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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C30B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C30B |
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管理番号 | 1261136 |
審判番号 | 不服2010-17161 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-30 |
確定日 | 2012-08-06 |
事件の表示 | 特願2007-534681「低1cらせん転位の3インチ炭化珪素ウェハ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日国際公開、WO2006/041659、平成20年 5月15日国内公表、特表2008-515748〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、2005年9月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年10月4日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年10月31日付けで拒絶理由が通知され、平成21年2月4日付けで意見書と特許請求の範囲の記載に係る手続補正書が提出され、同年3月27日付けで拒絶理由が通知され、同年7月29日付けで意見書が提出され、同年9月1日付けで拒絶理由が通知され、平成22年3月4日付けで意見書が提出され、同年同月26日付で拒絶査定され、同年7月30日に拒絶査定不服審判が請求され、同年9月10日に審判請求書に係る手続補正書が提出されたものである。 本願の請求項1?9に係る発明(以下、「本願発明1?9」という。)は、平成21年2月4日付けの特許請求の範囲の記載に係る手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 種結晶を用いた昇華システムにおいて炭化珪素の高品質バルク単結晶を製造する方法であって、 SiCウェーハの成長表面を研磨するステップと、 前記研磨したSiCウェーハをるつぼに導入するステップと、 炭化珪素ソース材料を前記るつぼに供給するステップと、 前記炭化珪素ソース材料を昇華させ、前記炭化珪素ソース材料とSiCウェーハとの間に熱勾配を形成するようにるつぼを加熱して、前記ソース材料の前記研磨したSiCウェーハへの気相移動、ならびに、前記ソース材料の前記SiCウェーハの前記研磨成長表面における凝縮を促進させることで、少なくとも3インチの直径を有し、2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産する方法。 【請求項2】 前記加熱するステップにおいてSiCの単結晶を形成するステップが、2000cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を形成するステップを含む請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記加熱するステップにおいてSiCの単結晶を形成するステップが、1500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を形成するステップを含む請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記加熱するステップにおいてSiCの単結晶を形成するステップが、1200cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を形成するステップを含む請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記ウェーハを研磨するステップが、化学機械研磨を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項6】 さらに、前記研磨するステップに先立ち、 SiCブールを成長するステップと、 前記SiCブールからSiCウェーハをスライスするステップとを含む請求項1に記載の方法。 【請求項7】 さらに、前記導入するステップに先立ち、SiC種結晶ホルダをアニールする段階と、前記研磨したSiCウェーハをアニールされた種結晶ホルダに取り付けるステップとを含み、 前記導入するステップが、前記アニールされた種結晶ホルダを配置するステップと、研磨したSiCウェーハをるつぼ内に取り付けるステップとを含む請求項1に記載の方法。 【請求項8】 3インチ以上の直径を有し、2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有するSiCの単結晶が、3C,4H,6H,15Rから選択される単一のポリタイプを有する請求項1に記載の方法。 【請求項9】 さらに、3インチ以上の直径を有し2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する前記SiCの単結晶から2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有するウェーハをスライスするステップを含む請求項1に記載の方法。 2.原査定の拒絶の理由及び平成22年3月4日付け意見書に対する原審の判断 原査定の拒絶の理由は、平成21年9月1日付け拒絶理由通知書の理由A、Bによって拒絶すべきものとすることを含み、同拒絶理由通知書の理由A、Bは、 請求項1?9に係る発明に関して、発明の詳細な説明には、2500cm^(-2)未満、2000cm^(-2)未満、1500cm^(-2)未満、あるいは、1200cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産する方法について、具体的に記載されておらず、発明の詳細な説明は、当業者が請求項1?9に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえないし、また、請求項1?9に係る発明が、発明の詳細な説明に記載したものといえないから、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないし、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、 とし、詳しくは、 発明の詳細な説明の段落【0023】、段落【0026】、段落【0028】、段落【0047】、段落【0048】、及び段落【0049】には、特定値の1cらせん転位密度である高品質の炭化珪素ウエハが記載されているのみであり、これらウエハがどのような方法によって形成されたかについて具体的に記載されていないし、 また、段落【0029】、段落【0030】、段落【0037】の記載をみても、改良方法が具体的にどのような方法であるか記載されていないし、また、種結晶を研磨すること、あるいは、表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度を有する単結晶SiC種結晶を用いることによって、成長したSiC単結晶の1cらせん転位密度がどのような値になるかについて具体的に記載されていないから、段落【0030】や段落【0037】に記載された手段によって、2500cm^(-2)未満、2000cm^(-2)未満、1500cm^(-2)未満、あるいは、1200cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶が生産できるか不明である、と指摘し、 拒絶査定において、平成22年3月4日付けの意見書の主張に対して、 (ア)この主張は、種結晶を用いれば、種結晶が研磨されているかいないかによらず、1cらせん転位密度の達成値が約2500cm^(-2)未満となることを主張しているのか、研磨された種結晶を用いることによって、1cらせん転位密度の達成値が約2500cm^(-2)未満となることを主張しているのか理解できないし、 (イ)また、後者を主張しているとしても、段落【0030】の「昇華成長は、典型的に、エッチングされていない研磨された種結晶上に実行される」旨の記載が、特定値の1cらせん転位密度である高品質の炭化珪素ウエハが、エッチングされていない研磨された種結晶を用いた昇華成長により実施されているとする根拠といえないから、当該主張も採用できない、と判断している。 3.当審の判断 (1)本願発明1は、「SiCウェーハの成長表面を研磨するステップと、 前記研磨したSiCウェーハをるつぼに導入するステップと ・・・・・・ 前記ソース材料の前記研磨したSiCウェーハへの気相移動、ならびに、前記ソース材料の前記SiCウェーハの前記研磨成長表面における凝縮を促進させることで、少なくとも3インチの直径を有し、2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産する方法」という発明特定事項を有する発明であるから、「研磨したSiCウェーハ」すなわち、「研磨された種結晶」を用いて、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」していることが明らかである。 よって、平成22年3月4日付け意見書に対する原審の判断(ア)で、「種結晶を用いれば、種結晶が研磨されているかいないかによらず、1cらせん転位密度の達成値が約2500cm^(-2)未満となることを主張しているのか、研磨された種結晶を用いることによって、1cらせん転位密度の達成値が約2500cm^(-2)未満となることを主張しているのか理解できない」としているが、上述のとおり本願発明1において種結晶は研磨されているから、「種結晶を用いれば、種結晶が研磨されているかいないかによらず、1cらせん転位密度の達成値が約2500cm^(-2)未満となる」ということはなく、「研磨された種結晶を用いることによって、1cらせん転位密度の達成値が約2500cm^(-2)未満となる」といえ、この部分は支持することはできない。 そこで、平成22年3月4日付け意見書に対する原審の判断(イ)で「段落【0030】の「昇華成長は、典型的に、エッチングされていない研磨された種結晶上に実行される」旨の記載が、特定値の1cらせん転位密度である高品質の炭化珪素ウエハが、エッチングされていない研磨された種結晶を用いた昇華成長により実施されているとする根拠といえない」、すなわち、「段落【0030】の記載をみても、研磨した種結晶を単に用いることだけで2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産することができるとはいえない」と、判断していることを踏まえて原査定の拒絶の理由が妥当であるかを検討する。 (2)まず、段落【0030】の「昇華成長は、典型的に、エッチングされていない研磨された種結晶上に実行される」との記載をみると、研磨された種結晶を用いることは「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産する」ために少なくとも必要な事項ととれる。 (3)次に、研磨された単結晶に関する発明の詳細な説明の記載をみてみると、研磨する手段、研磨の程度(どのような研磨表面を得るのか)等について記載がなく、また、これらの指針を与える、研磨された種結晶上に昇華成長を行うと「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」を行うことができることに関する理論的な説明についても記載がない。 (4)種結晶に関して、発明の詳細な説明の段落【0037】には、「種結晶22は、少なくとも約75mmの直径を有し、表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度を有する単結晶SiC種結晶であることが好ましい。」と記載されているが、研磨について言及はなく、しかも、マイクロパイプは厚さ方向に存在する欠陥であるから研磨の程度によってその密度が変化するとは直ちにいえないから、「表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度」なる記載事項をもって研磨の手段、研磨の程度等を導出する指針とすることもできない。 (5)仮に、種結晶を単に研磨することだけで「表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度」となり、この「表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度」の種結晶を用いると「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産する」ことができるとして、本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0034】?【0036】及び図面第4図に示される製造法に関する技術常識をみてみる。 原査定の拒絶の理由において引用文献2として引用された特開2003-183097号公報の段落【0004】には、 「マイクロパイプ密度が極めて小さい種結晶として、供試可能な結晶としては、レーリー法によって製造されるレーリー結晶と称される結晶片の存在が知られているが、この結晶片はその大きさが直径にして、せいぜい10?15mm程度にしか及ばず、工業的に希求されている2?4インチ(約50?100mm)径にははるかに及ばない。このため、基本的に上記レーリー結晶から出発し、安定結晶成長を繰り返して、マイクロパイプを新たに発生させないように慎重に口径拡大を重ね、所望の2?4インチ(約50?100mm)径にすることが、大口径高品質インゴットを製造する基本的な指針となっている。しかしながら、この方法によって口径拡大に成功したとしても、安定成長を繰り返している途上において、成長条件の突発的変移等々の偶発的な要因によって起こる成長不安定性等の原因により、成長インゴット中に新たにマイクロパイプが多数発生する確率が無視できず、このような場合には、上記のように、マイクロパイプ密度が元のレベルに低減するまで、再び安定結晶成長を多数回繰り返す必要があり、効率的な工業生産が阻まれてしまう。」 との記載がある(同様の事項は、平成20年10月31日付けの拒絶理由で引用された特開2003-176200号公報の段落【0005】にも記載されている。)。 また、特開2000-34198号公報には、 「この種のSiC単結晶の成長(製造)方法として、従来、黒鉛るつぼ内で原料のSiC粉末を昇華させ、その昇華ガスを閉鎖空間内で拡散輸送させてるつぼ内の低温部に配置した種結晶上に再結晶させる改良型昇華再結晶法(改良レーリー法)・・・・・・等が知られている。 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、・・・・・・改良レーリー法にあっては、結晶成長速度の進展および大型単結晶成長が可能になってきているものの、マイクロパイプ欠陥と呼ばれ半導体デバイスを作製した際の漏れ電流等の原因となる結晶の成長方向に貫通する直径数ミクロンのピンホールが100?1000/cm^(2) 程度成長結晶中に残存しやすくて、半導体デバイスとしての要求を満たすに足りる品質を持つ単結晶SiCが得られていない。・・・・・・」(段落【0003】?【0004】)と記載されている(同様の記載は、例えば、特開2004-31470号公報の段落【0004】等にもなされている。)。 ここで、改良レーリー法とは、本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0034】?【0036】、【0042】及び図面第4図等に示されるものであることは技術常識に照らし明らかである。 これら公報の記載によれば、「表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度」の種結晶を用いて単結晶を堆積したとしても、改良レーリー法では「成長条件の突発的変移等々の偶発的な要因によって起こる成長不安定性等の原因により、成長インゴット中に新たにマイクロパイプが多数発生する確率が無視でき」ないから、種結晶上にあって成長面となる単結晶の表面上のマイクロパイプ密度は必ずしも約25cm^(-2)未満とはならず、「表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度」を維持して単結晶を成長させることは、本願発明1の特定事項と当業者が出願時の技術常識を考慮しても直ちにできることとは認められず、「表面上に約25cm^(-2)未満のマイクロパイプ密度」の種結晶を用いて成長結晶を堆積することのみをもって、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」し得ることになるとは直ちにいえない。 (6)そうすると、段落【0030】に「昇華成長は、典型的に、エッチングされていない研磨された種結晶上に実行される」との記載がされていても、この記載からだけでは出願時の技術常識を考慮しても明細書の発明の詳細な説明の記載から、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」ための種結晶に研磨を行う指針が導き出されるとはいえず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないし、 また、「SiCウェーハの成長表面を研磨する」、すなわち、種結晶を研磨すると特定するだけでは「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」できるとは直ちにいえず、本願発明1及び本願発明1の発明特定事項を含む本願発明2?9の範囲まで発明の詳細な説明を拡張することはできないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 4.審判請求書における請求人の主張と補正案について (1)請求人は、原査定の拒絶の理由である「理由A(実施可能要件)及び理由B(サポート要件)に対して」、「本発明は、2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度である高品質の炭化珪素ウエハを形成するためには、単に昇華成長に用いる種結晶を研磨すればよいのではなく、 「SiCウェーハの成長表面を研磨するステップと、 前記研磨したSiCウェーハをるつぼに導入するステップと、 炭化珪素ソース材料を前記るつぼに供給するステップと、 前記炭化珪素ソース材料を昇華させ、前記炭化珪素ソース材料とSiCウェーハとの間に熱勾配を形成するようにるつぼを加熱して、前記ソース材料の前記研磨したSiCウェーハへの気相移動、ならびに、前記ソース材料の前記SiCウェーハの前記研磨成長表面における凝縮を促進させることで、炭化珪素の単結晶を生産する方法」によって製造されますので、2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度である高品質の炭化珪素ウエハがどのような方法で形成されるか明らかです。 また、このような方法によって、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度である高品質の炭化珪素ウエハ」が製造されることは、出願当初の段落[0017]の「種結晶を用いた昇華成長システムにおいて少なくとも76.2mm(約3インチ)の直径を有し-、約2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有するSiCの高品質単結晶ウェハ」の記載がサポートしています。」と主張している。 しかし、「昇華成長に用いる種結晶を研磨」、すなわち、「SiCウェーハの成長表面を研磨するステップ」以外の上記「炭化珪素の単結晶を生産する方法」としてあげられているステップは、上記3.(5)で述べたように周知の「改良レーリー法」ステップであって、これを単に適用したとしても、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」し得ることになるとは直ちにいえないから、請求人の主張を採用することはできない。 (2)審判請求人は、請求項1?8について補正案を示し、そのうちの請求項1に係る補正案は、補正前の請求項7を削除し、請求項1に請求項7の発明特定事項を付け加える次のとおりのものである。 「 [請求項1] 種結晶を用いた昇華システムにおいて炭化珪素の高品質バルク単結晶を製造する方法で あって、 SiCウェーハの成長表面を研磨するステップと、 前記研磨したSiCウェーハをるつぼに導入するステップと、 炭化珪素ソース材料を前記るつぼに供給するステップと、 前記炭化珪素ソース材料を昇華させ、前記炭化珪素ソース材料とSiCウェーハとの間に熱勾配を形成するようにるつぼを加熱するステップであって、前記ソース材料の前記研磨したSiCウェーハへの気相移動、ならびに、前記ソース材料の前記SiCウェーハの前記研磨成長表面における凝縮を促進させることで、少なくとも3インチの直径を有し、2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産するステップと、 を含み、 さらに、前記導入するステップに先立ち、SiC種結晶ホルダをアニールするステップと、前記研磨したSiCウェーハをアニールされた種結晶ホルダに取り付けるステップとを含み、 前記導入するステップが、前記アニールされた種結晶ホルダを配置するステップと、研磨したSiCウェーハをるつぼ内に取り付けるステップとを含む方法。」 この請求項1に係る補正案についてみてみると、確かに、補正前の請求項7に記載の発明特定事項が付け加えられている。 そこで、付け加えられた発明特定事項について、発明の詳細な説明の記載をみてみると、段落【0040】には、「いくつかの実施形態において、種結晶22を取り付ける前に、種結晶ホルダ24をアニールすることが望ましい場合もある。」と記載されており、種結晶ホルダをアニールすることなしに、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」し得るといえるから、この付け加えられた発明特定事項によって、「2500cm^(-2)未満の1cらせん転位密度を有する炭化珪素の単結晶を生産」し得ることがもたらされるとはいえない。 さらに、請求項1を引用する請求項2?8においても同様である。 よって、補正案を採用することもできない。 4.むすび したがって、本願は、特許法第36条第4項第1号、同法同条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-09 |
結審通知日 | 2012-03-13 |
審決日 | 2012-03-26 |
出願番号 | 特願2007-534681(P2007-534681) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(C30B)
P 1 8・ 536- Z (C30B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮澤 尚之、五十棲 毅、横島 重信 |
特許庁審判長 |
木村 孔一 |
特許庁審判官 |
目代 博茂 斉藤 信人 |
発明の名称 | 低1cらせん転位の3インチ炭化珪素ウェハ |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |
代理人 | 大日方 和幸 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 林 鉐三 |