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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 E21D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E21D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E21D
管理番号 1260902
審判番号 不服2011-14884  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-11 
確定日 2012-08-02 
事件の表示 特願2006-353104号「シールド掘進機」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 7月17日出願公開、特開2008-163612号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成18年12月27日の出願であって,平成23年4月4日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年7月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同時に手続補正がなされたものである。
その後,同年10月13日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったが回答はなされなかった。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年7月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
平成23年7月11日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,補正前の特許請求の範囲の請求項1(平成22年8月30日付けの手続補正)を,次のように補正しようとする補正事項を含むものである。
「【請求項1】シールド本体と,該シールド本体の前端部に回転可能に支持され,前記シールド本体に着脱可能に取り付けられた環状の外側カッターと,前記シールド本体の内部に回転可能に支持され,前記シールド本体に着脱可能に取り付けられた内側カッターとを含み,前記外側カッターおよび前記内側カッターは,異なる方向に互いに回転可能である,シールド掘進機。」

上記補正は,請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「外側カッター」と「内側カッター」について,それぞれ「シールド本体に着脱可能に取り付けられた」ものであることを限定し,「外側カッターと内側カッター」が「互いに異なる方向に回転可能」としていたものを「異なる方向に互いに回転可能」としたものであると認められるから,本件補正は,少なくとも,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。

そこで,本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか,すなわち,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしているか,について以下に検討する。

2 独立特許要件違反(特許法第29条第2項違反)
2-1 引用刊行物
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特公昭44-32374号公報(以下「刊行物1」という。)には,図面とともに以下の記載がある(下線は当審にて付与。)

(1a)「図において本機械は2重の固定円筒フレーム21,22を有し,中央に排土用の中央シヤフト23を有している。内側シールドフレーム21は前端上部に円弧形の内側フード211と,後方に補強円筒枠とこれを結ぶ補強部分24とを備えており,外側シールドフレーム22も同じく前端上部に円弧形の外側フード221と,後方にシールドジヤツキ61を収納する補強部分26とを備えている。
この内側シールドフレーム21と外側シールドフレーム22と中央シヤフト23とは,それぞれ主固定フレーム25,27,28によつて相互に接合され本機械の骨組を形成し,機械の各部の支持と外圧に抵抗し,周囲地盤の移動防止の主体をなしている。(第5図,第6図)
この骨組架構に,内側カツターフレーム11とスライドフレーム31と外側カツターフレーム12とが取付けられる。内側カツターフレーム11は中央部に中央カツター10を有し,中央シヤフト23に嵌合されたスライドフレーム31と内側シールドフレーム21との間に,後方のスライドフレーム31に推力反力をとつて回転自在に組みこまれ,スライドフレーム31からの応力の伝達によつて第5図,第6図に示すように内側シールドフレーム21内を前進,後退できるようになつている。」(第3欄第33行?第4欄第12行)

(1b)「外側カツターフレーム12は内側シールドフレーム21と外側シールドフレーム22との間に嵌合され,後方の固定フレーム27に反力をとり,回転自在に組みこまれる。
内側カツターフレーム11は(第1図ならびに第7図),油圧ポンプユニツト41により配管供給される油圧によつて,スライドフレーム主桁313に設置された4個の内側カツターオイルモーター42を駆動させ,シヤフト421の端部に固定されたピニオン422によつて内側カツターフレーム11に取付けられたピンラツク423に伝達される回転力によつて駆動され回転する。
同様に外側カツターフレーム12は,固定フレーム27に設定された8個の外側カツターオイルモーター43によつて駆動され回転する。
このように内側と外側とのカツターフレーム11,12は,それぞれ別個に回転駆動され,正転,逆転ならびに回転スピードを自在に組合わせることができる。」(第4欄第23行?同欄第41行)

(1c)「特許請求の範囲
1 前面上部にそれぞれフードを有するシールドフレームを同心2重に固定し,その前面にそれぞれ内側および外側カツターフレームを段違いにして設け,これらカツターフレームは各独立して正転,逆転およびスピード変換ができると共に内側カツターフレームは内側シールドフレームに沿い自在に前後にスライドできるものとなし,これら内外両カツターフレームの前面には中央カツターと中心に対し放射状に等角間隔にもうけたカツターヘツドとこれら両者の間に回転時における前面土砂の抵抗を減少させるため適当量後退させたカツターデイスクとを有し・・・てなる一般地盤掘削用機械化シールドトンネル掘進機。」(特許請求の範囲)

上記記載(1a)?(1c)と,第2図からみて内側カツターフレーム11の周囲に設けられている外側カツターフレーム12の形状が環状であるものと認められることを総合すると,刊行物1には,以下の発明が記載されていると認められる(以下,「刊行物1記載の発明」という。)。
「内側シールドフレームと外側シールドフレームを同心2重に固定し,その前面にそれぞれ内側カツターフレームおよび環状の外側カツターフレームを段違いにして設け,これらカツターフレームは各独立して正転,逆転ができる一般地盤掘削用機械化シールドトンネル掘進機において,
内側シールドフレームと外側シールドフレームと中央シヤフトとは,それぞれ主固定フレームによつて相互に接合され本機械の骨組を形成し,この骨組架構に,内側カツターフレームとスライドフレームと外側カツターフレームとが取付けられる一般地盤掘削用機械化シールドトンネル掘進機。」

2-2 補正発明と刊行物1記載の発明との対比
刊行物1記載の発明と補正発明とを対比すると,
刊行物1記載の発明の「外側シールドフレーム」は,補正発明の「シールド本体」に相当し,以下同様に,
「前面」は,「前端部」に,
「外側カツターフレーム」は,「外側カッター」に,
「内側カツターフレーム」は,「内側カッター」に,
「一般地盤掘削用機械化シールドトンネル掘進機」は,「シールド掘進機」に,
それぞれ相当する。

また,刊行物1記載の発明は,「内側カツターフレーム」および「外側カツターフレーム」は,「各独立して正転,逆転ができる」ことからみて,「内側カツターフレーム」および「外側カツターフレーム」は,「異なる方向に互いに回転可能」であるものと認められることから,この点は,補正発明の「外側カッター」および「内側カッター」は,「異なる方向に互いに回転可能である」点に相当する。

したがって,両者は以下の点で一致している。
「シールド本体と,該シールド本体の前端部に回転可能に支持され,前記シールド本体に取り付けられた環状の外側カッターと,前記シールド本体の内部に回転可能に支持され,前記シールド本体に取り付けられた内側カッターとを含み,前記外側カッターおよび前記内側カッターは,異なる方向に互いに回転可能である,シールド掘進機。」

そして,以下に示す点で相違している。
<相違点>
「外側カッター」と「内側カッター」それぞれの「シールド本体」への取り付けについて,
補正発明では,いずれも着脱可能に取り付けているのに対し,
刊行物1記載の発明では,着脱可能としているか明らかでない点。

2-3 判断
(相違点について)
刊行物1記載の「シールド掘進機」の技術分野において,シールド掘進機を現場で組立・解体可能とすることは周知の技術である(必要であれば,特開平8-199973号公報の段落0008,特開2002-266589号公報の段落0002,特開2006-307478号公報の段落0028等を参照されたい。)。

また,シールド掘進機の組立・解体の際に,シールド本体とカッター部分を着脱することは常套手段である(必要であれば,特開平9-303081号公報の段落0020,特開2003-106086号公報の段落0011,特開平3-202588号公報の第3頁左上欄第13行?同頁右上欄第1行,特開平6-58075号公報の段落0011等を参照されたい。)。

ここで,刊行物1記載の発明と上述の周知の技術はいずれもシールド掘進機に関するものである点で共通していることから,刊行物1記載の発明に当該周知の技術を適用して,刊行物1記載の発明の「シールド掘進機」を現場で組立・解体可能とすることは当業者が適宜行うことであり,その際に,上述の常套手段を考慮してカッター部分に相当する「外側カッター」・「内側カッター」を「シールド本体」に対して着脱可能として,相違点に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

なお,請求人が審判請求書において「内外のカッターフレームが逆方向に互いに回転する(すなわち一方が正転し,他方が逆転する)との記載はない」と主張している。当該主張の意味は必ずしも明らかでないものの,当該主張が外側カッターと内側カッターとが同時に回転する際に両者が逆方向に回転する点について明記がない旨を指摘するものと解した場合について念のため検討する(ただし,本件補正後の本願の請求項1の記載からは補正発明は必ずしもそのようなものに限られず,両者が逆方向に互いに回転しうるように構成されていれば足りるものと解される。)。

地山から受ける抵抗や発生する掘削トルクの反力を相殺するために,外側カッターと内側カッターとが同時に回転する際に両者を逆方向に回転させることは「シールド掘進機」の技術分野において周知の技術である(必要であれば,特開平11-236794号公報の段落0021,特開平6-294275号公報の段落0006等を参照されたい。)。

刊行物1記載の発明も当然有する課題である地山から受ける抵抗や発生する掘削トルクの反力を低減するために,刊行物1記載の発明において内外のカッターを同時に回転する際に両者を逆方向に回転することは当業者が適宜行うことである。

してみると,補正発明において,外側カッターと内側カッターとが同時に回転する際に両者を逆方向に回転させることを明らかにする補正をしたとしても,両カッターをそのように回転させることは上述したとおり刊行物1記載の発明と周知の技術から当業者が容易に想到しうることである。

そして,補正発明の作用効果は,刊行物1記載の発明,周知の技術,及び,常套手段から予測できる程度のものである。

したがって,補正発明は,刊行物1記載の発明,周知の技術,及び,常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 補正の却下の決定のむすび
以上より,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
平成23年7月11日付けの手続補正は却下され,平成22年12月14日付けの手続補正は却下されているので,本願の請求項1?3に係る発明は,平成22年8月30日付けで手続補正された請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,そのうち,請求項1に係る発明は,以下のとおりのものである。
「【請求項1】シールド本体と,該シールド本体の前端部に回転可能に支持された環状の外側カッターと,前記シールド本体の内部に回転可能に支持された内側カッターとを含み,前記外側カッターおよび前記内側カッターは,互いに異なる方向に回転可能である,シールド掘進機。」(以下,請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

2 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された,刊行物1とその記載事項は,前記「第2 2 2-1」の「(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
刊行物1記載の発明と補正発明とを対比すると,
刊行物1記載の発明の「外側シールドフレーム」は,補正発明の「シールド本体」に相当し,以下同様に,
「前面」は,「前端部」に,
「外側カツターフレーム」は,「外側カッター」に,
「内側カツターフレーム」は,「内側カッター」に,
「一般地盤掘削用機械化シールドトンネル掘進機」は,「シールド掘進機」に,
それぞれ相当する。

また,刊行物1記載の発明は,内側および外側カツターフレームが各独立して正転,逆転できることから,両カツターフレームが互いに異なる方向に回転可能であるものと認められる。

したがって,両者は以下の点で一致している。
「シールド本体と,該シールド本体の前端部に回転可能に支持された環状の外側カッターと,前記シールド本体の内部に回転可能に支持された内側カッターとを含み,前記外側カッターおよび前記内側カッターは,互いに異なる方向に回転可能である,シールド掘進機。」

してみると,本願発明と刊行物1記載の発明は,発明特定事項に差異はない。

したがって,本願発明は,刊行物1記載の発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないものであることから,本願の他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-30 
結審通知日 2012-06-05 
審決日 2012-06-18 
出願番号 特願2006-353104(P2006-353104)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E21D)
P 1 8・ 121- Z (E21D)
P 1 8・ 113- Z (E21D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 桐山 愛世伊藤 昌哉  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 横井 巨人
鈴野 幹夫
発明の名称 シールド掘進機  
代理人 松永 宣行  
代理人 松永 宣行  
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