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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1262282
審判番号 不服2010-23724  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-21 
確定日 2012-08-22 
事件の表示 特願2006-156175「データ供給方法、液晶表示装置及びその駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月15日出願公開、特開2007- 41548〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年6月5日(パリ条約による優先権主張 2005年8月2日 大韓民国、2006年4月19日 大韓民国)の出願であって、特許請求の範囲について、平成21年8月14日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、平成22年6月17日付け(送達:同年同月22日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月21日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
その後、平成23年7月19日付けで当審より審尋をしたところ、請求人より、同年11月24日付け回答書の提出があった。

2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。

(本件補正前)
「多数のピクセルを持つ液晶パネルと
画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよび前記ブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバと、
前記液晶パネル上に、前記画像データおよび前記ブラックデータの何れか一つをディスプレイする為に、スキャン信号を供給するゲートドライバと
を備え、
前記ブラックデータは前記画像データから発生され、
前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、
前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、
前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、
前記選択部は、データラインの間に配置された第1スイッチと、前記データラインに沿って配置された第2スイッチと、を有し、
前記第1及び第2スイッチは、前記第1のスイッチが閉じているときは前記第2のスイッチが開くというように、互いに反対に作動される
ことを特徴とする液晶表示装置。」

(本件補正後)
「多数のゲートラインと多数のデータラインで定義された多数のピクセルを持つ液晶パネルと、
画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよび前記ブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバと、
前記液晶パネル上に、前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバと
を備え、
前記ブラックデータは前記画像データから発生され、
前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、
前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、
前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、
前記選択部は、データラインの間に配置された第1スイッチと、前記データラインに沿って配置された第2スイッチと、を有し、
前記第1及び第2スイッチは、前記第1のスイッチが閉じているときは前記第2のスイッチが開くというように、互いに反対に作動され、
前記第1スキャン信号が前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインに印加されれば、前記第2スキャン信号は前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインに順次印加される
ことを特徴とする液晶表示装置。」
(下線は補正箇所を明示するために当審で付した。)

この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である
(ア)「多数のピクセルを持つ液晶パネルと」を「多数のゲートラインと多数のデータラインで定義された多数のピクセルを持つ液晶パネルと、」と補正し、
(イ)「前記画像データおよび前記ブラックデータの何れか一つをディスプレイする為に、スキャン信号を供給するゲートドライバ」を「前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバ」と補正し、
(ウ)「前記第1スキャン信号が前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインに印加されれば、前記第2スキャン信号は前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインに順次印加される」を加入するものである。

以下、(ア)?(ウ)の各補正事項について検討する。
まず、(ア)の補正事項は、「多数のピクセル」を「多数のゲートラインと多数のデータラインで定義された多数のピクセル」と限定する補正である。
また、(イ)の補正事項は、「ゲートドライバ」に関して、「前記画像データおよび前記ブラックデータの何れか一つをディスプレイする為」の「スキャン信号を供給する」としていたものを、「前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号」と「前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号」とを「供給する」として、ゲートドライバの供給する「スキャン信号」を、より具体的に限定する補正であり、(ウ)の補正事項は、(イ)で限定したスキャン信号が印加される順序ないしタイミングを限定する補正である。
そして、(ア)?(ウ)の各補正事項は、上記限定をすることによって、それぞれ請求項1に係る発明を減縮することを目的とするものである。

なお、前記(ア)の補正事項は、補正前の請求項2に記載された事項であるから、本件補正は、請求項1を削除するとともに、請求項2についての減縮を目的とする補正に該当するものであるともいえるが、平成22年10月21日付けの審判請求書における「...の補正事項は、平成21年8月14日付け提出に係る手続補正書による請求項2及び出願当初の明細書段落0034の記載に基づくものである。」及び「なお、平成21年8月14日付け提出に係る手続補正書による請求項2は削除した。」との記載に基づき上記のとおり認定したが、いずれにしても、本件補正は、補正前の請求項1又は請求項2に係る発明を減縮することを目的とする補正に該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

(2)独立特許要件について
(2-1)本願補正発明
本件補正後の請求項1の記載は、前記「(1)補正の内容」に記載のとおりのものであるところ、このうち、(ウ)の補正事項によって加入された「前記第1スキャン信号が前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインに印加されれば、前記第2スキャン信号は前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインに順次印加される」との記載は、必ずしも明確とはいえない。

そこで、請求人が平成22年10月21日付け審判請求書及び平成23年11月24日付け回答書において、前記(ウ)の補正事項の根拠であるとしている、明細書の段落【0048】を参酌するに、その記載は以下のとおりである。
「【0048】図7に図示したように、前記ゲートドライバ20は順次にスキャン信号を生成し出力して、前記データドライバ30は画像データ電圧とブラックレベルデータ電圧を順次に出力する。図8に図示されたように、例えば、前記液晶パネル40は第1?第8ゲートライン(GL1?GL8)を具備することができる。このような場合、第1スキャン信号は第1ゲートラインに供給されて、第2スキャン信号は第2?第4ゲートラインを飛ばして第5ゲートラインに供給されることができる。引き継いて、第3スキャン信号は前記第2ゲートラインに供給されて、前記第4スキャン信号は第6ゲートラインに供給されることができる。続いて、第5及び第6スキャン信号は前記第3及び第7ゲートラインに供給されて、第7及び第8スキャン信号は第4及び第8ゲートラインに供給されることができる。」

明細書の当該箇所並びに当該記載箇所で参照している図7及び図8の記載を勘案すると、本願の明細書で開示される発明において、「ゲートドライバ20」は「順次にスキャン信号を生成」するものであり、例えば、「第1?第8ゲートライン」に対して、
「第1スキャン信号は第1ゲートラインに供給されて、第2スキャン信号は...第5ゲートラインに供給される」、
「引き継いて、第3スキャン信号は前記第2ゲートラインに供給されて、前記第4スキャン信号は第6ゲートラインに供給される」、
「続いて、第5及び第6スキャン信号は前記第3及び第7ゲートラインに供給されて、第7及び第8スキャン信号は第4及び第8ゲートラインに供給される」、
ということが順次行われるものであると認められる。

してみると、本件補正後の請求項1における「前記第1スキャン信号が前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインに印加されれば、前記第2スキャン信号は前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインに順次印加される」との記載は、「前記第1スキャン信号が前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインに印加されれば、前記第2スキャン信号は前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインに印加される、ということが順次に行われる」ことであり、より明確に記載すれば、「前記第1スキャン信号の前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインへの印加と、それに続く前記第2スキャン信号の前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインへの印加とが(前記多数のゲートラインに対して)順次行われる」ことであると認定できる。

そこで、独立特許要件を判断すべき本件補正後の請求項1に係る発明を、明細書の記載を参酌して、改めて以下のものと認定する。
「多数のゲートラインと多数のデータラインで定義された多数のピクセルを持つ液晶パネルと、
画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよび前記ブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバと、
前記液晶パネル上に、前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバと
を備え、
前記ブラックデータは前記画像データから発生され、
前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、
前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、
前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、
前記選択部は、データラインの間に配置された第1スイッチと、前記データラインに沿って配置された第2スイッチと、を有し、
前記第1及び第2スイッチは、前記第1のスイッチが閉じているときは前記第2のスイッチが開くというように、互いに反対に作動され、
前記第1スキャン信号の前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインへの印加と、それに続く前記第2スキャン信号の前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインへの印加とが順次行われる ことを特徴とする液晶表示装置。」(以下、「本願補正発明」という。下線は、本件補正後の請求項1からの変更箇所を明示するために当審が付した。)
なお、上記で認定した本願補正発明は、本件補正後の請求項1に記載された発明と、本質的に異なるものではない。

(3)先願明細書等の記載事項・先願発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の最先の優先日前である平成17年8月1日の特許出願であって、その出願後に特許法第184条の15第2項の規定により「又は出願公開」とあるのを「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十1条に規定する国際公開」とされた特許法第41条第3項の規定により出願公開されたものとみなされた特願2005-222589号(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、「表示装置ならびにその駆動回路および駆動方法」(発明の名称)に関し、次の事項(a)ないし(e)が図面とともに記載されている。
(参考として、先願に係る優先権の主張を伴う日本語特許出願PCT/JP2006/313313号の国際公開公報である国際公開第2007/015347号(以下、「先願国際公開公報」という。)における対応段落番号を付記した。)

(a)段落【0024】-【0026】(先願国際公開公報における[0026]-[0028]に対応する。)
「【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.全体の構成および動作>
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の構成をその表示部の等価回路と共に示すブロック図である。この液晶表示装置は、データ信号線駆動回路としてのソースドライバ300と、走査信号線駆動回路としてのゲートドライバ400と、アクティブマトリクス形の表示部100と、ソースドライバ300およびゲートドライバ400を制御するための表示制御回路200とを備えている。
【0025】
本実施形態における表示部100は、複数本(m本)の走査信号線としてのゲートラインGL1?GLmと、それらのゲートラインGL1?GLmのそれぞれと交差する複数本(n本)のデータ信号線としてのソースラインSL1?SLnと、それらのゲートラインGL1?GLmとソースラインSL1?SLnとの交差点にそれぞれ対応して設けられた複数個(m×n個)の画素形成部とを含む。これらの画素形成部はマトリクス状に配置されて画素アレイを構成し、各画素形成部は、対応する交差点を通過するゲートラインGLjにゲート端子が接続される共に当該交差点を通過するソースラインSLiにソース端子が接続されたスイッチング素子であるTFT10と、そのTFT10のドレイン端子に接続された画素電極と、上記複数の画素形成部に共通的に設けられた対向電極である共通電極Ecと、上記複数の画素形成部に共通的に設けられ画素電極と共通電極Ecとの間に挟持された液晶層とからなる。そして、画素電極と共通電極Ecとにより形成される液晶容量により、画素容量Cpが構成される。なお通常、画素容量に確実に電圧を保持すべく、液晶容量に並列に補助容量が設けられるが、補助容量は本発明には直接に関係しないのでその説明および図示を省略する。
【0026】
各画素形成部における画素電極には、後述のように動作するソースドライバ300およびゲートドライバ400により、表示すべき画像に応じた電位が与えられ、共通電極Ecには、図示しない電源回路から所定電位(「共通電極電位」と呼ぶ)Vcomが与えられる。これにより、画素電極と共通電極Ecとの間の電位差に応じた電圧が液晶に印加され、この電圧印加によって液晶層に対する光の透過量が制御されることで画像表示が行われる。ただし、液晶層への電圧印加によって光の透過量を制御するためには偏光板が使用され、本実施形態では、ノーマリブラックとなるように偏光板が配置されているものとする。」

(b)段落【0029】-【0031】(先願国際公開公報における[0031]-[0033]に対応する。)
「【0029】
ソースドライバ300は、デジタル画像信号DAとソースドライバ用のスタートパルス信号SSPおよびクロック信号SCKとに基づき、デジタル画像信号DAの表す画像の各水平走査線における画素値に相当するアナログ電圧としてデータ信号S(1)?S(n)を1水平走査期間毎に順次生成し、これらのデータ信号S(1)?S(n)をソースラインSL1?SLnにそれぞれ印加する。本実施形態におけるソースドライバ300は、液晶層への印加電圧の極性が1フレーム期間毎に反転されると共に各フレーム内において1ゲートライン毎かつ1ソースライン毎にも反転されるようにデータ信号S(1)?S(n)が出力される駆動方式すなわちドット反転駆動方式が採用されている。したがって、ソースドライバ300は、ソースラインSL1?SLnへの印加電圧の極性をソースライン毎に反転させ、かつ、各ソースラインSLiに印加されるデータ信号S(i)の電圧極性を1水平走査期間毎に反転させる。ここで、ソースラインへの印加電圧の極性反転の基準となる電位は、データ信号S(1)?S(n)の直流レベル(直流成分に相当する電位)であり、この直流レベルは、一般的には共通電極Ecの直流レベルとは一致せず、各画素形成部におけるTFTのゲート・ドレイン間の寄生容量Cgdによるレベルシフト(フィールドスルー電圧)ΔVdだけ共通電極Ecの直流レベルと異なる。ただし、寄生容量CgdによるレベルシフトΔVdが液晶の光学的しきい値電圧Vthに対して十分に小さい場合には、データ信号S(1)?S(n)の直流レベルは共通電極Ecの直流レベルに等しいとみなせるので、データ信号S(1)?S(n)の極性すなわちソースラインへの印加電圧の極性は共通電極Ecの電位を基準として1水平走査期間毎に反転すると考えてもよい。
【0030】
また、このソースドライバ300では、消費電力を低減するためにデータ信号S(1)?S(n)の極性反転時に隣接ソースライン間が短絡されるチャージシェアリング方式が採用されている。このため、ソースドライバ300においてデータ信号S(1)?S(n)を出力する部分である出力部は、図2に示すように構成されている。すなわち、この出力部は、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)を受け取り、これらのアナログ電圧信号d(1)?d(n)をインピーダンス変換することによって、ソースラインSL1?SLnで伝達すべき映像信号としてデータ信号S(1)?S(n)を生成するものであり、このインピーダンス変換のための電圧ホロワとしてn個のバッファ31を有している。各バッファ31の出力端子にはスイッチング素子としての第1のMOSトランジスタSWaが接続され、各バッファ31からのデータ信号S(i)は第1のMOSトランジスタSWaを介してソースドライバ300の出力端子から出力される(i=1,2,…,n)。また、ソースドライバ300の隣接する出力端子間は、スイッチング素子としての第2のMOSトランジスタSWbによって接続されている。そして、これらの出力端子間の第2のMOSトランジスタSWbのゲート端子には、短絡制御信号Cshが与えられ、各バッファ31の出力端子に接続された第1のMOSトランジスタSWaのゲート端子には、インバータ33の出力信号すなわち短絡制御信号Cshの論理反転信号が与えられる。したがって、短絡制御信号Cshが非アクティブ(ローレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオンし、第2のMOSトランジスタSWbがオフするので、各バッファ31からのデータ信号は、第1のMOSトランジスタSWaを介してソースドライバ300から出力される。一方、短絡制御信号Cshがアクティブ(ハイレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオフし、第2のMOSトランジスタSWbがオンするので、各バッファ31からのデータ信号は出力されず、表示部100における隣接ソースラインが、第2のMOSトランジスタSWbを介して短絡される。
【0031】
本実施形態におけるソースドライバ300では、図3(a)に示すように、1水平走査期間(1H)毎に極性の反転する映像信号としてアナログ電圧信号d(i)が生成され、表示制御回路200では、図3(b)に示すように、各アナログ電圧信号d(i)の極性の反転時に所定期間(1水平ブランキング期間程度の短い期間)Tshだけハイレベル(Hレベル)となる短絡制御信号Cshが生成される(以下、短絡制御信号CshがHレベルとなる期間を「短絡期間」という)。上記のように、短絡制御信号Cshがローレベル(Lレベル)のときには各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力され、短絡制御信号CshがHレベルのときには隣接ソースラインが互いに短絡される。そして本実施形態では、ドット反転駆動が採用されていることから隣接ソースラインの電圧は互いに逆極性であって、しかも、その絶対値はほぼ等しい。したがって、各データ信号S(i)の値すなわち各ソースラインSLiの電圧は、短絡期間Tshにおいて、黒表示に相当する電圧(以下、単に「黒電圧」ともいう)となる。本実施形態では、各データ信号S(i)は、データ信号S(i)の直流レベルVSdcを基準として極性が反転するので、図3(c)に示すように短絡期間Tshにおいてデータ信号S(i)の直流レベルVSdcにほぼ等しくなる。なお、このようにデータ信号の極性反転時に隣接ソースラインを短絡することで各ソースラインの電圧を黒電圧(データ信号S(i)の直流レベルVSdcまたは共通電極電位Vcom)にほぼ等しくするという構成は、消費電力を低減するための手段として従来より提案されており(例えば特許文献1?3参照)、図2に示した構成に限定されるものではない。」

(c)段落【0032】(先願国際公開公報における[0034]に対応する。)
「【0032】
ゲートドライバ400は、ゲートドライバ用のスタートパルス信号GSPおよびクロック信号GCKと、ゲートドライバ出力制御信号GOEr(r=1,2,…,q)とに基づき、各データ信号S(1)?S(n)を各画素形成部(の画素容量)に書き込むために、デジタル画像信号DAの各フレーム期間(各垂直走査期間)においてゲートラインGL1?GLmをほぼ1水平走査期間ずつ順次選択すると共に、後述の黒挿入のために、データ信号S(i)(i=1?n)の極性反転時に所定期間だけゲートラインGLj(j=1?m)を選択する。すなわち、ゲートドライバ400は、図3(d)(e)に示すような画素データ書込パルスPwと黒電圧印加パルスPbとを含む走査信号G(1)?G(m)をゲートラインGL1?GLmにそれぞれ印加し、これらのパルスPw,Pbが印加されているゲートラインGLjは選択状態となり、選択状態のゲートラインGLjに接続されたTFT10がオン状態となる(非選択状態のゲートラインに接続されたTFT10はオフ状態となる)。ここで、画素データ書込パルスPwは水平走査期間(1H)のうち表示期間に相当する有効走査期間でHレベルとなるのに対し、黒電圧印加パルスPbは水平走査期間(1H)のうちブランキング期間に相当する短絡期間Tsh内でHレベルとなる。本実施形態では図3(d)(e)に示すように、各走査信号G(j)において、画素データ書込パルスPwと当該画素データ書込パルスPwの後に最初に現れる黒電圧印加パルスPbとの間は2/3フレーム期間であり、黒電圧印加パルスPbは、1フレーム期間(1V)において1水平走査期間(1H)の間隔で続いて3個現れる。」

(d)段落【0033】-【0034】(先願国際公開公報における[0035]-[0036]に対応する。)
「【0033】
次に図3を参照しつつ、上記のソースドライバ300およびゲートドライバ400による表示部100(図1参照)の駆動について説明する。表示部100における各画素形成部では、それに含まれるTFT10のゲート端子に接続されるゲートラインGLjに画素データ書込パルスPwが印加されることにより、当該TFT10がオンし、当該TFT10のソース端子に接続されるソースラインSLiの電圧がデータ信号S(i)の値として当該画素形成部に書き込まれる。すなわちソースラインSLiの電圧が画素容量Cpに保持される。その後、当該ゲートラインGLjは黒電圧印加パルスPbが現れるまでの期間Thdは非選択状態となるので、当該画素形成部に書き込まれた電圧がそのまま保持される。黒電圧印加パルスPbは、その非選択状態の期間(以下「画素データ保持期間」という)Thdの後の短絡期間TshにゲートラインGLjに印加される。既述のように短絡期間Tshでは、各データ信号S(i)の値すなわち各ソースラインSLiの電圧は、データ信号S(i)の直流レベルにほぼ等しくなる(すなわち黒電圧となる)。したがって、当該ゲートラインGLjへの黒電圧印加パルスPbの印加により、当該画素形成部の画素容量Cpに保持される電圧は黒電圧に向かって変化する。しかし、黒電圧印加パルスPbのパルス幅は短いので、画素容量Cpにおける保持電圧を確実に黒電圧にするために、図3(d)(e)に示すように、各フレーム期間において1水平走査期間(1H)間隔で3個の黒電圧印加パルスPbが続けて当該ゲートラインGLjに印加される。これにより、当該ゲートラインGLjに接続される画素形成部によって形成される画素の輝度(画素容量での保持電圧によって決まる透過光量)L(j,i)は、図3(f)に示すように変化する。したがって、各ゲートラインGLjに接続される画素形成部に対応する1表示ラインにおいて、画素データ保持期間Thdではデジタル画像信号DAに基づく表示が行われ、その後に上記3個の黒電圧印加パルスPbが印加されてから次に当該ゲートラインGLjに画素データ書込パルスPwが印加される時点までの期間Tbkでは黒表示が行われる。このようにして、黒表示の行われる期間(以下「黒表示期間」という)Tbkが各フレーム期間に挿入されることにより、液晶表示装置による表示のインパルス化が行われる。
【0034】
図3(d)(e)からもわかるように、画素データ書込パルスPwの現れる時点は走査信号G(j)毎に1水平走査期間(1H)ずつずれているので、黒電圧印加パルスPbの現れる時点も走査信号G(j)毎に1水平走査期間(1H)ずつずれている。したがって、黒表示期間Tbkも1表示ライン毎に1水平走査期間(1H)ずつずれて、全ての表示ラインにつき同じ長さの黒挿入が行われる。このようにして、画素データ書込のための画素容量Cpでの充電期間を短縮することなく、十分な黒挿入期間が確保される。また、黒挿入のためにソースドライバ300等の動作速度を上げる必要もない。」

(e)段落【0050】-【0052】(先願国際公開公報における[0052]-[0054]に対応する。)
「【0050】
<3. 効果>
以上のように本実施形態によれば、データ信号S(i)の極性反転時の各短絡期間Tshには各ソースラインSLiの電圧は黒表示に相当する値となっており(図3(c))、各ゲートラインGLjには、画素データ書込パルスPwが印加されてから2/3フレーム期間の長さの画素データ保持期間Thdが経過した後に、1水平走査期間間隔で3個の黒電圧印加パルスPbがそれぞれ短絡期間Tsh内に印加される(図3(d)(e))。これにより、次に画素データ書込パルスPwが印加されるまでは黒表示の期間Tbkとなるので、各フレームにつき、ほぼ1/3フレーム期間程度の黒挿入が行われる。すなわち、インパルス化駆動のための黒表示期間Tbkが1表示ライン毎に1水平走査期間(1H)ずつずれて、全ての表示ラインにつき同じ長さの黒挿入が行われる(図3(d)(e))。これにより、画素データ書込のための画素容量Cpでの充電期間を短縮することなく、十分な黒挿入期間が確保され、しかも、黒挿入のためにソースドライバ300等の動作速度を上げる必要もない。
【0051】
上記実施形態では、各ゲートラインGLjには1フレーム期間毎に3個の黒電圧印加パルスPbが印加されるが、1フレーム期間における黒電圧印加パルスPbの個数は3個に限定されるものではなく、表示を黒レベルとすることができるような個数であればよい。また、図3(f)からわかるように、1フレーム期間における黒電圧印加パルスPbの個数を変えることにより黒表示期間Tbkにおける黒レベル(表示輝度)を所望の値に設定することができる。なお、1フレーム期間における黒電圧印加パルスPbの個数は、ゲートスタートパルス信号GSPにおける期間Tspbwの設定を変えることにより容易に調整することができる(図5(a)、図7(a))。
【0052】
上記実施形態では、各ゲートラインGLjに対し、画素データ書込パルスPwが印加されてから2/3フレーム期間の長さの画素データ保持期間Thdが経過した時点で黒電圧印加パルスPbが印加され(図3(d)(e))、各フレームにつき、ほぼ1/3フレーム期間程度の黒挿入が行われるが、黒表示期間Tbkは1/3フレーム期間に限定されるものではない。黒表示期間Tbkを長くすればインパルス化の効果が大きくなり動画の表示品質の改善(尾引残像の抑制等)には有効であるが、表示輝度が低下することになるので、インパルス化の効果と表示輝度とを勘案して適切な黒表示期間Tbkが設定されることになる。ただし、インパルス化の効果を十分に得るためには1フレーム期間の50%?20%を黒挿入の期間とするのが好ましい。上記実施形態によれば、ゲートスタートパルス信号GSPの設定によって画素データ保持期間Thdを変えることで、黒電圧印加パルスの現れるタイミングを変化させることにより、黒表示期間Tbkを容易に調整することができる(図5、図7)。」

上記記載事項について検討する。

(ア)【0025】の「表示部100は、複数本(m本)の走査信号線としてのゲートラインGL1?GLmと、それらのゲートラインGL1?GLmのそれぞれと交差する複数本(n本)のデータ信号線としてのソースラインSL1?SLnと、それらのゲートラインGL1?GLmとソースラインSL1?SLnとの交差点にそれぞれ対応して設けられた複数個(m×n個)の画素形成部とを含む。」との記載より、「表示部100」は、「複数本のゲートラインGL1?GLm」と「複数本のソースラインSL1?SLn」との「交差点に対応して設けられた複数個の画素形成部」を含む。

(イ)【0029】の「ソースドライバ300は、デジタル画像信号DAとソースドライバ用のスタートパルス信号SSPおよびクロック信号SCKとに基づき、デジタル画像信号DAの表す画像の各水平走査線における画素値に相当するアナログ電圧としてデータ信号S(1)?S(n)を1水平走査期間毎に順次生成し、これらのデータ信号S(1)?S(n)をソースラインSL1?SLnにそれぞれ印加する。」及び【0030】の「ソースドライバ300においてデータ信号S(1)?S(n)を出力する部分である出力部は、図2に示すように構成されている。すなわち、この出力部は、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)を受け取り、」との記載より、「ソースドライバ300」は、「デジタル画像信号DAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)を生成」している。
また、【0030】の「ソースドライバ300においてデータ信号S(1)?S(n)を出力する部分である出力部は、図2に示すように構成されている。すなわち、この出力部は、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)を受け取り、」との記載及び【0031】の「短絡制御信号Cshがローレベル(Lレベル)のときには各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力され、短絡制御信号CshがHレベルのときには隣接ソースラインが互いに短絡される。そして本実施形態では、ドット反転駆動が採用されていることから隣接ソースラインの電圧は互いに逆極性であって、しかも、その絶対値はほぼ等しい。したがって、各データ信号S(i)の値すなわち各ソースラインSLiの電圧は、短絡期間Tshにおいて、黒表示に相当する電圧(以下、単に「黒電圧」ともいう)となる。」との記載より、前記「ソースドライバ300」は「出力部」を有し、該「出力部」は、短絡制御信号Cshによって、各アナログ電圧信号d(i)と黒表示に相当する電圧とのいずれか一つを選択するものであるといえる。

(ウ)【0032】の「ゲートドライバ400は、図3(d)(e)に示すような画素データ書込パルスPwと黒電圧印加パルスPbとを含む走査信号G(1)?G(m)をゲートラインGL1?GLmにそれぞれ印加」との記載より、「ゲートドライバ400」は「ゲートラインGL1?GLmに、画素データ書込パルスPwと黒電圧印加パルスPbとを印加する」ものである。

(エ)【0030】の「また、このソースドライバ300では、消費電力を低減するためにデータ信号S(1)?S(n)の極性反転時に隣接ソースライン間が短絡されるチャージシェアリング方式が採用されている。」との記載及び【0031】の「短絡制御信号CshがHレベルのときには隣接ソースラインが互いに短絡される。そして本実施形態では、ドット反転駆動が採用されていることから隣接ソースラインの電圧は互いに逆極性であって、しかも、その絶対値はほぼ等しい。したがって、各データ信号S(i)の値すなわち各ソースラインSLiの電圧は、短絡期間Tshにおいて、黒表示に相当する電圧(以下、単に「黒電圧」ともいう)となる。本実施形態では、各データ信号S(i)は、データ信号S(i)の直流レベルVSdcを基準として極性が反転するので、図3(c)に示すように短絡期間Tshにおいてデータ信号S(i)の直流レベルVSdcにほぼ等しくなる。なお、このようにデータ信号の極性反転時に隣接ソースラインを短絡することで各ソースラインの電圧を黒電圧(データ信号S(i)の直流レベルVSdcまたは共通電極電位Vcom)にほぼ等しくする」との記載より、前記「黒表示に相当する電圧」は、「互いに逆極性であってその絶対値がほぼ等しい隣接ソースラインの電圧に基づいて、該隣接ソースライン間が短絡されるチャージシェアリング方式によって得られる電圧」である。

(オ)【0030】の「したがって、短絡制御信号Cshが非アクティブ(ローレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオンし、第2のMOSトランジスタSWbがオフするので、各バッファ31からのデータ信号は、第1のMOSトランジスタSWaを介してソースドライバ300から出力される。一方、短絡制御信号Cshがアクティブ(ハイレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオフし、第2のMOSトランジスタSWbがオンするので、各バッファ31からのデータ信号は出力されず、表示部100における隣接ソースラインが、第2のMOSトランジスタSWbを介して短絡される。」及び【0031】の「上記のように、短絡制御信号Cshがローレベル(Lレベル)のときには各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力され、短絡制御信号CshがHレベルのときには隣接ソースラインが互いに短絡される。そして本実施形態では、ドット反転駆動が採用されていることから隣接ソースラインの電圧は互いに逆極性であって、しかも、その絶対値はほぼ等しい。したがって、各データ信号S(i)の値すなわち各ソースラインSLiの電圧は、短絡期間Tshにおいて、黒表示に相当する電圧(以下、単に「黒電圧」ともいう)となる。」との記載より、「前記アナログ電圧信号d(1)?d(n)及び前記黒表示に相当する電圧は、短絡制御信号Cshによって、そのうちの一つが選択され」、また、該短絡制御信号Cshは、該短絡制御信号Cshがローレベルのときにソースドライバ300から各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力されるように制御するための信号であるといえる。

(カ)【0030】の「すなわち、この出力部は、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)を受け取り、これらのアナログ電圧信号d(1)?d(n)をインピーダンス変換することによって、ソースラインSL1?SLnで伝達すべき映像信号としてデータ信号S(1)?S(n)を生成するものであり、このインピーダンス変換のための電圧ホロワとしてn個のバッファ31を有している。各バッファ31の出力端子にはスイッチング素子としての第1のMOSトランジスタSWaが接続され、各バッファ31からのデータ信号S(i)は第1のMOSトランジスタSWaを介してソースドライバ300の出力端子から出力される(i=1,2,…,n)。また、ソースドライバ300の隣接する出力端子間は、スイッチング素子としての第2のMOSトランジスタSWbによって接続されている。」との記載より、前記出力部は、ソースドライバ300の隣接する出力端子間を接続するスイッチング素子としての第2のMOSトランジスタSWbと、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)をインピーダンス変換するための各バッファ31の出力端子に接続されたスイッチング素子としての第1のMOSトランジスタSWaと、を有している。

(キ)【0030】の「そして、これらの出力端子間の第2のMOSトランジスタSWbのゲート端子には、短絡制御信号Cshが与えられ、各バッファ31の出力端子に接続された第1のMOSトランジスタSWaのゲート端子には、インバータ33の出力信号すなわち短絡制御信号Cshの論理反転信号が与えられる。したがって、短絡制御信号Cshが非アクティブ(ローレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオンし、第2のMOSトランジスタSWbがオフするので、各バッファ31からのデータ信号は、第1のMOSトランジスタSWaを介してソースドライバ300から出力される。一方、短絡制御信号Cshがアクティブ(ハイレベル)のときには、第1のMOSトランジスタSWaがオフし、第2のMOSトランジスタSWbがオンするので、各バッファ31からのデータ信号は出力されず、表示部100における隣接ソースラインが、第2のMOSトランジスタSWbを介して短絡される。」との記載より、前記第2のMOSトランジスタSWbと前記第1のMOSトランジスタSWaとは、前記第2のMOSトランジスタSWbがオンしているときには、前記第1のMOSトランジスタSWaがオフするというように動作するものである。

以上の検討を踏まえると、上記記載(a)ないし(e)及び図1ないし3の記載から、先願明細書等には、次の発明が記載されているものと認められる。

「複数本のゲートラインGL1?GLmと複数本のソースラインSL1?SLnとの交差点に対応して設けられた複数個の画素形成部を含む表示部100と、
デジタル画像信号DAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)を生成するとともに、短絡制御信号Cshによって、各アナログ電圧信号d(i)と黒表示に相当する電圧とのいずれか一つを選択する出力部を有するソースドライバ300と、
ゲートラインGL1?GLmに、画素データ書込パルスPwと黒電圧印加パルスPbとを印加するゲートドライバ400と
を備え、
前記黒表示に相当する電圧は、互いに逆極性であってその絶対値がほぼ等しい隣接ソースラインの電圧に基づいて、該隣接ソースライン間が短絡されるチャージシェアリング方式によって得られる電圧であって、
前記アナログ電圧信号d(1)?d(n)及び前記黒表示に相当する電圧は、短絡制御信号Cshによって、そのうちの一つが選択され、該短絡制御信号Cshは、該短絡制御信号Cshがローレベルのときにソースドライバ300から各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力されるように制御するための信号であって、
前記出力部は、ソースドライバ300の隣接する出力端子間を接続するスイッチング素子としての第2のMOSトランジスタSWbと、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)をインピーダンス変換するための各バッファ31の出力端子に接続されたスイッチング素子としての第1のMOSトランジスタSWaと、を有し、
前記第2のMOSトランジスタSWbと前記第1のMOSトランジスタSWaとは、前記第2のMOSトランジスタSWbがオンしているときには、前記第1のMOSトランジスタSWaがオフするというように動作する
液晶表示装置。」(以下、「先願発明」という。)

(4)対比
本願補正発明と先願発明とを対比する。

(4-1)まず、先願発明における「ゲートラインGL1?GLm」、「ソースラインSL1?SLn」、「画素形成部」及び「表示部100」は、本願補正発明における「ゲートライン」、「データライン」、「ピクセル」及び「液晶パネル」に、それぞれ相当する。

また、先願発明における「出力部」、「ソースドライバ300」、「ゲートドライバ400」、「第2のMOSトランジスタSWb」及び「第1のMOSトランジスタSWa」は、本願補正発明における「選択部」、「データドライバ」、「ゲートドライバ」、「第1スイッチ」及び「第2スイッチ」に、それぞれ相当する。

さらに、先願発明における「デジタル画像信号DAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)」及び「黒表示に相当する電圧」は、本願補正発明における「画像データ」及び「ブラックデータ」にそれぞれ相当し、先願発明における「画素データ書込パルスPw」及び「黒電圧印加パルスPb」は、本願補正発明における「第1スキャン信号」及び「第2スキャン信号」にそれぞれ相当する。

(4-2)先願発明における「デジタル画像信号DAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)を生成するとともに、短絡制御信号Cshによって、各アナログ電圧信号d(i)と黒表示に相当する電圧とのいずれか一つを選択する出力部を有するソースドライバ300」と、本願補正発明における「画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよび前記ブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバ」とを対比する。
先願発明において、ソースドライバ300がデジタル画像信号DAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)を生成するのであるから、ソースドライバ300は、本願補正発明の「画像データ生成するデータ電圧生成部」に相当する手段を有していることは明らかである。
してみると、先願発明における「デジタル画像信号DAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)を生成するとともに、短絡制御信号Cshによって、各アナログ電圧信号d(i)と黒表示に相当する電圧とのいずれか一つを選択する出力部を有するソースドライバ300」は、本願補正発明における「画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよび前記ブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバ」に相当するといえる。

(4-3)先願発明の「ゲートラインGL1?GLmに、画素データ書込パルスPwと黒電圧印加パルスPbとを印加するゲートドライバ400」と、本願補正発明の「前記液晶パネル上に、前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバ」とを対比する。
先願発明において、ゲートラインGL1?GLmに信号を印加することは、液晶パネル上に信号を印加することに他ならない。
また、先願発明における「画素データ書込パルスPw」及び「黒電圧印加パルスPb」は、それぞれ、画像データをディスプレイする為の信号及びブラックデータをディスプレイする為の信号であることは明らかである。
してみると、先願発明の「ゲートラインGL1?GLmに、画素データ書込パルスPwと黒電圧印加パルスPbとを印加するゲートドライバ400」は、本願補正発明の「前記液晶パネル上に、前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバ」に相当するといえる。

(4-4)先願発明における、「前記黒表示に相当する電圧は、互いに逆極性であってその絶対値がほぼ等しい隣接ソースラインの電圧に基づいて、該隣接ソースライン間が短絡されるチャージシェアリング方式によって得られる電圧であって、」と、本願補正発明における、「前記ブラックデータは前記画像データから発生され、前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、」とを対比する。
まず、先願発明において、前記各ソースラインの電圧は、デジタル画像データDAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)が各画素形成部において(画素容量に)チャージ(保持)されたものであるから、先願発明において、ソースラインの電圧に基づいて得られる「前記黒表示に相当する電圧」は、「デジタル画像データDAに基づくアナログ電圧信号d(1)?d(n)」から発生された電圧であるといえる。
また、先願発明における「黒表示に相当する電圧」は、「チャージシェア方式によって得られる電圧」であるから、チャージシェア電圧であるということができる。
そして、先願発明において、前記各画素形成部にチャージされた電圧が、隣接ソースライン間が短絡されることによって平均化されることは、当業者にとって自明な事項である。

したがって、先願発明における、「前記黒表示に相当する電圧は、互いに逆極性であってその絶対値がほぼ等しい隣接ソースラインの電圧に基づいて、該隣接ソースライン間が短絡されるチャージシェアリング方式によって得られる電圧であり、」は、本願補正発明における、「前記ブラックデータは前記画像データから発生され、前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、」に相当するといえる。

(4-5)先願発明における、「前記アナログ電圧信号d(1)?d(n)及び前記黒表示に相当する電圧は、短絡制御信号Cshによって、そのうちの一つが選択され、該短絡制御信号Cshは、該短絡制御信号Cshがローレベルのときにソースドライバ300から各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力されるように制御するための信号であって、」と、本願補正発明における、「前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、」とを対比する。
先願発明における「短絡制御信号Csh」は、「前記画像データ」及び「前記ブラックデータ」のうちの一つを選択するための信号であるという点において、本願補正発明における「制御信号」に相当するといえる。
また、該「短絡制御信号Csh」は、ソースドライバ300からのアナログ電圧信号の出力を制御しているので、「SOE(Source Output Enable)信号」であるといえる。
してみると、先願発明における、「前記アナログ電圧信号d(1)?d(n)及び前記黒表示に相当する電圧は短絡制御信号Cshによって、そのうちの一つが選択され、該短絡制御信号Cshは、該短絡制御信号Cshがローレベルのときにソースドライバ300から各アナログ電圧信号d(i)がデータ信号S(i)として出力されるように制御するための信号であって、」は、本願補正発明における、「前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、」に相当するといえる。

(4-6)上記(4-1)で説示した相当関係を踏まえると、先願発明における、「前記出力部は、ソースドライバ300の隣接する出力端子間を接続するスイッチング素子としての第2のMOSトランジスタSWbと、デジタル画像信号DAに基づき生成されたアナログ電圧信号d(1)?d(n)をインピーダンス変換するための各バッファ31の出力端子に接続されたスイッチング素子としての第1のMOSトランジスタSWaと、を有し、」及び「前記第2のMOSトランジスタSWbと第1のMOSトランジスタSWaとは、前記第2のMOSトランジスタSWbがオンしているときには、前記第1のMOSトランジスタSWaがオフするというように動作する」は、本願補正発明における、「前記選択部は、データラインの間に配置された第1スイッチと、前記データラインに沿って配置された第2スイッチと、を有し、」及び「前記第1及び第2スイッチは、前記第1のスイッチが閉じているときは前記第2のスイッチが開くというように、互いに反対に作動され、」に相当する。

したがって、両者は、
(一致点)
「多数のゲートラインと多数のデータラインで定義された多数のピクセルを持つ液晶パネルと、
画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよびブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバと、
前記液晶パネル上に、前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバと
を備え、
前記ブラックデータは前記画像データから発生され、
前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、
前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、
前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、
前記選択部は、データラインの間に配置された第1スイッチと、前記データラインに沿って配置された第2スイッチと、を有し、
前記第1及び第2スイッチは、前記第1のスイッチが閉じているときは前記第2のスイッチが開くというように、互いに反対に作動される
液晶表示装置。」
で一致すると共に、第1スキャン信号と第2スキャン信号の印加タイミングに関して、本願補正発明においては、「前記第1スキャン信号の前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインへの印加と、それに続く前記第2スキャン信号の前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインへの印加とが順次行われる」のに対して、先願発明においては、この点が明らかでない点で一応相違する。

(5)判断
上記一応の相違点について検討する。

一般に、液晶表示装置において、その1フレーム期間(1V)の間に、走査信号線であるゲートラインの数(m)だけ水平走査期間(H)が存在し、(m×H)の期間は、1Vにほぼ等しい(垂直ブランク期間を考慮しなければ(m×H)の期間は1Vに一致するものである。)。
また、先願明細書等の【0034】には、「黒挿入のためにソースドライバ300等の動作速度を上げる必要もない。」との記載がある。
してみると、先願発明において、特に先願明細書等の図3を参照して「画素データ書込パルスPw」と「黒電圧印加パルスPb」との印加タイミングに関して、以下のように考察をすることができる。

ここでは、理解を容易にするため、図3を参照しながら、図3においてj=1とした場合を例にとって説明する。
先願明細書等の前記「黒挿入のためにソースドライバ300等の動作速度を上げる必要もない。」との記載より、図3の実施形態において、走査信号G(1)に画素データ書込パルスPwが現れてから(ゲートラインGL1に画素データ書込パルスPwが印加されてから)、画素データ保持期間Thd(=(2/3)×V)の期間だけですべてのゲートラインGL1?GLmに画素データ書込パルスPwが印加されるものとは認められない。つまり、ソースドライバ300の動作速度を上げる必要がないのであるから、m×H≒(2/3)×Vとはならず、1フレーム期間(V)のほぼ全体にわたって、ゲートラインGL1?GLmに順次画素データ書込パルスPwが印加されるものであると認められる。
これは、図3(a)又は(c)において、どの時点においても(図3(d)のThd経過後の期間においても)アナログ電圧信号d(i)又はデータ信号S(i)に信号があるように記載されていることからも見てとれる。
そうすると、GL1に画素データ書込パルスPwが印加された後、GL1に最初の黒電圧印加パルスPbが印加された時点においても、当然に、いずれかのゲートラインGLy(図3の実施形態の場合、y≒1+(2/3)×m)に画素データ書込パルスPwが印加されているはずである。
さらに、該GLyへの画素データ書込パルスPwの印加の後には、引き続いてGL2に最初の黒電圧印加パルスPbが印加されることも明らかである。
そして、GL1,GL2とGLyの場合のみならず、どのゲートラインであっても、「いずれか一つのゲートラインに画素データ書込パルスPwが印加された後には、引き続いて他のゲートラインに黒電圧印加パルスPbが印加され」るものであり、これが各ゲートラインについて「順次行われる」ことは明らかである。

以上の考察によれば、先願明細書等には「いずれか一つのゲートラインに画素データ書込パルスPwが印加された後には、引き続いて他のゲートラインに黒電圧印加パルスPbが印加され」、これが「順次行われる」という技術事項が実質的に記載されているものと認められる。
そして、該実質的に記載された技術事項は、先願発明に含まれるものであり、該技術事項は、本願補正発明における「前記第1スキャン信号の前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインへの印加と、それに続く前記第2スキャン信号の前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインへの印加とが順次行われる」に相当するものである。
してみると、前記一応の相違点は、本願補正発明と先願発明との実質的な相違点であるとは認められない。

したがって、本願補正発明は、先願発明と実質的に同一である。そして、本願の発明者はチュヨン・イであり、出願時における出願人はエルジー フィリップス エルシーディー カンパニー リミテッドであるのに対し、先願の発明者は長島 伸悦であり、出願人はシャープ株式会社である。よって、本願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)補正却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし26に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、補正1によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし26に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「多数のピクセルを持つ液晶パネルと
画像データを生成するデータ電圧生成部と、前記画像データおよび前記ブラックデータのいずれか一つを選択する選択部と、を有するデータドライバと、
前記液晶パネル上に、前記画像データおよび前記ブラックデータの何れか一つをディスプレイする為に、スキャン信号を供給するゲートドライバと
を備え、
前記ブラックデータは前記画像データから発生され、
前記ブラックデータは前記画像データから得られたチャージシェア(Charge share)電圧であり、
前記チャージシェア電圧は前記画像データの平均値であって、
前記画像データおよび前記ブラックデータは制御信号によってそのうちの一つが選択され、当該制御信号は、前記データドライバの出力を制御するSOE(Source Output Enable)信号であって、
前記選択部は、データラインの間に配置された第1スイッチと、前記データラインに沿って配置された第2スイッチと、を有し、
前記第1及び第2スイッチは、前記第1のスイッチが閉じているときは前記第2のスイッチが開くというように、互いに反対に作動される
ことを特徴とする液晶表示装置。」(以下、「本願発明」という。)

4.先願明細書等の事項・先願発明
原査定の拒絶の理由に引用された先願明細書の記載事項及び先願発明は、前記「2.(3)先願明細書等の記載事項・先願発明」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)本件補正の内容」で検討したように、本願補正発明において、
(ア)「多数のピクセル」に関して「多数のゲートラインと多数のデータラインで定義された」という限定を削除し、
(イ)「ゲートドライバ」に関して、「前記画像データをディスプレイする為の第1スキャン信号と前記ブラックデータをディスプレイする為の第2スキャン信号を供給するゲートドライバ」から「前記画像データおよび前記ブラックデータの何れか一つをディスプレイする為に、スキャン信号を供給するゲートドライバ」と上位概念化し、
(ウ)「前記第1スキャン信号が前記多数のゲートラインのうち一つのゲートラインに印加されれば、前記第2スキャン信号は前記一つのゲートラインを除外した他のゲートラインに順次印加される」という発明特定事項を削除するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)対比、2.(5)判断に記載したとおり先願発明と実質的に同一であるから、本願発明も同様の理由により、先願発明と実質的に同一である。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と実質的に同一であり、しかも、本願の発明者が先願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-22 
結審通知日 2012-03-27 
審決日 2012-04-10 
出願番号 特願2006-156175(P2006-156175)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 161- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀部 修平  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 山川 雅也
▲高▼木 真顕
発明の名称 データ供給方法、液晶表示装置及びその駆動方法  
代理人 梶並 順  
代理人 古川 秀利  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 上田 俊一  
代理人 曾我 道治  
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