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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1260883 |
審判番号 | 不服2010-28818 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-12-21 |
確定日 | 2012-08-02 |
事件の表示 | 特願2006- 83102「電話機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月 4日出願公開、特開2007-259254〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本件出願は、平成18年3月24日の出願であって、原審において平成22年10月27日付けで拒絶査定され、これに対し同年12月21日に審判請求がなされたものであるところ、 本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年6月25日付けで補正された特許請求の範囲、明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下「本願発明」という。) (本願発明) 「【請求項1】 本体部と本体部と接続されたハンドセットからなる電話機であり、 前記本体部は、前記ハンドセットを保持するクレイドル部を有し、前記クレイドル部には、前記ハンドセットの送話部と受話部の間に形成された穴に嵌合する隆起部を形成し、前記隆起部は少なくともその頂部に透光部を設けるとともに、この隆起部に、回線の接続状態に応じて照明状態が変わる内部照明を配設し、 前記ハンドセットの穴には、前記ハンドセット筐体背面と面一をなす透明パネルが配されていることを特徴とする電話機。」 2.引用例に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である実願昭61-067805号(実開昭62-178643号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、「照明装置付電話機」として図面と共に次の記載がある。 イ.「2.実用新案登録請求の範囲 (1) 照明用光源を内蔵し透光性材料によつて形成されたランプシェードが突出し、該ランプシェードの両側に送話器と受話器の載置部を有する電話機ケース本体と、該送話器と受話器との中間に設けられた把持部に前記ランプシェードに対応する透孔を有するハンドセットを備え、 前記ハンドセットの透孔に前記ランプシェードを挿通するように前記ハンドセットを前記電話機ケース本体の載置部に載置することを特徴とする照明装置付電話機。」(1頁4?14行) ロ.「 以下本考案を第1図?第6図に従って説明する。第1図は本考案一実施例の斜視図である。(1)はハンドセットで、送話器(2)および受話器(3)とその中間に把持部(4)が設けられており、把持部(4)は略長円形の透孔(5)を有している。 (10)は電話機ケース本体で前部にテンキー(11)等のキーを有するキー部(12)が設けられ、後部には表面(13)から突出したランプシェード(14)が設けられている。ランプシェード(14)は透明または半透明樹脂製の略長円形の柱体で、ハンドセット(1)の透孔(5)よりも1回り小さく形成され、内部にランプを有する。ランプシェード(14)の両側は段差がつけられ、且つ外側に下降する傾斜面により送話器(2)の載置部(15)と受話器(3)の載置部(16)とが形成され、載置部(15)にはフックスイッチ(図示せず)が設けられている。 第2図はハンドセット(1)を電話機ケース本体(10)に載置した状態を示す斜視図であり、送話器(2)の傾斜がつけられた載置面(6)は送話器の載置部(15)に、受話器(3)の傾斜がつけられた載置面(7)は受話器の載置部(16)に載置される。このときハンドセット(1)はランプシェード(14)がハンドセット(1)の透孔(5)に挿通するように電話機ケース本体(10)に載置され、ランプシェード(14)の上面(17)はハンドセット(1)の上面(18)に略一致し、一つの面を形成する。 第3図、第4図はハンドセット(1)を載置した状態(第2図)の側面断面図、正面断面図である。」(3頁8行?4頁14行) ハ.「 なお、非通話時にはランプ(20)を単に室内照明装置として点灯させて使用し、着信時には呼出信号電流を利用してランプの回路を断続させ、呼出音に対応して点滅する着信発光表示装置として使用することもできる。このときハンドセット(1)を持ち上げれば呼出信号が停止するので、再び点灯状態に復帰する。」(6頁12?18行) 上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、 まず、引用例記載の「照明装置付電話機」は、上記イ.、ロ.、第1図、第2図にあるように、「電話機ケース本体(10)」と、「電話機ケース本体(10)と接続されたハンドセット(1)」からなる「照明装置付電話機」であり、 前記「電話機ケース本体(10)」は、前記「ハンドセット(1)」を載置する「載置部(15)、(16)」を有しており、 前記「載置部」には、「前記ハンドセットの送話器(2)と受話器(3)の間に形成された透孔(5)に挿通するランプシェード(14)」を形成してあり、 前記「ランプシェード(14)」は「透光性材料」によつて形成されるとともに、「照明用光源」として「ランプ(20)」が内蔵されていて、 上記ハ.の「非通話時には・・・点灯させて使用し、着信時には・・・、呼出音に対応して点滅する着信発光表示装置として使用することもできる」との記載によれば、「非通話時」と「着信時」では「回線の接続状態」が異なるのは技術常識であるから、前記「ランプ(20)」は「回線の接続状態に応じて照明状態が変わる照明用光源」ということができる。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。 (引用発明) 「電話機ケース本体と、電話機ケース本体と接続されたハンドセットからなる照明装置付電話機であり、 前記電話機ケース本体は、前記ハンドセットを載置する載置部を有し、 前記載置部には、前記ハンドセットの送話器と受話器の間に形成された透孔に挿通するランプシェードを形成し、 前記ランプシェードは透光性材料によつて形成されるとともに、回線の接続状態に応じて照明状態が変わる照明用光源を内蔵した照明装置付電話機。」 3.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、 まず、引用発明の「電話機ケース本体」、「照明装置付電話機」、「載置部」は、それぞれ本願発明の「本体部」、「電話機」、「クレイドル部」にあたり、引用発明の「載置する」とは「保持する」ことである。 また、引用発明の「送話器」、「受話器」は、本願発明の「送話部」、「受話部」にあたり、「透孔」は「穴」であって、引用発明の「ランプシェード」は引用例第1図からも明らかなように隆起した形状の部分であるから、本願発明の「隆起部」に相当する。 また、引用発明の「ランプシェード」は「透孔に挿通する」から、前記の対比を踏まえれば、本願発明の「穴に嵌合する隆起部」である。 また、引用発明の「ランプシェード」は「透光性材料によつて形成」されているから、本願発明と「隆起部は少なくともその頂部に透光部を設ける」点で一致する。 そして、引用発明の「照明用光源」は内蔵されているから、本願発明の「内部照明」である。 したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。 (一致点) 「本体部と本体部と接続されたハンドセットからなる電話機であり、 前記本体部は、前記ハンドセットを保持するクレイドル部を有し、前記クレイドル部には、前記ハンドセットの送話部と受話部の間に形成された穴に嵌合する隆起部を形成し、前記隆起部は少なくともその頂部に透光部を設けるとともに、この隆起部に、回線の接続状態に応じて照明状態が変わる内部照明を配設した電話機。」 (相違点) 本願発明は「前記ハンドセットの穴には、前記ハンドセット筐体背面と面一をなす透明パネルが配されている」のに対し、引用発明の「ハンドセットの透孔」はそのような構成を備えない点。 上記相違点に関し検討するに、引用発明の「透孔」も本願発明の「穴」も、いずれもハンドセットと電話機本体の嵌合のためのみならず、照明や着信などの報知・表示のためのものである点においても共通するものであるが、このような穴が使用上の違和感を生ずるのであれば、これを塞ごうとするのは全く当然のことであって、照明、報知・表示のための穴である以上、穴を塞ぐ部材(パネル)は透光性のある透明な材料(透明パネル)であることが必要なのも自明なことに過ぎない。 そして、このような穴を塞ぐ透明パネルを設置する場合に、使用上の違和感を減らし、美観を保つなどのために周囲の面(ハンドセット筐体背面)との連続性を持たせる、すなわち「面一」とすることも、単なる設計的事項ないし周知の慣用手段に過ぎないが、例えば引用例の上記ロ.に「ランプシェード(14)の上面(17)はハンドセット(1)の上面(18)に略一致し、一つの面を形成する。」とあるように示唆のあることでもある。 したがって、「前記ハンドセットの穴には、前記ハンドセット筐体背面と面一をなす透明パネルが配されている」とした本相違点は、引用発明より当業者であれば容易に想到し得た程度のことであって、格別のものではない。 そして、本願発明の効果も引用発明から当業者が予測し得る範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-05-30 |
結審通知日 | 2012-06-05 |
審決日 | 2012-06-20 |
出願番号 | 特願2006-83102(P2006-83102) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永田 義仁 |
特許庁審判長 |
石井 研一 |
特許庁審判官 |
遠山 敬彦 矢島 伸一 |
発明の名称 | 電話機 |
代理人 | 大橋 雅昭 |