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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01G
管理番号 1261327
審判番号 不服2011-5727  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-15 
確定日 2012-08-08 
事件の表示 特願2006-507228「ホース操作のための遠隔制御」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月23日国際公開、WO2004/080161、平成18年 9月 7日国内公表、特表2006-520207〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成16年3月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成15年3月13日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成22年11月10日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
その後,当審において,平成23年12月27日付けで拒絶理由を通知したところ,平成24年2月3日付けで意見書及び手続補正書が提出された。

2 本願発明
本願の請求項1ないし29に係る発明は,平成24年2月3日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし29に記載されたものと認められ,そのうち請求項1に係る発明は,次のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。
「【請求項1】
入口、出口、前記入口と出口との間に画定された流体流路、及び前記流体流路を選択的に閉じるために位置決めされる電気作動式弁を含む流量コントローラと、
前記流量コントローラの前記出口と流体接続する近位端を有するホースと、
前記流量コントローラの前記出口に流体接続し、前記ホースを巻き取り得る回転可能リール及び前記リールを回転させるために接続された電気モータを備えるホースリールデバイスと、
前記弁及び前記モータと接続し、前記弁及び前記モータを制御する無線コマンド信号を受信するように構成された無線受信機を備え、前記弁及び前記モータを駆動する電力を伝達するように構成された電子部品と、
無線送信機に接続されて、当該無線送信機の制御を可能にする手動コントロール部、及び前記弁及び前記モータを制御する無線コマンド信号を前記無線受信機に送信するように構成された前記無線送信機を備える遠隔コントロール部とを備え、
前記遠隔コントロール部が、前記ホースの遠位端に近接して取り付けられ、前記リールの周りに前記ホースを巻き取ること及び前記ホースを巻き戻すことを前記モータに命令するように構成されており、
前記遠隔コントロール部が、前記流体流路を閉じる位置に位置するよう前記弁に指示し、且つ、前記リールの巻き取りを開始するよう前記モータに指示する単一のコマンド信号を前記無線送信機に送信させ、
前記電子部品が、前記単一のコマンド信号に応答して、前記流体流路を閉じる位置に前記弁を位置決めし、且つ、前記モータに前記リールの巻き取りを開始させるように構成されているホース制御システム。」

3 刊行物
当審における拒絶理由で引用し,本件優先日前に頒布された刊行物は次のとおりである。
刊行物1:米国特許第6283139号明細書
刊行物2:実願平5-37266号(実開平7-2362号)のCD-ROM
刊行物3:特開2001-288791号公報

(1)刊行物1には,次の事項が記載されている(以下,( )内は当審訳)。
(1a)「A remote controlled hose valve system for use with a water source and a hose having one end connectable to a fluid activated device and an opposite connector end is disclosed. The hose valve system includes a valve unit and a remote control unit. The valve unit has an inlet coupler connectable to the water source. The valve unit also has a hose coupler coupled to the opposite connector end of the hose. A conduit allows fluid flow between the inlet coupler and the hose coupler. A valve is located in the conduit and permits fluid flow in the conduit. An actuator which may be an electric motor is connected to the valve. A power source is provided for the actuator. A signal receiver is coupled to the power source and the actuator. The receiver allows power flow to the actuator to close or open the valve in response to a unique signal. The remote control unit includes a transmitter which sends a unique signal to open or close the valve.」(1ページABSTRACT)
(流体に連結可能な一端がある水源とホースと共に使用され,一端が給水装置へ接続可能で,他端に接続部を有する遠隔コントロールされるホース弁システムが示される。ホース弁システムは弁ユニットと遠隔コントロール器を含んでいる。弁ユニットは水源に連結可能な入口カプラーを有している。弁ユニットは,さらに,ホース端部のコネクタに接続されるホースカプラーを有している。流体流路は,入口・カプラーとホースカプラの間に流体を流す。バルブは流体流路中に位置し,流体流路中の流体の流れを許可する。電気モーターでもよいアクチュエーターがバルブに接続される。動力源がアクチュエーターに提供される。信号の受信機は動力源とアクチュエーターに接続される。受信機は,特有の信号に応じて,バルブを開閉するようにアクチュエーターへ電流を流す。遠隔コントロール器は,バルブを開閉する特有の信号を送る送信機を含んでいる。)

(1b)「Referring now to the drawings and more particularly to FIG. 1, which shows a perspective view of a remote controlled hose valve system generally indicated at 20, embodying the general principles of the present invention. In general, the system 20 includes a hose valve unit 22 which is activated by a remote controller unit 24. The hose valve unit 22 is fluidly connectable to a hose spigot 26. The hose valve unit 22 is also fluidly connectable to one end of a hose 28. The other end of the hose 28 may be connected to a sprinkler 30 or any other fluidly activated device.
The hose spigot 26 has a male coupler 32 which has a series of threads 34. The water flow from the hose spigot 26 is controlled by a rotatable knob 36. The male coupler 32 is coupled to an inlet coupler 38 on the hose valve unit 12. ・・・
Water from the spigot 26 flows into the inlet coupler 38 through the hose valve unit 22 and out an outlet 40 which is located on the hose valve unit 22 opposite the inlet coupler 38. The outlet 40 is cylindrical in shape and has a series of exterior threads 42. The exterior threads 42 are matable to a series of threads 46 on the interior surface of a coupler 48 on the hose 28. The coupler 48 and the outlet 40 in conjunction with a washer (not shown) form a sealed conduit for the flow of water from the hose valve unit 22 through the hose 28.」(3欄25?52行)
(図面,特に図1は,本発明の全体の基本を具体化した,20で示される遠隔コントロールホース弁システムの遠近図を示す。一般的に,システム20は,遠隔コントロールユニット24によって作動されるホース弁ユニット22を含んでいる。ホース弁ユニット22は,ホース栓26に流体的に連結可能である。さらに,ホース弁ユニット22は,ホース28の1つの端部へ流体的に連結可能である。ホース28のもう1つの端部はスプリンクラー30あるいは他の流体的に作動される装置に接続することができる。
ホース栓26には,一連のスレッド34があるオス型カップラー32がある。ホース栓26からの水の流れは回転可能なノブ36によってコントロールされる。オス型カップラー32は,ホース弁ユニット12上の入口カップラー38につながれる。・・・
栓26から水は,入口カップラー38に流入し,ホース弁ユニット22を通過し,ホース弁ユニット22における入口カップラー38の反対側に位置する出口カプラー40から外に出る。出口40は円筒形で,一連のスレッド42がある。外側のスレッド42は,ホース28上のカップラー48の内表面の一連のスレッド46と噛み合う。カップラー48および出口40は,ワッシャー(図示せず)と協同して,ホース弁ユニット22からホース28を通って流れる水のための密封した導水路を形成する。)

(1c)「The remote controller 24 is a size suitable to be held in a user's hand and has a top surface 50. The top surface 50 has a key pad 52 with an on/increase flow control key 54, a decrease flow key 56, a one-minute increment key 58, a fifteen-minute increment key 60, and a clear/stop control key 62.
The keys 54-62 allow a user to use the remote controller unit 24 to control the hose valve unit 22. 」(3欄53?60行)
(遠隔コントロール器24はユーザーの手で握るのに適切なサイズで、トップ面50を有している。トップ面50には,流量増加制御キー54,流量減少制御キー56,1分間増加キー58,15分増加キー60及びクリア/ストップ・コントロール・キー62を有するキーパッド52が設けられている。キー54-62は,ユーザーが遠隔コントロールユニット24を使用してホース弁ユニット22をコントロールすることを可能にする。)

(1d)「FIG. 9 is a block diagram of the remote controller 24 and the hose valve unit 22. The remote control unit 24 accepts user inputs from the keypad 52. The keypad 52 sends command signals to an encoder transmitter 130 which is coupled to an antenna 132. The antenna 132 is integral to the remote control unit 24. The encoder transmitter 130 is powered by a battery unit 134.」(5欄12?18行)
(図9は,遠隔コントロール器24およびホース弁ユニット22のブロックダイアグラムである。遠隔コントロール装置24はキーパッド52からユーザー入力を受理する。キーパッド52は、アンテナ132につながれるエンコーダ・トランスミッター130へ指令信号を送る。アンテナ132は遠隔コントロール装置24に不可欠である。エンコーダ・トランスミッター130にはバッテリー・ユニット134によって動力が供給される。)

(1e)「The signals from the remote control unit 24 are received by the antenna 86 which is attached to a receiver/decoder 140 on the hose valve unit 22. The decoded signal is interpreted by a control unit 142. The control unit 142 is coupled to the water valve actuator 112. The control unit 142 generates signals which will activate the ball valve 122 to allow or prevent water flow between inlet 38 and outlet 40, as will be explained below.」(5欄26?33行)
(遠隔コントロール器24からの信号は,ホース弁ユニット22上の受信/デコーダ140に付けられているアンテナ86によって受け取られる。解読された信号は,コントロールユニット142によって解釈される。コントロールユニット142は通水バルブアクチュエーター112につながれる。コントロールユニット142は,以下に説明されるように,入口38と出口40の間の水の流れを許可するか止めるためにボール弁122を駆動する信号を生成する。)

(1f)「FIG. 11 is a circuit diagram of the RF transmitter circuit 226. A Pierce oscillator circuit 230 sets the frequency of the transmitted signal. 」(5欄65行?6欄1行)
(図11はRFトランスミッター回路226の回線図である。ピアス発振器回路230は,送信された信号の周波数をセットする。)

(1g)「The remote control unit 24 also allows the user to control the flow of water. By pressing flow key 54 or 56, the user may turn the ball valve 122 by an increment thus incrementally increasing or decreasing the flow of water through the ball valve 122.」(6欄25?29行)
(遠隔コントロール器24は,さらにユーザーが水の流量をコントロールすることを可能にする。フロー・キー54あるいは56を押すことによって,ユーザーは,ボール弁122を漸増的に回し,それによってボール弁122を通過する水の流量を増加または減少させることができる。)

(1h)「FIGS. 12A and 12B are a circuit diagram of the hose valve unit 22. The signal is detected by the antenna 86 which is coupled to a receiver circuit 250. The receiver circuit 250 inputs the signal to the control unit 142. The control unit 142 has a processor 252. ・・・
・・・The processor 252 will then lock the actuator 112, preventing actuation of the valve 122, if the valve 122 is closed. If the valve 122 is open, the processor 252 will power the actuator 112 to close the valve 122, preventing water flow to the hose 28.
The processor 252 outputs a forward signal and a reverse signal for opening and closing the valve 122. 」(6欄30?52行)
(図12Aおよび12Bはホース弁ユニット22の回線図である。信号は,受信回路250につながれるアンテナ86によって検知される。受信回路250はコントロールユニット142へ信号を入力する。コントロールユニット142にはプロセッサー252がある。・・・
・・・プロセッサー252は,バルブ122が閉まっている場合,アクチュエーター112をロックしバルブ122の発動を防ぐ。バルブ122が開いていれば,プロセッサー252は,バルブ122を閉じるためにアクチュエーター112に動力を供給し,ホース28への水の流出を防ぐ。
プロセッサー252は,バルブ122を開閉するための順方向信号および逆方向信号を出力する。)

これらの記載及び図面の記載によれば、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。
「入口38,出口40,前記入口38と出口40との間に画定された流体流路,及び前記流体流路を選択的に閉じるために位置決めされるボール弁122を含むホース弁ユニット22と,
前記ホース弁ユニット22の前記出口40と接続する端部を有するホース28と,
前記ボール弁122と接続し,前記ボール弁122を制御する信号を受信するように構成された受信機(受信/デコーダ140),前記ボール弁122を駆動する信号に基づいて前記ボール弁122を駆動するコントロールユニット142及びアクチュエーター112を備えた装置と,
前記ボール弁122を制御する信号を前記受信機に無線で送信するように構成された送信機(エンコーダ・トランスミッター130),及び前記送信機に接続されて当該送信機の制御を可能にするキーパッド52を有し,手で握ることのできる遠隔コントロール器24とを備え,
前記遠隔コントロール器24が,ボール弁122を制御する信号を前記送信機に送信させ,受信機,コントロールユニット142及びアクチュエーター112を備えた装置が,前記信号に応答してボール弁122を電気的に制御する,
ホース弁システム。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

(2)上記刊行物2には、次の事項が記載されている。
(2a)「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、薬液を圃場へ散布する動力噴霧機等に装備されるホース巻取・送出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薬液を圃場へ散布する動力噴霧機等では、ポンプから圧送される薬液を散布場所の作業者の把持するガンノズルへ導くために、長大なホースが使用される。散布作業の開始時では、ホースを必要な長さホースリールから引出すとともに、終了時では、長く引出したホースをホースリールに効率よく整然と巻取る必要がある。このため、原動機によりホースをホースリールから引出し及び巻取りするホース巻取・送出装置がすでに知られている。」

(2b)「【0011】
【実施例】
以下、この考案を図面の実施例について説明する。フレーム12は側面視が横長の長方形状であり、原動機14は、エンジン又はモータ等であって、回転方向が一方向に規定されており、フレーム12の下辺部間に横架されている台16に載置されている。ホースリール18は、フレーム12の高さにほぼ等しい直径であり、フレーム12の長手方向へ原動機14からずらされて配置され、支軸19の両端部を回転自在にフレーム12に軸支され、ホース20を巻回される。」

(2c)「【0014】
図1及び図2において、受信機60は、原動機14の上方においてフレーム12の上辺部に取り付けられ、上方へ垂直に延びるアンテナ62を備えている。
【0015】
図2において、原動機14の出力軸64はプーリ又はスプロケット66、68を回転方向へ一体的に嵌装されている。ホースリール用電磁クラッチ70は入力側及び出力側をそれぞれプーリ又はスプロケット74及び支軸19に結合し、送出ローラ駆動用電磁クラッチ72は入力側及び出力側をそれぞれプーリ又はスプロケット76及びローラ駆動軸54に結合する。ホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72は、作業者の携帯する送信機から電波により受信機60へ送信されて来る指令に従って断接を制御される。・・・」

(2d)「【0017】
ホース20の先端側のガンノズルを把持している作業者が携帯の送信機によりホース20の送出を指示すると、この指令は電波で受信機60へ送られて、受信機60は、ホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72をそれぞれ断及び接にする。これにより、ホースリール18は自由回転状態になり、ローラ駆動軸54は原動機14からの回転動力により出力軸64の回転方向へ回転する。・・・ホース20は、自由回転のホースリール18から引出されるとともに、溝付き送出ローラ42から作業者の方へ送出される。・・・」

(2e)「【0019】
散布作業が終了して、作業者が携帯の送信機によりホース20の巻取を指示すると、受信機60は、ホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72をそれぞれ接及び断にする。これにより、ローラ駆動軸54及び溝付き送出ローラ42は自由回転状態になり、ホースリール18は原動機14からの回転動力により出力軸64の回転方向へ回転する。ホース20は、自由回転の溝付き送出ローラ42を経てホースリール18に巻取られていく。・・・
【0020】
ホース20の送出及び巻取を共に中止するときは、ホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72は共に断とされて、ホースリール18及びローラ駆動軸54の回転駆動が中止される。・・・」

上記記載及び図面の記載によれば、刊行物2には次の発明が記載されていると認められる。
「ホース20,及び前記ホース20を巻き取り得るホースリール18と
前記ホースリール18を回転させるために接続されたモータ(原動機14)と,
前記モータにより駆動されるホース送り出しローラ42と,
前記モータの回転動力をホースリール18又はホース送り出しローラ42に伝達するホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72と,
前記ホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72を制御する電波を受信するように構成された受信機60と,
作業者が携帯し,前記ホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72を制御する電波を前記受信機60に送信する送信機とを備え,
前記受信機60は,前記送信機からの電波の指示によりホースリール用電磁クラッチ70及び送出ローラ駆動用電磁クラッチ72をそれぞれ制御し,前記ホースリール18の周りに前記ホース20を巻き取る,又は前記ホースリール18から前記ホース20を引出すように制御する,
ホース巻取・送出装置」

(3)上記刊行物3には、次の事項が記載されている。
(3a)「【請求項1】 水処理部に水を導く給水配管と、水処理部で処理された水を吐出する吐出配管からなる水処理装置において、該給水配管の途中に給水弁を設け、且つ、該吐出配管の吐出口近傍に該給水弁を開閉する操作部を設けたことを特徴とする水処理装置。」

(3b)「【0007】
【発明の実施の形態】・・・図1は本発明の実施例である水処理装置の縦断面図を示しており、図2は本発明の実施例である水処理装置のシャワーホースの断面図である。全体を符号10で示す水処理装置は、ケース20内に収容される水処理部30を有する。水処理部30には、給水配管40が取付けられ、給水される。給水配管40には給水弁42が設けられている。給水弁42は、例えば電磁弁であって、給水配管40を電気的に開閉する。
【0008】水処理部30により処理された水は、吐出配管50を介してと吐出口60へ送水される。吐出口60は、例えばシャワーヘッドが取付けられる。吐出口60には、操作部72が設けてあり、給水弁42とは信号線70で連結される。操作部72の信号を信号線70を介して給水弁42に送り、給水弁を開閉することができる。
【0009】上記の構成とすることで、吐出口60からの吐止水操作を吐出口60近傍で行なえるので操作性に優れ、また、水処理部30の上流側に給水弁42を設けたので、水処理装置に必要以上の水圧がかからない水処理装置とすることができる。また、給水弁42を電気開閉式とし、給水弁42と操作部72を無線で電気的に接続すれば、吐出配管50や給水弁42はシンプルな構造にできる。」

4 対比
本件発明と刊行物1記載の発明を対比する。
刊行物1記載の発明の「ボール弁122」は,本件発明の「電気作動式弁」に相当し,以下,同様に,
「ホース弁ユニット22」は,「流量コントローラ」に,
「信号」は,「無線コマンド信号」に,
「受信機(受信/デコーダ140)」は,「無線受信機」に,
「送信機(エンコーダ・トランスミッター130)」は,「無線送信機」に,
「ボール弁122と接続し,受信機,コントロールユニット142及びアクチュエーター112を備えた装置」は,「電子部品」に,
「キーパッド52」は,「手動コントロール部」に,
「遠隔コントロール器24」は,「遠隔コントロール部」に,
「ホース弁システム」は,「ホース制御システム」に,それぞれ相当する。
また,刊行物1記載の発明において,弁ユニット22の出口と流体接続されるホースの端部は「近位端」といえる。
さらに,刊行物1記載の発明において,「コントロールユニット142及びアクチュエーター112」は,ボール弁122を電気で作動させるものであるから,「弁を駆動する電力を伝達するように構成され」,「信号に応答して、流体流路を閉じる位置に弁を位置決め」しているといえる。

したがって、両者は次の点で一致する。
「入口,出口,前記入口と出口との間に画定された流体流路,及び前記流体流路を選択的に閉じるために位置決めされる電気作動式弁を含む流量コントローラと,
前記流量コントローラの前記出口と流体接続する近位端を有するホースと,
前記弁と接続し,前記弁を制御する無線コマンド信号を受信するように構成された無線受信機を備え,前記弁を駆動する電力を伝達するように構成された電子部品と,
前記弁を制御する無線コマンド信号を前記無線受信機に送信するように構成された無線送信機及び前記無線送信機に接続されて当該無線送信機の制御を可能にする手動コントロール部を有し,手で握ることのできる遠隔コントロール部とを備えている,
ホース制御システム。」

また,両者は次の各点で相違する。
[相違点1]
本件発明は,「流量コントローラの出口に流体接続し,ホースを巻き取り得る回転可能リール及び前記リールを回転させるために接続された電気モータを備えるホースリールデバイス」を有しているのに対し,
刊行物1記載の発明は,ホースが流量コントローラの出口に流体接続されているものの,リール及び電気モータを備えるホースリールデバイスを有していない点。
[相違点2]
遠隔コントロール部が,本件発明では,ホースの遠位端に近接して取り付けられているのに対し,刊行物1記載の発明では,ホースに取り付けられていない点。
[相違点3]
相違点1に関連して,本件発明は,
遠隔コントロール部が,ホースリールデバイスの「モータを制御」し,「リールの周りにホースを巻き取ること及びホースを巻き戻すことをモータに命令するように構成され」(以下,「構成a」という。),さらに,
「流体流路を閉じる位置に位置するよう弁に指示し,且つ,リールの巻き取りを開始するようモータに指示する単一のコマンド信号を送信させる」(以下,「構成b」という。)ものであり,
電子部品が,「弁及びモータと接続し、前記弁及び前記モータを駆動する電力を伝達するように構成され」(以下,「構成c」という。),
「前記単一のコマンド信号に応答して,前記流体流路を閉じる位置に前記弁を位置決めし,且つ,前記モータに前記リールの巻き取りを開始させるように構成されている」(以下,「構成d」という。)ものであるのに対し,
刊行物1記載の発明では,
遠隔コントロール部は,弁を制御するものであって,モータを制御するものではなく,本件発明の構成a,bを備えておらず,
また,電子部品は,弁を駆動する電力を伝達するものであって,モータに接続されてモータを駆動する電力を伝達するものではなく,本件発明の構成c,dを備えていない点。

5 判断
(1)相違点1について検討する。
刊行物2記載の発明の「ホースリール」は,本件発明の「リール」に相当するから,刊行物2記載の発明には,ホースと,ホースを巻き取り得る回転可能リール及び前記リールを回転させるために接続された電気モータを備えるホースリールデバイスが開示されている。
そして,ホースを移動させて灌水する灌水装置等において,長尺のホースを巻き取るホースリールを使用することは例示するまでもなく周知であるから,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の発明を適用して,ホースの巻き取り巻き戻しを行う,リール及び電気モータを備えたホースリールデバイスを設けることは当業者が容易になしうることである。

(2)相違点2について検討すると,刊行物3には,給水弁の遠隔コントロール部をホースの遠位置に取り付ける発明が記載されており,刊行物1記載の発明において,遠隔コントロール部を,ホースの遠位端に近接して取り付けることは,刊行物3記載の発明に基づいて当業者が容易になしうることである。

(3)相違点3について検討する。
ア まず,構成a及び構成cについて検討する。
刊行物2記載の発明の「送信器」は,ホースの巻き取り巻き戻しを制御する信号を送信する無線送信機とともに,指令を入力する手段有していることは明らかであるから,本件発明の「遠隔コントロール部」に相当するものであり,刊行物2記載の発明には,遠隔コントロール部からの信号により,モータにより駆動されるホースリールの回転を制御することが示されている。

本件発明では,遠隔コントロール部は,「モータを制御する」,「モータに命令する」ものであるところ,刊行物2記載の発明はモータからホースリールへ動力伝達する経路を電磁クラッチにより制御するものであり,モータを直接制御したり,モータに命令したりするものではない。
この点に関し,本件発明の「モータを制御する」,「モータに命令する」ことについて,本願明細書の段落【0052】には,
「・・・遠隔コントロール部50は、ホースリールデバイス上のモータの動作を停止させる「ストップ」ボタン64、ホースリールからホースを取り外す「フォワード」ボタン66、及びホースリールドラム上にホースを巻き取る「リワインド」ボタン68を含む。・・・他の構成では、ホースリールが、単純にホースを引っ張ることにより、手動で取り外すようになっている場合には、「フォワード」ボタン66は省略され得ることが理解されるであろう。」と記載されている。
これらの記載によれば,「モータを制御する」,「モータに命令する」には,モータとリール間の動力伝達経路を制御して,リールを自由回転させることも含まれるものと認められる。
また,リールを回転させるモータを制御して,リールの周りにホースを巻き取ること,又はリールを自由回転させてホースを巻き戻すことは,例えば,原査定の拒絶の理由で引用した特開昭61-257123号公報(3ページ左下欄,右上欄)に記載されているように周知であり,モータとリール間の動力伝達経路を制御するか,直接モータの回転を制御するかは,当業者が適宜選択しうることである。

したがって,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の発明及び周知技術を適用して,遠隔コントロール部を,弁の制御だけでなく,モータを制御する無線コマンド信号をも送信し,ホースの巻き取り巻き戻しをモータに命令するものとすることは当業者が容易になしうることであり,それに対応して,電子部品を弁だけでなくモータにも接続し,受信した無線コマンド信号に対応して,電子部品が,リールのモータを駆動する電力を伝達するように構成することは当業者が容易になしうることである。

イ 次に,構成b及び構成dについて検討する。
水の供給とホースリールの駆動を同時に制御することは従来から行われていることであり,例えば,前記特開昭61-257123号公報には,無線による制御ではないが,1つの押ボタンスイッチの操作で水電磁弁の操作とホースの巻取モータの操作を同時に行うことが記載されている。
そして,灌水作業の終了は,ホースの使用の終了でもあるから,刊行物1記載の発明に刊行物2記載の発明を適用して,遠隔コントロール部からの無線コマンド信号で,弁の開閉の指示とホースリールの駆動を制御するものにおいて,灌水作業の終了時に,弁の閉鎖とホースリールの巻き取りとを同時に行おうとすることは,当業者が容易に想到しうることである。
また,無線による制御において,1つの信号で複数の作業を行わせることは,刊行物2に1つの信号でホースリール用電磁クラッチ70と送出ローラ駆動用電磁クラッチ72を操作することが記載されているように(記載事項(2d)(2e)参照),周知の技術であり,弁の閉鎖とホースリールの巻き取りとを同時に行うために,遠隔コントロール部から1つのコマンド信号を送信し,この信号を受信した電子部品の指示により,弁を流路を閉じる位置に位置決めするとともに,モータにリールの巻き取りを開始させるようにすることは当業者が容易になしうることである。

(4)そして,本件発明の作用効果は,刊行物1ないし3記載の発明から予測できることであり,本件発明は,刊行物1ないし3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり,本件発明は,刊行物1ないし3記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-13 
結審通知日 2012-03-21 
審決日 2012-03-27 
出願番号 特願2006-507228(P2006-507228)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 理紗  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 仁科 雅弘
宮崎 恭
発明の名称 ホース操作のための遠隔制御  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
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