では、それぞれが前記曲線に沿う形状とされている複数の土台下ユニットを配列した構造になっていて、その配列中で隣り合う土台下ユニットが、複数の面で互いに当接することによって前記曲線に沿って配列され、相対的に位置決めされているのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。

5.判断
(1)相違点1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-179901号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「水平方向に湾曲させたレール部材を使用することができ、遊技機取付ユニット1を円弧状に配置する等、複雑なレイアウトにも容易に対応することができる。」(段落【0047】)と記載されており、遊技機を曲線に沿って配列すること、遊技島の形状を全体として曲線に沿った形状とすることが実質的に記載されている。
そうすると、引用発明も引用文献2に記載された技術的事項も遊技島に関するものであって同じ技術分野に属しているから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用し、遊技機が沿って配列される「線」及び土台下構造の形状が全体として沿う「線」を「曲線」とすることにより、相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。
(2)相違点2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-146448号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「先ず2本の基礎台1を床40の上に水平に並設固定し、その後それぞれの端部にさらに基礎台1を1本づつ継ぎ足す作業を所望の回数だけ繰り返して、基礎台1を所望の長さに水平に延設する。」(段落【0033】)、「並設した基礎台1の端からユニット式パチンコ島20を順次載置しては、ボルト31を固定具10・10Aのナット13にねじ込んで、基礎台1の上辺部2をユニット式パチンコ島20の底板29と固定具10・10Aの天板11との間に挟んで、ユニット式パチンコ島20を固定する。」(段落【0036】)と記載されている。上記記載及び図示によれば、引用文献3には、直線に沿う形状とされている複数の基礎台1を配列した構造になっていて、その配列中で隣り合う基礎台1が継ぎ足されて直線に沿って配列され、相対的に位置決めされた、遊技島の基礎である土台下構造が実質的に記載されている。
そして、上記引用文献3の「基礎台1」は本願発明の「土台下ユニット」に相当するとともに、複数の面で互いに当接させて相対的に位置決めさせることは固着手段において周知技術(例としては、原査定で例示された特開平7-255935号公報、特開平9-66159号公報を参照)と認められ、曲線に沿うようにすることは「相違点1について」で検討したとおりであり、引用発明も引用文献3に記載された技術的事項も遊技島に関するものであって同じ技術分野に属しているから、
引用発明に引用文献3に記載された技術的事項及び上記周知技術を適用し、土台下構造が、それぞれが前記曲線に沿う形状とされている複数の土台下ユニットを配列した構造になっていて、その配列中で隣り合う土台下ユニットが、複数の面で互いに当接することによって前記曲線に沿って配列され、相対的に位置決めされているものとし、相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

そして、本願発明の効果は、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項、上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6. むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-17 
結審通知日 2012-05-22 
審決日 2012-06-04 
出願番号 特願2009-240434(P2009-240434)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増嶌 稔  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 瀬津 太朗
秋山 斉昭
発明の名称 遊技島の土台下構造  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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