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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1261188 |
審判番号 | 不服2010-23776 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-22 |
確定日 | 2012-08-09 |
事件の表示 | 特願2004-546102「電気アーキテクチャ合成方法及び合成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月 6日国際公開、WO2004/038617、平成18年 2月 2日国内公表、特表2006-504169〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、特許協力条約に基づく出願であって、平成15年10月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:2002年10月21日、フランス)を国際出願日とする出願であり、その翻訳文である国内書面が平成17年6月1日に提出されたものである。 そして、平成21年8月31日付けの拒絶理由通知に対して、平成22年3月8日に手続補正書が提出されたが、平成22年5月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年10月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成22年10月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成22年10月22日付けの補正を却下する。 [理由] 1.補正後の特許請求の範囲 当該手続補正(以下、「本件補正」という。)による補正後の特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりのものである。 【請求項1】 電気・電子アーキテクチャの合成を行うためのコンピュータプログラムであって、当該電気・電子アーキテクチャは導線と、センサと、アクチュエータと、コンピュータからなる電気・電子構成要素を含み、 -領域に分割された製品の形状を2次元で表示したデータの入力を受ける段階(102)と、 -前記領域内に、経路指示点、電気導線、接続点および電気・電子構成要素の配置および通過が禁止される回避下部領域の位置と形状を2次元で表示したデータの入力を受ける段階と(1820)、 -前記領域の間の接続点配置データの入力を受ける段階(106)と、 -前記領域内における、上記電気・電子構成要素の配置データの入力を受ける段階(108)と、 -前記領域内における、電気導線の経路指示のための経路指示点配置データの入力を受ける段階(106)と、 -前記領域の前記形状と、前記経路指示点の位置と、前記接続点の位置と、前記構成要素の位置と、回避下部領域の位置と形状に応じて、経路指示の合成を行う段階(110、112、114)と、 -前記経路指示のコスト、および/または、品質の評価を行う段階(116、118、120)と、 を含んでなり、前記評価の結果に応じて、 -前記経路指示点の位置と、前記接続点の位置と、前記電気、電子構成要素の位置の少なくとも一方の位置を変更し、前記合成との段階と前記コスト、および/または、品質の評価の段階を繰り返すことを特徴とする、コンピュータプログラム。 2.補正の適否 審判請求人は、審判請求の理由において、「補正によって加入された特徴のうち、「経路指示点」、「電気導線」および「接続点」は国際出願日における請求項1及び明細書の段落[0005]に記載されています。」と主張している。 しかしながら、この補正は、「データの入力を受ける段階」が「経路指示点、電気導線、接続点」の配置データの入力も受けるようにするものであるが、「経路指示点、電気導線、接続点」のうち、「電気導線」に関して、当該「電気導線」の配置データを入力することは、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、また、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項を総合しても導くことができる技術的事項ではないから、本件補正は、その記載した事項の範囲内においてしたものではない。 補足すれば、「電気導線」に関して、段落[0005]に記載されていることは、「電気導線の経路指示のための経路指示点を配置する段階」のみである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 なお、仮に審判請求人が主張するとおり、上記「電気導線」の配置データを入力することが願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていたとして、本件補正が、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合、本件補正後の請求項1に記載された発明は“電気導線の配置データ”を入力するものであって、「電気導線」の経路が当該“電気導線の配置データ”の入力段階で既に決定されるものとなってしまう。 しかし、「電気導線」の経路は、「経路指示の合成」の結果、得られるものであり、「電気導線」の経路が当該“電気導線の配置データ”の入力段階で既に決定されることは、本件補正後の請求項1に記載された「前記領域の前記形状と、前記経路指示点の位置と、前記接続点の位置と、前記構成要素の位置と、回避下部領域の位置と形状に応じて、経路指示の合成を行う」という「経路指示の合成」が各種条件のの入力後に決定されることと矛盾することになり、本件補正後の請求項1に記載された発明が「電気導線」の経路をいずれの段階において決定するものとなるのか不明となる。 更に、本件補正後の請求項1に記載された発明は、「前記領域内に、経路指示点、電気導線、接続点および電気・電子構成要素の配置および通過が禁止される回避下部領域の位置と形状を2次元で表示したデータの入力を受ける段階」に重複して、「-前記領域の間の接続点配置データの入力を受ける段階」と、「-前記領域内における、上記電気・電子構成要素の配置データの入力を受ける段階」と、「-前記領域内における、電気導線の経路指示のための経路指示点配置データの入力を受ける段階」を備えるものとなって、「経路指示点」、「接続点」、「電気・電子構成要素」の配置データがいつ入力されるものとするのか不明となる。 つまり、本件補正後の請求項1に記載された発明は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえず、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものとなり、本件補正後の請求項1に記載された発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものとすることはできない。 したがって、仮に本件補正が平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものとなる。 第3 本願発明について 1.本願発明の認定 平成22年10月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年3月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項30までに記載した事項により特定されるものである。 ここで、請求項1に記載された発明は「-前記経路指示点の位置と、前記接続点の位置と、前記電気・電子構成要素の位置の少なくとも一方の位置を変更し、前記合成との段階と前記評価の段階を繰り返すこと」を含むものであるが、この変更される「前記経路指示点の位置と、前記接続点の位置と、前記電気・電子構成要素の位置の少なくとも一方の位置」とは、人が変更するものであるのか、装置が変更するものであるのか、また、ランダムに変更されるものであるのか、所定の条件に従って随時変更されるものであるのか、願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されておらず、また、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項を総合しても導くことができず、どのようにして「-前記経路指示点の位置と、前記接続点の位置と、前記電気・電子構成要素の位置の少なくとも一方の位置を変更し、前記合成との段階と前記評価の段階を繰り返す」ものであるか不明であることから、請求項1に記載された発明を認定することができない。 したがって、当審においては、記載が明確である他の独立請求項である請求項11に係る発明を本願発明として判断を行う。 なお、請求項11に係る発明は、次のとおりである。 【請求項11】 電気・電子アーキテクチャの合成を行うための電気・電子アーキテクチャ合成装置であって、当該電気・電子アーキテクチャは導線と、センサと、アクチュエータと、コンピュータからなる電気・電子構成要素を含み、 -領域に分割された製品の形状を2次元で表示する手段と、 -前記領域内に、電気・電子構成要素の配置および通過が禁止される回避下部領域の位置と形状を2次元で表示する手段と、 -上記領域の間に接続点を配置する手段と、 -上記領域内に、上記電気・電子構成要素を配置する手段と、 -上記領域内に、電気導線の経路指示のための経路指示点を配置する手段と、 -上記領域の形状と、上記回避下部領域の位置と形状と、上記接続点の位置と、上記構成要素の位置と、上記経路指示点の位置とに応じて、経路指示の合成を行う手段と、 -上記経路指示を評価する手段と、 -上記経路指示点の位置と、上記接続点の位置と、上記電気、電子構成要素の位置の少なくとも一方の位置を変更する手段と、 を含んでなることを特徴とする、電気アーキテクチャ合成装置。 2.引用刊行物に記載された発明 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1(平田隆教 他,CADによるワイヤハーネス設計,マツダ技報,1988年4月,第6号,p.119-128)には、対応する図面と共に、以下の内容が記載されている。 なお、下線は当審において付し、特許庁の審決起案システムでは丸数字が使えないため、「○数字」で代用した。 (ア)「このような状況下でハーネスの品質や信頼性を確保するためには回路設計からハーネス図作成に至までの設計段階で極めて多くの工数が必要であり,設計効率を高めるためにハーネス設計の支援システムを開発した。 本論文ではこのシステムの概要を述べるとともにハーネス設計の概要についても述べる。 また本システムが新車開発に適用され設計業務の効率化と設計品質の向上に貢献している実例についても述べる。」 (第119頁左欄第11行?右欄第5行) (イ)「 (3) ハーネス仕様検討 電装品の配置,ハーネスの経路及びハーネスの分割などの最適化検討を基本経路図上で行い,その結果を実体配線図として作成する。 (中略) (6) ハーネス評価 ハーネス図から構成部品の集計やコスト・重量の算出をし信頼性・生産性等の設計評価を行う。」 (第120頁左欄18行?右欄第第15行) (ウ)「 ○2システムへの入力操作(作成・修正など)は全てディスプレイとの対話形式でできるようにした。また類似設計や繰り返し検討が多いことを考慮して既存データの流用機能も充実した。 ○3設計者の思考過程を重視し,システムへの入出力は図面データベース(以下,DBという)で行い,その出力は図面として自動作成した。」 (第121頁右欄第15行?22行) (エ)「4.4 ハーネス仕様検討の支援機能 (1)作成・入力機能 ディスプレイとの対話形式での基本的な機能は ○1ハーネス経路の作成や修正及び長さ(実寸)の入力 ○2ハーネスの分割位置及び部位の入力 ○3電装品の位置入力 であるが,これら以外にも以下の機能がある。 ○4既存経路データが検索・流用できる。 ○5回路データはシーケンス図の結線リスト(回路DB)から自動入力できる。 ○6位置指定の必要な電装品はその名称を回路データから自動抽出しその形状も自動的に作成する。 (2) 配索・作図機能 入力された経路・回路・電装品位置を基に電装品間が最短・最小分割となる配索パスが自動決定され,実体配線図として自動的に作成され(図11)図面DBに登録される。またこの実体配線図に対し回路毎のパスの変更やジョイント(分岐)位置の変更が対話形式でできる。 (3) 計算・集計機能 ○1配索経路上の任意の位置で回路本数やハーネス径(太さ)の計算と表示ができる(図12)。 ○2個々の回路別にその配索距離(寸法)が計算でき重量集計もできる。 (4)取回し設計機能 またこれらの機能を組み合わせ,回路や電装品位置も変動パラメータとした電気系システム全体の最適化検討すなわち ○1ジョイント位置の最適化やジョイントの集約化(ジョイントボックス化)の検討 ○2電装品の集約化によるシステムインテグレーションの検討 ○3電装品位置の最適化検討(図13) などもできる。 (5)構成シミュレーションの機能 前記の配索結果をハーネス構成として指定される複数のハーネス図に展開するに際しては ○1電装仕様の違い(回路の有無など)によるハーネス図別の回路本数の算出 ○2共通化した場合の付け捨てコストの算出 ができる。」 (第123頁左欄第9行?第125頁左欄第12行) (オ)「4.5 ハーネス図作成の支援機能 作成・修正の基本的な機能以外にも以下の機能もある。 (1) 登録・編集機能 コネクタや外装部品などの標準品は全てその名称や略画を標準シンボルとしてマスタDBに登録し(図14,図15),図面作成の際にはこの標準シンボルを選択指示することによりハーネス図面(図16)上に配置できる。 (中略) (4)構成部品のリスト展開機能 ハーネス図から構成部品(電線・外装部品・コネクタなど)を自動的に抽出しハーネスDBに登録する。」 (第125頁左欄第13行?右欄第11行) (カ)「4.6 ハーネス図チェックの支援機能 (1) ハーネス図の接続チェック機能 部位別(フロント・リアなど)に分割されたハーネス図相互の接続(コネクタの嵌合や回路の一致など)を自動チェックする。 また車1台分(全部位)のハーネス図の接続を同時にチェック,接続一覧表(図18)を出力するとともに車1台分の結線リストを自動作成し回路DBに登録する。」 (第125頁右欄第13行?第126頁右欄第2行) (キ)「4.7 ハーネス評価の支援機能 (1) 計算・集計機能 ○1電線長の計算や電線本数の集計(線径別・線色別など) ○2コネクタや外装部品などの数量集計(品番別・色別など) (2) コスト算出機能 部品別に単価及び単位重量(システムに登録済み)を掛け合わせてコスト・重量を算出し図面単位で集計する。 また部品やその組合せで加工費の算出と図面単位の集計も行う。 (3) 前記で得られる図面単位の集計結果をハーネスDBに蓄積し部品別の数量・コストの検索や図面間での比較を行う。」 (第127頁左欄第8行?右欄第12行) これら(ア)?(キ)の記載及び図面の内容を総合すると、引用刊行物1には、次の(ク)なる発明が記載されていると認められる。 以下、これを「引用発明」と記す。 [引用発明] (ク)ハーネス経路の作成や修正及び長さの入力、ハーネスの分割位置及び部位の入力、電装品の位置入力の操作をディスプレイとの対話形式でできるようにし、 入力された経路・電装品位置を基に電装品間が最短・最小分割となる配索パスが自動決定され、実体配線図として自動的に作成され、 この実体配線図に対し回路毎のパスの変更やジョイント(分岐)位置の変更ができ、 前記の配索結果を部位別(フロント・リアなど)に分割された複数のハーネス図に展開し、 図面作成の際にはコネクタや外装部品などの標準品シンボルを選択指示することによりハーネス図面上に配置でき、 ハーネス図から構成部品の集計やコスト・重量の算出をし信頼性・生産性等の設計評価を行う、 ハーネス設計の支援システム。 3.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「ハーネス」、「電装品」、「構成部品」は、本願発明の「導線」、「電気・電子構成要素」、「電気・電子アーキテクチャ」にそれぞれ相当する。 そして、引用発明の「ハーネス設計の支援システム」は「構成部品」の「ハーネス図」を作成するものであることから、引用発明と本願発明とは「電気・電子アーキテクチャの合成を行う電気アーキテクチャ合成装置」である点で一致する。 引用発明は「電装品の位置入力の操作をディスプレイとの対話形式でできるようにし」、「図面作成の際にはコネクタや外装部品などの標準品シンボルを選択指示することによりハーネス図面上に配置でき」るものであって、当該「ハーネス図」は「部位別(フロント・リアなど)に分割された」ものであるから、当該「ハーネス図」で表される範囲自体が本願発明の「領域」に相当する。 したがって、引用発明と本願発明とは、「領域内に、電気・電子構成要素の配置を2次元で表示する手段」及び「上記領域内に、上記電気・電子構成要素を配置する手段」を有するものである点で一致する。 そして、引用発明は「ハーネス図」を製品の形状に沿った形で2次元で表示するものであるから、引用発明と本願発明とは「領域に分割された製品の形状を2次元で表示する手段」を有するものである点で一致する。 引用発明の「ハーネス図面上に配置」される「コネクタ」は本願発明の「接続点」に相当するから、引用発明と本願発明とは「上記領域の間に接続点を配置する手段」を有するものである点で一致する。 引用発明は“ハーネスの分割位置及び部位の入力の操作をディスプレイとの対話形式でできるようにし”、「回路毎のパスの変更やジョイント(分岐)位置の変更」ができるものであって、当該「ハーネスの分割位置」及び「「ジョイント(分岐)位置」は本願発明の「電気導線の経路指示のための経路指示点」に相当することから、引用発明と本願発明とは「上記経路指示点の位置を変更する手段」及び「上記領域内に、電気導線の経路指示のための経路指示点を配置する手段」を有するものである点で一致する。 引用発明は「入力された経路・回路・電装品位置を基に電装品間が最短・最小分割となる配索パスが自動決定され」るものであって、当該「入力された経路・回路・電装品位置」は本願発明の「領域の形状」、「接続点の位置」、「構成要素の位置」、「経絡指示点の位置」を含むものであって、当該「配索パス」は本願発明の「経路指示」に相当し、且つ、「配索パスが自動決定され」ることは本願発明の「経路指示の合成を行う」ことに相当するから、引用発明と本願発明とは、「上記領域の形状と、上記接続点の位置と、上記構成要素の位置と、上記経路指示点の位置とに応じて、経路指示の合成を行う手段」を有するものである点で一致する。 引用発明は「ハーネス図から構成部品の集計やコスト・重量の算出をし信頼性・生産性等の設計評価を行う」ものであるから、引用発明は「上記経路指示を評価する手段」を実質的に有している。 したがって、引用発明における構成要素を本願発明において用いられている用語に置き換えれば、本願発明と引用発明は以下の点で一致、あるいは相違する。 [一致点] (ケ)電気・電子アーキテクチャの合成を行うための電気・電子アーキテクチャ合成装置であって、当該電気・電子アーキテクチャは導線と、(センサと、アクチュエータと、コンピュータからなる)電気・電子構成要素を含み、 領域に分割された製品の形状を2次元で表示する手段と、 前記領域内に、電気・電子構成要素の配置を2次元で表示する手段と、 上記領域の間に接続点を配置する手段と、 上記領域内に、上記電気・電子構成要素を配置する手段と、 上記領域内に、電気導線の経路指示のための経路指示点を配置する手段と、 上記領域の形状と、上記接続点の位置と、上記構成要素の位置と、上記経路指示点の位置とに応じて、経路指示の合成を行う手段と、 上記経路指示を評価する手段と、 上記経路指示点の位置と、上記接続点の位置と、上記電気、電子構成要素の位置の少なくとも一方の位置を変更する手段と、 を含んでなることを特徴とする、電気アーキテクチャ合成装置。 [相違点] (コ)具体的な電気・電子構成要素として、本願発明は「センサと、アクチュエータと、コンピュータからなる」とするものであるのに対し、引用発明では具体的な電気・電子構成要素(電装品)について言及されていない点。 (サ)本願発明は、「通過が禁止される回路下部領域の位置と形状」を表示し、当該「回路下部領域の位置と形状」に応じて経路指示の合成を行う構成を備えるものであるのに対し、引用発明ではそのような構成を備えていない点。 4.相違点の判断 相違点(コ)について検討する。 本願発明の「センサ、アクチュエータ、コンピュータ」は例示するまでもなく自動車に用いられる周知の電装品であるところ、刊行物1も本願発明と同様の自動車の配線設計システムに関するものであって、引用発明における「電装品」としてどのような部品を対象とするかは当業者が適宜選択し得る設計事項にすぎず、引用発明において具体的な「電装品」として本願発明の「センサ、アクチュエータ、コンピュータからなる」ものとすることは当業者にとって想到困難な事項ではない。 相違点(サ)について検討する。 一般に配線経路を作成する装置において、通過が禁止される領域の位置と形状を表示して、当該領域が配線経路に含まれないように、当該領域の位置と形状に応じて配線経路の設計を行うことは、ごく普通に行われている事項 (例えば、原査定の拒絶の理由で引用された刊行物3(特開平7-3200 81号公報)には、そのような技術が記載されている。)であって、引用発明において通過が禁止される領域の位置と形状を表示し、当該領域の位置と形状に応じて経路設計を行う構成とすることに格別の困難性はない。 そして、上記相違点(コ)、(サ)を判断しても、本願発明が格別顕著な構成であり、格別顕著な効果を奏するものであるということはできないから、本願発明は引用刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、本願発明(請求項11に記載された発明)は、原査定において拒絶の理由が示されているにもかかわらず、審判請求時に何ら手続補正がなされなかったものである。 5.まとめ したがって、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4. むすび 以上のとおり、本願の請求項11に係る発明は、引用刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶すべきものである。 したがって、原査定を取り消す、本願は特許すべきであるとの審決を求める、という本件審判請求の趣旨は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-21 |
結審通知日 | 2012-03-13 |
審決日 | 2012-03-26 |
出願番号 | 特願2004-546102(P2004-546102) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加舎 理紅子 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
溝本 安展 吉村 博之 |
発明の名称 | 電気アーキテクチャ合成方法及び合成装置 |
代理人 | 園田 吉隆 |
代理人 | 小林 義教 |