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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) C08L |
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管理番号 | 1262041 |
審判番号 | 不服2010-10990 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-05-24 |
確定日 | 2012-09-11 |
事件の表示 | 特願2004-108753「建築用弾性シーリング材組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月20日出願公開、特開2005-290244、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年4月1日の出願であって、平成21年9月3日付で拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年10月29日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、平成22年2月23日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出され、同年7月1日に審判請求書の手続補正書(方式)が提出され、同年10月6日付けで前置報告がなされ、これについて当審において平成24年1月17日付けで審尋がなされ、それに対して同年3月2日に回答書が提出されたものである。 2.平成22年5月24日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年5月24日付けの手続補正を却下する。 [理由] 平成22年5月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成21年10月29日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって、その特許請求の範囲において、補正前の 「 【請求項1】 (A)架橋性シリル基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体100重量部、 (B)エポキシ基含有(メタ)アクリル系重合体5?150重量部、 (C)2価の錫有機カルボン酸塩0.001?10重量部、及び (D)有機アミン化合物0.001?10重量部を含有することを特徴とする建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項2】 前記重合体(A)が、リビングラジカル重合法で製造された(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1記載の建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項3】 前記重合体(A)が、原子移動ラジカル重合法で製造された(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項4】 前記重合体(A)が、架橋性シリル基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体と架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体との混合物であることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項記載の建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項5】 前記エポキシ基含有(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量が1,000以上7,500以下であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項記載の建築用弾性シーリング材組成物。 」を、 「 【請求項1】 JIS A 5758に規定された建築用弾性シーリング材組成物であって、 (A)架橋性シリル基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体100重量部、 (B)エポキシ基含有(メタ)アクリル系重合体5?150重量部、 (C)2価の錫有機カルボン酸塩0.001?10重量部、及び (D)有機アミン化合物0.001?10重量部を含有することを特徴とする建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項2】 前記重合体(A)が、リビングラジカル重合法で製造された(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1記載の建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項3】 前記重合体(A)が、原子移動ラジカル重合法で製造された(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項4】 前記重合体(A)が、架橋性シリル基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体と架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体との混合物であることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項記載の建築用弾性シーリング材組成物。 【請求項5】 前記エポキシ基含有(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量が1,000以上7,500以下であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項記載の建築用弾性シーリング材組成物。 」とするものである。 上記手続補正は、特許請求の範囲の請求項1において、「JIS A 5758に規定された建築用弾性シーリング材組成物であって、」との事項を追加することを含むものであるが、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落【0053】には、「2.耐久性試験 JIS A 1439(1997)4.17耐久性試験(耐久性区分9030)を行った。耐久性試験結果については、○は合格、×は不合格とした。」と記載されているものの、その記載をもってして、「JIS A 5758に規定された建築用弾性シーリング材組成物」であることが、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)にとって、自明のことでもないし、技術常識でもない。 以上のとおりであるから、当初明細書には、JIS A 1439(1997)4.17耐久性試験(耐久性区分9030)によって耐久性試験を行ったことについては記載されているとしても、「JIS A 5758に規定された建築用弾性シーリング材組成物」であることについての記載は一切なされていないし、そのことが示唆もされていないし、本願出願時において、当業者にとって、そのことが自明のことでもない。 してみると、本件補正後の請求項1に記載された「JIS A 5758に規定された建築用弾性シーリング材組成物であって、」が、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとする根拠は見出せない。 したがって、本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成22年5月24日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1?5に係る発明は、平成21年10月29日に提出された手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2012-08-30 |
出願番号 | 特願2004-108753(P2004-108753) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WYF
(C08L)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 米村 耕一 |
特許庁審判長 |
蔵野 雅昭 |
特許庁審判官 |
近藤 政克 小野寺 務 |
発明の名称 | 建築用弾性シーリング材組成物 |
代理人 | 石原 詔二 |
代理人 | 石原 進介 |