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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1260873
審判番号 不服2010-17040  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-29 
確定日 2012-08-02 
事件の表示 特願2000- 24791「情報処理装置及び方法、並びに記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月 3日出願公開、特開2001-209658〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

1.手続の経緯の概要
本願は、
平成12年1月28日付けの出願であって、
平成19年1月15日付けで審査請求がなされ、
平成21年10月9日付けで最初の拒絶理由通知(同年同月20日発送)がなされ、
同年12月17日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、
平成22年1月18日付けで最後の拒絶理由通知(同年同月26日発送)がなされ、
同年3月25日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、
同年4月23日付けで該手続補正書による補正に対する補正の却下の決定(同年5月11日発送)がなされるとともに、
同日付けで拒絶査定(同年5月11日発送)がなされ、
同年7月29日付けで審判請求がなされるとともに、手続補正書が提出されたものである。

なお、
同年9月10日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
平成23年12月28日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(平成24年1月10日発送)がなされ、これに対して
平成24年2月29日付けで回答書が提出されている。


2.補正の内容

(1)平成21年12月17日付け手続補正
上記平成21年12月17日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するとともに、発明の詳細な説明をこれに合わせて補正するものである。
「【請求項1】 複数のオブジェクト情報が貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
上記時間情報に対応した2次元画面を時間軸に沿って配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段とを有する
情報処理装置。
【請求項2】 上記オブジェクト情報は、所定のファイルを開くためのリンク情報を有する
情報処理装置。
【請求項3】 上記複数の2次元画面の各々は、各2次元画面に対応する時間情報を表示するための表示部を有する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】 上記複数の2次元画面の各々は、入力された検索文字列を表示するための検索文字列表示部を有する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】 複数のオブジェクト情報が貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶し、
上記時間情報に対応した2次元画面を時間軸に沿って配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成する
情報処理方法。
【請求項6】 複数のオブジェクト情報が貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶するステップと、
上記時間情報に対応した2次元画面を時間軸に沿って配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」


(2)平成22年7月29日付け手続補正
上記平成22年7月29日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するとともに、発明の詳細な説明をこれに合わせて補正しようとするものである。
「【請求項1】 所定のファイルを開くためのリンク情報を有するオブジェクト情報が複数貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って対応する時間情報が新しいものがより前面に表示されるように、各2次元画面がずれて重なるように、かつ傾けないように配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段とを有する
情報処理装置。
【請求項2】 上記複数の2次元画面の各々は、各2次元画面に対応する時間情報を表示するための表示部を有する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】 上記複数の2次元画面の各々は、入力された検索文字列を表示するための検索文字列表示部を有する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】 所定のファイルを開くためのリンク情報を有するオブジェクト情報が複数貼り付けられれた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶し、
上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って対応する時間情報が新しいものがより前面に表示されるように、各2次元画面がずれて重なるように、かつ傾けないように配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成する
情報処理方法。
【請求項5】 所定のファイルを開くためのリンク情報を有するオブジェクト情報が複数貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶するステップと、
上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って対応する時間情報が新しいものがより前面に表示されるように、各2次元画面がずれて重なるように、かつ傾けないように配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」



第2.補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成22年7月29日付けの手続補正を却下する。


[理由]
1.本件補正の内容
平成22年7月29日付けの手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、特許請求の範囲について、上記第1.2.(1)記載の特許請求の範囲から、上記第1.2.(2)記載の特許請求の範囲に補正しようとするものである。


2.本件補正の目的について
(1)本件補正は、審判の請求と同時にする補正であり、上記第1.2.(2)のとおり特許請求の範囲についてする補正を含むものであるから、その目的について検討するに、本件補正は、本件補正前の請求項1記載の発明を特定するための事項(以下「発明特定事項」と記す。)であるところの「オブジェクト情報」「上記時間情報に対応した2次元画面を時間軸に沿って配置した立体構造」を、それぞれ、より下位の「所定のファイルを開くためのリンク情報を有するオブジェクト情報」「上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って対応する時間情報が新しいものがより前面に表示されるように、各2次元画面がずれて重なるように、かつ傾けないように配置した立体構造」に限定するものであり、この限定によって、本件補正前後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
したがって、本件補正の目的は、請求項に記載した発明特定事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下「限定的減縮」と記す。)に該当し、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられる事項を目的とするものであると解することができる。


3.独立特許要件について
上記2.のとおり、本件補正は限定的減縮を目的とするものであると解することができるので、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。


3-1.本件補正発明
本件補正発明は、上記第1.2.(2)において【請求項1】として記載したとおりのものである。


3-2.先行技術

(1)引用文献
本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年1月18日付けの拒絶理由において引用された、下記引用文献には、下記引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)


<引用文献>
歌田明弘,「21世紀のグーテンベルク 本とコンピュータとネットワーク 第7回」,ASCII,株式会社アスキー,平成11年11月26日,第23巻 第12号,p.324-329

<引用文献記載事項1>
「暦本さんのノート型VAIOを開けると,現われたのは一見ふつうの「デスクトップ」画面(画面1)。
しかし,「フォルダ」がなく,画像のサムネイルや,ポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書きがところどころに貼られている。」(第325頁左欄第3行?第9行)

<引用文献記載事項2>
「また,デスクトップの変遷を,立体表示する機能も備わっている(画面5?9)。デスクトップ画面を斜めにすると,過去のデスクトップの断面が,斜めにずらっと現われる。ファイルがデスクトップ上に存在していた時間が線で表わされ,ゴミ箱に投げこまれたときには線はとぎれて消える。」(第326頁左欄第2行?第9行)



(2)参考文献
本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となされた下記参考文献には、それぞれ、下記参考文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)


<参考文献1>
特開平11-39132号公報(平成11年2月12日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【請求項1】 仮想空間内に配置された複数のアイコンの中から、任意のアイコンを選択するための選択手段と、
該選択手段によって選択したアイコンに対応付けられたデータを記憶している記憶手段とを備え、
前記選択手段によって選択したアイコンに対応付けられたデータを、前記記憶手段より読み出し表示することが可能なインターフェースシステムにおいて、
前記仮想空間内に時間軸を設定するとともに、
前記アイコンが記録保存された時の時間情報を検出するための時間情報検出手段と、
前記時間情報検出手段で検出された時間情報に基づいて、前記アイコンを前記時間軸上に表示する表示手段とを設けたことを特徴とするインターフェースシステム。」

<参考文献記載事項1-2>
「【0043】ここで、より新しく記録保存されたサムネイル程先に、古いサムネイル程後から現われる。このように、ダイヤル210を操作することによって、重なって見えにくいアイコン203を見やすい位置に移動したり、所望のアイコン203を手前に移動させ、サムネイルを大きく表示して視認することができる。さらに、拡大カーソル204によってアイコン203を選択し、拡大表示して一層視認しやすくできる。」


<参考文献2>
特開平10-320167号公報(平成10年12月4日出願公開)

<参考文献記載事項2-1>
「【0028】図3は本実施形態の仮想空間ウインドウ表示システムにおける表示例を示した説明図である。表示画面15の中心には、画面手前から画面奥に向かって、仮想的に設定された時間軸16があり、記憶保存された時刻に応じて、前記時間軸16の周囲にウインドウ17、18、19、20、21が表示されている。
【0029】各ウインドウ17?21は、時間軸16の奥の消失点に向かって収束する遠近法によって表示され、新しく記憶保存されたものほど、より手前により大きくより明るく表示される。
【0030】また、各ウインドウ17?21は、時間軸16を中心として、記録保存された時刻に対応する時計の長針の位置に表示される。22は時間軸16上における使用者の現在の位置を示しており、図3に示す例では、使用者は1月10日の16:00にあたる時間軸16上にいる。この時間は、仮想空間内を時間軸16に沿って移動することにより変化し、目的のウインドウを検索する時の手掛かりとなる。」

<参考文献記載事項2-2>
「【0041】図14は本実施形態の仮想空間ウインドウ表示システムにおけるウインドウの表示を、音声データの表示に応用したときの状態を示した説明図である。ディスプレイ15には、記録保存された時間に対応する時間軸16の周囲の適切な位置に、音声データのアイコン42、43、44、45、46が表示されており、使用者が音声アイコンに接近すると対応の音声が発せられる。
【0042】このように、時間軸に対応して表示されるウインドウに、音声データを持ったアイコンを表示することにより、仮想空間を移動して各アイコンに接近すると、アイコンに対応した音声データを聴けるようにすることができる。」

<参考文献記載事項2-3>
「【0043】図15は本実施形態の仮想空間ウインドウ表示システムにおけるウインドウの表示を、インターネットのホームページの表示に応用したときの状態を示した説明図である。表示画面15には、記録保存された時間に対応する時間軸16の周囲の適切な位置に、インターネットのホームページ47、48、49、50、51が表示されている。
【0044】このように、時間軸に対応して表示されるウインドウに、インターネットのホームページを表示して、ホームページをブラウズしてきた履歴を体感的に観察することもできる。以上詳述したように、本実施形態の仮想空間ウインドウ表示システムによれば、これまでの技術にない新規な検索システムを提供することが可能となる。」

<参考文献記載事項2-4>
仮想空間ウインドウ表示システムの一施形態における表示例を示す説明図であって、長方形のウインドウ17の前面にこれの一部を覆うように長方形のウインドウ19を、該長方形のウインドウ19の前面にこれの一部を覆うように長方形のウインドウ21を表示している表示画面15が描かれた図(【図3】)

<参考文献記載事項2-5>
本発明の仮想空間ウインドウ表示システムの一実施形態におけるウインドウの表示を、インターネットのホームページの表示に応用したときの状態を示した説明図であって、長方形のウインドウ47の前面にこれの一部を覆うように長方形のウインドウ49を、該長方形のウインドウ49の前面にこれの一部を覆うように長方形のウインドウ51を表示している表示画面15が描かれた図(【図15】)


<参考文献3>
特開平10-187743号公報(平成10年7月21日出願公開)

<参考文献記載事項3-1>
「【請求項1】 時間情報と分類情報を有する複数のデータを記憶する記憶手段と、
画面の奥行き方向の壁面に時間座標、及び画面の幅方向の床面に分類座標を生成する座標空間生成手段と、
前記データの内容を表す図形を生成する図形生成手段とを備え、
前記壁面と床面とで構成される座標空間に、前記データの時間情報と分類情報に基づき、前記図形を表示することを特徴とするデータ表示方法。
【請求項2】 前記図形生成手段は、前記データの内容を縮小表示させる縮小画像生成手段を備え、前記壁面と床面で構成される座標空間に、前記データの時間情報と分類情報に基づき、前記縮小画像を表示することを特徴とする請求項1記載のデータ表示方法。
【請求項3】 前記データと、前記図形生成手段により生成された図形とを関連付けるリンク手段と、
前記座標空間に表示された図形を選択するための図形選択手段とを備え、
当該図形選択手段で任意の図形を選択することにより、前記リンク手段により関連づけられたデータの内容を表示することを特徴とする請求項1乃至2記載のデータ表示方法。」

<参考文献記載事項3-2>
「【請求項8】 時間情報と分類情報を有するデータを図形で表し、
当該図形を、画面の奥行き方向の壁面に時間座標、幅方向の床面に分類座標を備える座標空間に、当該データの時間情報と分類情報に基づき配置するとともに、
前記座標空間内の特定の位置を視点として前記配置された図形を表示することを特徴とするデータ表示方法。
【請求項9】 前記視点位置を前記座標空間内で任意移動させることを特徴とする請求項8記載のデータ表示方法。」

<参考文献記載事項3-3>
「【0021】図2は表示装置に表示される本実施例の3次元座標空間を説明する図である。Z軸方向は日時を表しており、日時に対応するカレンダーモデル201は長方形で表現され、3次元座標空間のZ軸上に配置され一定の期間を表している。図では一部しか表示していないが、カレンダーモデル上には所定の間隔で日時が併記されている。X軸方向は分類を表しており、各分類に対応する分類モデル202は、分類名を併記した長方形で表現され、3次元座標空間のX軸上に所定の間隔で配置される。各データモデル203は、データモデルの作成日時および分類に対応してカレンダーモデル201と分類モデル202によって定められる格子状の該当する位置に配置される。データモデル203は長方形で表現され、データモデル203はZ軸と直交する平面と平行に配置され、正面にはデータの縮小画像が表示される。


<参考文献記載事項3-4>
本発明の表示装置に表示される3次元座標空間を表す図であって、左の長底辺側から右の短底辺順にむかって順に「1」、「2」、「3」と記載されたカレンダーモデルを示す台形と、その右にデータモデルを表す長方形が重なって記載されている図(【図2】)


<参考文献4>
特開平6-180661号公報(平成6年6月28日出願公開)

<参考文献記載事項4-1>
「【請求項1】計算機システムのファイルを検索するファイル検索方法であって、
少なくとも各ファイル別にファイルの作成あるいは更新時間と、それぞれの時間におけるファイルの内容(以下、これを更新記録と言う。)を記憶させ、
ファイルの更新記録に対応した、画面上の時系列座標軸上の位置(以下、これを時間座標と言う。)に各ファイルを「ミニチュア」表現で表示するファイル検索方法。」

<参考文献記載事項4-2>
「【0023】図10において、51は31内の終了、キャンセル、OKボタン表示エリア、52は31で51を除く表示エリア、53は31で時間軸を含む座標空間を表示するエリアである。501は終了ボタン、502はキャンセルボタン、503はOKボタン、504、505、506、507はカーソル、508はミニチュア、509は508のファイル内容に付属するメッセージ領域、510はメッセージウィンドウ、511はテキストによる入力がメッセージの入力となるか、ファイルに対するコマンドの入力となるかの切り替えをユーザに示すための表示、512はテキスト入力エリア、513はテキストによる入力をメッセージの入力とするための入力ボタン、514はテキストによる入力をファイルに対するコマンドの入力とするためのコマンドボタンである。」

<参考文献記載事項4-3>
「【0028】ステップS16では、ユーザがカーソルをミニチュアに接触させたかチェックし、ステップS17でYESなら接触したミニチュアを図5(b)508の例に示すように、他とは異なる形態で表示すると共に、該ファイルに付属するメッセージ領域509、メッセージウィンドウ510を生成する(ステップS18)。ステップS19でユーザがカーソルをミニチュアから離したかチェックし、YESならステップS26へ移る。NOならユーザがミニチュア上でマウスのダブルクリックなどの動作を行ってミニチュアを選択したかチェックする(ステップS21)。YESならステップS35に移る。NOならユーザがカーソルを接触させているミニチュアを、ドラッグして移動させたかチェックする(ステップS23)。NOならステップS19に戻る。YESなら、ドラッグして移動した先の表示座標値に対応する時刻に最も近い時刻でのファイル内容を、図9(b)に示す時間座標テーブルのポインタに従って読み込み、該ファイル内容のミニチュアを表示(ステップS25)する。このとき表示エリア53の表示例を図11(a)、(b)に示す。ここでは図11(c)のミニチュア508を指定してカーソル504を同図(d)の504’の位置までドラッグし、その結果、上記手順にしたがって、5月12日に更新したファイル内容にミニチュア508’の表示が変化していることを表している。ステップS25からステップS19に戻る。
【0029】ステップS26では、ユーザが図12(a)、(b)のメッセージウィンドウ510中のボタン513、514を選択したかチェックする。YESなら選択したボタンに応じてファイル内容の変更を行う。入力ボタン513が選択された場合は、現在のミニチュアが示しているファイル内容に付加するメッセージ入力モードとなり、入力エリア512で入力した文字をメッセージ領域509に表示するとともに、図9(b)の時間座標テーブル内のメッセージエリアに格納する。また、図12(b)で示すようにコマンドボタン514が選択された場合には、入力エリア512に入力されたコマンドに応じて該ファイルに対する操作を行い、更新されたファイル状態を時間座標テーブル(a)(b)に反映する(ステップS28)。メッセージ領域509、メッセージウィンドウ510を閉じて(ステップS34)、ステップS45に移る。
【0030】ステップS35は、ステップS21でマウスダブルクリックによって選択された状態のときに実行される処理で、マウスダブルクリックによって選択されたファイルの前頁を一覧でミニチュア表示する。図13はこのときの表示エリア52である。ユーザがカーソル504でミニチュア508、515、516、517の一部に接触したかチェックし(ステップS36)、YESなら該ファイル内容の各頁に対する編集モードとなり、カーソル504の位置からファイルに対する入力、修正などを行い(ステップS38)、ステップS39に移る。NOの場合もステップS39に移る。ステップS39ではユーザが図10(a)のOKボタン503を選択したかチェックし、YESなら該ファイルの更新内容と更新日時を追加格納し、ミニチュアを更新して表示し(ステップS42)、ステップS45に移る。また、ステップS39でNOの場合は、ユーザがキャンセルボタン502を選択したかチェックし(ステップS43)、YESならステップS42へ移る。NOならステップS45へ移る。」

<参考文献記載事項4-4>
1実施例によるファイル検索画面表示の一例であって、ミニチュアを表す複数の長方形が重なって表示され、しかも、座標空間を表示するエリア53内の右側の右下がりの直線の右側に上から順に「5/10」、「5/11」、「5/12」、「5/13」、「5/14」、「5/15」と表示される図(【図10】)


3-3.引用発明の認定

(1)引用文献は、上記引用文献記載事項2記載のごとき「デスクトップの変遷を,立体表示する機能」を上記引用文献記載事項1記載の「ノート型VAIO」等の「パーソナルコンピュータ」上で実現する技術を紹介するものであり、その「デスクトップ」は上記引用文献記載事項1記載のとおり「画像のサムネイルや,ポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書きがところどころに貼られている」画面である。
したがって、引用文献には「画像のサムネイルやポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書きがところどころに貼られているデスクトップの変遷を,立体表示する機能」を有する「パーソナルコンピュータ」が記載されていると言える。

(2)そして、該「機能」は、上記引用文献記載事項2のごとく「過去のデスクトップの断面が,斜めにずらっと現われ」、「ファイルがデスクトップ上に存在していた時間が線で表わされ,ゴミ箱に投げこまれたときには線はとぎれて消える」ような画面を表示する機能であると言える。

(3)よって、引用文献には、下記引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「画像のサムネイルやポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書きがところどころに貼られているデスクトップの変遷を,立体表示する機能であって、過去のデスクトップの断面が斜めにずらっと現われ、ファイルがデスクトップ上に存在していた時間が線で表わされ,ゴミ箱に投げこまれたときには線はとぎれて消えるような画面を表示する機能を有するパーソナルコンピュータ」


3-4.対比
以下、本件補正発明と引用発明とを比較する。

(1)引用発明は「パーソナルコンピュータ」であるから、引用発明も本件補正発明と同様に「情報処理装置」と言えるものである。

(2)引用発明における「画像のサムネイルやポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書き」は、本件補正発明における「オブジェクト情報」に対応付けられるものであるところ、前者も「オブジェクト情報」と言えるものであるという点では後者と共通する。
そして、引用発明における「デスクトップ」は、本件補正発明における「2次元画面」に対応付けられるものであるところ、前者は上記「画像のサムネイルやポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書きがところどころに貼られている」ものであるから、両者は「オブジェクト情報が複数貼り付けられた複数の2次元画面」と言える点で共通する。
そしてさらに、引用発明は上記「デスクトップの変遷を,立体表示する機能」を有し、しかもそれは「過去のデスクトップの断面が斜めにずらっと現われ」るものであるから、これら「デスクトップ」と「時間情報」とを対応付けて記憶していることは明らかである。
したがって、引用発明と本件補正発明とは、「オブジェクト情報が複数貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶する記憶手段」を有する点で共通するといえる。

(3)また、引用発明における「立体表示」は本件補正発明における「3次元表示」に対応付けられるものであるところ、前者は「過去のデスクトップの断面が斜めにずらっと現われ」るものであるから、両者は「上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って配置した立体構造を3次元表示する」と言う点で共通するものである。
そして、引用発明は該「立体表示」をする機能を有するのであるから、そのための表示信号を生成する手段を有していることも明らかである。
したがって、引用発明と本件補正発明とは、「上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段」を有する点でも共通するといえる。

(4)よって、本件補正発明は、下記一致点で引用発明と一致し、下記相違点で引用発明と相違する。

<一致点>
「オブジェクト情報が複数貼り付けられた複数の2次元画面と時間情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
上記時間情報に対応した各2次元画面を、時間軸に沿って配置した立体構造を3次元表示するための表示信号を生成する表示信号生成手段とを有する
情報処理装置。」

<相違点1>
本件補正発明におけるオブジェクト情報は「所定のファイルを開くためのリンク情報を有する」ものである。
(これに対し、引用発明は「ファイルがデスクトップ上に存在していた時間が線で表わされ,ゴミ箱に投げこまれたときには線はとぎれて消えるような画面」を表示するものの、引用文献には「画像のサムネイルやポストイットと呼ばれる付箋サイズのメモ書き」が該ファイルを開くためのリンク情報を有している旨の明示は無い。)

<相違点2>
本件補正発明における立体構造の配置は「対応する時間情報が新しいものがより前面に表示されるように、各2次元画面がずれて重なるように、かつ傾けないように」したものである。
(これに対し、引用文献にはそのような配置のものの記載は無い。)


3-5.判断
以下、上記相違点について検討する。

(1)相違点1について
サムネイルや付箋などで表されるオブジェクトに他の情報を関連付けることは、当業者が通常採用している技術常識的な事項であり(必要があれば上記参考文献記載事項1-1、2-2、3-1、4-3等参照)、引用発明におけるサムネイルや付箋を所定のファイルを開くためのリンク情報を有するものとすること、すなわち、上記相違点1に係る構成を採用することは、当業者であれば通常採用する設計事項にすぎない。

(2)相違点2について
複数の2次元で表示される情報を配置した立体構造を3次元表示する画面デザインとしては、引用文献記載のごときもののほかに、該2次元で表示される情報がずれて重なるように、かつ傾けないように配置する画面デザインも知られており、これも当業者が慣用しているものにほかならず、また、その際の奥行きと時間の新旧の対応関係も適宜に定め得るものであり、新しいものがより前面に表示されるような配置も通常採用されているものである(必要があれば上記参考文献記載事項1-2、2-1、2-3?2-5、3-2?3-4、4-1、4-2、4-4等参照)。
してみると、引用発明の「デスクトップの断面が斜めにずらっと現われ」るような画面デザインに代えて、対応する時間情報が新しいものがより前面に表示されるように、各2次元画面がずれて重なるように、かつ傾けないように配置する画面デザインを採用すること、すなわち、上記相違点2に係る構成を採用することは、当業者であれば適宜になし得た設計変更にすぎない。

(3)してみると、本件補正発明の構成は引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


3-6.小結
以上のとおり、本件補正発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


4.むすび
上記3.記載のとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下しなければならないものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。



第3.本件審判請求の成否について

1.手続きの経緯、本願発明の認定
本願の手続きの経緯は上記第1.1.記載のとおりのものであり、さらに、平成22年7月29日付けの手続補正は上記第2.のとおり却下された。
したがって、本願の特許請求の範囲は、上記第1.2.(1)に記載したとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」と記す。)はそこに【請求項1】として記載したとおりのものである。

2.先行技術・引用発明の認定
上記第2.3-2.(1)(2)で示したとおり、本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年1月18日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献には上記引用文献記載事項が記載されており、本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となされた上記参考文献にはそれぞれ上記参考文献記載事項が記載されている。
そして、上記引用文献には上記第2.3-3.で認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
上記第2.3.で検討した本件補正発明は、本願発明に対し上記第2.2.で述べた限定的減縮をしたものであるから、本願発明は、上記本件補正発明から当該限定的減縮により限定される要件を無くしたものに相当する。
そして、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の要件を付加したものに相当する上記本件補正発明は、上記第2.3-5.に記載したとおり、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明がこれを包含するものであることは明らかである。
したがって、本願発明も上記引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項についての検討をするまでもなく、本願を拒絶すべきものとした原審の拒絶査定は妥当なものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-30 
結審通知日 2012-06-05 
審決日 2012-06-19 
出願番号 特願2000-24791(P2000-24791)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 殿川 雅也
田中 秀人
発明の名称 情報処理装置及び方法、並びに記録媒体  
代理人 祐成 篤哉  
代理人 野口 信博  
代理人 藤井 稔也  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 小池 晃  
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