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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60K
管理番号 1261143
審判番号 不服2011-7678  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-12 
確定日 2012-08-06 
事件の表示 特願2005-226079「車両の室内構造」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月15日出願公開、特開2007- 38888〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成17年8月4日に特許出願されたものであって、平成22年2月22日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、平成22年4月14日付けで明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書並びに意見書がそれぞれ提出され、平成22年6月4日付けで最後の拒絶の理由が通知され、これに対し、平成22年8月5日付けで明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書並びに意見書がそれぞれ提出されたが、平成23年2月3日付けで上記平成22年8月5日付けで提出された手続補正書による手続補正が決定をもって却下されるとともに、平成23年2月3日付けで上記平成22年6月4日付けで通知された拒絶の理由によって拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対し、平成23年4月12日付けで拒絶査定不服審判が請求され、当該審判の請求と同時に同日付けで明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において平成23年12月19日付けで書面による審尋がなされ、平成24年2月14日付けで回答書が提出され、平成24年3月1日付けで上記平成23年4月12日付けで提出された手続補正書による手続補正が決定をもって却下され、平成24年3月14日付けで拒絶理由が通知され、平成24年5月7日付けで明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書並びに意見書が提出されたものである。
そして、その請求項1ないし4に係る発明は、上記平成24年5月7日付けの手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「 【請求項1】
インストルメントパネルと、該インストルメントパネルに対面する車幅方向に並ぶ複数の乗員用座席と、前記複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とする連続した床とを備えている車両の室内構造において、
前記床には、該床から立設する段部の壁により前記床の面より一段高い座席取付け面が設けられ、前記乗員用座席は、前記床の面より一段高い前記座席取付け面に取付けられ、前記乗員用座席の下には、エンジンが配置されており、前記車両室内の空間を車両上方からの平面で見た時に、前記インストルメントパネルの室内側の輪郭を、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両前方に向かう形状とし、前記乗員用座席を載置するために前記床から立設する前記段部の壁の領域を着座スペースとした時に、該着座スペースの車両前方側の輪郭を、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両後方に向かう形状とすることにより、乗員の移動空間を車幅方向における中央部から側面のドア側に向かって拡大する形状に形成し、前記着座スペースの前方側の輪郭よりも車両後方の範囲で、かつ車両中心軸上に車両前方に展開する収納部を設け、該収納部の展開時において、前記車両前方側の輪郭内に前記展開した状態の収納部が収まり、前記輪郭から車両前方に突出しないように構成されていることを特徴とする車両の室内構造。」


第2.引用文献
1.引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
本件出願前に頒布された刊行物である特開平11-59162号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の(a)ないし(e)の事項が図面とともに記載されている。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(a)「【0015】図1に示すように、本実施の形態のユニットアセンブリAは、概して、車両用空調ユニット10、ディスプレイ装置25、オーディオ機器ユニット30、計器類35及び制御部40を直接あるいはケースを介してステアリングメンバSに取り付けることにより構成され、このように構成されたユニットアセンブリAの車両用空調ユニット10のロケートピン22を、ダッシュパネルのような車体パネルPあるいはこの車体パネルPに設けられたブラケットB1 に連結することにより位置決め固定するようにしている。」(段落【0015】)

(b)「【0026】このディスプレイ装置25は、前記本体ユニット17aの上部、つまり車室内の前席前方の中央部分に設けられているが、このようにしたのは、前述したように本体ユニット17aが、車幅方向の中心に位置するので、ドライバやアシスト等乗員全員が最も目視しやすい位置に、あらゆる情報を入手できるものを設置することが利便性を図る上から好ましいためである。
・・・(中略)・・・
【0028】前記計器類35は、ドライバ席の前方に位置するように設けられ、ケース36に速度メータ、タコメータ及び燃料計等が取り付けられたもので、このケース36からはステアリングメンバSに取り付けるためのブラケットB4 が突出されている。」(段落【0026】ないし【0028】)

(c)「【0029】前記制御部40は、前記ユニットケース31に取り付けられる。つまり車室内の前席前方の中央部分に設けられ、ここで、前述した車両用空調ユニット10、オーディオ機器ユニット30、ディスプレイ装置25等すべての機器の制御を集中的に行うようにしている。したがって、乗員は、手を伸ばすのみで、好みの機器を操作し、制御できる。ただし、この制御部40をユニットケース31に取り付けるに当たっては、種々の方法がある。例えば、制御部40の側端寄りピンを突出し、このピンを中心として回動自在としてもよく、また、引き出し式ににユニットケース31内に収納できるようにしてもよい。」(段落【0029】)

(d)「【0030】一方、このユニットアセンブリAは、インストルメントパネル45により覆われる・・・(中略)・・・。
【0033】このインストルメントパネル45には、内部の機器が操作できるようにあるいは表示したものが外部から目視できるようにするための各種開口部が設けられている。
【0034】本実施の形態のインストルメントパネル45では、最上位に庇状部46、その下位にほぼ直立状の第1壁部47、次に平坦部48、この平坦部48に続くほぼ直立状の第2壁部49、さらにこの第2壁部49に続くように設けられかつ少し前方に向かって突出するように傾斜された第3壁部50が設けられているが、本発明は何等このような形状のインストルメントパネルに限定されるものではなく、車種等により種々変形可能であることはいうまでもない。」(段落【0030】ないし【0034】)

(e)「【0047】このようにして形成されたユニットアセンブリAは、従来のもののようにセンターコンソールやインストロアが設けられていないので、前席前方の足元スペースは広く、いわゆるウォークスルーも可能となる。ただし、ウォークスルーにすることを必要としない車両に対しては、センターコンソールやインストロアを後付けしてもよいことは言うまでもない。」(段落【0047】)

(2)引用文献1の記載から分かること
上記(1)(a)ないし(e)及び図面の記載から、引用文献1には次の(ア)ないし(エ)の事項が記載されていることが分かる。

(ア)上記(1)(b)及び図2の記載から、引用文献1に記載された車両の車室内には前席が備えられていることが分かる。そして、ディスプレイ装置25は、ドライバやアシスト等乗員全員が最も目視しやすい車室内の前席前方の中央部分に設けられ、計器類35は、ドライバ席の前方に位置するように設けられていることから、引用文献1に記載された車両の車室内に備えられた前席は、一般的な車両と同様に、インストルメントパネル45に対面し、かつ、少なくともドライバが着座するドライバ席とアシストが着座する座席とを有していることが分かる。また、当該前席は、ドライバ及びアシストが着座することが可能な乗員用座席であることは明らかである。

(イ)上記(1)(e)及び図2の記載から、引用文献1に記載された車両の車室内には、複数の前席間にかけてウォークスルーを可能とする連続した床が備えられていることが分かる。

(ウ)上記(1)(d)並びに図1ないし図4の記載から、引用文献1に記載された車両の車室内の空間を車両上方からの平面で見た時に、インストルメントパネル45の室内側の輪郭は、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両前方に向かう形状であることが分かる。
そして、一般的に、車両における前席の車両前方側の輪郭は、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両「前方」に向かう形状とはなっていないことから、引用文献1に記載された前席の車両前方側の輪郭についても、一般的な形状を有するものと推察される。よって、引用文献1に記載された、インストルメントパネル45と着座スペースと、その間の下方の連続した床面とにより形成される乗員の移動空間は、少なくともインストルメントパネル45の室内側の輪郭の形状により、車幅方向における中央部から側面のドア側に向かって拡大する形状に形成されていることが分かる。

(3)引用文献1に記載された発明
上記(1)及び(2)並びに図面の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1に記載された発明」という。)が記載されているといえる。
「インストルメントパネル45と、
該インストルメントパネル45に対面する車幅方向に並ぶ複数の前席と、
前記複数の前席間にかけてウォークスルーを可能とする連続した床とを備えている車両の室内構造において、
前記車両室内の空間を車両上方からの平面で見た時に、前記インストルメントパネル45の室内側の輪郭を、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両前方に向かう形状とし、
乗員の移動空間を車幅方向における中央部から側面のドア側に向かって拡大する形状に形成した、
車両の室内構造。」


2.引用文献2
(1)引用文献2に記載された事項
本件出願前に頒布された刊行物である特開2005-67378号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の(a)ないし(d)の事項が図面とともに記載されている。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(a)「【0005】
請求項1の自動車用シートの取付構造では、シートクッションの側部に突出する拡大部クッションを付設した自動車用シートの取付構造において、前記拡大部クッションの前端面を前記シートクッションの前端面よりも車両後方にずらして形成し、前記シートクッションの側部と前記拡大部クッションの前端面との成す前部切欠き部の下方に位置させて、シートの車体フロアへの前部取付ブラケットを配置している。
【0006】
請求項2の自動車用シートの取付構造では、シートクッションの側部に突出する拡大部クッションを付設した自動車用シートの取付構造において、前記拡大部クッションの後端面を前記シートクッションの後端面よりも車両前方にずらして形成し、前記シートクッションの側部と前記拡大部クッションの後前端面との成す後部切欠き部の下方に位置させて、シートの車体フロアへの後部取付ブラケットを配置している。
【0007】
請求項3の自動車用シートの取付構造では、請求項2の発明において、前記シートクッションを車体フロアにスライドレールを介してスライド可能に取付ける自動車用シートの取付構造であって、前記シートの車体フロアへの前部取付ブラケットを、前記シートのスライド位置を最後部に位置させた状態で、平面視で前記前部切欠き部に臨む位置に配置している。
請求項4の自動車用シートの取付構造では、請求項2の発明において、前記シートの車体フロアへの後部取付ブラケットを、前記シートのスライド位置を最前部に位置させた状態で、平面視で前記後部切欠き部に臨む位置に配置している。
【0008】
請求項5の自動車用シートの取付構造では、請求項1または3の発明において、
前記拡大部クッションの前端面にカップホルダー取付用ブラケットを配設している。」(段落【0005】ないし【0008】)

(b)「【0014】
請求項5の発明によれば、カップホルダーがシートクッションの前端面よりも後方へ位置しているので、カップホルダーが邪魔になるおそれはない。特に、シートがベンチシートである場合には、左右へのウォークスルーを円滑に行うことができる。」(段落【0014】)

(c)「【0018】
本発明の実施形態に係る自動車用運転席側シート1では、図1に示すように、シートクッション2の車両中央側の側部に拡大部クッション3が付設されており、該拡大部クッション3に隣接して助手席側シート4を並設することによって、ベンチシート5が構成されている。
そして、このシート1では、拡大部クッション3の前端面3aがシートクッション2の前端面2aよりも車両後方へずらして配置されているとともに、拡大部クッション3の後端面3bがシートクッション2の後端面2bよりも車両前方に配置され、拡大部クッション3が形成されている。」(段落【0018】)

(d)「【0025】
このカップホルダー21は、図6に示す状態で、カップホールド板25に上方からカップを挿入し、該カップの底をカップ受け板27に載置させる。すると、カップは、その中間部がカップホールド板25によって位置決めされることになる。
カップホルダー21を使用しないときには、カップ受け板27を上方に回動させる。すると、カップ受け板27の回動に伴って、リンク26も上方へ回動され、それに伴って、カップホールド板25の基部が基板22に沿って下動され、ついには、リンク26およびカップホールド板25が基板22に並ぶように折畳まれ、カップ受け板27がそれらを覆うように位置し、カップ受け板27の爪27aが、図7に示すように、基板22のボタン22bの爪22aと係合し、カップ受け板27をその位置に係止して固定することになる。
カップホルダー21を使用する場合には、基板22のボタン22bを押し込み、爪22aをカップ受け板27の爪27aから離反させる。すると、スプリング28,29の付勢力によって、カップホールド板25、リンク26、カップ受け板27が、図6に示す所定の位置に開かれることになる。」(段落【0025】)

(2)引用文献2の記載から分かること
上記(1)(a)ないし(d)及び図面の記載から、引用文献2には次の(ア)ないし(ウ)の事項が記載されていることが分かる。

(ア)上記(1)(a)ないし(d)及び図面の記載から、引用文献2には、自動車用運転席側シート1及び助手席側シート4を有し、両シート間でウォークスルーを円滑に行うことができる自動車用シートの取付構造が記載されていることが分かる。

(イ)上記(1)(a)ないし(d)及び図面の記載から、引用文献2に記載された自動車用シートの取付構造において、カップホルダー21がシートクッション2の前端面よりも後方へ位置していることが分かる。また、カップホルダー21が設けられているのは自動車用運転席側シート1と助手席側シート4の間であるから、実質的に車両中心軸上にカップホルダー21が設けられているといえる。

(ウ)上記(1)(d)及び図面の記載から、引用文献2に記載された自動車用シートの取付構造において、カップホルダー21は車両前方に展開するものであることが分かる。

(3)引用文献2に記載された技術
上記(1)及び(2)並びに図面の記載から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されているといえる。

「自動車用運転席側シート1及び助手席側シート4の間で左右へのウォークスルーを円滑に行うことができる自動車用シートの取付構造において、
シートクッション2の前端面よりも車両後方の位置で、かつ車両中心軸上に車両前方に展開するカップホルダー21を設けた技術。」


第3.対比
本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、引用文献1に記載された発明における「インストルメントパネル45」は、その機能及び構造からみて、本願発明における「インストルメントパネル」に相当し、以下同様に、「前席」は「乗員用座席」に、「ウォークスルーを可能」は「車幅方向の移動を可能」に、それぞれ相当する。
してみると、本願発明と引用文献1に記載された発明とは、次の<一致点>で一致し、次の<相違点>(1)ないし(3)の点で相違する。

<一致点>
「インストルメントパネルと、該インストルメントパネルに対面する車幅方向に並ぶ複数の乗員用座席と、前記複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とする連続した床とを備えている車両の室内構造において、
前記車両室内の空間を車両上方からの平面で見た時に、前記インストルメントパネルの室内側の輪郭を、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両前方に向かう形状とし、
乗員の移動空間を車幅方向における中央部から側面のドア側に向かって拡大する形状に形成し、
前記インストルメントパネルの車幅方向の中央部には、空調またはオーディオの操作系を配置した車両の室内構造。」

<相違点>
(1)本願発明においては、「床には、該床から立設する段部の壁により前記床の面より一段高い座席取付け面が設けられ、乗員用座席は、前記床の面より一段高い前記座席取付け面に取付けられ、前記乗員用座席の下には、エンジンが配置されて」いるのに対し、引用文献1に記載された発明においては、そのようになっているかどうか明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。

(2)本願発明においては、「乗員用座席を載置するために床から立設する段部の壁の領域を着座スペースとした時に」、「着座スペースの車両前方側の輪郭」が「車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両後方に向かう形状」としているのに対し、引用文献1に記載された発明においては、そのようになっているかどうか明らかでない点(以下、「相違点2」という。)。

(3)本願発明においては、着座スペースの前方側の輪郭よりも車両後方の範囲で、かつ車両中心軸上に車両前方に展開する「収納部」を設け、「該収納部の展開時において、車両前方側の輪郭内に展開した状態の収納部が収まり、輪郭から車両前方に突出しないように構成」されているのに対し、引用文献1に記載された発明においては、着座スペースの前方側の輪郭よりも車両後方の範囲で、かつ車両中心軸上に車両前方に展開する「収納部」が設けられているか不明である点(以下、「相違点3」という。)。

第4.当審の判断
上記相違点について検討する
(1)相違点1について
車両の室内構造として、「床には、該床から立設する段部の壁により前記床の面より一段高い座席取付け面が設けられ、乗員用座席は、前記床の面より一段高い前記座席取付け面に取付けられ、前記乗員用座席の下には、エンジンが配置されて」いる構造は、本件出願前において周知の構造(以下、「周知技術1」という。例えば、平成24年3月14日付け拒絶理由通知書において引用された特開平6-87468号公報(特に段落【0021】、【0022】及び図1ないし4を参照)、実願平4-64744号(実開平6-27448号)のCD-ROM(特に段落【0031】及び図4を参照。)、特開平6-99856号公報(特に段落【0018】、【0019】及び図面を参照。)、特開2002-308151号公報(特に段落【0002】、【0003】、【0010】、【0011】及び図面を参照。)、等の記載を参照。)にすぎない。
また、「床には、該床から立設する段部の壁により前記床の面より一段高い座席取付け面が設けられ、乗員用座席は、前記床の面より一段高い前記座席取付け面に取付けられ、前記乗員用座席の下には、エンジンが配置されて」いる構造を有する車両において、複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とする技術は、周知技術(以下、「周知技術2」という。例えば、特開平11-11356号公報(特に段落【0016】及び図6を参照。)、特開2003-341377号公報(特に段落【0005】及び【0016】を参照。)、等の記載を参照。)にすぎない。
してみれば、引用文献1に記載された発明において、周知技術2を勘案して周知技術1を適用することにより、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
上記のように「床には、該床から立設する段部の壁により前記床の面より一段高い座席取付け面が設けられ、乗員用座席は、前記床の面より一段高い前記座席取付け面に取付けられ、前記乗員用座席の下には、エンジンが配置されて」いる構造を有する車両において、「乗員用座席を載置するために床から立設する段部の壁の領域を着座スペースとした時に、該着座スペースの車両前方側の輪郭を、車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両後方に向かう形状とする」ことは、本件出願前において周知の技術(以下、「周知技術3」という。例えば、平成24年3月14日付け拒絶理由通知書において引用された特開平6-87468号公報(特に段落【0021】、【0022】及び図1ないし4を参照)、実願平4-64744号(実開平6-27448号)のCD-ROM(特に段落【0031】及び図4を参照。)、特開平6-99856号公報(特に段落【0018】、【0019】及び図面を参照。)、等の記載を参照。)にすぎない。
また、複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とする連続した床を備えている車両において、「着座スペースの車両前方側の輪郭」を「車幅方向における中央部から側面のドア側へかけて徐々に車両後方に向かう形状」とすることも、本件出願前において周知の技術(以下、「周知技術4」という。例えば、平成24年3月14日付け拒絶理由通知書において引用された特開2005-67378号公報(公開日、平成17年3月17日。特に、図1及び図3に記載された「シートクッション2」の車両前方側の輪郭を参照のこと。)、及び、同じく特開平8-113068号公報(特に、図2に記載された「前部座席6」の車両前方側の前側部ドア12近傍におけるRを有する輪郭を参照。)等の記載を参照。)にすぎない。
してみれば、引用文献1に記載された発明において、周知技術4を勘案して周知技術3を適用することにより、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点3について
引用文献2に記載された技術と本願発明とを対比すると、引用文献2に記載された技術における「自動車用運転席側シート1及び助手席側シート4の間で左右へのウォークスルーを円滑に行うことができる」は、その技術的意義からみて、本願発明における「複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とした連続した床を備えている」に相当し、以下同様に、「自動車用シートの取付構造」は「車両の室内構造」に、「シートクッション2の前端面よりも車両後方の位置」は「着座スペースの前方側の輪郭よりも車両後方の範囲」に、「カップホルダー21」は「収納部」に、それぞれ相当する。
したがって、引用文献2に記載された技術は、本願発明の用語を用いて、
「複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とした連続した床を備えている車両の室内構造において、着座スペースの前方側の輪郭よりも車両後方の範囲で、かつ車両中心軸上に車両前方に展開する収納部を設けた技術」と言い換えることができる。
そして、引用文献1に記載された発明と引用文献2に記載された技術とはいずれも、複数の乗員用座席間にかけて車幅方向の移動を可能とする車両であることから、引用文献1に記載された発明において、その前席に引用文献2に記載された技術を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。そして、引用文献2の段落【0014】に記載された「カップホルダーがシートクッションの前端面よりも後方へ位置しているので、カップホルダーが邪魔になるおそれはない。特に、シートがベンチシートである場合には、左右へのウォークスルーを円滑に行うことができる。」との技術思想を鑑みれば、カップホルダー21が収納されているときのみならず、前方へ展開されているときであっても、左右へのウォークスルーを円滑に行うことができるように、シートクッションの前端面よりも後方へ位置させる程度の設計変更を行うことで、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。
つまり、引用文献1に記載された発明において、引用文献2に記載された技術を適用し、その際に若干の設計変更を行うことにより、相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に相当し得たことである。

また、「着座スペースの前方側の輪郭よりも車両後方の範囲で、かつ車両中心軸上に車両前方に展開する収納部を設け、該収納部の展開時において、前記車両前方側の輪郭内に前記展開した状態の収納部が収まり、前記輪郭から車両前方に突出しないように構成されている技術」は、周知技術(以下、「周知技術5」という。例えば、特開平11-321465号公報(特に【要約】、段落【0009】及び【0010】並びに図面を参照。)、特開2003-80982号公報(特に【要約】、段落【0034】ないし【0041】及び図面を参照。)でもある。
してみれば、引用文献1に記載された発明において、周知技術5を適用することにより、相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に相当し得たことであるともいえる。


また、本願発明を全体として検討しても、引用文献1に記載された発明、周知技術1ないし5、及び、引用文献2に記載された技術から予測される以上の格別な効果を奏するものとは認められない。


第5.むすび
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明、周知技術1ないし5、及び、引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-14 
結審通知日 2012-06-15 
審決日 2012-06-26 
出願番号 特願2005-226079(P2005-226079)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関谷 一夫岡澤 洋鹿角 剛二  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 金澤 俊郎
岡崎 克彦
発明の名称 車両の室内構造  
代理人 有原 幸一  
代理人 松島 鉄男  
代理人 奥山 尚一  
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