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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F04C
管理番号 1262247
審判番号 不服2010-21861  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-29 
確定日 2012-08-24 
事件の表示 特願2007-531692「液封式圧縮機の作動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月23日国際公開,WO2006/029884,平成20年 5月 1日国内公表,特表2008-513660〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は,2005年(平成17年) 9月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2004年(平成16年) 9月17日,ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする特許出願であって,平成22年 5月10日付けで拒絶査定がなされ,この査定を不服として,同年 9月29日に本件審判請求がなされた。
一方,当審において,平成23年 9月26日付けで拒絶理由を通知し,これに対して,応答期間内である平成24年 1月30日に意見書と共に手続補正書が提出されたところである。
そして,この出願の請求項1?12に係る発明は,平成24年 1月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるものと認められるところ,そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりである。

「【請求項1】
圧縮機ケーシング内で偏心して設置された羽根車を有する液封式圧縮機の作動方法であって,その際,ガスを液封式圧縮機に吸込み側で供給しかつガスを液封式圧縮機から吐出し側で排出し,前記作動方法が以下の工程:
i)ケーシング内に偏心して取り付けられた羽根車の回転により,圧縮機ケーシングの内部で液体リングを発生させる工程,
ii)羽根車のブレードと液体リングとの間に形成される空間内にガスを吸込む工程,
iii)羽根車の回転および偏心的な位置決めに基づき,吸込み側から吐出し側に向かって減少する空間内でガスを圧縮する工程,
iv)吐出し側で圧縮ガスを吐出す工程,
を包含する液封式圧縮機の作動方法において,液体リングを発生させるための作動液体としてイオン性液体を使用することを特徴とする,液封式圧縮機の作動方法。」

2.引用例とその記載事項
当審の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である西独国特許出願公告第1103514号明細書(以下,「引用例1」という。)には,「Rotationskompressor mit Fluessigkeitsring zum Verdichten von Gasen, vorzugsweise von aggressiven Medien 」{気体,好ましくは浸食性媒体を圧縮するための,液封を用いた回転式圧縮機}に関し,次の事項が記載されている({}内は,当審における仮訳である。)。

・「Der Erfindung betrifft einen Rotationskompressor, dessen Verdichterwirkung durch einen umlaufenden Fluessigkeitsring hervorgerufen wird. Diese sogenann ten Fluessigkeitsringverdichter werden vor allem dort eingesetzt, wo eine relativ hohe Verdichtung des zu komprimierenden Gases oder Dampfes erforderlich ist. Hierzu werden mit Vorteil mehrstufige Fluessigkeitsringverdichter eingesetzt. Von besonderer Bedeu tung ist bei Fluessigkeitsringverdichtern die den Fluessigkeitsring bildende Ringfluessigkeit. Diese Fluessigkeit muss einerseits chemisch bestaendig gegen das zu verdichtende Gas sein, andererseits darf sie gegen die verwendeten Baustoffe des Verdichters nicht korrosiv wirken.」(第1ページ第1欄第1行?第14行)
{本発明は,その圧縮作用を循環末期の液封によって生み出す回転式圧縮機に関する。このいわゆる液封圧縮機は,ここでは何よりも圧縮空気または蒸気を比較的高く圧縮することが求められる場合に用いられる。これには多段階式の液封圧縮機が都合よく用いられる。液封圧縮機で特に重要なことは,液封を形成するリング状流体である。この流体は,様々な気体に対して化学的に安定である一方で,他方では使用されている様々な圧縮機の材料に対して非腐食性でなければならない。}

・「Die Aufgabe der Erfindung ist es, eine Ringfluessigkeit zu finden, die ebenso wie bereits bekannte Ringfluessigkeiten einen niederen Dampfdruck und geringe Viskositaet aufweist und sich indifferent gegen alle metallischen Werkstoffe verhaelt, mit der jedoch alle Gase, ob aggressiv oder inaggressiv, komprimiert werden koennen, ohne dass hierbei irgendwelche nachteilige Wirkungen auftreten.
Nach der Erfindung besteht die Ringfluessigkeit aus solchen fluessigen niederen Polymeren der Halogen-Kohlenstoff-Verbindungen, die ungiftig sind, deren Gasloeslichkeit gering ist und die gegen die zu verdich tenden Gase in keine Reaktion treten.」(第1ページ第2欄第14行?第26行)
{本発明の課題は,周知のリング状流体と同様に,蒸気圧が低く,また粘度も低く,あらゆる金属素材に対して無作用であり,しかし攻撃的または非攻撃的であるにかかわらず,これに関係して何らかの不利な作用を生ずることなく,あらゆる気体で圧縮することができるリング状流体を見出すことである。
本発明によれば,リング状流体は,無毒であり,その気体溶解性が低く,圧縮する気体に対して反応しないハロゲン-炭素-化合物の液性の低ポリマーから成る。}

・「Ferner hat die erfindungsgemaesse Ringfluessigkeit einen niederen Dampfdruck, so dass waehrend der Verdichtung des zu verdichtenden Gases im Verdichter praktisch keine Verunreinigung des zu verdichtenden Mediums mit der Ringfluessigkeit eintritt. 」(第2ページ第3欄第28行?第33行)
{更に,本発明のリング状流体は蒸気圧が低く,圧縮機で目的の気体を圧縮している間に,圧縮対象媒体が液封流体によって汚染されることがない。}

・「Ganz besonders vorteilhaft hat es sich erwiesen, wenn als Ringfluessigkeit die fluessigen Polymere des Tetrafluoraethylens und des Monochlortrifluoraethylens verwendet werden, wobei zweckmaessigerweise deren Zaehigkeit bei 20℃ weniger als 100 cSt und deren spezifisches Gewicht mehr als 1,9 g/cm^(3) betraegt.」(第2ページ第3欄第41行?第4欄第4行)
{リング状流体にテトラフルオロエチレンおよびモノクロロトリフルオロエチレンの液性ポリマーを使用すると,その20℃での粘度は100cStより小さく,その比重は1.9g/cm^(3)より高く,目的に適っており,特に有利であることが示されている。}

これらの記載事項を総合すると引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「圧縮空気または蒸気を圧縮する圧縮作用を循環末期の液封によって生み出す回転式の液封圧縮機であって,液封を形成するリング状流体は,蒸気圧が低い,液封圧縮機。」

当審の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物であるWASSERSCEID P ET AL:「Ionishe Fluessigkeiten-neue ”Loesungen” fuer die Uebergangsmetallkatalyse」ANGEWANDTE CHEMIE,VCH VERLAGSGESELLSCAFT,WEINHEIM,DE,vol.112,2000,3927-3945ページ,XP002261498,ISSN:0044-8429(以下,「引用例2」という。)には,次の事項が記載されている。({}内は,当審における仮訳である。)

・「Ionische Fluessigkeiten sind bei niedrigen Temperaturen (<100°C) schmelzende Salze, die eine neuartige Klasse von Loesungsmitteln mit nichtmolekularem, ionischem Charakter darstellen. Auch wenn einige bereits seit 1914 bekannt sind, wurden ionische Fluessigkeiten erst in den letzten zehn Jahren intensiv als Loesungsmittel fuer die Uebergangsmetallkatalyse untersucht. Die seither erschienenen Veroeffentlichungen belegen, dass der Ersatz organischer Loesungsmittel durch eine ionische Fluessigkeit zu bemerkenswerten Verbesserungen bekannter Verfahren fuehren kann: Mit vielen organischen Produktgemischen bilden ionische Fluessigkeiten zwei Phasen. Daraus ergibt sich die Moeglichkeit einer mehrphasigen Reaktionsfuehrung zur problemlosen Abtrennung homogener Katalysatoren. Ausserdem haben ionische Fluessigkeiten praktisch keinen Dampfdruck, was eine destillative Produktabtrennung stark vereinfacht. Darueber hinaus gibt es Hinweise, dass der Uebergang von einem ”ueblichen“ organischen Loesungsmittel zu einer ionischen Fluessigkeit zu einer neuartigen und ungewoehnlichen chemischen Reaktivitaet fuehren kann. Dies oeffnet ein weites Feld fuer zukuenftige Untersuchungen dieser neuartigen Loesungsmittelklasse in katalytischen Anwendungen.」(3927ページの要約の欄)
{イオン性液体は,低温(<100℃)では溶融塩で,非分子のイオン性を有する新種の溶媒である。すでに1914年から周知であるが,イオン性液体はここ10年間で,遷移金属触媒用溶媒として集中的に研究された。それ以来発行された文献によって,イオン性液体による有機溶媒の代用が,従来方法を大幅に改善することが実証されている。多くの混合有機産物によって,イオン性液体は2相を生成する。その結果,均質触媒のスムーズな分離の多相反応が進む。とりわけ,イオン性液体は実質的に蒸気圧がゼロで,蒸留分離が著しく簡易化される。さらに,「一般」有機溶媒からイオン性液体への遷移が,新たな特異的化学反応となることが指摘されている。触媒応用のこの新たな溶媒クラスを今後研究する上で,新たな分野が切り拓かれることになる。}

3.発明の対比
本願発明と引用発明とを対比すると,後者の「液封圧縮機」は前者の「液封式圧縮機」に相当し,以下同様に,「圧縮空気または蒸気」は「ガス」に,「液封を形成するリング状流体」は「液体リングを発生させるための作動液体」にそれぞれ相当する。
また,後者の「圧縮空気または蒸気を圧縮する圧縮作用を循環末期の液封によって生み出す回転式の液封圧縮機」と,前者の「圧縮機ケーシング内で偏心して設置された羽根車を有する液封式圧縮機の作動方法であって,その際,ガスを液封式圧縮機に吸込み側で供給しかつガスを液封式圧縮機から吐出し側で排出し,前記作動方法が以下の工程:i)ケーシング内に偏心して取り付けられた羽根車の回転により,圧縮機ケーシングの内部で液体リングを発生させる工程,ii)羽根車のブレードと液体リングとの間に形成される空間内にガスを吸込む工程,iii)羽根車の回転および偏心的な位置決めに基づき,吸込み側から吐出し側に向かって減少する空間内でガスを圧縮する工程,iv)吐出し側で圧縮ガスを吐出す工程,を包含する液封式圧縮機の作動方法」とは,「液封式圧縮機であって,液体リングを発生させ,ガスを圧縮する,液封式圧縮機」において少なくとも共通する。
そして,後者の「液封を形成するリング状流体は,蒸気圧が低い」態様と,前者の「液体リングを発生させるための作動液体としてイオン性液体を使用する」態様とは,「リング状流体」は,当然液体リングを発生させるための作動液体として使用されるものであるから,「液体リングを発生させるための作動液体を使用する」概念において共通する。
そうすると,両者は,
「液封式圧縮機であって,液体リングを発生させ,ガスを圧縮する液封式圧縮機において,液体リングを発生させるための作動液体を使用する,液封式圧縮機。」
の点で一致し,以下の各点で相違すると認められる。

<相違点1>
本願発明では,「圧縮機ケーシング内で偏心して設置された羽根車を有する液封式圧縮機の作動方法であって,その際,ガスを液封式圧縮機に吸込み側で供給しかつガスを液封式圧縮機から吐出し側で排出し,前記作動方法が以下の工程:
i)ケーシング内に偏心して取り付けられた羽根車の回転により,圧縮機ケーシングの内部で液体リングを発生させる工程,
ii)羽根車のブレードと液体リングとの間に形成される空間内にガスを吸込む工程,
iii)羽根車の回転および偏心的な位置決めに基づき,吸込み側から吐出し側に向かって減少する空間内でガスを圧縮する工程,
iv)吐出し側で圧縮ガスを吐出す工程,
を包含する」のに対して,引用発明では,「液封式圧縮機であって,液体リングを発生させ,ガスを圧縮する」ものの,それ以上の特定はなされていない点。

<相違点2>
液体リングを発生させるための作動液体を使用するものにおいて,作動液体としては,本願発明では,「イオン性液体」としたのに対して,引用発明では,蒸気圧が低いものの,それ以上の特定はなされていない点。

4.相違点の検討・当審の判断
<相違点1について>
「圧縮機ケーシング(ケーシング1)内で偏心して設置(配置)された羽根車(翼車2)を有する液封式圧縮機(液体リング式圧縮機)の作動方法であって,その際,ガスを液封式圧縮機(液体リング式圧縮機)に吸込み側(吸込スリット8)で供給しかつガスを吐出し側(吐出スリット9)で排出し(吐出)し,前記作動方法が以下の工程:
i)圧縮式ケーシング(ケーシング1)内に偏心して取り付けられた(配置された)羽根車(翼車2)の回転により,圧縮機ケーシング(ケーシング1)内部(中)に液体リング(液体リング5)を発生させる工程,
ii)羽根車(翼車2)のブレード(翼3)と液体リング5との間に形成される空間内にガスを吸込む工程,
iii)羽根車(翼車2)の回転および偏心的な位置決めに基づき,吸込み側(吸込みスリット8)から吐出し側(吐出スリット9)に向かって減少する空間内でガスを圧縮する工程,
iv)吐出し側(吐出スリット9)で圧縮ガス(圧縮したガス)を吐出す工程,
を包含する液封式圧縮機(液体リング式圧縮機)の作動方法」(ただし,()内は下記常套手段例に記載された用語である。)は,本願の優先権主張の日前に常套手段である(必要があれば,実願昭55-72410号(実開昭56-50794号)のマイクロフィルムの明細書第1ページ第14行?第2ページ第2行,第2ページ第16行?第5ページ第4行,Fig.1,Fig.2を参照のこと。特に,「圧縮式ケーシング内に偏心して取り付けられた羽根車」の点は,明細書第1ページ第15行?第16行,第3ページ第19行?第4ページ第1行,fig.1に示されるように技術常識である。)。
そうすると,上記相違点1に係る本願発明の作動方法は,本願の優先権主張の日前に常套手段に過ぎないから,同じ技術分野である引用発明の回転式の液封圧縮機(液体リング式圧縮機)に該常套手段を適用して上記相違点1に係る本願発明の作動方法とすることは,当業者が適宜なし得たものである。

<相違点2について>
本願発明の課題は,「ガスを圧縮するために液封式圧縮機が使用される際の従来技術から公知の作動液体の欠点は,作動液体の一部が蒸発しかつ圧縮ガスとともに液封式圧縮機から吐出されることである。作動液体の蒸気を含有しない圧縮ガスを得るためには,液封式圧縮機に続いて,蒸発した作動媒体をガスから分離する費用のかかるガス分離が接続されなければならない」(本願明細書の段落【0007】を参照のこと。)ことであるから,この課題である「作動液体の蒸気を含有しない圧縮ガスを得る」ためには,「作動液体の蒸気圧をより低く」して,実質的に作動液体の蒸気をなくすこと,つまり作動液体の蒸気圧を実質的にゼロにすることにより,解決されることは明らかである。
一方,上記引用例2には,「イオン性液体は,低温(<100℃)では溶融塩で,非分子のイオン性を有する新種の溶媒である。イオン性液体は実質的に蒸気圧がゼロで,蒸留分離が著しく簡易化される。」(当審により下線加筆。)と開示されている。
また,上記引用例1においては,好適な実施例として,リング状流体として具体的に,テトラフルオロエチレンおよびモノクロロトリフルオロエチレンの液性ポリマーが開示されている。ちなみに,上記テトラフルオロエチレンの蒸気圧は,3.3MPa(25℃)であり,上記モノクロロトリフルオロエチレンの蒸気圧は,612kPa(25℃)である。
そして,引用発明には,液体リングを発生させるための作動液体としては,蒸気圧を低いものにするという,本願発明と同様の課題の示唆がある。
そうすると,本願発明と同様に「液体リングを発生させるための作動液体としては,蒸気圧を低くすること」という課題に示唆のある引用発明おいて,この課題に着目することにより,具体的に開示されたテトラフルオロエチレンおよびモノクロロトリフルオロエチレンの液性ポリマーよりも蒸気圧をより低くしようとして,上記引用例2に開示された「実質的に蒸気圧がゼロであるイオン性液体」を適用して,上記相違点2に係る本願発明の作動方法とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

さらに,上記相違点を併せ備える本願発明の奏する作用効果について検討しても,引用発明,上記引用例2に開示された事項,及び上記常套手段から当業者が予測し得る範囲内のものである。

したがって,本願発明は,引用発明,上記引用例2に開示された事項,及び上記常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから,本願発明(請求項1に係る発明)は,引用発明,上記引用例2に開示された事項,及び上記常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると,このような特許を受けることができない発明を包含する本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

6.付言
なお,審判請求人は,平成24年1月30日付け意見書にて,上記引用例2の記載事項からみて,イオン性液体が塩溶融物と同様に金属材料に対して高い腐食性を示すものと想定されるし,イオン性液体の触媒活性に基づいて圧縮されるべきガスと相互に反応しかねないと想定されるから,上記引用例2は,引用発明に適用する際の阻害要因になる旨の主張をしている。
しかしながら,本願発明(請求項1に係る発明)では,イオン性液体について,何ら限定するものではなく,また,請求項1を引用する請求項12において,「イオン性液体」の一例として「硫酸イオン」を含むから,金属材料に対して,高い腐食性を示すものも含まれているものと認められる。
よって,本願発明(請求項1に係る発明)は,作動液体として蒸気圧をより低くすることに焦点を当てたものといえる。
そうすると,上記主張は,本願発明(請求項1に係る発明)の記載に基づくものではないから,失当であり,採用することはできない。
さらに,イオン性液体は,本願の優先権主張の日前に各種の分野において活用されており(必要があれば,ポンプによって供給または回収する液体に利用したもの等(特開2004-170591号公報の段落【0036】,【0037】,【0087】,図2,特開2003-167307号公報の段落【0045】)を参照のこと。),阻害要因になるものとは認められない。
 
審理終結日 2012-03-23 
結審通知日 2012-03-28 
審決日 2012-04-10 
出願番号 特願2007-531692(P2007-531692)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F04C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 種子 浩明  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 藤井 昇
倉橋 紀夫
発明の名称 液封式圧縮機の作動方法  
代理人 二宮 浩康  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
復代理人 篠 良一  
代理人 星 公弘  

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