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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1262113
審判番号 不服2009-20352  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-22 
確定日 2012-08-21 
事件の表示 特願2004-363668「媒体ダイアリーアプリケーションにおけるブックマーク及びアノテーション処理」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 9日出願公開、特開2005-149521〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年11月17日(パリ条約による優先権主張平成15年11月17日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成20年3月6日付けで拒絶理由が通知され、同年7月29日付けで手続補正(以下、「本件補正1」と呼ぶ。)がなされ、同年9月19日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成21年2月10日付けで手続補正(以下、「本件補正2」と呼ぶ。)がなされたが、同年6月3日付けで本件補正2について補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで平成20年9月19日付けで通知された拒絶理由によって拒絶査定がなされ、これに対し平成21年10月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成21年10月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成21年10月22日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正内容
平成21年10月22日付けの手続補正(以下、「本件補正3」という。)は、本件補正3前(本件補正1後)の特許請求の範囲の請求項11を、本件補正3後の特許請求の範囲の請求項11のとおりに補正する補正事項を含むものである。

<本件補正3前の特許請求の範囲の請求項11>
「【請求項11】
デジタル媒体ファイルへのアクセスを与え且つ前記デジタル媒体ファイルを時間周期に関連付ける媒体ビューを発生し、
デジタル媒体ファイル、カレンダー事象、又は時間周期の少なくとも1つを含む少なくとも1つの情報のアイテムに関連付けられた情報識別子を発生し、ここで、前記情報識別子は、前記情報のアイテムに関連付けされたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる、
ように構成された処理ユニットを備えることを特徴とする装置。」

<本件補正3後の特許請求の範囲の請求項11>
「【請求項11】
デジタル媒体ファイルへのアクセスを与え且つ前記デジタル媒体ファイルを時間周期に関連付ける媒体ビューを発生し、
デジタル媒体ファイル、カレンダー事象、又は時間周期の少なくとも1つを含む少なくとも1つの情報のアイテムに関連付けられた情報識別子を発生し、ここで、前記情報識別子は、前記情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる、
ように構成された処理ユニットを備えることを特徴とする装置。」

2.本件補正3に対する判断
本件補正3のうちの上記補正事項は、補正前の請求項11に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報のアイテムに関連付けされたメタデータ」を、「情報のアイテムと一体化されたメタデータ」と限定するものであるが、該「情報のアイテムと一体化されたメタデータ」という事項(以下、「補正事項」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた外国語書面の翻訳文(以下、「当初明細書等の翻訳文」という。)に記載された事項ではないし、当初明細書等の翻訳文に記載された事項から自明な事項でもない。そして、該補正事項は、当初明細書等の翻訳文のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項に該当する。以下に、その理由を記す。
すなわち、当初明細書等の翻訳文の第46段落には、「【0046】
ブックマークノートにおける情報は、情報のアイテムに関連したメタデータ形式の情報(即ち、媒体ファイル、カレンダー事象又は時間周期)として記憶される。」との記載がされているが、上記記載によれば、「メタデータ(形式の情報)」が、情報のアイテムに「関連した」データであることは示唆されているものの、情報のアイテムと「一体化された(審決注:平成21年10月22日付け審判請求書において請求人が主張するとおりの「同じファイルの一部であること」を意味するものとする。)」データであるとの記載や示唆はない。
また、当初明細書等の翻訳文の他の箇所の記載を精査しても、上記補正事項を示唆する記載は見当たらない。
したがって、平成21年10月22日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

なお、仮に上記補正事項が、当初明細書等の翻訳文に記載された若しくは当初明細書等の翻訳文に記載された事項から自明な事項であるとした場合について考えると、当該補正事項は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当することとなるから、本件補正3後の請求項11に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(上記改正前の特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)についても、一応検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<本件補正3後の特許請求の範囲の請求項11>の欄に転記したとおりのものである。

2-2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-119653号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

あ.「【0029】図1に示すように、この第1実施形態のマルチメディア情報処理装置は、静止画または動画などの画像情報を獲得する画像獲得部1と、画像獲得部1が獲得した画像情報に対して注釈を付ける注釈部2と、画像情報を獲得した時刻を計数する時刻計数部3と、画像獲得部1で獲得した静止画または動画と、注釈部2で付加した注釈と、時刻計数部3で計数した時刻とを対応させて記憶するマルチメディア対応記憶部4と、マルチメディア対応記憶部4に記憶された情報を時刻計数部3で計数した時刻により整理して提示する整理提示部5と、マルチメディア情報(図形、サウンド、手書きメモなどの注釈(以下、メディア情報と呼ぶ)が付された画像情報)を獲得するのか、マルチメディア対応記憶部4に記憶されたマルチメディア情報を提示するのかを選択する記録/提示切り替え部6とから構成される。以下、図2との対応を含めて各部を説明する。
・・・中略・・・
【0033】マルチメディア対応記憶部4は、画像獲得部1が獲得した画像情報と、注釈部2がその画像情報に対して入力したメディア情報と、時刻計数部3が計数した、画像獲得部1が画像情報を獲得した時刻をセットにして対応づけて記憶する。例えば、ファイルシステムを持つハードディスクで構成される。」

い.「【0047】提示状態になると、整理提示部5は、マルチメディア対応記憶部4に記憶された情報を、時刻を用いて整理し、液晶ディスプレイ5a上に提示する。図6は、この一例を示すものであり、画像獲得部1が獲得した静止画のサムネイルが、1ヶ月のカレンダに表示される様子を示している。サムネイルが表示される欄は、時刻計数部3によって計数された日付と同じ欄に表示される。同一日に複数の静止画を獲得した場合は、獲得した時刻が早い順に上から表示される。例えば、図6のサムネイル画像c1は、図3のデータ名Data002に対応するもので、Data002は7月7日に獲得されたので、図6のカレンダ一覧表の7月7日の欄に表示される。
【0048】一覧表示の生成には、まず提示状態になった月の、1から月末までの日数について、時刻ファイルに記憶された日時をすべて読み取って、早く記憶した順に並べてテーブルを作る。テーブルは、マルチメディア対応記憶部4にTable.talというファイル名で記憶される。図7は、並べ替えの様子を示すものであり、3つの時刻ファイル名が上から順に記憶された時刻の早い順に並んでいる様子を示している。同一の日付を記憶した時刻ファイルは、時刻の早い順に上から並べられる。
【0049】次に、先頭から時刻ファイル名を読み取って、同じデータ名を持つ静止画ファイルを、マルチメディア対応記憶部から検索し、サムネイル画像を生成して、カレンダの同じ日付の欄に表示する。サムネイル画像の生成時には、単に静止画を縮小するだけでなく、その静止画と対応付けられた図形も一緒に縮小して表示する。静止画と対応付けられた図形の検索は、静止画ファイルと同一のデータ名を持つ図形ファイルを検索して、記憶された図形情報を復元して静止画上に描画する。例えば、Data002.picと対応付けられた図形ファイルは、Data002.shpである。また、同一の日付に既に表示した場合は、図6のC2に示すように、それまでに表示したサムネイル画像の下に追加して表示する。
【0050】このように、ユーザはどのようなデータをいつ獲得したかを、静止画のサムネイル画像を一覧することにより、容易に識別できる。また、一覧表示は、静止画を獲得した時刻に基づいて自動的に生成されるため、ユーザにはなんら負担がかからない。
【0051】提示状態では、カーソル2aとボタン2bとポインタ2cは、液晶ディスプレイ5aに表示されたサムネイルを指定するために使われる。図6を例にとって説明すると、7月7日の欄に表示されたサムネイル画像をクリックすると、図8に示す画像が表示される。この表示では、静止画だけでなく、図形も表示する。静止画ファイルに対応付けられた図形ファイルの検索方法は、縮小画像を生成するときと同じである。」

う.「【0061】一方、ステップA1で提示状態の場合、時刻計数部3で計数した時刻の早い順にテーブルを作成し(ステップA6)、液晶ディスプレイ5aにカレンダ一覧を表示する。このカレンダ一覧には、マルチメディア対応記憶部4に記憶された静止画のサムネイル画像が、静止画を獲得した日付の欄に表示される(ステップA7)。
【0062】すると、サムネイル画像をクリックできる状態になり、クリックされた場合には、ステップA9に進んでクリックされた画像を拡大表示し、そうでない場合はステップA1に戻ってカレンダ表示を継続する(ステップA8)。
【0063】また、ステップA9で拡大表示中にクリックされたかどうかを調べ、クリックされた場合はステップA11に進み、そうでない場合はステップA9に戻って拡大表示を継続する(ステップA10)。
【0064】ステップA11に進んだ場合、クリックが図形上で起こったかどうかを調べ、図形上でない場合はステップA1に戻ってカレンダ一覧表示に戻り、図形上の場合は図形に対応付けられたサウンドを再生し(ステップA12)、再生が終わるとステップA9に戻って拡大表示を継続する。」

え.「【0108】すなわち、前述の第1実施形態および第2実施形態では、獲得したマルチメディア情報を、画像情報を獲得した時刻や位置により整理提示したが、この第3実施形態は、整理提示するために用いる情報として、さらに個人またはグループのスケジュールを用いることを特徴とする。
・・・中略・・・
【0117】マルチメディア対応記憶部4は、第1実施形態と同様に、静止画、図形、サウンド、時刻を記憶するとともに、スケジュール要素も対応づけて記憶する。スケジュール要素の対応づけは、第1実施形態と同様に、同じデータ名を持ち拡張子が「.scd」を持つファイルを生成し、このファイルにスケジュール管理部8で記憶したファイル名を記憶する。静止画ファイル名が「Data002.pic」の場合、スケジュール要素のファイル名は「Data002.scd」になり、そのファイルに「Schedule.001」が書き込まれて記憶される。記憶状態のその他の動作は、第1実施形態と同一である。
・・・中略・・・
【0120】静止画を獲得した時刻を含むスケジュールの有無の判定は、この例では、データ名Data002の表示は、まずファイルData001.scd中に書き込まれたSchedule.001というファイル名を読み取った後、スケジュール管理部9に記憶されたファイルSchedule.001のスケジュールを読み取り、Data002が1999年7月7日10時00分から12時のスケジュールに対応付けられていることを検知する。提示状態のその他の動作は、第1実施形態と同一である。」

ここで、上記各記載事項を関連図面及び各種常識に照らせば、以下のことがいえる。

(ア)上記記載事項中の「マルチメディア情報処理装置」は、「画像情報」を拡大表示するためのアクセスを与える表示であって、該「画像情報」を獲得した日時に関連付けて表示する「一覧表示」を生成する機能を有しているから、該「マルチメディア情報処理装置」は当然に、「画像情報へのアクセスを与え且つ前記画像情報を獲得した日時に関連付ける一覧表示を発生」するための機能手段を有している。
(イ)上記記載事項中の「データ名」は、画像情報、画像情報を獲得した日時、スケジュール等を同じ名前でセットにして対応づけるための(一体化して関連付けるための)名前であるから、該「データ名」が付された情報は、画像情報、画像情報を獲得した日時、スケジュールの少なくとも1つを含む「情報のアイテム」とも呼び得るものである。また該「情報のアイテム」とも呼び得るものは、「図形、サウンド、手書きメモ」などの「注釈」も、同じ名前で一体化して関連付けられている。
(ウ)上記「い.」の第49段落の記載「サムネイル画像の生成時には、単に静止画を縮小するだけでなく、その静止画と対応付けられた図形も一緒に縮小して表示する」および第50段落の記載「ユーザはどのようなデータをいつ獲得したかを、静止画のサムネイル画像を一覧することにより、容易に識別できる。」から、「マルチメディア情報処理装置」の「整理提示部」は、上記「情報のアイテム」とも呼び得るものを一覧表示する際には、上記「注釈」に基づく図形の縮小データを発生し、情報のアイテムの表示(サムネイル画像)に該縮小データを追加表示する、情報のアイテムの表示(サムネイル画像)のユーザによる識別を向上させる機能も有しているといえる。

したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「画像情報へのアクセスを与え且つ前記画像情報を獲得した日時に関連付ける一覧表示を発生し、
画像情報、スケジュール、又は画像情報を獲得した日時の少なくとも1つを含む少なくとも1つの情報のアイテムに関連付けられた縮小データを発生し、ここで、前記縮小データは、前記情報のアイテムと一体化された注釈に基づいて前記情報のアイテムの表示に追加する、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる、
ように構成された整理提示部を備えるマルチメディア情報処理装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-216653号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0086】サムネイル画像作成部113は、分類グループのなかで、注目度算出部116が算出した総合的な注目度が最も高い画像IDを重要度データベース120から抽出する(S402)。次にサムネイル画像作成部113は、抽出した画像ID対応するサムネイル画像の枠の色を変更する(S404)。次にサムネイル画像作成部113は、抽出した画像IDに対応するサムネイル画像のサイズを例えば2倍にする(S406)。次にサムネイル画像作成部113は、重要度データベース120において参照回数が所定値以下の画像IDを抽出する。次にサムネイル画像作成部113は、抽出した画像IDに対応するサムネイル画像の明度を下げる(S408)。
・・・中略・・・
【0088】図9は、図5のS502において表示部114が表示するサムネイル画像の表示例を示す。表示部114は、分類グループが同一の複数の画像データ、即ち画像データ200、画像データ202、及び画像データ204を重ねて表示する。ここで表示部114は、分類グループのなかで最も注目度の高い画像データ200を最前面に表示する。またサムネイル画像作成部113は、分類グループのなかで最も注目度の高い画像データ200の枠部分の色を変更している。
【0089】このように表示部114は、最も注目度の高い画像データ200を、他の画像データと比べてよりユーザにとって見つけやすい位置及び色で表示することができる。」

上記記載によれば、引用例2には、「サムネイル画像の周囲に、画像データに関連する情報(注目度)に基づいてフレームを追加する(サムネイル画像の枠の色を変更する)」技術(以下、「引用例2記載技術」)が、サムネイル画像のユーザによる識別を向上させるための様々な手法の一つとして記載されているといえる。

2-3.本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用発明の「画像情報」、「一覧表示」、「スケジュール」、「注釈」、「整理提示部」および「マルチメディア情報処理装置」はそれぞれ、本願補正発明の「デジタル媒体ファイル」、「媒体ビュー」、「カレンダー事象」、「メタデータ」、「処理ユニット」および「装置」に相当する。
(2)引用発明の「画像情報を獲得した日時」は、日付と時刻を有する情報ではあるものの、通常、「媒体ビュー」(一覧表示)の際には日付として用いられる情報であり、一方本願補正発明の「時間周期」も、本願明細書の第25段落の記載「読者に混乱を招かないために、ここで使用する『時間周期』という語は、時間範囲と、特定の瞬時との両方を指すものとする。通常、時間周期は、媒体ファイルが作成されるか又は意図された日付に関連した特定の日付である。」を参酌して明らかなように、通常、日付として用いられる情報であるから、引用発明の「画像情報を獲得した日時」は、本願補正発明の「時間周期」に相当する。
(3)引用発明の「縮小データ」は、「情報のアイテム」と一体化された「メタデータ」(注釈)に基づいて発生する、「情報のアイテム」に関連付けられた、情報のアイテムの表示(サムネイル画像)に追加するための「情報」であるから、該「縮小データ」と本願補正発明の「情報識別子」とは、「情報のアイテムと一体化されたメタデータ」(注釈)に基づいて前記「情報のアイテムの表示」に追加する、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させるための「識別情報」である点で共通する。

したがって、本願補正発明と引用発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「デジタル媒体ファイルへのアクセスを与え且つ前記デジタル媒体ファイルを時間周期に関連付ける媒体ビューを発生し、
デジタル媒体ファイル、カレンダー事象、又は時間周期の少なくとも1つを含む少なくとも1つの情報のアイテムに関連付けられた識別情報を発生し、ここで、前記識別情報は、前記情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示に追加する、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる、
ように構成された処理ユニットを備える装置。」である点。

(相違点)
本願補正発明の「識別情報」(情報識別子)は、「情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる」ものであるのに対し、引用発明の「識別情報」(縮小データ)は、「情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる」ものではない点。

2-4.判断
上記相違点について検討する。
以下の事情を勘案すると、引用発明の「識別情報」(縮小データ)を「情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる」ものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(あ)情報処理分野一般において、画面上にサムネイル画像の一覧表示をする際のサムネイル画像のユーザによる識別を向上させるための様々な手法の一つとして、サムネイル画像の周囲に、画像データに関連する情報に基づいてフレームを追加する技術があることは、例えば上記「2-2.」の「(2)」において「引用例2記載技術」として摘記したように、公知である。
(い)引用発明の装置も、サムネイル画像の一覧表示をする際、サムネイル画像のユーザによる識別を向上させる情報を追加する表示手法を用いる装置であるから、該装置がサムネイル画像に追加する、ユーザによる識別を向上させるための具体的な表示手法として、上記(あ)のような、サムネイル画像の周囲に画像データに関連する情報に基づいてフレームを追加する手法を採用することは、当業者が通常考慮することであるし、またそのようにできない理由もない。(なお、この際に用いられるべき「画像データに関連する情報」の管理手法として、例えば上記引用例1のような「データ名」によって「一体化」して関連付ける(同じ記憶部内で管理)か、上記引用例2のような「画像ID」によって「一体化」して関連付ける(異なるDBで管理)か、もしくは例えばファイルのヘッダ部分等ファイルの一部に情報を関連付けて「一体化」する(一つのファイル内で管理)かは、当業者が設計事項として適宜実施すべき事項にすぎない。)
(う)上記(あ)?(い)のことは、取りも直さず、引用発明の「識別情報」(縮小データ)を「情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる」ものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

は、取りも直さず、引用発明の「識別情報」(縮小データ)を「情報のアイテムと一体化されたメタデータに基づいて前記情報のアイテムの表示の周囲にフレームを追加することにより、前記少なくとも1つの情報のアイテムのユーザによる識別を向上させる」ものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(本願補正発明の効果について)
本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び公知の技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び公知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正3は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。また、仮に本件補正3が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてしたものであるとしても、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正3は上記のとおり却下されたので、本願の請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年7月29日付け手続補正書の請求項11に記載されたとおりのものである。
そして、その平成20年7月29日付け手続補正書の請求項11に記載された事項は、前記「第2」の「1.」の<本件補正3前の特許請求の範囲の請求項11>の欄に転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2」の「2.」の「2-2.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で、本件補正3が仮に願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてしたものであるとして検討した本願補正発明から限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用発明及び公知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び公知の技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び公知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-22 
結審通知日 2012-03-26 
審決日 2012-04-06 
出願番号 特願2004-363668(P2004-363668)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波内 みさ  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 加内 慎也
飯田 清司
発明の名称 媒体ダイアリーアプリケーションにおけるブックマーク及びアノテーション処理  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  
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