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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E21D
管理番号 1261890
審判番号 不服2011-9212  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-28 
確定日 2012-08-16 
事件の表示 特願2004- 7046号「高耐力鋼管膨張型ロックボルト及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月28日出願公開、特開2005-200893号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年1月14日の出願であって、平成23年1月25日付けで拒絶査定がなされ、この査定に対し、同年4月28日に本件審判が請求されるとともに、審判請求と同時に手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「490?640N/mm^(2)の引張り強さ、20%以上の伸びを有する1.8?2.3mm厚の鋼板を素材とし、外径50?55mmに造管された鋼管を、ロール成形法により、円周部分とそれに続く凹部で外周が構成され、34.0?38.0mmの外径寸法を有する異形管に変形した後、所定長さに切断し、両管端を封止するとともに片端に加圧流体圧入孔の穿設を行うことを特徴とする高耐力鋼管膨張型ロックボルトの製造方法。」(以下「本願発明」という。)

3.引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-206698号公報(以下、「刊行物1」という。)には、管状膨張型のロックボルトに関し、図面と共に、以下の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 一端が閉じられ、他端に加圧流体供給源に連結する金具が取付けられ、軸方向に延びる膨張用凹部を1以上有する中空体からなるロックボルトであって、前記中空体が両面を金属めっきされた鋼管からなるものであることを特徴とするめっき鋼管製ロックボルト。」

(2)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に流体を圧入し、流体圧で管体を半径方向に膨張させることによって岩盤に設けた孔内に管体を充満させる管状膨張型のロックボルトに関する。」

(3)「【0008】本発明のめっき鋼管製ロックボルトの断面形状は、要求される材料強度や加工性に応じて設計され、軸方向にわたって少なくとも1以上の膨張用凹部を有する中空体からなるものである。本発明のめっき鋼管製ロックボルトに用いる原板素材(下地鋼)としては、強度290?400N/mm^(2)程度の普通鋼板、高張力鋼板等が一般的である・・・」

(4)「【0020】以上に述べたように、ロックボルトの素材として、管径、板厚、所要強度、加工方法等を考慮して最適鋼種を選定し、また地盤の土質や施工方法を考慮してめっき層の組成、膜厚を選定し、内外面にめっき層を形成した鋼管を使用すれば、岩盤、地盤中での耐久性と信頼性の極めて優れたロックボルトが得られる。また、信頼性を高めることにより、従来行っていた補助用アンカーの打設を低減できるため、施工コストを大幅に削減することができる。」

(5)「【0021】
【実施例】本発明を、実施例をもって説明する。ロックボルト用めっき鋼管素材として、C:0.15質量%、Si:0.009質量%、Mn:0.5質量%でその他が不可避的不純物である400N/mm^(2)級の炭素鋼を使用した。2mm厚に熱延し、酸洗後、めっきライン中で焼鈍および還元炉による前処理を行った後、Zn-6%Al-3%MgおよびZn-6%Al-3%Mg-0.002%Ti-0.001%Bの組成をもつめっき浴中にそれぞれ浸漬して製造した2種類のめっき鋼板を、それぞれ高周波誘導溶接により外径54mmのパイプに成形した後、直ちに外径約36mmの凹型断面を有する異形鋼管4に成形した。
【0022】この異形鋼管4を長さ3mに切断し、管端約100mm分を縮管金型にて直径33mmに縮管した後、図3に示すように、管端縮管部5に封止側スリーブ6用の外径38.1mm、肉厚2.55mm、長さ70mmのパイプを被せ(図3のa)、ポンチ圧入箇所7にポンチを圧入することによって管端部を封止側スリーブ6に沿った密着扁平状態に成形し(図3のb)、溶接により封止した(図3のc)。図4に異形鋼管4の管端縮管部に封止側スリーブ6を被着した封止側管端構造を示す。図4のB-B断面が図3(b)の断面形状を示し、C-C断面が図3(a)の断面形状を示している。なお、図4のA方向から見ると、図3(c)のように溶接部8で管端は密閉されている。もう一方の管端には、同様に縮管した後、図5に示すように、管端縮管部5に注水側スリーブ9用の外径41mm、肉厚4mm、長さ70mmのパイプを被せ(図5のa)、ポンチ圧入箇所7にポンチを圧入することにより注水側スリーブ9に沿った密着扁平状態に形成し(図5のb)、溶接により封止した後(図5のd)、注水側スリーブ先端より約25mmの位置で異形管の凹部を避けて径約3mmの加圧流体導入孔10をスリーブの肉厚4mmおよび異形管の肉厚2mmを貫通するように穿設した(図5のc)。図6に異形鋼管4の管端縮管部に注水側スリーブ9を被着した注水側管端構造を示す。構造的には封止側管端構造と類似しており、図4に関する説明と同様であるが、注水側ではB’-B’断面位置に加圧流体導入孔10を設けた点で異なっている。」

上記記載事項(1)?(5)及び図面の記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「一端が閉じられ、他端に加圧流体供給源に連結する金具が取付けられ、軸方向に延びる膨張用凹部を1以上有する中空体からなり、中空体が両面を金属めっきされた鋼管からなるものであるロックボルトの製造方法であって、
400N/mm^(2)級の炭素鋼を2mm厚に熱延し、Zn、Al、Mgのめっき浴中に浸漬して製造しためっき鋼板を、外径54mmのパイプに成形した後、直ちに軸方向に延びる膨張用凹部を有する凹型断面の中空体からなる外径約36mmの異形鋼管4に成形し、この異形鋼管4を長さ3mに切断し、両管端を封止側スリーブ6、注水側スリーブ9により封止するとともに、注水側スリーブ9には加圧流体導入孔10を穿設する管状膨張型のロックボルトの製造方法。」(以下、「引用発明」という。)

4.本願発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
引用発明の「管状膨張型のロックボルト」は、本願発明の「鋼管膨張型ロックボルト」に相当する。
また、引用発明の「炭素鋼を2mm厚に熱延し、Zn、Al、Mgのめっき浴中に浸漬して製造しためっき鋼板」は、本願発明の「1.8?2.3mm厚の鋼板」に、
引用発明の外径54mmに成形された「パイプ」は、本願発明の「外径50?55mmに造管された鋼管」に、
引用発明の「軸方向に延びる膨張用凹部を有する凹型断面の中空体からなる外径約36mmの異形鋼管4に成形」は、本願発明の「円周部分とそれに続く凹部で外周が構成され、34.0?38.0mmの外径寸法を有する異形管に変形」に、
引用発明の「長さ3mに切断し」は、本願発明の「所定長さに切断し」に、
引用発明の「両管端を封止側スリーブ6、注水側スリーブ9により封止する」は、本願発明の「両管端を封止する」に、
引用発明の「注水側スリーブ9には加圧流体導入孔10を穿設する」は、本願発明の「片端に加圧流体圧入孔の穿設を行う」に相当する。

(2)両発明の一致点
「1.8?2.3mm厚の鋼板を素材とし、外径50?55mmに造管された鋼管を、円周部分とそれに続く凹部で外周が構成され、34.0?38.0mmの外径寸法を有する異形管に変形した後、所定長さに切断し、両管端を封止するとともに片端に加圧流体圧入孔の穿設を行う鋼管膨張型ロックボルトの製造方法。」

(3)両発明の相違点
<相違点1>
本願発明は、490?640N/mm^(2)の引張り強さ、20%以上の伸びを有する鋼板を用い、高耐力のロックボルトの製造方法であるのに対し、
引用発明は、「400N/mm^(2)級の炭素鋼を2mm厚に熱延し、Zn、Al、Mgのめっき浴中に浸漬して製造しためっき鋼板」であって、伸びは不明であり、高耐力の管状膨張型のロックボルトの製造方法とも限定されていない点。
<相違点2>
管の変形を、本願発明は、ロール成形法により行っているのに対し、
引用発明は、不明である点。

4.本願補正発明の容易推考性の検討
(1)相違点1について
ロックボルトの特性として、高耐力のものを要請することは至極自然なことであり、また、耐力を高めるために、同じ素材で板厚をあげるか、又は、刊行物1の記載事項(4)にもあるように、「ロックボルトの素材として、管径、板厚、所要強度、加工方法等を考慮して最適鋼種を選定」する、つまり、板厚を変えずに強度の高い素材を用いることは、当業者であれば当然取り得る手段である。
さらに、刊行物1の記載事項(3)に高張力鋼板の使用も示唆されており、490?640N/mm^(2)の引張り強さ、20%以上の伸びを有する、高強度の鋼板も、既に知られている(例えば、特開平9-49029号公報の表2参照。)ものであることを考慮すると、引用発明において、上記既に知られている高強度の鋼板を用い、より高耐力の管状膨張型のロックボルトとして、相違点1に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
一般的に、管の変形をロール成形法により行うことは、従来から行われていること(請求人が本願明細書で提示の特開2003-145216号公報参照。)にすぎず、引用発明の管の変形を、ロール成形法により行ない、相違点(イ)に係る発明特定事項とすることは、引用発明を具現化するにあたり当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の作用効果は、引用発明、及び当業者に周知の事項から当業者であれば予測できた範囲のものである。
そうすると、本願発明は、引用発明、及び当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-04 
結審通知日 2012-06-05 
審決日 2012-07-02 
出願番号 特願2004-7046(P2004-7046)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E21D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須永 聡  
特許庁審判長 鈴野 幹夫
特許庁審判官 中川 真一
高橋 三成
発明の名称 高耐力鋼管膨張型ロックボルト及びその製造方法  
代理人 梶並 順  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 古川 秀利  
代理人 大宅 一宏  
代理人 大宅 一宏  
代理人 曾我 道治  
代理人 古川 秀利  
代理人 梶並 順  
代理人 曾我 道治  
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