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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1261142
審判番号 不服2011-7497  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-08 
確定日 2012-08-06 
事件の表示 特願2005-374602「動画像再生装置及び動画像再生方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月12日出願公開、特開2007-179611〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成17年12月27日に出願されたものであって、平成22年8月16日付け拒絶理由に対して平成22年10月25日付けで手続補正書が提出されたが、平成23年1月5日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して平成23年4月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されている。
そして前置報告書を用いた審尋に対して、平成24年1月31日付けで回答書が提出されている。

第2 平成23年4月8日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成23年4月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明

当該補正書による補正後の請求項に係る発明は、平成23年4月8日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次のものと認められる。

【請求項1】
複数の言語の音声ストリーム、字幕ストリーム、メニュー情報を含む映像情報とその管理情報とを読み取るディスクドライブ部と、
前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の、複数言語の音声ストリーム及び字幕ストリームのうち夫々異なる言語の複数の任意のストリームを分離して抽出する分離部と、
前記分離するストリーム設定情報を格納した再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
前記ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部と、
複数言語の中からユーザが選択した、ストリーム毎に異なる言語を再生用として設定するためのストリーム設定情報を有する再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
再生言語を特定するためにストリーム選択する前記分離部の制御では、メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、前記ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別し、該設定によるストリームの抽出が優先し、前記ストリーム設定情報が設定されていない場合はデフォルトのストリームの抽出が行われるように前記分離部を制御する再生ストリーム設定情報管理部と、
を有することを特徴とする動画像再生装置。
【請求項2】
前記再生ストリーム設定情報管理部は、複数の言語のメニューのストリームの内、前記再生ストリーム設定情報管理テーブルに設定されている言語のメニューのストリームを抽出するように前記分離部を制御するメニュー言語切替機能部を有することを特徴とする請求項1記載の動画像再生装置。
【請求項3】
前記再生ストリーム設定情報管理部は、複数の言語の音声のストリームの内、前記再生ストリーム設定情報管理テーブルに設定されている言語の音声のストリームを抽出するように前記分離部を制御する音声言語切替機能部を有することを特徴とする請求項1記載の動画像再生装置。
【請求項4】
前記再生ストリーム設定情報管理部は、複数の言語の字幕のストリームの内、前記再生ストリーム設定情報管理テーブルに設定されている言語の字幕のストリームを抽出するように前記分離部を制御する字幕言語切替機能部を有することを特徴とする請求項1記載の動画像再生装置。
【請求項5】
前記再生ストリーム設定情報管理部は、前記ディスクのチャプターに附属されている前記管理情報からパレンタルロック情報が検出された場合、そのチャプターを飛ばして次のチャプターに繋げて再生するように前記分離部を制御するパレンタルロック機能部を有することを特徴とする請求項1記載の動画像再生装置。
【請求項6】
前記再生ストリーム設定情報管理テーブルは、再生ストリーム設定情報を複数記憶し、前記複数の再生ストリーム設定情報に優先順位を設定できることを特徴とする請求項1記載の動画像再生装置。
【請求項7】
複数の言語の音声ストリーム、字幕ストリーム、メニュー情報を含む映像情報とその管理情報とを読み取るディスクドライブ部と、前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の、複数言語の音声ストリーム及び字幕ストリームのうち、夫々異なる言語の複数の任意のストリームを分離して抽出する分離部と、複数言語の中からユーザが選択した、ストリーム毎に異なる言語を再生用として設定するための再生ストリーム設定情報を格納した再生ストリーム設定情報管理テーブルと、前記ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部と、前記再生ストリーム設定情報の管理部とを有した装置の動画像再生方法であって、
再生言語を特定するためにストリーム選択する前記分離部の制御では、メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、前記ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別し、該設定によるストリームの抽出が優先し、前記ストリーム設定情報が設定されていない場合はデフォルトのストリームの抽出が行われるように前記離部を制御することを特徴とする動画像再生方法。
【請求項8】
前記ストリームを設定するステップでは、
前記再生ストリーム設定情報管理テーブルに再生ストリーム設定情報が記録されていない場合、前記ディスクの管理情報に含まれるデフォルトの言語のストリームが前記分離部で抽出されるように、前記分離部を制御することを特徴とする請求項7記載の動画像再生方法。
【請求項9】
前記ディスクに、パレンタルロック情報が含まれている場合、パレンタルロック情報が含まれているチャプターをスキップさせるように前記分離部を制御することを特徴とする請求項7記載の動画像再生方法。
【請求項10】
優先順位の異なる再生ストリーム設定情報が複数ある場合、優先順位の高い再生ストリーム設定情報を採用することを特徴とする請求項7記載の動画像再生方法。

この補正は、補正前の請求項における発明特定事項を限定的に減縮したものであるから、当該補正は特許法第17条の2第4項第2号(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、これを平成18年改正前特許法と記す)第17条の2第4項第2号)に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、補正後の請求項1ないし10の内、請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができたものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。
以下、平成23年4月8日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本願補正後発明」とする。

[本願補正後発明]
複数の言語の音声ストリーム、字幕ストリーム、メニュー情報を含む映像情報とその管理情報とを読み取るディスクドライブ部と、
前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の、複数言語の音声ストリーム及び字幕ストリームのうち夫々異なる言語の複数の任意のストリームを分離して抽出する分離部と、
前記分離するストリーム設定情報を格納した再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
前記ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部と、
複数言語の中からユーザが選択した、ストリーム毎に異なる言語を再生用として設定するためのストリーム設定情報を有する再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
再生言語を特定するためにストリーム選択する前記分離部の制御では、メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、前記ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別し、該設定によるストリームの抽出が優先し、前記ストリーム設定情報が設定されていない場合はデフォルトのストリームの抽出が行われるように前記分離部を制御する再生ストリーム設定情報管理部と、
を有することを特徴とする動画像再生装置。

2.公知刊行物の記載

原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1(国際公開第2005/067293号)には、図面(特に図33)とともに、以下(ア)?(キ)の事項が記載されている。

(ア)「課題を解決するための手段
[0005]
上記目的を達成するため本発明に係る記録媒体は、デジタルストリームと、そのデジタルストリームに対する再生経路を示す再生経路情報と、択一的な複数の再生経路情報と、再生経路情報を用いたデジタルストリームの再生を再生装置に命じる制御プログラムとが記録されており、前記制御プログラムは、再生装置に設定されたユーザの年齢を表す状態レジスタの格納値を用いて、択一的な複数再生経路情報のうち何れか1つを再生装置に選ばせる選択手順を含むことを特徴としている。」

(イ)「[0015] (第1実施形態)
以降、本発明に係る記録媒体の実施形態について説明する。先ず始めに、本発明に係る記録媒体の実施行為のうち、使用行為についての形態を説明する。図1は、本発明に係る記録媒体の、使用行為についての形態を示す図である。図1において、本発明に係る記録媒体はBD-ROM100であり、BD-ROM100は、再生装置200、リモコン300、テレビ400により形成されるホームシアターシステムに、著作物を供給するという用途に供される。
[0016]
以上が本発明に係る記録媒体の使用形態についての説明である。
続いて本発明に係る記録媒体の生産行為について説明する。本発明に係る記録媒体は、BD-ROMのファイルシステム上における改良で実現することができる。図2は、BD-ROMにおけるファイル・ディレクトリ構成を示す図である。本図においてBD-ROMには、Rootディレクトリの下に、BDMVディレクトリがある。
[0017]
BDMVディレクトリには、拡張子bdmvが付与されたファイル(index.bdmv,MovieObject.bdmv,BD-J Object.bdmv)がある。そしてこのBDMVディレクトリの配下には、更にPLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリ、BDJAディレクトリと呼ばれる4つのサブディレクトリが存在する。
PLAYLISTディレクトリには、拡張子mplsが付与されたファイル(00001.mpls,00002.mpls,00003mpls)がある。
[0018]
CLIPINFディレクトリには、拡張子clpiが付与されたファイル(00001.clpi,00002.clpi,00003.clpi)がある。
STREAMディレクトリには、拡張子m2tsが付与されたファイル(00001.m2ts,00002.m2ts,00003.m2ts)がある。
BDJAディレクトリには、拡張子jarが付与されたファイル(00001.jar,00002.jar,00003jar)がある。以上のディレクトリ構造により、互いに異なる種別の複数ファイルが、BD-ROM上に配置されていることがわかる。
[0019]
本図において拡張子.m2tsが付与されたファイル(00001.m2ts,00002.m2ts,00003.m2ts・・・・・)は、AVClipを格納している。AVClipには、MainCLip、SubClipといった種別がある。MainCLipは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、字幕を構成するプレゼンテーショングラフィクスストリーム(PGストリーム)、メニューを構成するインタラクティブグラフィクスストリーム(IGストリーム)というような複数エレメンタリストリームを多重化することで得られたデジタルストリームである。
[0020]
SubClipは、オーディオストリーム、グラフィクスストリーム、テキスト字幕ストリーム(TextSTStream)等、1つのエレメンタリストリームのみにあたるデジタルストリームである。
拡張子”clpi”が付与されたファイル(00001.clpi,00002.clpi,00003.clpi・・・・・)は、AVClipのそれぞれに1対1に対応する管理情報である。管理情報故に、Clip情報は、AVClipにおけるストリームの符号化形式、フレームレート、ビットレート、解像度等の情報や、GOPの先頭位置を示すEP_mapをもっている。 」

(ウ)「[0043]
図14(a)は、図13に示した動的シナリオにて、複数PlayListがどのように再生されるかを示す図である。ここでif文ブロックにより択一的に再生される複数PlayList(PlayList#2、PlayList#3、PlayList#4)をブロック1とし、if文ブロック2により択一的に再生される複数PlayList(PlayList#5、PlayList#6)をブロック2とした場合、図13の動的シナリオにより、図14(a)に示すように、PlayList#1→PLブロック1(PlayList#2、PlayList#3、PlayList#4)→PLブロック(PlayList#5、PlayList#6)→PlayList#7という順序で複数PlayListは再生されることになる。
[0044]
PLブロック1の再生にあたっては、PSR(13)の数値に応じて、PlayList#2、PlayList#3、PlayList#4のどれかが再生される。同様にPLブロック2の再生にあたっては、PSR(13)の数値に応じて、PlayList#5、PlayList#6のどちらかが再生されることになる。
if文ブロック1は、PSR(13)が13歳以下で実行されるPlayPL#4,PSR(13)が18歳以上で実行されるPlayPL#3,14歳以上18歳未満で実行されるPlayPL#2を含む。このif文ブロックにより、PL#4,#3,#2は、選択的に再生されることになる。一方、if文ブロック2は、PSR(13)が13歳以下で実行されるPlayPL#6,PSR(13)が13歳を上回る場合に実行されるPlayPL#5を含む。このif文ブロックにより、PL#6,#5は、選択的に再生されることになる。
[0045]
PSR(13)の数値に応じて、PlayListがどのような順序で再生されるかを図14(b)にまとめてみた。矢印(1)は、PSR(13)の数値が0歳以上13歳未満である場合の再生経路である。この場合複数PlayListは、PlayList#1→PlayList#4→PlayList#6→PlayList#7の順序で再生されることになる。
矢印(2)は、PSR(13)の数値が13歳以上18歳未満である場合の再生経路である。この場合複数PlayListは、PlayList#1→PlayList#3→PlayList#5→PlayList#7の順序で再生されることになる。矢印(3)は、PSR(13)の数値が18歳以上である場合の再生経路である。この場合複数PlayListは、PlayList#1→PlayList#2→PlayList#5→PlayList#7の順に再生されることになる。」

(エ)「[0073]
CPU24は、命令ROM21に格納されているソフトウェアを実行して、再生装置全体の制御を実行する。この制御の内容は、ユーザイベント処理部22から出力されたユーザイベント、及び、PSRセット23における各PSRの設定値に応じて動的に変化する。
シナリオメモリ25は、カレントのPL情報やカレントのClip情報を格納しておくためのメモリである。カレントPL情報とは、BD-ROMに記録されている複数PL情報のうち、現在処理対象になっているものをいう。カレントClip情報とは、BD-ROMに記録されている複数Clip情報のうち、現在処理対象になっているものをいう。
[0074]
ローカルメモリ26は、BD-ROMからの読み出しは低速である故、BD-ROMの記録内容を一時的に格納しておくためのキャッシュメモリである。かかるローカルメモリ26が存在することにより、BD-Jモードにおけるアプリケーション実行は、効率化されることになる。
スイッチ27は、BD-ROM及びLocal Storage18から読み出された各種データを、リードバッファ2、リードバッファ19、シナリオメモリ25、ローカルメモリ26のどれかに選択的に投入するスイッチである。」

(オ)「[0075]
以上が、本実施形態に係る再生装置のハードウェア構成である。続いて本実施形態に係る再生装置のソフトウェア構成について説明する。
図21は、ROM21に格納されたソフトウェアと、ハードウェアとからなる部分を、レイア構成に置き換えて描いた図である。本図に示すように、再生装置のレイア構成は、以下のa),b),c)からなる。つまり、

a)BD Player Deviceの第1階層、
b)BD Player Modelの第2階層、
c)Application Runtime Enviromentの第3階層からなる。
命令ROM21に記憶されているBD-ROM制御プログラム28は、これらのレイア構成のうち、a)Application Runtime Enviromentの第3階層、b)BDPlayer Modelの第2階層を実現するものである。
[0076]
これらの階層のうち図32に示した再生装置のハードウェア構成は、第1階層に属することになる。本図の第1階層”BD Player Device”には、図32に示したハードウェア構成のうちビデオデコーダ4、P-Graphicsデコーダ6、I-Graphicsデコーダ10、オーディオデコーダ16からなる”デコーダ”と、ビデオプレーン5、PresentationGraphicsプレーン7、Interactive Graphicsプレーン12からなる”プレーン”、BD-ROM及びそのファイルシステム、LocalStorage18及びそのファイルシステムを含む。
[0077]
第2階層”BD Player Model”は、以下のb1),b2)の層からなる。つまり、
b2)Playback Control Engine32の層
b1)Virtual File System30及びPresentation Engine31の層
からなり、自身より上位の階層に対し、ファンクションAPIを提供する。
[0078]
第2層に属するVirtual File System30?モジュールマネージャ34について説明する。
Virtual File System30は、Local Storage18に格納されたダウンロードコンテンツを、BD-ROMにおけるディスクコンテンツと一体的に取り扱うための仮想的なファイルシステムである。ここでLocal Storage18に格納されたダウンロードコンテンツは、SubClip、Clip情報、プレイリスト情報を含む。このダウンロードコンテンツにおけるプレイリスト情報はBD-ROM及びLocal Storage18のどちらに存在するClip情報であっても、指定できる点で、BD-ROM上のプレイリスト情報と異なる。この指定にあたって、Virtual File System30上のプレイリスト情報は、BD-ROMやLocal Storage18におけるファイルをフルパスで指定する必要はない。BD-ROM上のファイルシステムやLocal Storage18上のファイルシステムは、仮想的な1つのファイルシステム(Virtual File System30)として、認識されるからである。故に、PlayItem情報におけるClip_Information_file_name及びSubPlayItem情報のClip_Information_file_nameは、Clip情報の格納したファイルのファイルボデイにあたる5桁の数値を指定することにより、Virtual File System30、BD-ROM上のAVClipを指定することができる。Virtual File System30を介してLocal Storage18の記録内容を読み出し、BD-ROMの記録内容と動的に組み合わせることにより、様々な再生のバリエーションを産み出すことができる。Local Storage18と、BD-ROMとを組合せてなるディスクコンテンツは、BD-ROMにおけるディスクコンテンツと対等に扱われるので、本願における”BD-ROM”は、Local Storage18+BD-ROMの組合せからなる仮想的な記録媒体をも含むことにする。
[0079] Presentation Engine31は、AV再生ファンクションを実行する。再生装置のAV再生ファンクションとは、DVDプレーヤ、CDプレーヤから踏襲した伝統的な機能群であり、再生開始(Play)、再生停止(Stop)、一時停止(PauseOn)、一時停止の解除(Pause Off)、Still機能の解除(still off)、速度指定付きの早送り(Forward Play(speed))、速度指定付きの巻戻し(BackwardPlay(speed))、音声切り換え(Audio Change)、副映像切り換え(Subtitle Change)、アングル切り換え(AngleChange)といった機能である。AV再生ファンクションを実現するべく、Presentation Engine31は、リードバッファ2上に読み出されたAVClipのうち、所望に時刻にあたる部分のデコードを行うよう、ビデオデコーダ4、P-Graphicsデコーダ6、I-Graphicsデコーダ10、オーディオデコーダ16を制御する。所望の時刻としてPSR8(カレントPTM)に示される箇所のデコードを行わせることにより、AVClipにおいて、任意の時点を再生を可能することができる。
[0080]
再生制御エンジン(Playback Control Engine(PCE))32は、プレイリストに対する再生制御ファンクション(i)、PSRセット23における状態取得/設定ファンクション(ii)といった諸機能を実行する。PLに対する再生制御ファンクションとは、PresentationEngine31が行うAV再生ファンクションのうち、再生開始や再生停止を、カレントPL情報及びClip情報に従って行わせることをいう。これら機能(i)?(ii)は、HDMVモジュール33?BD-Jモジュール35からのファンクションコールに応じて実行する。
[0081]
つまり、PL再生を命じるファンクションコールがあれば、Playback Control Engine32は、再生が命じられたプレイリスト情報を、VirtualFile System30経由でBD-ROM又はLocal Storage18から読み出す。そのように読み出されたプレイリスト情報内のPlayItem情報を参照し、そのPlayItem情報においてClip_Information_file_nameに記載されているClip情報を、VirtualFile System30経由でBD-ROM又はLocal Storage18から読み出す。
[0082]
第3階層”Application Runtime Enviroment”は、以下のc1),c2)の階層からなる。つまり、
c1)モジュールマネージャ34が存在する層、
c2)HDMVモジュール33、BD-Jモジュール35が存在する層
からなる。図33のレイアモデルにおいてこのモジュールマネージャ34が最上位の階層に位置する。
[0083]
HDMVモジュール33は、HDMVモードの実行主体であり、mobj_idにより分岐先MovieObjectを指定したactivate要求(activate(mobj_id))がモジュールマネージャ34からなされれば、MovieObject(mobj_id)をローカルメモリ26に読み出して、このMovieObjectに記述されたナビゲーションコマンドを解読し、解読結果に基づきPlayback Control Engine32に対するファンクションコールを実行する。
[0084]
モジュールマネージャ34は、BD-ROMから読み出されたIndex.bdmvを保持して、分岐制御を行う。この分岐制御は、カレントタイトルを構成する動的シナリオにTerminateイベントを発行し、分岐先タイトルを構成する動的シナリオにActivateイベントを発行することでなされる。title_idを指定したJumpTitleコマンド(JumpTitle(title_id))をMovieObjectが実行した場合、カレントタイトルを構成するMovieObjectにTerminateイベントを発行し、title_idに対応するタイトルを構成するMovieObjectをactivateするよう、activate(mobj_id)イベントが発行する。
[0085]
BD-Jモジュール35は、いわゆるJava(登録商標)プラットフォームであり、アプリケーションを構成するメソッドを、Java(登録商標)仮想マシンに実行させるものである。
パーミッションコントローラ36は、どれかのアプリケーションがPL再生を要求した場合、そのアプリケーションと相互認証を行い、要求元アプリケーションにPLの再生権限があるかどうかを判定する。もしあれば、当該再生をPlaybackControl Engine32に要求し、なければ不許可を示す応答イベントを要求元アプリケーションに出力する。このPermission Controller42による許否判定により、ある配給会社の配給にかかるPLを、別の配給会社の配給にかかるアプリケーションが要求したとしても、かかる要求を不許可にすることができる。そのため、正当権限なきアプリケーションによるPLの無断引用を避けることができる。
[0086]
タイトルを再生するにあたってのHDMVモジュール33、及び、BD-Jモジュール35の処理手順に示したのが、図22のフローチャートである。以降本フローチャートを参照しながら、BD-ROMにおけるタイトル再生手順について説明する。本フローチャートでは、BD-ROMに記録されている複数の動的シナリオのうち、処理対象になっているものをカレント動的シナリオと読んでいる。そしてコマンド/メソッドiとは、カレントの動的シナリオを構成するナビゲーションコマンド(HDMVモード)、及び、動的シナリオを構成するメソッド(BD-Jモード)のうち、処理対象になるものを意味する。先ず初めに、実行すべきタイトル番号がモジュールマネージャ34から通知されれば、このタイトル番号をmobj_id/bobj_idに変換して、カレント動的シナリオを特定する(ステップS1)。そしてカレント動的シナリオにおける先頭のコマンド又はメソッドを、コマンド/メソッドiとし(ステップS2)、ステップS3?ステップS9のループ処理を実行する。本ループ処理は、コマンド/メソッドiがPlayPLであるか否かの判定(ステップS3)と、コマンド/メソッドiがJumpコマンドであるか否かの判定(ステップS4)とを経てコマンド/メソッドiの実行し(ステップS5)、次のコマンド/メソッドiをコマンド/メソッドiにする(ステップS7)という処理を、コマンド/メソッドiがカレント動的シナリオiの最後のコマンド/メソッドiになるまで繰り返す(ステップS6)というものである。
[0087]
コマンド/メソッドiがPlayPLで有れば(ステップS3でYes)、PL再生がなされる(ステップS8)。コマンド/メソッドiがJumpコマンドであれば、Jump先タイトルをカレントタイトルにして、ステップS1を実行する。かかるフローチャートによる処理対象が、図13の動的シナリオであれば、if文ブロック1,2において、PlayPLが択一的に実行され、PlayListの択一再生が実現される。
[0088]
以上のように本実施形態によれば、年齢を表すPSR(13)と、定数との大小関係により、再生すべきPlayListを再生装置に選択させるので、プログラム的な記述により、パレンタルコントロールを実現することができる。パレンタルコントロールがプログラム的な記述で実現されているので、定数や再生すべき再生経路の指定を変えれば、ユーザの年齢に応じた様々な処理を実現することができる。視聴制限設定を目的としたパレンタルコントロールに留まらず、様々な制御への発展性をもつことができるので、過激な映像に対する視聴制限から学習教材といった分野にまで、再生制御の応用の範囲を広げることができる。
[0089]
また、DVD-Videoでは、複数の再生レベルをもった再生経路を、国・地域毎に定義するという膨大な手間があったが、国・地域のコードを条件にして、選択手順を実行することにより、国・地域毎のパレンタルコントロールを定義することができるので、複数の再生レベルをもった再生経路を、国・地域毎に定義するという膨大な手間を、本発明では省くことができる。 」

(カ)「[0102]
変換部53は、セットアップメニューに対しユーザがレーティングレベル、年齢のどちらか一方を入力すれば、レーティングレベルから年齢、年齢からレーティングレベルの変換を実行する。変換により年齢が得られた場合、BD-ROM制御プログラム28は、引き渡された年齢をPSR(13)に書き込む。こうしてPSR(13)に書き込まれれば、BD-ROM制御プログラム28は、この年齢に基づき、パレンタルコントロールを実行することにより映画作品を再生する。
[0103]
変換によりレーティングレベルが得られた場合、変換部53は、引き渡されたレーティングレベルをSPRMに書き込む。こうしてSPRMに書き込まれれば、DVD-Video制御プログラム52は、このレーティングレベルに基づくPGC再生を実行することにより映画作品を再生する。
変換テーブル保持部54は、複数の変換テーブルを保持する。この変換テーブルは、複数の年齢と、各レーティングレベルとを対応づけたテーブルであり、変換テーブル保持部54は、レーティングレベルが存在する国・地域毎に、この変換テーブルを保持している。
[0104]
図30(a)は、日本向け変換テーブルの一例を示す図である。ここでJava(登録商標)プログラムのレイティングシステムにおいて成人は18歳未満、Rは高校生以下を示すから、”成人”、”R”といったレーティングレベルは、その境界となる年齢に対応づけられている。成人なら18歳、Rなら16歳というようにである。
図30(b)は、米国向けの変換テーブルの一例を示す図である。レーティングレベル”X”は成人以上、NC-17,Rは17歳未満、PG-13は14歳以下をそれぞれ意味するから、変換テーブルは、レーティングレベルの境界となる年齢を、レーティングレベルに対応づけている。
[0105]
NC-17、Rを17歳に対応づけているので、NC-17、Rのどちらかが、再生装置側に設定された場合でも、PSR(13)には、数値”17”が格納されることになる。
以上の変換テーブルがレイティングシステム毎に用意されるため、様々な国におけるレーティングレベルを年齢に変換することができるし、年齢を様々な国別のレーティングレベルに変換することもできる。PTL_LVLIによりレーティングレベルと、再生レベルとの対応がとられ、変換テーブルにより再生レベルと、年齢との対応がとられるので、これらPTL_LVLI及び変換テーブルを介してレーティングレベルから年齢を導くことができ、年齢からレーティングレベルを導くことができる。」

(キ)「[0109]
セットアッププログラム55は、ユーザによるリモコン300に対する操作に応じてセットアップメニューを表示して、ユーザからの各種設定を受け付け、BD-ROM処理部53のPSR(13)、DVD-Vide制御プログラム53のSPRMに書き込む。セットアップメニューにより受け付けられる設定項目には、視聴制限設定、国・地域、メニュー言語、音声言語、字幕言語という5つの項目がある。本セットアッププログラム56による特徴は、2つある。1つ目の特徴は、ドライブ装置1に装填されている記録媒体の種別に応じて、視聴制限設定の設定方式を切り換えるというものである。図33は、セットアップ処理部55による視聴制限設定の設定方式の変化を示す。リモコン300に対するセットアップメニューの読み出しにより、セットアッププログラム56が起動されれば、矢印uy1に示すように、記録媒体の種別が判定される。そして記録媒体の種別がBD-ROMであるなら、矢印uy2に示すように、年齢の数値入力により視聴制限設定設定を受け付ける。記録媒体の種別がDVD-Videoであるなら、矢印uy3に示すように、レーティングレベルの設定(図中は日本のレーティングレベルを対象にしている)により、視聴制限設定設定を受け付ける。このように、装填されている記録媒体の種別により、設定方式を切り換えるので、DVD-Video、BD-ROMのそれぞれに応じた設定方式での入力が可能になる。
[0110]
2つ目の特徴は、BD-ROM、DVD-Videoの入力方式のうち、どちらか一方の方式で、視聴制限設定設定がなされれば、セットアッププログラム56は、変換部53にその設定値を他の方式に変換させ、PSR、SPRMに設定するという点である。かかる自動設定により、ユーザによる視聴制限設定の手間が大きく省かれる。
図34のフローチャートを参照しながら、セットアップ処理部55の処理手順について説明する。セットアップ処理部55は、セットアップメニューを表示してから(ステップS10)、再生装置に装填されている記録媒体がBD-ROMであるか、DVD-Videoであるかの判定を行い(ステップS11)、BD-ROMであれば、PSR(13)に格納されている数値を、セットアップメニューにおける視聴制限設定として表示する(ステップS12)。一方DVD-Videoであれば、SRPMに格納されている数値を、セットアップメニューにおける視聴制限設定の設定値として表示する(ステップS13)。その後、セットアップメニューの設定項目における選択待ちを行う(ステップS14)。設定項目が選択されれば、その選択項目が視聴制限設定であるかの判定を行う(ステップS15)。もし異なれば、国・地域、メニュー言語、音声言語、字幕言語の設定を行うよう、該当する処理手順を実行する(これらの処理手順は本発明の主眼ではないので説明は省略する)。
[0111]
視聴制限設定であれば、ユーザからのパスワード入力待ちとなる(ステップS16)。パスワード入力がなされれば、ユーザの正当生の認証を行う(ステップS17)。正当性が認証されねばステップS14における選択待ちに戻るが、正当性が認証されれば、再生装置に装填されている記録媒体が、BD-ROMであるか、DVD-Videoであるかを判定する(ステップS18)。装填媒体がBD-ROMであれば、年齢の数値入力待ち状態になる(ステップS19)。数値入力がなされれば、受け付けた0?255の数値を、PSR(13)に書き込む(ステップS20)。一方、この受け付けた0?255の数値を変換部53にレーティングレベルに変換させ、SPRMに書き込ませる(ステップS21)。
[0112]
セットアップメニューに対する視聴制限設定設定は、ユーザ本人の年齢を数値入力することでなされる。1つの再生装置が1つの世帯で共用されてて、複数人がその再生装置のユーザになり得る場合、これらのユーザのうち、最年少のものの年齢を、視聴制限設定に入力する必要がある。そうしないと、少年や子供に過激映像を見せないとするパレンタルコントロールの趣旨の実効が、保てないからである。
[0113]
装填媒体がDVD-Videoであれば、レーティングレベルの入力待ち状態になる(ステップS22)。レーティングレベルの入力がなされれば、受け付けたレーティングレベルを、SPRMに書き込む(ステップS23)。一方、この受け付けたレーティングレベルを0?255の数値に変換させ、PSR(13)に書き込ませる(ステップS24)。 」

そうすると、これらの記載から、刊行物1には、次の(ク)なる発明が実質的に記載されているといえる。
以下、これを「刊行物1発明」という。

[刊行物1発明]
(ク)複数の言語のビデオストリーム、オーディオストリーム、テキスト字幕ストリーム、メニュー情報を含む複数のファイルと、各ファイルに1対1に対応する管理情報が記録されているディスクの内容をドライブ装置により読み取り再生するものであって、
ドライブ装置に装填されている記録媒体がDVD-Video、BD-ROMであるかの種別を判定して視聴制限設定の設定方式を切り換えるものであるとともに、セットアップメニューの設定項目を選択して設定することにより、所望の音声言語、字幕言語でストリームを再生するよう設定するセットアップ処理部、
を有するDVD-Video、BD-ROMの再生装置。

3.対比

本願補正後発明と刊行物1発明とを対比する。

刊行物1発明における「DVD-Video、BD-ROMの再生装置」とは「動画再生装置」に他ならず、刊行物1発明は「ドライブ装置に装填されている記録媒体がDVD-Video、BD-ROMであるかの種別を判定」するものであるから、本願補正後発明の「前記ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部」を実質的に備えている。

そして、刊行物1発明における、複数の言語のビデオストリーム、オーディオストリーム、テキスト字幕ストリーム、メニュー情報を含む複数のファイルに「1対1に対応する管理情報」は、複数のファイルから所望のストリームを選択、すなわち分離して再生するための情報であるから、本願補正後発明における、「前記分離するストリーム設定情報を格納した再生ストリーム設定情報管理テーブル」に格納された「前記分離するストリーム設定情報」に相当する。
なお、刊行物1発明において「(前記分離するストリーム設定情報を格納した)再生ストリーム設定情報管理テーブル」に相当するものは明確でないが、「シナリオメモリに格納されたビデオストリーム、オーディオストリーム、テキストストリーム、メニュー情報を含む(映像情報)複数のファイルに「1対1に対応する管理情報」に基づいて再生制御を実行する際に、該情報を格納しておいて制御に用いることは当然のことであるから、刊行物1発明は、実質的に管理情報を格納しておく手段を有しているといえる。
したがって、刊行物1発明は「(前記分離するストリーム設定情報を格納した)再生ストリーム設定情報管理テーブル」に相当するものを実質的に備えている。

また、刊行物1発明は、「セットアップメニューの設定項目を選択して設定することにより、所望の音声言語、字幕言語でストリームを再生するよう設定」することのできるものであるから、本願補正後発明の「前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の、複数言語の音声ストリーム及び字幕ストリームのうち夫々異なる言語の複数の任意のストリームを分離して抽出する分離部」に相当する機構と、その実行に際して必用となる再生ストリームに対する設定情報を保持、管理する何らかのテーブルを実質的に備えているといえる。

そうすると、本願補正後発明と刊行物1発明とは、 次の(ケ)において一致し、(コ)において相違する。

[一致点]
(ケ)複数の言語の音声ストリーム、字幕ストリーム、メニュー情報を含む映像情報とその管理情報とを読み取るディスクドライブ部と、
前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の、複数言語の音声ストリーム及び字幕ストリームのうち夫々異なる言語の複数の任意のストリームを分離して抽出する分離部と、
前記分離するストリーム設定情報を格納した再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
前記ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部と、
複数言語の中からユーザが選択した、ストリーム毎に異なる言語を再生用として設定するためのストリーム設定情報を有する再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
を備えた動画再生装置。

[相違点]
(コ)「分離部を制御する再生ストリーム設定情報管理部」が実行する制御が、本願補正後発明において、
「再生言語を特定するためにストリーム選択する前記分離部の制御では、メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、前記ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別し、該設定によるストリームの抽出が優先し、前記ストリーム設定情報が設定されていない場合はデフォルトのストリームの抽出が行われる」
ように実行されるものであるのに対し、刊行物1発明は、
「メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれ」かを判定した後に、「セットアップメニューの設定項目を選択して設定することにより、所望の言語のストリームを再生するよう」に制御されるものである点。

4.当審の判断

相違点(コ)について検討する。

原査定の拒絶の理由で引用された刊行物2(特開2005-182959号公報)には、以下の記載がされている。

(サ)「【0017】
メモリ8に格納されるデジタルデータは、DVD1に記録されているビデオマネージャ情報(VMGI)、ビデオタイトルセット情報(VTSI)と呼ばれる管理情報と、圧縮されたビデオ、音声、字幕を含むビデオオブジェクトユニット(VOBU)である。」

(シ)「【0021】
なお、ビデオタイトルセットメニューの言語コードは、例えば、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ0(SPRM(0))のメニュー記述言語(M_LCD)に初期設定されている。オーディオストリーム(音声)の言語コードは、例えば、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)に初期設定されている。また、字幕の言語コードは、例えば、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ18(SPRM(18))のサブピクチャストリーム用初期言語コード(INI_LCD)に初期設定されている。」

(ス)【0026】
システムコントローラ9は、各種のサーボ指令をサーボ制御部6に出力したり、メモリ8に格納された管理情報を使用して、デコーダ10の制御を行う。またシステムコントローラ9は、操作部11からの出力により、OSD(On Screen Display)を使用して、音声言語、字幕言語、メニュー言語等の設定を行う初期設定メニュー等の表示制御を行う。また、システムコントローラ9は、操作部11からの出力により、初期設定メニュー等を表示するためのOSDの言語設定を変更することも可能としている。利用者は、操作部11を使用して、上記のOSDの言語設定、音声言語、字幕言語、メニュー言語等の設定を行うことが可能である。システムコントローラ9は、OSDの言語設定、音声言語、字幕言語、メニュー言語等の設定内容を、EEPROM12に格納する。」

(セ)「【0028】
図5は、本発明のディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【0029】
まず、システムコントローラ9は、ステップS100において、利用者によってOSDの言語設定が変更されたかどうかを判断する。ステップS100において、OSDの言語設定が変更されたと判断された場合、システムコントローラ9は、ステップS101で、ビデオマネージャ情報およびビデオタイトルセット情報の中で初期設定されていた音声言語設定、字幕言語設定、メニュー言語設定を、利用者が設定したOSDの言語コードに変更する。
【0030】
ここで、ステップS101の処理について詳しく説明する。利用者により設定されたOSDの言語のコードは、上述のようにEEPROM12に格納されている。システムコントローラ9は、ステップS101において、メモリ8内の音声言語、字幕言語、メニュー言語等の初期設定の言語コードを、EEPROM12に格納されているOSDの言語コードと同じコードに書き換える。これにより、利用者が設定したOSDの言語が、音声言語、字幕言語、メニュー言語等に自動的に反映される。ステップS101の処理により、例えば、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)が、利用者が設定したOSDの言語コードに変更される。また、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ18(SPRM(18))のサブピクチャストリーム用初期言語コード(INI_LCD)が、利用者が設定したOSDの言語コードに変更される。また、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ0(SPRM(0))のメニュー記述言語コード(M_LCD)が、利用者が設定したOSDの言語コードに変更される。そして、システムコントローラ9は、ステップS102において、メモリ8に格納されている音声言語、字幕言語、メニュー言語のコードに従って、DVDの再生動作を行う。従って、ステップS101において、初期設定されていた言語コードが、利用者が設定したOSDの言語コードに変更された場合には、OSDの言語コードによってDVDの再生動作が行われることとなる。
【0031】
上記実施形態では、OSDの言語設定が変更された場合には、システムコントローラ9が自動的に音声言語、字幕言語、メニュー言語を変更する構成を例示した。しかし、本発明にかかるディスク再生装置は、これに限定されず、設定を自動で変更するかどうかを利用者が選択できるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、音声言語、字幕言語、メニュー言語の全てに対して、利用者が設定したOSDの言語を自動的に反映させる例を示したが、必ずしもこれら全てに反映させる必要はなく、少なくとも一つに反映させる構成であれば、本発明の技術的範囲に含まれる。」

これを要約すれば、刊行物2には、次の(ソ)なる実施例が記載されており、さらに整理すれば(タ)なる発明が記載されているといえる。

[刊行物2に記載の実施例]
(ソ)音声言語、字幕言語、メニュー言語に対して、少なくとも1つの言語コード(OSDの言語コード)を設定可能なディスク再生装置であって、
DVD1に記録されているビデオマネージャ情報(VMGI)、ビデオタイトルセット情報(VTSI)と呼ばれる管理情報と、圧縮されたビデオ、音声、字幕を含むビデオオブジェクトユニット(VOBU)がメモリ8に格納されており、
ビデオタイトルセットメニューの言語コードは、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ0(SPRM(0))のメニュー記述言語(M_LCD)に初期設定され、オーディオストリーム(音声)の言語コードは、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)に初期設定され、字幕の言語コードは、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ18(SPRM(18))のサブピクチャストリーム用初期言語コード(INI_LCD)に初期設定されている一方、
操作部11からの出力により、OSD(On Screen Display)を使用して、音声言語、字幕言語、メニュー言語等の設定を初期設定として行うことが可能なものであって、利用者が操作部11を使用して行った場合のOSDの言語設定、音声言語、字幕言語、メニュー言語等の設定はEEPROM12に格納されており、
システムコントローラ9は、ステップ100において、OSDの言語設定が変更されたかの判断を行い、変更されている場合には、ステップS101において、メモリ8に格納されているシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)や、システム・パラメータ18(SPRM(18))のサブピクチャストリーム用初期言語コード(INI_LCD)を、OSDの言語設定が変更されている場合に、利用者が初期設定として設定した言語コードに変更する制御を行い、
OSDの言語設定が変更されていない場合(ステップS100におけるN判定)には、該変更を行うことなく、
メモリ8に格納されているシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)や、システム・パラメータ18(SPRM(18))のサブピクチャストリーム用初期言語コード(INI_LCD)に基づく音声言語、字幕言語、メニュー言語でDVDの再生を行う(ステップS102)、ディスク再生装置。

[刊行物2に記載の発明]
(タ)メモリ8には、格納されているディスク(DVD1)に記録されている管理情報に基づいてシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)等の言語コードが格納され、該メモリ8に格納されている言語コードの示す言語でオーディオストリームを再生するディスク再生装置であって、
予め操作部11からの出力により、OSDの言語設定、音声言語、字幕言語、メニュー言語等の設定がEEPROM12に初期設定として格納可能なものであって、
メモリ8に格納されているシステム・パラメータ16(SPRM(16))のオーディオストリーム用初期言語コード(INI_LCD)等を、OSDの言語設定が変更されたことを判別して、
OSDの言語設定が変更されている場合に、利用者が初期設定として設定した言語コードに変更する制御を行い、OSDの言語設定が変更されていない場合には、該変更を行わないものであるディスク再生装置。

ここで、該刊行物2に記載の発明における「OSDの言語設定が変更されたことを判別」して「利用者が初期設定として設定した言語コードに変更する制御を行い、OSDの言語設定が変更されていない場合には、該変更を行わない」ことは、本願補正後発明における「ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別」して「前記ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別し、該設定によるストリームの抽出が優先し、前記ストリーム設定情報が設定されていない場合はデフォルトのストリームの抽出が行われるように」することと等価である。
刊行物1発明も、刊行物2に記載の発明も、複数の言語に対応したストリームを有するディスクから所望の言語のストリームを再生する装置であるから、刊行物1発明における言語選択において、刊行物2に記載の発明を採用することに格別の困難性はない。

したがって、本願補正後発明は、当業者が、刊行物1に記載の発明及び刊行物2に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

なお、本願補正後発明における「メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、」とは、“メディアの規格にかかわらず”ということである。
一方、該刊行物2に記載の発明は規格の異なるディスクを判別するものではないから、そもそも、ディスクの規格にかかわるものではない。
したがって、「ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部」を有する刊行物1発明において、刊行物2に記載の発明を適用した場合に、
「メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、」そのような制御が実行されることは当然の帰着にすぎない。

更に、審判請求人の審判請求書における主張について検討するに、審判請求人は次の主張をしている。
「更に引用文献2の技術は、「音声言語設定、字幕言語設定、メニュー言語設定を、利用者が設定したOSDの言語コードに変更する」(段落[0029])の記載の通り、音声言語設定、字幕言語設定、メニュー言語設定に対して、同一の言語コード(OSDの言語コード)を設定するものであり、本願請求項1の発明とは趣旨を異とするものである。」
とし、
「音声や字幕の夫々のストリームを、ユーザの所望する言語で再生することができるという顕著な効果を奏する。」
また、回答書においても同様の意見を述べている。

しかしながら、引用文献2(刊行物2)の段落【0032】には、
「 また、本実施形態では、音声言語、字幕言語、メニュー言語の全てに対して、利用者が設定したOSDの言語を自動的に反映させる例を示したが、必ずしもこれら全てに反映させる必要はなく、少なくとも一つに反映させる構成であれば、本発明の技術的範囲に含まれる。」
と記載されていることから、刊行物2に記載の発明は、音声言語設定、字幕言語設定、メニュー言語設定に対して、同一の言語コード(OSDの言語コード)を設定するものではなく、音声言語、字幕言語、メニュー言語の内、任意のものにOSDの言語を反映させることのできるものである。

したがって、当該審判請求人の当該主張は受け入れることができない。

なお、審判請求人は平成24年1月31日付け提出の回答書において、
「なお引用文献2の[0032]には、「音声言語、字幕言語、メニュー言語のすべてに対して、利用者が設定したOSDの言語を自動的に反映させる例を示したが、必ずしもこれら全てに反映させる必要はなく、少なくとも一つに反映させる構成であれば、本発明の技術的範囲に含まれる」と記載されていますが、この記載も本願請求項の構成を開示したものではありません。即ち、引用文献2のように「少なくとも一つに反映させる」場合、当該「少なくとも一つ」は利用者の選択した言語となり、「少なくとも一つ」以外については例えば初期言語コードに従った言語になると考えられますが、この初期言語コードはユーザにより設定されたものではありません。」
との見解を示している。
「この初期言語コード」は、「DVDに記録されている情報に基づいて初期設定されている言語コード」であって、本願補正後発明が、「デフォルトのストリームの抽出が行われるように」における「デフォルト」とともに、「ユーザにより設定されたものではない」から、「ユーザにより設定されたものではない」との見解は、本審決における刊行物2に記載の発明の認定を肯定するものである。
よって同見解は、本審決の判断に影響するものではない。

5.補正の却下についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成23年4月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成22年10月25日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から請求項10までに記載した事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。

【請求項1】
複数の言語の音声ストリーム、字幕ストリーム、メニュー情報を含む映像情報とその管理情報とを読み取るディスクドライブ部と、
前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の任意のストリームを分離して抽出する分離部と、
前記分離するストリーム設定情報を格納した再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
前記ディスクドライブ部に装填された規格の異なるディスクを判別するメディア判別部と、
複数言語の中からユーザが選択した言語を再生用として設定するためのストリーム設定情報を有する再生ストリーム設定情報管理テーブルと、
再生言語を特定するためにストリーム選択する前記分離部の制御では、メディア判別部の判別結果が規格の異なるディスクのいずれであっても、前記ストリーム設定情報が設定されているかどうかを判別し、該設定によるストリームの抽出が優先し、前記ストリーム設定情報が設定されていない場合はデフォルトのストリームの抽出が行われるように前記分離部を制御する再生ストリーム設定情報管理部と、
を有することを特徴とする動画像再生装置。

2.引用刊行物に記載の発明

原査定の拒絶理由に引用された刊行物1、2の記載事項は、前記「第2」における[理由]の「2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願請求項1に係る発明は、前記「第2」における[理由]の「1.」で検討した本願補正後発明の、「前記ディスクドライブ部から出力された映像情報の中の任意のストリームを分離して抽出する分離部」における「任意のストリーム」について、「複数言語の音声ストリーム及び字幕ストリームのうち夫々異なる言語の複数の」ものであるという限定事項を省くとともに、「複数言語の中からユーザが選択した言語を再生用として設定するためのストリーム設定情報」における「選択した言語」について、「ストリーム毎に異なる」言語であるという限定事項を省いたものである。
そうすると、本願請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正後発明が、前記「第2」における[理由]の「4.」に記載したとおり、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願請求項1に係る発明も、同様の理由により、当該刊行物の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

本願請求項1に係る発明は、以上のとおり刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 まとめ

本願請求項1に係る発明についての判断は以上のとおりであるから、残る請求項2から請求項10に係る各発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

したがって、審判請求の理由について審理した結果、拒絶査定を取り消す理由は存在しないから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-12 
結審通知日 2012-06-15 
審決日 2012-06-26 
出願番号 特願2005-374602(P2005-374602)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 大介  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 小松 正
馬場 慎
発明の名称 動画像再生装置及び動画像再生方法  
代理人 藤原 康高  
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